JP5372397B2 - ヒアルロン酸およびその塩の製造方法 - Google Patents

ヒアルロン酸およびその塩の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はヒアルロン酸およびその塩の製造方法に関する。
ヒアルロン酸およびその塩(以下、総じてヒアルロン酸等という)は、例えば、軟骨保護薬、人口水晶体挿入や全層角膜移植時の手術補助剤、点眼薬等の医薬品分野での利用、保湿剤としての化粧品分野での利用、そして栄養補助食品としての食品分野での利用がなされている。そして、分子量が数百万から1万以下に至るものまで、用途に合わせて様々なヒアルロン酸等が生産されている。ヒアルロン酸等は、関節、硝子体、へその緒、皮膚、脳等、広く生体内に存在している。従来、ヒアルロン酸等は動物組織、例えば鶏冠から抽出する方法により、生産が行われていたが、近年ではヒアルロン酸生産能を有する微生物を用いた醗酵法で、工業的に大量生産されている(例えば、非特許文献1)。
一般に、前述した生体からの抽出液や、微生物を用いた醗酵法により得られた培養液(総じて、ヒアルロン酸等含有液という)は、タンパク質等の不純物が除去されて、精製されたヒアルロン酸等として、粉末の形態にて流通・販売されることが多い。ヒアルロン酸等の一般的な精製方法としては、塩と水溶性有機溶剤とをヒアルロン酸等含有液に添加して、沈殿したヒアルロン酸等を回収し、これを再度、水に溶解させた後に、活性炭処理により精製する方法がある。また、トリプシンでタンパク質を分解して除き、ピリジンの存在下で硫酸アンモニウムでの分別沈殿を行う方法や、酢酸ナトリウム、フェノール、トリクロル酢酸で抽出する方法がある。
また、精製処理の精度向上と工程の煩雑さの回避を目的とした発明も多数報告されている。例えば、水溶性有機溶剤を加えてヒアルロン酸ナトリウムを沈殿させて得る方法(例えば、特許文献1、2)、塩および水溶性有機溶剤を添加して、発熱性物質を除去する方法(例えば、特許文献3)、酵素を用いてヒアルロン酸等分解した後、限外ろ過と、塩および水溶性有機溶剤を添加して晶析する方法(例えば、特許文献4)等が報告されている。
特開昭62−288197号公報 特開平2−142801号公報 特開平9−324001号公報 特開平11−124401号公報 バイオインダストリー協会発酵と代謝研究会編、「発酵ハンドブック」、共立出版株式会社、2001年7月、p329
しかしながら、既存の方法では、ヒアルロン酸等含有液からタンパク質の除去が充分ではないという問題があった。また、不純物の除去が充分に行えるものであっても、処理が煩雑になり、かつヒアルロン酸等の回収率が低いという問題があった。
本発明では、高純度のヒアルロン酸等を簡易な方法で製造することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、活性炭と(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤とを組み合わせて使用することにより、特異的にヒアルロン酸等の精製度向上が図れるとの知見を得、以下の発明をするに至った。
すなわち本発明のヒアルロン酸等の製造方法は、ヒアルロン酸等を含む水性液に、活性炭を添加する活性炭添加操作と、(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤を添加する合成吸着剤添加操作と、ろ過操作と、を行う精製工程を有することを特徴とする。
前記精製工程は、ヒアルロン酸もしくはその塩を含む水性液に、前記活性炭添加操作の後にろ過操作を行う活性炭処理と、前記活性炭処理で得られたろ液に、前記合成吸着剤添加操作の後にろ過操作を行う合成吸着剤処理とを順に行うことが好ましい。
本発明のヒアルロン酸等の精製方法によれば、高純度のヒアルロン酸等を簡易な方法で製造することができる。
(第1の実施形態)
本発明における、ヒアルロン酸等の精製方法の、第1の実施形態について、以下に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されることはない。
まず、ヒアルロン酸等含有液に塩を添加混合し、さらに水溶性有機溶剤を添加して混合する。この間、水溶性有機溶剤に可溶性の不純物は水溶性有機溶剤に移行し、ヒアルロン酸等は析出して沈殿する。該沈殿物を粗製ヒアルロン酸等として回収し、水に溶解させる(粗製ヒアルロン酸等水性液)。活性炭と(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤とを所定濃度になるように添加し、粗製ヒアルロン酸等水性液にpH調整剤を添加して所定のpHとして混合する。この間、水溶性の不純物(主に水溶性タンパク質、色素等)は活性炭ならびに(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤に吸着される(吸着処理)。その後、粗製ヒアルロン酸等水性液をろ過して、不純物が除去されたヒアルロン酸等(以下、精製ヒアルロン酸等という)水性液をろ液として得る(ろ過操作)。その後、精製ヒアルロン酸等水性液の水分を除去し、粉砕して、粉末状の精製ヒアルロン酸等を得る。
本発明における活性炭添加操作とは、粗製ヒアルロン酸水性液に活性炭を添加混合する操作をいう。また、合成吸着剤添加操作とは、粗製ヒアルロン酸水性液に(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤を添加混合する操作をいう。本実施形態において、活性炭添加操作と合成吸着剤添加操作とは、吸着処理において同時に行われる。
本発明における水性液とは、粗製ヒアルロン酸等や精製ヒアルロン酸等が水に溶解した水溶液の他、粗製ヒアルロン酸等や精製ヒアルロン酸等が水に溶解されずに分散している分散液を含むものである。
本発明におけるヒアルロン酸等とは、ヒアルロン酸およびその塩である。ヒアルロン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、アルミニウム塩、鉄塩等を挙げることができる。
本発明におけるヒアルロン酸等含有液は特に限定されず、鶏冠や牛の目の硝子体等の生体抽出液であっても良いし、微生物を用いた醗酵により得られた培養液であっても良い。得られるヒアルロン酸等の分子量分布を制限し、品質の安定性の面からは、微生物を用いた醗酵により得られる培養液や酵素的方法により得られた反応液を用いることが好ましい。
ヒアルロン酸発酵の方法は特に限定されず、回分培養法、連続培養法、半連続培養法や、培養液に血清、リゾチウム、界面活性剤、アミノ酸を添加する培養法、二酸化炭素や窒素ガスを吹き込む培養法、酸化還元電位をある範囲に維持する培養法等、いずれの培養法により得られる培養液であっても良い。
ヒアルロン酸等含有液中のヒアルロン酸等の分子量は特に限定されることはなく、あらゆる分子量のヒアルロン酸等を精製の対象とすることができる。
また、ヒアルロン酸等含有液中のヒアルロン酸等の濃度は特に限定されることはなく、ヒアルロン酸等含有液の粘度と、使用する攪拌装置等の能力とを考慮して決定することが好ましい。
ヒアルロン酸等含有液に添加する塩は特に限定されない。塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属イオン等およびアルミニウムイオン等からなる陽性成分と、塩素、臭素等のハロゲンイオン、硫酸、硝酸等の無機酸、蟻酸、酢酸等の有機酸等の陰性成分とからなる塩を挙げることができる。具体的には、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等を挙げることができ、取り扱いと経済面とから、塩化ナトリウムを使用することが好ましい。これらの塩は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
ヒアルロン酸等含有液に添加する塩の量は特に限定されず、ヒアルロン酸等含有液中のヒアルロン酸等の含量や、ヒアルロン酸等の析出のし易さ等を勘案して決定することが好ましい。例えばヒアルロン酸等含有液に対して0.1〜5.0質量%の範囲で添加することが好ましい。
ヒアルロン酸等含有液に添加する水溶性有機溶剤は特に限定されず、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等を挙げることができる。このうち、アルコール類、中でもエタノールやイソプロピルアルコールを用いることが好ましい。
また、ヒアルロン酸等含有液に添加する水溶性有機溶剤の量は特に限定されず、ヒアルロン酸等含有液中のヒアルロン酸等が析出するのに充分な量を添加することが好ましい。
例えば、ヒアルロン酸等含有液と水溶性有機溶剤を添加混合した後の、水溶性有機溶剤の濃度が60〜80質量%の範囲とすることが好ましい。60質量%未満ではヒアルロン酸等含有沈殿は溶解し、80質量%を超えると水溶性有機溶剤を多用する必要があるため好ましくない。
塩および水溶性有機溶剤の混合は、ヒアルロン酸等含有液との混合ができるものであれば特に限定されず、既存の攪拌槽を用いて行うことができる。また、混合時間は特に限定されることなく、粗製ヒアルロン酸等の回収率と、作業効率を勘案して決定することが好ましい。
粗製ヒアルロン酸である沈殿物の回収方法は特に限定されず、既存の装置を用いて行うことができる。回収装置としては、例えば振動篩機、スクリュープレス、連続式遠心分離機、回分式遠心分離機、ろ過乾燥機等を挙げることができる。
加えて、回収した粗製ヒアルロン酸等を含む沈殿物は、乾燥させても良い。この際、乾燥温度は特に限定されないが、50℃〜80℃で行うことが好ましい。50℃未満であると乾燥に長時間を要し、また、微生物が残留していた場合、増殖するために好ましくない。80℃を超えると、粗製ヒアルロン酸等の分子量が低下するために好ましくないためである。
本実施形態における精製工程は、粗製ヒアルロン酸等水性液に、活性炭と(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤とを添加混合し、粗製ヒアルロン酸等水性液中の不純物を活性炭ならびに(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤に吸着させた後、ろ過する工程である。粗製ヒアルロン酸等水性液中の、粗製ヒアルロン酸等濃度は特に限定されないが、0.12〜0.36質量%であることが好ましい。0.12質量%未満であると生産性が低く、経済性が悪くなり好ましくない。0.36質量%を超えると粘度が高くなり、ろ過工程でのろ過性が悪くなり、生産性が低くなるため好ましくない。
活性炭は特に限定されることなく、既存の活性炭を使用することができる。中でも、活性炭の細孔半径が小さいものが好ましく、具体的には平均細孔半径が0.1〜2nmのものを用いることが好ましい。平均細孔半径が2nmを超えると、水溶性タンパク質の除去効率が低くなり、0.1nm未満であると、水溶性タンパク質の除去効率が低下するためである。ここで、平均細孔半径は、ガス吸着法により固体中の平衡状態での吸着ガス量を相対圧力と関係づけ吸着等温線を作成し、累積細孔容積・微分細孔容積より平均細孔半径を求めた。
また、活性炭の最小粒径は0.5〜500μmであることが好ましい。0.5μm未満であると後述のろ過操作が不充分となり、ろ液に活性炭が混入するおそれがあり、500μmを超えると水溶性タンパク質の除去効率が低下するため好ましくない。このような活性炭の商品として、キリンフードテック株式会社製の白鷺(商品名)RM50W−Tやタケコール(商品名)等を挙げることができる。
活性炭の添加量は特に限定されず、粗製ヒアルロン酸等水性液の純度等を勘案して決定することが好ましく、例えば、活性炭/粗製ヒアルロン酸(質量比)が、0.5〜3となるように添加することが好ましい。0.5未満であると水溶性タンパク質の除去効率が低下し、3を超えても水溶性タンパク質の除去効率の大きな向上が図れないためである。
本発明における(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤とは、(メタ)アクリル酸エステルを母体構造に持ち、比表面積500〜1200m/g(乾燥)の多孔質構造を有する架橋高分子である。かかる(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤を併用することにより、より多くの不純物を取り除くことができる。(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤の中でも、高極性向け(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤が好ましく、このような商品として三菱化学株式会社製、HP2MGを挙げることができる。なお、「高極性向け」とは、分子内に存在する電気的な偏りの大きな物質を対象としていることを意味する。
(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤の添加量は特に限定されず、粗製ヒアルロン酸等水性液の純度等を勘案して決定することが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤/粗製ヒアルロン酸(質量比)が0.5未満であると水溶性タンパク質の除去効率が低下し、3を超えても水溶性タンパク質の除去効率の大きな向上が図れないためである。
pH調整剤は特に限定されず、酸としては塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、グルコノデルタラクトン等、塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等を挙げることができる。
pH調整剤の添加量は特に限定されず、所望するpHとなるような添加量を決定することが好ましい。
本実施形態の吸着処理における粗製ヒアルロン酸水性液の温度は特に限定されないが、0〜60℃であることが好ましい。0℃未満であると、液の粘度が著しく増大し吸着処理が困難となるため好ましくない。また、60℃を超えると水溶性タンパク質の除去効率が低下するため好ましくない。
また、吸着処理における混合時間は特に限定されず、温度や得られる精製ヒアルロン酸等の純度を勘案して決定することが好ましく、例えば5分〜3時間であることが好ましい。5分未満であると吸着処理が不十分となるため好ましくない。また、3時間を超えても水溶性タンパク質の除去効率の効果に変化は見られないためである。
吸着処理におけるpHは特に限定されることはなく、精製ヒアルロン酸等の回収率と性状等を勘案して決定することが好ましい。例えば、pH3.0〜5.0の範囲で決定することが好ましく、pH3.5〜4の範囲で決定することがより好ましい。pH3.0未満であると精製ヒアルロン酸等の回収率が低くなる可能性があり、pH5.0を超えると不純物の除去が不充分となるおそれがある。
また、吸着処理に用いる装置は、攪拌と静置ができるものであれば特に限定されず、既存の装置を用いることができる。このような装置としては、攪拌槽、ろ過乾燥機、コニカルドライヤー等を挙げることができる。
本実施形態におけるろ過操作とは、活性炭と(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤が添加混合された粗製ヒアルロン酸等水性液から、不純物を吸着した前記活性炭と前記(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤(総じて吸着剤ということがある)とを取り除く工程である。
ろ過操作に用いる装置は特に限定されないが、粗製ヒアルロン酸等水性液に添加した吸着剤を効率よく除去するために、フィルタープレスを用いることが好ましい。
精製ヒアルロン酸等水性液から水分を除去する方法としては特に限定されず、例えば前記精製ヒアルロン酸等水性液に水溶性有機溶剤を添加して、析出した精製ヒアルロン酸等を遠心分離機等により固液分離を行った後、熱風乾燥する方法が挙げられる。また、精製ヒアルロン酸等水性液を凍結乾燥することで、水分を除去する方法が挙げられる。
本実施形態によれば、活性炭と(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤とを併用して吸着工程を行うことにより、特段の煩雑な操作を要することなく、高純度、高粘度で、かつ、色調の白い精製ヒアルロン酸等を得ることができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、粗製ヒアルロン酸等水性液に活性炭を添加混合(活性炭添加操作)した後にろ過(活性炭ろ過操作)する活性炭処理と、前記活性炭処理で得られたろ液に、(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤を添加混合(合成吸着剤添加操作)した後にろ過(合成吸着剤ろ過操作)する合成吸着剤処理を順に行い、精製を行うものである。
活性炭処理とは、粗製ヒアルロン酸等水性液に活性炭を添加混合して、その後、ろ過により、主に水溶性タンパク質や色素等の不純物が吸着された活性炭を除去する工程である。本実施形態における活性炭は第1の実施形態と同じものを使用することができる。活性炭添加操作における温度、時間、pHは、第1の実施形態の吸着処理と同様である。また、活性炭ろ過操作は、第1の実施形態のろ過操作と同様である。
合成吸着剤処理とは、活性炭処理で得られたろ液に、(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤を添加混合して、活性炭処理工程で除去できなかった不純物を除去する工程である。本実施形態における(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤は、第1の実施形態と同じものを使用することができる。合成吸着剤添加操作における温度、時間、pHは、第1の実施形態の吸着工程と同様である。また、合成吸着剤ろ過操作は、第1の実施形態のろ過操作と同様である。
本実施形態によれば、より高純度の精製ヒアルロン酸等を得ることができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、精製工程において、pH調整剤、活性炭、(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤を添加していたが、この他に塩を添加しても良い。精製工程において塩を加えることで、タンパク質の除去効果の向上が図れるためである。添加する塩としては、第1の実施形態でヒアルロン酸等含有液に添加する塩と同様のものを用いることができる。
精製工程での塩の添加量は特に限定されず、目的とする精製ヒアルロン酸等の純度等を勘案して決定することが好ましく、例えば、粗製ヒアルロン酸等水性液に対して、0.3〜1.5質量%の範囲で決定することが好ましい。
上述の実施形態では、粗製ヒアルロン酸等水性液は生体からの抽出液、あるいはヒアルロン酸発酵を行った培養液から調製しているが、粉末のヒアルロン酸を水に溶解したものであっても良い。
上述の実施形態では、吸着剤を添加した後にpH調整を行っているが、粗製ヒアルロン酸等水性液のpH調整を行った後に、吸着剤を添加して精製工程を行っても良い。ただし、吸着効率および物性はpHに依存する。このため、より高い吸着効率と、適切な物性を得るためには、吸着剤を添加した後にpH調整することが好ましい。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
粉末の粗製ヒアルロン酸をイオン交換水に溶解し、0.12質量%の粗製ヒアルロン酸水性液を調製した。前記粗製ヒアルロン酸水性液に、活性炭(白鷺RM50W−T、キリンフードテック株式会社製)が、粗製ヒアルロン酸に対して3質量倍となるように添加した。加えて、(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤(HP2MG、三菱化学株式会社製)が、粗製ヒアルロン酸の1質量倍となるように添加した。また、粗製ヒアルロン酸水性液に対して、0.3質量%となるように塩化ナトリウムを添加した。次いで、2質量%塩酸水溶液と、2質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、粗製ヒアルロン酸水性液をpH5に調整した。
調整後の粗製ヒアルロン酸水性液を25〜27℃で1時間攪拌混合した後、パーライトろ過助剤(三井金属鉱業株式会社製、ロカヘルプ409)を粗製ヒアルロン酸に対して10質量倍量を添加混合し、プレコートろ過法によりフィルタープレスを用いてろ過し、ろ液を精製ヒアルロン酸水性液として得た。得られた精製ヒアルロン酸水性液にIPAを添加混合した後のIPA濃度が70質量%になるように、84質量%の蒸留IPAを精製ヒアルロン酸水性液に添加混合して、沈殿を形成させた。その後、粗布にて固液分離し、80℃にて1時間、通風乾燥し、精製ヒアルロン酸ナトリウムの乾燥物を得た。次いでコーヒーミルにて粉砕し、精製ヒアルロン酸ナトリウムの粉砕物である、精製ヒアルロン酸ナトリウムAを得た。得られた精製ヒアルロン酸ナトリウムAについて、タンパク質濃度、粘度、白度、精製ヒアルロン酸ナトリウムの回収率を測定し、その結果を表1に示す。なお、本実施形態における吸着処理は、表1中で「同時」と記載する(実施例2、3において同じ)。
(実施例2)
(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤を粗製ヒアルロン酸の2質量倍添加した他は、実施例1と同様にして精製ヒアルロン酸ナトリウムBを得た。得られた精製ヒアルロン酸ナトリウムBについて、タンパク質濃度、粘度、白度、精製ヒアルロン酸ナトリウムの回収率を測定し、その結果を表1に示す。
(実施例3)
(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤を粗製ヒアルロン酸の3質量倍添加した他は、実施例1と同様にして精製ヒアルロン酸ナトリウムCを得た。得られた精製ヒアルロン酸ナトリウムCについて、タンパク質濃度、粘度、白度、精製ヒアルロン酸ナトリウムの回収率を測定し、その結果を表1に示す。
(実施例4)
粉末の粗製ヒアルロン酸をイオン交換水に溶解し、0.12質量%の粗製ヒアルロン酸水性液を調製した。前記粗製ヒアルロン酸水性液に、活性炭が、粗製ヒアルロン酸に対して3質量倍となるように添加した。また、粗製ヒアルロン酸水性液に対して、0.3質量%となるように塩化ナトリウムを添加した。加えて、2質量%塩酸水溶液と、2質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、粗製ヒアルロン酸水性液をpH5に調整した。調整後の粗製ヒアルロン酸水性液を25〜27℃で1時間攪拌混合した後、フィルタープレスを用いてパーライトろ過助剤(三井金属鉱業株式会社製、ロカヘルプ409)を粗製ヒアルロン酸に対して5質量倍添加混合し、プレコートろ過法によりろ過した。
得られたろ液に、(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤が、粗製ヒアルロン酸の1質量倍となるように添加し、2質量%塩酸水溶液と、2質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pH5に調整した。調整後の粗製ヒアルロン酸水性液を25〜27℃で1時間攪拌混合した後、パーライトろ過助剤(三井金属鉱業株式会社製、ロカヘルプ409)を粗製ヒアルロン酸に対して5質量倍添加混合し、プレコートろ過法によりフィルタープレスを用いてろ過し、ろ液として精製ヒアルロン酸水性液を得た。得られた精製ヒアルロン酸水性液にIPAを添加混合した後のIPA濃度が70質量%になるように84質量%の蒸留IPAを精製ヒアルロン酸水性液に添加混合し、沈殿を形成させた。その後、粗布にて固液分離し、80℃にて1時間、通風乾燥し、精製ヒアルロン酸ナトリウムの乾燥物を得た。次いでコーヒーミルにて粉砕し、精製ヒアルロン酸ナトリウムの粉砕物である精製ヒアルロン酸ナトリウムDを得た。精製ヒアルロン酸ナトリウムDについて、タンパク質濃度、粘度、白度、精製ヒアルロン酸の回収率を測定し、その結果を表1に示す。なお、本実施形態における吸着工程は、表1中で「非同時」と記載する(実施例5において同じ)。
(実施例5)
(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤を粗製ヒアルロン酸の2質量倍添加した他は、実施例4と同様にして精製ヒアルロン酸ナトリウムEを得た。得られた精製ヒアルロン酸ナトリウムEについて、タンパク質濃度、粘度、白度、精製ヒアルロン酸ナトリウムの回収率を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例1)
(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤を添加しなかった他は、実施例1と同様にして精製ヒアルロン酸ナトリウムFを得た。得られた精製ヒアルロン酸ナトリウムFについて、タンパク質濃度、粘度、白度、精製ヒアルロン酸ナトリウムの回収率を測定し、その結果を表1に示す。
(測定方法)
<タンパク質濃度>
精製ヒアルロン酸の精製度は、タンパク質濃度をもって評価した。タンパク質濃度は、「医薬部外品原料規格2006 ヒアルロン酸ナトリウム(2)の純度試験(3)たん白質」の項に記載の試験方法により測定した。
<粘度>
BL型粘度計(ロータNo.2、回転数30rpm)にて、0.1質量%精製ヒアルロン酸水性液を25℃にて測定した。
<白度>
本発明で用いる粉体の白度の測定は、繊維業界、食品業界で広く採用されている色差計によるハンター白色度試験法により行った。該試験法は完全な白を100%として波長457μmにおける被試験物の反射率(ハンター白度と呼称)を測定するものであり、明度を示すL値、彩度を示すa値、色相を示すb値を求め、次式によりハンター白度を求めた。
W(ハンター白度)=100−〔(100−L)+( a+b )〕1/2 ・・・・(1)
<回収率>
精製ヒアルロン酸の回収率は、粗製ヒアルロン酸水性液中の粗製ヒアルロン酸含有量をA、得られた精製ヒアルロン酸の量をBとし、下記(2)式により求めた。
回収率(質量%)=(B÷A)×100 ・・・・(2)
Figure 0005372397
表1の結果より、実施例1〜5においては、比較例1と比較して、タンパク質濃度が低かった。特に、実施例4、5では、同量の(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤を添加した実施例2、3と比較してもタンパク濃度は低くなることが判った。また、活性炭と(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤とを同時に添加した実施例1〜3は、実施例4、5に比較して、粘度が高く、白度が高くなることが判った。

Claims (3)

  1. ヒアルロン酸および/またはその塩を含む粗製ヒアルロン酸の水性液に、活性炭を添加する活性炭添加操作と、(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤を添加する合成吸着剤添加操作と、ろ過操作と、を行う精製工程を有する、ヒアルロン酸およびその塩の製造方法。
  2. 前記精製工程は、前記の粗製ヒアルロン酸の水性液に、前記活性炭添加操作の後にろ過を行う活性炭処理と、前記活性炭処理で得られたろ液に、前記合成吸着剤添加操作の後にろ過操作を行う合成吸着剤処理とを順に行うことを特徴とする、請求項1に記載のヒアルロン酸およびその塩の製造方法。
  3. 前記活性炭添加操作は、前記活性炭/前記粗製ヒアルロン酸(質量比)が0.5〜3となるように前記活性炭を添加し、前記合成吸着剤添加操作は、前記(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤/前記粗製ヒアルロン酸(質量比)が0.5〜3となるように前記(メタ)アクリル酸エステル系合成吸着剤を添加することを特徴とする、請求項1または2に記載のヒアルロン酸およびその塩の製造方法。
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