JP5361600B2 - ドライエッチング装置及びドライエッチング方法 - Google Patents

ドライエッチング装置及びドライエッチング方法 Download PDF

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Description

本発明は、基板にドライエッチングを施すドライエッチング装置及びドライエッチング方法に関するものであり、特にシリコン基板の表面にホールやトレンチを形成するドライエッチング装置及びドライエッチング方法に関するものである。
シリコン基板を利用した微小電気機械素子(MEMS)デバイスの製造工程には、エッチングガスを用いて生成したプラズマにシリコン基板の表面を曝してシリコン基板の表面にホールやトレンチを形成する、所謂ドライエッチング法が利用されている。こうしたドライエッチング法においては、ラジカル状態にあるフッ素とシリコンとの反応により比較的高いエッチングレートが得られることから、上述のエッチングガスとしてSFやNF等のフッ素を含むガスが一般に利用されている。
ところが、上述のエッチングガスを用いたドライエッチング法ではそのエッチング反応が等方的に進行するために、こうした反応だけによりホールやトレンチが形成されると、ホールやトレンチの加工形状も基板の表面から等方的に削られた形状となり、高いアスペクト比が要求されるMEMSデバイスにおいては、上述した等方的な形状がデバイス設計上において大きな制約となってしまう。そこで、微細な形状が要求されるスルーホールやディープトレンチの加工に対しては、従来からエッチング反応を深さ方向へ異方的に進行させる、所謂深掘り加工の技術が提案されている。この深堀り加工技術においては、エッチングが進行する過程で凹部の側壁面に保護膜が形成されて、基板凹部の側壁方向へのエッチングがこの保護膜により抑制されることとなり、基板主面の法線方向に主にエッチングが進行するようになる。
例えば特許文献1では、エッチング工程と保護膜形成工程とが交互に繰り返して実行されることにより、先行するエッチング工程で露出させた凹部の底面および側壁面にポリマー層からなる保護膜が形成されて、こうした保護膜を有する状態の凹部に対してエッチングが施されることとなる。つまり、凹部の側壁面に形成されたポリマー層は凹部の底面に形成されたポリマー層に比べてそのエッチング量が一般に少なくなるため、この側壁面に形成されたポリマー層がエッチング保護膜として機能することとなり、エッチング方向が凹部の深さ方向に制限されたかたちで異方性エッチングが実現可能となる。特許文献1に記載の技術は、このようなエッチング保護膜の形成方法として、保護膜の構成材料からなるターゲットを用いたスパッタ法を提案している。
国際公開WO2006/003962号公報
ところで、上述した保護膜の構成材料にはフッ素ラジカルに対する高い耐侵食性が要求されるために、一般にはフッ素を含むオレフィンを重合して得られる以下に示すようなフッ素樹脂がその構成材料として利用されている。
・四フッ化エチレン樹脂(PTFE)
・四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合樹脂(PFA)
・四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとの共重合樹脂(FEP)
・四フッ化エチレンとエチレンとの共重合樹脂(ETFE)
・フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)
・フッ化ビニル樹脂(PVF)
一方、上述の構成材料がスパッタ法等により成膜されると、いずれの構成材料においても、それ固有の化学的特性としての例えば高い融点が保護膜の成長に大きな影響を及ぼすこととなり、保護膜の表面平滑性がその下地の表面平滑性に比べて劣るかたちとなる。つまり保護膜の表面モホロジーが下地の表面モホロジーに比べて劣るかたちで保護膜が成膜されてしまい、終には保護膜そのものが島状に成長してしまうこととなる。その結果、保護膜が形成されていない側壁面で保護膜による保護機能が発現し難くなり、基板凹部の側壁方向へのエッチングがその部位において進行することとなり、深さ方向のみの加工が実現され難くなる。またこうした側壁面でのエッチングの進行が回避されるべく保護膜が厚く形成されると、過剰に厚く形成された部分が凹部の底面へのエッチャントの進入を阻害してしまうこととなり、これにおいても深さ方向のみの加工が実現され難くなる。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は基板表面に形成する凹部の加工精度を向上させたドライエッチング装置及びドライエッチング方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段及びその作用効果を以下に記載する。
請求項1に記載のドライエッチング装置は、シリコンからなる基板が載置される基板電極を有した真空容器と、前記真空容器内に複数種のガスを選択的に供給するガス供給部と、前記ガスを用いたプラズマを前記真空容器内に発生させるプラズマ発生部と、前記真空容器に搭載されたターゲット電極に装着されたフッ素樹脂ターゲットと、前記基板電極と前記ターゲット電極とに選択的に電力を供給する電源装置とを具備し、前記真空容器内にエッチングガスを用いたプラズマを発生させて前記基板電極にバイアス電力を供給することにより前記基板の表面に凹部を形成するエッチング処理と、前記ターゲット電極に高周波電力を供給して前記フッ素樹脂ターゲットをスパッタすることにより前記基板に形成された前記凹部の側壁に保護膜を形成する保護膜形成処理とを繰り返すドライエッチング装置であって、前記保護膜形成処理では、前記ターゲットをスパッタしつつ、前記真空容器内に塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択された一つのハロゲン元素を含み、フッ素を含まない反応ガスを供給することにより、前記フッ素樹脂ターゲットの構成材料と前記選択されたハロゲン元素とが含まれるかたちで前記保護膜を形成することを要旨とする。
塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択された一つのハロゲン元素が上述したフッ素樹脂に添加されると、フッ素樹脂の化学的特性としての例えば融点が低下することとなり、フッ素樹脂膜に固有の島状成長が抑制されて、その層状成長が促進されることとなる。請求項1に記載のドライエッチング装置によれば、フッ素樹脂ターゲットのスパッタ時に上述のハロゲン元素が成膜空間内へ供給されてフッ素樹脂ターゲットの構成材料とそのハロゲン元素とが含まれるかたちで保護膜が形成される。つまり保護膜形成処理後の凹部の側壁には、上述のハロゲン元素が含まれない保護膜に比べて、その表面平滑性が向上されたかたちで保護膜が形成されることとなる。その結果、凹部の側壁に形成された保護膜が側壁の全体にわたってより均一に保護機能を発現することとなり、ひいては基板に対する深さ方向へのエッチングの異方性、すなわち深堀り加工における加工精度が向上可能となる。
なお、上述の選択されたハロゲン元素が予め構成材料に含まれるかたちでターゲットが構成されたとしても、上述と同じく、保護膜の構成材料には選択されたハロゲン元素が含まれるかたちとなる。ただし、上述の選択されたハロゲン元素が含まれる構成材料では、ターゲットとしての熱的および機械的耐性が十分に得られ難いため、複数枚の基板処理が実行されると、ターゲットそのものに熱的および機械的な損傷が発生してしまう。これに
対して、請求項1に記載のドライエッチング装置によれば、ターゲットの構成材料そのものが熱的及び機械的耐性に優れたフッ素樹脂からなるため、こうした問題までも容易に解消されることになる。そして複数枚の基板処理が要求される量産技術へこの装置が適用されることにより、生産性を向上することが可能にもなる。
請求項2に記載のドライエッチング装置は、前記保護膜形成処理では、前記フッ素樹脂ターゲットをスパッタするためのガスが前記反応ガスであることを要旨とする。
請求項2に記載のドライエッチング装置によれば、上述のハロゲンガスがスパッタガスとしても利用されることから、フッ素樹脂ターゲットの構成材料に対して上述のハロゲン元素の置換または付加が容易にもなり、表面平坦性が向上されたかたちの保護膜がより形成され易くもなる。そのうえ、反応ガスと異なるガス種がスパッタ用のガスとして別途利用される場合に比べて、保護膜を成膜するための装置構成そのものの簡素化が図られるようにもなる。
請求項に記載のドライエッチング方法は、真空容器内でプラズマを発生させてシリコンからなる基板表面に凹部を形成するエッチング工程と、フッ素樹脂ターゲットをスパッタすることにより前記基板に形成された前記凹部の側壁に保護膜を形成する保護膜形成工程とを繰り返して実行するドライエッチング方法であって、前記保護膜形成工程では、前記フッ素樹脂ターゲットをスパッタしつつ、前記真空容器内に塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択された一つのハロゲン元素を含み、フッ素を含まない反応ガスを供給して、前記フッ素樹脂ターゲットの構成材料と前記選択されたハロゲン元素とが含まれるかたちで前記保護膜を形成することを要旨とする。
塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択された一つのハロゲン元素が上述したフッ素樹脂に添加されると、フッ素樹脂の化学的特性としての例えば融点が低下することとなり、フッ素樹脂膜の固有の島状成長が抑制されて層状成長が促進されるようになる。請求項に記載のドライエッチング方法によれば、上述したハロゲン元素がフッ素樹脂ターゲットのスパッタ時に成膜空間内へ供給されて、フッ素樹脂ターゲットの構成材料とそのハロゲン元素とが含まれるかたちで保護膜が形成される。それゆえ凹部の側壁には、こうしたハロゲン元素が含まれない保護膜に比べて、その表面平滑性が向上したかたちで保護膜が形成されることとなる。その結果、凹部の側壁に形成された保護膜が側壁の全体にわたってより均一に保護機能を発現することとなり、ひいては基板に対する深さ方向へのエッチングの異方性、すなわち深堀り加工における加工精度が向上可能となる。
なお、上述の選択されたハロゲン元素が予め構成材料に含まれるかたちでターゲットが構成されたとしても、上述と同じく、保護膜の構成材料には選択されたハロゲン元素が含まれるかたちとなる。ただし、上述の選択されたハロゲン元素が含まれる構成材料では、ターゲットとしての熱的および機械的耐性が十分に得られ難いため、複数枚の基板処理が実行されると、ターゲットそのものに熱的および機械的な損傷が発生してしまう。これに対して、請求項に記載のドライエッチング方法によれば、ターゲットの構成材料そのものが熱的及び機械的耐性に優れたフッ素樹脂からなるため、こうした問題までも容易に解消されることになる。そして複数枚の基板処理が要求される量産技術へこの方法が適用されることにより、生産性を向上することが可能にもなる。
請求項に記載のドライエッチング方法は、前記保護膜形成工程では、前記反応ガスを用いて前記フッ素樹脂ターゲットをスパッタすることを要旨とする。
請求項に記載のドライエッチング方法によれば、上述のハロゲンガスがスパッタガスとしても利用されることから、フッ素樹脂ターゲットの構成材料に対して上述のハロゲン元素の置換または付加が容易にもなり、表面平坦性が向上されたかたちの保護膜がより形成され易くもなる。そのうえ、反応ガスと異なるガスがスパッタガスとして別途利用される場合に比べて、保護膜を成膜する反応系そのものの簡素化が図られるようにもなる。
請求項に記載のドライエッチング方法は、前記エッチング工程を実行する前に、臭素が含まれるプラズマを前記真空容器内に発生させて、前記基板に設けられたレジストマス
クを前記臭素が含まれるプラズマに曝すことを要旨とする。
上述のエッチング処理が実行される間、基板に設けられたレジストマスクは、エッチングガスを用いたプラズマに曝され続け、こうしたプラズマへの曝露時間は、ホールやトレンチの形状が深くなるほど長くなる。そのため、上述の深堀加工技術においては、レジストマスクの形状劣化を抑えるために、レジストマスクにおけるプラズマ耐性の向上も重要になる。請求項に記載のドライエッチング方法によれば、エッチング処理に先立って実行される臭素を用いたプラズマ処理により、レジストマスクの構成材料の一部が臭素に置換または終端されることから、レジストマスクのプラズマ耐性が向上される。
上記したように、本発明によれば、基板表面に形成する凹部の加工精度を向上させたドライエッチング装置及びドライエッチング方法を提供することが可能になる。
第1実施形態のプラズマエッチング装置の断面構造と電気的構成を示す構成図。 第1実施形態にかかる保護膜の表面及び断面を示すSEM画像であって、(a)は希ガス及び反応ガスを用いて平坦面上に成膜した保護膜、(b)は希ガス及び反応ガスを用いて凹部内に成膜した保護膜を示す。 保護膜の表面及び断面を示すSEM画像であって、(a)は希ガスのみを用いて平坦面上に成膜した保護膜、(b)は希ガスのみを用いて凹部内に成膜した保護膜を示す。 第1実施形態のプラズマエッチング装置の電気的構成を示すブロック回路図。 第1実施形態のプラズマエッチング装置における処理動作を示すタイミングチャート。 第2実施形態のプラズマエッチング装置の断面構造と電気的構成を示す構成図。 第2実施形態のプラズマエッチング装置の電気的構成を示すブロック回路図。 第2実施形態のプラズマエッチング装置における処理動作を示すタイミングチャート。
(第1実施形態)
以下、本発明にかかるドライエッチング装置を磁気中性線放電(NLD:magnetic Neutral Loop Discharge)型のプラズマエッチング装置に具体化した第1実施形態について図1〜図5を参照して説明する。図1は第1実施形態にかかるプラズマエッチング装置の断面構造とその電気的構成とを模式的に示す構成図である。
図1に示されるように、プラズマエッチング装置10における真空槽11(真空容器)には、ターボ分子ポンプTMPが連結されており、このターボ分子ポンプTMPが駆動することにより、真空槽11の内部空間であるプラズマ形成空間11Sが所定の真空度に真空排気される。プラズマ形成空間11Sの上部は、真空槽11を構成する筒状の誘電体壁11Aに囲まれており、その誘電体壁11Aの外周には、電源装置を構成するアンテナ電源RF1に接続されたアンテナコイル12が配設されている。さらにアンテナコイル12の外周には、第1の磁場コイル13A、第2の磁場コイル13B、および第3の磁場コイル13Cが上から順に配設されている。
第1の磁場コイル13Aおよび第3の磁場コイル13Cには、それぞれ同一方向に電流が供給されており、これらの間に挟まれた第2の磁場コイル13Bには、逆方向に電流が供給されている。こうした電流が各磁場コイルに供給されることにより、上述のプラズマ形成空間11Sには、磁場ゼロとなる磁気中性線が誘電体壁の周方向に沿うリング状に連続して形成される。そして上述のアンテナ電源RF1がアンテナコイル12にアンテナ電力を供給することにより、磁気中性線に沿う交換電場が形成されて磁気中性線に放電プラズマが発生する。
こうした構成からなるプラズマエッチング装置においては、第1の磁場コイル13A、第2の磁場コイル13B、第3の磁場コイル13Cに流れる電流値により、上述の磁気中性線の位置および大きさが調整される。例えば第1の磁場コイル13A、第2の磁場コイル13B、第3の磁場コイル13Cに流れる電流値がそれぞれ第1の電流値IA、第2の電流値IB、第3の電流値ICであるとき、IA>ICの場合には磁気中性線が第3の磁場コイル13Cに近づくかたちで第3の磁場コイル13Cの位置が下がり、逆に、IA<ICの場合には磁気中性線が第1の磁場コイル13Aに近づくかたちで磁気中性線の位置が上がる。また、第2の電流値IBが増加するに連れて、磁気中性線のリング径が小さくなり、磁場ゼロの位置での磁場の勾配が緩やかになる。そして磁気中性線に関わる上述の特性を利用することにより、プラズマ形成空間11Sにおけるプラズマ密度分布の最適化が図られる。
プラズマ形成空間11Sの底部には、シリコン基板Sが載置される基板電極14が具備されており、この基板電極14には電源装置を構成するバイアス電源RF2がコンデンサを介して接続されている。シリコン基板Sの表面には、凹部が形成される領域である被エッチング領域のみが基板表面に露出するかたちで、レジストマスクが設けられている。そしてバイアス電源RF2が駆動することにより、プラズマ形成空間11Sに対する所定のバイアス電場がシリコン基板S上に形成され、プラズマ形成空間11Sに生成されたエッチャントがこうしたバイアス電場の作用により被エッチング領域に引き込まれてそのエッチング反応を進行させる。つまり、上述したバイアス電源RF2は、フッ素を含んだイオン等をシリコン基板Sの法線方向に沿ってシリコン基板Sの表面に引き込むために利用される。
なお、シリコン基板Sの法線方向に沿った凹部をより深く形成するためには、フッ素がより多く含まれるエッチャント、言い換えれば質量がより大きいエッチャントがシリコン基板Sの法線方向に沿ってより長く移動する態様が好ましい。つまり、より質量が大きいエッチャントが、時間的に平均化されたバイアス電場ではなく、時間的に変化するバイアス電場、言い換えればバイアス電源RF2から供給される高周波電場そのものに追従する態様が好ましい。具体的には、SF 等のように質量が60を超えるエッチャントを高周波電場の時間変化に追従させて凹部の目標深さである1mmを移動させる態様が好ましく、こうした態様を実現するためには、基板電極14に供給する高周波電力の周波数が2MHz〜4MHzである構成が好ましい。このような周波数が選択される構成であれば、凹部の深さが1mmを超える場合であっても、SF のように質量が大きいエッチャントが十分に凹部の底部へ到達することになる。ちなみに、上述の周波数が4MHzを超える場合にあっては、上記と同じく、質量が大きいエッチャントが十分に凹部の底部へ到達するものの、ただしこうした質量が大きいエッチャントがレジストマスクにも引き込まれてしまうために、エッチングの選択性を損なう虞がある。
真空槽11の上部には、基板電極14と対向するようにターゲット電極としてのバッキングプレート15が配設されており、このバッキングプレート15には、電源装置を構成するターゲット電源RF3がコンデンサを介して接続されている。また、バッキングプレート15におけるプラズマ形成空間11S側の面には、スパッタされることによりシリコン基板Sの表面にエッチング保護膜を形成するためのフッ素樹脂ターゲット(ターゲット16)が装着されている。このターゲット16の構成材料は、フッ素を含むオレフィンを重合して得られるフッ素樹脂であり、例えば四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合樹脂(PFA)、四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとの共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレンとエチレンとの共重合樹脂(ETFE)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、フッ化ビニル樹脂(PVF)を用いることができる。そしてターゲット電源RF3が駆動することにより、プラズマ形成空間11Sに対する所定のバイアス電場がターゲット16の表面に形成されて、プラズマ形成空間11Sに生成されたイオン等のスパッタ粒子がこうしたバイアス電場の作用によりターゲット16に引き込まれてそのスパッタ反応を進行させる。つまり上述したターゲット電源RF3は、ターゲット16の構成材料であるフッ素樹脂をシリコン基板Sに向けてスパッタするために利用される。
誘電体壁11Aの内側には、真空槽11の内部に各種のプロセスガスを導入するためのガス供給部を構成するガス導入部17が設置されている。ガス導入部17が供給するプロセスガスは、プラズマエッチング装置10が実行する処理であるエッチング処理又は保護膜形成処理に利用されるものであり、具体的には、双方の処理に利用される希ガスと、エッチング処理に利用されるエッチングガスと、保護膜形成処理に利用される反応ガスとが供給される。ガス導入部17の上流には、こうしたプロセスガスごとの流量制御部である3つのマスフローコントローラが連結されている。つまり希ガス用コントローラMFC1、エッチングガス用コントローラMFC2、反応ガス用コントローラMFC3がそれぞれガス導入部17の上流に連結されており、各マスフローコントローラから選択的に導出されるプロセスガスが真空槽11の内部へと供給される。なお上述の希ガス、エッチングガス、反応ガスとしては、以下に示すガスが用いられる。
・希ガス:Ar、Xe、Kr、及びNの少なくとも一つ。
・エッチングガス:SF、NF、SiF、及びXeFの少なくとも一つ。
・反応ガス:塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)からなる群から選択された一つのハロゲン元素を含むガス。例えばHBr、HI、Cl、SiCl、BCl、BCl、ClF、ClF
そして上述のターゲット電源RF3が駆動する状態で上述の反応ガスが真空槽11の内部に供給されると、被スパッタ粒子であるフッ素樹脂の一部が反応ガスを構成するハロゲン元素に置換される。あるいは被スパッタ粒子であるフッ素樹脂に反応ガスを構成するハロゲン元素が付加される。これにより反応ガスを構成するハロゲン元素とターゲット16の構成材料であるフッ素樹脂とが含まれるかたちで保護膜が形成される。こうした構成からなる保護膜によれば、フッ素樹脂の化学的特性としての例えば融点が低下することとなり、フッ素樹脂膜に固有の島状成長が抑制されて、保護膜そのものの層状成長が促進されることとなる。つまり反応ガスを構成するハロゲン元素が含まれない保護膜に比べて、その表面平滑性が向上されたかたちで保護膜が形成されることとなる。
図2は、以下に示す条件の下で成膜された保護膜の表面を走査型電子顕微鏡で観測した観測結果を示すSEM画像であって、図2(a)は上記希ガス及び反応ガスを用いて平坦面上に成膜した保護膜の表面を示すSEM画像であり、図2(b)は上記希ガス及び反応ガスを用いて凹部に成膜した保護膜の表面を示すSEM画像である。また図3(a)は、図2にて得られた保護膜の成膜条件から反応性ガスを割愛し、上記希ガスのみ用いて平坦面上に成膜した保護膜の表面を示すSEM画像であり、図3(b)は上記希ガスのみを用いて凹部に成膜した保護膜の表面を示すSEM画像である。
(保護膜成膜条件)
・ターゲット材料:PTFE
・希ガス/流量:アルゴン/30sccm
・反応性ガス/流量:臭化水素/10sccm
・成膜圧力:2.6Pa
・アンテナ電力:3000W
・バイアス電力:0W
・ターゲット電力:500W
・磁場コイル電流(IA/IB/IC):30.6/49.5/30.6
・成膜時間:4sec
図2及び図3に示されるように、上記希ガス及び上記反応ガスを用いて成膜した保護膜においては、上記希ガスのみを用いて成膜した保護膜に認められる島状の成長が大幅に抑えられており、その表面に高い平滑性が得られていることが分かる。そして、このような希ガス及び反応ガスを用いて成膜した保護膜であれば、希ガスのみを用いて成膜した保護膜と比較して、それの表面モホロジーが優れている分だけ、凹部の側壁等で高い保護機能が発現されることが分かる。なお、反応ガスの添加によるこうした表面モホロジーの向上は、フッ素樹脂の化学的特性としての例えば融点が反応ガスを構成するハロゲン元素の置換によって低下すること、それによるものと考えられる。
次に、上述のプラズマエッチング装置10に関する電気的構成について以下に説明する。図4はプラズマエッチング装置の電気的構成を示すブロック回路図であり、図5はプラズマエッチング装置で実行される各種処理時におけるガス供給部と電源装置との動作状態を示すタイミングチャートである。
図4に示されるように、制御装置21は、各種の演算処理を実行するCPU等からなる制御部21Aと、各種のデータや実行プログラムを格納するRAMやROM等からなる記憶部21Bと、各種の処理動作における経過時間を計時するタイマー21Cとを具備している。制御装置21においては、記憶部21Bから読み出された処理プログラムや各種のデータ、さらにはタイマー21Cが計時した経過時間等に基づいて制御部21Aが各種の制御信号を出力する。そしてこうした制御信号にプラズマエッチング装置10が応答するかたちで、シリコン基板Sに対するエッチング処理やシリコン基板Sに対する保護膜形成処理等の各種の処理動作が実行される。
この制御装置21には、図示されない入力I/Fを介して入力部22が接続されている。エッチング条件に関わる各種データ、例えばエッチング処理及び保護膜形成処理における処理時間、ガス流量、供給電力量等に関わる各種データは入力部22から制御装置21へ入力され、制御装置21はこうしたエッチング条件に関わる各種データを利用してエッチング処理と保護膜形成処理とを実行する。
また制御装置21には、図示されない出力I/Fを介して出力部23が接続されている。各種の処理結果に関わるデータは制御装置21から出力部23へ出力され、制御装置21はこうしたデータに基づいて各種の処理の動作状態を外部に出力する。また制御装置21には、上述の出力I/Fを介してアンテナ電源RF1、バイアス電源RF2、ターゲット電源RF3が接続されている。電力供給に関わる各種制御信号は制御装置21から各電源へ出力され、アンテナ電源RF1、バイアス電源RF2、ターゲット電源RF3はこうした制御信号に応答してエッチング条件に応じた電力供給を実行する。さらに制御装置21には、上述の出力I/Fを介して希ガス用コントローラMFC1、エッチングガス用コントローラMFC2、反応ガス用コントローラMFC3が接続されている。ガス供給に関わる各種制御信号は制御装置21から各マスフローコントローラへ出力され、希ガス用コントローラMFC1、エッチングガス用コントローラMFC2、反応ガス用コントローラMFC3はこうした制御信号に応答してエッチング条件に応じたガス供給を実行する。
そしてレジストマスクを有したシリコン基板Sが基板電極14に載置されて、シリコン基板Sに対する処理指令が入力部22から制御装置21へ入力されると、まずエッチングガス用コントローラMFC2によるガス供給やバイアス電源RF2による電力供給等が実行されて、これによりシリコン基板Sの被エッチング領域に凹部が形成される(エッチング工程S1)。続いて、反応ガス用コントローラMFC3によるガス供給やターゲット電源RF3による電力供給が実行されて、これによりシリコン基板Sの凹部の側壁および底部に保護膜が形成される(保護膜形成工程S2)。そしてこれらのエッチング工程S1と保護膜形成工程S2とがエッチング条件に応じて所定の回数だけ交互に繰り返して実行される。以下、こうした構成からなるプラズマエッチング装置10の処理動作を、その一例を用いて具体的に以下に説明する。
図5に示されるように、上述の処理指令に応じたパルス信号である指令信号P1が制御装置21に入力されると、指令信号P1が立上るタイミングで希ガス用コントローラMFC1およびエッチングガス用コントローラMFC2を制御装置21が駆動して、エッチング条件に応じた希ガスおよびエッチングガスをこれらのマスフローコントローラに供給させる。さらにアンテナ電源RF1およびバイアス電源RF2を制御装置21が駆動して、エッチング条件に応じた電力供給を同じくエッチング条件に応じた処理時間だけ実行する。こうしたガス供給と電力供給とが所定の処理時間だけ実行されることにより、シリコン基板Sに対するエッチング反応が進行して基板表面に凹部が形成される。そして基板主面の面方向に沿うエッチング幅が設計上の目標幅になるタイミングで上述のガス供給及び電力供給が停止されて、シリコン基板Sの表面に所定の深さを有した凹部が形成される(エッチング工程S1)。
上述のエッチング工程S1が所定の処理時間だけ実行されると、続いて希ガス用コントローラMFC1および反応ガス用コントローラMFC3を制御装置21が駆動して、エッチング条件に応じた希ガスおよび反応ガスをこれらのマスフローコントローラに供給させる。さらにアンテナ電源RF1およびターゲット電源RF3を制御装置21が駆動して、エッチング条件に応じた電力供給を同じくエッチング条件に応じた処理時間だけ実行する。こうしたガス供給と電力供給とが所定の処理時間だけ実行されることにより、上述した凹部の側壁及び底部に保護膜が形成される。(保護膜形成工程S2)。
上述の保護膜形成工程S2においては、プラズマ形成空間11Sに形成されたプラズマ中に反応ガスが供給されることから、塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択された一つのハロゲン元素がターゲット16からの被スパッタ粒子であるフッ素樹脂に置換あるいは付加される。そのためフッ素樹脂の化学的特性としての例えば融点が低下することとなり、被スパッタ粒子であるフッ素樹脂が堆積した場合に起こる島状成長が抑制されるかたちで、保護膜の層状成長が促進されることとなる。つまりこうした保護膜形成工程S2が実行されることにより、上述のハロゲン元素が含まれない保護膜を形成する場合に比べて、上述の凹部の側壁及び底部には表面平滑性が向上されたかたちで保護膜が形成されることとなる。
上述の保護膜形成工程S2が所定の処理時間だけ実行されると、制御装置21が再び上述のエッチング工程S1を実行する。この際、凹部の側壁に形成された保護膜が側壁の全体にわたって均一に保護機能を発現することから、シリコン基板Sの面方向に沿うエッチングの進行が凹部の底部に比べて十分に抑えられることとなる。そのためシリコン基板Sに対するエッチング反応が凹部の底部のみで進行して、深さが増した凹部が基板表面に形成される。ただし、こうしたエッチング工程S1の処理時間が経過するに連れ、凹部の開口部においては側壁の保護膜が徐々にエッチングされ、また凹部の底部においては凹部の側壁方向にエッチングが進行することになる。そのため凹部の開口部や底部におけるエッチング幅が目標幅に維持されるべく、エッチング幅が再び設計上の目標幅になるタイミングで、上述のガス供給及び電力供給が再び停止される。このようなエッチング工程S1が再び実行されることにより、シリコン基板Sの表面に所定の深さと目標幅とを有した凹部が形成されることになる。以後同様に、上述のエッチング工程S1と保護膜形成工程S2とが交互に繰り返して実行されることにより、エッチング幅が設計上の目標幅になるかたちで、基板主面の法線方向に沿う凹部が所定の深さに形成される。
なお、上述の選択されたハロゲン元素が予めターゲット16の構成材料に含まれるかたちでターゲット16が構成されたとしても、上述と同じく、保護膜の構成材料には選択されたハロゲン元素が含まれるかたちとなる。だが上述の選択されたハロゲン元素が含まれる構成材料では、ターゲット16としての熱的および機械的耐性が十分に得られ難いため、複数回にわたり保護膜形成工程S2が実行されると、ターゲット16そのものに熱的および機械的な損傷が発生してしまう。これに対して、上述のプラズマエッチング装置10によれば、ターゲット16の構成材料そのものが熱的及び機械的耐性に優れたフッ素樹脂からなるため、こうした問題までも容易に解消されることになる。
以上説明したように、上記実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)上記第1実施形態によれば、ターゲット16のスパッタ時に反応ガスが成膜空間内へ供給されてターゲット16の構成材料と反応ガスに含まれるハロゲン元素とが含まれるかたちで保護膜が形成される。それゆえ保護膜形成工程S2の後の凹部の側壁には、上述のハロゲン元素(塩素、臭素、あるいはヨウ素)が含まれない保護膜に比べて、その表面平滑性が向上されたかたちで保護膜が形成されることとなる。その結果、凹部の側壁に形成された保護膜が側壁の全体にわたってより均一に保護機能を発現することとなり、ひいてはシリコン基板Sに対する深さ方向への加工精度が向上可能となる。
(2)また反応ガスに含まれるハロゲン元素が予め構成材料に含まれるかたちでターゲットが構成されたとしても、(1)と同じく、保護膜の構成材料には選択されたハロゲン元素が含まれるかたちとなる。ただし、こうしたハロゲン元素が含まれる構成材料では、ターゲット16としての熱的および機械的耐性が十分に得られ難いため、複数枚の基板処理が実行されると、ターゲットそのものに熱的および機械的な損傷が発生してしまう。これに対して、第1実施形態に示される構成によれば、ターゲット16の構成材料そのものが熱的及び機械的耐性に優れたフッ素樹脂からなるため、こうした問題までも容易に解消
されることになる。そして複数枚の基板処理が要求される量産技術へこうしたプラズマエッチング装置10が適用されることにより、生産性を向上することが可能にもなる。
(第2実施形態)
以下、本発明にかかるドライエッチング装置をNLD型のプラズマエッチング装置に具体化した第2実施形態について図6〜図8を参照して説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態におけるターゲット電源RF3を割愛して、新たに可変コンデンサを付加した構成である。また第2実施形態におけるエッチングは、上述のエッチング工程においてバイアス電源RF2を利用しないエッチングを実行するものであって、保護膜形成工程とエッチング工程との間においてさらに保護膜除去工程を実行するものであり、その他の構成および方法については第1実施形態に準ずるものである。そのため以下では、上述した変更点について詳細に説明する。図6は第1実施形態にて説明した図1に対応するものであり、第2実施形態にかかるプラズマエッチング装置の断面構造とその電気的構成とを模式的に示す構成図である。図7及び図8はそれぞれ第1実施形態にて説明した図4及び図5に対応するものであり、プラズマエッチング装置の電気的構成を示すブロック回路図、及びプラズマエッチング装置の処理動作を示すタイミングチャートである。
図6に示されるように、バッキングプレート15には、ターゲット16の表面にバイアス電場を形成するための可変コンデンサBCを介して上述のアンテナ電源RF1が接続されている。図7に示されるように、制御装置21には、図示されない出力I/Fを介して上述の可変コンデンサBCが接続されている。バッキングプレート15への電力供給に関わる制御信号は制御装置21から可変コンデンサBCへ出力され、可変コンデンサBCはこうした制御信号に応答してエッチング条件に応じた電力供給を実行する。
図8に示されるように、上述の処理指令に応じたパルス信号である指令信号P1が制御装置21に入力されると、指令信号P1が立上るタイミングで希ガス用コントローラMFC1およびエッチングガス用コントローラMFC2を制御装置21が駆動して、エッチング条件に応じた希ガスおよびエッチングガスをこれらのマスフローコントローラに供給させる。さらに制御装置21がアンテナ電源RF1を駆動して、バッキングプレート15には高周波電力が供給されず、アンテナコイル12にのみ高周波電力が供給されるかたちで、エッチング条件に応じた処理時間だけこの電力供給が実行される。こうしたガス供給と電力供給とが所定の処理時間だけ実行されることにより、シリコン基板Sに対する略等方的なエッチング反応が進行して基板表面に凹部が形成される。そして基板主面の面方向に沿うエッチング幅が設計上の目標幅になるタイミングで上述のガス供給及び電力供給が停止されて、シリコン基板Sの表面に所定の深さを有した凹部が形成される(エッチング工程T1)。
上述のエッチング工程S1が所定の処理時間だけ実行されると、続いて希ガス用コントローラMFC1および反応ガス用コントローラMFC3を制御装置21が駆動してエッチング条件に応じた希ガスおよび反応ガスをこれらのマスフローコントローラに供給させる。さらにアンテナ電源RF1および可変コンデンサBCを制御装置21が駆動して、エッチング工程T1よりも高い高周波電力がアンテナ電源RF1から出力されるかたちで、エッチング条件に応じた処理時間だけこの電力供給が実行される。こうしたガス供給と電力供給とが所定の処理時間だけ実行されることにより、上述した凹部の側壁及び底部には、第1実施形態と同じく、反応ガスを構成するハロゲン元素とターゲット16の構成材料であるフッ素樹脂とが含まれるかたちで保護膜が形成される。つまり凹部の側壁及び底部には、上述のハロゲン元素が含まれない保護膜に比べて、その表面平滑性が向上されたかたちで保護膜が形成されることとなる。(保護膜形成工程T2)。
上述の保護膜形成工程S2が所定の処理時間だけ実行されると、続いて希ガス用コント
ローラMFC1およびエッチングガス用コントローラMFC2を制御装置21が駆動してエッチング条件に応じた希ガスおよびエッチングガスをこれらのマスフローコントローラに供給させる。さらにアンテナ電源RF1およびバイアス電源RF2を制御装置21が駆動して、バッキングプレート15には高周波電力が供給されず、アンテナコイル12にのみ高周波電力が供給され、エッチング条件に応じた高周波電力がバイアス電源RF2から供給されるかたちで、エッチング条件に応じた処理時間だけこの電力供給が実行される。こうしたガス供給と電力供給とが所定の処理時間だけ実行されることにより、上述した凹部の底部から保護膜が除去され、かつ、凹部の側壁にのみ保護膜が残される。(保護膜除去工程T3)。
上述の保護膜除去工程T3が所定の処理時間だけ実行されると、制御装置21が再び上述のエッチング工程S1を実行する。この際、第1実施形態と同じく、凹部の側壁に形成された保護膜が側壁の全体にわたって均一に保護機能を発現することから、シリコン基板Sの面方向に沿うエッチングの進行も凹部の内部で十分に抑えられることとなる。しかも第2実施形態においては、凹部の底部に形成された保護膜が先行する保護膜除去工程T3により除去されていることから、エッチング反応が凹部の底部のみでより確実に進行して、深さが増した凹部がより高い精度のもとで基板表面に形成されることになる。以後同様に、上述のエッチング工程T1と保護膜形成工程T2と保護膜除去工程T3が順に繰り返して実行されることにより、基板主面の面方向に沿うエッチング幅が設計上の目標幅になるかたちで、基板主面の法線方向に沿う凹部が所定の深さに形成される。
以上説明したように、上記第2実施形態によれば第1実施形態で得られる効果の他に以下の効果を得ることができる。
(3)上記第2実施形態によれば、保護膜形成工程T2の後に保護膜除去工程T3が実行されることから、エッチング工程T1におけるエッチング対象がより確実に凹部の底部に限られることになる。そのうえ、こうした異方的なエッチング処理である保護膜除去工程T3が表面平坦性の高い保護膜に対して実行されることになる。つまり凹部の側壁に形成された保護膜がその厚さをより均一にする状態で、上述の保護膜除去工程T3が実行されることとなり、凹部の底部におけるエッチャントの進入領域が凹部の開口により即したかたちで形成されることになる。それゆえシリコン基板Sに対する深さ方向への加工精度がより向上可能となる。
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態におけるエッチング工程S1、T1の実行前に、反応ガス用コントローラMFC3及びアンテナ電源RF1を制御装置21が駆動し、そして臭素を含むプラズマがプラズマ形成空間11Sに形成される工程が別途実行される構成であってもよい。つまりエッチング工程S1、T1の実行前に、シリコン基板Sの表面に設けられたレジストマスクが臭素を含むプラズマに曝される工程が、別途実行される構成であってもよい。
上述のエッチング処理が実行される間、シリコン基板Sに設けられたレジストマスクは、エッチングガスを用いたプラズマに曝され続け、こうしたプラズマへの曝露期間は、凹部の形状が深くなるほど長くなる。そのため上述の深堀加工技術においては、レジストマスクの形状劣化を抑えるために、レジストマスクにおけるプラズマ耐性の向上も重要になる。上述の構成であれば、エッチング処理に先立って実行される臭素を用いたプラズマ処理により、レジストマスクの構成材料の一部が臭素に置換または終端されることから、レジストマスクに置けるプラズマ耐性が向上されることになる。そのうえ、臭素が含まれるガスを上述の反応ガスとして利用することから、このような前処理が上述の反応ガスと同じガス種により実行されることとなり、装置構成そのものの簡略化が図られるようにもなる。
・上記実施形態における保護膜形成工程S2、T2においては、制御装置21が希ガス用コントローラMFC1を駆動せず、反応ガス用コントローラMFC3、アンテナ電源RF1及びターゲット電源RF3のみを駆動し、反応ガスがターゲット16をスパッタする態様であってもよい。こうした態様であれば、選択されたハロゲン元素が高いエネルギーを有した状態でターゲット16に衝突する。そのため選択されたハロゲン元素とフッ素樹脂との反応がこうした衝突によっても進行することにもなり、選択されたハロゲン元素のフッ素樹脂に対する置換または付加が容易にもなる。その結果、表面平坦性が向上されたかたちの保護膜がより形成され易くもなり、そのうえ反応ガスと異なるガスがスパッタガスとして別途利用される場合に比べて、保護膜を成膜する反応系そのものの簡素化が図られるようにもなる。
・上記実施形態におけるエッチング工程S1、T1においては、エッチングガス用コントローラMFC2に加えて反応ガス用コントローラMFC3を制御装置21が駆動し、フッ素が含まれる上記のエッチングガスの他、臭素が含まれるガス、例えばHBrがプラズマ形成空間11Sに含まれるかたちでエッチングが実行される構成であってもよい。こうした構成によれば、フッ素よりも質量が大きいエッチャントである臭素が凹部の形成に寄与することにもなり、さらには上述のようにレジストマスクにおけるプラズマ耐性の向上を図ることも可能となることから、深堀り加工における加工精度がより向上可能となる。
・上記実施形態においては、ドライエッチング装置が磁気中性線放電型のプラズマエッチング装置として具体化された例を説明した。具体的には、アンテナコイル12、各磁場コイル13A,13B,13C、及びバッキングプレート15によりプラズマ発生部が構成される例を説明した。これに限らず、各磁場コイル13A,13B,13Cが割愛されて、ドライエッチング装置がICP型のプラズマエッチング装置として具体化される構成であってもよい。つまりフッ素樹脂ターゲットの構成材料と選択されたハロゲン元素とが含まれるかたちで保護膜が形成されるべく、保護膜形成処理においてフッ素樹脂ターゲットがスパッタされる際に、塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択された一つのハロゲン元素が含まれる反応ガスが真空槽11内に供給される装置構成であればよい。
・上記実施形態におけるエッチング工程S1、T1、保護膜形成工程S2、T2、保護膜除去工程T3の処理時間は、凹部の形状に合わせて適宜変更されるものであり、例えば同じ時間であってもよく、あるいは異なる時間であってもよい。
MFC1…希ガス用コントローラ、MFC2…エッチングガス用コントローラ、MFC3…反応ガス用コントローラ、S…基板、S1、T1…エッチング工程、S2、T2…保護膜形成工程、T3…保護膜除去工程、RF1…アンテナ電源、RF2…バイアス電源、RF3…ターゲット電源、10…プラズマエッチング装置、11…真空槽、12…アンテナコイル、13A…第1の磁場コイル、13B…第2の磁場コイル、13C…第3の磁場コイル、14…基板電極、15…バッキングプレート、16…ターゲット、17…ガス導入部、21…制御装置。

Claims (5)

  1. シリコンからなる基板が載置される基板電極を有した真空容器と、
    前記真空容器内に複数種のガスを選択的に供給するガス供給部と、
    前記ガスを用いたプラズマを前記真空容器内に発生させるプラズマ発生部と、
    前記真空容器に搭載されたターゲット電極に装着されたフッ素樹脂ターゲットと、
    前記基板電極と前記ターゲット電極とに選択的に電力を供給する電源装置とを具備し、
    前記真空容器内にエッチングガスを用いたプラズマを発生させて前記基板電極にバイアス電力を供給することにより前記基板の表面に凹部を形成するエッチング処理と、前記ターゲット電極に高周波電力を供給して前記フッ素樹脂ターゲットをスパッタすることにより前記基板に形成された前記凹部の側壁に保護膜を形成する保護膜形成処理とを繰り返すドライエッチング装置であって、
    前記保護膜形成処理では、前記フッ素樹脂ターゲットをスパッタしつつ、前記真空容器内に塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択された一つのハロゲン元素を含み、フッ素を含まない反応ガスを供給することにより、前記フッ素樹脂ターゲットの構成材料と前記選択されたハロゲン元素とが含まれるかたちで前記保護膜を形成することを特徴とするドライエッチング装置。
  2. 前記保護膜形成処理では、前記フッ素樹脂ターゲットをスパッタするためのガスが前記反応ガスであることを特徴とする請求項1に記載のドライエッチング装置。
  3. 真空容器内でプラズマを発生させてシリコンからなる基板表面に凹部を形成するエッチング工程と、フッ素樹脂ターゲットをスパッタすることにより前記基板に形成された前記凹部の側壁に保護膜を形成する保護膜形成工程とを繰り返して実行するドライエッチング方法であって、
    前記保護膜形成工程では、前記フッ素樹脂ターゲットをスパッタしつつ、前記真空容器内に塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択された一つのハロゲン元素を含み、フッ素を含まない反応ガスを供給して、前記フッ素樹脂ターゲットの構成材料と前記選択されたハロゲン元素とが含まれるかたちで前記保護膜を形成することを特徴とするドライエッチング方法。
  4. 前記保護膜形成工程では、前記反応ガスを用いて前記フッ素樹脂ターゲットをスパッタすることを特徴とする請求項に記載のドライエッチング方法。
  5. 前記エッチング工程を実行する前に臭素が含まれるプラズマを前記真空容器内に発生させて、前記基板に設けられたレジストマスクを前記臭素が含まれるプラズマに曝すことを特徴とする請求項又はに記載のドライエッチング方法。
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