JP5363961B2 - 筆記具 - Google Patents
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そして、上記の寸法バラツキを解消するために、例えば、特許文献1には、インク収納管の後端部に尾栓を装着し、尾栓の後端部を弾性変形部とした構成の筆記具が提案されている(例えば特許文献1)。
図示するように、筆記具は、軸筒が先軸103及び後軸104により形成され、当該後軸104の内側面に、軸方向に沿って複数の起立片104eが周方向に間欠的に形成されている。
また、リフィールを構成するインク収納管106の後端側には尾栓108が装着されている。また、尾栓108の後端側には、周方向に沿って厚肉部108b1と薄肉部108b2とが交互に形成された筒体部108bが設けられている。
すなわち、上記の構成により、後軸104の内壁面に形成された起立片104eのテーパ面104fが尾栓108の後端部に当接した場合、尾栓108の後端部は、その径を縮小させるような作用を受け、その結果として薄肉部108b2が弾性変形したわみが生じ、後軸104により尾栓108が装着されたリフィールが保持される。
これにより、軸筒とリフィールとの間の寸法ばらつきが吸収され、リフィールの軸方向の移動が防止されるようになっている。
具体的には、上述した従来技術の筆記具(図10参照)は、後軸104に形成された複数の起立片104eのテーパ部104fと、リフィールに装着された尾栓108の筒体部108b(厚肉部108b1)との接触位置が安定せず、リフィールを安定した状態で保持ができないことがあるという技術的課題を有している。
特に、起立片104eの幅寸法が小さいと(狭いと)、筒体部108bと起立片104eのテーパ部104fとの接触位置が安定しなかった。
なお、上記の技術的課題に対処するために、起立片の本数を増やす(厚肉部の数の倍以上が目安)方法も考えられるが、起立片の本数を増やすと成形工程における離型抵抗が大きくなり、成形時間を増加させるという別の技術的課題を招いてしまう。
また、上記技術的課題に対処するために、後軸に起立片を形成せずに後軸内部を略均一に肉厚にして全周面で尾栓の筒体部を抑える方法も考えられるが、当該方法によると軸筒を太くした場合に、軸表面がヒケ(凹)てしまい、美観が喪失されると共に、軸に転写加工する際の不良品発生の原因となる。
また、前記尾栓には両端を貫通する通気孔が形成され、後端側には、前記通気孔を中心にして周方向に沿って薄肉部と厚肉部とが交互に形成され、前記テーパ部は、前記厚肉部に当接するようになされていることが望ましい。
上記構成により、軸筒の内周面に、周方向に断続的に形成された起立片の段差部が尾栓の後端側に当接するため軸筒10を安定して保持することができる。
すなわち、本発明によれば、起立片に、前記尾栓の後端側に当接する段差部を設けたことにより、テーパ部だけで尾栓を押さえていた従来技術の筆記具(図10参照)と比べ、軸筒内に、尾栓が装着されたリフィールを安定した状態で保持することができる。
このように本発明の筆記具は、軸筒の後端側の内周面の周方向に沿って、起立片と、斜面部とが交互に配列され、リフィールに取り付けられた尾栓の後端側に、起立片及び斜面部が当接するようになっているため、軸筒の軸心に、リフィールを確実に位置決めして保持することができる。
このように構成したのは、本願の発明者らが、研究を重ねた結果、前記起立片の数を5本より多くすると成形工程における離型抵抗が大きくなり成形時間を増加させることが判明し、さらに、起立片の本数を尾栓の厚肉部の数の2倍未満にすると、軸筒の表面にヒケ(凹)が発生することを防止できることを見出したためである。
このように構成しているのは、起立片が5本である場合に、少なくとも、2本の起立片と、1面の斜面部とが尾栓の厚肉部に当接していれば、軸筒の軸心に、リフィールを位置決めして保持できるためである。
先ず、本発明の実施形態の筆記具の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態の筆記具の外観を示した模式図である。また、図2は、本発明の実施形態の筆記具の縦断面図である。なお、以下の説明では、筆記具1としてボールペンを示すが、あくまでもこれは一例である。
ここで、軸筒10は、例えば、合成樹脂(例えば、PC(ポリカーボネート))等により形成され、両端が貫通した中空筒状の先軸13と、先軸13の先端部に支持された口金12と、この先軸13の後方において先軸13に対して着脱可能に取り付けられた中空筒状の後軸14とを備えている。
また、リフィール20は、筆記チップ22と、インク収納管23とを備え、筆記チップ22とインク収納管23とが、この間に介在された継ぎ手部材24によって連結されている。なお、前記インク収納管23内にはインク25が収納されている。
また、後軸14は、その後端側の内周面に、軸方向に沿って突設する複数の起立片14aが周方向に所定間隔で形成され(起立片14aが周方向に断続的に形成され)、当該起立片14aが、リフィール20に装着された尾栓30の後端側に当接するようになっている。
以下、筆記具1の各構成について具体的に説明する。なお、リフィール20は、公知なものと同じであるため詳細な説明を省略する。
なお、図3は、本実施形態の軸筒を構成する後軸の断面図である。また、図4は、図3のB−B断面図である。
なお、本実施形態では、口金12と先軸13とが一体の部品として構成されているが特にこれに限定されるものではない。例えば、口金12と先軸13とが別体で構成され、先軸13の前端部に、口金12が着脱自在に係止されるようになされていてもよい。
また、後軸14は、中空筒状に形成され、その前端部が開口し、その後端部が閉塞され、さらに、その前端部における内壁面に、先軸13のねじ部13cに螺合するねじ部14cが形成されている。
上記構成により、先軸13の後端部の外壁面に形成されたねじ部13cに、後軸14の内壁面に形成されたねじ部14cを螺合させることで、後軸14を先軸13の後端部に対して着脱可能に取り付けることができる。
具体的には、起立片14aの一端側(図3に示す下端側)には、後軸14の内周面からの高さ寸法が小さくなる段差部14a1が形成され、さらに、当該段差部14a1から軸心方向に延びるテーパ部14a2が設けられている。このテーパ部14a2は、先端(図3に示す下端)に向かうにしたがい前記内周面からの高さ寸法が小さくなっている。
なお、段差部14a1は、軸心方向と略直角をなしているが特にこれに限定されるものではない。段差部14a1は、軸筒10に収容されたリフィール20に装着された尾栓30の後端部と相対向して当接できる形状になされていればよい。
なお、図5は、本発明の実施形態の筆記具のリフィールに取り付けられる尾栓の斜視図である。また、図6は、本発明の実施形態の筆記具のリフィールに取り付けられる尾栓の平面図である。また、図7は、本発明の実施形態の筆記具のリフィールに取り付けられる尾栓の正面図である。
また、尾栓30には、インク収容管23の内部と外部とを通気可能にする通気孔30gが軸心に沿って貫通して形成されている。
なお、尾栓30は、例えば、ポリプロピレン等の比較的弾性力を有する合成樹脂材料により形成されていることが望ましい。
この構成により、後軸14の内壁面に形成された起立片14aが尾栓20の後端部に当接した場合、尾栓30の後端部は、その径を縮小させるような作用を受け、結果として薄肉部30b1が弾性変形して、ほぼ真円状態からやや三角形となるようなたわみを発生する。なお、本実施形態の尾栓30の構造は、上述した特許文献1に記載されたものと同じである。
なお、図8は、図2のA-A断面を示した模式図である。また、図9は、本発明の実施形態の筆記具の後端側の断面を拡大して示した模式図である。
なお、尾栓30の薄肉部30b2に相対向して配置された起立片14aのテーパ部14a2は、上述した図10に示した従来技術のものと同様、尾栓30(薄肉部30b2)には当接しないようになっている。
また、軸筒10にリフィール20が収容された場合、起立片14aの段差部14a1は、少なくとも、尾栓30の後端と当接するようになっている。
したがって、本実施形態によれば、尾栓30の厚肉部30b2に相対向して配置されていない起立片14a(薄肉部30b2と相対向して配置された起立片14a)も、その段差部14a1が尾栓30に当接するようになるため(尾栓30を保持するため)、尾栓30が装着されたリフィール20を安定した状態で保持することができる。
すなわち、本実施形態の後軸14の構成によれば、リフィール20の後端に取り付けられた尾栓30の外周囲に沿って、起立片14a及び斜面部14bが当接するようになるため、軸筒10の軸心に、リフィール20を確実に位置決めして保持することができる。
具体的には、本願の発明者らが、研究を重ねた結果、起立片14aの数を5本より多くすると成形工程における離型抵抗が大きくなり成形時間を増加させることが判った。
また、当該研究の結果、後軸14に形成する起立片14aの本数を尾栓30の厚肉部30b1の数の2倍未満にすると、軸筒10の表面にヒケ(凹)が発生することを防止できること見出した。
その結果、本実施形態では、後軸14の起立片14aの数を5本とし、尾栓30の厚肉部30b1を3箇所とした。
このように構成しているのは、起立片が5本である場合に、少なくとも、2本の起立片と、1面の斜面部とが尾栓30の厚肉部30b1と当接していれば、軸筒10の軸心に、リフィール20を位置決めし保持できるためである。
また、上記の構成により、本実施形態によれば、口金12からの筆記チップ22の出寸法を安定させることができる。そのため、例えば、本実施形態の筆記具1が、ペン先をシールするシール式のボールペン(キャップの内部にゴムなどのシール部材を設け、シール部材によりペン先をシールするタイプのボールペン)に適用された場合に、シール不良の発生を効果的に防止することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
10 軸筒
12 口金(軸筒)
13 先軸(軸筒)
13c ねじ部(先軸(軸筒))
14 後軸(軸筒)
14a 起立片(後軸(軸筒))
14a1 段差部(起立片(後軸(軸筒)))
14a2 テーパ部(起立片(後軸(軸筒)))
14b 斜面部(後軸(軸筒))
14c ねじ部(後軸(軸筒))
20 フィール
22 筆記チップ(リフィール)
23 インク収納管(リフィール)
24 継ぎ手部材(リフィール)
25 インク(リフィール)
30 尾栓
30a 円筒部(尾栓)
30b 筒体部(尾栓)
30b1 厚肉部(筒体部(尾栓))
30b2 薄肉部(筒体部(尾栓))
30g 通気孔(尾栓)
Claims (5)
- 軸筒と、該軸筒に収容されるインク収納管を備えたリフィールと、該インク収納管の後端部に装着されている尾栓とを備えた筆記具であって、
前記軸筒の後端側の内周面には、軸方向に沿って突設する複数の起立片が周方向に断続的に形成され、
前記起立片の一端側には、前記内周面からの高さ寸法が小さくなる段差部が形成され、さらに、該段差部から先端方向に延びるテーパ部が設けられ、
前記起立片は、少なくとも、前記段差部が前記尾栓の後端側に当接すると共に、前記複数の起立片のいずれかのテーパ部が前記尾栓の後端側に当接することを特徴とする筆記具。 - 前記尾栓には、両端を貫通する通気孔が形成されており、当該尾栓の後端側の通気孔を中心にして周方向に沿って薄肉部と厚肉部とが交互に形成され、
前記テーパ部は、前記厚肉部に当接するようになされていることを特徴とする請求項1に記載の筆記具。 - 前記軸筒の後端側の内周面の隣接する起立片の間に斜面部が形成され、
前記尾栓には、前記起立片及び前記斜面部が当接することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の筆記具。 - 前記軸筒の後端側の内周面には起立片が5本形成され、前記尾栓には厚肉部が3箇所形成されていることを特徴とする請求項3に記載の筆記具。
- 前記5本の起立片のうちの少なくとも2本の起立片と、1面の斜面部とが前記尾栓の厚肉部と当接していることを特徴とする請求項4記載の筆記具。
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