JP5364733B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

本発明は車両用空調装置に関し、例えば電気自動車用のヒートポンプサイクルを備えた車両用空調装置に関する。
この種の車両用空調装置には、例えば電気自動車用のヒートポンプサイクルを備えた空調装置があり、ヒートポンプサイクルの切り換えによって冷暖房運転、除湿運転を行うものが開示されている(例えば特許文献1参照)。
当該ヒートポンプサイクルには、冷媒配管に、第1膨張弁、第1熱交換器、圧縮機、第2熱交換器、第2膨張弁、及び冷媒と外気とを熱交換する室外熱交換器が順次に介挿されるとともに、暖房運転時に第1膨張弁及び第1熱交換器をバイパスする第1バイパス路、冷房運転時に第2膨張弁をバイパスする第2バイパス路とが冷媒流路に接続された構成が考えられる。
特許第3321907号公報
上記ヒートポンプサイクルでは、室外熱交換器は冷房運転時には冷媒から外気に放熱させる凝縮器として使用され、暖房運転時には外気から冷媒に吸熱させる蒸発器として使用される。しかし、室外熱交換器を凝縮器として使用する場合と蒸発器として使用する場合とでは、室外熱交換器内における冷媒の状態が異なるため、室外熱交換器の入口側と出口側との冷媒圧力損失が大きく異なることとなる。
具体的には、空調装置の冷房性能を確保するために、室外熱交換器の凝縮器としての機能を優先すると、暖房運転時には、蒸発器として機能する室外熱交換器における圧力損失が大きくなり、空調装置の効率が著しく低下するとの問題が生じる。
そこで、暖房運転時の室外熱交換器における蒸発器の機能補助のために、上記従来技術に記載のような電気ヒータを別途に設けている。
しかしながら、電気自動車に電気ヒータを設けると、車両の消費電力が大きくなり、車両の航続距離が短くなるおそれがある。
また、冬季の暖房運転時における外気温度は0℃以下となることも珍しくないが、外気から吸熱するためには室外熱交換器内の冷媒温度を外気温度未満まで低下させる必要があり、このような場合には車室内における熱負荷が大きくなるため、暖房運転時には多くの熱量が必要となり、ヒートポンプサイクルにおいて循環させる冷媒流量を増大させる必要がある。
更に、外気温度が低い場合には、特に冷媒としてフロン系冷媒を使用すると、外気温度における冷媒の飽和蒸気圧が大気圧や負圧相当まで低下するおそれがある。冷媒圧力が大気圧や負圧になると、ヒートポンプサイクルの冷媒配管内に外部の空気、水分、埃等が侵入するおそれがあるため、一般には大気圧よりも大きい冷媒圧力で装置を運転する。
しかしながら、暖房運転時にヒートポンプサイクルにおいて循環させる冷媒流量を増大しながら、室外熱交換器の出口側における出口冷媒圧力を大気圧よりも大きくなるようにヒートポンプサイクルを制御して運転すると、室外熱交換器の入口側の入口冷媒圧力に対応する飽和温度が外気温度よりも高くなり、室外熱交換器の入口側では冷媒から外気へ対する放熱が発生し、冷媒循環量の増大も相俟って、蒸発器としての室外熱交換器の効率が著しく低下するとの問題が生じる。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、暖房運転時における高効率運転を実現することができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1記載の車両用空調装置は、空気流路中に配設されている熱交換器により温調された空気を車室内に吹き出すHVACユニットと、冷媒流路に、圧縮機、熱交換器、膨張弁、及び冷媒と外気とを熱交換する室外熱交換器が順次介挿されたヒートポンプサイクルと、外気温度を検出する外気温度検出手段と、室外熱交換器の入口側における入口冷媒状態値を検出する入口冷媒状態検出手段と、外気温度検出手段で検出された外気温度に基づいて外気における外気冷媒状態値を検出する外気冷媒状態検出手段と、外気温度検出手段で検出された外気温度における室外熱交換器での許容圧力損失を推定する許容圧力損失推定手段と、許容圧力損失推定手段で推定した許容圧力損失に基づいて室外熱交換器を流れる許容冷媒流量を推定する許容冷媒流量推定手段と、外気温度検出手段で検出された外気温度、許容冷媒流量推定手段で検出された許容冷媒流量に基づいて冷媒温度が外気温度未満、且つ、冷媒流量が許容冷媒流量以下となる冷媒流量範囲を設定する冷媒流量範囲設定手段と、入口冷媒状態検出手段で検出された入口冷媒状態値が外気冷媒状態検出手段で検出された外気冷媒状態値以上となるときには、冷媒流量範囲設定手段で設定された冷媒流量範囲内で冷媒流量を制御する冷媒流量制御手段とを備えることを特徴としている。
請求項2記載の発明は、入口冷媒状態検出手段は、入口冷媒状態値として室外熱交換器の入口側における入口冷媒温度を検出し、外気冷媒状態検出手段は、外気冷媒状態値として外気温度検出手段で検出された外気温度を検出し、冷媒流量制御手段は、入口冷媒温度が外気温度以上となるときには、冷媒流量制御範囲内で冷媒流量を制御することを特徴としている。
請求項3記載の発明は、入口冷媒状態検出手段は、入口冷媒状態値として室外熱交換器の入口側における入口冷媒圧力を検出し、外気冷媒状態検出手段は、外気冷媒状態値として外気温度検出手段で検出された外気温度における冷媒の飽和蒸気圧力を検出し、冷媒流量制御手段は、入口冷媒圧力が飽和蒸気圧力以上となるときには、冷媒流量制御範囲内で冷媒流量を制御することを特徴としている。
請求項4記載の発明は、圧縮機の吸入側における吸入冷媒温度及び吸入冷媒圧力を検出する吸入冷媒状態検出手段と、吸入冷媒状態検出手段で検出された吸入冷媒温度及び吸入冷媒圧力に基づいて圧縮機の吸入側における吸入冷媒密度を推定する吸入冷媒密度推定手段と、圧縮機の回転数を検出する回転数検出手段と、吸入冷媒状態検出手段で検出された吸入冷媒密度、回転数検出手段で検出された回転数に基づいて冷媒流路を循環する冷媒流量を推定する冷媒流量推定手段と、冷媒流量推定手段で推定された冷媒流量に基づいて室外熱交換器における冷媒圧力損失を推定する冷媒圧力損失推定手段と、外気温度検出手段で検出された外気温度、冷媒流量推定手段で推定された冷媒流量に基づいて室外熱交換器の出口側における出口冷媒圧力を検出する出口冷媒圧力検出手段と、入口冷媒状態検出手段は、冷媒圧力損失推定手段で推定された冷媒圧力損失と出口冷媒圧力検出手段で検出された出口冷媒圧力との和を推定された入口冷媒圧力として検出することを特徴としている。
請求項5記載の発明は、圧縮機の吸入側における吸入冷媒圧力を検出する吸入冷媒圧力検出手段を備え、冷媒流量制御手段は、吸入冷媒圧力検出手段で検出された吸入冷媒圧力が大気圧より大となるように冷媒流量を制御することを特徴としている。
請求項6記載の発明は、冷媒流量制御手段は、膨張弁の開度を制御することにより冷媒流量を制御する膨張弁開度制御を行うことを特徴としている。
請求項7記載の発明は、冷媒流量制御手段は、圧縮機の吐出容量を制御することにより冷媒流量を制御する圧縮機吐出容量制御を行うことを特徴としている。
請求項1記載の車両用空調装置によれば、室外熱交換器の入口冷媒状態値が外気冷媒状態検出手段で検出された外気冷媒状態値以上となるときには、冷媒流量範囲設定手段で設定された冷媒流量範囲内で冷媒流量を制御する冷媒流量制御手段を備える。これにより、車両用空調装置の暖房運転時において、常に冷媒温度が外気温度未満、且つ、冷媒流量が許容冷媒流量以下となる冷媒流量範囲内でヒートポンプサイクルを運転することが可能となるため、暖房運転時であっても室外熱交換器における圧力損失を小さくすることができ、暖房運転時における車両用空調装置の高効率運転を実現することができる。
請求項2記載の発明によれば、具体的には、冷媒流量制御手段は、入口冷媒温度が外気温度以上となるときには、冷媒流量制御範囲内で冷媒流量を制御する。
請求項3記載の発明によれば、具体的には、入口冷媒圧力が飽和蒸気圧力以上となるときには、冷媒流量制御範囲内で冷媒流量を制御する。
請求項4記載の発明によれば、入口冷媒状態検出手段は、冷媒圧力損失推定手段で推定された冷媒圧力損失と出口冷媒圧力検出手段で検出された出口冷媒圧力との和を推定された入口冷媒圧力として検出することにより、入口冷媒状態を検出するためのセンサを設けなくとも、冷媒流量制御手段による冷媒流量制御の要否を判定することができるため、より一層簡単な構成で車両用空調装置の高効率運転を実現することができる。
請求項5記載の発明によれば、冷媒流量制御手段は、吸入冷媒圧力検出手段で検出された吸入冷媒圧力が大気圧より大となるように冷媒流量を制御することにより、ヒートポンプサイクルの負圧運転を防止することができるため、ヒートポンプサイクルの冷媒流路内への空気、水分、埃等の侵入を確実に防止することができ、車両用空調装置の高効率運転を確実に実現することができる。
請求項6記載の発明によれば、具体的には、冷媒流量制御手段は、膨張弁の開度を制御することにより冷媒流量を制御する膨張弁開度制御を行う。
請求項7記載の発明によれば、具体的には、冷媒流量制御手段は、圧縮機の吐出容量を制御することにより冷媒流量を制御する圧縮機吐出容量制御を行う。
本発明の第1実施形態に係る車両用空調装置の暖房運転時における状態を示した構成図である。 図1の車両用空調装置の冷房運転時における状態を示した構成図である。 図1の制御ユニットにおいて実行される冷媒流量制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。 外気温度と室外熱交換器における許容圧力損失との関係を示した図である。 室外熱交換器における許容冷媒流量と許容圧力損失との関係を示した図である。 室外熱交換器における冷媒流量と入口冷媒温度との関係を示した図である。 本発明の第2実施形態に係る車両用空調装置の暖房運転時における状態を示した構成図である。 図7の車両用空調装置の冷房運転時における状態を示した構成図である。 図8の制御ユニットにおいて実行される冷媒流量制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
[第1実施形態]
以下に本発明の第1実施形態に係る車両用空調装置1について図1〜図6を参照して説明する。
図1は車両用空調装置1の暖房運転時における状態を示した構成図であり、図2は車両用空調装置1の冷房運転時における状態を示した構成図である。
車両用空調装置1は、例えば電気自動車の車室内に配設され、車室内空気(内気)または車外空気(外気)を取り込んで温調し、それを車室内に吹き出すHVACユニット(Heating Ventilation and Air Conditioning Unit)2と、車室外に配設され、フロン系冷媒を介してHVACユニット2との熱交換を行うヒートポンプサイクル4と、車室外に配設され、車両駆動用の電気モータ6を冷却する冷却回路8とから構成されている。
HVACユニット2は、空気流路10を形成するハウジング12と、空気流路10の上流側に形成され、ハウジング12内に内気を取り込む内気取り込み口14、及びハウジング12内に外気を取り込む外気取り込み口16、各取り込み口14,16を開閉して切り換える内外気切換ダンパ18と、空気流路10の上流側に接続され、取り込んだ内気または外気を送風するブロア20と、空気流路10における送風方向に順次配設された第1熱交換器22、エアミックスダンパ24、及び第2熱交換器(熱交換器)26と、空気流路10の下流側に形成され、第1熱交換器22、エアミックスダンパ24、及び第2熱交換器26により温調された空気を車室内に吹き出すデフ吹き出し口28、フェース吹き出し口30、及びフット吹き出し口32と、各吹き出し口28,30,32をそれぞれ開閉するデフダンパ34、フェースダンパ36、及びフットダンパ38と、を備えている。
ヒートポンプサイクル4は、フロン系冷媒である例えばR1234yfが循環する冷媒配管(冷媒流路)40に、冷媒を断熱膨張させる第1膨張弁42、HVACユニット2に設けられている上記第1熱交換器22、冷媒を圧縮する電動圧縮機(圧縮機)44、HVACユニット2に設けられている上記第2熱交換器26、冷媒を断熱膨張させる第2膨張弁(膨張弁)46、及び、車室外に配置され、車両前面からの車両の走行風を受けて冷媒と外気とを熱交換する室外熱交換器48が順次介挿された閉サイクルの冷媒回路によって構成されている。冷媒配管40には、暖房運転時には第1膨張弁42及び第1熱交換器22をバイパスする第1バイパス配管50と、冷房運転時には第2膨張弁46をバイパスする第2バイパス配管52とが接続されている。第1バイパス配管50、第2バイパス配管52にはそれぞれ第1電磁弁54、第2電磁弁56が介挿されている。
車室外には、外気温度を検出する外気温度センサ(外気温度検出手段、外気冷媒状態検出手段)58が設けられ、室外熱交換器48の入口側の冷媒配管40には、室外熱交換器48の入口冷媒温度(入口冷媒状態値)を検出する入口冷媒温度センサ(入口冷媒状態検出手段)60が設けられ、圧縮機44の吸入側の冷媒配管40には、圧縮機44の吸入冷媒圧力を検出する吸入冷媒圧力センサ(吸入冷媒圧力検出手段)62が設けられている。そして、上記各電磁弁54,56、各膨張弁42,46、各センサ58,60,62、及び圧縮機44は制御ユニット(冷媒流量制御手段)63に電気的に接続されている。
一方、冷却水回路8は、冷却水が循環する冷却水配管64にモータ6を冷却するラジエータ66が介挿された閉サイクル回路によって構成され、ラジエータ66に送風するためのファン68を備えている。
以下に上記の構成を有する車両用空調装置1の動作について説明する。
(通常の暖房運転時)
図1に示す暖房運転時には、第1電磁弁54は開弁されて第1膨張弁42及び第1熱交換器22はバイパスされ、第2電磁弁56は閉弁され、冷媒は冷媒配管40を図1の実線矢印で示されるように循環し、ヒートポンプサイクル4をヒートポンプ運転される。一方、HVACユニット2では、第1熱交換器22がバイパスされていることによりここでは冷媒と空気との熱交換は行われないが、エアミックスダンパ24が開放されていることにより、空気流路10では矢印で示されるように第2熱交換器26に空気が流入し、第2熱交換器26では冷媒と空気との熱交換が行われる。
ヒートポンプサイクル4では、先ず圧縮機44で圧縮された高温高圧のガス冷媒が第2熱交換器26に流入し、各取り込み口14,16から空気流路10に取り込まれた空気との熱交換により冷却されて凝縮液化される。このとき、第2熱交換器26において加熱された空気は各吹き出し口28,30,32から吹き出され、車室内の暖房に供される。
第2熱交換器26で凝縮された冷媒は、第2膨張弁46で断熱膨張、減圧された後、気液二相冷媒となって室外熱交換器48に流入する。この気液二相冷媒は、室外熱交換器48において、ファン68により送風される外気、または/及び、車両が受ける走行風による外気から吸熱して蒸発ガス化された後、第1電磁弁54を経て圧縮機44に吸入され、再び圧縮される。
(冷房運転時)
図2に示す冷房運転時には、第1電磁弁54は閉弁され、第2電磁弁56は開弁されて第2膨張弁46はバイパスされ、冷媒は冷媒配管40を図2の実線矢印で示されるように循環する。一方、HVACユニット2では、エアミックスダンパ24が閉鎖されていることにより、空気流路10では矢印で示されるように第2熱交換器26に空気の流入が阻止され、第2熱交換器26を流れる冷媒と空気流路10を流れる空気との熱交換は行われない。また、第1電磁弁54は閉弁されていることにより、空気流路10では矢印で示されるように第1熱交換器22に空気が流入し、第1熱交換器22を流れる冷媒と空気流路10を流れる空気との熱交換が行われる。
ヒートポンプサイクル4では、先ず圧縮機44で圧縮された高温高圧のガス冷媒が第2熱交換器26に流入するが、エアミックスダンパ24の閉鎖により空気との熱交換は行われず、そのまま第2電磁弁56を通過するだけで室外熱交換器48に流入する。この高温高圧のガス冷媒は、外気に放熱し、第1膨張弁42に流入して断熱膨張、減圧された後、第1熱交換器22に流入する。第1熱交換器22に流入した冷媒は各取り込み口14,16から空気流路10に取り込まれた空気との熱交換により加熱されて蒸発ガス化される。このとき、第1熱交換器22において冷却された空気は各吹き出し口28,30,32から吹き出され、車室内の冷房に供される。そして、第1熱交換器22を経た冷媒は圧縮機44に吸入され、再び圧縮される。
(外気温度が0℃以下の暖房運転時)
この場合には、所定の冷媒流量制御範囲A内で冷媒流量を制御する冷媒流量制御(冷媒流量制御手段)を行う。
以下、図3のフローチャートを参照して、制御ユニット63において実行される上記冷媒流量制御の制御ルーチンについて説明する。
先ず、本制御が開始されるとS1(Sはステップを表し、以下同様とする。)に移行し、S1では、各センサ58,60,62のセンサ値の読み込みを行い、S2に移行する。
S2では、入口冷媒温度センサ60で検出された入口冷媒温度Teiが外気温度センサで検出された外気温度To以上であるか否かを判定し、判定結果が(No)で入口冷媒温度Teiが外気温度センサで検出された外気温度To以上でないと判定された場合にはS1に戻って上記通常の暖房運転を行う。一方、判定結果が(Yes)で入口冷媒温度Teiが外気温度センサで検出された外気温度To以上であると判定された場合にはS3に移行する。
S3では、吸入冷媒圧力センサ62で検出された吸入冷媒圧力Pcsが大気圧よりも大きくなるように目標吸入冷媒圧力Pcstを0MPaGよりも大きく設定して圧縮機44を制御し、S4に移行する。
S4では、第2膨張弁46の開度を制御する膨張弁開度制御、或いは/及び、圧縮機44の吐出容量を制御する圧縮機吐出容量制御を行い、吸入冷媒圧力Pcs>0MPaGで、且つ冷媒流量Fが所定の冷媒流量範囲Aで制御されるように冷媒流量を制御した後、再びS1に戻り、以下所定の周期でS1〜S4のステップを繰り返し実行する。
ここで、冷媒流量範囲Aは制御ユニット63に格納された図4〜図6に基づくマップを参照して決定される。図4は、外気温度センサ58で検出された外気温度Toと室外熱交換器48における許容圧力損失ΔPeaとの関係を示し、図5は、室外熱交換器48における許容冷媒流量Feaと許容圧力損失ΔPeaとの関係を示し、図6は、室外熱交換器48における冷媒流量Fと入口冷媒温度Teiとの関係を示している。
先ず、図4では、外気温度センサ58で検出された外気温度Toにおける室外熱交換器48での許容圧力損失ΔPeaを推定する(許容圧力損失推定手段)。次に、図5では、図4で推定した許容圧力損失ΔPeaに基づいて室外熱交換器48を流れる冷媒の許容冷媒流量Feaを推定する(許容冷媒流量推定手段)。次に、図6では、外気温度センサ58で検出された外気温度Toと、図5で推定された許容冷媒流量Feaに基づいて入口冷媒温度Teiが外気温度To未満、且つ、冷媒流量Fが許容冷媒流量Fea以下となる冷媒流量範囲Aを設定する(冷媒流量範囲設定手段)。そして、このように設定された冷媒流量範囲A内において上記冷媒流量制御が行われる。
以上のように本実施形態では、上記冷媒流量制御を行うことにより、凝縮器として機能するように設計された熱交換器であっても、車両用空調装置の暖房運転時において、入口冷媒温度Teiが外気温度To未満、且つ、冷媒流量Fが許容冷媒流量Fea以下となる冷媒流量範囲A内でヒートポンプサイクル4を運転することが可能となるため、暖房運転時であっても室外熱交換器48における圧力損失ΔPeを小さくすることができ、暖房運転時における車両用空調装置1の高効率運転を実現することができる。
また、上記冷媒流量制御では、S4において、吸入冷媒圧力センサ62で検出された吸入冷媒圧力Pcsが大気圧よりも大きくなるように目標吸入冷媒圧力Pcstを0MPaGよりも大きく設定して圧縮機44を制御することにより、ヒートポンプサイクル4の負圧運転を防止することができるため、ヒートポンプサイクル4の冷媒配管40内への空気、水分、埃等の侵入を確実に防止することができ、車両用空調装置1の高効率運転を確実に実現することができる。
[第2実施形態]
以下に本発明の第2実施形態に係る車両用空調装置70について図7〜図9を参照して説明する。
図7は車両用空調装置70の暖房運転時における構成を示した図であり、図8は車両用空調装置70の冷房運転時における構成を示した図である。
車両用空調装置70は、第1実施形態の入口冷媒温度センサ60を備えておらず、また、第1実施形態の吸入冷媒圧力センサ62は圧縮機44の吸入側における冷媒圧力及び冷媒温度を検出可能な吸入冷媒温度圧力センサ(吸入冷媒状態検出手段)72に変更され、更に、圧縮機44の回転数Ncを検出する回転数センサ(回転数検出手段)74を備えている。その他の第1実施形態と同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
(外気温度が0℃以下の暖房運転時)
この場合には、第1実施形態の場合と同様に冷媒流量制御範囲A内で冷媒流量を制御する冷媒流量制御(冷媒流量制御手段)を行う。
以下、図9のフローチャートを参照して、制御ユニット63において実行される第2実施形態の冷媒流量制御の制御ルーチンについて説明する。
先ず、本制御が開始されるとS11に移行し、S11では、各センサ58,72のセンサ値の読み込みを行い、S12に移行する。
S12では、吸入冷媒温度圧力センサ72で検出された吸入冷媒温度Tcs及び吸入冷媒圧力Pcsに基づいて圧縮機44の吸入側における吸入冷媒密度Dcsを演算により算出した後(吸入冷媒密度推定手段)、S13に移行する。
S13では、回転数センサ74で圧縮機44の回転数Ncを計測した後、S14に移行する。
S14では、S12で算出された吸入冷媒密度Dcs、S13で計測された回転数Ncに基づいて冷媒配管を循環する冷媒流量Fを演算により算出した後(冷媒流量推定手段)、S15に移行する。
S15では、図5に基づくマップを参照し、S14で推定された冷媒流量Fに基づいて室外熱交換器48における冷媒圧力損失ΔPeを推定した後(冷媒圧力損失推定手段)、S16に移行する。
S16では、図6に基づくマップを参照し、S11で読み込まれた外気温度To、S14で推定された冷媒流量F、室外熱交換器48の出口側における出口冷媒圧力Peeは吸入冷媒圧力センサ72で検出した圧力値と同値とみなし(出口冷媒圧力検出手段)、更に、S15で推定された冷媒圧力損失ΔPeeと吸入冷媒圧力センサ72で検知した圧力値との和を入口冷媒圧力Peiとして推定する(入口冷媒状態検出手段)。
そして、S12で読み込まれた外気温度Toにおける冷媒の冷媒飽和蒸気圧力Poを演算により算出し、入口冷媒圧力Peiが冷媒飽和蒸気圧力Po以上であるか否かを判定し、判定結果が(No)で入口冷媒圧力Peiが冷媒飽和蒸気圧力Po以上でないと判定された場合にはS11に戻り、判定結果が(Yes)で入口冷媒圧力Peiが冷媒飽和蒸気圧力Po以上であると判定された場合にはS17に移行する。
S17では、吸入冷媒圧力センサ62で検出された吸入冷媒圧力Pcsが大気圧よりも大きくなるように目標吸入冷媒圧力Pcstを0MPaGよりも大きく設定し、S18に移行する。
S18では、第2膨張弁46の開度を制御する膨張弁開度制御、或いは/及び、圧縮機44の吐出容量を制御する圧縮機吐出容量制御を行い、吸入冷媒圧力Pcs>0MPaGで、且つ冷媒流量Fが図6の冷媒流量範囲Aで制御されるように冷媒流量を制御した後、再びS11に戻り、以下所定の周期でS11〜S18のステップを繰り返し実行する。
以上のように本実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、凝縮器として機能するように設計された熱交換器であっても、上記冷媒流量制御を行うことにより暖房運転時であっても室外熱交換器48における圧力損失ΔPeを小さくすることができ、また、ヒートポンプサイクル4の冷媒配管40内への空気、水分、埃等の侵入を確実に防止することができ、暖房運転時における車両用空調装置1の高効率運転を実現することができる。
特に本実施形態の場合には、S15で推定された冷媒圧力損失ΔPeとS16で推定された出口冷媒圧力Peeとの和を入口冷媒圧力Peiとして推定し、入口冷媒圧力Peiが冷媒飽和蒸気圧力Po以上であると判定された場合に上記冷媒流量制御を実施することにより、入口冷媒圧力Peiを検出するためのセンサを設けなくとも、冷媒流量制御の要否を判定することができるため、より一層簡単な構成で車両用空調装置1の高効率運転を実現することができる。
以上で本発明の実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
例えば、図4〜図6の関係図は室外熱交換器48の仕様によって勾配が変化するものであり、これらの図に限定されない。
また、本発明は電気自動車に適用するのが最も好適であるが、エンジンの廃熱がさほど多くない、ハイブリッド自動車やディーゼルエンジンを搭載してディーゼル車にも好適である。
1,70 車両用空調装置
2 HVACユニット
4 ヒートポンプサイクル
10 空気流路
26 第2熱交換器(熱交換器)
40 冷媒配管(冷媒流路)
44 電動圧縮機(圧縮機)
46 第2膨張弁(膨張弁)
48 室外熱交換器
58 外気温度センサ(外気温度検出手段、外気冷媒状態検出手段)
60 入口冷媒温度センサ(入口冷媒状態検出手段)
62 吸入冷媒圧力センサ(吸入冷媒圧力検出手段)
63 制御ユニット(冷媒流量制御手段)
72 吸入冷媒温度圧力センサ(吸入冷媒状態検出手段)
74 回転数センサ(回転数検出手段)

Claims (7)

  1. 空気流路中に配設されている熱交換器により温調された空気を車室内に吹き出すHVACユニットと、
    冷媒流路に、圧縮機、前記熱交換器、膨張弁、及び冷媒と外気とを熱交換する室外熱交換器が順次介挿されたヒートポンプサイクルと、
    外気温度を検出する外気温度検出手段と、
    前記室外熱交換器の入口側における入口冷媒状態値を検出する入口冷媒状態検出手段と、
    前記外気温度検出手段で検出された外気温度に基づいて外気における外気冷媒状態値を検出する外気冷媒状態検出手段と、
    前記外気温度検出手段で検出された外気温度における前記室外熱交換器での許容圧力損失を推定する許容圧力損失推定手段と、
    前記許容圧力損失推定手段で推定した許容圧力損失に基づいて前記室外熱交換器を流れる許容冷媒流量を推定する許容冷媒流量推定手段と、
    前記外気温度検出手段で検出された外気温度、前記許容冷媒流量推定手段で検出された許容冷媒流量に基づいて冷媒温度が前記外気温度未満、且つ、冷媒流量が前記許容冷媒流量以下となる冷媒流量範囲を設定する冷媒流量範囲設定手段と、
    前記入口冷媒状態検出手段で検出された入口冷媒状態値が前記外気冷媒状態検出手段で検出された外気冷媒状態値以上となるときには、前記冷媒流量範囲設定手段で設定された冷媒流量範囲内で冷媒流量を制御する冷媒流量制御手段と
    を備えることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記入口冷媒状態検出手段は、前記入口冷媒状態値として前記室外熱交換器の入口側における入口冷媒温度を検出し、
    前記外気冷媒状態検出手段は、前記外気冷媒状態値として前記外気温度検出手段で検出された外気温度を検出し、
    前記冷媒流量制御手段は、前記入口冷媒温度が前記外気温度以上となるときには、前記冷媒流量制御範囲内で冷媒流量を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記入口冷媒状態検出手段は、前記入口冷媒状態値として前記室外熱交換器の入口側における入口冷媒圧力を検出し、
    前記外気冷媒状態検出手段は、前記外気冷媒状態値として前記外気温度検出手段で検出された外気温度における冷媒の飽和蒸気圧力を検出し、
    前記冷媒流量制御手段は、前記入口冷媒圧力が前記飽和蒸気圧力以上となるときには、前記冷媒流量制御範囲内で冷媒流量を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  4. 前記圧縮機の吸入側における吸入冷媒温度及び吸入冷媒圧力を検出する吸入冷媒状態検出手段と、
    前記吸入冷媒状態検出手段で検出された吸入冷媒温度及び吸入冷媒圧力に基づいて前記圧縮機の吸入側における吸入冷媒密度を推定する吸入冷媒密度推定手段と、
    前記圧縮機の回転数を検出する回転数検出手段と、
    前記吸入冷媒状態検出手段で検出された吸入冷媒密度、前記回転数検出手段で検出された回転数に基づいて前記冷媒流路を循環する冷媒流量を推定する冷媒流量推定手段と、
    前記冷媒流量推定手段で推定された冷媒流量に基づいて前記室外熱交換器における冷媒圧力損失を推定する冷媒圧力損失推定手段と、
    前記外気温度検出手段で検出された外気温度、前記冷媒流量推定手段で推定された冷媒流量に基づいて前記室外熱交換器の出口側における出口冷媒圧力を検出する出口冷媒圧力検出手段とを備え、
    前記入口冷媒状態検出手段は、前記冷媒圧力損失推定手段で推定された冷媒圧力損失と前記出口冷媒圧力検出手段で検出された出口冷媒圧力との和を推定された前記入口冷媒圧力として検出することを特徴とする請求項3に記載の車両用空調装置。
  5. 前記圧縮機の吸入側における吸入冷媒圧力を検出する吸入冷媒圧力検出手段を備え、
    前記冷媒流量制御手段は、前記吸入冷媒圧力検出手段で検出された吸入冷媒圧力が大気圧より大となるように冷媒流量を制御することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車両用空調装置。
  6. 前記冷媒流量制御手段は、前記膨張弁の開度を制御することにより冷媒流量を制御する膨張弁開度制御を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の車両用空調装置。
  7. 前記冷媒流量制御手段は、前記圧縮機の吐出容量を制御することにより冷媒流量を制御する圧縮機吐出容量制御を行うことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の車両用空調装置。
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