JP2000288388A - 腫瘍壊死因子−αの吸着材、吸着除去方法および吸着器 - Google Patents

腫瘍壊死因子−αの吸着材、吸着除去方法および吸着器

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JP2000288388A
JP2000288388A JP11093580A JP9358099A JP2000288388A JP 2000288388 A JP2000288388 A JP 2000288388A JP 11093580 A JP11093580 A JP 11093580A JP 9358099 A JP9358099 A JP 9358099A JP 2000288388 A JP2000288388 A JP 2000288388A
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adsorbent
necrosis factor
tumor necrosis
tnf
sulfonated
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JP11093580A
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English (en)
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Fumiyasu Hirai
文康 平井
Shigeo Furuyoshi
重雄 古吉
Nobutaka Tani
敍孝 谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 腫瘍壊死因子−αを効率よくしかも選択的に
吸着除去すること。 【解決手段】 スルホン化された多孔性高分子材料(た
だし、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体は除く)か
ら構成される腫瘍壊死因子−αの吸着材、および該吸着
材と腫瘍壊死因子−αを含有する液体とを接触させる工
程を包含する腫瘍壊死因子−αの吸着除去方法が提供さ
れる。該吸着材を充填した容器から構成される腫瘍壊死
因子−αの吸着器もまた提供される。これにより腫瘍壊
死因子−αを効率よくしかも選択的に吸着除去すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、腫瘍壊死因子−α
(以下、TNF−αという)の吸着材、およびその吸着
除去方法、ならびにTNF−αの吸着器に関する。
【0002】
【従来の技術】敗血症は細菌感染により全身的な炎症が
引き起こされる疾患である。その全身的な炎症を引き起
こす代表的な物質としては、グラム陰性菌の表面に存在
するエンドトキシンがよく知られている。そのメカニズ
ムとしては、エンドトキシンにより、種々のサイトカイ
ンや活性化補体の産生が促進され、それらの物質によっ
て炎症が起こると考えられている。従って、実際に細菌
感染による炎症を支配する物質は、エンドトキシンより
むしろ、これらのサイトカインや活性化補体であるとい
える。サイトカインの中では特にTNF−αが最も重要
視されている。敗血症が起こり、この炎症反応が亢進し
ていくと、ショック症状を起こし(敗血症性ショッ
ク)、そして臓器障害(臓器不全)、さらには多臓器不
全といった重篤な状態に陥る。
【0003】一方、敗血症はグラム陽性菌によっても起
こる。この場合は、エンドトキシンが存在しなくともT
NF−α等のサイトカインが産生される。これらのサイ
トカインは、感染局所でさまざまな刺激により産生され
てくるものと考えられている。
【0004】また敗血症において、TNF−αの血中濃
度が高い値で経過したものは予後が悪く、TNF−αは
病態の重症度をよく反映している(集中治療6巻2号1
15−123頁1994年)。
【0005】敗血症の治療法としては、感染対策として
の抗生物質投与、感染に対する抵抗力を賦活するための
γ−グロブリン投与などが挙げられるが、依然高い死亡
率を示している。また、エンドトキシンを体外循環によ
り吸着除去する治療法も行われているが、その性格上グ
ラム陰性菌由来の敗血症にしか適用できないこと、治療
のタイミングが難しいことなどの問題点が指摘されてい
る。そのため、炎症を引き起こす直接の原因物質である
サイトカインのうち、とりわけ重要視されているTNF
−αを体液中から除去することが、医学的見地から望ま
れている。
【0006】さらにまた、敗血症以外の疾患との関係で
は、その病因に免疫異常が想定されている炎症性腸疾患
(inflammatory bowel disea
se(IBD))、全身性エリテマトーデス(syst
emic lupus erythematosus
(SLE))、川崎病等で血中TNF−α濃度が病勢に
一致して高値を示すこと、また、悪性関節リウマチ(r
heumatoid arthritis(RA))で
は関節液中のTNF−α濃度が上昇することが知られて
いる(日本臨床48巻増刊号304−311頁1990
年)。従って、これらの疾患に対してもTNF−αを体
液中から除去する治療法が考えられる。
【0007】TNF−αを体液中から除去するための吸
着材が知られており、例えば、特開平6−211900
号公報(ベー ブラウン メルズンゲン アクチエンゲ
ゼルシャフト)では、ポリアニオン鎖が共有結合により
結合している多孔性担体材料からなる吸着材料が開示さ
れている。この吸着材料は、適当な孔径と分子排除範囲
を有する担体(例えば、多孔性ガラス、多孔性有機重合
体で被覆したシリカゲル、架橋した炭水化物など)にポ
リアニオン鎖が結合したものであり、実施例では、デキ
ストラン硫酸を結合した多孔質担体材料が用いられてい
る。しかし、デキストラン硫酸を結合した材料は、TN
F−αとの相互作用が弱く、実用化には種々の困難を伴
う。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スル
ホン化された多孔性高分子材料(ただし、スチレン−ジ
ビニルベンゼン共重合体は除く)を用いることにより、
体液、特に血液、血漿および血清からTNF−αを容易
かつ選択的に吸着除去することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、TNF−
αを除去するための適切な担体について研究した結果、
スルホン化された多孔性高分子材料(ただし、スチレン
−ジビニルベンゼン共重合体は除く)が有効であること
を見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。
【0010】なお、本出願人は、スルホン酸基を有する
スチレン−ジビニルベンゼン共重合体から構成されるT
NF−α吸着剤について、先に出願している(特開平8
−173802号公報)が、本発明においては、高分子
材料の中でスチレン−ジビニルベンゼン共重合体は排除
している。
【0011】本発明は、スルホン化された多孔性高分子
材料(ただし、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体は
除く)から構成される、TNF−αの吸着材に関する。
【0012】好適な実施態様においては、前記高分子材
料はアクリル系高分子である。
【0013】好適な実施態様においては、前記アクリル
系高分子は、メタクリル酸エステル樹脂である。
【0014】好適な実施態様においては、スルホン化さ
れたアクリル系高分子は、架橋構造を有している。
【0015】好適な実施様態においては、高分子材料は
ポリスルホンである。
【0016】好適な実施態様においては、スルホン化
は、硫酸によるスルホン化である。
【0017】好適な実施態様においては、スルホン化
は、クロロスルホン酸によるスルホン化である。
【0018】本発明はさらには、スルホン化された多孔
性高分子材料(ただし、スチレン−ジビニルベンゼン共
重合体は除く)から構成されるTNF−αの吸着材と、
TNF−αを含有する液体とを接触させる工程を包含す
る、TNF−αの除去方法に関する。
【0019】好適な実施態様においては、前記TNF−
α吸着材は、液体の入口と出口とを有する容器内に含ま
れている。
【0020】本発明はさらには、スルホン化された多孔
性高分子材料(ただし、スチレン−ジビニルベンゼン共
重合体は除く)から構成されるTNF−αの吸着材が、
液体の入口と出口とを有する容器内に含まれる、TNF
−αの吸着器に関する。
【0021】好適な実施態様においては、前記TNF−
αの吸着器は、TNF−αの吸着材の容器外への流出防
止手段が備えられている。
【0022】以上のことにより、本願発明の目的が達成
される。
【0023】
【発明の実施の形態】本明細書において、TNF−αを
含有する液体とは、TNF−αを含む体液、培養液など
をいう。ここで体液とは、血液、血漿、血清、腹水、リ
ンパ液、関節内液およびこれらから得られた分画成分、
ならびにその他の生体由来の液性成分をいう。また、培
養液とはTNF−αを生産する細胞の培養液をいい、こ
れには、培養上清、細胞破砕液などが含まれる。例え
ば、TNF−α生産細胞、TNF−α遺伝子を含む組換
え細胞を培養して得られる培養上清、細胞破砕液あるい
はその上清をいう。
【0024】TNF−αは、アミノ酸157個からな
る、分子量17kDaの単純蛋白質で、通常三量体を形
成している。
【0025】本発明のスルホン化された多孔性高分子材
料(ただし、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体は除
く)の形状としては、粒状、板状、膜状、繊維状、中空
糸状などが挙げられるが、これらの形状に限定されな
い。
【0026】吸着材をカラムに充填して使用する場合に
おいて、細胞を含む体液、例えば血液、リンパ液、関節
内液を使用する場合は、体液に含まれる細胞が充分に通
過しうる間隙を作れることが好ましい。培養液を使用す
る場合には、細胞または細胞残渣を除いた上清を使用す
ることが好ましい。
【0027】吸着材が粒状であり、カラムに充填した状
態で、細胞を含む体液を使用する場合には、吸着材の平
均粒径は200μm以上であることが好ましい。平均粒
径が200μm未満であると、細胞を含む体液の通過が
不充分となるおそれがある。一方、細胞を含まない体液
や培養液を使用する場合には、この限りではない。さら
に、使用する体液の組成にかかわらず、吸着材の平均粒
径は1000μm以下であることが好ましい。1000
μmより大きい場合には、目的とする物質の吸着性能が
低下するおそれがある。
【0028】吸着材が中空糸状であり、中空糸内に体
液、特に細胞を含む体液を流して使用する場合には、こ
の内径は5μm以上であることが好ましい。内径が5μ
m未満であると、体液に含まれる細胞が充分に通過しな
い恐れがある。
【0029】吸着材が繊維状である場合、径は1μm以
上であることが好ましい。径が1μm未満であると、体
液に含まれる細胞が非特異的に吸着される恐れがある。
【0030】また、血液を通過させる際に血球成分の非
特異吸着を避けるために、例えば、ヒドロキシエチルメ
タクリレートの重合体などの適当な高分子でコーティン
グしてもよい。またこのコーティングは、吸着材からの
微粒子の発生あるいは流出を防ぐために行ってもよい。
【0031】本発明の吸着材は、TNF−αを吸着する
ためには、その表面にTNF−αが充分内部に入れるだ
けの細孔が開いていることが必要である。すなわち多孔
性であることが必要である。細孔径は分布を有してお
り、その分布は、乾燥状態においては、水銀圧入法や窒
素吸着法により測定することができる。ただし、乾燥に
より吸着材の収縮が起こり体積が減少する場合には、収
縮に伴う補正が必要となる。例えば、乾燥により体積が
1/Aになった場合には、細孔径の測定値にAの三乗根
を乗じて補正する必要がある。TNF−αを吸着するた
めには、細孔径の最頻値が50オングストローム以上で
あることが好ましい。さらには細孔径の最頻値が100
オングストローム以上であることが好ましい。
【0032】一方、本発明の吸着材がセルロース、アガ
ロースといった高分子で構成されるゲルタイプのもので
ある場合、乾燥による体積の減少が非常に大きく、水銀
圧入法による細孔径の測定は困難となる。その場合は吸
着材の排除限界分子量を測定することにより細孔径の評
価を行うことができる。排除限界分子量とは、ゲル浸透
クロマトグラフィーにおいて細孔内に侵入できない(排
除される)分子の内、最も小さい分子量を持つものの分
子量をいう(波多野博行、花井俊彦著、実験高速液体ク
ロマトグラフィー、化学同人)。排除限界分子量は一般
に球状蛋白質、デキストラン、ポリエチレングリコール
などについてよく調べられているが本発明に用いる吸着
材の場合、球状蛋白質を用いてえられた値を用いるのが
適当である。
【0033】TNF−αの分子量が17,000であ
り、三量体を形成した場合には、分子量が51,000
となることから、5万未満の排除限界分子量をもつ吸着
材を用いた場合には、TNF−αの吸着除去量は小さく
その実用性が低下してしまう。したがって、本発明に用
いる吸着材の好ましい排除限界分子量は5万以上であ
り、さらには7万以上であることが好ましい。
【0034】一方、血液のような細胞を含む体液を用い
た場合、排除限界分子量が500万を超えると血小板の
付着の割合が増加する傾向がみられ、必ずしも充分な性
能を発揮できない。したがって、排除限界分子量が50
0万以下であることが好ましい。すなわち、細胞を含む
体液を用いた場合の排除限界分子量は好ましくは5〜5
00万、さらに好ましくは7〜500万である。細胞を
含まない体液を使用する場合には、排除限界分子量に上
限はない。
【0035】本発明に用いる高分子材料(ただし、スチ
レン−ジビニルベンゼン共重合体は除く)には、塩化ビ
ニル系、酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、アクリル系、ポリアミド、ポ
リカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリ
フェニレンオキシド、ポリスルホンといった高分子が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。これら
の中ではアクリル系高分子、ポリスルホンがよりTNF
−αを吸着することから好ましい。ここでいうアクリル
系高分子とは、主としてアクリル酸、メタクリル酸およ
びそれらの誘導体の重合体を包含する高分子化合物をい
う。また、アクリル系高分子の中ではメタクリル酸エス
テル樹脂が同じ理由から特に好ましい。
【0036】本発明の、スルホン化されたアクリル系高
分子は、架橋構造を有していることが好ましい。架橋構
造を有することにより、樹脂の物理的、化学的、生物学
的な安定性が向上する。
【0037】本発明において、スルホン化としては、硫
酸によるスルホン化やクロロスルホン酸によるスルホン
化といった種々の方法があるが、これらの方法に限定さ
れるものではない。
【0038】本発明のスルホン化された多孔性高分子材
料(ただし、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体は除
く)は敗血症患者の治療のために用いることも可能であ
り、その際のスルホン化の条件については、より穏和な
条件で行うことが好ましい。例えば、硫酸によるスルホ
ン化では、濃硫酸と多孔性高分子材料(ただし、スチレ
ン−ジビニルベンゼン共重合体は除く)とを加熱しなが
ら混合することで充分なスルホン化が可能となり、この
ようにして得られたスルホン化多孔性高分子材料(ただ
し、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体は除く)によ
るTNF−αの吸着も充分可能となる。しかしながら、
このように激しい条件でスルホン化した場合、副反応な
どにより、医療用には好ましくない物質が多く生成して
しまう。そこで、例えば無水酢酸を溶媒として用いるこ
とで、室温という穏和な条件でもスルホン化が充分起こ
り、また、副反応を抑えることも可能となるため、より
好ましいスルホン化された多孔性高分子材料(ただし、
スチレン−ジビニルベンゼン共重合体は除く)を得るこ
とができる。しかしながら、スルホン化の条件としては
これらの方法に限定されるものではない。
【0039】本発明のスルホン化された多孔性高分子材
料(ただし、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体は除
く)のスルホン酸基含有量は特に限定されないが、好ま
しくは0.01〜5meq/ml、より好ましくは0.
05〜2meq/ml、さらにより好ましくは0.05
〜0.5meq/mlである。0.01meq/mlよ
り少ないとTNF−αの吸着除去能が低下する。また、
5meq/mlより多いと非特異吸着が多くなり、実用
に供することが困難となる。
【0040】本発明のスルホン化された多孔性高分子材
料(ただし、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体は除
く)と液体とを接触させ、液体中のTNF−αを吸着除
去する方法には種々の方法がある。代表的な方法として
は、液体を取り出してバッグなどに貯留し、これに吸着
材を混合してTNF−αを吸着除去した後、吸着材を濾
別するなどして除き、TNF−αが除去された液体を得
る方法;液体の入口および出口を有し、出口に、液体は
通過するが吸着材は通過しないフィルターを装着した容
器に吸着材を充填し、これに液体を流す方法などがあ
る。いずれの方法を用いても良いが、後者の方法は操作
も簡単であり、また体外循環回路に組み込むことにより
患者の体液から効率よくオンラインでTNF−αを除去
することが可能である。また、吸着材が中空である場
合、吸着材を束ねた状態にし、一方の端から中空の部分
に液体を流し、さらに側面に液体を通過させることによ
りTNF−αを吸着除去する方法がある。また、逆に側
面から中空の部分に液体を通過させることによりTNF
−αを吸着除去する方法がある。しかし、これらの方法
に限定されるものではない。
【0041】次に、本発明のTNF−α吸着器の一実施
例を添付図面を参照しつつ説明する。
【0042】図1はTNF−αの吸着体を用いた本発明
のTNF−α吸着器の一実施例を示す断面説明図であ
る。
【0043】図1に示されるように、本実施の形態のT
NF−α吸着器(以下、単に「容器」という)7は、円
筒状のカラム6と、カラム6内に充填されたTNF−α
吸着材3とカラム6の両端に設けられ、カラム6内のT
NF−α吸着材3の流出を防止するための吸着材流出防
止手段4、5と、吸着材流出防止手段4、5をパッキン
グ9を介してカラム6に保持するための保持手段8とか
ら構成され、保持手段8には、流入口1または流出口2
が設けられている。また適宜、2を流入口とし、1を流
出口とすることもできる。
【0044】吸着材流出防止手段4、5は、液体に含ま
れる成分の容器7内への流入および容器7からの流出を
妨げないが、TNF−αの吸着材3の容器7内への流入
および容器7からの流出を防止する。
【0045】容器7の形状および材質は特に限定されな
いが、例えば、容量が100〜1500ml程度で、直
径が4〜15cm程度の筒状のものが好適に採用され、
さらに好ましくは、容量が100〜750ml程度、直
径が4〜10cm程度の筒状のものが採用される。な
お、これより小さい場合には、充分な量のTNF−αを
吸着できないおそれがあり、これより大きい場合には、
患者に与える負担が大きくなる。
【0046】次に、叙上のように構成される本実施の形
態の容器7の作用について説明する。
【0047】液体を流入口1から容器7内に流入する
と、液体および液体に含まれる成分は、吸着材流出防止
手段4を通過し、カラム6内に充填されたTNF−α吸
着材3と接触する。このとき液体に含有されるTNF−
αは、TNF−α吸着材3に吸着される。そののち、液
体および液体に含まれる成分は、吸着材流出防止手段5
を通過し、液体の流出口2からTNF−αが吸着除去さ
れた液体が流出する。
【0048】以下実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるもので
はない。
【0049】
【実施例】実施例1 オルガノ株式会社販売の多孔性メタクリル酸エステル樹
脂であるアンバーライトXAD−7(細孔径の最頻値5
50オングストローム、粒径分布範囲250−850μ
m、架橋構造を有している)10gと無水酢酸40ml
を混合し、そこに濃硫酸80mlを添加して室温で3時
間攪拌し、スルホン化を行った。攪拌終了後、濾別、洗
浄してスルホン化されたアンバーライトXAD−7(ス
ルホン酸基含有量0.25meq/ml)を得た。
【0050】得られたスルホン化されたアンバーライト
XAD−7を0.5mlとり、試験管に移した。それを
生理食塩水で充分に置換洗浄した後、余分な上清を除い
た。そこに、TNF−αを約700pg/ml含有する
ヒト血清3mlを加え、37℃で2時間振盪した。上清
をサンプリングし、エライサ(ELISA)法によるT
NF−α測定キット(岩城硝子株式会社販売)を用い
て、そのTNF−α濃度を測定した。
【0051】実施例2 オルガノ株式会社販売の多孔性メタクリル酸エステル樹
脂であるアンバーライトXAD−8(細孔径の最頻値4
00オングストローム、粒径分布範囲250−850μ
m、架橋構造を有している)10gと無水酢酸40ml
を混合し、そこに濃硫酸80mlを添加して室温で3時
間攪拌し、スルホン化を行った。攪拌終了後、濾別、洗
浄してスルホン化されたアンバーライトXAD−8(ス
ルホン酸基含有量0.16meq/ml)を得た。
【0052】得られたスルホン化されたアンバーライト
XAD−8を0.5mlとり、試験管に移した。それを
生理食塩水で充分に置換洗浄した後、余分な上清を除い
た。そこに、TNF−αを約700pg/ml含有する
ヒト血清3mlを加え、37℃で2時間振盪した。上清
をサンプリングし、エライサ法によるTNF−α測定キ
ット(岩城硝子株式会社販売)を用いて、そのTNF−
α濃度を測定した。
【0053】実施例3 三菱化学株式会社製の多孔性メタクリル酸エステル樹脂
であるダイヤイオンHP2MG(細孔径の最頻値340
オングストローム、粒径分布範囲300μm以上、架橋
構造を有している)10gと無水酢酸40mlを混合
し、そこに濃硫酸80mlを添加して室温で3時間攪拌
し、スルホン化を行った。攪拌終了後、濾別、洗浄して
スルホン化されたダイヤイオンHP2MG(スルホン酸
基含有量0.32meq/ml)を得た。
【0054】得られたスルホン化されたダイヤイオンH
P2MGを0.5mlとり、試験管に移した。それを生
理食塩水で充分に置換洗浄した後、余分な上清を除い
た。そこに、TNF−αを約700pg/ml含有する
ヒト血清3mlを加え、37℃で2時間振盪した。上清
をサンプリングし、エライサ法によるTNF−α測定キ
ット(岩城硝子株式会社販売)を用いて、そのTNF−
α濃度を測定した。
【0055】実施例4 鐘淵化学工業株式会社製の多孔性ポリスルホン中空糸
(細孔径の最頻値2000オングストローム、内径33
0μm、架橋構造を有していない)を2mm長に切断し
た。それを2gと無水酢酸40mlを混合し、そこに濃
硫酸80mlを添加して室温で3時間攪拌し、スルホン
化を行った。攪拌終了後、濾別、洗浄してスルホン化さ
れたポリスルホン中空糸(スルホン酸基含有量0.08
meq/ml)を得た。
【0056】得られたスルホン化されたポリスルホン中
空糸を0.5mlとり、試験管に移した。それを生理食
塩水で充分に置換洗浄した後、余分な上清を除いた。そ
こに、TNF−αを約700pg/ml含有するヒト血
清3mlを加え、37℃で2時間振盪した。上清をサン
プリングし、エライサ法によるTNF−α測定キット
(岩城硝子株式会社販売)を用いて、そのTNF−α濃
度を測定した。
【0057】比較例1 生理食塩水を0.5mlとり、試験管に移した。そこ
に、TNF−αを約700pg/ml含有するヒト血清
3mlを加え、37℃で2時間振盪した。上清をサンプ
リングし、エライサ法によるTNF−α測定キット(岩
城硝子株式会社販売)を用いて、そのTNF−α濃度を
測定した。
【0058】比較例2 オルガノ株式会社販売のアンバーライトXAD−8を
0.5mlとり、試験管に移した。それを生理食塩水で
充分に置換洗浄した後、余分な上清を除いた。そこに、
TNF−αを約700pg/ml含有するヒト血清3m
lを加え、37℃で2時間振盪した。上清をサンプリン
グし、エライサ法によるTNF−α測定キット(岩城硝
子株式会社販売)を用いて、そのTNF−α濃度を測定
した。
【0059】比較例3 宝酒造株式会社販売の多孔性スチレン−ジビニルベンゼ
ン共重合体であるPOROS 50 R2(平均細孔径
800〜1500オングストローム、粒径50μm)を
0.5mlとり、試験管に移した。それを生理食塩水で
充分に置換洗浄した後、余分な上清を除いた。そこに、
TNF−αを約700pg/ml含有するヒト血清3m
lを加え、37℃で2時間振盪した。上清をサンプリン
グし、エライサ法によるTNF−α測定キット(岩城硝
子株式会社販売)を用いて、そのTNF−α濃度を測定
した。
【0060】
【0061】比較例に対して、実施例のTNF−α濃度
が大きく低下していることがわかる。
【0062】
【発明の効果】本発明におけるスルホン化された多孔性
高分子材料を用いることにより、効率よく溶液中のTN
F−αを吸着除去できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はTNF−αの吸着体を用いた本発明のT
NF−α吸着器の一実施例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 流入口 2 流出口 3 TNF−αの吸着材 4、5 吸着材流出防止手段 6 カラム 7 容器 8 保持手段 9 パッキング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C077 AA12 AA30 BB03 CC03 CC06 KK11 KK13 MM02 MM07 NN04 PP08 PP09 PP13 PP14 PP15 PP18 4G066 AA32D AA47D AC17B AC31B AC35B BA09 BA20 BA23 CA20 DA12 FA11 4H045 AA20 DA14 GA20

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スルホン化された多孔性高分子材料(た
    だし、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体は除く)か
    ら構成される腫瘍壊死因子−αの吸着材。
  2. 【請求項2】 前記高分子材料がアクリル系高分子であ
    る、請求項1に記載の腫瘍壊死因子−αの吸着材。
  3. 【請求項3】 前記アクリル系高分子がメタクリル酸エ
    ステル樹脂である、請求項2に記載の腫瘍壊死因子−α
    の吸着材。
  4. 【請求項4】 アクリル系高分子が、架橋構造を有して
    いる、請求項2に記載の腫瘍壊死因子−αの吸着材。
  5. 【請求項5】 高分子材料がポリスルホンである、請求
    項1に記載の腫瘍壊死因子−αの吸着材。
  6. 【請求項6】 スルホン化された多孔性高分子材料が硫
    酸によりスルホン化されたものである、請求項1に記載
    の腫瘍壊死因子−αの吸着材。
  7. 【請求項7】 スルホン化された多孔性高分子材料がク
    ロロスルホン酸によりスルホン化されたものである、請
    求項1に記載の腫瘍壊死因子−αの吸着材。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の腫瘍壊死因子−αの吸
    着材と、腫瘍壊死因子−αを含有する液体とを接触させ
    る工程を包含する、腫瘍壊死因子−αの除去方法。
  9. 【請求項9】 前記腫瘍壊死因子−αの吸着材が、腫瘍
    壊死因子−αを含有する液体の入口と出口とを有する容
    器内に含まれている、請求項8に記載の腫瘍壊死因子−
    αの除去方法。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の腫瘍壊死因子−αの
    吸着材が、腫瘍壊死因子−αを含有する液体の入口と出
    口とを有する容器内に含まれる、腫瘍壊死因子−αの吸
    着器。
  11. 【請求項11】 前記腫瘍壊死因子−αの吸着材の容器
    外への流出防止手段が備えられた、請求項10に記載の
    腫瘍壊死因子−αの吸着器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009242522A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Mitsubishi Rayon Co Ltd ヒアルロン酸およびその塩の製造方法
JP2010088995A (ja) * 2008-10-07 2010-04-22 National Agriculture & Food Research Organization 固相合成装置用反応槽モジュールおよびそれを用いた固相合成装置
CN109395190A (zh) * 2017-08-15 2019-03-01 滤生生物技术(上海)有限公司 一种用于治疗免疫性疾病的体外血浆吸附/血液灌注的方法及其装置

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