JP5368928B2 - 銅箔の連続電解めっき装置 - Google Patents
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例えば、特許文献1では、アノード及び銅箔に直交し且つアノードの幅方向の端部と銅箔の幅方向の端部との間に亘る幅を有する電流遮蔽板(絶縁性の整流板)を配置して、均一なめっき処理を図る技術が提案されている。
また、特許文献2、3では、一対のアノード板の間に鋼帯(ストリップ)を通過させて電解めっきする際に、鋼帯の両端部にコ字状断面の電流遮蔽板(エッジマスク)を配置し、鋼帯の幅に合わせて電流遮蔽板を幅方向に拡げたり、縮めたりする技術が提案されている。
また、例えば、リチウムイオン二次電池の負極製造では、活物質を含む合剤を銅箔に塗布する工程のライン速度は遅く、生産性を向上するためには、できるだけ幅広の銅箔に塗布する必要がある。したがって、めっき後の銅箔両端部を切除しないこと、あるいは切除幅を少なくすることが望まれている。
特許文献2、3では、銅箔を広幅あるいは狭幅のものに変更する場合には予め電流遮蔽板の位置を移動させて最適化することが可能であるが、特許文献1と同様に、銅箔の連続搬送中の蛇行には対処できない。
箔にシワが入ることが避けられず、適用は難しい。
また、本発明の目的は、実操業において銅箔が蛇行しても銅箔と電流遮蔽板の位置関係を一定に維持でき、銅箔の幅方向のめっき均一性を保持できる銅箔の連続電解めっき装置を提供することにある。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る連続電解めっき装置におけるアノード板付近の構成を示す横断面図である。
電解槽の電解液中に設置されたアノード板2の表面(電極面)2aに平行に、カソードとなる長尺な銅箔1が連続的に搬送される。銅箔1がアノード板2に対向しつつアノード板2の長手方向に搬送される間に銅箔1に電解めっきが施される。アノード板2の幅W2は、銅箔1の幅W1より広くなっており、幅広のアノード板2が銅箔1と対向する部分(幅W1の部分)よりも端部側に張り出したアノード板2の部分を覆うように、銅箔1の幅方向の両端部側には、電流遮蔽板3、3が設けられている。
電流遮蔽板3の材質は、導電性のない物質ならばよく、例えば、ポリ塩化ビニルやポリプロピレン、ベークライト、ガラス・エポキシ(FR−4)などの安価なプラスチック類などが使用可能である。
なお、電流遮蔽板3は、本実施形態のようにL字の板状断面ではなく、第1の電流遮蔽面3a及び第2の電流遮蔽面3bを有していれば、例えば、三角形断面や矩形断面のものでもよい。
この第2の実施形態の連続電解めっき装置は、銅箔の幅方向への蛇行に追従して電流遮蔽板を移動させる追尾機能を持たせたものである。
図2に、第2の実施形態に係る連続電解めっき装置における主要部の概略構成の側面図を示す。また、図3に、図2のアノード板付近の構成を拡大した横断面図を示す。
銅箔1はガイドロール4、4間に架け渡されて電解槽内の電解液L中を垂直に上下して搬送される。電解液L中を垂直に下降する銅箔1と、電解液L中のガイドロール4で反転されて垂直に上昇する銅箔1とに対して、電解めっきを施すためのアノード板2がそれぞれ設置されている。アノード板2に面する銅箔1部分の幅方向の両端部側には、電流遮蔽板3が設けられている。電流遮蔽板3は、上記第1の実施形態の電流遮蔽板3と同様に、第1の電流遮蔽板31と第2の電流遮蔽板32とから構成されるL字状断面のものである。電流遮蔽板3の第1の電流遮蔽板31には、電流遮蔽板3を銅箔1の幅方向に移動させるロッド5が連結されている。
第3の実施形態の連続電解めっき装置は、上記第2の実施形態の連続電解めっき装置において、電流遮蔽板を伸縮可能な緩衝機構を介して電解槽に連結した構造を更に追加したものである。
図5に、第3の実施形態に係る連続電解めっき装置における電流遮蔽板付近の横断面図を示す。また、図6に、図5のダンパーを拡大した縦断面図を示す。
ダンパー10は、例えば、図6に示すような、外筒12と内筒13とが同心配置された二重構造の複筒式のものが用いられる。ピストンロッド11先端に連結されたピストン1
2は、内筒13内を摺動する。ピストン12には、ポートを有するピストンバルブ15が設けられている。また、ピストンロッド11とは反対側の内筒13端部には、ベースバルブ16が設けられている。ピストンロッド11が内筒13内に進入してダンパー10が縮む方向にピストン12が移動する時には、内筒13内の電解液Lが外筒12と内筒13との間の隙間に流入し、逆に、ピストンロッド11が内筒13から退出してダンパー10が延びる方向にピストン12が移動する時には、外筒12と内筒13との間の隙間の電解液Lが内筒13内に流入する。ピストンバルブ15及びベースバルブ16を通過する際の電解液Lの抵抗が、ダンパー10の主な減衰力となる。
緩衝機構の材質は、電解液でダメージを受けなければ良く、塩化ビニルやポリプロピレンなどの安価なプラステックが使用できる。また、絶縁されていればTiなどの金属も使用可能である。
上記図1に示す第1の実施形態(L字状断面の電流遮蔽板を有するもの)に対応する連続電解めっき装置(実施例1−1)、および上記図2、図3に示す第2の実施形態(L字状断面の電流遮蔽板とその銅箔追尾機能を有するもの)に対応する連続電解めっき装置(実施例1−2)を用いて、厚さ12μm、幅600mmのタフピッテ銅箔を1000m、ライン速度は10m/分で、2段階の連続めっきを銅箔の片面に行った。第一めっきは粗化粒子を形成する目的で、第二めっきは粗化粒子の脱落を防ぐ目的でそれぞれ実施した(このめっきは、リチウムイオン二次電池の負極集電銅箔におけるめっき処理の例である)。また、比較例として、電流遮蔽板を用いない連続電解めっき装置でも同様に2段階の連続めっきを銅箔の片面に行った。ここでは、アノード板にはチタン板表面に酸化イリジウムをコートした不溶性アノードを用いた。アノード板と銅箔(カソード)と間の距離(図
1のD1)は50mmとした。なお、本めっき処理の前に、電解脱脂と電解エッチングを行った。
電解脱脂:水酸化ナトリウム40g/L、炭酸ナトリウム20g/L、温度40℃、電流密度10A/dm2
電解エッチング:硫酸50g/L、温度40℃、電流密度10A/dm2
第一めっき:硫酸銅5水和物l00g/L、硫酸l00g/L、硫酸鉄7水和物20g/L、温度30℃、電流密度30A/dm2
第二めっき:硫酸銅5水和物200g/L、硫酸l00g/L、温度30℃、電流密度5A/dm2
ていないため、前端部(先頭部)では、ほぼ幅方向に均一なめっき厚さだったが、銅箔が蛇行によって幅方向に位置ずれした後端部(末尾部)では、左端部で電流遮蔽の効果がなくなり、めっき厚さ、表面粗さともに大きくなった。一方、電流遮蔽板とその銅箔追尾機能を有する実施例1−2では、幅方向、長手方向ともほぼ一定のめっき厚さ、表面粗さが得られた。
上記図5、図6に示す第3の実施形態(ダンパーを有するもの)に対応する連続電解めっき装置を用いて、緩衝効果を確認した。ダンパーによる緩衝作用・減衰作用を働かせた場合と、図6のベースバルブを開放して、動作抵抗を大きく低減した場合とで比較した。連続めっきを行いながら、電流遮蔽板の挙動を目視観察したところ、緩衝効果を働かせた場合は電流遮蔽板に不規則な振動は生じなかったが、緩衝効果を機能させなかった場合は、電解液の攪拌に伴うゆらぎ・振動が確認された。これより、緩衝機構の有効性が明らかとなった。
実施例1と同じ構成の実施例1−1、実施例1−2及び比較例の連続電解めっき装置を用いて、Niめっきを行った。アノード板としては、Tiバスケットに入れたNiチップを用いた。銅箔は厚さ12μm、幅600mmのタフピッテ銅箔であり、ライン速度はl0m/minである。
主な工程の電解液組成とめっき条件は以下の通りとした。
電解脱脂:水酸化ナトリウム40g/L、炭酸ナトリウム20g/L、温度40℃、電流密度10A/dm2
酸洗:硫酸l00g/L、温度30℃、浸漬
Niめっき:硫酸ニッケル6水和物300g/L、塩化ニッケル6水和物45g/L、ホウ酸50g/L、界面活性剤、温度40℃、電流密度5A/dm2
した。表3に示すように、実施例3でも、実施例1と同様の結果となった。
2 アノード板
3 電流遮蔽板
3a 第1の電流遮蔽面
3b 第2の電流遮蔽面
4 ガイドロール
5 ロッド
6 駆動装置
7 検出信号
8 検出器
9 電解槽本体
10 ダンパー(緩衝機構)
20、30 パンタグラフ(緩衝機構)
L 電解液
Claims (5)
- 電解槽内に設置されたアノード板に対して平行にカソードとなる銅箔を連続的に搬送し、前記アノード板から前記銅箔への電流を遮断する電流遮蔽板を前記銅箔の幅方向の両端部側に設けて、前記銅箔に電解めっきを施す銅箔の連続電解めっき装置において、
前記アノード板の幅は、前記銅箔の幅より広く、かつ
前記電流遮蔽板は、前記銅箔の端部に近接した外側から前記アノード板表面に垂直な方向に前記アノード板の表面に近接する位置まで延出する第1の電流遮蔽面と、前記第1の電流遮蔽面に接続され、前記第1の電流遮蔽面の前記アノード板の表面近傍から屈曲して前記アノード板の表面に沿って前記銅箔から離れる方向に延び前記アノード板の端部側に前記アノード板の端部を超えて張り出された第2の電流遮蔽面とを有することを特徴とする銅箔の連続電解めっき装置。 - 前記電解槽に搬入される前記銅箔の幅方向の端部位置を検出する検出器を設け、前記検出器の検出信号に基づき、前記銅箔の幅方向の位置変動に追従して前記電流遮蔽板を前記銅箔の幅方向に移動させる駆動装置を設けたこと特徴とする請求項1記載の銅箔の連続電解めっき装置。
- 電解槽内に設置されたアノード板に対して平行にカソードとなる銅箔を連続的に搬送し、前記アノード板から前記銅箔への電流を遮断する電流遮蔽板を前記銅箔の幅方向の両端部側に設けて、前記銅箔に電解めっきを施す銅箔の連続電解めっき装置において、
前記アノード板の幅は、前記銅箔の幅より広く、かつ
前記電流遮蔽板は、前記銅箔の端部に近接した外側から前記アノード板表面に垂直な方向に前記アノード板の表面に近接する位置まで延出する第1の電流遮蔽面と、前記第1の電流遮蔽面に接続され、前記第1の電流遮蔽面の前記アノード板の表面近傍から屈曲して前記アノード板の表面に沿って前記アノード板の端部側に張り出された第2の電流遮蔽面とを有し、
前記電流遮蔽板は、伸縮可能な緩衝機構を介して前記電解槽に連結されていることを特徴とする銅箔の連続電解めっき装置。 - 前記緩衝機構は、前記電流遮蔽板の振動を減衰するダンパーを有することを特徴とする請求項3に記載の銅箔の連続電解めっき装置。
- 前記電解槽に搬入される前記銅箔の幅方向の端部位置を検出する検出器を設け、前記検出器の検出信号に基づき、前記銅箔の幅方向の位置変動に追従して前記電流遮蔽板を前記銅箔の幅方向に移動させる駆動装置を設けたこと特徴とする請求項3または4記載の銅箔の連続電解めっき装置。
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