JP2014001541A - 圧縮ブレースによる耐震補強構造および補強方法 - Google Patents

圧縮ブレースによる耐震補強構造および補強方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 部材の運搬性・施工性の向上、および無溶接による施工が可能な圧縮ブレースによる耐震補強構造および補強方法を提供する。
【解決手段】
この耐震補強構造は、既存建物を圧縮ブレースで補強する構造である。圧縮ブレース2A,2Bは、両端が既存建物の躯体に接続される芯材と、この芯材の両面に沿って配置されて芯材の座屈を拘束する拘束材とを有し、かつ芯材を拘束材で拘束されている部分で分割したブレースであり、芯材が分割された部分で全体を分割して2つ以上のブレース分割体12とする。ブレース分割体12の分割側端部における拘束材に、長さ方向に延びるPC鋼棒用挿通孔とナット収納凹部とを設ける。隣り合うブレース分割体12,12同士を、両ブレース分割体12のPC鋼棒用挿通孔に渡って挿入されるPC鋼棒と、ナット収納凹部に収納されてPC鋼棒に螺合するナットとで接合して一体化する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、圧縮ブレースを用いた建物の耐震補強構造および補強方法に関する。
従来、既設のRC造やSRC造の建物の耐震補強構造として、鉄骨枠付きブレースによるものが種々提案されている(例えば、特許文献1〜4)。しかし鉄骨枠付きであると、施工において、後施工アンカーを打設するときに、騒音,振動,粉塵が発生する。また、後施工アンカーに代えて、無収縮モルタルを充填するものもあるが、その充填,養生,型枠解体等の作業によって施工期間が長くなる。このような課題を解消したものとして、圧縮ブレースを用いるものが提案されている(特許文献5)。
上記提案例に係る圧縮ブレースを用いた建物の耐震補強構造は、両端が既存建物の躯体に接続される芯材と、この芯材の両面に沿って配置されて前記芯材の座屈を拘束する拘束材とを有する圧縮ブレースを用い、その芯材を、長さ方向に拘束材により拘束されている部分で一対の分割芯材に分割したものである。
この構成の耐震補強構造では、圧縮ブレースとして、その芯材が長さ方向の拘束材により拘束されている部分で分割された一対の分割芯材からなるものを用いているので、引張力の負担を無くすことができ、既存建物の躯体との接合を簡素化できる。これにより、簡易な施工で短い施工期間により耐震補強を行うことができ、施工に伴う騒音、振動、粉塵の問題も解消できる。
特開2000−257270号公報 特許第4016524号公報 特開平11−050691号公報 特開平10−115105号公報 特許第4917168号公報
既存建物への耐震補強では、「居ながら補強」と呼ばれる居住したままでの補強が求められている。「居ながら補強」を実現するには、施工時の粉塵・騒音を抑制することは勿論であるが、補強部材の運搬性・組立の簡便さ、現場での施工が無溶接であることが重要な要素となる。すなわち、補強部材が大きい場合、補強箇所までの運搬が困難となり、また既存建物での溶接施工は火災リスクが大きくなる。特許文献5に開示の耐震補強構造に補強部材として用いられる圧縮ブレースは、芯材が分割されているものの、拘束材が一体の部材であるために、部材が長く重くなり、これでは上記した要求を満たすことができない。
この発明の目的は、部材の運搬性・施工性の向上、および無溶接による施工が可能な圧縮ブレースによる耐震補強構造および補強方法を提供することである。
この発明の他の目的は、分割された芯材間に隙間が生じて地震発生時にその隙間を無くすように芯材の滑りが生じる初期動作を無くすことができ、芯材による圧縮力の伝達を即座に行えるようにすることである。
この発明の圧縮ブレースによる耐震補強構造は、既存建物をブレースで補強する構造であって、前記ブレースが、両端が前記既存建物の躯体に接続される芯材と、この芯材の両面に沿って配置されて前記芯材の座屈を拘束する拘束材とを有し、かつ前記芯材を拘束材で拘束されている部分で分割した圧縮ブレースであり、この圧縮ブレースの全体を、前記芯材が分割された部分で分割して2つ以上のブレース分割体とすると共に、これらブレース分割体の分割側端部における前記拘束材に、長さ方向に延びるPC鋼棒用挿通孔とナット収納凹部とを設け、隣り合う前記ブレース分割体同士を、これら両ブレース分割体の前記PC鋼棒用挿通孔に渡って挿入されるPC鋼棒と、前記ナット収納凹部に収納されて前記PC鋼棒に螺合するナットとで接合して一体の圧縮ブレースとしたことを特徴とする。前記PC鋼棒用挿通孔はスリーブからなるものであっても良い。なお、上記の「圧縮ブレースの全体を、前記芯材が分割された部分で分割して」とは、分割による施工,運搬の容易性が担保される範囲であれば、分割面で芯材と拘束材との端面間に多少の不揃いがあっても良い。
この構成によると、補強部材として用いる圧縮ブレースを、複数のブレース分割体から組み立てて一体化できるので、運搬・施工が容易となる。すなわち、例えば、補強部材の搬入経路が狭い場合や、エレベータなどにより搬入する場合でも、容易に搬入することができる。また、現場での溶接作業がないため、火災リスクを低減できる。ブレース分割体の接合は乾式接合であるため、施工性が向上する。
また、通常のブレースであれば引張力を負担するため接合部が煩雑となるが、補強部材として圧縮ブレースを用いていることから、ブレース分割体同士の接合部も構造を簡素化することができる。さらに、ブレース分割体同士の接合に用いるPC鋼棒やナットも、拘束材内に納まるため、外観がすっきりするという利点もある。圧縮ブレースによるため、従来の鉄骨枠付きブレースにおける上記の施工上等の問題が生じない。
この発明において、前記ブレース分割体の分割側端面に前記拘束材の仕切りプレートを設けるのが良い。
ブレース分割体の分割側端面に前記拘束材の仕切りプレートを設けることにより、圧縮ブレースの一体化において隣り合うブレース分割体の拘束材同士が仕切りプレートで互いに接して接合されることになり、モルタルやコンクリート面で接触させる場合と異なり、接触面の凹凸による隙間が生じ難く、拘束材同士の接合が確実なものとできる。
この発明において、前記隣り合うブレース分割体の間に、長さ方向と垂直な鋼材を介在させても良い。
隣り合うブレース分割体の間に鋼材を介在させると、圧縮ブレースの一体化において両ブレース分割体の芯材が鋼材に押し当てられ、その圧着力によって芯材の接合面である端面を鋼材に確実に密着させることができる。このように密着させて隙間を無くすことで、地震発生時に芯材の分割体間の隙間を無くすように滑りが生じる初期動作が無くなり、芯材による圧縮力の伝達が即座に行える。
この場合に、前記隣り合うブレース分割体における分割側端部において、前記芯材を前記拘束材よりも前記鋼材側に突出させるのが良い。
このように、各ブレース分割体の分割側端部において、芯材を拘束材よりも前記鋼材側に突出させることにより、鋼材への芯材の圧着をより確実なものとすることができる。
この発明において、前記隣り合うブレース分割体における分割側端部において、一方のブレース分割体では前記芯材を前記拘束材よりも他方のブレース分割体側に突出させると共に、他方のブレース分割体では前記芯材を前記拘束材よりもブレース分割体内に後退させても良い。
この構成の場合、隣り合うブレース分割体の間で、芯材と拘束材の接合面を長さ方向にずらすことができ、より高い拘束効果を得ることができる。
この発明の圧縮ブレースによる耐震補強方法は、既存建物の躯体にブレースの両端を接続して既存建物を補強する方法であって、前記ブレースとして、両端が前記既存建物の躯体に接続される芯材と、この芯材の両面に沿って配置されて前記芯材の座屈を拘束する拘束材とを有し、かつ前記芯材を拘束材で拘束されている部分で分割した圧縮ブレースを用い、この圧縮ブレースを、前記芯材が分割された部分で全体を分割して2つ以上のブレース分割体とすると共に、これらブレース分割体の分割側端部における前記拘束材に、長さ方向に延びるPC鋼棒用挿通孔とナット収納凹部とを設け、隣り合う前記ブレース分割体同士を、これら両ブレース分割体の前記PC鋼棒用挿通孔に渡って挿入されるPC鋼棒と、前記ナット収納凹部に収納されて前記PC鋼棒に螺合するナットとで接合して一体の圧縮ブレースとすることを特徴とする。
この耐震補強方法によると、この発明の耐震補強構造につき前述したと同様に、部材の運搬性・施工性の向上、および無溶接による施工が可能となる。
この発明の圧縮ブレースによる耐震補強構造は、既存建物をブレースで補強する構造であって、前記ブレースが、両端が前記既存建物の躯体に接続される芯材と、この芯材の両面に沿って配置されて前記芯材の座屈を拘束する拘束材とを有し、かつ前記芯材を拘束材で拘束されている部分で分割した圧縮ブレースであり、この圧縮ブレースの全体を、前記芯材が分割された部分で分割して2つ以上のブレース分割体とすると共に、これらブレース分割体の分割側端部における前記拘束材に、長さ方向に延びるPC鋼棒用挿通孔とナット収納凹部とを設け、隣り合う前記ブレース分割体同士を、これら両ブレース分割体の前記PC鋼棒用挿通孔に渡って挿入されるPC鋼棒と、前記ナット収納凹部に収納されて前記PC鋼棒に螺合するナットとで接合して一体の圧縮ブレースとしたため、部材の運搬性・施工性の向上、および無溶接による施工が可能となる。
前記隣り合うブレース分割体の間に、長さ方向と垂直な鋼材を介在させた場合は、地震発生時に芯材の分割体間の隙間を無くすように滑りが生じる初期動作が無くなり、芯材で即座に圧縮力の伝達が行える。
この発明の圧縮ブレースによる耐震補強方法は、既存建物の躯体にブレースの両端を接続して既存建物を補強する方法であって、前記ブレースとして、両端が前記既存建物の躯体に接続される芯材と、この芯材の両面に沿って配置されて前記芯材の座屈を拘束する拘束材とを有し、かつ前記芯材を拘束材で拘束されている部分で分割した圧縮ブレースを用い、この圧縮ブレースの全体を、前記芯材が分割された部分で分割して2つ以上のブレース分割体とすると共に、これらブレース分割体の分割側端部における前記拘束材に、長さ方向に延びるPC鋼棒用挿通孔とナット収納凹部とを設け、隣り合う前記ブレース分割体同士を、これら両ブレース分割体の前記PC鋼棒用挿通孔に渡って挿入されるPC鋼棒と、前記ナット収納凹部に収納されて前記PC鋼棒に螺合するナットとで接合して一体の圧縮ブレースとするため、部材の運搬性・施工性の向上、および無溶接による施工が可能となる。
この発明の第1の実施形態に係る耐震補強構造を用いた建物躯体の正面図である。 同耐震補強構造における圧縮ブレースの外観斜視図および断面図である。 図1におけるA部の拡大断面図である。 図1におけるB部の拡大断面図である。 図1におけるC部の拡大断面図である。 圧縮ブレースの組立工程を示す平面図である。 同組立工程の断面図である。 圧縮ブレースの他の構成例の組立工程を示す平面図である。 同組立工程の断面図である。 圧縮ブレースのさらに他の構成例の組立工程を示す平面図である。 同組立工程の断面図である。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図7と共に説明する。図1は、この実施形態の耐震補強構造を適用した既存建物の躯体構造を示す部分正面図である。この実施形態の耐震補強構造は、既存建物を圧縮ブレース2A,2Bを用いて補強する構造である。同図に示すように、建物躯体は、隣り合う2本の柱20,20間に梁30が横架されていて、この梁30の下面に沿って、両側の柱20,20の間に上部鉄骨枠材1を設ける。この上部鉄骨枠材1の下方に、2本の圧縮ブレース2A,2Bを互いに逆V字状に配置する。すなわち、上部鉄骨枠材1の中間部と一方の柱20の下端との間に渡って第1の圧縮ブレース2Aを設け、上部鉄骨枠材1の中間部と他方の柱20の下端との間に渡って第2の圧縮ブレース2Bを設けている。建物躯体はRC造またはSRC造である。
上部鉄骨枠材1は、図1のA部を拡大して示す図3、および図1のB部の拡大断面図を示す図4のように例えばH形鋼からなり、そのウェブ1aが水平姿勢となるように配置され、両端にはエンドプレート1bが設けられている。柱20および梁30と、上部鉄骨枠材1との間にはモルタル22が充填され、図4のように上部鉄骨枠材1の両端のエンドプレート1bをボルト23およびナット(図示せず)で柱20に接合することにより、上部鉄骨枠材1が建物躯体に接合される。各ボルト23は、例えば梁30や柱20に後施工で設けられたホールインアンカー等のアンカーである。
第1および第2の圧縮ブレース2A,2Bの一端は、それぞれ連結部材3aを介して各柱20の下端に接合され、これら圧縮ブレース2A,2Bの他端はそれぞれ他の連結部材3aを介して上部鉄骨枠材1の中間部に接合される。
前記各圧縮ブレース2A,2Bは建物躯体に加わる水平力に抵抗する部材であって、図2に示すように、芯材3とこの芯材3の両面に沿って配置されて芯材3の座屈を拘束する一対の拘束材4,4とを有する。芯材3は、帯状の平鋼板であり、SN材(建築構造用圧延鋼材)や、LYP材(極低降伏点鋼材)等の降伏点の低い鉄鋼材料からなる。
拘束材4は、例えば芯材3に向けて開口する溝形鋼材5内にモルタルまたはコンクリート6を充填して構成される。芯材3と拘束材4との間には粘性弾性体からなるアンボンド材9が介在させてある。芯材3の両側面には、対向する一対の拘束材4,4の間の隙間を確保するスペーサ19が介在させてある。スペーサ19は、線状の鋼材またはゴム材等からなるが、省略しても良い。
芯材3の両端に、前記連結部材3aが設けられている。連結部材3aは板状の部材であり、芯材3に接合されたものであっても、芯材3に一体に形成されたものであっても良い。連結部材3aには、両面に長手方向に沿って補強リブ3aaが設けられ、補強リブ3aaは、拘束材4の溝形鋼材5の端部付近に設けられたスリット部から突出している。
同図の例では、両圧縮ブレース2A,2Bの両端の連結部材3aは、芯材3の両端に一体形成された板状部分であり、図3および、図1のC部の拡大断面図を示す図5のように、各連結部材3aにはその端部にエンドプレート10,11が設けられている。エンドプレート10,11は、例えば直角に折れ曲がったL字状とされている。このL字状の曲げ角を2分する線の方向が、圧縮ブレース2A,2Bの長さ方向となる。エンドプレート10,11は、連結部材3aの両面側へ突出しているが、片面側のみに突出するものであっても良い。これらエンドプレート10,11には複数のボルト挿通孔が設けられている。
図5のように、柱20および梁30と、両圧縮ブレース2A,2Bの下端の連結部材3aとの間にはモルタル22が充填され、連結部材3aに設けられたエンドプレート10の縦片および横片を、ホールインアンカー等のボルト23とナット(図示せず)で柱20および梁30に接合することにより、両圧縮ブレース2A,2Bの下端が既存建物躯体に接続される。
図3のように、上部鉄骨枠材1の中間部には、ウェブ1aから垂直下方に突出する取付用鋼板24が設けられている。両圧縮ブレース2A,2Bの上端の連結部材3aに設けられたエンドプレート11の縦片および横片を、ボルト23で前記取付用鋼板24およひ上部鉄骨枠材1のウェブ1aに接合することにより、両圧縮ブレース2A,2Bの上端が上部鉄骨枠材1を介して既存建物躯体に接続される。両圧縮ブレース2A,2Bのエンドプレート11の縦片は、取付用鋼板24と共に重なり状態にボルト23で接合される。
前記圧縮ブレース2A,2Bは、その芯材3を拘束材4で拘束されている部分で全体を分割した構造のものである。すなわち、拘束材4、スペーサ19、およびアンボンド材9が分割され、拘束材4は2つの拘束材分割体とされている(なお、以下の説明において、「拘束材分割体」は単に「拘束材4」と称す)。また、圧縮ブレース2A,2Bの組立工程を示す図6,図7のように、この圧縮ブレース2A,2Bは、前記芯材3が分割された部分で分割して2つ以上(ここでは2つ)のブレース分割体12,12とされると共に、これらブレース分割体12の分割側端部における前記拘束材4に、長さ方向に延びる複数のPC鋼棒用挿通孔13とナット収納凹部14とが設けられる(図6(A),図7(A))。PC鋼棒用挿通孔13は、例えばモルタルまたはコンクリート6内に埋め込まれたスリーブで構成される。隣り合うブレース分割体12,12同士は、これら両ブレース分割体12,12の前記PC鋼棒用挿通孔13に渡って挿入されるPC鋼棒15と、前記ナット収納凹部14に収納されて前記PC鋼棒15に螺合するナット16とで接合して一体の圧縮ブレース2A,2Bとされる(図6(C),図7(C))。各ナット収納凹部14はそれぞれ対応するPC鋼棒用挿通孔13に連通し、拘束材4の表面に開口している。なお、図6は圧縮ブレース2A,2Bの組立工程を平面図で示し、図7はその組立工程を縦断面図で示している。また、図6(A)では、調整プレート17の平面図を鎖線で囲んで示している。
ここでは、隣り合うブレース分割体12,12の間に、長さ方向と垂直な鋼材である調整プレート17を、分割面の全体に渡って介在させる。この調整プレート17には、図6(A)に示すように、前記PC鋼棒15を挿通させるPC鋼棒用挿通孔17aが設けられる。また、各ブレース分割体12の分割側端面には、前記拘束材4の仕切りプレート4aが設けられる。仕切りプレート4aは例えば鋼板からなり、拘束材4の溝形鋼材5に端部を蓋するように溶接等で接合されている。この仕切りプレート4aにも、前記PC鋼棒15を挿通させるPC鋼棒用挿通孔(図示せず)が設けられる。各ブレース分割体12の分割側端部では、芯材3が拘束材4よりも前記調整プレート17側に若干突出するように配置される。
次に、圧縮ブレース2A,2Bを組み立てて一体化する前記組立工程を詳述する。先ず、調整プレート17を挟んで隣り合うブレース分割体12,12をそれらの拘束材4における分割側端部が対向するように突き合わせる(図6(A),図7(A))。次に、一方のブレース分割体12のPC鋼棒用挿通孔13にPC鋼棒15の一端側を挿入し、調整プレート17のPC鋼棒用挿通孔17aにもPC鋼棒15を挿入し(図6(B),図7(B))、さらにPC鋼棒15の他端側をもう一方のブレース分割体12のPC鋼棒用挿通孔13に挿入する。次に、各ナット収納凹部14内に突出するPC鋼棒15にナット16を螺合させ、トルク管理によってPC鋼棒15に張力を導入する。これにより、隣り合うブレース分割体12,12の芯材3が鋼材である調整プレート17に押し当てられ、その圧着力によって芯材3の接合面である端面を調整プレート17に確実に密着させることができる。各ブレース分割体12の芯材3は、拘束材4よりも若干調整プレート17側に突出させてあるので、調整プレート17への接合をより確実なものとすることができる。このとき、各ブレース分割体12の拘束材4の分割側端面に配置される仕切りプレート4aも調整プレート17に密着するので、隣り合うブレース分割体12,12間での芯材3と仕切りプレート4aをメタルタッチに接合した状態で、一体の圧縮ブレース2A,2Bに組み立てることができる。なお、PC鋼棒15とナット16とで両ブレース分割体12,12を一体に緊結した後で、ナット収納凹部14にモルタルを充填しても良い。
このように、この圧縮ブレースによる耐震補強構造および補強方法によると、補強部材として用いる圧縮ブレース2A,2Bを、複数のブレース分割体12から組み立てて一体化できるので、運搬・施工が容易となる。すなわち、例えば、補強部材の搬入経路が狭い場合や、エレベータなどにより搬入する場合でも、容易に搬入することができる。また、現場での溶接作業がないため、火災リスクを低減できる。ブレース分割体12の接合は乾式接合であるため、施工性が向上する。
また、通常のブレースであれば引張力を負担するため接合部が煩雑となるが、補強部材として圧縮ブレース2A,2Bを用いていることから、ブレース分割体12同士の接合部も構造を簡素化することができる。さらに、ブレース分割体12,12同士の接合に用いるPC鋼棒15やナット16も、拘束材4内に納まるため、外観がすっきりするという利点もある。
また、前記隣り合うブレース分割体12,12の間に、長さ方向と垂直な調整プレート17を介在させたため、上記のように芯材3の分割体の相互の当接面である端面を、調整プレート17に密着させることができ、そのため、地震発生時に芯材3の分割体間の隙間を無くすように芯材3の滑りが生じる初期動作が無くなり、芯材3による圧縮力の伝達が即座に行える。
図8および図9は、前記圧縮ブレース2A,2Bの他の構成例の組立工程を示す。なお、図8はその平面図を、図9はその縦断面図をそれぞれ示している。この構成例では、隣り合うブレース分割体12,12における分割側端部において、一方のブレース分割体12では芯材3を拘束材4よりも他方のブレース分割体12側に突出させると共に、他方のブレース分割体12では芯材3を拘束材4よりもブレース分割体12内に前記突出した長さよりも若干短く後退させており(図8(A),図9(A))、図6および図7に示した構成例での調整プレート17は省略している。その他の構成は、図6および図7に示した構成例の場合と同様である。
この構成例の場合、一方のブレース分割体12のPC鋼棒用挿通孔13にPC鋼棒15の一端側を挿入した後で、そのPC鋼棒15の他端側を他方のブレース分割体12のPC鋼棒用挿通孔13に挿入すると共に、他方のブレース分割体12から突出した芯材3を一方のブレース分割体12内に挿入する(図8(B),図9(B))。次に、各ナット収納凹部14内に突出するPC鋼棒15にナット16を螺合させ、トルク管理によってPC鋼棒15に張力を導入する(図8(C),図9(C))。これにより、隣り合うブレース分割体12,12の芯材3同士が、一方のブレース分割体12の拘束材4内で接合する。このとき、各ブレース分割体12の拘束材4の分割側端面に配置される仕切りプレート4a同士も互いに密着するので、隣り合うブレース分割体12,12間での芯材3と仕切りプレート4aをメタルタッチに接合した状態で、一体の圧縮ブレース2A,2Bに組み立てることができる。また、隣り合うブレース分割体12,12の間で、芯材3と拘束材4の接合面をずらすことができるので、より高い拘束効果が期待できる。
図10および図11は、前記圧縮ブレース2A,2Bのさらに他の構成例の組立工程を示す。なお、図10はその平面図を、図11はその縦断面図をそれぞれ示している。この構成例では、1つの圧縮ブレース2A,2Bを3つのブレース分割体12に分割しており、隣り合うブレース分割体12,12同士の接合構造は、図8および図9に示した構成例の場合と同様である。
このように、補強部材として用いる圧縮ブレース2A,2Bを、2つ以上のブレース分割体12に分割することにより、施工環境に応じてブレース分割体12の分割サイズや本数を自由に設定することができ、施工場所を選ばない耐震補強構造および補強方法とすることができる。
2A,2B…圧縮ブレース
3…芯材
4…拘束材
4a…仕切りプレート
12…ブレース分割体
13…PC鋼棒用挿通孔
14…ナット収納凹部
15…PC鋼棒
16…ナット
17…調整プレート

Claims (5)

  1. 既存建物をブレースで補強する構造であって、前記ブレースが、両端が前記既存建物の躯体に接続される芯材と、この芯材の両面に沿って配置されて前記芯材の座屈を拘束する拘束材とを有し、かつ前記芯材を拘束材で拘束されている部分で分割した圧縮ブレースであり、この圧縮ブレースの全体を、前記芯材が分割された部分で分割して2つ以上のブレース分割体とすると共に、これらブレース分割体における前記拘束材の分割側端部に、長さ方向に延びるPC鋼棒用挿通孔とナット収納凹部とを設け、隣り合う前記ブレース分割体同士を、これら両ブレース分割体の前記PC鋼棒用挿通孔に渡って挿入されるPC鋼棒と、前記ナット収納凹部に収納されて前記PC鋼棒に螺合するナットとで接合して一体の圧縮ブレースとしたことを特徴とする圧縮ブレースによる耐震補強構造。
  2. 請求項1において、前記隣り合うブレース分割体の間に、長さ方向と垂直な鋼材を介在させた圧縮ブレースによる耐震補強構造。
  3. 請求項2において、前記隣り合うブレース分割体における分割側端部において、前記芯材を前記拘束材よりも前記鋼材側に突出させた圧縮ブレースによる耐震補強構造。
  4. 請求項1において、前記隣り合うブレース分割体における分割側端部において、一方のブレース分割体では前記芯材を前記拘束材よりも他方のブレース分割体側に突出させると共に、他方のブレース分割体では前記芯材を前記拘束材よりもブレース分割体内に後退させた圧縮ブレースによる耐震補強構造。
  5. 既存建物の躯体にブレースの両端を接続して既存建物を補強する方法であって、前記ブレースとして、両端が前記既存建物の躯体に接続される芯材と、この芯材の両面に沿って配置されて前記芯材の座屈を拘束する拘束材とを有し、かつ前記芯材を拘束材で拘束されている部分で分割した圧縮ブレースを用い、この圧縮ブレースの全体を、前記芯材が分割された部分で分割して2つ以上のブレース分割体とすると共に、これらブレース分割体の分割側端部における前記拘束材に、長さ方向に延びるPC鋼棒用挿通孔とナット収納凹部とを設け、隣り合う前記ブレース分割体同士を、これら両ブレース分割体の前記PC鋼棒用挿通孔に渡って挿入されるPC鋼棒と、前記ナット収納凹部に収納されて前記PC鋼棒に螺合するナットとで接合して一体の圧縮ブレースとすることを特徴とする圧縮ブレースによる耐震補強方法。
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