JP5834970B2 - 波長板およびレーザープロジェクタ - Google Patents

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Description

本発明は、入射する光に対して透過する偏光状態を制御するための波長板およびレーザープロジェクタに関し、特に、レーザープロジェクタの光学系内に配置される波長板およびレーザープロジェクタに関する。
近年、光源としてレーザーを用いたレーザープロジェクタが開発、上市されている。レーザープロジェクタの光学系には、青色レーザー、緑色レーザー、赤色レーザーが搭載されることが多い。これらのレーザー光は、直線偏光で発振するという特徴があり、高効率に光を利用できる。
また、偏光状態を制御する方法として、偏光子、偏光ビームスプリッタ、4分の1波長板、2分の1波長板等を使うことができる。一般に、4分の1波長板、2分の1波長板は波長依存性を有しているため、レーザープロジェクタの光学系においては、青色レーザー光用、緑色レーザー光用、赤色レーザー光用に複数用いられることになる。レーザープロジェクタの光学系の簡単化のためには、3色あるいは2色のレーザー光が通過する共通光路中に、3色あるいは2色のレーザー光に対し広帯域な4分の1波長板や、広帯域な2分の1波長板を配置して部品点数を削減することが望まれている。
一方、光ピックアップ分野では、405nm波長帯の青紫色レーザー、660nm波長帯の赤色レーザー、785nm波長帯の赤外レーザーの3色のレーザーが用いられており、既に、広帯域な4分の1波長板、広帯域な2分の1波長板、または、例えば、660nm波長帯の光に対して2分の1波長板として機能し、785nm波長帯の光に対して4分の1波長板として機能するような波長選択的に偏光を制御する波長板が提案され実用化されている。
特許第3671768号 特許第4649748号
しかしながら、レーザープロジェクタに用いられるレーザー光の波長は、光ピックアップで用いられるレーザー光の波長とは異なること、また、求められるレーザー光の偏光制御特性が光ピックアップで求められる偏光制御特性と異なることもあるため、光ピックアップ用途で使われている波長板を転用できない。
例えば、光ピックアップに多く用いられる3種の波長帯(405nm波長帯、660nm、785nm波長帯)は、レーザープロジェクタに多く用いられる青色レーザー光用、緑色レーザー光用、赤色レーザー光用の3種の波長帯(例えば、455nm波長帯、520nm波長帯、638nm波長帯)と比べて各波長帯間の差が広いため、任意の波長帯に対して波長選択性を持たせることは比較的容易であるが、レーザープロジェクタに多く用いられる青色レーザー光用、緑色レーザー光用、赤色レーザー光用波長帯間の差が狭い場合、中間波長帯のみ2分の1波長板として機能するような波長選択性を、1つの部品により持たせるのは難しい。これは、比較的近い波長帯において大きな波長依存性を発現させるからである。
以上の点を鑑み、本発明は、3つの異なる波長のレーザー光を使用するレーザープロジェクタにおいて、中間波長帯に対してのみ2分の1波長板として機能することが可能な波長選択性を有する波長板および光学系の簡単化および小型化が可能なレーザプロジェクタの提供を目的とする。
本発明による波長板は、所定の異なる帯域を有する3種の波長λ、λ、λ(λ<λ<λ)に対して波長選択的に偏光を制御する波長板であって、3種の波長λ 、λ 、λ の直線偏光の入射光の各々に対して、第1の複屈折性媒質層、第2の複屈折性媒質層、第3の複屈折性媒質層の順で積層された3層の複屈折性媒質層を備え、前記第1の複屈性媒質層のリタデーション値δ [nm]および遅相軸方向θ、前記第2の複屈折媒質層のリタデーション値δ [nm]および遅相軸方向θ、前記第3の複屈折媒質層のリタデーション値δ[nm]および遅相軸方向θの値が、以下に示す第1の条件および第2の条件を満たす組み合わせであり、前記3種の波長λ、λ、λ 直線偏光が前記3層の複屈折性媒質層を透過したとき、前記波長λの光は楕円率が0.2以下、楕円長軸方向が入射する直線偏光の振動方向に対して±5°の楕円偏光の光になり、前記波長λの光は楕円率が0.2以下、楕円長軸方向が入射する直線偏光の振動方向に対して90°±5°の楕円偏光の光になり、前記波長λの光は楕円率が0.2以下、楕円長軸方向が入射する直線偏光の振動方向に対して±5°の楕円偏光の光になることを特徴とする。
第1の条件:
以下の式(A)の演算により得られるパラメータSの絶対値が、前記波長λ、λ、λの光において、全て0.38以下である。
第2の条件:
以下の式(A)の演算により得られるパラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が、前記波長λ、λ、λの光において、全て0.17以下である。
Figure 0005834970

ただし、δ’ i=1〜3 [deg]=360[deg]×δ i=1〜3 [nm]/λ[nm]
また、波長板は、波長λ 、λ 、λ の各々における第1の複屈性媒質層のリタデーション値と第3の複屈性媒質層のリタデーション値との差が100nm以下であって、第1の複屈折性媒質層の遅相軸または進相軸と第3の複屈折性媒質層の遅相軸または進相軸とがなす角度が3°以下であってもよい。
また、波長板は、波長λ 、λ 、λ の各々における第1の複屈性媒質層のリタデーション値と第3の複屈性媒質層のリタデーション値との差が15nm以下であって、第1の複屈折性媒質層の遅相軸または進相軸と第3の複屈折性媒質層の遅相軸または進相軸とがなす角度が3°以下であってもよい。
また、波長板において、波長λ 、λ およびλ を有する帯域は、それぞれ、455nm帯、520nm帯および638nm帯であってもよい。また、波長λ 、λ およびλ を有する帯域は、中心波長がそれぞれ、430nm、530nmおよび638nmであってもよい。また、波長λ 、λ およびλ は、それぞれ、440nm、515nmおよび650nmであってもよい。
また、第1の複屈折性媒質層、第2の複屈折性媒質層、第3の複屈折性媒質層は、いずれも、高分子液晶からなってもよい。
また、本発明によるレーザプロジェクタは、青色レーザー光、緑色レーザー光および赤色レーザー光を発振する光源と、上述したいずれかの波長板と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、複屈折媒質層を3層積層するという簡易な構成により光ピックアップ用途に用いられる3種の波長帯よりも各波長帯間の差が狭い3種の波長帯に各々含まれる3種の波長(例えば、各波長帯の中心波長)に対しても波長選択的にレーザー光の偏光状態を変えることができるので、レーザープロジェクタにおいて光学素子の部品点数の削減による光学系の簡単化および小型化できる。
本発明の波長板10の構成例を示す断面模式図。 本発明の波長板10の他の構成例を示す断面模式図。 本発明の波長板10の他の構成例を示す断面模式図。 本発明の第7の実施例における波長板10の各波長帯の出射光のX軸方向の偏向成分の強度を示すグラフ。他の構成例を示す断面模式図。 比較例である波長板40の例を断面模式図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る波長板10の構成例を示す断面模式図である。図1に示す波長板10は、2枚の透明基板11a、11cの間に、3層の複屈折性媒質層12a、12b、12cが積層された構造となっている。なお、以下では、光が入射する側から順に、12a、12b、12cと積層する場合を例に説明するが、12c、12b、12aの順番であってもよい。
透明基板11aと複屈折性媒質層12aの間、透明基板11cと複屈折性媒質層12cの間、複屈折性媒質層12aと複屈折性媒質層12bの間、複屈折性媒質12bと複屈折媒質層12cの間には、それぞれ図示しない配向膜または接着剤等の透明媒質が配されていてもよい。また、透明基板11aの空気側の界面、および透明基板11cの空気側の界面には、図示しない反射防止膜が施されていてもよい。
また、図2は、本実施形態に係る波長板10の他の構成例を示す断面模式図である。波長板10は、3層の複屈折性媒質層の間にも透明基板が配される構造であってもよく、例えば、図2に示すように、複屈折性媒質層12bと複屈折性媒質層12cの間にさらに透明基板11bを備える構造であってもよい。この場合も同様に、各構造の間に、それぞれ図示しない配向膜あるいは接着剤等の透明媒質が配されてもよい。なお、図2に示す構造に限らず、例えば、複屈折性媒質層12aと複屈折性媒質層12bの間に透明基板11bを備える構造であってもよい。このように、1枚の透明基板につき1層の複屈折性媒質層を有する構造とすれば、各透明基板を土台にして1層の複屈折性媒質層を形成し、それらを貼り合わせるだけで容易に3層の複屈折性媒質層を積層できる。
透明基板11a、11b、11cは、入射する光に対して透明であれば、樹脂板、樹脂フィルムなど種々の有機材料を用いることができる。なお、歪などにより複屈折が誘起されやすいため、ガラスや石英ガラスなどの無機材料を用いることは、透過光に複屈折の影響を与えないため好ましい。また、ガラスや石英ガラスなどの無機材料を用いることは、有機材料に比べて、耐薬品性および耐擦傷性が優れる点で好ましい。また、少なくとも2枚の透明基板11a、11cにより挟み込む構成が強度確保の点から好ましい。
複屈折性媒質層12a、12b、12cを成す材料としては、液晶を高分子化した高分子液晶や、延伸して複屈折性を誘起したポリカーボネート、ポリオレフィン、PVA等の有機材料が挙げられる。また、水晶、LiNbO、LiTaO、KDP等の光学異方性を有する単結晶を使用してもよい。また、単結晶を用いる場合、図3の断面模式図のように、透明基板で保持または挟持することなく、複屈折性媒質層12a、12b、12cを積層した構造としてもよい。図3は、本実施形態に係る波長板10の透明基板を有しない構成例を示す断面模式図である。
波長板10を構成する透明基板、複屈折性媒質層の積層にあたり、図示しない粘着フィルム、UV硬化型や熱硬化型の接着剤を使用できる。ここで、波長板10の波面収差の低減、温度特性や信頼性の向上のためには、できるだけ薄い接着層として貼り合わせることが望ましい。例えば、接着層の厚さを10μm以下にすることがとくに望ましい。
ところで、複屈折性の材料は波長分散を有しているため、波長によって異なる複屈折を示すことになる。そこで、波長板10に用いられる複屈折性の材料としては、その波長分散を考慮して選択するのがよい。なお、複屈折性媒質層12a、12b、12cの各層に用いる複屈折材料は、同じ材料であっても、異なる材料であってもよい。
本発明では、複屈折性媒質層12a、12b、12cは、入射する光の波長毎に以下の式(1)を演算し、結果として得られる出射光の偏光状態を表すパラメータS、S、Sについて規定した制約を満たす組み合わせであるとする。具体的には、パラメータSの絶対値が3種の波長帯全てで0.38以下、パラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が3種の波長帯全てで0.17以下になる組み合わせであるとする。
Figure 0005834970
なお、上記式(1)は、複屈折性媒質層12a、12b、12cの3層分の試料の複屈折や二色性といった偏光特性を数式化した変換行列と、入射光の水平偏光成分、45度偏光成分、円偏光成分を演算して、それぞれ出射光の水平偏光成分、45度偏光成分、円偏光成分に変換される度合いを表している。また、δ’ は複屈折性媒質層12aのリタデーション値δ [nm]に基づく波の位相差としてのリタデーション[deg]、θは複屈折性媒質層12aの遅相軸の方向を表している。また、δ’ は複屈折性媒質層12bのリタデーション値δ [nm]に基づく波の位相差としてのリタデーション[deg]、θは複屈折性媒質層12bの遅相軸の方向を表している。また、δ’ は複屈折性媒質層12cのリタデーション値δ [nm]に基づく波の位相差としてのリタデーション[deg]、θは複屈折性媒質層12cの遅相軸の方向を表している。ここで、波の位相差としてのリタデーション[deg]は、一般に、Δn・dで表される複屈折性媒質層のリタデーション値δ[nm]に対して、δ’=360°×δ/λの関係を有する、角度の次元を有するパラメータである。
具体的には、上記制約を満たす組み合わせになるように各層のリタデーション値、遅相軸の方向を調整して定め、定められたリタデーション値および光学軸の方向を有する3層の複屈折性媒質層を形成すればよい。
ここで、パラメータSの絶対値およびパラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値は小さいほうが、波長板10を出射する楕円偏光の状態として、直線偏光性が高く、所望の楕円長軸方向に近くなるので好ましい。
また、さらにδ=δ、θ=θという条件を加えて調整することは、パラメータSの絶対値が0.38以下、パラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が0.17以下にいう制約を満たす組み合わせを得やすく好ましいが、この限りではない。
本願の発明者は、各層のリタデーション値と遅相軸とをそれぞれ調整していく過程で、上述のパラメータS、S、Sについての上記制約をよりよい状態で満たす組み合わせに、δ=δ、θ=θという条件を満たす組み合わせが数多く存在することを発見した。ここで、よりよい状態で満たす組み合わせとは、具体的にはパラメータSの絶対値およびパラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が0に近い値となる組み合わせをいう。従って、各層のリタデーション値、遅相軸の方向を調整する際に、δ=δ、θ=θという条件で調整すれば、3層のリタデーション値と遅相軸という6個のパラメータの値を無条件で組み合わせるのに比べて、パラメータS、S、Sについての上記制約をよりよい状態で満たす組み合わせをより簡単に得ることができるといえる。なお、第1層と第3層のリタデーション値および遅相軸に対するこの条件は必須条件ではなく、また許容範囲を持たせてもよい。
例えば、複屈折性媒質層12aと複屈折性媒質層12cとのリタデーション値との差が15nm以下であって、複屈折性媒質層12aの遅相軸(または進相軸)と複屈折性媒質層12cの遅相軸(または進相軸)とがなす角度が3度以下という条件にすれば、得られる偏光性能と選択許容範囲とのバランスにおいて好ましい。
また、複屈折性媒質層12aと複屈折性媒質層12cとのリタデーション値との差を100nm以下としても、複屈折性媒質層12bのリタデーション値および遅相軸の調整により、上記制約を満たす組み合わせを得ることができるので、これを十分条件として用いてもよい。なお、各層の材料の選定を含め、各層のリタデーション値および遅相軸の組み合わせ方によっては、複屈折性媒質層12aと複屈折性媒質層12cとのリタデーション値との差が200nm以上や複屈折性媒質層12aの遅相軸(または進相軸)と複屈折性媒質層12cの遅相軸(または進相軸)とがなす角度が22度としても、上記制約を満たす組み合わせを得ることができる。
実施例1.
まず、第1の実施例として、本発明に係る波長板10の作製方法の例とともに具体的な構成例およびその効果について、図2を用いて説明する。まず、透明基板11aとして石英ガラス基板を用い、一方の面に真空蒸着法を用いて図示しない反射防止膜を形成する。また、透明基板11aの反射防止膜を形成した面と反対の面にポリイミドを塗布し、図2の座標系で、Z軸を中心にX軸からY軸へ回転する向きに39°の方向にラビングし、配向処理を施して図示しない配向膜を形成する。なお、図2の座標系は、波長板10の基板面に対する垂線をZ軸とした直交座標系である。次いで、形成した配向膜の上に適量の液晶モノマーを塗布し、波長365nmのUV光を液晶モノマー材料全体に照射し、液晶モノマー組成物全体を重合・固化し、その後、30分間140℃の熱処理をして、厚さ4.4μmの水平配向した高分子液晶からなる第1の複屈折性媒質層12aを作製する。このとき、前記ラビング方向39°が、遅相軸の方向になる。
また、透明基板11bとして石英ガラス基板を用い、一方の面にポリイミドを塗布し、図2の座標系で、Z軸を中心にX軸からY軸へ回転する向きに51°の方向にラビングし、配向処理を施して図示しない配向膜を形成する。次いで、形成した配向膜の上に適量の液晶モノマーを塗布し、波長365nmのUV光を液晶モノマー材料全体に照射し、液晶モノマー組成物全体を重合・固化し、その後、30分間140℃の熱処理をして、厚さ4.3μmの水平配向した高分子液晶からなる第2の複屈折性媒質層12bを作製する。このとき、前記ラビング方向51°が、遅相軸の方向になる。
また、透明基板11cとして石英ガラス基板を用い、一方の面に真空蒸着法を用いて図示しない反射防止膜を形成する。また、透明基板11cの反射防止膜を形成する面と反対の面にポリイミドを塗布し、図2の座標系で、Z軸を中心にX軸からY軸へ回転する向きに39°の方向にラビングし、配向処理を施して図示しない配向膜を形成する。次いで、形成した配向膜の上に適量の液晶モノマーを塗布し、波長365nmのUV光を液晶モノマー材料全体に照射し、液晶モノマー組成物全体を重合・固化し、その後、30分間140℃の熱処理をして、厚さ4.4μmの水平配向した高分子液晶からなる第3の複屈折性媒質層12cを作製する。このとき、前記ラビング方向39°が、遅相軸の方向になる。
第1の実施例において、複屈折性媒質層12a、12b、12cに用いた液晶モノマーは、いずれも重合硬化後の高分子液晶状態における複屈折Δnが、波長455nmの光に対し0.1037、波長520nmの光に対し0.0996、波長638nmの光に対し0.0950となるものである。
次に、図2に示すように、透明基板11a上の第1の複屈折性媒質層12aと、透明基板11b上の第2の複屈折性媒質層12bとが向かい合うように、図示しない透明なUV硬化型の接着剤で接着し、さらに、透明基板11bのもう一方の面と、透明基板11c上の第3の複屈折性媒質層12cとが向かい合うように、図示しない透明なUV硬化型の接着剤で接着して、本実施例の波長板10を作製する。
本実施例の波長板10の各複屈折性媒質層におけるリタデーション値は、次の通りである。
波長455nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは456nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは446nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは456nmである。
また、波長520nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは438nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは428nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは438nmである。
また、波長638nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは418nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは409nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは418nmである。
なお、上述したように、第1の複屈折性媒質層12aの遅相軸の方向θは39°、第2の複屈折性媒質層12bの遅相軸の方向θは51°、第3の複屈折性媒質層12cの遅相軸の方向θは39°である。
ここで、上記内容を上述の式(1)に代入して演算した結果得られるパラメータSの絶対値は、波長455nmでは0.09、波長520nmでは0.13、波長638nmでは0.05である。同様に、パラメータSとパラメータSの比であるS/Sの絶対値は、波長455nmでは0.00、波長520nmでは0.01、波長638nmでは0.02である。すなわち、上記3種いずれの波長に対しても、パラメータSの絶対値が0.38以下、パラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が0.17以下という条件を満たしている。
また、本実施例の波長板10の透明基板11aの反射防止膜形成面に、図2の座標系のZ軸の方向に、振動方向がX軸の方向である直線偏光を入射した場合において、本実施例の波長板10を透過した後のそれぞれの波長の光の偏光状態は次の通りである。なお、入射する光の波長は、455nm、520nm、638nmである。波長455nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が略0、楕円長軸方向がX軸に対し略0°の楕円偏光、すなわち略直線偏光の光となる。また、波長520nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.1、楕円長軸方向がX軸に対し約90°の楕円偏光の光となる。また、波長638nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が略0、楕円長軸方向がX軸に対し約1°の楕円偏光、すなわち略直線偏光の光となる。なお、楕円率が略0とは、−0.05を超え0.05未満をいう。また、略直線偏光とは、楕円率が略0をいう。
このことは、第1の実施例の波長板10が、波長455nmと波長638nmの光に対して光学的に等方なガラスのように機能し、波長520nmの光に対して2分の1波長板のように機能するという波長選択性を有していることを示している。
なお、本実施例で示した各複屈折性媒質層のラビング方向をθ、θ、θとしたとき、180°−θ、180°−θ、180°−θのように、ラビング方向を変えた場合も、同等の特性を得ることができる。このことは、本発明の波長板素子10を表裏の区別なく使用できることを示している。
このように、本発明の波長板10は、レーザープロジェクタに用いられる3つの波長(3色)のレーザー光に対し、波長選択的に2分の1波長板の機能を発現できるので、3つの波長のレーザー光が通る共通光路中に配置でき、レーザープロジェクタの光学系を簡単化でき、また小型化が実現できる。
実施例2.
次に、第2の実施例として、本発明に係る波長板10の他の例およびその効果について具体的に説明する。本実施例の波長板10は、作製方法および用いる材料は第1の実施例と同じである。そして、透明基板11a、11b、11cに施すラビング方向および複屈折性媒質層12a、12b、12cの厚さが第1の実施例と異なる。
本実施例では、透明基板11aに施すラビング方向を55°、第1の複屈折性媒質層12aの厚さを2.0μmとした。また、透明基板11bに施すラビング方向を69°、第2の複屈折性媒質層12bの厚さを9.1μmとした。また、透明基板11cに施すラビング方向を55°、第3の複屈折性媒質層12cの厚さを2.0μmとして、波長板10を作製する。
本実施例の波長板10の各複屈折性媒質層におけるリタデーション値は、次の通りである。
波長455nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは207nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは944nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは207nmである。
また、波長520nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは199nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは906nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは199nmである。
また、波長638nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは190nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは865nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは190nmである。
また、第1の複屈折性媒質層12aの遅相軸の方向θは55°、第2の複屈折性媒質層12bの遅相軸の方向θは69°、第3の複屈折性媒質層12cの遅相軸の方向θは55°である。
ここで、上記内容を上述の式(1)に代入して演算した結果得られるパラメータSの絶対値は、波長455nmでは0.05、波長520nmでは0.16、波長638nmでは0.05である。同様に、パラメータSとパラメータSの比であるS/Sの絶対値は、波長455nmでは0.01、波長520nmでは0.03、波長638nmでは0.03である。すなわち、上記3種いずれの波長に対しても、パラメータSの絶対値が0.38以下、パラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が0.17以下という条件を満たしている。
また、本実施例の波長板10の透明基板11aの反射防止膜形成面に、図2の座標系のZ軸の方向に、振動方向がX軸の方向である直線偏光を入射した場合において、本実施例の波長板10を透過した後のそれぞれの波長の光の偏光状態は次の通りである。なお、入射する光の波長は、455nm、520nm、638nmである。波長455nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が略0、楕円長軸方向がX軸に対し略0°の楕円偏光、すなわち略直線偏光の光となる。また、波長520nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.1、楕円長軸方向がX軸に対し約91°の楕円偏光の光となる。また、波長638nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が略0、楕円長軸方向がX軸に対し約−1°の楕円偏光、すなわち略直線偏光の光となる。
このことは、第2の実施例の波長板10が、波長455nmと波長638nmの光に対して光学的に等方なガラスのように機能し、波長520nmの光に対して2分の1波長板のように機能するという波長選択性を有していることを示している。
実施例3.
次に、第3の実施例として、本発明に係る波長板10の他の例およびその効果について具体的に説明する。本実施例の波長板10は、作製方法および用いる材料は第1〜2の実施例と同じである。そして、透明基板11a、11b、11cに施すラビング方向および複屈折性媒質層12a、12b、12cの厚さが第1〜2の実施例と異なる。
本実施例では、透明基板11aに施すラビング方向を25°、第1の複屈折性媒質層12aの厚さを5.3μmとした。また、透明基板11bに施すラビング方向を57°、第2の複屈折性媒質層12bの厚さを5.0μmとした。また、透明基板11cに施すラビング方向を46°、第3の複屈折性媒質層12cの厚さを3.0μmとして、波長板10を作製する。
本実施例の波長板10の各複屈折性媒質層におけるリタデーション値は、次の通りである。
波長455nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは550nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは519nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは311nmである。
また、波長520nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは528nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは498nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは299nmである。
また、波長638nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは504nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは475nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは285nmである。
なお、第1の複屈折性媒質層12aの遅相軸の方向θは25°、第2の複屈折性媒質層12bの遅相軸の方向θは57°、第3の複屈折性媒質層12cの遅相軸の方向θは46°である。
ここで、上記内容を上述の式(1)に代入して演算した結果得られるパラメータSの絶対値は、波長455nmでは0.24、波長520nmでは0.29、波長638nmでは0.36である。同様に、パラメータSとパラメータSの比であるS/Sの絶対値は、波長455nmでは0.08、波長520nmでは0.07、波長638nmでは0.16である。すなわち、上記3種いずれの波長に対しても、パラメータSの絶対値が0.38以下、パラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が0.17以下という条件を満たしている。
また、本実施例の波長板10の透明基板11aの反射防止膜形成面に、図2の座標系のZ軸の方向に、振動方向がX軸の方向である直線偏光を入射した場合において、本実施例の波長板10を透過した後のそれぞれの波長の光の偏光状態は次の通りである。なお、入射する光の波長は、455nm、520nm、638nmである。波長455nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.1、楕円長軸方向がX軸に対し約2°の楕円偏光の光となる。また、波長520nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.1、楕円長軸方向がX軸に対し約92°の楕円偏光の光となる。また、波長638nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.18、楕円長軸方向がX軸に対し約−4.6°の楕円偏光の光となる。
このことは、第3の実施例の波長板10が、波長455nmと波長638nmの光に対して光学的に等方なガラスのように機能し、波長520nmの光に対して2分の1波長板のように機能するという波長選択性を有していることを示している。
ただし、第3の実施例の波長板10は、パラメータSの絶対値が0.36、パラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が0.16と大きく、第1および第2の実施例の波長板10に比べ、波長638nmの光の出射する楕円偏光の状態として、直線偏光性が劣り、所望する楕円長軸方向の限界に近くなっている。
実施例4.
次に、第4の実施例として、本発明に係る波長板10の他の例およびその効果について具体的に説明する。本実施例の波長板10は、作製方法は第1〜3の実施例と同じである。そして、第3の複屈折性媒質層12cに用いる液晶モノマーと透明基板11cに施すラビング方向、複屈折性媒質層12a、12b、12cの厚さが第1〜3の実施例と異なる。
本実施例では、透明基板11aに施すラビング方向を39°、第1の複屈折性媒質層12aの厚さを4.3μmとした。また、透明基板11bに施すラビング方向を51°、第2の複屈折性媒質層12bの厚さを4.4μmとした。また、透明基板11cに施すラビング方向を38°、第3の複屈折性媒質層12cの厚さを11.9μmとして、波長板10を作製する。
複屈折性媒質層12cに用いる液晶モノマーは、重合・硬化後の高分子液晶状態における複屈折Δnが、波長455nmの光に対し0.0385、波長520nmの光に対し0.0368、波長638nmの光に対し0.0349となるものである。
本実施例の波長板10の各複屈折性媒質層におけるリタデーション値は、次の通りである。
波長455nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは446nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは456nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは458nmである。
また、波長520nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは428nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは438nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは438nmである。
また、波長638nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは409nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは418nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは415nmである。
また、第1の複屈折性媒質層12aの遅相軸の方向θは39°、第2の複屈折性媒質層12bの遅相軸の方向θは51°、第3の複屈折性媒質層12bの遅相軸の方向θは38°である。
ここで、上記内容を上述の式(1)に代入して演算した結果得られるパラメータSの絶対値は、波長455nmでは0.07、波長520nmでは0.12、波長638nmでは0.07である。同様に、パラメータSとパラメータSの比であるS/Sの絶対値は、波長455nmでは0.00、波長520nmでは0.05、波長638nmでは0.00である。すなわち、上記3種いずれの波長に対しても、パラメータSの絶対値が0.38以下、パラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が0.17以下という条件を満たしている。
また、本実施例の波長板10の透明基板11aの反射防止膜形成面に、図2の座標系のZ軸の方向に、振動方向がX軸の方向である直線偏光を入射した場合において、本実施例の波長板10を透過した後のそれぞれの波長の光の偏光状態は次の通りである。なお、入射する光の波長は、455nm、520nm、638nmである。波長455nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が略0、楕円長軸方向がX軸に対し略0°の楕円偏光、すなわち略直線偏光の光となる。また、波長520nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.1、楕円長軸方向がX軸に対し約89°の楕円偏光の光となる。また、波長638nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が略0、楕円長軸方向がX軸に対し略0°の楕円偏光、すなわち略直線偏光の光となる。
このことは、第4の実施例の波長板10が、構成する3層の複屈折性媒質層に用いる材料が同一でなくても、波長455nmと波長638nmの光に対して光学的に等方なガラスのように機能し、波長520nmの光に対して2分の1波長板のように機能するという波長選択性を有していることを示している。
実施例5.
次に、第5の実施例として、本発明に係る波長板10の作製方法の他の例とともに具体的な構成例およびその効果について、図1を用いて具体的に説明する。まず、透明基板11aとして石英ガラス基板を用い、一方の面に真空蒸着法を用いて図示しない反射防止膜を形成する。また、透明基板11aの反射防止膜を形成した面と反対の面にポリイミドを塗布し、図1の座標系で、Z軸を中心にX軸からY軸へ回転する向きに39°の方向にラビングし、配向処理を施して図示しない配向膜を形成する。なお、図1の座標系は、波長板10の基板面に対する垂線をZ軸とした直交座標系である。そして、形成した配向膜の上に適量の液晶モノマーを塗布し、波長365nmのUV光を液晶モノマー材料全体に照射し、液晶モノマー組成物全体を重合・固化し、その後、30分間140℃の熱処理をして、厚さ4.4μmの水平配向した高分子液晶からなる第1の複屈折性媒質層12aを作製する。このとき、前記ラビング方向39°が、遅相軸の方向になる。
次に、透明基板11cとして石英ガラス基板を用い、一方の面に真空蒸着法を用いて図示しない反射防止膜を形成する。透明基板11cの反射防止膜を形成した面と反対の面にポリイミドを塗布し、図1の座標系で、Z軸を中心にX軸からY軸へ回転する向きに39°の方向にラビングし、配向処理を施して図示しない配向膜を形成する。次いで、形成した配向膜の上に適量の液晶モノマーを塗布し、波長365nmのUV光を液晶モノマー材料全体に照射し、液晶モノマー組成物全体を重合・固化し、その後、30分間140℃の熱処理をして、厚さ4.4μmの水平配向した高分子液晶からなる第3の複屈折性媒質層12cを作製する。このとき、前記ラビング方向39°が、遅相軸の方向になる。
第5の実施例において、複屈折性媒質層12a、12cに用いる液晶モノマーは、いずれも重合硬化後の高分子液晶状態における複屈折Δnが、波長455nmの光に対し0.1037、波長520nmの光に対し0.0996、波長638nmの光に対し0.0950となるものである。
次に、図1に示すように、透明基板11a上の第1の複屈折性媒質層12aに、複屈折性媒質層12bとして一軸延伸して複屈折を誘起したポリカーボネートを、図示しない透明なUV硬化型の接着剤で接着する。このとき、該ポリカーボネートの遅相軸方向が、図1の座標系で、Z軸を中心にX軸からY軸へ回転する向きに51°になるように接着する。そして、透明基板11a上に積層された第2の複屈折性媒質層12bと、透明基板11c上の第3の複屈折性媒質層12cとが向かい合うように、第2の複屈折性媒質層12bと第3の複屈折性媒質層12cとを図示しない透明なUV硬化型の接着剤で接着して、本実施例の波長板10を作製する。
本実施例の波長板10の各複屈折性媒質層におけるリタデーション値は、次の通りである。
波長455nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは456nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは446nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは456nmである。ここで、第2の複屈折性媒質層12bの有する446nmのリタデーション値は、材料であるポリカーボネートを一軸延伸する具合を調整して所望の値を得る。
また、波長520nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは438nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは425nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは438nmである。
また、波長638nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは418nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは402nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは418nmである。
また、第1の複屈折性媒質層12aの遅相軸の方向θは39°、第2の複屈折性媒質層12bの遅相軸の方向θは51°、第3の複屈折性媒質層12cの遅相軸の方向θは39°である。
ここで、上記内容を上述の式(1)に代入して演算した結果得られるパラメータSの絶対値は、波長455nmでは0.09、波長520nmでは0.09、波長638nmでは0.11である。同様に、パラメータSとパラメータSの比であるS/Sの絶対値は、波長455nmでは0.00、波長520nmでは0.03、波長638nmでは0.05である。すなわち、上記3種いずれの波長に対しても、パラメータSの絶対値が0.38以下、パラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が0.17以下という条件を満たしている。
また、本実施例の波長板10の透明基板11aの反射防止膜形成面に、図2の座標系のZ軸の方向に、振動方向がX軸の方向である直線偏光を入射した場合において、本実施例の波長板10を透過した後のそれぞれの波長の光の偏光状態は次の通りである。なお、入射する光の波長は、455nm、520nm、638nmである。波長455nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が略0、楕円長軸方向がX軸に対し略0°の楕円偏光、すなわち略直線偏光の光となる。また、波長520nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が略0、楕円長軸方向がX軸に対し約91°の楕円偏光、すなわち略直線偏光の光となる。また、波長638nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.1、楕円長軸方向がX軸に対し約1°の楕円偏光の光となる。
このことは、第5の実施例の波長板10が、波長455nmと波長638nmの光に対して光学的に等方なガラスのように機能し、波長520nmの光に対して2分の1波長板のように機能するという波長選択性を有していることを示している。
実施例6.
次に、第6の実施例として、本発明に係る波長板10の他の例およびその効果について具体的に説明する。本実施例の波長板10は、作製方法および用いる材料は第1〜3の実施例と同じである。そして、透明基板11a、11b、11cに施すラビング方向、複屈折性媒質層12a、12b、12cの厚さが第1〜3の実施例と異なる。また、本実施例の波長板10は、波長選択性を持たせる対象とする波長帯が、第1〜第5の実施例と異なる。すなわち、第6の実施例の波長板10には、中心波長が430nm、530nm、638nmの3種類の波長光が入射するものとする。
本実施例では、透明基板11aに施すラビング方向を60°、第1の複屈折性媒質層12aの厚さを3.6μmとした。また、透明基板11bに施すラビング方向を89°、第2の複屈折性媒質層12bの厚さを6.4μmとした。また、透明基板11cに施すラビング方向を60°、第3の複屈折性媒質層12cの厚さを3.6μmとして、波長板10を作製する。
本実施例の波長板10の各複屈折性媒質層におけるリタデーション値は、次の通りである。
波長430nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは381nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは677nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは381nmである。
また、波長530nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは357nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは634nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは357nmである。
また、波長638nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは342nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは608nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは342nmである。
なお、第1の複屈折性媒質層12aの遅相軸の方向θは60°、第2の複屈折性媒質層12bの遅相軸の方向θは89°、第3の複屈折性媒質層12cの遅相軸の方向θは60°である。
ここで、上記内容を上述の式(1)に代入して演算した結果得られるパラメータSの絶対値は、波長430nmでは0.02、波長530nmでは0.22、波長638nmでは0.13である。同様に、パラメータSとパラメータSの比であるS/Sの絶対値は、波長430nmでは0.11、波長530nmでは0.02、波長638nmでは0.02である。すなわち、上記3種いずれの波長に対しても、パラメータSの絶対値が0.38以下、パラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が0.17以下という条件を満たしている。
また、本実施例の波長板10の透明基板11aの反射防止膜形成面に、図2の座標系のZ軸の方向に、振動方向がX軸の方向である直線偏光を入射した場合において、本実施例の波長板10を透過した後のそれぞれの波長の光の偏光状態は次の通りである。なお、入射する光の波長は、430nm、530nm、638nmである。波長430nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が略0、楕円長軸方向がX軸に対し約−3°の楕円偏光、すなわち略直線偏光の光となる。また、波長530nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.1、楕円長軸方向がX軸に対し約90°の楕円偏光の光となる。また、波長638nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.1、楕円長軸方向がX軸に対し約−1°の楕円偏光の光となる。
このことは、第6の実施例の波長板10が、波長430nmと波長638nmの光に対して光学的に等方なガラスのように機能し、波長530nmの光に対して2分の1波長板のように機能するという波長選択性を有していることを示している。
実施例7.
次に、第7の実施例として、本発明に係る波長板10の他の例およびその効果について具体的に説明する。本実施例の波長板10は、作製方法および用いる材料は第1〜3の実施例と同じである。そして、透明基板11a、11b、11cに施すラビング方向、複屈折性媒質層12a、12b、12cの厚さが第1〜3の実施例と異なる。また、本実施例の波長板10では、青用に455nm帯、緑用に520nm帯、638nm帯の3種類の波長帯の光が入射するものとするが、そのうちの特に波長440nm、波長515nm、波長650nmの光が、本発明における波長板が波長選択性をもつ対象とする3種の波長λ、λ、λであるとする。
すなわち、本実施の波長板10は、後述する理由のため、最適となる波長を各波長帯の中心波長から意図的にずらして作製する。すなわち、青用に440nm、緑用に515nm、赤用に650nmのそれぞれの波長光に対して最適になるように作製する。
本実施例では、透明基板11aに施すラビング方向を33°、第1の複屈折性媒質層12aの厚さを4.2μmとした。また、透明基板11bに施すラビング方向を57°、第2の複屈折性媒質層12bの厚さを4.2μmとした。また、透明基板11cに施すラビング方向を33°、第3の複屈折性媒質層12cの厚さを4.2μmとして、波長板10を作製する。
本実施例の波長板10の各複屈折性媒質層におけるリタデーション値は、次の通りである。
波長440nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは419nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは441nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは441nmである。
また、波長515nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは419nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは419nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは419nmである。
また、波長650nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは398nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは398nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは398nmである。
なお、第1の複屈折性媒質層12aの遅相軸の方向θは33°、第2の複屈折性媒質層12bの遅相軸の方向θは57°、第3の複屈折性媒質層12cの遅相軸の方向θは33°である。
ここで、上記内容を上述の式(1)に代入して演算した結果得られるパラメータSの絶対値は、波長440nmでは0.03、波長515nmでは0.02、波長650nmでは0.07である。同様に、パラメータSとパラメータSの比であるS/Sの絶対値は、波長440nmでは0.00、波長515nmでは0.01、波長650nmでは0.07である。すなわち、上記3種いずれの波長に対しても、パラメータSの絶対値が0.38以下、パラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が0.17以下という条件を満たしている。
本実施例の波長板10の透明基板11aの反射防止膜形成面に、波長440nmの光が図2の座標系のX軸の方向に振動する直線偏光として、波長515nmの光が図2の座標系のY軸の方向に振動する直線偏光として、波長650nmの光が図2の座標系のX軸の方向に振動する直線偏光として、Z軸の方向に入射する。このとき、本実施例の波長板10を透過した後のそれぞれの波長の光の偏光状態は次の通りである。波長440nmの出射光は、楕円率が略0、楕円長軸方向がX軸に対し略0°の楕円偏光、すなわち略直線偏光の光となる。また、波長515nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が略0、楕円長軸方向がX軸に対し略0°の楕円偏光、すなわち略直線偏光の光となる。また、波長650nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が略0、楕円長軸方向がX軸に対し約−2°の楕円偏光、すなわち略直線偏光の光となる。
このことは、第7の実施例の波長板10が、波長440nmと波長650nmの光に対して光学的に等方なガラスのように機能し、波長515nmの光に対して2分の1波長板のように機能するという波長選択性を有していることを示している。
さらに、本実施例の波長板10の透明基板11aの反射防止膜形成面に、波長455nm帯の光が振動方向がX軸の方向である直線偏光とし、波長520nm帯の光が振動方向がY軸方向である直線偏光とし、波長638nm帯の光が振動方向がX軸の方向である直線偏光として、Z軸の方向に入射する場合を説明する。
このとき、各波長帯の出射光のX軸方向の偏光成分の強度を図4に示す。図4(a)は、波長455nm付近の光について出射光のX軸方向の偏光成分の強度と比視感度とを示すグラフである。また、図4(b)は、波長520nm付近の光について出射光のX軸方向の偏光成分の強度と比視感度とを示すグラフである。また、図4(c)は、波長640nm付近の光について出射光のX軸方向の偏光成分の強度と比視感度とを示すグラフである。なお、図4(a)〜(c)において、横軸は波長を示す。また、左側の縦軸はX軸方向の偏向成分の強度を示す。また、右側の縦軸は比視感度を示す。なお、グラフ中の実線がX軸方向の偏向成分の強度に対応し、破線が比視感度に対応している。図4(a)〜(c)によると、各波長帯(すなわち波長455nm帯、波長520nm帯および波長638nm帯)において、本実施例の波長板10を出射する光のX軸方向の偏光成分の強度の波長依存性は、比視感度の波長依存性と略逆方向の特性を示している。
すると、本実施例の波長板10をレーザープロジェクタにて使用し、前述した各波長帯の直線偏光を本実施例の波長板10に入射して得られる出射光のX軸方向の偏光成分のみを投射して画像表示する場合、各波長帯それぞれで視感度の波長依存性を緩和して、結果として波長依存性のより小さい画像を表示することができる。
本実施の波長板10は、最適となる波長を各波長帯の中心波長から意図的にずらして作製することで、レーザープロジェクタにて表示される画像の視感度の波長依存性を緩和することも可能である。
なお、入射する3種の波長帯に対して最適化の対象とする3つの波長を中心波長からずらして設計する場合にそのずらす許容範囲は、青色波長帯の場合、緑色波長帯、赤色波長帯のX成分強度の波長依存性に比べて青色波長帯のX成分強度の波長依存性が一番大きいため、緑色波長帯、赤色波長帯の場合と比べて狭くなるが、例えば波長440nm〜455nmの間であれば波長455nmでのX成分強度が80%以上となるので好ましい。緑色波長帯、赤色波長帯のX成分強度の波長依存性は大きくないため、ずらす許容範囲は青色波長帯の場合よりも広く、緑色波長帯の場合には波長500nm〜520nmの間で、また赤色波長帯の場合には640nm〜700nmの間で設計時に最適化の対象とする波長をずらすことができる。
比較例1.
次に、第1の比較例として、本発明の第3の実施例の波長板10に対し、第2の複屈折媒質層12bの厚さを5.1μmに変更したものについて、効果の違いを説明する。第1の比較例の波長板は、図2に示す本発明の波長板10と同様の構造をもち、作製方法および用いる材料は第1〜3の実施例の波長板10と同じである。その上で、透明基板11aに施すラビング方向を25°、第1の複屈折性媒質層12aの厚さを5.3μm、透明基板11bに施すラビング方向を57°、第2の複屈折性媒質層12bの厚さを5.1μm、透明基板11cに施すラビング方向を46°、第3の複屈折性媒質層12cの厚さを3.0μmとして、本比較例である波長板(以下、本発明に係る波長板10と区別するため、波長板30という。)を作製する。
本比較例の波長板30の各複屈折性媒質層におけるリタデーション値は、次の通りである。
波長455nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは550nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは529nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは311nmである。
また、波長520nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは528nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは508nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは299nmである。
また、波長638nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは504nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは485nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは285nmである。
また、第1の複屈折性媒質層12aの遅相軸の方向θは25°、第2の複屈折性媒質層12bの遅相軸の方向θは57°、第3の複屈折性媒質層12cの遅相軸の方向θは46°である。
ここで、上記内容を上述の式(1)に代入して演算した結果得られるパラメータSの絶対値は、波長455nmでは0.11、波長520nmでは0.39、波長638nmでは0.44である。同様に、パラメータSとパラメータSの比であるS/Sの絶対値は、波長455nmでは0.02、波長520nmでは0.07、波長638nmでは0.14である。本例では、波長520nmおよび638nmにおいて、パラメータSの絶対値が0.38を超えてしまっている。
第1の比較例の波長板30を出射する光の偏光状態を調べる。図2の座標系のZ軸の方向に、振動方向がX軸の方向である直線偏光を入射した場合において、本比較例の波長板30を透過した後のそれぞれの波長の光の偏光状態は次の通りである。なお、入射する光の波長は、455nm、520nm、638nmである。波長455nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.05、楕円長軸方向がX軸に対し約1°の楕円偏光の光となる。また、波長520nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.21、楕円長軸方向がX軸に対し約92°の楕円偏光の光となる。また、波長638nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.23、楕円長軸方向がX軸に対し約−4°の楕円偏光の光となる。
このように、波長選択性を持たせる対象とする波長帯のいずれかにおいて、パラメータSの絶対値が0.38を超える場合、出射する偏光の楕円率を0.2以下に抑えることができなくなる。すると、このような波長板30を、波長選択性の波長板として、レーザープロジェクタに用いるのは難しい。
比較例2.
次に、第2の比較例として、本発明の第3の実施例の波長板に対し、第3の複屈折媒質層12cの遅相軸方向を45°に変更したものについて、効果の違いを説明する。第2の比較例の波長板30は、図2に示す本発明の波長板10と同様の構造をもち、作製方法および用いる材料は第1〜3の実施例の波長板10と同じである。その上で、透明基板11aに施すラビング方向を25°、第1の複屈折性媒質層12aの厚さを5.3μm、透明基板11bに施すラビング方向を57°、第2の複屈折性媒質層12bの厚さを5.0μm、透明基板11cに施すラビング方向を45°、第3の複屈折性媒質層12cの厚さを3.0μmとして、本比較例である波長板30を作製する。
本比較例の波長板30の各複屈折性媒質層におけるリタデーション値は、次の通りである。
波長455nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは550nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは519nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは311nmである。
また、波長520nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは528nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは498nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは299nmである。
また、波長638nmの光に対して、第1の複屈折性媒質層12aの有するリタデーション値δは504nm、第2の複屈折性媒質層12bの有するリタデーション値δは475nm、第3の複屈折性媒質層12cの有するリタデーション値δは285nmである。
また、第1の複屈折性媒質層12aの遅相軸の方向θは25°、第2の複屈折性媒質層12bの遅相軸の方向θは57°、第3の複屈折性媒質層12bの遅相軸の方向θは45°である。
ここで、上記内容を上述の式(1)に代入して演算した結果得られるパラメータSの絶対値は、波長455nmでは0.24、波長520nmでは0.29、波長638nmでは0.36である。同様に、パラメータSとパラメータSの比であるS/Sの絶対値は、波長455nmでは0.04、波長520nmでは0.00、波長638nmでは0.23である。本例では、波長638nmにおいて、パラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が0.17を超えてしまっている。
第2の比較例の波長板30を出射する光の偏光状態を調べる。図2の座標系のZ軸の方向に、振動方向がX軸の方向である直線偏光を入射した場合において、本比較例の波長板30を透過した後のそれぞれの波長の光の偏光状態は次の通りである。なお、入射する光の波長は、455nm、520nm、638nmである。波長455nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.12、楕円長軸方向がX軸に対し約1°の楕円偏光の光となる。また、波長520nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.15、楕円長軸方向がX軸に対し約90°の楕円偏光の光となる。また、波長638nmの直線偏光を入射したときは、楕円率が約0.18、楕円長軸方向がX軸に対し約−6°の楕円偏光の光となる。
このように、波長選択性を持たせる対象とする波長帯のいずれかにおいて、パラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が0.17を超える場合、出射する偏光の楕円長軸方向を±5°内に抑えることができなくなる。すると、このような波長板30を、波長選択性の波長板として、レーザープロジェクタに用いるのは難しい。
比較例3.
次に、第3の比較例として、3層構造でない波長板40について述べる。図5は、レーザープロジェクタに用いられる、波長520nmの緑色レーザー光用の2分の1波長板40の例を示す断面模式図である。図5に示す波長板40は、透明基板41と透明基板42の間に、1層の複屈折性媒質層43を挟持した構成である。複屈折性媒質層43は、第1の実施例の波長板10で用いた高分子液晶を材料として用い、2.6μmの厚さを有しているものとする。このとき、複屈折性媒質層43の有する波長520nmにおけるリタデーション値は259nmである。これは、波長の略半分の値である。
第3の比較例の波長板40を出射する光の偏光状態を調べる。本比較例の波長板40の遅相軸に対し45°の方向、すなわち図5のX軸方向に振動する直線偏光を入射して得られる出射光の偏光状態は次の通りである。
波長520nmのレーザー光を入射すると、楕円率が略0、振動方向がX軸に対し90°の直線偏光が出射する。一方、波長455nmのレーザー光を入射すると、楕円率が0.3、楕円長軸方向がX軸に対して90°の楕円偏光が出射する。また、波長638nmのレーザー光を入射すると、楕円率が0.37、楕円長軸方向がX軸に対して90°の楕円偏光が出射する。
すなわち、波長520nmの緑色レーザー光用の2分の1波長板40では、波長455nmのレーザー光および波長638nmのレーザー光に対しては、楕円率を0.2以下および、楕円長軸方向を±5°内に抑える機能を有していないことがわかる。
このように、波長520nmの緑色レーザー光用の2分の1波長板40では、レーザープロジェクタに多く用いられる3つの波長のレーザー光に対し、波長選択的に2分の1波長板の機能を発現できないので、3つの波長のレーザー光が通る共通光路中に配置できない。
以上のように、本発明は、レーザープロジェクタに用いられる3つの波長のレーザー光に対し、波長選択的に2分の1波長板の機能を発現できるので、3つの波長のレーザー光が通る共通光路中に配置でき、レーザープロジェクタの光学系の簡単化および小型化の用途に好適に適用できる。
10 波長板
11a、11b、11c 透明基板
12a 第1の複屈折性媒質層
12b 第2の複屈折性媒質層
12c 第3の複屈折性媒質層
30 第1〜3の比較例である波長板
40 第4の比較例である波長板
41、42 透明基板
43 複屈折性媒質層

Claims (8)

  1. 所定の異なる帯域を有する3種の波長λ、λ、λ(λ<λ<λ)に対して波長選択的に偏光を制御する波長板であって、
    第1の複屈折性媒質層、第2の複屈折性媒質層、第3の複屈折性媒質層の順で積層された3層の複屈折性媒質層を備え、
    前記3種の波長λ 、λ 、λ の直線偏光の入射光の各々に対して、前記第1の複屈性媒質層のリタデーション値δ [nm]および遅相軸方向θ、前記第2の複屈折媒質層のリタデーション値δ [nm]および遅相軸方向θ、前記第3の複屈折媒質層のリタデーション値δ [nm]および遅相軸方向θの値が、以下に示す第1の条件および第2の条件を満たす、組み合わせであり、
    前記3種の波長λ、λ、λ 直線偏光が前記3層の複屈折性媒質層を透過したとき、前記波長λの光は楕円率が0.2以下、楕円長軸方向が入射する直線偏光の振動方向に対して±5°の楕円偏光の光になり、前記波長λの光は楕円率が0.2以下、楕円長軸方向が入射する直線偏光の振動方向に対して90°±5°の楕円偏光の光になり、前記波長λの光は楕円率が0.2以下、楕円長軸方向が入射する直線偏光の振動方向に対して±5°の楕円偏光の光になる
    ことを特徴とする波長板。

    第1の条件:
    以下の式(A)の演算により得られるパラメータSの絶対値が、前記波長λ、λ、λの光において、全て0.38以下である
    第2の条件:
    以下の式(A)の演算により得られるパラメータSとパラメータSの比S/Sの絶対値が、前記波長λ、λ、λの光において、全て0.17以下である

    Figure 0005834970

    ただし、δ’ i=1〜3 [deg]=360[deg]×δ i=1〜3 [nm]/λ[nm]
  2. 前記波長λ 、λ 、λ の各々における前記第1の複屈性媒質層のリタデーション値と前記第3の複屈性媒質層のリタデーション値との差が100nm以下であって、前記第1の複屈折性媒質層の遅相軸または進相軸と、前記第3の複屈折性媒質層の遅相軸または進相軸とがなす角度が3°以下である
    請求項1に記載の波長板。
  3. 前記波長λ 、λ 、λ の各々における前記第1の複屈性媒質層のリタデーション値と前記第3の複屈性媒質層のリタデーション値との差が15nm以下であって、前記第1の複屈折性媒質層の遅相軸または進相軸と、前記第3の複屈折性媒質層の遅相軸または進相軸とがなす角度が3°以下である
    請求項1に記載の波長板。
  4. 前記波長λ 、λ およびλ を有する帯域はそれぞれ、455nm帯、520nm帯および638nm帯である、請求項1〜3いずれか1項に記載の波長板。
  5. 前記波長λ 、λ およびλ を有する帯域は、中心波長がそれぞれ、430nm、530nmおよび638nmである、請求項1〜3いずれか1項に記載の波長板。
  6. 前記波長λ 、λ およびλ は、それぞれ、440nm、515nmおよび650nmである、請求項1〜3いずれか1項に記載の波長板。
  7. 前記第1の複屈折性媒質層、前記第2の複屈折性媒質層、前記第3の複屈折性媒質層は、いずれも、高分子液晶からなる請求項1〜6いずれか1項に記載の波長板。
  8. 青色レーザー光、緑色レーザー光および赤色レーザー光を発振する光源と、
    請求項1〜7いずれか1項に記載の波長板と、
    を備えたことを特徴とするレーザープロジェクタ。
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