JPH08110406A - 光学多層膜 - Google Patents

光学多層膜

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JPH08110406A
JPH08110406A JP24531494A JP24531494A JPH08110406A JP H08110406 A JPH08110406 A JP H08110406A JP 24531494 A JP24531494 A JP 24531494A JP 24531494 A JP24531494 A JP 24531494A JP H08110406 A JPH08110406 A JP H08110406A
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JP
Japan
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film
thin film
optical
refractive index
layer
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Application number
JP24531494A
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English (en)
Inventor
Shinji Uchida
真司 内田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来、光学結晶で用いられていたものを、薄
膜で実現することにより、光学部品の小型化、軽量化、
低コスト化を実現する。 【構成】 ニオブ酸リチウムの基板11上に、高屈折率
の異方性薄膜としてTa25膜12を形成する。更にT
25膜の上に、図1に示したように低屈折率の薄膜た
とえばMgF2膜13を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば光ピックアッ
プ、投射型液晶プロジェクションTV等に使用する位相
差板、偏光ビ−ムスプリッタ−等の光学部品に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】光学多層膜とは、波長の数分の一程度の
膜厚の薄膜を多層形成したものを言い、多層膜の光の多
重干渉効果で反射防止機能や色分離機能、偏光分離機能
等を実現できるものである。
【0003】従来より光学多層膜は、真空蒸着法により
光学的に等方性の薄膜を多層形成することで、作成され
てきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年の光ピックアッ
プ、投射型液晶プロジェクションTV等に用いられる波
長板あるいは偏光ビームスプリッター等の光学部品に要
求される光学性能やコストダウンは非常に厳しく、従来
の等方性の光学多層膜では対応できないという課題を有
していた。
【0005】従来より、位相差板はプラスティックシ−
トに応力をかけ、その残留歪の光弾性効果等により位相
差を作りだしたり、また水晶や方解石等の複屈折性の光
学結晶の厚みをコントロ−ルして研磨して製作されてき
た。
【0006】しかし、プラスティックシ−トを用いた位
相差板は、応力のかけ方のバラツキによって位相差が変
化するため、位相差の精度を高くすることは非常に困難
であった。
【0007】一方、水晶、方解石等の光学結晶の複屈折
を用いた位相差板は、プラスティックシ−トを用いた位
相差板より、高い精度を実現することが容易ではある
が、光学結晶を用いるため高価であるという課題を有し
ていた。
【0008】また、近年、異方性の薄膜を用いて薄膜位
相差板を作成する試みが行われているが、図13に示す
ような基板上に異方性の薄膜を所定膜厚を単層形成した
構成では、位相差板としての機能は実現できるが、図1
4の光学特性図に示すように、位相差板の透過特性が7
7%程度に劣化するという課題を有している。
【0009】また、異方性の薄膜は、光が垂直に入射し
たとしても、その入射平面と垂直方向と水平方向で薄膜
の屈折率が違う結果、光の偏光状態によって反射特性や
透過特性が大きく変化してしまうという課題を有してい
た。
【0010】
【課題を解決するための手段】基板上に少なくとも2種
類の物質からなる多層薄膜を備え、少なくとも一層以上
の薄膜層が光学的に異方性の薄膜である光学多層膜を用
いることである。
【0011】
【作用】本発明は、上記した光学多層膜を用いて、従来
の等方性の薄膜を用いた光学多層膜では実現できなかっ
た、高性能で低コストの光学多層膜を、異方性の薄膜を
一層以上用いた多層膜にすることで、容易に実現するも
のである。
【0012】
【実施例】本発明者等は上記の実用上の課題を解消すべ
く、種々検討を重ね、本発明に至った。本発明を、位相
差板に用いた場合の第一の実施例に基づき説明する。
【0013】(第1実施例)まず、基板として屈折率の
高い基板、例えばニオブ酸リチウムを用いた例について
図1を用いて説明する。
【0014】図1に示したように、ニオブ酸リチウムの
基板11上に高屈折率の異方性薄膜としてTa25膜1
2を形成する。
【0015】形成方法は、例えば図2に示したように真
空蒸着装置を用いて、真空チャンバ−内21にニオブ酸
リチウム基板22を斜めに設定し、電子銃23から出た
電子ビ−ム24をTa25材料25に照射し、Ta25
材料を加熱溶融する。
【0016】加熱溶融したTa25は蒸発粒子26とな
って蒸発し、ニオブ酸リチウム基板22上に形成され
る。蒸着スピ−ドは3nm/s程度で行なうのが好まし
い。
【0017】このような方法によって形成された薄膜2
7は、等方性の薄膜ではなく、斜め柱状構造の薄膜とな
り、膜面の縦方向と横方向とで屈折率が変化するいわゆ
る異方性の薄膜となる。
【0018】本薄膜の、縦方向(Ne)と横方向(N
o)成分の屈折率を測定したところ、Ne=1.8、N
o=1.88が得られた。従って、本形成方法によって
光学的に異方性の薄膜が実現できていることがわかる。
【0019】この薄膜を用いて位相差板として、例えば
λ/4波長板(波長λ=780nm)を作成する場合を
例にとり説明する。
【0020】λ/4波長板の特性を実現するためには、 d=λ/4/(No−Ne) だけの膜厚を形成すればよいことが知られているため、
本薄膜も上記式にあてはめて計算すると、2.4μmと
なり、この膜厚量を基板上に形成すれば、光学結晶等の
位相差板の特性を薄膜で実現することができる。
【0021】本薄膜を、λ/4波長板としての性能を評
価したところ、ほぼ計算値通りの位相差を実現できた。
【0022】ここで、λ/4波長板を作成する例につい
て説明したが、膜厚を変更するだけでλ/2波長板を実
現できることは言うまでもない。
【0023】しかしながら、このようなTa25膜を
2.4μm形成した時の分光特性は図14に示したよう
な分光特性となり、透過特性は77%程度に劣化すると
いう課題を有している。
【0024】そこで、本発明では更にTa25膜の上
に、図1に示したように低屈折率の薄膜たとえばMgF
2膜を0.2μm真空蒸着法で形成する。
【0025】この2層構造の多層膜の分光特性を図3に
示す。透過特性がほぼ100%のきわめて良好な光学特
性が実現できていることがわかる。
【0026】また、本実施例の光学多層膜に入射する光
の偏光状態をいろいろ変化させて透過特性を評価したと
ころ、ほぼ図3と同等な良好な光学特性を実現すること
ができた。
【0027】また、MgF2膜にかわりSiO2膜につい
ても同様の検討を行ったところ良好な光学特性が実現で
きた。
【0028】以上の通り、基板上に光学的に異方性であ
るTa25膜とMgF2膜もしくはSiO2膜からなる2
層構造にすることにより、反射防止効果とλ/4波長板
の機能を兼ね備えた薄膜位相差板を提供することがで
き、実用上きわめて有用である。
【0029】高屈折率の異方性の薄膜としてTa25
ついて述べたが、本発明は特に、この材料に限定するも
のではなく、TiO2、Bi35、CeO2膜であっても
かまわない。しかし、Ta25膜が最も大きな異方性を
実現できたのでこの材料を用いて実施例を説明する。
【0030】また、基板に関してもニオブ酸リチウムを
例にとり説明したが、基板材料としてはこれに限定され
るものではなく、例えばBK7、SK5、F5等他の光
学ガラス等にも有用である。
【0031】(第2実施例)次に、本発明の光学多層膜
の第2の実施例として、基板材料として例えばBK7を
用いた薄膜位相差板について、図4を用いて説明する。
【0032】BK7基板上に、第1層目としてAl23
膜を、真空蒸着法により約126nmの膜厚で形成す
る。第2層目には高屈折率の異方性薄膜としてTa25
膜を、2.4μmの膜厚で形成する。第3層目はSiO2
膜を約131nmの膜厚で形成する。
【0033】このような膜構造の薄膜位相差板の分光特
性を図5に示す。図5に示す通り、透過率が98%以上
のきわめて良好な反射防止効果が実現できる。実施例1
と同様、λ/4波長板として特性評価したところ、計算
どおりの位相差を実現することができた。
【0034】また、本実施例薄膜に入射する光の偏光状
態をいろいろ変化させて透過特性を評価したところ、ほ
ぼ図5に示すような良好な光学特性を実現することがで
きた。
【0035】また、第3層目がSiO2膜の場合につい
て述べたが、MgF2膜でも同様の効果が得られた。
【0036】なお、本実施例では基板がBK7の場合に
ついて述べたが、基板材料はこれに限定されるものでは
ない。SK5、F5、ニオブ酸リチウム等の光学基板に
有用である。
【0037】従って本発明により、基板上にAl23
と光学的に異方性であるTa25膜とMgF2膜もしく
はSiO2膜からなる3層構造にすることにより、反射
防止効果とλ/4波長板の機能を兼ね備えた実用上有用
な薄膜位相差板を提供することができる。
【0038】(第3実施例)次に、本発明の光学多層膜
の第三の実施例について、偏光ビ−ムスプリッタ−に応
用した例について説明する。
【0039】偏光ビ−ムスプリッタ−とは、一般的には
TiO2膜とSiO2膜を三角形のプリズム上に交互に2
0〜30層程度積層し、これをもう一つのプリズムと接
合したもので、S偏光の光が入射すると反射するが、P
偏光の光が入射すると透過するという機能を有したもの
である。
【0040】この機能を利用して、図6に示すようなλ
/4波長板と組み合わせて用いることにより、光アイソ
レ−タ−として広く利用されている。
【0041】すなわち、レ−ザ−61から出射したP偏
光の光を偏光ビ−ムスプリッタ−62に入射させる。偏
光ビ−ムスプリッタ−62はP偏光の光は透過するた
め、このP偏光の光は透過し、λ/4波長板63に入射
し、円偏光の光となって、反射面64に到達する。
【0042】反射面64からの帰還光は再びλ/4波長
板63を通過し、S偏光に変換され、再び偏光ビ−ムス
プリッタ−62に入射する。光はS偏光の光に変換され
ているため、透過せずに反射して受光器65に入射す
る。
【0043】このように偏光ビ−ムスプリッタ−とλ/
4波長板は、入射光と帰還光を光の偏光状態を変換する
ことで分離する、いわゆる光アイソレ−タ−として広く
使用されているわけである。
【0044】しかし、この光アイソレ−タ−は光学結晶
を用いたλ/4波長板や、偏光ビ−ムスプリッタ−を用
いるため、非常に高価であるとともに、光学部品が2つ
も必要なため、部品の小型化、軽量化に限界があるとと
もに、組立調整工程が必要であるという課題を有してい
た。
【0045】本発明は上記課題を解決するもので、以下
詳細に説明する。従来より一般的に用いられてきた、光
学的に等方性の性質を有するTiO2膜とSiO2膜を交
互に積層するのにかわり、本実施例においては、異方性
の性質を有するTa25膜とSiO2膜を交互に19層
積層する。Ta25膜は高屈折率であるため、偏光ビ−
ムスプリッタを実現する上で非常に有用である。
【0046】本実施例の光学多層膜における各層の膜厚
の一例を(表1)に示す。第1層目から第18層目まで
の部分において、Ta25膜を93nm、SiO2膜を
134nm交互に多層積層することで偏光ビ−ムスプリ
ッタ−の基本特性が実現できるが、これだけでは、λ/
4波長板としての特性を満足できないために、λ/4波
長板としての特性を満足するように、更に第19層目を
付加する。
【0047】本実施例のように約780nmで偏光ビ−
ムスプリッタ−とλ/4波長板を同時に満足しようとす
る場合、約1600nmの膜厚が必要である。
【0048】
【表1】
【0049】上記の膜構造の偏光ビ−ムスプリッタ−の
分光特性を図7に示す。波長740nm〜780nmに
おいてP偏光の透過率が非常に高く、S偏光の透過率が
低い良好な偏光ビ−ムスプリッタ−が実現できているこ
とがわかる。
【0050】また、λ/4波長板としての動作を確認す
るために、図8に示す光学系を用いて光アイソレ−タと
しての機能確認をおこなった。
【0051】すなわち、レ−ザ−81から出射したP偏
光の光を本実施例の上記多層膜を形成した薄膜位相差板
82に入射させる。入射した光は円偏光となって反射面
83に到達する。反射面83からの帰還光は再び薄膜位
相差板82に入射し、今度は透過せずに反射して、S偏
光の光が受光器84に到達する。
【0052】受光器84に到達する光量を評価したとこ
ろ、レ−ザ−からの入射光量を1とした場合に、受光光
量は0.88であり、従来の光学系と同等に偏光変換に
よるビ−ム分割機能がうまく働いていることがわかっ
た。
【0053】従って、本発明により、偏光ビ−ムスプリ
ッタ−としての機能と、位相差板としての機能を一つの
多層膜で実現できる結果、従来2つの光学部品で実現し
ていたものを、1つの光学部品でできるため、光学機器
の小型、軽量、低コスト化にきわめて有用である。
【0054】(第4実施例)次に、本発明を偏光ビーム
スプリッターに利用する第4実施例について説明する。
【0055】図6にも示したように、偏光ビームスプリ
ッター62は三角形のプリズム上に光学多層膜を形成
し、それを同じ形状の三角形のプリズムと接合したもの
が一般に用いられている。
【0056】しかし、プリズムには3面の平面が存在
し、各平面が非常に精密な面精度が要求されているのが
現状である。従って、各面を光学研磨することによって
実現しているわけであるが、このことはプリズム、偏光
ビームスプリッターのコストアップにつながるという重
大な課題となっていた。
【0057】また、プリズムは平板に比べ、光学系の大
きさが大きくなるだけでなく、重量増となるため、小型
軽量の光学部品を作成する上で大きな課題となってい
た。
【0058】そこで、プリズムにかわり平板を用いて偏
光ビームスプリッターを作成する試みがなされてきた
が、従来の等方性の薄膜では、偏光分離ができる波長領
域が著しく狭くなってしまい、特性が劣化するという課
題を有していた。
【0059】光ピックアップ等に用いられる偏光ビーム
スプリッターには、半導体レーザーから出射した光は平
行光ではなく、非平行な光で±5度程度の広がり角度を
もって入射する。
【0060】従って、偏光ビームスプリッターに入射す
る光の入射角度が±5度の範囲で変化するわけである
が、これらすべての入射角度で偏光ビームスプリッター
としての機能が要求されており、従来の光学多層膜を用
いた偏光ビームスプリッターでは、例えば入射角度が4
5度から40度に変化しただけでも、図9に示す様に、
例えば波長λ=780nmでの偏光分離が実現できなく
なってしまうという課題を有していた。
【0061】このような実用上の課題のなか、本願発明
者は、異方性の薄膜を用いて偏光ビームスプリッターを
作成すれば、従来の等方性の光学多層膜では実現できな
かった良好な偏光ビームスプリッターを実現できること
を新たに見いだした。
【0062】以下図10を用いて詳細に説明する。基板
上に異方性で高屈折率の薄膜であるTa25膜を、例え
ば図2に示した真空蒸着法で形成する。基板材料として
は、BK7、SK5、ニオブ酸リチウム等が使用でき、
特定材料に限定するものではない。
【0063】Ta25上に低屈折率の薄膜Si02を形
成する。本発明においては、この低屈折率の薄膜はSi
2膜に限定するものではなく、MgF2、Al23、Y
23等を用いてもかまわない。
【0064】また、ここでは、異方性で高屈折率の薄膜
としてTa25膜について述べたがこれに限定するもの
ではなく、CeO2等、光学的に異方性を示すものであ
ればなんでもかまわない。異方性の薄膜を用いることに
より従来以上の特性が実現できる。
【0065】次にSi02膜の上にTa25膜を形成
し、このように2種類の材料の薄膜を交互に、例えば1
9層積層する。
【0066】ここで重要なのは、Ta25膜を形成する
ときに、Ta25膜の屈折率の大きな方向を、図10の
紙面に垂直方向にあわせることである。
【0067】これにより、入射光101のP偏光成分
(紙面と同じ方向)の屈折率が小さくなり、S偏光成分
(紙面と垂直方向)の屈折率が大きくなるわけである。
【0068】これまで、S偏光方向とP偏光方向の屈折
率が同じであったのに対して、この様な異方性の薄膜を
用いることで、屈折率を変えることができるわけであ
る。
【0069】このようにして作成した入射角度45度で
の偏光ビームスプリッターの光学特性を図11に示す。
【0070】従来の等方性の光学多層膜による偏光ビー
ムスプリッターと比べ、非常に広い範囲で偏光分離特性
が実現できていることがわかる。
【0071】この偏光ビームスプリッターを入射角度4
0度と50度で使用した場合の分光特性を同図に示す。
【0072】これより、入射角度が40度〜50度の非
常に広い範囲において波長780nmで偏光分離機能を有
した偏光ビームスプリッターが実現できる。実用上きわ
めて有用である。
【0073】更に、本発明者は、最も大きな屈折率差を
得られる条件について検討した結果、基板上に形成した
薄膜へ入射する入射光と、異方性の薄膜の柱状組織の成
長する方向とがなす角度を約90度にすれば、最も大き
な屈折率差が得られることを、新たに見いだした。この
ような条件で偏光ビームスプリッターを作成することは
更に好ましいといえる。
【0074】(第5実施例)次に、本発明を無偏光ビー
ムスプリッターに利用する第5実施例について説明す
る。
【0075】光学多層膜に斜めに光が入射すると、S偏
光とP偏光成分の物性的な屈折率は同じでも、光の電場
成分の振舞いが変化するため、実行的な屈折率が変化す
る結果、光学特性が変化することが知られている。
【0076】しかし、光学デバイスによってはこのよう
な光の偏光状態によって透過率、反射率が変化してしま
うことが好ましくなく、偏光状態に依存しない無偏光ビ
ームスプリッタ等の光学多層膜が要望されている。
【0077】しかし、このような光学多層膜を等方性の
薄膜を利用して行った場合、ある波長の決められた入射
角度だけなら、多層膜化することである程度の特性の無
偏光ビームスプリッターを実現できるが、広い波長範囲
でしかも、ある程度入射角度が代わっても所望の光学特
性を実現することは非常に困難であった。
【0078】このような実用上の課題のもと、本発明者
は、検討の結果、異方性の薄膜を利用すれば、容易に偏
光に依存しない光学多層膜が実現できることを見いだし
た。
【0079】実施例4と同様、図10を用いて説明する
が、実施例4の偏光ビームスプリッターでは、Ta25
膜を形成するときに、Ta25膜の屈折率の大きな方向
を、紙面に垂直方向にあわせたが、今度はTa25膜の
屈折率の小さな方向を、紙面に垂直方向にあわせること
である。
【0080】これにより、入射光101のP偏光成分
(紙面と同じ方向)の屈折率が大きくなり、S偏光成分
(紙面と垂直方向)の屈折率が小さくすることができる
わけである。
【0081】今、P偏光成分の分光特性を例にとって説
明すると、等方性の多層膜では図9に示したように、例
えば入射角度が45度の場合に、長波長側に45nm離
れた波長位置のS偏光成分の分光特性が得られるが、異
方性の薄膜を用いることで、S偏光成分の薄膜の屈折率
は小さくなるため、屈折率×膜厚で得られる光学的膜厚
が小さくなった結果、光学特性は短波長側にシフトし、
P偏光とほぼ同等の光学特性を実現することができる。
【0082】S偏光とP偏光の光学特性を一致させるだ
けの屈折率の異方性による差異を、蒸着条件、基板設置
角度等を最適化することはもちろんのことである。
【0083】このような方法で得られた、無偏光ビーム
スプリッターの分光特性を図12に示す。
【0084】S偏光、P偏光の分光特性がほとんど同一
の無偏光ビームスプリッターが実現できており、実用
上、きわめて有用である。
【0085】
【発明の効果】以上のように本発明は、基板上に少なく
とも2種類の物質からなる多層薄膜を備え、少なくとも
一層以上の薄膜層が光学的に異方性の薄膜である光学多
層膜をもちいることにより、従来の等方性の光学多層膜
では実現できなかった反射防止効果と位相差板の機能を
兼ね備えた薄膜位相差板や、偏光ビ−ムスプリッタ−と
位相差板の特性を有した光学多層膜や、角度依存性の少
ない平板偏光ビームスプリッターや、偏光状態に依存し
ない無偏光ビームスプリッターが容易に実現できるた
め、光学部品の小型化、軽量化、低コスト化がはかれる
ため、実用上きわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学多層膜を用いた、位相差板の実施
例における膜構成の概略断面図
【図2】同実施例の光学膜形成装置の概略図
【図3】同実施例の位相差板の光学特性図
【図4】本発明の光学多層膜を用いた、位相差板の実施
例における膜構成の概略断面図
【図5】同実施例の位相差板の光学特性図
【図6】光アイソレ−タ−の光学系概略図
【図7】本発明の光学多層膜を具備した偏光ビ−ムスプ
リッタ−の分光特性図
【図8】本発明の光学多層膜を具備した光アイソレータ
ーの光学系概略図
【図9】従来の偏光ビームスプリッターの光学特性図
【図10】本発明の光学多層膜の、偏光ビームスプリッ
ター用の実施例膜構造を示す概略図
【図11】同実施例の偏光ビームスプリッターの光学特
性概略図
【図12】本発明の光学多層膜を用いた、無偏光ビーム
スプリッターの特性図
【図13】従来の、異方性の薄膜を用いた薄膜位相差板
の構成図
【図14】同従来の薄膜位相差板の分光特性図
【符号の説明】
11、22、41 基板 12、43 Ta25膜 13 MgF2膜 21 真空チャンバ− 23 電子銃 24 電子ビ−ム 25 Ta25材料 26 蒸発粒子 42 Al23膜 44 SiO2膜 61、81 レ−ザ− 62 偏光ビ−ムスプリッタ− 63 λ/4波長板 64、83 反射面 65、84 受光器 82 位相差板 101 入射光

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なくとも2種類の物質からなる
    多層薄膜を備え、少なくとも一層以上の薄膜層が光学的
    に異方性の薄膜である光学多層膜。
  2. 【請求項2】光学的に異方性の薄膜として五酸化タンタ
    ル膜を用いた請求項1記載の光学多層膜。
  3. 【請求項3】基板上に第1層目として光学的に異方性の
    五酸化タンタルからなる薄膜層を、第2層目として弗化
    マグネシウム膜もしくは二酸化珪素からなる薄膜層を備
    えた光学多層膜。
  4. 【請求項4】基板上に第1層目として酸化アルミニウム
    からなる薄膜層を、第2層目として光学的に異方性の五
    酸化タンタルからなる薄膜層を、第3層目として二酸化
    硅素膜もしくは弗化マグネシウムからなる薄膜層を備え
    た光学多層膜。
  5. 【請求項5】基板上に低屈折率物質と光学的に異方性の
    高屈折率物質からなる多層膜を備え、偏光ビ−ムスプリ
    ッタ−と位相差板の機能を有した光学多層膜。
  6. 【請求項6】低屈折率物質が二酸化珪素膜であり、高屈
    折率物質が五酸化タンタル膜である請求項5記載の光学
    多層膜。
  7. 【請求項7】基板上に形成した薄膜へ入射する光の入射
    面に垂直の方向に屈折率が最も高くなるように異方性の
    薄膜を形成した光学多層膜。
  8. 【請求項8】基板上に形成した薄膜へ入射する光の入射
    面に垂直の方向に屈折率が最も低くなるように異方性の
    薄膜を形成した光学多層膜。
  9. 【請求項9】基板上に形成した薄膜へ入射する入射光
    と、異方性の薄膜の柱状組織の成長する方向とがなす角
    度が約90度である光学多層膜。
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