JP5365450B2 - 膜電極接合体の製造方法及び膜電極接合体の製造装置 - Google Patents
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Description
この熱プレス方式は、枚葉搬送方式に用いられる場合が多いが、ウェブ搬送方式でも用いることは可能である。
一般的にウェブ搬送方式は、枚葉搬送方式よりも生産性が良いが、連続体で成形されるため、高い安定性が求められるという特徴がある。
図中、符号1は膜電極接合体である。この膜電極接合体1は、固体高分子電解質膜2の両面に電極触媒層3を接合した構造となっている。
一般に、電極触媒層3は、固体高分子電解質膜2の表裏面全体を覆った状態で接合するのではなく、固体高分子電解質膜2の外縁部を残した状態で接合する。つまり、固体高分子電解質膜2の面積よりも電極触媒層3の面積の方が小さい。
固体高分子電解質膜に電極触媒層を転写する方式としては、例えば特許文献1及び特許文献2に記載の技術がある。
また、特許文献2に記載の技術では、転写部を有する加熱加圧ロールを用いて、触媒層を上記転写部の形状で固体高分子電解質膜に転写するロールプレス装置において、固体高分子電解質膜へのダメージを軽減するために、加熱加圧ロールの内部に弾性体を配置している。
そこで、本発明は、品質の良い膜電極接合体を製造することができる膜電極接合体の製造方法及び膜電極接合体の製造装置を提供することを課題としている。
また、請求項2に係る膜電極接合体の製造方法は、請求項1に係る発明において、前記狭圧工程において、前記非転写領域を、前記転写領域の加熱温度より低い温度で狭圧することを特徴としている。
さらにまた、請求項5に係る膜電極整合体の製造装置は、請求項4に係る発明において、前記支持体は、前記積層部材を介して前記メインヘッド及び前記サブヘッドにそれぞれ対峙し、前記メインヘッド及び前記サブヘッドの各加圧面とそれぞれ同一形状の受圧面を有するメイン支持体及びサブ支持体から構成され、前記メイン温度調節手段は、前記メインヘッド及び前記メイン支持体を前記転写温度に加熱し、前記サブ温度調節手段は、前記サブヘッド及び前記サブ支持体の温度を、前記転写温度より低い温度に調節することを特徴としている。
さらに、請求項7に係る膜電極接合体の製造装置は、請求項3〜6の何れかに係る発明において、前記支持体の受圧面が、前記メインヘッド及び前記サブヘッドの各加圧面に対して平行又は略平行となるように調整可能な平行度調整手段を備えることを特徴としている。
また、請求項2に係る発明によれば、非転写領域を、転写領域の加熱温度より低い温度で狭圧するので、熱による電解質膜へのダメージを最低限に抑えることができる。
さらにまた、請求項5に係る発明によれば、ヘッドに対峙する支持体を、メインヘッド用とサブヘッド用とでそれぞれ別の支持体で構成するので、転写領域と非転写領域とで、温度や加圧力を個別に調整可能となる。そのため、効果的に電解質膜へのダメージを抑えることができる。
さらに、請求項7に係る発明によれば、支持体の受圧面がヘッドの加圧面に対して平行又は略平行となるように調整可能な構成とするので、ヘッドと支持体との当たりを容易に調整することができる。そのため、段取り時間を短縮することが可能となる。
(第1の実施形態)
(構成)
図1は、本発明における膜電極接合体の製造装置としての触媒転写装置の一例を示す図である。
図中、符号10は触媒転写装置である。この触媒転写装置10は、固体高分子型燃料電池に用いられる膜電極接合体(Membrane and Electrolyte Assembly:MEA)を作製する装置である。
燃料極:H2→2H++2e- ………(1)
空気極:(1/2)O2+2H++2e-→H2O ………(2)
燃料極および空気極は、電極触媒層とガス拡散層とが積層した構造からなり、各電極触媒層が固体高分子電解質膜を挟んで対向配置されることで燃料電池を構成する。この固体高分子電解質膜の両面に一対の電極触媒層を配置させた接合体を膜電極接合体(MEA)という。
燃料極においては、供給された燃料中に含まれる水素が上記(1)式に示されるように水素イオンと電子になる。このうち、水素イオンは固体高分子電解質膜の内部を空気極に向かって移動し、電子は外部回路を通って空気極に移動する。
このように、外部回路では燃料極から空気極に向かって電子が移動するため、電力が取り出される。
膜電極接合体の作製には、フィルム等の転写基材上に電極触媒層を形成した触媒層形成膜(所謂、転写シート)から、電解触媒層を固体高分子電解質膜に熱転写する方法を用いる。
メインヘッド11及びサブヘッド12,13はそれぞれ加圧面11a及び12a,13aを有し、各加圧面11a〜13aが同一方向を向くように各ヘッド11〜13を配置する。また、メイン支持体14及びサブ支持体15,16はそれぞれ上記加圧面11a〜13aに対向する受圧面14a〜16aを有する。各受圧面14a〜16aは、対向する加圧面11a〜13aとそれぞれ同一形状とする。
温度調節機構32及び33は、サブヘッド12,13及びサブ支持体15,16を加熱又は冷却する機構であり、本実施形態では、サブヘッド12,13及びサブ支持体15,16の温度を、メインヘッド11及びメイン支持体14の温度より低く設定する。
したがって、メインヘッド11の加圧面は、電極触媒部3を固体高分子電解質膜2に転写したい大きさ及び形状に設定する。
ここで、非転写領域で固体高分子電解質膜2と触媒層形成膜4とを狭圧する際の温度及び加圧力は、加圧機構22,23及び温度調節機構32,33によって設定されている。
なお、図1において、加圧機構21がメイン加圧手段に対応し、加圧機構22及び23がサブ加圧手段に対応し、温度調節機構31がメイン温度調節手段に対応し、温度調節機構32及び33がサブ温度調節手段に対応し、エアージャイロ41〜43が平行度調整手段に対応している。
次に、本実施形態における動作について図2を参照しながら説明する。
図2は、膜電極接合体の作製手順を示すフローチャートである。
先ず、触媒層形成膜4を準備する(ステップS1)。ここでは、例えば、電極触媒層3を構成する触媒インクをフィルム等の転写基材上に塗布し、次いで乾燥させることで、触媒層形成膜4を作製する。
さらに、各支持体14〜16の受圧面14a〜16aが、各ヘッド11〜13の加圧面11a〜13aに対して平行となるように、各支持体14〜16の傾きを調整する。はじめに、エアージャイロ41〜43を緩めておき、一度各ヘッド11〜13を加圧機構21〜23によって各支持体14〜16側に押し当てる。このとき、エアージャイロ41〜43により各支持体14〜16はそれぞれのヘッド11〜13の傾きに合わせて微調整される。この状態でエアージャイロ41〜43を固定する。これにより、各ヘッド11〜13と各支持体14〜16との当たりを簡易的に合わせることができる。なお、各支持体14〜16の傾きを調整する動作は、初期設定時のみ行うものとする。
このように、メインヘッド11の外周部、つまり固体高分子電解質膜2の外縁部(非転写領域)をメインヘッド11より低い圧力・低い温度で押さえながら、メインヘッド11とメイン支持体14とによって、電極触媒層3が固体高分子電解質膜2の転写領域に転写する。
すなわち、転写領域と非転写領域とで圧力差および温度差を少なくした状態で、転写領域の熱転写を行うことができる。したがって、プレス時に固体高分子電解質膜2にダメージや撚れを防止することができる。
次に転写終了判断を行い(ステップS7)、連続して転写を行うと判断した場合には、固定高分子電解質膜2と触媒層形成膜4とを積層した積層部材を搬送又は入れ替え、上記の加熱・加圧処理以降の動作を繰り返す。
このようにして、膜電極接合体1を作製する。
こうして作製した膜電極接合体1は、固体高分子型燃料電池に用いられる。
本実施形態における固体高分子型燃料電池にあっては、上述した方法により作製した膜電極接合体1の一対の電極触媒層3にそれぞれ対向して、空気極側ガス拡散層5および燃料極側ガス拡散層6を配置する。空気極側ガス拡散層5側に配置した電極触媒層3と空気極側ガス拡散層5とにより、空気極7が構成され、燃料極側ガス拡散層6側に配置した電極触媒層3と燃料極側ガス拡散層6とにより、電気極8が構成される。
空気極7側のセパレータ9のガス流路9aからは、酸化剤ガスとして、例えば酸素を含むガスが供給される。一方、燃料極8側のセパレータ9のガス流路9aからは、燃料ガスとして、例えば水素ガスが供給される。
この図4に示す固体高分子型燃料電池は、1組のセパレータ9によって固体高分子電解質膜2、電極触媒層3、ガス拡散層5,6が狭持された、いわゆる単セル構造の固体高分子型燃料電池であるが、セパレータ9を介して複数のセルを積層して燃料電池とすることもできる。
このように、本実施形態では、電極触媒層の熱転写工程において、転写領域(固体高分子電解質膜の中央部分)に隣接する非転写領域(固体高分子電解質膜の外縁部分)を狭圧しながら、転写領域を熱転写に必要な温度・加圧力で加熱・加圧する。このとき、非転写領域に、転写領域に付与する加圧力より低い加圧力を付与することで、転写領域と非転写領域とで付与される加圧力の差を縮小することができる。その結果、転写領域と非転写領域との境界部における電解質膜のダメージを軽減することができ、しわの無い転写が可能となる。
さらに、温度調節機構でメインヘッドの温度とサブヘッドとの温度を個別に調整可能な構成とするので、転写領域と非転写領域との温度差を調節することができる。
さらに、各支持体の傾きを調節する平行度調節機構としてエアージャイロを設けるので、各ヘッドと各支持体との当たりを容易に調節することができ、機構の簡易化と段取り時間の短縮とを実現可能となる。
このように、比較的簡易な構成で、効果的に品質のよい膜電極接合体を連続して得ることができる。
なお、上記実施形態においては、加圧機構21〜23によって、メインヘッド11とサブヘッド12,13とを同時に駆動する場合について説明したが、少なくともメインヘッド11による熱転写工程の実行中に、サブヘッド12,13による狭圧工程を行えばよい。したがって、メインヘッド11による熱転写工程の開始前に、サブヘッド12,13による狭圧工程を行っていてもよい。
Claims (7)
- 電解質膜の表面に電極触媒層を接合した膜電極接合体の製造方法であって、
前記電極触媒層を転写基材上に形成した触媒層形成基材を準備する準備工程と、
前記電極触媒層が前記電解質膜の表面と対向するように、前記触媒層形成基材を配置する配置工程と、
前記触媒層形成基材と前記電解質膜とを、前記電解質膜上の任意の転写領域で加熱圧着して、前記電解質膜上の前記転写領域に前記電極触媒層を熱転写する熱転写工程と、
少なくとも前記熱転写工程の実行中に、前記触媒層形成基材と前記電解質膜とを、前記転写領域に隣接する、前記電解質膜上の前記電極触媒層を転写しない非転写領域において、前記転写領域に与える圧力より低い圧力で狭圧する狭圧工程と、を備えることを特徴とする膜電極接合体の製造方法。 - 前記狭圧工程において、前記非転写領域を、前記転写領域の加熱温度より低い温度で狭圧することを特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体の製造方法。
- 電解質膜の表面に電極触媒層を接合した膜電極接合体の製造装置であって、
任意形状の加圧面を有するメインヘッドと、
加圧面を有し、当該加圧面を前記メインヘッドの加圧面と同一方向に向けて前記メインヘッドに隣接して配置するサブヘッドと、
前記電極触媒層を転写基材上に形成した触媒層形成基材と前記電解質膜とを、前記電極触媒層が前記電解質膜の表面と対向するように積層した積層部材を介して、前記メインヘッド及び前記サブヘッドの各加圧面に対峙する受圧面を有する支持体と、
前記メインヘッドを所定の転写温度に加熱するメイン温度調節手段と、
前記積層部材に、前記メインヘッドの加圧面を、前記電極触媒層を前記電解質膜上に転写可能な加圧力で圧接することで、前記積層部材を前記メインヘッドと前記支持体とで狭圧するメイン加圧手段と、
前記積層部材に、前記サブヘッドの加圧面を、前記メインヘッドの前記積層部材に対する加圧力より低い加圧力で圧接することで、前記積層部材を前記サブヘッドと前記支持体とで狭圧するサブ加圧手段と、を備えることを特徴とする膜電極接合体の製造装置。 - 前記サブヘッドの温度を、前記転写温度より低い温度に調節するサブ温度調節手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の膜電極接合体の製造装置。
- 前記支持体は、前記積層部材を介して前記メインヘッド及び前記サブヘッドにそれぞれ対峙し、前記メインヘッド及び前記サブヘッドの各加圧面とそれぞれ同一形状の受圧面を有するメイン支持体及びサブ支持体から構成され、
前記メイン温度調節手段は、前記メインヘッド及び前記メイン支持体を前記転写温度に加熱し、
前記サブ温度調節手段は、前記サブヘッド及び前記サブ支持体の温度を、前記転写温度より低い温度に調節することを特徴とする請求項4に記載の膜電極接合体の製造装置。 - 前記支持体は、前記メインヘッド及び前記サブヘッドの加圧面と同等以上の大きさの受圧面を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の膜電極接合体の製造装置。
- 前記支持体の受圧面が、前記メインヘッド及び前記サブヘッドの各加圧面に対して平行又は略平行となるように調整可能な平行度調整手段を備えることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載の膜電極接合体の製造装置。
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