JP5473472B2 - 光学素子及び光学機器 - Google Patents

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Description

本発明は、反射抑制作用を有する構造体を備えた光学素子に関し、さらに該光学素子を含む光学機器に関する。
一般に、透過部材により形成される光学素子の少なくとも1面には、蒸着法やスパッタ法に代表される成膜技術を利用して反射防止機能を有する薄膜が形成される。ただし、このような方法では、成膜できる材料が限定されるため、任意の屈折率の薄膜を得ることが難しい。
このため、特許文献1には、高屈折率の薄膜と低屈折率の薄膜を選択的に導入して膜厚を適切に設定することで、仮想的に中間屈折率を有する膜を得る方法が開示されている。
また、他の手法として、使用する光の波長(以下、使用波長という)よりも小さな構造を有する反射防止構造体を光学素子の少なくとも1面に形成する方法がある。最も有名な概念が蛾の目(moth-eye)である。蛾の目の表面は非常に反射率が低いことが知られており、それは蛾の目に特有の微細構造に起因することも知られている。
使用波長よりも小さな構造では、該使用波長の光はその構造を認識できずに一様な媒質に入射したように振る舞う。このとき、該構造体は、それを構成する材料の体積比に準じた屈折率を示す。そのことを利用することで、通常の材料では得られない低い屈折率の構造体を実現することができる。低屈折率材料を用いることで、より高性能な反射防止機能を得ることができる。
特許文献2には、上記のような微細構造を有する反射防止構造体として、表面側(光入射側)に向かって先細りになる形状を有する構造体が開示されている。このような構造体では、光学素子等のベース部材側から表面側に向かって換算屈折率が徐々に小さくなる。
特許文献3には、微細構造体を構成する突起の形状として、該突起の最凸部と最凹部の形状の比較において最凸部の方が尖る形状にすることが開示されている。このような突起の形状により、最表面部又は構造体とベース部材との境界での屈折率の変化を緩やかにし、反射率を低減する。
特公昭61−51283号公報 特開2005−62674号公報 特開2003−240904号公報
しかしながら、特許文献1にて開示された仮想的に中間屈折率を有する膜では、高屈折率材料を用いているために、広帯域特性に劣る。
また、特許文献2では、屈折率を傾斜させるために微細構造を斜めに形成することを開示しているものの、最適な屈折率構造までは開示していない。
さらに、特許文献3にて開示された微細構造体では、界面での屈折率の変化のみに着目しているために、屈折率の変化が大きな部分が発生してしまい、良好な広帯域特性が得られない。
このように、特許文献1〜3にて開示された方法では、限られた条件内では反射防止機能を実現できるが、広帯域特性に劣り、さらに入射角度特性にも劣るという問題がある。
本発明は、広帯域特性や入射角度特性に優れた反射抑制機能(反射防止機能)を有する光学素子及びこれを含む光学機器を提供する。
本発明の一側面としての光学素子は、ベース部材と該ベース部材上に形成された反射防止膜と、を有する光学素子であって、前記反射防止膜は、前記ベース部材側から表面側にかけて屈折率が次第に小さくなるグレーデッド層を含み、前記グレーデッド層の使用中心波長λ=650nmにおける屈折率の変化量は0.05以上であり前記グレーデッド層の前記使用中心波長における光学膜厚は350nm以上500nm以下であり、波長300nm〜1000nmの範囲における反射率が0.8%以下であり、以下の条件を満足することを特徴とする。
ただし、n前記グレーデッド層における前記表面側の部分の前記使用中心波長における屈折率であり、n前記グレーデッド層における前記ベース部材側の部分の前記使用中心波長における屈折率であり、t(n)は前記使用中心波長における屈折率がnとなる前記グレーデッド層の光学膜厚であり、n{t(n)/2}は前記光学膜厚がt(n)/2となる位置での前記使用中心波長における屈折率である。
なお、上記光学素子を有する光学機器も、本発明の他の一側面を構成する。
本発明によれば、従来の方法では得られなかったような広帯域特性及び入射角度特性に優れた反射抑制機能を有する光学素子を実現することができる。このため、本発明の光学素子を光学機器に用いることにより、光学機器の性能を従来よりも向上させることができる。
本発明の実施例におけるグレーデッド層の屈折率構造を示す図。 実施例の光学素子の基本構造を示す図。 ベース部材上に屈折率が均一な層を形成した光学素子の構造を示す図。 ベース部材上に屈折率が均一な層を形成した場合の屈折率構造を示す図。 光学膜厚に対して屈折率の変化が一様であるグレーデッド層の屈折率構造を示す図。 図5のグレーデッド層をベース部材に付加したときの反射率特性を示す図。 図1のグレーデッド層をベース部材に付加したときの反射率特性を示す図。 実施例において、グレーデッド層を微細構造層として形成した場合の光学素子の構造を示す図。 実施例1のグレーデッド層の屈折率構造を示す図。 実施例1の反射率特性を示す図。 参考のグレーデッド層の屈折率構造を示す図。 参考の光学素子の屈折率構造を示す図。 参考の反射率特性を示す図。 参考のグレーデッド層の屈折率構造を示す図。 参考の光学素子の屈折率構造を示す図。 参考の反射率特性を示す図。 実施例のグレーデッド層の屈折率構造を示す図。 実施例の反射率特性を示す図。 比較例1のグレーデッド層の屈折率構造を示す図。 比較例1の反射率特性を示す図。 比較例2のグレーデッド層の屈折率構造を示す図。 比較例2の反射率特性を示す図。 実施例の光学素子を用いたデジタルカメラを示す図。 実施例のグレーデッド層の屈折率構造を示す図。 実施例の反射率特性を示す図。 実施例のグレーデッド層の屈折率構造を示す図。 実施例の反射率特性を示す図。 比較例3のグレーデッド層の屈折率構造を示す図。 比較例3の反射率特性を示す図。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
まず、後述する具体的な実施例1〜6の説明に先立って、これらの実施例に共通する事項について説明する。
各実施例では、例として、使用波長帯域を400〜700nmまたは300〜1000nmとし、その中心である使用中心波長を550nmまたは650nmとして説明する。ただし、本発明にいう使用波長帯域及び使用中心波長はこれらに限定されるものではない。
図2には、各実施例に共通する光学素子の基本構成を示している。021は第1の層であり、以下の説明では、その厚み方向(層厚方向又は膜厚方向)であるz方向に屈折率が変化する層という意味でグレーデッド層という。グレーデッド層021は、反射抑制機能(別の言い方では、反射防止機能)を有する。
022はベース部材(基材)であり、グレーデッド層021を含む光学素子の本体(透過部材)に相当する。図2では、グレーデッド層021がベース部材022のうち一方の面上に形成されている場合を示している。しかし、ベース部材022の両方の面上にグレーデッド層021形成してもよい(つまり、グレーデッド層はベース部材のうち少なくとも一方の面上に形成されていればよい)。
023はグレーデッド層021の屈折率構造を模式的に示している。横軸はグレーデッド層021の屈折率nを、縦軸はグレーデッド層021の光学膜厚tを示す。
図1には、上記屈折率構造023をより詳細に示している。ただし、図1に示す屈折率構造は、図2に示した屈折率構造023に対して90度回転させてあり、横軸が光学膜厚tを、縦軸が屈折率nをそれぞれ示している。実線011は、グレーデッド層021の光学膜厚に対する屈折率の変化を示し、以下の説明では屈折率曲線という。光学膜厚tを示す横軸において、原点Oはベース部材022とグレーデッド層021との境界面を、tはグレーデッド層021の総光学膜厚をそれぞれ示している。
グレーデッド層021は、ベース部材側から見て、屈折率nがnからnまで変化する。nはグレーデッド層021における最も表面側の部分(最表面)、つまりは最も光入射側の部分の使用中心波長における屈折率である。また、nはグレーデッド層021における最もベース部材側の部分の使用中心波長における屈折率である。
ここで、実施例では、n,nを用いてnという値を定義する。nは以下の式(1)で表される。
実施例では、グレーデッド層021において使用中心波長における屈折率がn となる光学膜厚をt(n )とし、光学膜厚がt(n )/2となる位置での使用中心波長における屈折率をn{t(n )/2}とするとき、以下の式(2)で表される条件を満足する。
この式(2)で表される条件は、グレーデッド層021のうち光学膜厚t(n)の部分(位置)から、光学膜厚t(n)/2の部分(位置)までの変化の程度を表している。
反射抑制機能は、光の波の干渉で考えることができる。このことは、屈折率が内部(厚み方向)で変化するグレーデッド層でも同じである。光の波の干渉を考える場合、屈折率の変化量が光の波の振幅を示し、光学膜厚が波と波の位相のずれ量を示す。
厚み方向において屈折率が均一な層の例を図3に示す。032はベース部材であり、031は厚み方向に均一な屈折率を持つ薄膜層である。033は薄膜層031の屈折率構造を模式的に示している。
図4には、上記屈折率構造033をより詳細に示している。ただし、図4に示す屈折率構造は、図3に示した屈折率構造033に対して90度回転させてあり、横軸が光学膜厚tを、縦軸が屈折率nをそれぞれ示している。041は薄膜層031の屈折率と光学膜厚を示している。
042は薄膜層031の表面で反射した光の波(イメージ図)を、043は薄膜層031とベース部材032との界面で反射した光の波(イメージ図)をそれぞれ示し、これらにより、薄膜層031の光学膜厚tをλ/4としたときの波の干渉を示している。この場合、波042と波043との位相のずれ量はλ/2程度となり、これらの波042,043は互いに打ち消し合う。これにより、薄膜層031は反射防止膜となる。
一方、グレーデッド層を有する光学素子の屈折率構造の例を図5に示す。図5では、光学膜厚に対して屈折率の変化が一様である場合を示している。051は光学膜厚に対する屈折率を示している。052はグレーデッド層の各位置で反射した光の波(反射波)の一部(イメージ図)を示している。
グレーデッド層051では、明確な界面があるわけではないが、屈折率が変化する部分では光の波は反射される。つまり、グレーデッド層051では、無数の光が反射されていることになり、反射波052はその一部を表現したにすぎない。このようなグレーデッド層051の場合、各光学膜厚からの全ての反射波052の重ね合わせによって反射防止特性が求められる。
実施例では、nとnの差が0.05以上であること、つまりグレーデッド層は、厚み方向において使用中心波長における屈折率が0.05以上変化することを条件とする。これは、上述したようなグレーデッド層の干渉により反射防止特性を示す範囲である。
また、この条件は、グレーデッド層の内部で屈折率が大きく変化するということも意味している。屈折率の変化が大きいということは、反射率特性への影響も大きいことを意味する。このため、実施例では、上記式(1),(2)で表される条件を満足することを特徴とする。
式(1)のnは屈折率n,nの間の値を表しており、式(2)はnとnの間での屈折率の勾配を表している。これは、グレーデッド層の表面側の部分での屈折率の変化(n{t(n)/2}−n)よりも、グレーデッド層のベース部材側の部分での屈折率の変化(n−n{t(n)/2})の方がより光の干渉に影響を与えることを意味している。
また、実施例では、使用中心波長λにおけるグレーデッド層の光学膜厚t(n)が、以下の式(3)表される条件を満足することを特徴とする。
グレーデッド層の光学膜厚t(n)がλ/4よりも薄い場合、グレーデッド層内で光の干渉が十分に生じず、反射防止膜として機能しない。一方、t(n)が2λよりも厚い場合には、グレーデッド層051を作製することは非常に難しくなる。
式(3)式の範囲は、より好ましくはλ/3以上で3λ/2以下の範囲とするとよい。さらに望ましくは、3λ/8以上で5λ/4以下の範囲とするとよい。
また、実施例では、以下の式(4)を満たすことを特徴とする。
式(4)の上限値を超えると、グレーデッド層051の先端の屈折率と空気の屈折率の差が大きくなってしまい、グレーデッド層051と空気との界面における反射光が増加するため、全波長領域において反射率を抑制することが難しくなる。
ベース部材に図5に示したグレーデッド層051を付加した場合の反射率特性の例を図6に示す。横軸が波長λを、縦軸が反射率Rを示している。061はベース部材のみの反射率特性を、062はベース部材にグレーデッド層051を付加した場合の反射率特性をそれぞれ示している。ベース部材の屈折率は、nとした。
図6に示す場合、グレーデッド層051の式(2)の値は1.0となり、式(2)の条件を満足していない。この反射率特性を見ると、特定の波長では反射率がほぼ0であるのに対して、他の波長では反射率が上がっている。
一方、図7は、ベース部材に図1に示したグレーデッド層021を付加した場合の反射率特性を示している。横軸が波長λを、縦軸が反射率Rを示している。071はベース部材のみの反射率特性を、072はベース部材にグレーデッド層021を付加した場合の反射率特性をそれぞれ示している。ベース部材の屈折率は、nとした。
図7に示す場合、グレーデッド層021の式(2)の値は、0.52となり、式(2)を満足している。この場合の反射率特性は極小値を2つ持ち、図6に示した反射率特性に比べて広波長帯域できわめて低い反射率が得られることがわかる。
このように式(1),(2),(3),(4)の条件を満足することで、広帯域特性に優れた反射抑制性能(反射防止性能)を得ることができる。
一方、式(2)の値が0.5より小さい場合、屈折率が小さいグレーデッド層の表面側の部分よりもベース部材側の部分での屈折率の変化が大きくなるため、反射率を低下させることが難しくなる。さらに、反射率の特性がW字の形状になりにくいため、広帯域特性に劣ってしまう。また、式(2)の値が0.8以上になると、光学膜厚に対する屈折率の変化が直線に近くなるために広帯域特性が劣ってしまう。
なお、より好ましくは、式(2)の値の範囲を0.55以上で、0.75以下の範囲とするとよい。さらに好ましくは、式(2)の値の範囲を0.58以上で、0.7以下の範囲にするとよい。
また、屈折率が異なる多くの硝材に対して高性能な反射防止機能を付加するためには、各硝材に対応するようにグレーデッド層の屈折率を調整する必要がある。そこで、実施例では、硝材としてのベース部材とグレーデッド層との間に、少なくとも1層の光学干渉層を設け、グレーデッド層と光学干渉層とにより積層体を構成することが好ましい。
これにより、グレーデッド層の屈折率を調整しなくても、光学干渉層の屈折率や膜厚を調整することで、種々の硝材に対応する高性能な反射防止積層体を得ることができる。
また、上記少なくとも1層の光学干渉層のうち少なくとも1つの光学干渉層の使用中心波長λにおける屈折率は、ベース部材の屈折率とnとの間の屈折率であることが好ましい。これにより、ベース部材からグレーデッド層の最表面まで、屈折率が徐々に減少するような屈折率構造を実現できる。そして、このような構造によれば、光の斜入射による反射光の増大が防げるため、広帯域特性に優れ、かつ斜入射特性にも優れた反射防止積層体が得られる。
また、実施例では、グレーデッド層を、使用中心波長λより小さい構造部を複数形成することで構成された微細構造層とすることが好ましい。このような微細構造層をベース部材上に形成した例を図8に示す。081は微細構造層(グレーデッド層)であり、082はベース部材である。
各構造部が使用中心波長λよりも十分に小さい微細構造においては、前述したように、これに入射する光は該微細構造そのものを認識できず、均一な媒質に入射したように振る舞う。この場合、光はその構造を平均化したような特性を示す。
微細構造層081の等価屈折率(effective refractive index)nは、以下の式(5)で表される。
ここで、nは微細構造をなす材料の屈折率であり、ffは該微細構造の体積充填率(フィリングファクタ)である。この手法は、一次の等価屈折率法と呼ばれ、微細構造(微細構造層081)を等価屈折率に変換する最も簡単な手法である。
一方、微細構造層081の実効的な屈折率は、微細構造のピッチや3次元的な形状によっても変化する。例えば、nが2.3で、ffが0.5である場合、式(5)で求めた等価屈折率nは、1.77程度となる。これに対し、微細構造のピッチが80〜150nmまで変化すると仮定して厳密結合波解析法を用いて解析すると、等価屈折率nは、1.73〜1.79まで変化する。このため、微細構造の断面形状やffのみから実効的な屈折率を正確に求めることは難しい。
そこで、実施例では、微細構造層(グレーデッド層)081の光学膜厚に対する実効的な屈折率の変化を求める。実効的な屈折率を求める手法の1つとして、分光エリプソメトリーがある。分光エリプソメトリーとは、波長の異なる直線偏光を試料に照射し、偏光反射率の比と位相の遅れ量とを測定し、その測定値に対して最も近い屈折率及び膜厚モデルを算出する手法である。このような手法を用いることで、微細構造の詳細が不明でも式(2)式の条件を満足するかどうかを確認することができる。式(2)を満足すれば、グレーデッド層が薄膜層であっても微細構造層であってもかまわない。
また、実施例のグレーデッド層を得る方法としては、均一に成膜した比較的疎な膜を透明ゾルゲル溶液に長時間浸漬して焼結する方法や、2元成膜法での成膜中に徐々に混合割合を変化させる方法等がある。本発明では、所定の屈折率構造の条件を満たしていれば、グレーデッド層の製造方法はどのようなものであってもよい。
以上説明したグレーデッド層が形成された光学素子は、多くの光学機器で使用することができる。図23には、実施例の光学素子を用いた光学機器としてのデジタルカメラを示している。
20はカメラ本体、21は実施例の光学素子であるレンズを用いて構成された撮影光学系である。撮影光学系21は、複数のレンズによって構成されており、このうち少なくとも1つのレンズが実施例の光学素子により構成されている。22はカメラ本体20に内蔵され、撮影光学系21によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。
23は撮像素子22によって光電変換された被写体像に対応する画像情報を記録するメモリ、24は液晶ディスプレイパネル等によって構成され、画像情報(つまりは被写体)を観察するための電子ビューファインダである。
このように、実施例の光学素子を用いて撮影光学系を構成することで、撮影光学系内での不要な反射を抑えた高い光学性能を有するカメラを実現することができる。
なお、本実施例の光学素子は、カメラのファインダ光学系や、液晶プロジェクタの照明光学系及び投射光学系等にも使用することができる。そして、該光学素子が上述した反射抑制構造を有することで、透過光量が十分に多く、不要な反射によるゴーストやフレアの発生を十分に抑えることができる。
以下、具体的な実施例(シミュレーション例)1〜4および参考例1〜2とこれらに対する比較例1〜3について説明する。
[実施例1]
実施例1では、ベース部材として、OHARA社製S−BSM14を用意した。波長650nmにおける屈折率は、1.6033であった。ベース部材上に、図9に示すような屈折率構造のグレーデッド層を形成した。nは1.530、nは1.0、tは350nmであった。
式(1)より、nは1.053であり、式(2)の値は0.72であった。実施例1の反射率特性を図10に示す。実施例1では、反射率特性に2つの極小値があり、可視域全域で反射率0.2%以下という低い反射率を実現した。
参考
参考では、ベース部材として、OHARA社製S−BSM14を用意した。波長550nmにおける屈折率は、1.6088であった。ベース部材上に、屈折率が1.50で光学膜厚が113nmの光学干渉層を形成し、さらにその表面に図11に示すような屈折率構造のグレーデッド層を形成した。参考の光学素子の屈折率構造を図12に示す。光学膜厚が負となっている部分は、ベース部材の屈折率を示している。nは1.38、nは1.0、tは485nmであった。
式(1)より、nは1.038であり、式(2)の値は0.50であった。参考の反射率特性を図13に示す。参考では、反射率特性に2つの極小値があり、可視域全域で反射率0.1%以下という低い反射率を実現した。
参考
参考では、ベース部材として、OHARA社製S−LAH55を用意した。波長550nmにおける屈折率は、1.8390であった。ベース部材上に、屈折率が1.56で光学膜厚が105nmの光学干渉層を形成し、さらにその表面に図14に示すような屈折率構造のグレーデッド層を形成した。グレーデッド層は、ゾルゲル法により酸化アルミを主成分とする薄膜を形成し、それを熱水処理することで微細構造層として形成した。この微細構造層を分光エリプソメトリーで解析した。参考における光学素子の屈折率構造を図15に示す。光学膜厚が負となっている部分は、ベース部材の屈折率を示している。nは1.39、nは1.0、tは250nmであった。
式(1)式より、nは1.039であり、式(2)の値は0.53であった。参考の反射率特性を図16に示す。参考では、可視域全域で反射率0.4%以下という低い反射率を実現した。
[実施例
実施例では、ベース部材として、OHARA社製S−BSM14を用意した。波長650nmにおける屈折率は、1.6033であった。ベース部材上に、図17に示すような屈折率構造のグレーデッド層を形成した。nは1.530、nは1.0、tは350nmであった。
式(1)より、nは1.053であり、式(2)の値は0.51であった。実施例の反射率特性を図18に示す。実施例では、反射率特性に2つの極小値があり、可視域全域で反射率0.4%以下となる低い反射率を実現した。
[実施例
実施例では、ベース部材として、OHARA社製S−BSM14を用意した。波長650nmにおける屈折率は、1.6033であった。ベース部材上に、図24に示すような屈折率構造のグレーデッド層を形成した。nは1.530、nは1.0、tは350nmであった。
式(1)式より、nは1.053であり、式(2)の値は0.78であった。実施例の反射率特性を図25に示す。実施例では、反射率特性に2つの極小値があり、可視域全域で反射率0.5%以下となる低い反射率を実現した。
[実施例
実施例では、ベース部材として、OHARA社製S−BSM14を用意した。波長650nmにおける屈折率は、1.6033であった。ベース部材上に、図26に示すような屈折率構造のグレーデッド層を形成した。nは1.530、nは1.0、tは500nmであった。
式(1)式より、nは1.053であり、式(2)の値は0.51であった。実施例の反射率特性を図27に示す。実施例では、反射率特性に2つの極小値があり、可視域全域で反射率0.4%以下となる低い反射率を実現した。
(比較例1)
比較例1では、ベース部材として、OHARA社製S−BSM14を用意した。波長550nmにおける屈折率は、1.6088だった。ベース部材上に図19に示すような屈折率構造のグレーデッド層を形成した。nは1.51、nは1.0、tは440nmであった。図19に示したグレーデッド層は、物理膜厚に対して屈折率が直線的に変化する膜により形成した。
式(1)より、nは1.051であり、式(2)の値は1.19であった。この比較例は、式(2)の条件を満足していない。比較例1の反射率特性を図20に示す。この比較例は、実施例1と比べると、広帯域特性で劣っている。
(比較例2)
比較例2では、ベース部材として、OHARA社製S−BSM14を用意した。波長650nmにおける屈折率は、1.6033だった。ベース部材上に図21に示すような屈折率構造のグレーデッド層を形成した。nは1.53、nは1.0、tは350nmであった。
式(1)より、nは1.053であり、式(2)の値は0.48であった。この比較例は、式(2)の条件を満足していない。比較例2の反射率特性を図22に示す。この比較例は、実施例1に比べて同じ光学膜厚でも特性が大きく変化している様子がわかる。
(比較例3)
比較例3では、ベース部材として、OHARA社製S−BSM14を用意した。波長650nmにおける屈折率は、1.6033だった。ベース部材上に図28に示すような屈折率構造のグレーデッド層を形成した。nは1.53、nは1.0、tは500nmであった。
式(1)より、nは1.053であり、式(2)の値は0.48であった。この比較例は、式(2)の条件を満足していない。比較例3の反射率特性を図29に示す。この比較例は、実施例1に比べて同じ光学膜厚でも特性が大きく変化している様子がわかる。
実施例1〜4および参考例1〜2の各数値を表1に、比較例1〜3の各数値を表2にまとめて記載する。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
広帯域特性や入射角度特性に優れた反射抑制機能(反射防止機能)を有する光学素子及びこれを含む光学機器を提供できる。
011 グレーデッド層の光学膜厚に対する屈折率
021 グレーデッド層
022,032,082 ベース部材
023 グレーデッド層の屈折率構造の模式図
031 厚み方向に均一な屈折率を有する薄膜層
033 薄膜層の屈折率構造の模式図
041 薄膜層の屈折率と光学膜厚
042 薄膜層の表面で反射した光の波
043 薄膜層とベース部材との界面で反射した光の波
051 光学膜厚に対する屈折率
052 グレーデッド層の各位置で反射した光の波の一部
061,071 ベース部材のみの反射率特性
062,072 ベース部材にグレーデッド層を付与した場合の反射率特性
081 微細構造層

Claims (8)

  1. ベース部材と該ベース部材上に形成された反射防止膜と、を有する光学素子であって、
    前記反射防止膜は、前記ベース部材側から表面側にかけて屈折率が次第に小さくなるグレーデッド層を含み、
    前記グレーデッド層の使用中心波長λ=650nmにおける屈折率の変化量は0.05以上であり
    前記グレーデッド層の前記使用中心波長における光学膜厚は350nm以上500nm以下であり、
    波長300nm〜1000nmの範囲における反射率が0.8%以下であり、
    以下の条件を満足することを特徴とする光学素子。

    ただし、nは前記グレーデッド層における前記表面側の部分の前記使用中心波長における屈折率であり、nは前記グレーデッド層における前記ベース部材側の部分の前記使用中心波長における屈折率であり、t(n)は前記使用中心波長における屈折率がnとなる前記グレーデッド層の光学膜厚であり、n{t(n)/2}は前記光学膜厚がt(n)/2となる位置での前記使用中心波長における屈折率である。
  2. 前記グレーデッド層の使用中心波長λ=650nmにおける屈折率の変化量は0.53以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 波長400nm〜700nmの範囲における反射率が0.5%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
  4. 前記ベース部材は、光学ガラスから成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 前記光学ガラスの屈折率は1.6033であることを特徴とする請求項4に記載の光学素子。
  6. 前記グレーデッドにおける屈折率の変化量は、前記ベース部材側よりも前記表面方が緩やかであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学素子。
  7. 前記グレーデッド層は、前記使用中心波長より小さい複数の構造部から成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学素子。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学素子を有することを特徴とする光学機器
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