JP5361302B2 - 光学素子及び光学機器 - Google Patents

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Description

本発明は、光学異方性媒質を用いた光学素子、及びこれを用いたプロジェクタ等の光学機器に関する。
光学異方性を用いた光学素子は、偏光制御や光束分離等の用途に広く用いられている。例えば、λ/4板やλ/2板に代表される位相板、偏光分離素子に代表される偏光板、及び光学ローパスフィルタとして用いられている。
光学異方性とは、入射する偏光の振動方向によって屈折率が異なる性質を指す。これを利用すると、例えば、同じ方向から入射する光であっても、その偏光方向によって振る舞いを異ならせることが可能となる。
このような光学異方性を持つ材料としては、水晶、方解石等の結晶材料や、液晶材料や、プラスチック、高分子等の有機材料がある。これらの材料の光学異方性の程度は、偏光方向に対する屈折率で表される。
光学異方性を得る方法として、使用する光の波長(以下、使用波長という)よりも小さい構造による構造異方性を用いる方法が特許文献1,2にて開示されている。
使用波長よりも小さい構造では、光はその構造を直接は認識できずに均質な媒質のように振る舞うことが知られている。このとき、光はその構造の充填率に準じた屈折率を示し、該屈折率は有効屈折率法と呼ばれる手法により求めることができる。構造の充填率に応じて、偏光方向によって屈折率が異なる性質を構造異方性と呼ぶ。そして、構造の充填率を任意に設定することで、屈折率を調整することができる。また、構造異方性を利用することにより、通常の光学異方性材料に比べて偏光方向による屈折率の差を大きくすることができるため,所望の複屈折特性を得るための厚みを薄くすることができる。
特許文献1には、構造異方性を利用した位相板が開示されている。該位相板では、構造異方性によって屈折率が調整できることを利用し、複数の構造異方性層(周期構造体)を組み合わせることで位相差特性の波長による変化を抑えている。
特許文献2には、基板の一方の面に面法線方向の構造異方性層が形成され、他方の面に面内方向の構造異方性層が形成された光学素子が開示されている。各面での構造異方性により屈折率を調整し、それら屈折率を組み合わせることで、位相補償板を得ている。また、反射防止層を挿入することで、反射防止機能を付与している。
特開2004−139001号公報 特開2007−156441号公報
特許文献1では、高屈折率の媒質を用いた構造異方性の上部に、同じ周期性を有する低屈折率の材料を配置する例が開示されている。これにより、各構造異方性層の屈折率に比べて低い屈折率の材料が上部に積層される形となるため、表面での反射はある程度抑えられる。しかし、この構成では、反射防止性能としては不十分である。
また、特許文献2には,構造異方性の層に反射防止膜を付与しているが、反射防止機能を発揮させるための必要な構成が開示されていない。
このように偏光方向による屈折率の差が大きな材料を用いると、偏光方向に対する反射-透過特性が大きく異なってくる。また、反射防止コーティングを付与しようとしても、屈折率が大きく異なるために、偏光方向ごとに特性を最適化することは困難である。
本発明は、光学異方性を用いた光学素子であって、十分な反射防止性能を有する光学素子及びこれを備えた光学機器を提供する。
本発明の一側面としての光学素子は、光学異方性媒質と、第1の媒質と、
第2の媒質を含む。光学異方性媒質は、第1の媒質と第2の媒質の間に配置されており、光学異方性媒質の使用中心波長における最小屈折率をn 、光学異方性媒質の使用中心波長における最大屈折率をn 、第1の媒質の使用中心波長における屈折率をn t1 、第2の媒質の使用中心波長における屈折率をn t2 とするとき、最小屈折率nと最大屈折率nとの差が0.1以上ある。

を満足し、使用中心波長に対して1/4波長分の位相差を付与することを特徴とする。
また、本発明の他の側面としての光学素子は、構造異方性層と、第1の媒質と第2の媒質を含む。構造異方性層は、第1の媒質と第2の媒質の間に配置されており、構造異方性層は、2つの材料のみからなり、構造異方性層の使用中心波長における最小屈折率をn 、構造異方性層の使用中心波長における最大屈折率をn 、第1の媒質の使用中心波長における屈折率をn t1 、第2の媒質の使用中心波長における屈折率をn t2 とするとき、最小屈折率n と最大屈折率n との差が0.1以上ある。

を満足し、使用中心波長に対して1/4波長分の位相差を付与することを特徴とする。
なお、上記光学素子を有する光学機器も本発明の他の一側面を構成する。
本発明によれば、光学異方性媒質を用いたときに該光学異方性媒質の層を薄く形成できることを利用して、該光学異方性媒質層を干渉層として機能させることができる。また、光学異方性媒質層とこれに光学的に隣接する媒質(層)の屈折率や厚みを適切な範囲に設定することで、光学異方性の強い媒質を用いた場合でも、反射防止性能と偏光ごとの反射・透過特性に優れた光学素子を実現することができる。そして、この光学素子を用いることで、高性能な光学機器を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
まず、具体的な実施例の説明に先立って、各実施例の光学素子に共通する特徴について説明する。図1には、光学素子の基本的な構成例を示す。
011は光学異方性を持つ媒質(光学異方性媒質:以下、光学異方性層という)である。012は均質な等方性の薄膜として形成され、光学異方性層011に光学的に隣接する媒質(以下、薄膜層という)である。013は均質な等方性の薄膜として形成され、薄膜層012とは異なる界面で光学異方性層011に光学的に隣接する媒質(以下、薄膜層という)である。
「光学的に隣接する」とは、図1に示すように光学異方性層011と薄膜層012又は013とが1つの界面で接する(機械的に隣接する)場合だけでなく、これらの間に、これらの層に比べてきわめて薄く、光学的な影響が少ない挿入層を挟んでいる場合を含む。なお、以下の説明において、光学的に隣接することを、単に隣接するともいう。
014はレンズ等のベース部材(以下、基板という)である。015は光学異方性層011と薄膜層012,013により構成される反射防止層(反射防止膜)を示す。
なお、図1に示す構成では、薄膜層012,013のうち一方が第1の媒質に、他方が第2の媒質に相当する。ただし、薄膜層013はなくてもよく、この場合は、光学異方性層011に隣接する媒質は基板014となる。
以下の説明において、屈折率とは、使用する光の波長帯域(使用波長)における中心の波長(使用中心波長)λでの屈折率をいう。
光学異方性層011は、本実施例では、y軸方向に光学軸を持つ一軸性の光学異方性材料とする。光学異方性層011のx及びz方向に振動する光(第1の偏光)に対する屈折率をnとし、y方向に振動する光(第2の偏光)に対する屈折率をn(<n)とする。ここで、nとnはそれぞれ、光学異方性層011の最大屈折率と最小屈折率である。なお、実施例では、光学異方性層011を一軸性の光学異方性材料により形成する場合について説明するが、光学異方性層を二軸性の光学異方性材料により形成してもよい。
実施例では、nとnの差が0.1以上ある。この条件を満足することで、所望の複屈折特性を得るための光学異方性層011の厚みを薄くすることができる。このように、光学異方性層011の厚みを十分に薄くできるため、該光学異方性層011を干渉層として機能させることができる。nとnの差が0.1より小さい場合は、偏光ごとの屈折率差が小さいために所望の複屈折特性を得るには光学異方性層011の厚みをかなり大きくする必要があり、好ましくない。
図2には、図1に示した構成の屈折率構造を示す。図2では、横軸が光学膜厚を示し、縦軸が屈折率を示している。光は、図の右側から入射する。
021,025はそれぞれ、光学異方性層011のx方向(a)及びy方向(b)での屈折率nと光学膜厚n・dを示す。また、図2中の「up」及び「down」は、層間の界面での屈折率変化が基板014の逆側(光入射側)から見て「増加」及び「減少」であることをそれぞれ示す。
022は薄膜層012のx及びy方向での屈折率と光学膜厚を示し、023は薄膜層013のx及びy方向での屈折率と光学膜厚を示す。さらに、024は基板014のx及びy方向での屈折率と光学膜厚を示す。
薄膜層012,013及び基板014は、等方性媒質であるため、屈折率は方向によらず一定であるが、光学異方性層011はx及びy方向で屈折率が異なる。このため、全体として、x及びy方向で屈折率が異なる屈折率構造が得られる。また、光学異方性層011の光学膜厚もx及びy方向での屈折率の比に準じて異なる。
従来の反射防止技術では、基板に入射する光を複数の界面で反射させ、その反射光同士を波に見立てて干渉させることで反射防止機能を得ている。ここで、従来の反射防止技術において反射光を干渉させる方法について簡単に説明する。
まず、基板のみからなる光学素子について考える。その構成例を図16に示す。161は基板であり、等方性媒質により形成されている。基板161の屈折率構造を図3に示す。031は基板161の屈折率であり、033は基板161と該基板161への入射光が進んでくる媒質(入射媒質)との界面である。入射光は界面033で反射し、その反射光の波の振幅は、入射媒質と基板161との屈折率差から求められる。該振幅はフレネル係数で表され、界面033での屈折率変化が入射側から見て屈折率増加の場合は負の値に、屈折率減少の場合は正の値になる。これは界面033で反射する光の位相変化量を表している。
図16の基板161に、単層の反射防止層を設けた例を図17に示す。171は基板であり、172は反射防止層としての薄膜層である。この場合の屈折率構造を図4及び図5に示す。041,051は基板171の屈折率、042,052は薄膜層172の屈折率と光学膜厚を示す。043は基板171と薄膜層172の界面を、044は入射媒質と薄膜層172との界面を示す。また、053は基板171と薄膜層172との界面を、054は入射媒質と薄膜層172との界面を示す。
図4に示す構成は、基板171と入射媒質との間に、これらの屈折率の間の屈折率(中間屈折率)を有する薄膜層を挿入した例である。この屈折率構造での光の反射は、界面043と界面044での反射光の重ね合わせとなる。この重ね合わせの状態は、薄膜層172の光学膜厚によって決まる。
図4に示すように、薄膜層172の両界面043,044での屈折率の変化が両者とも増加である場合は、両界面043,044で反射した光の波の位相の変化は同じになる。これらの波同士が打ち消し合う条件は、光学膜厚がλ/4であり、波同士が強め合う条件は、光学膜厚がλ/2である。後者の場合、図3における界面033での反射光と同じ強さになる。
なお、図4では、薄膜層172の両界面043,044での屈折率の変化がともに増加である場合を示したが、両界面での屈折率の変化がともに減少である場合も、同様となる。
図4の構成の場合、各界面での反射光の振幅は、エネルギー保存則により、図3の界面033での反射光の振幅より大きくはならない。波の干渉を考えると、波同士が強め合う条件でも図3に示す構成での反射光量と同等の反射光量しか生じないため、図4の構成での反射の波の総量は、図3の構成よりも減少する。つまり、両界面での屈折率変化の方向が同じ薄膜層は「反射光量を減らす」層になることが分かる。
図5に示す構成は、基板171と入射媒質との間に、これらの屈折率よりも高い屈折率を有する薄膜層を挿入した例である。
この構成での光の反射は、界面053と界面054での反射の重ね合わせとなる。この重ね合わせの方法は、薄膜層172の光学膜厚によって決まる。
薄膜層172の両界面053,054での屈折率の変化がそれぞれ増加と減少というように異なる場合には、両界面053,054で反射した光の波の位相変化は逆となる。これらの波同士が打ち消しあう条件は光学膜厚がλ/2であり、波同士が強め合う条件は光学膜厚がλ/4である。前者では、図3に示す界面033の反射光と同じ強さの反射光が生ずる。なお、この例では、両界面での屈折率変化が増加と減少である場合を述べたが、両界面での屈折率変化が減少と増加である場合でも同様となる。
この構成の場合、どちらか一方の界面での反射光の振幅は、図3の界面033での反射光の振幅より大きくなる。波の干渉を考えると、打ち消し合う条件でも図3の反射光量と同等の反射光量が生ずるため、図5での反射の波の総量は図3の構成よりも大きくなる。つまり、両界面での屈折率変化の方向が異なる薄膜層は、「反射光量を増やす」層となることがわかる。
反射防止層としては、上記の2種類の薄膜層を組み合わせて形成する場合が多い。前者の構成は単純に用いるだけで反射光量が低下する。しかし、反射防止層として用いることが可能な材料は、離散的かつ選択的であるため、前者の構成だけでは高性能な反射防止機能は得られにくい。そこで、後者の構成を併せ用いることで、一部の反射光の強度を調整し、前者の構成で反射光の強度を減少させる。これにより、高性能な反射防止層(反射防止膜)が得られる。
上述したように、波の干渉を考えると、λ/4とλ/2の光学膜厚は正反対の特性を持つ。また、「λ/4」という光学膜厚は、mを自然数(m=1,2,3,...)としたときに、(2m−1)λ/4と表すこともでき(つまり、同じ特性が得られ)、「λ/2」という光学膜厚は、mλ/2或いは(2m−1)λ/2と表すこともできる。
この理論を元にすると、反射光をそれぞれの薄膜層ごとに減らすためには、薄膜層の光学膜厚を、該薄膜層の両側の界面での屈折率変化に対応した膜厚に設定することが良いと分かる。例えば、基板の屈折率に対して順に低くなる屈折率の薄膜層を2層積層した場合には、それぞれの薄膜層の界面での屈折率変化は全て正(増加)となる。このため、これらの薄膜層の光学膜厚は、2層ともλ/4に設定するほうが良いことが分かる。厳密には、界面の屈折率差から求められる反射光の強度を考慮する必要があるが、ここでの説明は省略する。
上記理論を元に、図2に示す光学素子での屈折率構造を考えると、光学異方性層011の光学膜厚021,025がx及びy方向で異なっている。これは屈折率が方向によって異なるため、物理膜厚は一定でも光学膜厚が方向によって異なってしまうためである。このような光学素子の場合、例えばλ/4板の場合では、両偏光の光学膜厚差はλ/4となる。このため、光学膜厚が偏光方向に対してそれぞれλ/4,λ/2となってしまい、前述した反射防止構造において正反対の性質を持つ層になることがある。
この場合の屈折率構造を図18に示す。181,185は光学異方性層011のx及びy方向での屈折率(n,n)と光学膜厚を、182は薄膜層012のx及びy方向での同一の屈折率と光学膜厚を示す。また、183は薄膜層013のx及びy方向での同一の屈折率と光学膜厚を示す。184は基板014のx及びy方向での同一の屈折率と光学膜厚を示す。
光学異方性層011のx方向での光学膜厚181は3λ/4であり、y方向での光学膜厚185はλ/2である。また、薄膜層012の屈折率182は光学異方性層011の屈折率181(n)及び185(n)より小さく、薄膜層013の屈折率183は基板014の屈折率184と光学異方性層011の屈折率181(n)との中間の値である。
x方向の構成では、光学異方性層011の屈折率181の両界面での屈折率変化は同じであるため、3λ/4の光学膜厚は反射防止層として適している。つまり、全ての層(膜)で理想的な構成となるため、反射防止性能は非常に良いものとなる。
y方向の構成では、光学異方性層011の屈折率185の両界面での屈折率変化は同じであるため、λ/2の光学膜厚では反射防止に適していない。
このように、光学異方性層011に隣接する薄膜層012,013の屈折率182,183が、光学異方性層011の屈折率181,185の中間にない場合は、x及びy方向の双方において光学膜厚を最適な構成にすることができない。
そこで、実施例では、光学異方性層011の最小屈折率n及び最大屈折率nと、該光学異方性層011に光学的に隣接する薄膜層012,013のうち一方(第1の媒質)の屈折率nt1とが以下の条件(1)を満足することを特徴とする。
…(1)
図1及び図2において、光学異方性層011は、薄膜層012,013と隣接している。ここで、薄膜層(第1の媒質)013の屈折率023がnt1であり、光学異方性層011の屈折率021がnで、屈折率025がnであるとする。条件(1)は、屈折率nt1が屈折率nと屈折率nの間の値(中間値)であることを意味している。
条件(1)を満足すると、図2に示すように、光学異方性層011と薄膜層013との界面での屈折率変化がx方向とy方向とで異なる。屈折率差の大きな光学異方性媒質では、偏光ごとの光学膜厚が大きく変わるため、x方向とy方向とで異なる屈折率変化を持たせることで、両偏光に対してともに良好な反射防止性能が得られる。
一方、条件(1)を満足しない場合は、光学異方性層011と薄膜層013との界面での屈折率変化が両偏光に対して同じになる。このため、偏光ごとの反射防止性能が大きく異なり、好ましくない。
また、実施例では、屈折率nt1の第1の媒質との界面とは異なる界面で光学異方性層に隣接する第2の媒質の屈折率nt2は以下の条件(2)を満足することがより好ましい。
…(2)
ここで、薄膜層(第2の媒質)012の屈折率022がnt2とする。条件(2)は、屈折率nt2が屈折率n及びn以下もしくは屈折率n及びn以上となることを指す。図2では、前者を例にして説明している。条件(2)を満足することで、図2に示すように、光学異方性層011と薄膜層012との界面での屈折率変化がx方向とy方向で同じになる。これにより、光学異方性層011の屈折率の構成を、方向によって「反射光量を減らす」層と「反射光量を増やす」層にすることができる。屈折率差の大きな光学異方性媒質では、光学膜厚が両偏光で大きく異なるため、上記のように屈折率の構成を変えることで、膜厚差をキャンセルすることができる。
また、実施例では、光学異方性層011の最小屈折率n及び最大屈折率nのうち、屈折率nt1,nt2との関係が以下の条件(3)を満足する屈折率をnとする。
…(3)
そして、光学異方性層011の厚みをdとするときに、以下の条件(4)を満足することがより好ましい。
…(4)
ただし、λは使用中心波長であり、mは自然数である。
条件(3)は、光学異方性層011の屈折率のうち、両界面での屈折率変化が異なる方向での屈折率を示す。このことを図2を用いて説明する。図2では、x方向においては、薄膜層012から光学異方性層011へは屈折率が増加し、光学異方性層011から薄膜層013へは屈折率が減少する。このため、屈折率021(n)をnとしたとき、条件(3)を満足する。
y方向においては、薄膜層012から光学異方性層011へは屈折率が増加し、光学異方性層011から薄膜層013へも屈折率が増加する。このため、屈折率025(n)は、条件(3)を満足しない。したがって、条件(3)を満足するのは、x方向での屈折率021である。
また、条件(4)は、条件(3)を満足する偏光方向の屈折率と膜厚の積算値とがある範囲内にあることを示している。図2では、上述したように、x方向が式(3)を満足する。このため、屈折率021と光学異方性層011の膜厚の積算値が、条件(4)を満足する。
条件(4)を満足することで、x方向については、光学異方性層011の屈折率021が適した値となる。一方、y方向については、光学異方性層011での屈折率の変化の方向性が異なる。図2に示すように、両界面で屈折率が増加する場合は、必然的に光学異方性層011とそれを挟む薄膜層012,013との屈折率差は小さくなる。このため、膜厚が適した値でなくても、反射率の変動は少ない。つまり、x方向及びy方向で良好な反射防止性能を得ることができる。
また、x方向及びy方向ともに、条件(3)を満足する構成もあり得る。この場合、x方向及びy方向でともに条件(3)を満たすことで、x方向及びy方向で良好な反射防止性能を得ることができる。
以上のような屈折率構造は、光学異方性が強い媒質を用いた光学素子の全てに有効である。例えば、λ/4板の場合は、偏光ごとの光学膜厚差がλ/4ある。つまり、薄膜層012,013のうち一方の光学膜厚をλ/2に設定すると、他方の光学膜厚はλ/4となる。これにより、薄膜層012,013の反射防止機能においては、偏光方向によって互いに正反対の性質を持つ。しかし、実施例のように薄膜層012,013のうち一方の光学膜厚がλ/2となる偏光を設定することで、光学膜厚がλ/4となる偏光と反射−透過特性のバランスをとることが可能となる。
また、本発明をλ/4板以外の光学異方性媒質を用いた光学素子に適用する場合には、λ/4板に比べて光学膜厚の差は反射防止性能への影響が少ない。このため、全ての光学異方性媒質を用いた光学素子において、両偏光に対する反射−透過特性を良好にすることができる。
さらに、実施例では、光学異方性層と、該光学異方性層に隣接する第1の媒質との間に第3の媒質としての薄膜層(以下、挿入層という)を設けてもよい。この場合に、光学異方性層に隣接する第1の媒質の屈折率をnd1とし、挿入層の屈折率をno1とし、膜厚をdo1とするときに、以下の条件(5)を満足することが好ましい。
…(5)
条件(5)を満足する光学素子の構成例を図19に示す。191は光学異方性層、192,193,196は均質な等方性の薄膜により形成された薄膜層である。このうち薄膜層196が第3の媒質としての薄膜層(挿入層)である。194は基板、195は光学異方性層191及び薄膜層192,193,196により構成される反射防止膜である。また、この光学素子の屈折率構造を図20に示す。201,205は光学異方性層191のx方向(a)とy方向(b)での屈折率nと光学膜厚n・dを示す。202は薄膜層192のx及びy方向での屈折率と光学膜厚、203は薄膜層193のx及びy方向での屈折率と光学膜厚を示す。204は薄膜層194のx,y方向での屈折率と光学膜厚を示し、206は挿入層196のx及びy方向での屈折率と光学膜厚を示す。
図19に示す光学素子において、挿入層196の屈折率をn以上とすると、前述した条件から外れてしまう。しかし、この挿入層196は光学膜厚が薄いため、光学特性への影響が少ない。このため、挿入層196が設けられている場合でも、薄膜層193と光学異方性層191とが光学的に隣接するとみなすことができる。つまり、前述の条件(5)の1つ目の条件、或いは後述する条件(6)の1つ目の条件を満足する挿入層を挟んでいても、その挿入層の両側の2つの層(基板も含む)は、光学的に隣接しているものとみなす。なお、この挿入層196としては、ハードコート層、防眩層及び接着層等が該当する。
挿入層196の光学膜厚は、好ましくはλ/8以下、さらに好ましくはλ/10以下がよい。
また、実施例では、図示はしないが、光学異方性層191と薄膜層(第2の媒質)192との間に、第4の媒質としての薄膜層(以下、挿入層という)を設けてもよい。この場合、薄膜層192の屈折率をnd2とし、第4の媒質としての挿入層の屈折率をno2とし、厚みをdo2とするときに、以下の条件(6)を満足することが好ましい。
…(6)
この場合において、光学異方性層191の最小屈折率n及び最大屈折率nのうち、上記2つの薄膜層の屈折率nd1,nd2との関係が以下の条件(7)を満足する屈折率をnとする。
…(7)
そして、光学異方性層191の厚みをdとするときに、以下の条件(8)を満足することが好ましい。
…(8)
ただし、mは自然数である。
また、実施例では、光学異方性層として、使用中心波長λより小さい(好ましくは、使用波長領域内の光のうち最も短い波長よりも小さい)構造が複数形成されることにより実現される構造異方性を有する層を用いてもよい。この層は、使用中心波長λ(好ましくは、使用波長領域の光のうち最も短い波長)よりも短い周期を持つ周期構造の層でも良い。なお、この場合の使用中心波長とは、例えば550nmの波長の光のように、可視領域の中心に近い波長、つまり500nm以上600nm以下(好ましくは530nm以上570nm以下)の波長であることが望ましい。
構造異方性を有する第1の層の構造例を図6に示す。061は基板、062は構造異方性を有する層(以下、構造異方性層という)である。構造異方性層062には、材料063で形成された矩形の格子と、材料063とは異なる材料064で形成された矩形の格子とが、一次元方向に交互に、かつ周期的に形成されている。材料063による格子063と材料064による格子とにより使用中心波長λより小さい1つの構造が構成され、該構造が構造異方性層062に複数形成されている。該構造は、xz方向で均一であり、かつy方向で周期的である。aは材料063による格子の幅であり、bは材料064による格子の幅(材料063による格子間の間隔)である。そして、a+bが使用中心波長λよりも小さい。
入射する光の波長よりも小さい構造に対して、該光はその構造を直接は認識できず、均質な媒質が存在するかのように振る舞う。図6の場合、構造異方性層062は均質な膜と等価な屈折率を持つ層として機能し、その周期構造に応じた特性を持つ。
材料063の屈折率をnとし、材料064の屈折率をnとすると、構造異方性層062のx方向を偏光方向とする偏光に対する屈折率nとy方向を偏光方向とする偏光に対する屈折率nはそれぞれ、以下の式(9),(10)により表される。
…(9)
…(10)
式(9),(10)は、0次の有効屈折率法と呼ばれる手法に基づく。この手法は、構造異方性層を構成する材料とその充填率ff{=a/(a+b)}によって、その層の屈折率を求めることができる。厳密には、構造の間隔や使用する波長等も影響するが、ここではこれらの説明は省略する。
構造異方性層062に強い光学異方性を持たせるには、構造異方性層062を構成する材料063,064の屈折率差を大きくすることが有効である。このため、材料063としては高屈折率の材料を用い、材料064としては空気を用いることが一般的である。例えば、材料063としてTiO(屈折率2.3)を用い、材料064として空気(屈折率1.0)を用いてa=bとすると、nは1.77で、nは1.30となり、非常に大きな屈折率差が得られる。
これを利用すると、所望の位相差を得るための構造異方性層062の厚みを非常に薄くできる。例えば、構造異方性層062をλ/4板として使用する場合であって使用中心波長λが550nmのとき、構造異方性層062の厚みは320nmとなる。
図6では説明を簡単にするために、複数の矩形の格子が一次元方向に周期的に配列された光学素子を示したが、2次元方向や3次元方向に周期的に配列してもよい。また、各構造部は矩形でなくても、円柱形や球形でもよい。さらに、1つの構造部が使用中心波長よりも小さければ、該構造部を周期的に配列しなくてもよい。
また、実施例において、光学異方性を有する媒質として無機材料を用いてもよい。無機材料は、有機系材料に比べて、耐候性や耐熱性に優れる。この特性を利用することで、厳しい環境条件や温度条件で用いられる光学素子においても、十分な性能を発揮できる。
以下に、具体的な実施例を、設計値(実験値)及び入射角0°での反射率特性とともに示す。各実施例での使用波長範囲は500〜600nmであり、使用中心波長は550nmである。ただし、これらは例に過ぎず、本発明の実施例はこれらの条件に限定されるものではない。
実施例1では、屈折率1.75の基板を用意し、その表面に光学異方性層を積層した。さらに、光学異方性層の表面に、屈折率1.38、物理膜厚(以下、単に膜厚ともいう)100nmの薄膜層[1]を積層した。光学異方性層の屈折率はn(n)が2.05で、n(n)が1.72であった。また、光学異方性層の膜厚は400nmとした。本実施例において、光学異方性層に隣接する第1の媒質は基板であり、第2の媒質は薄膜層[1]である。
入射媒質は、空気であり、屈折率は1.00である。入射媒質については後述する他の実施例も同じである。本実施例は、条件(1)〜(4)を満足している。
本実施例の特性を図7に示す。図7によれば、波長500〜600nmで両偏光(x偏光及びy偏光)に対する反射率が十分に低くなっている。
実施例2では、屈折率1.80の基板を用意し、その表面に屈折率2.10、膜厚131nmの薄膜層[3](第1の媒質)を積層した。該薄膜層[3]の表面に、光学異方性層を積層した。さらに、光学異方性層の表面に屈折率1.38、膜厚100nmの薄膜層[1](第2の媒質)を積層した。光学異方性層は、使用中心波長より小さい複数の格子(屈折率2.4)を一次元方向に配列することで構成した。充填率は0.88とした。光学異方性層の屈折率はn(n)が2.28で、n(n)が1.90であった。また、光学異方性層の膜厚は362nmとした。本実施例は、条件(1)〜(4)を満足している。
本実施例の特性を図8に示す。図8によれば、使用中心波長550nmで両偏光(x偏光及びy偏光)に対する反射率が極小値を示し、かつ十分に低くなっている。
実施例3では、屈折率2.0の基板を用意し、その表面に屈折率1.80、膜厚87nmの薄膜層[3](第1の媒質)を積層した。該薄膜層[3]の表面に、光学異方性層を積層した。さらに、光学異方性層の表面に屈折率1.38、膜厚100nmの薄膜層[1](第2の媒質)を積層した。光学異方性層の屈折率はn(n)が1.85で、n(n)が1.70であった。また、光学異方性層の膜厚は890nmとした。本実施例は、条件(1)〜(4)を満足している。
本実施例の特性を図9に示す。図9によれば、波長500〜600nmで両偏光の反射率が十分に低く、かつバランスがとれている。
実施例4では、屈折率1.53の基板を用意し、その表面に屈折率1.78、膜厚76nmの薄膜層[3]を積層した。該薄膜層[3]の表面に、屈折率2.00、膜厚133nmの薄膜層[2](第2の媒質)を積層し、該薄膜層[2]の表面に光学異方性層を積層した。さらに、光学異方性層の表面に屈折率1.38、膜厚100nmの薄膜層[1](第1の媒質)を積層した。光学異方性層の屈折率はn(n)が2.11で、n(n)が1.90であった。また、光学異方性層の膜厚は651nmとした。本実施例は、条件(1)〜(4)を満足している。
本実施例の特性を図10に示す。図10によれば、波長500〜600nmで両偏光の反射率が十分に低くなっている。
実施例5では、屈折率1.53の基板を用意し、その表面に屈折率1.78、膜厚76nmの薄膜層[3](第2の媒質)を積層した。該薄膜層[3]の表面に、屈折率2.30、膜厚10nmの挿入層(第3の媒質)を積層し、該挿入層の表面に光学異方性層を積層した。さらに、光学異方性層の表面に屈折率1.38、膜厚100nmの薄膜層[1](第1の媒質)を積層した。光学異方性層の屈折率はn(n)が2.11で、n(n)が1.90であった。また、光学異方性層の膜厚は651nmとした。なお、本実施例では、光学異方性層に基板側にて隣接する挿入層の光学膜厚が23nmと非常に薄いため、光学異方性層に対して薄膜層[3](第2の媒質)が光学的に隣接しているとみなせる。本実施例は、条件(1)〜(5)を満足している。
本実施例の特性を図11に示す。図11によれば、波長500〜600nmで両偏光の反射率が十分に低くなっている。
以上の実施例1〜5の数値及び条件を満足する(○)か否かを表1にまとめて示す。ここで、表1中の薄膜層に付された丸囲みの1〜3は、上記薄膜層[1]〜[3]を示す。また、表1中の*1は、光学異方性層に光学的に隣接するのは、屈折率1.78、膜厚76nmの薄膜層[3]であるとみなして計算を行ったことを示す。
以下に、実施例1〜5に対する比較例1,2を示す。これらの比較例は、表2に示すように、条件(1)を満足していない(×)例である。
(比較例1)
比較例1では、屈折率1.80の基板を用意し、その表面に光学異方性層を積層した。さらに、光学異方性層の表面に、屈折率1.38、膜厚100nmの薄膜層[1]を積層した。光学異方性層は、使用中心波長より小さい複数の格子を一次元方向に配列することで構成した。充填率は0.80とした。光学異方性層の屈折率はn(n)が1.67で、n(n)が1.50であった。また、光学異方性層の物理膜厚は825nmとした。本実施例は、条件(1)を満足していない。
本比較例の特性を図12に示す。図12によれば、本比較例では反射防止のために低屈折率の薄膜層が光入射側に形成されているものの、屈折率の関係や膜厚が適切に設定されていないために、両偏光に対する反射率が大きく異なり、特にy偏光に対する反射率が高くなった。
(比較例2)
比較例2では、屈折率1.53の基板を用意し、その表面に屈折率2.30、膜厚120nmの薄膜層[3]を積層した。該薄膜層[3]の表面に、光学異方性層を積層した。さらに、光学異方性層の表面に屈折率1.38、膜厚100nmの薄膜層[1]を積層した。光学異方性層は、使用中心波長より小さい複数の格子(屈折率2.3)を一次元方向に配列することで構成した。充填率は0.80とした。光学異方性層の屈折率はn(n)が2.11で、n(n)が1.69であった。また、光学異方性層の膜厚は325nmとした。本実施例は、条件(1)を満足していない。
本比較例の特性を図13に示す。図13によれば、本比較例は、光学異方性層の両界面に薄膜層が形成されているものの、x偏光に対する反射率が高く、反射防止機能を果たしていない。
以下、上記実施例1〜5の光学素子を用いた光学機器の例として、液晶プロジェクタと光ピックアップ装置を示す。ただし、各実施例の光学素子は、これら以外の光学機器にも使用することができる。
まず図14には、液晶プロジェクタの構成を示す。140は光源(ランプ)、141rは赤色光の光路、141gは緑色光の光路、141bは青色光の光路を示す。142は偏光変換素子であり、143はダイクロイックミラーである。144は偏光板であり、145は波長選択性位相板(波長選択性位相差板)である。
146iは緑色用偏光ビームスプリッタ、146pは青・赤色用偏光ビームスプリッタである。147r,147g,147bはそれぞれ赤、緑、青色用の1/4λ板である。148r,148g,148bはそれぞれ、赤、緑、青色用の反射型液晶パネル(画像形成素子)である。149は色合成プリズム、1401は投射レンズである。
光源140からの光束は、偏光変換素子142で特定の偏光方向を有する光束に変換される。さらに、この偏光光束は、波長選択性位相板145及び1/4λ板147r,147g,147bによって色ごとにP偏光又はS偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ146i,146pにて反射又は透過する。これにより、各色光は、対応する光路を辿って投射レンズ1401により不図示のスクリーン等の被投射面に投射され、該被投射面上にカラー画像を形成する。波長選択性位相板とは、可視領域内の赤色光、緑色光及び青色光のうち、1つの色光に対しては位相板(位相差板)として機能して位相差を与え、他の1つの色光に対しては実質的に位相差を与えない機能をもつ光学素子である。
実施例1〜5の光学素子は、波長選択性位相板145及び1/4λ板(位相板)147r,147g,147bとして用いることができる。勿論、波長選択性位相板145及び1/4λ板(位相板)147r,147g,147bのうち、いずれか1つに実施例1〜5の光学素子(位相板)を用いてもよい。
実施例1〜5の光学素子は、その厚みを薄くできるために小型化が可能であり、かつ入射するP偏光及びS偏光に対する位相板としての高い透過率を実現することができる。この結果、高性能なプロジェクタを提供することができる。また、光学素子の第1の層に無機材料を使用することで、耐熱性や耐候性に優れたプロジェクタを提供することができる。
図15には、光ディスク用の光ピックアップ装置における光源の周辺の光学系を示している。151は光源(レーザ)であり、151aは偏光板である。152は偏光ビームスプリッタであり、153,155は集光レンズである。154,156は受光器である。157は光学ディスクであり、158は位相板である。
光源151からの光束は、偏光板151aによって特定の偏光方向を有する光束(ここでは、P偏光とする)として偏光ビームスプリッタ152に入射する。該偏光光束の一部は、偏光ビームスプリッタ152で反射され、集光レンズ153を介して受光器154によりモニタされる。
一方、偏光ビームスプリッタ152を透過した偏光光束は、位相板158を介して集光レンズ155で光学ディスク157上に結像する。光ディスク157で光変調された反射光は、位相板158でその偏光方向が90°回転されてS偏光となり、偏光ビームスプリッタ152にて反射される。そして、この反射光は、再生信号光を検出するための受光器156で検出される。
実施例1〜5の光学素子は、位相板158として使用することができる。実施例1〜5の光学素子は、その厚みを薄くできるために小型化が可能であり、かつ入射するP偏光及びS偏光に対する位相板としての高い透過率を実現することができる。この結果、高性能な光ピックアップ装置を提供することができる。また、光学素子の第1の層に無機材料を使用することで、耐熱性や耐候性に優れた光ピックアップ装置を提供することができる。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
本発明の実施例である光学素子の基本構成を示す断面図。 実施例の光学素子の屈折率構造を示す図。 光学素子の基板のみの屈折率構造を示す図。 基板上にこれよりも低い屈折率の薄膜を形成した場合の屈折率構造を示す図。 基板上にこれよりも高い屈折率の薄膜を形成した場合の屈折率構造を示す図。 構造異方性層を有する実施例の光学素子の模式図。 実施例1の光学素子の反射率特性を示す図。 実施例2の光学素子の反射率特性を示す図。 実施例3の光学素子の反射率特性を示す図。 実施例4の光学素子の反射率特性を示す図。 実施例5の光学素子の反射率特性を示す図。 比較例1の光学素子の反射率特性を示す図。 比較例1の光学素子の反射率特性を示す図。 実施例1〜5の光学素子を用いた液晶プロジェクタの構成を示す図。 実施例1〜5の光学素子を用いた光ピックアップ装置の構成を示す図。 基板のみにより構成される光学素子の断面図。 基板上に薄膜を形成した光学素子の断面図。 基板上に光学異方性層及び薄膜を積層した光学素子の屈折率構造を示す図。 図1の基本構成に挿入層を追加した実施例の光学素子の断面図。 図19の光学素子の屈折率構造を示す図。
符号の説明
011,191 光学異方性層
012,013,172,192,193 薄膜層
014,161,171,194 基板
015,195 反射防止層
196 挿入層
063,064 材料

Claims (11)

  1. 光学異方性媒質
    第1の媒質と、
    第2の媒質を有し、
    前記光学異方性媒質は、前記第1の媒質と前記第2の媒質の間に配置されており、
    前記光学異方性媒質の使用中心波長における最小屈折率をn 、前記光学異方性媒質の使用中心波長における最大屈折率をn 、前記第1の媒質の前記使用中心波長における屈折率をn t1 、前記第2の媒質の前記使用中心波長における屈折率をn t2 とするとき、
    記最小屈折率n前記最大屈折率nとの差が0.1以上あり、


    を満足し、
    前記使用中心波長に対して1/4波長分の位相差を付与することを特徴とする光学素子。
  2. 前記光学異方性媒質の前記最小屈折率n及び前記最大屈折率nのうち、前記第1及び第2の媒質の屈折率nt1,nt2との関係が以下の条件を満足する屈折率をnとし、

    前記光学異方性媒質の厚みをdとするときに、以下の条件を満足することを特徴とする請求項に記載の光学素子。

    ただし、λは前記使用中心波長であり、mは自然数である。
  3. 前記光学異方性媒質と前記第1の媒質との間に配置された第3の媒質を有し、
    前記第3の媒質の前記使用中心波長における屈折率をno1とし、前記第3の媒質の厚みをdo1 、前記使用中心波長をλとするとき、

    を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
  4. 記光学異方性媒質と前記第2の媒質との間に配置された第4の媒質を有し、
    前記第4の媒質の前記使用中心波長における屈折率をno2前記第4の媒質の厚みをdo2 、前記使用中心波長をλとするとき、

    を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の光学素子。
  5. 前記光学異方性媒質の厚みをdとするとき、
    362(nm)≦d≦890(nm)
    を満足することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の光学素子。
  6. 構造異方性層と、
    第1の媒質と
    第2の媒質を有し、
    前記構造異方性層は、前記第1の媒質と前記第2の媒質の間に配置されており、
    前記構造異方性層は、2つの材料のみからなり、
    前記構造異方性層の使用中心波長における最小屈折率をn 、前記構造異方性層の使用中心波長における最大屈折率をn 、前記第1の媒質の前記使用中心波長における屈折率をn t1 、前記第2の媒質の前記使用中心波長における屈折率をn t2 とするとき、
    前記最小屈折率n と前記最大屈折率n との差が0.1以上あり、


    を満足し、
    前記使用中心波長に対して1/4波長分の位相差を付与することを特徴とする光学素子。
  7. 前記構造異方性層は、1つの材料で形成された矩形の格子が、1次元方向に配列された構造を含み、
    前記最大屈折率n は、前記1次元方向と直交する方向に振動する光に対する前記構造異方性層の屈折率であり、前記最小屈折率n は、前記1次元方向に振動する光に対する前記構造異方性層の屈折率であることを特徴とする請求項6に記載の光学素子。
  8. 前記構造異方性層の厚みをdとするとき、
    362(nm)≦d≦890(nm)
    を満足することを特徴とする請求項6又は7に記載の光学素子。
  9. 前記第1、及び第2の媒質は、光学等方性媒質であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の光学素子。
  10. 前記使用中心波長は、500nmと600nmの間の波長であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の光学素子。
  11. 請求項1から10のいずれか1つに記載の光学素子を有することを特徴とする光学機器。
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