JP5366149B2 - 半導体レーザー装置 - Google Patents
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シリコン基板上に光デバイス、電子デバイスを集積することにより、従来にない超小型、高集積、高機能、低消費電力の光・電子集積回路の実現が可能となる。
シリコンフォトニクス技術に基づく光・電子集積回路は、光通信分野への応用は勿論のこと、光インターコネクション分野への応用も大いに期待されている。
近年、情報伝送の高速化に伴い、電気配線における伝送遅延、消費電力が深刻な問題となってきている。そこで、現在、シリコンフォトニクス技術を用いた高速、低消費電力な情報伝送の実現が望まれている。
しかしながら、従来報告されているシリコン基板上化合物半導体レーザー装置(非特許文献1)には、以下の問題点が挙げられる。
例えば、一般に、作製上生じる誤差によって、半導体レーザー装置、光制御デバイスの動作波長は、設計値から僅かにずれる。実際に作製されたデバイスにおいては、作製精度に対応した、動作波長のずれが生じる。
例えば、半導体レーザー装置、光制御デバイスの動作波長の温度依存性が異なる場合、温度変動が生じると、動作波長にずれが生じる。
例えば、半導体レーザー装置、光制御デバイスの動作波長の温度依存性が全く同一であっても、両者の温度が一致しない場合には、動作波長にずれが生じる。ここで、シリコン基板上光・電子集積回路では、各デバイスからの発熱によって、温度分布が生じるため、各デバイスの温度は必ずしも一致しない。
以上、シリコン基板上半導体レーザー装置としては、入出力特性の温度依存性が小さいこと、出力波長の温度依存性が小さいこと、出力波長の動的な微調整が可能であることが望まれている。
(1)構成要素として、半導体レーザー装置の発光体として機能する量子ドットを有する化合物半導体と、該量子ドットへの電流注入のためのp型化合物半導体、n型化合物半導体、p型電極、n型電極、及び各電極と接続された配線と、該化合物半導体に形成されたグレーティング構造と、該半導体レーザー装置の動的調整機構を構成するシリコン板、電気配線と、該化合物半導体と該シリコン板との間に設けられた該半導体レーザー装置のクラッドとして機能する有機ポリマーと、該シリコン板を支持する低屈折率絶縁性材料と、デバイス支持基板とを含むことを特徴とする半導体レーザー装置。
(2)上記半導体レーザー装置の動的調整機構が、シリコン板、該シリコン板と接続されたヒーター配線から構成されることを特徴とする(1)に記載の半導体レーザー装置。
(3)上記半導体レーザー装置の動的調整機構が、シリコン板、該シリコン板中に配置されたp型シリコン、該シリコン板中に配置されたn型シリコン、p型電極、n型電極、及び各電極と接続された配線から構成されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の半導体レーザー装置。
(4)上記量子ドットが、InAs量子ドットであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の半導体レーザー装置。
(5)上記量子ドットを有する化合物半導体が、GaAs、又はInPであることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の半導体レーザー装置。
(6)上記レーザー装置のクラッドとして機能する有機ポリマーが、BCB樹脂であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の半導体レーザー装置。
(7)上記グレーティング構造が、位相シフトを有するグレーティング構造であることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の半導体レーザー装置。
(8)上記グレーティング構造が、反射鏡としての機能を含むことを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載の半導体レーザー装置。
(9)上記シリコン板が、結晶シリコン、ポリシリコン、又はアモルファスシリコンから形成されることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれかに記載の半導体レーザー装置。
(10)上記シリコン板を支持する低屈折率絶縁性材料が、SiO2、又は有機ポリマーであることを特徴とする(1)乃至(9)のいずれかに記載の半導体レーザー装置。
(11)上記デバイス支持基板が、シリコン基板、又は石英基板であることを特徴とする(1)乃至(10)のいずれかに記載の半導体レーザー装置。
また本発明では、化合物半導体は、有機ポリマーによるウエハ接合法を用いて、デバイス支持基板上に、ハイブリッド集積される。ここで、有機ポリマーによるウエハ接合法は、表面に凹凸を有する基板同士の接合が可能であるという特長がある。
そこで、本発明では、半導体レーザー装置のクラッドとして、有機ポリマーを導入している。有機ポリマー(例えば、BCB樹脂)は、化合物半導体(例えば、GaAs、InP)、シリコン、SiO2と、屈折率の温度依存性(Δn/ΔT、nは屈折率、Tは温度)の符号が異なるという特徴がある。温度が変化した場合、有機ポリマーと、化合物半導体、シリコン、SiO2の屈折率は、それぞれ反対方向にシフトする。有機ポリマーと、化合物半導体、シリコン、SiO2は、グレーティングの動作波長を、それぞれ反対方向にシフトさせようとするので、両者の効果は互いに打ち消し合いを生じる。つまり、有機ポリマーの導入により、グレーティングの動作波長の温度依存性を低減することが可能である。
また本発明では、本構成要素を、温度の動的制御を実施するためのマイクロヒーターとして機能させてもよい。
図1、2に、本発明に係る半導体レーザー装置の一例を示す。
本半導体レーザー装置は、第一の構成要素として、半導体レーザー装置の発光体として機能する量子ドットを有する化合物半導体を含む。例えば、量子ドットとしては、InAs量子ドットを用いればよい。例えば、化合物半導体としては、GaAs、AlGaAs、InP、InGaAsPを用いる。
量子ドットは、キャリア(電子、正孔)を3次元的に閉じ込めることができるため、温度上昇に伴う特性劣化を避けられるという特長がある。つまり、量子ドットの導入により、発光体の温度依存性を低減することが可能である。よって、上記一〜三の構成要素は、特に、入出力特性の温度依存性が小さい半導体レーザー装置の実現に寄与する。
この場合、量子ドット集合体の光学利得の波長依存性は、零に近づく。例えば、量子ドットサイズの不均一性を制御する方法としては、1つの量子ドット層内で量子ドットサイズに不均一性を導入する方法、又は異なる量子ドット層毎に量子ドットサイズに不均一性を導入する方法が挙げられる。
本発明では、量子ドットとして、光学利得の波長依存性が小さい、不均一広がりを有する量子ドット集合体を用いる。
本発明では、第一の構成要素である量子ドットを有する化合物半導体に、温度依存性向上のための、p型ドーピングを実施してもよい。
本発明では、半導体レーザー装置の出力波長は、グレーティング構造に基づき決定される。
ここで、温度変化が生じた場合、熱光学効果によって、屈折率変化が生じる。従って、グレーティングの動作波長にも変化が生じる。一般に、半導体レーザー装置の出力波長は、温度変化に伴って変化するという問題がある。
つまり、有機ポリマーの導入により、グレーティングの動作波長の温度依存性を低減することが可能である。よって、上記一〜六、八の構成要素は、特に、出力波長の温度依存性が小さい半導体レーザー装置の実現に寄与する。
上記六、七の構成要素は、温度の動的制御を実現するためのヒーターとして機能する。特に、本構成要素を用いることにより、シリコン板近傍に配置された有機ポリマーの温度を、効果的に制御することが可能となる。つまり、本構成要素により、グレーティングの動作波長を微調整することが可能となる。よって、上記六、七の構成要素は、特に、出力波長の動的な微調整が可能な半導体レーザー装置の実現に寄与する。
上記五の構成要素である有機ポリマーは、化合物半導体へと熱が流れることを防止する。つまり、量子ドットの温度上昇を抑えながら、有機ポリマー、シリコン板、低屈折率絶縁性材料の温度上昇を効果的に実施することが可能となる。温度の動的制御の際に、発光体である量子ドットの温度上昇を抑えることは、光出力の安定性の観点から、重要と言える。
さらに、シリコン板のサイズを小さくする等の工夫を施すことで、温度の動的制御に要するヒーターの消費電力を低減することが可能である。
以上、本発明により、シリコン基板上半導体レーザー装置に関して、入出力特性の温度依存性が小さい、出力波長の温度依存性が小さい、出力波長の動的な微調整が可能な、半導体レーザー装置を提供することが可能となる。
本発明では、グレーティング構造は、全領域に渡って一様でなくてもよく、付加的な構造変調を施してもよい。例えば、代表的な構造変調としては、位相シフトが挙げられる。
本発明では、グレーティング構造を反射鏡として用いることも可能である(図6)。
例えば、第八の構成要素である低屈折率絶縁性材料として、有機ポリマー(例えば、BCB樹脂)を用いる。
例えば、予め、化合物半導体基板上に、上記五の構成要素となる有機ポリマー、上記六の構成要素となるシリコン板、上記七の構成要素となるヒーター配線を形成した後、第八の構成要素となる有機ポリマーによるウエハ接合工程を実施すれば、図7、8に示すような半導体レーザー装置を実現することができる。但し、図7、8においては、上記五の構成要素となる有機ポリマー上に、シリコン板(シリコンポリシリコン、又はアモルファスシリコン)の下地に適したSiO2膜を導入している。
また上記一例では、上記六の構成要素であるシリコン板を用いるとしたが、本発明では、上記六の構成要素を省略することが可能である。この場合、半導体レーザー装置の動的調整機構は、上記七の構成要素であるヒーター配線によって実現される(図10)。
半導体レーザー装置の動的調整機構として、キャリア数の動的制御を用いる場合には、以下の構成要素を導入すればよい。
本半導体レーザー装置は、第十の構成要素として、p型シリコン、n型シリコンを含む。本構成要素は、上記六の構成要素であるシリコン板中に配置される。
本半導体レーザー装置は、第十一の構成要素として、上記シリコン板への電流注入、又は電界印加のためのp型電極、n型電極、及び各電極と接続された配線を含む。
一般に、図11に示すようなpin接合は、電流注入に基づく屈折率制御法に、図12に示すようなpn接合は、逆バイアス印加による空乏層形成に基づく屈折率制御法に、それぞれ適した構造である。
第一に、量子ドットを有する化合物半導体基板と、SOI(Silicon on Insulator)基板を用意する(図13)。
化合物半導体基板表面に、グレーティング構造を形成する(図14)。
SOI基板上のシリコン層に、加工を施した後、ヒーター配線を形成する(図15)。
化合物半導体基板とSOI基板を、BCB樹脂を用いて接合する。化合物半導体基板の不要となる部材を除去する(図16)。
以上の作製工程を用いることで、図1に示すような本発明に係る半導体レーザー装置を実際に作製することができる。
但し、本発明では、上記以外のその他の作製工程を用いてもよい。例えば、予め、埋め込み再成長技術を用いて、化合物半導体内部にグレーティング構造を形成しておく等が挙げられる。
本発明では、例えば、図1に示すような化合物半導体上への上面二電極構造の導入が用いられる。そこで、実際に、化合物半導体上に上面二電極構造を作製した例を示す。
以上の結果から、図1に示すような化合物半導体上への上面二電極構造の導入が実現可能であることが示された。
Claims (11)
- 構成要素として、半導体レーザー装置の発光体として機能する量子ドットを有する化合物半導体と、該量子ドットへの電流注入のためのp型化合物半導体、n型化合物半導体、p型電極、n型電極、及び各電極と接続された配線と、該化合物半導体に形成されたグレーティング構造と、該半導体レーザー装置の動的調整機構を構成するシリコン板、電気配線と、該化合物半導体と該シリコン板との間に設けられた該半導体レーザー装置のクラッドとして機能する有機ポリマーと、該シリコン板を支持する低屈折率絶縁性材料と、デバイス支持基板と
を含むことを特徴とする半導体レーザー装置。 - 上記半導体レーザー装置の動的調整機構が、シリコン層、該シリコン層と接続されたヒーター配線から構成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザー装置。
- 上記半導体レーザー装置の動的調整機構が、シリコン層、該シリコン層中に配置されたp型シリコン、該シリコン層中に配置されたn型シリコン、p型電極、n型電極、及び各電極と接続された配線から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザー装置。
- 上記量子ドットが、InAs量子ドットであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体レーザー装置。
- 上記量子ドットを有する化合物半導体が、GaAs、又はInPであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体レーザー装置。
- 上記レーザー装置のクラッドとして機能する有機ポリマーが、BCB樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体レーザー装置。
- 上記グレーティング構造が、位相シフトを有するグレーティング構造であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体レーザー装置。
- 上記グレーティング構造が、反射鏡としての機能を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体レーザー装置。
- 上記シリコン層が、結晶シリコン、ポリシリコン、又はアモルファスシリコンから形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体レーザー装置。
- 上記シリコン層を支持する低屈折率絶縁性材料が、SiO2、又は有機ポリマーであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体レーザー装置。
- 上記デバイス支持基板が、シリコン基板、又は石英基板であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の半導体レーザー装置。
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