JP5373848B2 - 地下構造物の補強方法、柱構造体及びコンクリート構造体 - Google Patents

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本発明は、過去に現場打ちコンクリート又はプレキャストコンクリート製品で建設された地下構造物に関するものである。特に本発明は、火災時の消火活動に使用する消火用水を貯水するために過去に建設された防火水槽や耐震性貯水槽といった水槽が、消火用水を期待通り貯水して火災時に供されるため、現在の最大の車両荷重に対する耐荷性能を満足するように補強する補強方法に関するものである。
従来、経済活動において物品の流通を担う運輸は、経済が発展するとともに鉄道運送からトラックなどの道路運送に比重が移行し、道路運送に使用される車両等も大型化している。道路上を走行するトラックなどの総重量の最大は、車両制限令により規制されているが、時代とともに車両の大型化に即して改正が行なわれている。消火活動に使用する消化用水を貯水する、防火水槽や耐震性貯水槽といった地下埋設型の水槽に限っていえば、昭和30年頃から現場打ちコンクリートにより、昭和50年代後半からはプレキャストコンクリート製品によっても建設されており、当時の車両の総重量に対応した設計がなされているが、施工後30年〜50年が経過して設計図書の存在するものは少なく、現在の最大総重量の車両に対して十分な耐荷性を有しているかは疑わしい。そのため、従来は頂版と底版との間にサポートを設けた補強方法が行なわれている(例えば、特許文献1参照)。また、近年の家屋の倒壊、損傷などが発生した地震では、必ず火災が発生し、震災を最小限に止めるには消火活動に必要な消火用水の貯水は必要不可欠である。
さらに、これらの水槽の内部を補強するに当たっては、水槽内の狭い空間の中で作業するため、補強用の資材は水槽に設けられている出入り口たる人孔部或いは吸水管投入口から搬入し、人力により補強作業を行なう場合には特に、重量物による補強は困難である。
従来の頂版と底版との間にサポートを取り付ける方法では、現行の最大総重量の車両の重力による鉛直方向の荷重に対応できる耐荷性能はある程度付与できても、上述の通り、水槽内の狭い空間の中で作業し得るという要件を満たそうとすると、一本のサポート自体の耐荷性能自体は必ずしも十分なものとはいえず、必要十分な耐荷性能を付与するためには、過大な手間や労力を要することになっているのが現状である。
2010―189857号公報
本発明は、上述したような点に着目したものであり、搬入は容易でありながら、大きな車両荷重による鉛直荷重を受け持つために必要な剛性を地下構造物に付与することを目的としている。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち本発明に係る地下構造物の補強方法は、底版と側版と頂版とを有し人が出入りし得るように構成されたコンクリートからなる地下構造物を補強する方法であって、頂版と底版との間における側版から離間した箇所に柱構造体を介在させ、柱構造体が、筒状をなす複数の柱要素を有し、この複数の柱要素を連結した状態で当該柱要素の内部にグラウトを充填し、このグラウトを硬化させることにより設けられる。
また本発明に係る柱構造体は、コンクリートからなる地下構造物の底版及び頂版間に配されるものであって、上下方向に連結された筒状をなす複数の柱要素と、柱要素の内部に充填される硬化性を有するグラウトとを具備する。
そして本発明に係るコンクリート構造体は、コンクリートからなるものであって、上記の柱構造体を具備することを特徴とするものである。
このようなものであれば、地下構造物内への搬入は容易でありながら、内部にグラウトが充填され剛性が増加した柱構造体を地下構造物内に設けることができるので、大型化した車両の鉛直荷重を確実に受け持たせることができる。換言すれば、柱構造体を大きな車両荷重による鉛直荷重を受け持つために必要な剛性を地下構造物に付与することができる。その結果、既存の地下構造物を基に強固なコンクリート構造物を実現することが可能となる。
本発明は、柱構造体が、柱要素と頂版又は底版との間に介在する緩衝材を有しているものであることを特徴とする。このようなものであれば、大型化した車両による鉛直荷重が作用したときも、緩衝材により頂版の変位を有効に吸収することができる。
また、柱構造体が底版や頂版へ与える影響を抑えながら有効に荷重を受け得るものとするためには、柱構造体を柱要素と頂版又は底版との間に介在する柱要素よりも平面視の面積が大きく構成された荷重分散材を有するものとすることが好ましい。
そして荷重分散材の頂版又は底版への取り付けと柱要素への固定とを有効に両立させ得る構成として本発明は、荷重分散材が柱要素の上端又は下端に接する柱支持板と、この柱支持板とは上下方向に離間し頂版又は底版に面接触する面接触板とを有していることを特徴とする
そして頂版が受ける荷重をさらに効率良く柱構造体が受け得るようにするためには、柱構造体を、底版又は頂版の幅方向中央に配しておくことが望ましい。
併せて、上記同様にさらに頂版が受ける荷重を効率良く柱構造体が受け得るものとするためには、柱構造体を、複数等間隔に配すれば良い。
そして上述した地下構造物が貯水槽のように作業者の出入りし得るスペースが小さく構成されたものであっても上記の本発明であれば、貯水槽内に強固な柱構造体を設置することができる。
このような柱構造体がグラウトの漏出を有効に抑えながら強固に構成するための具体的な構成として本発明は、柱要素を、鉛直方向に積み重ねられた複数の柱要素本体と、これら複数の柱要素本体の接続箇所を覆う状態で固定される継手要素とを有することを特徴とする
本発明によれば、地下構造物内への搬入は容易でありながら、大きな車両荷重による鉛直荷重を受け持つために必要な剛性を地下構造物に付与することができる。
本発明の一実施形態に係る正面図。 同実施形態に係る一部を破断して内部を示す斜視図。 同実施形態に係る構成説明図。 同他の構成説明図。 同実施形態に係る要部の分解斜視図。 同上。 同実施形態に係る他の要部を示す斜視図。 本発明の変形例に係る構成説明図。 同変形例に係る要部を示す斜視図。 本発明の他の変形例を図2に対応させて示す斜視図。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すコンクリート構造体たる貯水槽1は、例えば防火用として地下に設置される例えば直方体状をなす現場打ちの地下構造物10を主体とするものである。底版1aと側版1bと頂版1cとを有し人が出入りし得るように構成されたコンクリートからなるものである。頂版1cは、一端部近傍から上方に突出した筒状の吸水管投入口1c1を有しており、この吸水管投入口1c1の上端が地上に露出するように設けられている。また作業者が地下構造物10内に入り作業等を行なう際には、この吸水管投入口1c1から図示しない梯子等を用いて地下構造物10の内部に入ることとなる。一方底版1aは、吸水管投入口1c1の直下に該当する箇所を凹ませて形成した集水ピット1a1を有している。
ここで、本実施形態に係る貯水槽1は、頂版1cと底版1aとの間における側版1bから離間した箇所に柱構造体5を介在させ、柱構造体5が、筒状をなす複数の柱要素51を有し、この複数の柱要素51を連結した状態で当該柱要素51の内部にグラウトを充填し、このグラウトを硬化させるという補強方法により補強されていることを特徴とする。
以下、貯水槽1の具体的な構成について、図1乃至7を参照して説明する。
貯水槽1は、上述の通り頂版1c、側版1b及び底版1aを有した地下構造物10に対し、それぞれアングル材2、鋼製板3、緊締手段4及び柱構造体5を設けてなるものである。また本実施形態では、図1及び図2に示すように、地下構造物10の頂版1c及び側版1bとの間に位置する隅部1d並びに側版1bと底版1aとの間に位置する隅部1dの延出方向に沿って箱形の内面の隅部1dに所定のピッチでアンカーaが打ち込まれるとともにこのアンカーaの位置にアンカーボルトavを締結することにより、アングル材2並びに柱構造体5をそれぞれ固定している。そしてこの地下構造物10内において緊締手段4及び柱構造体5は、それぞれ交互に等間隔に設けられている。
アングル材2は、図2乃至図4に示すように、長手寸法並びに短寸寸法が上記の吸水管投入口1c1を通過し得る程度の大きさに設定された「く」の字状、すなわち約90°折り曲げられた鋼製の板材である。このアングル材2は、長手方向に隙間無く並べられることにより、隅部1dの全域に亘って固定されている。換言すれば、隅部1d全域に固定されているアングル材2は、それぞれ所定寸法に分割されることにより、吸水管投入口1c1から容易に搬入し得るものとなっている。そしてこのアングル材2は、地下構造物10に打ち込まれたアンカーaに対応する位置にボルト孔2cを有し、このボルト孔2cの位置にアンカーボルトavが挿通された状態でアンカーaへ締結することにより、アングル材2が隅部1dへと固定される。
鋼製板3は、同図に示すように、アングル材2の短寸方向両端を架け渡し得る寸法に設定された矩形状をなす平板状の鋼板であり、その中央部分には後述する緊締手段4の鋼材41を溶接により固定するための鋼材固定孔3cを有している。
しかして本実施形態に係る貯水槽1は、この鋼製板3を溶接した箇所にそれぞれ、本発明に係る緊締手段4を取り付けることにより、鋼製板3を溶接したアングル材2を引き寄せてなるものである。以下、緊締手段4について説明する。
緊締手段4は、図4に示すように、地下構造物10に対して2箇所に設けられたものである。この緊締手段4は、例えば長さ寸法を長短異ならせた2本の鋼材41と、この2本の鋼材41を引き寄せながら連結するターンバックル42とを、一対すなわち2つ有したものである。また緊締手段4は、地下構造物10において平面視同じ位置において対角に位置する2対の隅部1dを、鋼製板3及びアングル材2を介してそれぞれ引き寄せてなるものである。鋼材41は、上記の鋼製板3に例えば溶接により固定された基部41aと、ターンバックル42にねじ止めされる雄ねじ部41bとを有している。なお雄ねじ部41bは、長短が異なる互いの雄ねじ部41bのねじ切り方向を互いに異ならせて設けてある。ターンバックル42は、環状をなすバックル本体42aと、このバックル本体42aの両端において互いにねじ切り方向を異ならせて設けられた雌ねじ部42bとを有している。すなわちこの緊締手段4は、雄ねじ部41b同士を連結したターンバックル42を回転させることにより雄ねじ部41b同士が接離する。すなわち当該緊締手段は、この雄ねじ部41b同士を近接させるようにターンバックル42を回転させることによって、対をなす隅部1dを、鋼製板3及びアングル材2を介してそれぞれ引き寄せてなるものである。
さらに本実施形態に係る貯水槽1は、耐荷性をさらに向上させるとともに地震の縦揺れに対する耐性を向上させるべく、頂版1cと底版1aとの間に柱構造体5を介在させてなる。また本実施形態では、この柱構造体5を、底版1a又は頂版1cの幅方向すなわち短寸方向中央に3つ等間隔に配している。以下、柱構造体5における各部の構成ついて説明する。
柱構造体5は、図5乃至7に示すように、筒状をなす複数の柱要素51と、この柱要素51と頂版1c及び底版1aとの間に介在する緩衝材たるゴムシート52並びに荷重分散材たるH鋼53と、H鋼53に対して上記柱要素51を固定するためのL形鋼54と、グラウトを注入するときに通過させるためのグラウト用ホース55と、柱要素51内に隙間無く充填される図示しないグラウトとを有している。なお図6及び図7においては説明の便宜上、連結の為の長尺ボルトLVやナットN、アンカーボルトavの図示を省略している。
柱要素51は、柱要素51が、鉛直方向に積み重ねられた複数の柱要素本体たる角柱51aと、これら複数の角柱51aの接続箇所を覆う状態で固定される継手要素51bと、頂版1c側すなわち上端に配置される端部要素51cとを有している。また本実施形態では、図5に示すように、頂版1cと底版1aとの間の寸法に対応すべく、4つの角柱51aを3つの継手要素51bにより上下に連結している。角柱51aは、例えば鋼板の折り曲げや溶接より構成された平面視四角形状をなす筒状のものである。この角柱51aは、長手寸法が例えば上記の吸水管投入口1c1から容易に搬入し得る寸法に設定されており、上下にはそれぞれ図5に図示される長尺ボルトLVを挿通させナットNの締結によって継手要素51bに結合させるためのボルト孔5cを両側で計8つ形成している。継手要素51bは、例えば角柱51aと同じ鋼材41を筒状に折り曲げ溶接することによって形成されたものであり、角柱51aに外方から隙間無く嵌り得るように構成している。この継手要素51bについても上記角柱51a同様、図5に図示される長尺ボルトLVを挿通させ、ナットNの締結によって継手要素51bに結合させるためのボルト孔5cを両側で計8つ形成している。端部要素51cは、図7に示すように、頂版1c側に固定されたH鋼53にL形鋼54を介して固定されたものであり、最上に位置する角柱51aに対し内側から隙間無く嵌り得る形状となっている。また同図に示すように、この端部要素51cにはボルト鋼を形成していない。これは最上に位置する角柱51aと頂版1cとの距離に正確に対応させるために、斯かる位置では長尺ボルトLV及びナットNを用いた角柱51aに対する固定を行なわないように図示しているが勿論、上記の長尺ボルトLV及びナットNによって結合するようにしても良い。
ゴムシート52は、例えば硬質ゴムからなるものであり、頂版1c及び底版1aに接する位置に取り付けられるものである。具体的にはゴムシート52は頂版1c及び底版1aとH鋼53との間に介在するとともに、平面視H鋼53の寸法に対応した面積を有するものである。また本実施形態では、このゴムシート52はH鋼53とともにアンカーボルトavにより固定されるためのボルト孔5cを4箇所に有している。
H鋼53は、柱要素51を上下から支持するものであり、その平面視の面積を柱要素51のそれよりも大きく形成しておくことにより、柱要素51から底版1a及び頂版1cに掛かる荷重を分散させるためのものである。このH鋼53は同図に示すように、柱要素51の上端又は下端に接する柱支持板53aと、この柱支持板53aとは上下方向に離間し頂版1c又は底版1aに面接触する面接触板53bとを有している。そしてこれら柱支持板53a及び面接触板53bには、L形鋼54及び頂版1c又は底版1aに接続するためのボルト孔5cをそれぞれ設けている。
L形鋼54は、平鋼材41をL字形に折り曲げて形成したものであり、H鋼53に対する柱要素51の位置決めを行なうためのものである。また本実施形態では下側のL形鋼54は、破線の位置においてグラウト用ホース55を角柱51a内部にまで貫通させるようにしている。
グラウト用ホース55は、柱要素51の内部にグラウトを注入するためのものである。下側のグラウト用ホース55は、下側のL形鋼54において破線で示した箇所から柱要素51の内部にまで貫通するように配置している。また上側のグラウト用ホース55は、上側のH鋼53における柱支持板53aにて破線で示した箇所から柱要素51の内部にまで貫通するように配置している。
また、本実施形態ではグラウトについて特に図示していないが、例えばコンクリート製品に広く適用されているPCグラウトを適用するものとしている。しかし本発明に適用し得るグラウトは当該PCグラウトに限られることはなく、既存のグラウトを広く適用することが可能である。
しかして本実施形態では、以上に説明を行なったグラウト以外のものを組み立てる。具体的には、底版1aの内面上にゴムシート52を挟んだ状態でH鋼53の面接触板53bをアンカーaナットNにより固定する。続いてH鋼53の柱支持板53a上に角柱51aとこの角柱51aを挟む位置に配置したL形鋼54を配置し、L形鋼54をH鋼53に固定する。そして角柱51a及び継手要素51bを連結してゆき、最上に位置する角柱51aに端部要素51cを嵌める。そしてこの端部要素51cをL形鋼54により柱支持板53aに位置決めさせた状態で、面接触板53bをゴムシート52を介して頂版1cへアンカーaナットNを用いて固定する。しかる後にグラウト用ホース55を下側のL形鋼54及び上側の柱支持板53aの所定位置に貫通させるよう取り付けることによって、中空状の柱要素51を図5に示すように完成させる。そして同図の状態で、下方のグラウト用ホース55から上記のPCグラウトを注入する。具体的には、上側に設けたグラウト用ホース55からグラウトが溢れ出すまでグラウトを注入することにより、柱要素51の内部をPCグラウトが隙間無く充填される。
そして、柱要素51内に隙間無く充填されたPCグラウトが硬化することにより、耐荷性並びに地震の縦揺れに対する耐震性に優れた本実施形態に係る柱構造体5が完成する。
以上のような構成により、本実施形態では、上述した柱構造体5が分割された複数の柱要素51を有することにより、地下構造物10内への搬入は容易でありながら、内部にグラウトが充填され剛性が増加した柱構造体5を地下構造物10内に設けることができるので、大型化した車両の鉛直荷重を確実に受け持たせることができる。換言すれば、柱構造体5を大きな車両荷重による鉛直荷重を受け持つために必要な剛性を地下構造物10に付与することができる。その結果、既存の地下構造物10を基に強固に補強されたコンクリート構造体を実現している。
また柱構造体5が、柱要素51と頂版1c又は底版1aとの間に介在する緩衝材たる硬質ゴムからなるゴムシート52を有しているので、大型化した車両による鉛直荷重が作用したときも、ゴムシート52により頂版1cの変位を有効に吸収し得るものとなっている。
加えて柱構造体5が底版1aや頂版1cへ与える影響を抑えながら有効に荷重を受け得るものとするために本実施形態では、柱構造体5を柱要素51と頂版1c又は底版1aとの間に介在する柱要素51よりも平面視の面積が大きく構成された荷重分散材たるH鋼53を適用している。
そして本実施形態では、荷重分散材としてH鋼53を用いることにより、H鋼53を構成する板状部分をそれぞれ上述した柱支持板53aと面接触板53bとして利用することにより、頂版1c又は底版1aへの取り付けと柱要素51への固定とを有効に両立させ得るものとなっている。
そして頂版1cが受ける荷重を効率良く柱構造体5が受け得るようにするために本実施形態では、柱構造体5を、底版1a又は頂版1cの幅方向中央に配し、さらに、3本の柱構造体5を等間隔に配したものとしている。
特に本実施形態では、柱構造体5がグラウトの漏出を有効に抑えながら強固に構成するための構成として、柱要素51を、鉛直方向に積み重ねられた複数の柱要素本体と、これら複数の柱要素本体の接続箇所を覆う状態で固定される継手要素51bとを有する構成を適用することにより、簡素な構成で強度の高い柱構造体5を設けることを実現している。
<変形例>
以下に、本実施形態の変形例について説明するが、当該変形例について上記実施形態における構成要素に相当するものについては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略するものとする。
上記実施形態に係るコンクリート構造体は、現場打ちの地下構造物10を主体としていたが、勿論本変形例のようにプレキャストコンクリートすなわちコンクリート二次製品からなる地下構造物10に本発明を適用しても良い。
そのようなコンクリート二次製品からなる地下構造物10は、図8に示すように隅部1dにハンチ1hが設けられている。すなわち本変形例では、アングル材2にこのようなハンチ1hに対応し得るハンチ対応部2hを設けておくことが望ましい。具体的には図9に示すように、アングル材2を構成する平鋼材41を135°の角度で2回折り曲げることにより、ハンチ対応部2hを形成する。そしてボルト孔2cは例えば折り曲げにより形成された3面にそれぞれ形成しておく。
このようなものであっても、上記実施形態同様に荷重や地震の揺れによる地下構造物10の変形を有効に抑制し得るとともに、上記実施形態同様に鋼製板3を溶接できるので、上記実施形態と同じ緊締手段4を設けることが可能である。
<他の変形例>
また本発明は上記実施形態並びに変形例に示した態様に限定されることはない。例えば、柱構造体5は地下構造物10の短寸方向中央にのみ設ける態様に限られない。また緊締手段4を設けずに柱構造体5のみを設けたものであっても良い。
すなわち図10のように、地下構造物10に対して5つの柱構造体5を互いに短寸方向中央から交互に位置をずらしながら配置したものであっても良い。このようなものであれば、耐荷性並びに地震の縦揺れに対する耐性をさらに向上せしめることが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
例えば、上記実施形態及び各変形例では、地下構造物の一例として防火用の貯水槽を例示したが、勿論、地下構造物とは防火用の貯水槽に限定されることはなく、防火用以外にも使用される種々の貯水槽や、地下に埋設された暗渠やボックスカルバートなどといった地下構造物に対し広く適用することが可能である。
また例えば、上記実施形態では緊締手段を鋼材によって実現する態様を開示したが、勿論、引張りが可能なものであれば、ワイヤを用いたものであってもよい。また柱構造体の形状やアングル材の具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、過去に現場打ちコンクリート又はプレキャストコンクリート製品で建設された地下構造物を補強する補強方法として利用することができる。
1…コンクリート構造体(貯水槽)
1c…頂版
1a…底版
1b…側版
5…柱構造体
51…柱要素
52…緩衝材(ゴムシート)
53…荷重分散材(H鋼)
53a…柱支持板
53b…面接触板
51a…柱要素本体(角柱51a)
51b…継手要素51b

Claims (9)

  1. 底版と側版と頂版とを有し人が出入りし得るように構成されたコンクリートからなる地下構造物を補強する方法であって、
    頂版と底版との間における側版から離間した箇所に柱構造体を介在させ、
    柱構造体が、筒状をなす複数の柱要素を有し、この複数の柱要素を連結した状態で当該柱要素の内部にグラウトを充填し、このグラウトを硬化させることにより設けられるとともに、
    前記柱構造体が、前記柱要素と前記頂版又は底版との間に介在する緩衝材を有していることを特徴とする地下構造物の補強方法。
  2. 前記柱構造体が前記柱要素と前記頂版又は前記底版との間に介在する前記柱要素よりも平面視の面積が大きく構成された荷重分散材を有している請求項1記載の地下構造物の補強方法。
  3. 底版と側版と頂版とを有し人が出入りし得るように構成されたコンクリートからなる地下構造物を補強する方法であって、
    頂版と底版との間における側版から離間した箇所に柱構造体を介在させ、
    柱構造体が、筒状をなす複数の柱要素を有し、この複数の柱要素を連結した状態で当該柱要素の内部にグラウトを充填し、このグラウトを硬化させることにより設けられるとともに、
    前記柱構造体が前記柱要素と前記頂版又は前記底版との間に介在する前記柱要素よりも平面視の面積が大きく構成された荷重分散材を有し
    前記荷重分散材が前記柱要素の上端又は下端に接する柱支持板と、この柱支持板とは上下方向に離間し前記頂版又は前記底版に面接触する面接触板とを有していることを特徴とする地下構造物の補強方法
  4. 前記柱構造体が、前記柱要素と前記頂版又は底版との間に介在する緩衝材を有している請求項3記載の地下構造物の補強方法。
  5. 前記柱構造体を、前記底版又は頂版の幅方向中央に配している請求項1、2、3又は4記載の地下構造物の補強方法。
  6. 前記柱構造体を、前記複数等間隔に配している請求項1、2、3、4又は5記載の地下構造物の補強方法。
  7. 前記地下構造物が貯水槽である請求項1、2、3、4、5又は6記載の地下構造物の補強方法。
  8. コンクリートからなる地下構造物の底版及び頂版間に配されるものであって、
    上下方向に連結された筒状をなす複数の柱要素と、柱要素の内部に充填される硬化性を有するグラウトとを具備し、
    前記柱要素が、鉛直方向に積み重ねられた複数の柱要素本体と、これら複数の柱要素本体の接続箇所を覆う状態で固定される継手要素とを有していることを特徴とする柱構造体。
  9. コンクリートからなるものであって、請求項8に記載の柱構造体を具備することを特徴とするコンクリート構造体
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