JP5363806B2 - 空調マット - Google Patents

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Description

本発明は、例えば就寝者の下に空気が流通する空気流通路を確保するための空調マットに関する。
従来から、夏の暑い時期に就寝者を冷したり、冬の寒い時期に就寝者を温めたりするための各種のマットが提案されている。本発明者も、周囲の空気を身体と平行に流通させることにより、身体を冷却するマットを案出している(国際公開第01/15573号パンフレット)。
実開昭55−148458号公報 国際公開第01/15573号パンフレット
ところで、周囲の空気を身体と平行に流通させる従来の空調マットは、ファンを小型化できるので、ファンをマット本体の一部に設けることが可能となる。しかしながら、この種の従来の空調マットは、例えば既存のベッドの上に載置して使用するものの場合、ファンやファンからマット本体に空気を送り込むための接続通風路のために、人が寝るためのスペースが狭くなってしまうという問題があった。
また、従来の空調マットに使用されているスペーサは、空気の流通路を確保するための多数の突出部を有している。このスペーサを用いた従来のマットは、突出部の先端部が身体に突き当たるようになり、使用者にごつごつした感じを与えていた。このため、従来のスペーサでは、このごつごつ感を抑えるために、突出部の先端部の上に更にメッシュ状部材を設けたりしている。したがって、従来のスペーサを用いた空調マットは、構造が複雑になり、それに伴い製造工程も複雑になり、コストが嵩むという問題があった。
また、従来のマットに使用されているスペーサは、平板状のベース部材の上に突出部を形成しており、この平板状に形成されたベース部材は柔軟性に欠けるため、丸めたり折り畳んだりすることができなかった。このため、かかる従来のスペーサを使用している空調マットも、折り畳むことができず、マットの収納や運搬の際に大きなスペースを必要とするという問題があった。
さらに、従来のスペーサは重量が重いため、ベッドの上に敷いて使用するマットのように大きなものになると、移動したり、収納したりするときの取扱が容易でないという問題があった。
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、人と当接するためのスペースを狭くすることなく、空気を流通させるためのファンを一体的に設けることができる空調マットを提供することを目的とする。
また、本発明は、ごつごつ感を抑え、しかも取り扱いが容易で収納スペースが小さくてすむ空調マットを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明にかかる空調マットは、枠状部と、一端が前記枠状部から起立する様に形成された柱部、壁部、又は柱部と壁部からなる起立部と、前記起立部の他端を連結する起立連結部とを有する凸部と、隣り合う前記凸部同士を連結する可撓性のある可撓連結部と、を備え、前記凸部は1mあたり少なくとも100個形成され、前記凸部及び前記可撓連結部は一体的に形成された高さ3mm〜50mmのスペーサと、
前記スペーサの上側を覆う、空気が漏れ難く、透湿性を有する上シートと、前記スペーサの下側を覆う、空気が漏れ難い下シートとを含んでなるシート部と、
を備える扁平状の空調マットであって、
身体と直接的に或いは透湿性のある他の物を介して間接的に当接する部分である正面形状が略四辺形状に形成された本体部と、
正面から見て前記本体部の一辺の端を延長するようにして設けられた延長部と、
前記延長部に設けられた、前記スペーサによって確保された空気流通路に外気を流通させるためのファンと、
前記ファンに電源を供給する電源部と、
前記延長部が設けられている側とは逆側の前記本体部の端部に位置する前記シート部に形成された空気が流通するための流通部と、
を具備し、
前記ファンは外気を吸引して前記空気流通路に流した後に前記流通部から外部に排出するか、或いは前記ファンは前記流通部から外気を吸引して前記空気流通路に流した後に前記ファンから外部に排出するものであることを特徴とするものである。
上記の目的を達成するための請求項3記載の発明にかかる空調マットは、空気が流通する空気流通路を確保するためのスペーサと、
前記スペーサの上側を覆う、空気が漏れ難く、透湿性を有する上シートと、前記スペーサの下側を覆う、空気が漏れ難い下シートとを含んでなるシート部と、
を備える扁平状の空調マットであって、
身体と直接的に或いは透湿性のある他の物を介して間接的に当接する部分である正面形状が略四辺形状に形成された本体部と、
正面から見て前記本体部の一辺の端を延長するようにして設けられた延長部と、
前記延長部に設けられた、空気が流通する開口部が周側面に形成され、両端部の少なくとも一方の端部又は前記開口部以外の周側面にファンが取り付けられた筒状部と、
前記ファンに電源を供給する電源部と、
前記延長部が設けられている側とは逆側の前記本体部の端部に位置する前記シート部に形成された空気が流通するための流通部と、
を具備し、
前記ファンは、吸引した外気を前記筒状部の前記開口部から前記空気流通路に流した後に前記流通部から外部に排出するか、或いは前記ファンは、前記流通部から吸引した外気を前記空気流通路に流した後に前記開口部から前記筒状部内に吸引して前記ファンから外部に排出するものであり、
前記筒状部は前記本体部を巻き付ける芯部を兼ねるものであることを特徴とするものである。
本発明に係る空調マットによれば、身体と当接する部分である本体部の他に、本体部の一辺の端に延長して設けられた延長部を備え、この延長部にファンを設けているので、身体と当接するためのスペースを狭くすることなく、ファンを本空調マットに一体的に設けることができ、また延長部を、ファンと本体部とをつなぐ接続流通路として用いることができる。また、本発明の空調マットによれば、例えば、人が使用する場合、当接した体の汗腺から出る汗を素早く気化して空気流通路を通して外部に排出することができる。
また、請求項1に係る空調マットによれば、スペーサの枠状部或いは起立連結部が身体に当接するので、従来のスペーサを用いたマットと異なり、使用者にごつごつした感じを与えることはない。また、本発明の空調マットは、スペーサの各凸部の枠状部を可撓連結部で連結することにより、多数の凸部を連結するので、ベース部材を用いて突起部を連結する従来のスペーサを用いたものと比べて、柔軟性の向上を図ることができる。また、本発明の空調マットによれば、スペーサの各凸部の枠状部を可撓性のある可撓連結部で連結することにより、多数の凸部を一体的に形成しているので、凸部を内側にして容易に渦巻き状に巻いて収納することができ、従来のマットに比べて小さな収納スペースに収納することができる。更に、本発明の空調マットは、スペーサの各凸部の枠状部を可撓連結部で連結することにより、平板状のベース部材を用いた従来のスペーサに比べて、スペーサの使用材料の量が少なく、したがって、空調マットの重量を軽くすることができる。
また、請求項3に係る空調マットによれば、例えば、請求項1と同様のスペーサを使用することにより、本空調マットを容易に筒状部に巻いた状態で、搬送したり、収納したりすることが可能となるので、取り扱いが容易となり、また省スペース化を図ることができる。
なお、上記の各請求項において、身体と直接的に或いは他の物を介して間接的に当接するというのは、身体と直接的に当接する場合だけでなく、他の物、例えば本発明の空調マットをベッドの上に載置して使用する場合、市販のシーツやベッド用マット等、さらに下着等の透湿性のあるものを介して当接する場合も含むことを意味する。
図1(a)は本発明の空調マットに使用するスペーサの概略部分正面図、同図(b)はそのスペーサのA−A矢視概略部分側面図、同図(c)はそのスペーサのB−B矢視概略部分側面図である。 図2(a)は本発明の空調マットに使用するスペーサの一つの凸部の概略斜視図、同図(b)はその凸部のC−C矢視概略断面図、同図(c)は図1に示すスペーサの概略部分斜視図である。 図3(a)は本発明の第1実施形態である空調マットの概略正面図、同図(b)はその空調マットのA−A矢視概略拡大断面図である。 図4(a)は本発明の第2実施形態である空調マットの概略正面図、同図(b)はその空調マットのB−B矢視概略拡大断面図である。 図5(a)は本発明の第3実施形態である空調マットの概略正面図、同図(b)はその空調マットのC−C矢視概略拡大断面図である。 図6は本発明の第3実施形態の空調マットをソファーに敷いた状態の概略側面図である。
符号の説明
10 スペーサ
20 凸部
21 枠状部
22 起立部
23 起立連結部
26 可撓連結部
50 空調マット
51 本体部
52 延長部
53 シート部
54 流通部
58 間隔保持部
60 ファン
71 制御装置
90 ベッド
150 第2実施形態の空調マット
151,251 本体部
152,252 延長部
153,253 シート部
154,254 流通部
160,260 ファン
190,290 筒状部
191,291 開口部
195,295 封止蓋
250 第3実施形態の空調マット
292 ファン取付口
以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための最良の形態について説明する。先ず、以下に説明する本発明の空調マットに使用されるスペーサについて説明する。図1(a)は本発明の空調マットに使用するスペーサの概略部分正面図、同図(b)はそのスペーサのA−A矢視概略部分側面図、同図(c)はそのスペーサのB−B矢視概略部分側面図、図2(a)はスペーサの一つの凸部の概略斜視図、同図(b)はその凸部のC−C矢視概略断面図、同図(c)は図1に示すスペーサの概略部分斜視図である。
本実施形態のスペーサ10は、多数の凸部20と、隣り合う凸部20の枠状部21を連結する可撓連結部26とを備えている。凸部20は、身体に当接する側に形成された多数の枠状部21と、一端が枠状部21に連なり枠状部21から起立するように形成された2つの壁部からなる起立部22と、起立部22の他端を連結する起立連結部23とを有する。本スペーサ10は、枠状部21が形成されている側が身体に当接する側となり、起立連結部23が形成されている側がベッドに当接する側となる。枠状部21は、正面形状が略正方形の枠状に形成されている。その枠状部21の対向する2辺の各辺から起立するようにして形成された壁部が起立部22である。この壁部は、枠状部21の内側に傾斜するように、且つ先端部近づくにつれて幅が狭くなるようにテーパ状に形成されている。また、枠状部21の各辺の中央には可撓連結部26が形成されている。本実施形態の多数の凸部20と可撓連結部26とは、樹脂、例えばプラスチックで一体的に形成される。
本実施形態の可撓連結部26は、隣り合う凸部20の枠状部21と枠状部21とを連結するためのものであり、帯状部材によって形成されている。このように、可撓連結部26を帯状に形成することにより、可撓連結部26に可撓性を持たせることができる。また、可撓連結部の可撓性は帯状に形成するときの帯の幅や厚みで調整することができる。さらに本実施形態では、可撓連結部26は、起立連結部23の側に突き出るように撓んで形成されている。これは、可撓連結部26の可撓性を高め、本スペーサ10全体の柔軟性を更に向上させるためである。スペーサは、例えば椅子や寝具等の上に敷く空調マットに用いる場合、人体用空気流通路(以下、単に空気流通路とも称する。)を確保するために、人体の重みが加わっても凸部20が潰れることがでないように形成する必要がある。本実施形態のスペーサ10では、凸部20には人体の重みが加わっても潰れないような強度を持たせ、他方、可撓連結部26は容易に変形するように、帯状部材を用いて予め撓ませてある。かかる可撓連結部26で連結された本実施形態の凸部20は、1つ1つがほぼ独立して動くことができ、したがってスペーサ10全体として、柔軟性に富むものとなる。
例えば、本実施形態のスペーサを非常にやわらかいソファ等の上に敷いて用いる空調マット等に使用する場合、本実施形態の可撓連結部26は凸部の変形をともなうことなく、枠状部の側に約180度位、曲がるように形成することが望ましい。これにより、身体の形状に沿ってスペーサが自在に変形し、必要な空間を容易に確保することができる。
また、本スペーサの凸部の枠状部は約縦10mm×横10mm×厚さ0.6mm、凸部の高さは約10mmで、隣り合う凸部の間隔Pは約16.5mmである。また、可撓連結部26は約長さ5mm×幅3mm×厚さ0.6mmであり、起立連結部は約縦8mm×横8mm×厚さ0.6mmである。本発明のスペーサは、これに限定されるものではなく、例えば本スペーサの凸部は、1m当たり少なくとも100個位を形成できれば、どのような大きさのものであってもよい。凸部の数がこれより少ないと、凸部の大きさが大きくなって、柔軟性がなくなるか、或いは凸部の大きさを本実施形態の大きさと同じ位にすると、凸部の間隔が大きくなり空気が流通する空間を確保することが難しくなるという問題が生じるからである。
また、枠状部は4角形に限らず円形でも多角形でも良く、また起立部は壁部に限られるものではなく、枠状部と起立連結部との間に3mm〜50mmの間隔を保つことができれば、柱状の柱部であってもよいし、或いは柱部と壁部とを組み合わせたものであってもよい。3mmより低いと、空気流通路が小さくなってファンの負荷が大きくなり、一方、50mmより高くしても、スペーサが大きくなるだけで、スペーサによる効果は変わらないからである。さらに起立連結部は、平面に限らず半円球状にもり上がっていても良いし、起立部が4本の柱の場合は、柱と柱をクロスして連結するX字状に形成しても良い。
[第1実施形態] 次に、上記のスペーサを用いた本発明の第1実施形態である空調マットについて説明する。図3(a)は本発明の第1実施形態である空調マットの概略正面図、同図(b)はその空調マットのA−A矢視概略拡大断面図である。本実施形態の空調マットは、ベッドに載置して使用するものである。
本実施形態の空調マット50は、全体形状がほぼ扁平状に形成されており、正面形状が略長方形状に形成された本体部51と、正面から見て本体部51の一辺の端である足部側の端に延長して設けられた延長部52とを有する。また、本体部51及び延長部52は空気が流通するための空気流通路を確保するためのスペーサ10と、スペーサ10を収納するための袋状のシート部53と備える。本体部51は、身体を載置する部分であり、ベッド90の上に載せる部分である。延長部52のシート部53の下側のシート(以下、下シートとも称する。)には、外気を足部から頭部に流通させるためのファン60が設けられている。本体部51の頭部近傍には、空気を外部に排出する排出用の流通部54が形成されている。また、本実施形態の空調マット50は、ファン60のオン・オフ等の操作や制御を行う制御装置(本発明の電源部を含むものである。)71を備えている。
ファン60は、本空調マットを正面から見たときに、空調マットの長手方向における端部であって、幅方向における中央部に対応する延長部の下シートに設けられている。ファン60の外気吸引口には、例えば、周側面に開口部が形成された筒状の間隔保持部58が設けられている。本実施形態の空調マットは、ファンの重さにより延長部52が垂れ下がり、その結果ベッド90の側部にファンが当接したり又ベッド90の高さが低い場合は床にファンが当接したりすることがある。間隔保持部58を設けないと、ファン60の外気吸引口がベッド90の側部や床に当接し、送風量が低減するからである。
シート部53の上側のシート(以下、上シートとも称する。)には、シート部53内を流通する空気が外部に漏れにくい材料であって、しかも、人体が発する気体状の汗を透過できる、透湿性を有するシート素材、例えば綿布等を使用する。一方、シート部53の下シートには、空気が漏れ難くい材料を用いる。シート部53の下シートは、透湿性はあっても、なくてもよい。本実施形態のスペーサ10は、凸部20の先端である起立連結部が下シートに接するように、枠状部21と可撓連結部16が上シートに接するようにして、シート部53内に配置される。これにより、本実施形態の空調マットの上に横になった就寝者にごつごつした感じを与えることはなく、就寝者は快適な睡眠をとることができる。
ファン60は、外気をシート部53内の空気流通路に流通させるものであり、本実施形態の場合、吸引した外気をシート部53内の空気流通路に流し、本体部51に形成された流通部54から外部に排出する。この場合、シート部53内は陽圧となる。無論、本体部51の流通部54から外気を取り入れて、ファン60から外部に空気を排出するようにしてもよい。この場合、シート部53内は陰圧となる。なお、いずれの場合でも、流通部54には、空気抵抗を少なくするために、メッシュ状部材や空気流通性の良い布等を設けることが望ましい。
次に、本実施形態の空調マットの作用・効果について説明する。本実施形態の空調マット50上に横になり、制御部71を操作すると、モータが回転し、ファン60によって、間隔保持部58を介して外気が吸引される。吸引された外気は、シート部53とスペーサ10とにより形成された空気流通路を足部から頭部方向に流れて、頭部近傍に形成された流通部54から外部に排出される。本空調マット50を使用している就寝者は、空気流通路に流れる空気により、冷却され、また就寝者の汗腺から出た汗は透湿性を有する上シートを透過し、空気流通路を流れる空気により外部に放出される。すなわち汗腺から出た汗はすぐに気化し外部に放出され、就寝者はその際の気化熱で冷却されるので、快適な睡眠をとることができる。
上記の本実施形態の空調マットによれば、ファン60が駆動されると、外気が吸引され、これにより延長部52が若干膨らみ、延長部52が円形状のファンの空気送出口と扁平上の空気流通路とをスムーズにつなぐための緩衝部、言い換えれば空気溜りとしての機能を果たす。したがって、本実施形態によれば、ファンが吸引した空気を、膨らんだ延長部を介して本体部の空気流通路に送ることにより、扁平状に形成された本体部の空気流通路に、ほぼ均一に空気を流通させることができる。また、このように外気を空気流通路内に吹き込む方式の場合、延長部が膨らむので、図3に示すようにスペーサの端部とファンとを上下方向において重なるように配置しなくても、すなわち、例えば延長部にスペーサを配置しなくても、ファンにより確実に外気を空気流通路内に流すことができる。
また、本体部51の空気流通路の幅は、ファン60の空気送出口の径に比べてはるかに大きい。そこで、通常は、日本国特許3419403号にも開示されているように、空気抵抗を少なくするために、空気流通路とファンとをスムーズにつなぐための接続流通路を設けるようにしている。これに対して、本実施形態では、延長部52がこの接続流通路としの機能を果たすことになり、特別に接続流通路を設ける必要はなくなる。
また、上記の本実施形態によれば、スペーサ10の凸部を内側にして、本空調マット50を容易に巻いて収納したり、運搬したりすることができる。また、本実施形態の空調マットは、上述したようにスペーサの重量が軽いので、空調マットも軽量であり、取り扱いが容易となる。また、本実施形態のスペーサは、一つ一つの凸部が独立して動き、本空調マットをベッドの上に敷いても、ベッドの柔らかさは殆ど変わらず、ベッドの機能を損なうことはない。
上記の実施形態では枠状部が上シートに接する様になっている。しかしながら、特に介護用ベッドとして用いるとき等は、空気流通路に流れる空気と身体との温度差によっては、身体が冷えすぎることがある。この冷えすぎを防止する為に、上シートの上、又は上シートとスペーサの間に透湿性のある断熱部材を設けている。このような場合はスペーサの凸部の先端が上シートに接する側になる様に用いても、断熱部材のクッション性によりゴツゴツ感を吸収することができる。
[第2実施形態] 図4(a)は本発明の第2実施形態である空調マットの概略正面図、同図(b)はその空調マットのB−B矢視概略拡大断面図である。なお、図4において、上シートの右上隅は一部を切り欠いている。また、図4では、制御装置71は、第1実施形態のものと同様であるので、図を簡略化するために省略している。
第2実施形態の空調マット150が第1実施形態のものと異なるのは、本実施形態では、延長部152にプラスチック製のパイプに多数の開口部191が形成された筒状部190が設けられている点、ファン160が筒状部190の一方の端部の内部に取着されている点、筒状部の他方の端部に空気がもれない様に封止蓋195が取着されている点である。その他の点は、第1実施形態と同様であるので、第1実施形態のものと同一の機能を有するものについては、同一の符号又は対応する符号を付することにより、その詳細な説明を省略する。
本実施形態の延長部152のシート部内には、断面が円形状の筒状部190が配置され、延長部152のスペーサ10は、その端部が筒状部190と接するように配置されている。また、本実施形態の場合、筒状部内の空気を吸引して外部に排出するように、ファンのモータを回転制御する。したがって、空気流通路内が陰圧になるが、本実施形態の場合、スペーサと筒状部とが接しており、両者の間に、隙間ができないようにしているので、空気流通路の内部が陰圧になっても、スペーサと筒状部との間に上シートが吸い込まれて、空気の流通を妨げることはない。
なお、筒状部は、プラスチック製のパイプの周側面に多数の開口部を形成したものに限らず、メッシュ状の部材(例えば、タキロン株式会社のトリカルネット、型番H04)で形成しても良い。また、筒状部の形状は、円筒状に限られるものではなく、中空の筒状であれば、例えば断面が楕円状であってもよい。更に、筒状部の長さはスペーサの幅と同じであってもよいし、短くても良い。また、送風量を増す為にファンは、筒状部の両端部に設けるようにしてもよい。
本実施形態のシート部153は、図4に示すように、全体形状が、首部の開口部を無くした略Tシャツ形状に形成され、両袖部153a,153bを有する。筒状部190の両端部は、この両袖部153a,153bから外部に露出するようにしてシート部内に設けられている。この両袖部は、図示しないが、例えば両面テープを用いて筒状部の両端部に密着するように取着される。なお、本実施形態の両袖部の筒状部への取着方法も、上述した方法に限られるものではなく、両袖部の端部から空気がもれない方法なら、どのような方法であってもよい。
本実施形態によれば、筒状部190内の空気を吸収して外部に排出する様にファンが回転するので、筒状部内が陰圧になる。この結果として流通部154から外気が吸入され、吸引された外気は空気流通路内に流れ、筒状部190の側面に設けられた多数の開口部191を通って筒状部に流入する。なお、ファンを逆回転させ外気をファンより筒状部に送り込み、多数の開口部から空気流通路内に外気を送り込むようにしても良い。
本実施形態によれば、延長部が円筒状に形成されているので、全体を巻いて収納するときには、本体部を延長部に巻きつけることにより、容易に全体を渦巻状に巻いて収納することができる。また、本実施形態によれば、ファンによって、空気流通路内を陰圧にしているので、内部を陽圧にしたときのように、ファンによってシートが膨らむことはなく、使い心地の向上を図ることができる。本実施形態のその他の作用・効果は第1実施形態のものと同様である。
[第3実施形態] 図5(a)は本発明の第3実施形態である空調マットの概略正面図、同図(b)はその空調マットのC−C矢視概略拡大断面図、図6は本発明の第3実施形態の空調マットをソファーに敷いた状態の概略側面図である。第3実施形態の空調マットは、人が座るための装置、例えばソファー等に載置して使用するものである。なお、図5及び図6では、制御装置71及び各ファンの配線は、図を簡略化する為に省略している。
第3実施形態の空調マット250が第2実施形態のものと異なる点は、筒状部290と、筒状部290近傍の構成であり、その他のものは第2実施形態のものと同様である。したがって、本実施形態において、第2実施形態のものと同一の機能を有するものについては、同一の符号又は対応する符号を付することにより、その詳細な説明を省略する。
本実施形態の筒状部290は、スペーサ10の端縁と対向する周側面に形成された多数の開口部291と、開口部291が形成された周側面とは反対側の周側面に形成された3つのファン取付口292と、両端部から空気が漏れないように、両端部に取着された封止蓋295,295とを備えている。この筒状部290の長さは、図5(a)に示すように、本体部250の幅より若干短くなるように形成されている。
本実施形態のシート部253は、上シート253aと下シート253bの下側(筒状部290側)の端部が、筒状部290との間から空気が漏れないように、筒状部290の両端部の周側面、及び開口部291とファン取付口292の略中間の周側面に接着されている。なお、本発明のシート部と筒状部との構成は、これに限定されるものではなく、例えば、筒状部290をシート部内に収納し、ファンをシート部の外部に露出するように構成したものであってもよい。このように構成した場合、シート部で筒状部の両端を封止することができるので、封止蓋は省略してもよい。
本実施形態のスペーサ10は、下側(筒状部290側)の端縁が筒状部290の開口部291と対向するようにしてシート部253内に収納されている。このスペーサの下側の端縁は開口部291に当接するように配置してもよいし、或いは、この開口部291と間に若干隙間があくように配置してもよい。
本実施形態の3つのファン260は、筒状部のファン取付口292に取着されている。なお、本実施形態では、3つのファン260を取着しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、ファンは1つ、2つ、或いは4つ以上であってもよい。更に、第2実施形態と同じように、筒状部の端部内に取着するようにしてもよい。
本実施形態の空調マット250は、図6に示すように、延長部252をソファー100の側面に垂れ下げるようにしてソファー100に載置する。本実施形態によれば、ファン260は流通部254から外気を取り入れ、筒状部内の空気を排出する様に回転する。これにより筒状部内は陰圧になり、この結果、第2実施形態と同様の作用・効果を奏する。
なお、第2実施形態ではファンは多くても2つしか取り付けられないが、本実施形態では多数の小型のファンを取り付けることができるので、第2実施形態と同一の風量を得る場合に第2実施形態のものに比べて筒状部の径を小さくすることができる。
また、ソファー等の座るための装置に敷いて用いる場合、背中の部分まで冷却する必要がない場合がある。このような場合、本体部分は座部だけでも良い。また、このような場合、流通部254を背部と座部の境界近傍に設けるようにしてもよい。この場合、本体部は座部を含む流通部までとなり、流通部より先の背部は空気が流通しないので、本体部と一体的に構成されたクッション部となる。本発明は、このような構成のものも含む。なお、このような場合でも空気の流れる方向としては、体の上方から下方或いは下方から上方であり、左右方向ではない。
なお、第1、第2、第3の実施形態共に空気流通路に空気を送り込むとき、又は空気流通路から空気を吸引するときの圧力は最大でも50Pa(パスカル)である。これ以上に圧力が大きいと上シートから空気がもれてしまい流通部付近の空気流通路にほとんど空気が流通しなくなるからである。
また、本発明は、上記の実施形態に限定されものではなく、その要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記の第2,第3の実施形態共、筒状部とスペーサの接し方はこれらに限定されるのではなく、例えば筒状部の開口部にスペーサの端部の凸部が入り込む様に接していても良い。
また、上記の第2,第3の実施形態では、スペーサとして、図1及び図2に示す新規なスペーサを使用したが、本発明は、このスペーサに限定されるものではなく、本実施形態の空調マットのスペーサは、空気流通路を確保することがでるものであれば、どのようなスペーサ、例えば従来のスペーサであってもよい。
また、ファンや封止蓋は着脱自在にしてファンの取着位置を交換できるようにしても良い。又、封止蓋の代わりに、上シートや下シートで筒状部の筒端を覆うなどの方法で封止するようにしてもよい。
また、上記の第2実施形態では、ファンを筒状部の端部に設けた場合について説明したが、このファンは第3実施形態と同様にして、筒状部の周側面に設けるようにしてもよい。
また、上記の第3実施形態では、座るための装置が、ソファーである場合について説明したが、座るための装置はソファーに限られるものではなく、例えば座布団、椅子,ソファー,車等の乗物のシート,座椅子,車椅子等であってもよい。
また、第1,第2の実施形態では、本発明の空調マットをベッドの上に載せて使用する場合について、第3の実施形態ではソファーの上に載せて使用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば本発明の空調マットは布団の上に載せたり、床に直に敷いたりして使用してもよい。また、本発明の空調マットは、人に限らずペットなどの他の動物用として用いるものであっても良い。更に、本発明の空調マットの形状も、使用形態に合わせてマットの本体部は略四辺形状であれば、マットの長さや幅は目的に応じてどのような寸法でも良い。なお、本発明の略四辺形状とは、全体的に見てほぼ四辺形状をしているものであることを意味し、例えば角が切り取られていたり、角が丸みをおびていたり、また四辺の各辺が直線でなく鋸刃状の線等であったりして、正確に見ると多角形状等になるようなものも含む。
また、例えば図1、図2に示すスペーサを、枠状部が身体に当接するようにして配置して空気流通路内を陰圧する場合、起立連結部の大きさが小さいと、スペーサの凸部と凸部との隙間に下シートが吸い込まれ、必要な風量を確保することができなくなる場合がある。このような場合には、スペーサと下シートとの間に、メッシュ状のシート部材を配置して、下シートがスペーサ内に吸い込まれないようにすることが望ましい。このメッシュ状のシート部材としては、網目の大きさが凸部と凸部との隙間より小さく、ファンの吸引によりスペーサ内に吸い込まれない材質のもの、例えば株式会社タキロンのトリカルネットN−3使用することができる。
また上記各実施形態では、流通部がファンと逆側の本体部の端縁部に形成されている場合について説明したが、この流通部は本体部の端部であれば、どこに形成されていてもよい。なお、本体部の端部とは、本体部の中央部ではなく、端の方と言う意味である。したがって、本発明は、流通部が本体部の端縁から若干離れて、例えば端縁から約20cm位離れた位置に形成されているものも含むものである。
また上記各実施形態では、頭部側から足部側或いは足部側から頭部側に空気を流通する場合にいて説明したが、例えば、ダブルベッドやキングサイズベッドのように、ほぼ四角形状のベッド等に敷いて使用する空調マットの場合は、例えば、就寝者の右側に延長部を、就寝者の左側に流通部を設け、就寝者の身体の左側から右側或いは右側から左側に空気を流通させるようにしてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、正面形状が略四辺形状に形成された、身体を当接するための本体部の他に、本体部の一辺の端に延長して設けられた延長部を備え、この延長部にファンを設けているので、身体と当接するためのスペースを狭くすることなく、ファンを本空調マットに一体的に設けることができ、また延長部を、ファンと本体部とをつなぐ接続流通路として用いることができる。したがって、本発明は、例えば暑いときにベッド等の上に敷いて用いる空調マットに適用することができる。

Claims (4)

  1. 枠状部と、一端が前記枠状部から起立する様に形成された柱部、壁部、又は柱部と壁部からなる起立部と、前記起立部の他端を連結する起立連結部とを有する凸部と、隣り合う前記凸部同士を連結する可撓性のある可撓連結部と、を備え、前記凸部は1mあたり少なくとも100個形成され、前記可撓連結部は複数個形成され、前記凸部及び前記可撓連結部は一体的に形成された高さ3mm〜50mmのスペーサと、
    前記スペーサの上側を覆う、空気が漏れ難く、透湿性を有する上シートと、前記スペーサの下側を覆う、空気が漏れ難い下シートとを含んでなるシート部と、
    を備える扁平状の空調マットであって、
    身体と直接的に或いは透湿性のある他の物を介して間接的に当接する部分である正面形状が略四辺形状に形成された本体部と、
    正面から見て前記本体部の一辺の端を延長するようにして設けられた延長部と、
    前記延長部に設けられた、前記スペーサによって確保された空気流通路に外気を流通させるためのファンと、
    前記ファンに電源を供給する電源部と、
    前記延長部が設けられている側とは逆側の前記本体部の端部に位置する前記シート部に形成された空気が流通するための流通部と、
    を具備し、
    前記ファンは外気を吸引して前記空気流通路に流した後に前記流通部から外部に排出するか、或いは前記ファンは前記流通部から外気を吸引して前記空気流通路に流した後に前記ファンから外部に排出するものであることを特徴とする空調マット。
  2. 前記枠状部は略四角形状に形成され、前記起立部は前記枠状部の対向する2辺の各辺から起立する2つの壁部であることを特徴とする請求項1記載の空調マット。
  3. 人が寝るときに敷いて用いる空調マットであって、
    前記延長部は足部側に設けられたものであり、
    前記ファンは頭部側から足部側に或いは足部側から頭部側に外気を流通させることを特徴とする請求項1又は2に記載の空調マット。
  4. 座るための装置に敷いて用いる空調マットであって、前記ファンにより体の上方から下方に、或いは、下方から上方に外気を流通させることを特徴とする、請求項1及至3の何れか1項に記載の空調マット。
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