JP5367599B2 - 免震装置設置方法 - Google Patents
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本発明は、免震装置設置方法に関する。
積層ゴム等の免震装置は引張耐力が小さいため、免震構造物では、地震時に免震装置に大きな引抜力が生じないような架構とすることが求められている。
このため、例えば、免震装置や柱の配置を調整し、地震時に大きな引抜力が生じる位置の免震装置には、予め大きな長期軸力を付与しておき、免震装置が受ける地震時の引抜力を小さくしている。しかし、このような免震装置や柱の配置を調整する方法では、免震装置や柱の配置の自由度が制限される。
このため、例えば、免震装置や柱の配置を調整し、地震時に大きな引抜力が生じる位置の免震装置には、予め大きな長期軸力を付与しておき、免震装置が受ける地震時の引抜力を小さくしている。しかし、このような免震装置や柱の配置を調整する方法では、免震装置や柱の配置の自由度が制限される。
そこで、免震装置や柱の配置を調整せずに、対象とする免震装置に、予め大きな長期軸力を付与する方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1によれば、図17に示すように、先ず、免震構造物の外周部に設けられた外周柱80の下部に免震装置84を設置し、建物の内部に設けられた中間柱82の下部に免震装置86を設置する(図17(A))。次に、梁88の底面であり、外周柱80の近くにジャッキ90を取付け、外周柱80をジャッキアップし、外周柱80の下端と免震装置84の間に隙間92を発生させる(図17(B))。次に、ジャッキアップにより生じた隙間92に耐圧部材94を挿入し、ジャッキアップを解除する(図17(C))。
これにより、外周柱80を固定する免震装置84に加える軸力を、中間柱82を固定する免震装置86に加える軸力より大きくすることができる。
しかし、特許文献1の方法は、ジャッキアップ工程を必要とし、施工工程が増加する。
しかし、特許文献1の方法は、ジャッキアップ工程を必要とし、施工工程が増加する。
本発明は、上記事実に鑑み、ジャッキアップ工程を必要とすることなく、外周柱を固定する免震装置に加える軸力を、中間柱を固定する免震装置に加える軸力より大きくすることを目的とする。
請求項1に記載の発明に係る免震装置設置方法は、構造物の基礎部に免震装置を設置する工程と、前記免震装置上に前記構造物の外周柱を固定する工程と、前記外周柱に梁を架設する工程と、前記免震装置の上方となる位置で該免震装置に対して浮いた状態で前記梁に中間柱を設ける工程と、前記外周柱、前記中間柱、及び前記梁で構成された下部架構の上に上部架構を構築し、前記中間柱が構造物荷重で前記免震装置に当接した後、前記中間柱と前記免震装置を固定する工程と、を有することを特徴としている。
このように、中間柱を、免震装置に対して浮いた状態で梁に設け、この状態で下部架構の上に上部架構を構築することにより、梁が上部架構の荷重で撓み、梁の端部を支持する外周柱に加わる構造物荷重を中間柱より大きくすることができる。即ち、ジャッキアップ工程を必要とすることなく、外周柱を固定する免震装置に加える軸力を、中間柱を固定する免震装置に加える軸力より大きくすることができる。
なお、外周柱、外周柱に架設された梁、梁に設けられた中間柱は、いずれか2つをプレキャストで一体構築しておいたものを使用してもよいし、いずれか2つを他の場所で予め組み立てて一体化しておいたものを使用してもよい。
この結果、外周柱を固定する免震装置に作用する引抜力を低減させることができる。
なお、外周柱、外周柱に架設された梁、梁に設けられた中間柱は、いずれか2つをプレキャストで一体構築しておいたものを使用してもよいし、いずれか2つを他の場所で予め組み立てて一体化しておいたものを使用してもよい。
この結果、外周柱を固定する免震装置に作用する引抜力を低減させることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の免震装置設置方法において、構造物の基礎部に免震装置を設置する工程と、外周柱と、前記外周柱に架設され中間柱が設けられた梁が一体化された、又は一体化した部材を用い、前記免震装置上に前記外周柱を固定し、前記中間柱を前記免震装置に対して浮いた状態で配置する工程と、前記外周柱、前記中間柱、及び前記梁で構成された下部架構の上に上部架構を構築し、前記中間柱が構造物荷重で前記免震装置に当接した後、前記中間柱と前記免震装置を固定する工程と、を有することを特徴としている。
このように、外周柱と、外周柱に架設され中間柱が設けられた梁と、が一体化された、又は一体化した部材を用い、中間柱が免震装置に対して浮いた状態で外周柱を免震装置に固定する。その後、下部架構の上に上部架構を構築することにより、梁が上部架構の荷重で撓み、梁の端部を支持する外周柱に加わる構造物荷重を中間柱より大きくすることができる。
ここに、外周柱と、外周柱に架設され中間柱が設けられた梁と、が一体化された部材とは、それぞれの部材を、予め別の場所で組み立てて一体化しておき、一体化された状態で免震装置に配置する場合をいい、一体化した部材とは、それぞれの部材を、予めプレキャストで一体構築しておき、一体化された状態で免震装置に配置する場合をいう。
この結果、ジャッキアップ工程を必要とすることなく、外周柱を固定する免震装置に加える軸力を、中間柱を固定する免震装置に加える軸力より大きくすることができる。
ここに、外周柱と、外周柱に架設され中間柱が設けられた梁と、が一体化された部材とは、それぞれの部材を、予め別の場所で組み立てて一体化しておき、一体化された状態で免震装置に配置する場合をいい、一体化した部材とは、それぞれの部材を、予めプレキャストで一体構築しておき、一体化された状態で免震装置に配置する場合をいう。
この結果、ジャッキアップ工程を必要とすることなく、外周柱を固定する免震装置に加える軸力を、中間柱を固定する免震装置に加える軸力より大きくすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の免震装置設置方法において、前記梁には、むくりが設けられていることを特徴としている。
即ち、梁の中間柱側が外周柱側より凸状に高くされている。この状態で下部架構の上に上部架構を構築し、中間柱を構造物荷重で下降させ、梁のむくりを減少させて免震装置に当接させる。
この結果、梁に応力が発生し、外周柱を固定する免震装置に、中間柱を固定する免震装置より大きな構造物荷重(軸力)を加えることができる。
即ち、梁の中間柱側が外周柱側より凸状に高くされている。この状態で下部架構の上に上部架構を構築し、中間柱を構造物荷重で下降させ、梁のむくりを減少させて免震装置に当接させる。
この結果、梁に応力が発生し、外周柱を固定する免震装置に、中間柱を固定する免震装置より大きな構造物荷重(軸力)を加えることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の免震装置設置方法において、前記中間柱を固定する前記免震装置が、前記外周柱を固定する前記免震装置より低い位置に設置されていることを特徴としている。
即ち、中間柱を固定する免震装置が、外周柱を固定する免震装置より低い位置に設置され、中間柱が免震装置に対して浮いた状態において、下部架構の上に上部架構を構築する。
これにより、中間柱が構造物荷重で下降し免震装置に当接する。このとき、梁には応力が発生する。この応力により、梁の端部を支持する外周柱を固定する免震装置に加える軸力を、中間柱を固定する免震装置に加える軸力より大きくすることができる。
これにより、中間柱が構造物荷重で下降し免震装置に当接する。このとき、梁には応力が発生する。この応力により、梁の端部を支持する外周柱を固定する免震装置に加える軸力を、中間柱を固定する免震装置に加える軸力より大きくすることができる。
本発明は、上記構成としてあるので、ジャッキアップ工程を必要とせず、外周柱を固定する免震装置に加える軸力を、中間柱を固定する免震装置に加える軸力より大きくすることができる。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る免震装置設置方法は、図1に示す工程に従って免震装置を設置する。
先ず、免震装置設置工程12を実行する。図2に示すように、免震装置設置工程12は、構造物10の基礎部22に、免震装置84、86を設置する工程である。
第1の実施の形態に係る免震装置設置方法は、図1に示す工程に従って免震装置を設置する。
先ず、免震装置設置工程12を実行する。図2に示すように、免震装置設置工程12は、構造物10の基礎部22に、免震装置84、86を設置する工程である。
基礎部22は鉄筋コンクリート製とされ、外周柱24及び中間柱26を支持する位置の上面には、免震装置84、86を固定する設置台座(図示せず)が構築されている。
免震装置84は、外周柱24が構築される位置の設置台座に固定され、免震装置86は、中間柱26が構築される位置の設置台座に固定されている。
免震装置84は、外周柱24が構築される位置の設置台座に固定され、免震装置86は、中間柱26が構築される位置の設置台座に固定されている。
次に、外周柱固定工程14を実行する。図2に示すように、外周柱固定工程14は、免震装置84の上に構築された外周柱24と、免震装置84を固定する工程である。これにより、外周柱24に加えられた軸力NSが、免震装置84を介して基礎部22に伝達される。基礎部22が免震装置84を支持する軸力NSを、上向きの矢印NSで示す。
次に、梁架設工程16を実行する。図2に示すように、梁架設工程16は、外周柱24と外周柱24の間に、むくり(起り)を設けて梁28を架設する工程である。即ち、梁28が構造物10の内部を跨いで凸状に架け渡され、梁28の中央部は、両端部より寸法δ1だけ高く形成されている。
次に、中間柱設置工程18を実行する。図2に示すように、中間柱設置工程18は、免震装置86の上方となる位置で、梁28に中間柱26を取り付ける工程である。このとき、中間柱26が免震装置86に対し、寸法δ2だけ浮いた状態で取り付ける。中間柱26を免震装置86から浮かせた寸法δ2は、むくりの寸法δ1と等しくするのが望ましい。
中間柱設置工程18が完了した状態では、免震装置84には外周柱24からの軸力NSが作用しているが、免震装置86には中間柱26からの軸力NCは作用していない。中間柱26は免震装置86に対し、浮いた状態で取り付けられているためである。
最後に、中間柱固定工程20を実行する。図3に示すように、中間柱固定工程20は、免震装置86の上に構築された中間柱26を下降させ、中間柱26を免震装置86に当接させた後、固定する工程である。
ここに、中間柱固定工程20は、下部架構32を構成する外周柱24、中間柱26及び梁28の上に、上部架構30を構成する外周柱24、中間柱29及び梁29を構築する段階において行われる。
即ち、上部架構30の構築が進行するに従い、構造物荷重が増加して中間柱26が下降を開始する。そして、中間柱26が下降して免震装置86の上に当接した後、免震装置86と中間柱26を固定する。このとき、梁28のむくりは解消され、梁28は水平となる。
上部架構30の構築が更に進行し構造物荷重が増加すると、中間柱26の軸力NCが免震装置86を介して基礎部22に伝達される。基礎部22が免震装置86を支持する軸力NCを上向きの矢印NCで示している。
なお、上部架構30の構築の進行に伴い、中間柱26の軸力NCのみでなく、外周柱24の軸力NSも同様に増加する。このとき、梁28のむくりにより生じた応力は維持されており、外周柱24の軸力NSは中間柱26の軸力NCより大きい値が維持される。従って、下部架構32の構築段階と同様に、上部架構30が構築された段階でも、外周柱24の軸力NSが、中間柱26の軸力NCより大きい状態が維持される。
図4に示すように、構造物10の躯体工事が完了した段階においても、外周柱24の軸力NSが、中間柱26の軸力NCより大きい状態が維持される。
なお、外周柱24、外周柱24に架設された梁28、梁28に設けられた中間柱26は、それぞれが独立した部材として説明したが、例えば、外周柱24と梁28、梁28と中間柱26など、いずれか2つをプレキャストで予め一体構築しておいたものを使用してもよい。更に、いずれか2つを他の場所で予め組み立てて一体化しておいたものを使用してもよい。このときは、上記工程の幾つかが、同時に実行されることとなる。
なお、外周柱24、外周柱24に架設された梁28、梁28に設けられた中間柱26は、それぞれが独立した部材として説明したが、例えば、外周柱24と梁28、梁28と中間柱26など、いずれか2つをプレキャストで予め一体構築しておいたものを使用してもよい。更に、いずれか2つを他の場所で予め組み立てて一体化しておいたものを使用してもよい。このときは、上記工程の幾つかが、同時に実行されることとなる。
次に、外周柱24の軸力NSを、中間柱26の軸力NCより大きくした効果について説明する。
図5に示すように、構造物10に水平方向の力Pが作用した場合、構造物10には転倒モーメントM1が発生する。この転倒モーメントM1によって、左側の外周柱24には鉛直上向きの変動軸力NEが生じる。この変動軸力NEが、常時鉛直下向きに作用する長期軸力NSより大きくなると、免震装置84には引き抜き力が作用する。
本実施の形態で説明したように梁にむくりを設け、外周柱24の軸力NSを大きくすることで、地震時に免震装置84に作用する引き抜き力を低減することができる。
図5に示すように、構造物10に水平方向の力Pが作用した場合、構造物10には転倒モーメントM1が発生する。この転倒モーメントM1によって、左側の外周柱24には鉛直上向きの変動軸力NEが生じる。この変動軸力NEが、常時鉛直下向きに作用する長期軸力NSより大きくなると、免震装置84には引き抜き力が作用する。
本実施の形態で説明したように梁にむくりを設け、外周柱24の軸力NSを大きくすることで、地震時に免震装置84に作用する引き抜き力を低減することができる。
このように、本実施の形態によれば、ジャッキアップ工程を必要とすることなく、外周柱24を固定する免震装置84に加える軸力NSを、中間柱26を固定する免震装置86に加える軸力NCより大きくすることができる。
なお、詳細な説明は省略するが、むくりの量δ1を増減することで、梁28に生じる応力を調整でき、外周柱24が固定された免震装置84へ作用する軸力NSの大きさを調整することができる。
また、本実施の形態では、中間柱26を外周柱24の間に1本だけ設けた場合について説明したが、これに限定されることはなく、中間柱26を外周柱24の間に複数本設けてもよい。また、基礎部22を鉄筋コンクリート製として説明したが、これに限定されることはなく、構造物の基礎として機能する構造、すなわちS造、SRC造、CFT造、無筋コンクリート造などの構造形式を採用することができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る免震装置設置方法は、第1の実施の形態で説明した図1の工程と同じ手順で免震装置を設置する。図1の工程に従い、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
第2の実施の形態に係る免震装置設置方法は、第1の実施の形態で説明した図1の工程と同じ手順で免震装置を設置する。図1の工程に従い、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
先ず、免震装置設置工程12を実行する。図6に示すように、免震装置設置工程12において、構造物40の基礎部22に免震装置84、86を設置する。基礎部22に設置された状態の免震装置84、86の上面は、すべて同じ高さとされている。
次に、外周柱固定工程14において、図6に示すように、免震装置84の上に外周柱24を構築し、外周柱24と免震装置84を固定する。これにより、外周柱24に加えられた軸力NSが、免震装置84を介して基礎部22に伝達される。基礎部22が免震装置84を支持する軸力NSを、上向きの矢印NSで示す。
次に、梁架設工程16において、図6に示すように、外周柱24の間に梁38を架設する。このとき、梁38にむくりは設けられていない。
次に、中間柱設置工程18において、図6に示すように、免震装置86の上方となる位置で梁38に中間柱26を取り付ける。このとき、中間柱26を免震装置86に対し、寸法δ2だけ浮いた状態で取り付ける。
最後に、中間柱固定工程20において、図7に示すように、下部架構32の上に上部架構30を構築し、免震装置86の上に構築された中間柱26を下降させる。中間柱26が免震装置86に当接した後、中間柱26と免震装置86を固定する。
このとき、中間柱26の下降により、梁28は、中央部が両端部より寸法δ1だけ引き下げられ、梁28には応力が発生する。
このとき、中間柱26の下降により、梁28は、中央部が両端部より寸法δ1だけ引き下げられ、梁28には応力が発生する。
上部架構30の構築が更に進行し、構造物荷重が増加すると、中間柱26の軸力NCが免震装置86を介して基礎部22に伝達される。また、上部架構30の構築の進行に伴い、中間柱26の軸力NCのみでなく、外周柱24の軸力NSも同様に増加する。このとき、梁28の応力は維持されており、外周柱24の軸力NSは中間柱26の軸力NCより大きい値が維持される。従って、下部架構32の構築段階と同様に、上部架構30が構築された段階でも、外周柱24の軸力NSが、中間柱26の軸力NCより大きい状態が維持される。
図8に示すように、構造物40の躯体工事が完了した段階においても、外周柱24の軸力NSが、中間柱26の軸力NCより大きい状態が維持され、地震時に免震装置84に作用する引抜力を低減させることができる。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る免震装置設置方法は、第1の実施の形態で説明した図1の工程と同じ手順で、免震装置を設置する。図1の工程に従い、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
第3の実施の形態に係る免震装置設置方法は、第1の実施の形態で説明した図1の工程と同じ手順で、免震装置を設置する。図1の工程に従い、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
先ず、免震装置設置工程12において、図9に示すように、構造物10の基礎部34に免震装置84、86を設置する。基礎部34は、中央部が低い凹状とされ、中間柱36の下部に設けられた設置台座(図示せず)が、外周柱36の下部に設けられた設置台座より寸法δ3だけ低く形成されている。
この結果、中間柱36の下の免震装置86が、外周柱24の下の免震装置84よりδ3だけ低い位置に設置される。
次に、外周柱固定工程14において、図9に示すように、免震装置84の上に構築された外周柱24と免震装置84を固定する。これにより、外周柱24に加えられた軸力NSを、免震装置84を介して基礎部34に伝達できる。
次に、梁架設工程16において、図9に示すように、外周柱24の間に、むくり(起り)を設けた梁28を架設する。むくりの寸法δ1は、免震装置86が低く設置された寸法δ3と等しくするのが望ましい。
次に、中間柱設置工程18において、図9に示すように、免震装置86の上方で、免震装置86に対して寸法δ2だけ浮かせた状態で、梁28に中間柱36を取り付ける。
次に、中間柱固定工程20において、図10に示すように、下部架構32の上に上部架構30を構築する。上部架構30の構築の構築に従い構造物荷重が増加し、中間柱36が低下する。中間柱36が低下して免震装置86に当接した時点で、中間柱36と免震装置86を固定する。
これにより、免震装置86に中間柱36からの軸力NCが加えられる。梁28のむくりの寸法δ1が小さくなるに伴い梁28に応力が生じ、免震装置86に加えられる軸力NCより、免震装置84に加えられる軸力NSが大きくなる。
図11に示すように、構造物10が完成されても、梁28のむくりにより梁28に生じた応力は維持され、免震装置86に加えられる軸力NCよりも、免震装置84に加えられる軸力NSが大きい状態が維持される。
即ち、外周柱24を固定する免震装置84に加える軸力NSを、中間柱36を固定する免震装置86に加える軸力NCより大きくすることができ、地震時に免震装置84に作用する引抜力を低減させることができる。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る免震装置設置方法は、第1の実施の形態で説明した図1の工程と同じ手順で、免震装置を設置する。図1の工程に従い、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
第4の実施の形態に係る免震装置設置方法は、第1の実施の形態で説明した図1の工程と同じ手順で、免震装置を設置する。図1の工程に従い、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
先ず、免震装置設置工程12を実行する。図12に示すように、免震装置設置工程12において、構造物40の基礎部34に免震装置84、86を設置する。基礎部34は、中央部が低い凹状とされ、中間柱36の下の免震装置86が、外周柱24の下の免震装置84よりδ3だけ低い位置に設置されている。
次に、外周柱固定工程14において、図12に示すように、免震装置84の上に構築された外周柱24と、免震装置84を固定する。これにより、外周柱24に加えられた軸力NSが、免震装置84を介して基礎部22に伝達される。基礎部22が免震装置84を支持する軸力NSを、上向きの矢印NSで示す。
次に、梁架設工程16において、図12に示すように、外周柱24の間に梁38を架設する。このとき、梁38にむくりは設けられていない。
次に、中間柱設置工程18において、図12に示すように、免震装置86の上方となる位置で梁38に中間柱36を取り付ける。このとき、中間柱36が免震装置86に対し、寸法δ2だけ浮いた状態で取り付ける。
最後に、中間柱固定工程20において、図13に示すように、免震装置86の上に構築された中間柱36を、上部架構30を構築に伴い下降させる。中間柱26が免震装置86に当接した後、中間柱26と免震装置86を固定する。
このとき、中間柱26の下降により、梁38は、中央部が両端部より寸法δ1だけ引き下げられ、梁38には変形に伴う応力が発生する。
上部架構30の構築が更に進行し構造物荷重が増加すると、中間柱36の軸力NCが免震装置86を介して基礎部22に伝達される。また、上部架構30の構築の進行に伴い、中間柱36の軸力NCのみでなく、外周柱24の軸力NSも同様に増加する。このとき、梁38の応力は維持されており、外周柱24の軸力NSは中間柱36の軸力NCより大きい値が維持される。従って、下部架構32の構築段階と同様に、上部架構30が構築された段階でも、外周柱24の軸力NSが、中間柱36の軸力NCより大きい状態が維持される。
図14に示すように、構造物40の躯体工事が完了した段階においても、外周柱24の軸力NSが、中間柱36の軸力NCより大きい状態が維持され、地震時に免震装置84に作用する引抜力を低減させることができる。
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態に係る免震装置設置方法は、図15に示す工程に従って免震装置を設置する。なお、第5の実施の形態は、多くの部分が第1の実施の形態と同一内容であり、相違点を中心に説明する。
先ず、第1の実施の形態で説明した免震装置設置工程12を実行し、構造物44の基礎部22に免震装置84、86を設置する。続いて、一体化部材の設置及び外周柱固定工程42を実行する。
第5の実施の形態に係る免震装置設置方法は、図15に示す工程に従って免震装置を設置する。なお、第5の実施の形態は、多くの部分が第1の実施の形態と同一内容であり、相違点を中心に説明する。
先ず、第1の実施の形態で説明した免震装置設置工程12を実行し、構造物44の基礎部22に免震装置84、86を設置する。続いて、一体化部材の設置及び外周柱固定工程42を実行する。
図16に示すように、一体化部材の設置及び外周柱固定工程42は、免震装置84、86の上に、外周柱48、外周柱48に架設された梁52、及び梁52に取り付けられた中間柱50を一体化した、一体化部材46を設置する工程である。
一体化部材46の位置決め後、外周柱48と免震装置84を固定する。このとき、中間柱50は免震装置86に対して浮いた状態で配置されている。
一体化部材46の位置決め後、外周柱48と免震装置84を固定する。このとき、中間柱50は免震装置86に対して浮いた状態で配置されている。
一体化部材46には、外周柱48、中間柱50、及び梁52を、予め別の場所で組み立てて一体化した部材のみならず、外周柱48、中間柱50、及び梁52が、プレキャストで一体構築された部材も含まれる。
続いて、第1の実施の形態で説明したように、一体化部材46の上に上部架構(図示省略)を構築する。上部架構の構築段階において、構造物荷重で中間柱50が免震装置86に当接する。中間柱50と免震装置86の当接を待って中間柱50と免震装置86を固定する。
このように、一体化部材46を用いることにより、第1の実施の形態で説明した効果が得られると共に、現地作業の効率化が図れる。
なお、第2の実施の形態〜第4の実施の形態においても、一体化された下部架構(外周柱48、外周柱48に架設された梁52、及び梁52に取り付けられた中間柱50)を用いることができる。これにより、現地作業の効率化を図ることができる。
なお、第2の実施の形態〜第4の実施の形態においても、一体化された下部架構(外周柱48、外周柱48に架設された梁52、及び梁52に取り付けられた中間柱50)を用いることができる。これにより、現地作業の効率化を図ることができる。
10 構造物
12 免震装置設置工程(免震装置を設置する工程)
14 外周柱固定工程(外周柱を固定する工程)
16 梁架設工程(梁を架設する工程)
18 中間柱設置工程(中間柱を設ける工程)
20 中間柱固定工程(中間柱を固定する工程)
22 基礎部
24 外周柱
26 中間柱
28 梁
30 上部架構
32 下部架構
34 基礎部
46 一体化部材(一体化された、又は一体化した部材)
48 外周柱
50 中間柱
52 梁
84 免震装置
86 免震装置
12 免震装置設置工程(免震装置を設置する工程)
14 外周柱固定工程(外周柱を固定する工程)
16 梁架設工程(梁を架設する工程)
18 中間柱設置工程(中間柱を設ける工程)
20 中間柱固定工程(中間柱を固定する工程)
22 基礎部
24 外周柱
26 中間柱
28 梁
30 上部架構
32 下部架構
34 基礎部
46 一体化部材(一体化された、又は一体化した部材)
48 外周柱
50 中間柱
52 梁
84 免震装置
86 免震装置
Claims (4)
- 構造物の基礎部に免震装置を設置する工程と、
前記免震装置上に前記構造物の外周柱を固定する工程と、
前記外周柱に梁を架設する工程と、
前記免震装置の上方となる位置で該免震装置に対して浮いた状態で前記梁に中間柱を設ける工程と、
前記外周柱、前記中間柱、及び前記梁で構成された下部架構の上に上部架構を構築し、前記中間柱が構造物荷重で前記免震装置に当接した後、前記中間柱と前記免震装置を固定する工程と、
を有する免震装置設置方法。 - 構造物の基礎部に免震装置を設置する工程と、
外周柱と、前記外周柱に架設され中間柱が設けられた梁と、が一体化された、又は一体化した部材を用い、前記免震装置上に前記外周柱を固定し、前記中間柱を前記免震装置に対して浮いた状態で配置する工程と、
前記外周柱、前記中間柱、及び前記梁で構成された下部架構の上に上部架構を構築し、前記中間柱が構造物荷重で前記免震装置に当接した後、前記中間柱と前記免震装置を固定する工程と、
を有する免震装置設置方法。 - 前記梁には、むくりが設けられている請求項1又は2に記載の免震装置設置方法。
- 前記中間柱を固定する前記免震装置が、前記外周柱を固定する前記免震装置より低い位置に設置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の免震装置設置方法。
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