JP5361029B2 - 非水電解質二次電池用正極および非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極および非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用の正極と、該正極を有する非水電解質二次電池に関するものである。
リチウムイオン電池に代表される非水電解質二次電池は、容量が大きく、かつ高電圧、高エネルギー密度であることから、携帯電話をはじめ、携帯ゲーム機、PDAなどの小型の電子機器用途を中心にますます需要が増える傾向にある。そして、これら機器は多機能化が進んでおり、そのために消費電力は増加傾向にあり、電池の高容量化が急務となっている。
リチウムイオン電池などの非水電解質二次電池で使用されている正極は、例えば、正極活物質、導電助剤および結着剤にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶剤を加えて混合することにより、ペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し、この正極合剤含有組成物を集電体となる導電性基体の表面に塗布し、溶剤を乾燥除去すると共にプレス処理などを施し、厚みや密度の調整された正極合剤層を形成する工程を経て作製される。
このような正極を有する非水電解質二次電池の高容量化を達成する方法としては、例えば、正極の密度(正極合剤層の密度)を高めて、正極における正極活物質の充填量を増加させる方法や、充電電圧を高める方法などがある。しかしながら、前者の方法では、正極合剤層への電解液の浸透性が低下して、電池の製造上の問題や特性面の劣化など不具合が発生する。さらに後者の方法では、高電圧充電を伴う電池の安全性の低下などに問題がある。
また、非水電解質二次電池の正極活物質には、リチウム(Li)とコバルト(Co)とを含有するリチウム・コバルト複合酸化物が汎用されているが、これよりも単位重量あたりの容量が大きいニッケル(Ni)を添加したリチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物を正極活物質に用いることで、電池の高容量化を図ることが検討されている。
しかしながら、リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物を正極活物質として用いた正極を使用して電池を構成すると、以下の問題が生じることが本発明者らの検討により判明した。リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物は単位重量あたりの容量は増加するものの、リチウム・コバルト複合酸化物に比べて充填性や充放電効率が低下するために電池容量が増大しない。また、リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物は熱安定性が低いため、過充電時や高温保存時に、電池が発火や破裂するなど、電池の安全性が低下し、更に高電圧充電時に非水電解質の分解が生じて電池の充放電サイクル特性が劣化してしまう。
上記の他にも、リチウム・コバルト複合酸化物を正極活物質に用いた非水電解質二次電池における上記のような問題の解決を目的とした技術が提案されている。例えば、特許文献1には、例えば、特許文献1に、(a)コバルト酸リチウムと、(b)Al、B、SnおよびNbからなる群より選ばれる少なくとも1種類からなる元素とLi、NiおよびCoとを含有する酸化物との2種類の活物質を含み、これらの活物質(a)、(b)の混合割合[(a):(b)]が重量比で20:80〜80:20の範囲の正極を使用した電池が提案されている。特許文献1では、上記の構成の採用によって、電池の高容量化と過放電特性およびサイクル性の向上を達成できるとしている。
また、特許文献2では、スピネル型マンガン酸リチウムと、ZrまたはTiの少なくとも一方(第1異種元素)を添加したコバルト酸リチウムとの混合物を正極活物質に用いた電池が提案されている。特許文献2には、上記のコバルト酸リチウムでは、上記第1異種元素の添加によって、電池の高温保存時にコバルトの溶出が抑制されるため、電池の高温保存特性が向上すると共に安全性が向上することが記載されている。そして、第1異種元素に加えて、第2異種元素としてMgあるいはAlを添加したコバルト酸リチウムを用いることで、更に電池の特性が向上することも記載されている。
特開2005−19086号公報 特開2005−285720号公報
ところが、特許文献1の技術では、特に正極活物質中の(b)の活物質比率が多くなると、放電末期の電池電圧の低下するため、携帯電話やデジタルカメラのような高負荷放電が要求されるような機器の電源として使用した場合に、電池の保持している容量を十分に引き出し得ないことがある。また、正極合剤層の密度を高めて、正極活物質の充填量を多くすることも困難であるため、この点でも高容量化が十分に達成できるとはいい難い。更に、電池の安全性向上の面では必ずしも十分とはいえない。
また、特許文献2の技術では、安定なスピネル型マンガン酸リチウムを用いていることから、電池の安全性を向上させることは可能であるが、スピネル型マンガン酸リチウムは単位重量あたりの容量がリチウム・コバルト複合酸化物よりも小さく、真密度も小さいため、高容量化を行うことが困難となる。
最近では、非水電解質二次電池の容量や安全性に要求されるレベルが非常に高度になっており、これらを高いレベルで両立させ得る技術の開発が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高容量でかつ過充電時および高温貯蔵時の安全性に優れた非水電解質二次電池と、該非水電解質二次電池を構成し得る非水電解質二次電池用正極を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の非水電解質二次電池用正極(以下、単に「正極」という場合がある)は、下記の層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)および下記の層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)のみを活物質として用いてなる正極合剤層を有することを特徴とするものである。
上記層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)は、一般式LiNiCo(1−x−y) (0.65≦x≦0.90、0.02≦y≦0.06、元素MはAl、MgおよびTiよりなる群から選択される少なくとも1種の元素)で表される化合物で、上記層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)は、一般式LiCo(1−z) (0.005≦z≦0.03、元素MはAl、MgおよびTiよりなる群から選択される少なくとも1種の元素)で表される化合物であり、かつ上記層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)と上記層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)とを混合物としたとき、上記混合物の比表面積が0.2〜0.6m/g、上記混合物中のアルカリ量が0.15質量%以下であり、上記層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)と上記層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)との合計量を100質量%としたとき、上記層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)の含有率が、10〜30質量%である。
また、本発明の非水電解質二次電池用正極を有する非水電解質二次電池も本発明に含まれる。
正極活物質にリチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物のみを用いて電池を構成した場合には、正極合剤層中での充填率の低下と充放電効率の低下による電池容量の低減が生じ得る。一方、正極活物質にリチウム・コバルト複合酸化物のみを用いて電池を構成した場合には、正極活物質の単位重量あたりの容量の低下によって、電池容量に限界がある。
本発明では、電池の高容量化を達成するために、正極活物質に、上記の層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)と層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)を併用して、両者の利点を相乗的に発揮させ、更に、これら層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)と層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)とを、混合物とした場合に特定の比表面積を有するように最適化して、これらの正極合剤層中での充填性を高めた。また、電池の安全性を向上させるために、層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)に添加元素Mを含有するものを用いて過充電時の安全性を高め、更に、層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)に添加元素Mを含有するものを用いると共に、層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)と層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)とを混合物とした場合における該混合物中のアルカリ量を特定値以下として、高温貯蔵時における電池の膨れを抑制した。
本発明によれば、高容量で、安全性に優れた非水電解質二次電池と、該非水電解質二次電池を構成し得る正極を提供することができる。本発明の非水電解質二次電池は、正極の充電終止電圧が4.2〜4.5Vとなるような高電圧充電が実施される用途にも好適に用いることができる。
本発明の正極は、例えば、集電体となる導電性基体の片面または両面に、正極活物質としての上記層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)および上記層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)、導電助剤並びに結着剤などを含有する正極合剤層を形成させた形態を有するものである。
本発明の正極に係る層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)[以下、「化合物(A)」という場合がある]は、LiNiCo(1−x−y) で表される化合物である。化合物(A)におけるNiの比率xは、0.65以上、好ましくは0.75以上であって、0.9以下である。また、化合物(A)におけるMはAl、MgおよびTiよりなる群から選択される1種以上の元素である。Mの比率yは、0.02以上、好ましくは0.03以上であって、0.06以下、好ましくは0.05以下である。このような組成を有する化合物(A)を用いることで、電池の容量を高め、また、過充電時の安全性を向上させることができる。
すなわち、化合物(A)において、Niの比率xが小さすぎると、正極活物質の単位重量あたりの容量が大きく低下し、xが大きすぎると、電池の充放電効率および充放電サイクル特性の低下が起こる。また、化合物(A)において、Mの比率yが小さすぎると、過充電時における電池の安全性を向上させることができず、yが大きすぎると、正極活物質の単位重量あたりの容量が大きく低下する。
本発明の正極に係る層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)[以下、「化合物(B)」という場合がある]は、LiCo(1−z) で表される化合物である。化合物(B)におけるMはAl、MgおよびTiよりなる群から選択される1種以上の元素である。Mの比率zは、0.005以上、好ましくは0.01以上であって、0.03以下、好ましくは0.02以下である。このような組成を有する化合物(B)を用いることで、高温貯蔵時における電池の膨れを抑制し、また、電池の高電圧充放電サイクル特性を改善することができる。すなわち、化合物(B)において、Mの比率zが小さすぎると、高温貯蔵時の膨れ抑制効果や、高電圧充放電サイクル特性の改善効果が小さくなり、zが大きすぎると、電池の容量が低下する。
また、化合物(A)と化合物(B)は、これらを混合物とした場合に、比表面積が、0.2m/g以上、好ましくは0.3m/g以上であって、0.6m/g以下、好ましくは0.5m/g以下である。混合物が上記のような形態となる化合物(A)および化合物(B)を用いることで、これら正極活物質の低比表面積化による電池の負荷特性の低下を抑えて、良好な電池特性を確保することができる。化合物(A)と化合物(B)とを混合物とした場合の比表面積は、化合物(A)と化合物(B)との使用比率を調整することにより制御できる。
また、化合物(A)と化合物(B)は、これらを混合物とした場合に、その平均粒径が、5μm以上、より好ましくは10μm以上であって、20μm以下、より好ましくは18μm以下であることが望ましい。混合物の平均粒径が上記のようになる化合物(A)および化合物(B)を用いることで、正極活物質の大粒径化または小粒径化による正極合剤層での充填性の低下を抑えて、より電池特性を良好にすることができる。化合物(A)と化合物(B)とを混合物とした場合の平均粒径も、化合物(A)と化合物(B)との使用比率を調整することにより制御できる。
ここで、本明細書でいう「化合物(A)と化合物(B)との混合物の平均粒径」は、レーザー式の粒度分布測定装置(マイクロトラック社製「HRA9320−X100」)を用いて、純水に試料を分散させ、光吸収モードの条件で、体積頻度の積算で50%となる粒径(D50)として得られる値である。また、本明細書でいう「化合物(A)と化合物(B)との混合物の比表面積」は、Nガス吸着を利用した1点式のBET測定装置(マウンテック社製「Macsorb HM−1201」)を用いて、前処理として、Nガスフロー中、150℃の環境下で1時間保持した後に測定することにより得られる値である。
更に、化合物(A)と化合物(B)は、これらを混合物とした場合に、アルカリ量が、0.15質量%以下、好ましくは0.11質量%以下である。化合物(A)や化合物(B)のようなリチウム遷移金属複合酸化物中には、その原料で使用された炭酸リチウムや酸化コバルト、水酸化ニッケル、酸化ニッケルなどの未反応物質が不純物として混入する。また、リチウム遷移金属複合酸化物の形成反応中または反応終了後に、リチウムが空気中の水分と反応して水酸化リチウムとなる。このように化合物(A)や化合物(B)中に混入した炭酸リチウム、水酸化リチウムといったアルカリが、化合物(A)と化合物(B)とを混合物とした場合に、該混合物中に0.15質量%を超える量で存在すると、電池の化成時または充電時に、これらアルカリの分解反応が生じて炭酸ガスや水素ガスが発生し、電池の膨れの原因となる。
化合物(A)と化合物(B)との混合物中のアルカリ量は、下記の中和滴定法により求められる。この中和滴定法は、Warder法やWinkler法とも呼ばれ、水酸化リチウムと炭酸リチウムとの混合物の定量分析法としては公知な分析方法(例えば、阿部著,「分析化学」,培風館,昭和25年発行,223〜224頁)である。この滴定は、始めにフェノ−ルフタレインを指示薬として滴定し、全水酸化リチウムと炭酸リチウムの半分が中和され、残りの炭酸塩はフェノ−ルフタレイン終点からメチルオレンジ指示薬による終点までに中和されるものである。
すなわち、次式(1)〜(3);
LiOH + HCl → LiCl + HO (1)
LiCO+ HCl → LiCl + LiHCO (2)
LiHCO+ HCl → LiCl + CO + HO (3)
において、式(1)、式(2)および式(3)の合計の塩酸滴定量が、アルカリ量となる。
実際には、以下のようにしてアルカリ量を測定する。化合物(A)と化合物(B)との混合物20gを試料として秤量し、200ml活栓付き三角フラスコに入れる。ここに、純水100mlを加え、フラスコ内を窒素ガスで置換し、活栓を閉じる。これをマグネチックスターラーで1時間攪拌し、静置後、デカンテーションろ過し、ろ液50mlを精秤し、指示薬としてフェノールフタレイン指示薬を加え、0.2M塩酸で滴定して、1回目の滴定量(A ml)を求める。続いて、メチルオレンジ指示薬を加えて、滴定して、2回目の滴定量(B ml)を求める。そして、これらの滴定量Aおよび滴定量Bから、試料混合物中のアルカリ量を算出する。
混合物とした場合のアルカリ量が0.15質量%以下の化合物(A)および化合物(B)を得るには、これら化合物(A)および化合物(B)を製造する際に用いる原料の選定、および製造時の反応の制御などを適確に行い、かつ分析試験により選別などを行えばよい。
化合物(A)と化合物(B)との使用比率は、化合物(A)と化合物(B)との合計量を100質量%としたとき、化合物(A)の含有率を、10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であって、30質量%以下とすることが望ましい。言い換えれば、化合物(A)と化合物(B)との合計量を100質量%としたとき、化合物(B)の含有率を、70質量%以上であって、90質量%以下、より好ましくは85質量%以下とすることが望ましい。化合物(A)と化合物(B)とを、混合物とした場合に上記の比表面積を満たし、好ましくは上記の平均粒径を満たすようにしつつ、このような比率で用いることで、電池の高容量化と安全性の向上をより良好に達成できる。
すなわち、化合物(A)の含有率が小さいと、正極合剤層における活物質の充填性が向上し、高密度の正極合剤層の形成が可能となるが、あまりに(A)の含有率が小さすぎると、正極活物質の単位重量あたりの容量が低下する傾向にあり、結果的に電池容量が低下することがあるため、好ましくない。また、化合物(A)の含有率が大きいと、正極活物質の単位重量あたりの容量は大きくなるものの、あまりに大きすぎると、放電末期における電池電圧が急速に低下したり、正極合剤層における活物質の充填性を高め難くなり、電池容量が低下する傾向にあるため、好ましくない。
本発明の正極には、導電助剤として、例えば、比表面積が50m/g以上1500m/g以下の炭素材料を使用することが好ましい。このような比表面積を有する炭素材料であれば、電池特性の低下を抑制しつつ正極合剤層中の含有量の低減が可能であるため、より高密度の正極合剤層の形成が可能となり、電池の更なる高容量化を達成できる。上記炭素材料の比表面積は、200m/g以上であることがより好ましく、また、800m/g以下であることがより好ましい。
正極に使用し得る炭素材料からなる導電助剤としては、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などのグラファイト類;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ−ボンブラック類;炭素繊維;などが挙げられる。本発明の正極では、これらの炭素材料のうち、上記の比表面積を有するものが好ましいが、必要に応じて、上記以外の比表面積を有するものや、炭素材料以外の導電助剤(例えば、金属繊維などの導電性繊維類;フッ化カーボン;アルミニウムなどの金属粉末類;酸化亜鉛;チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;など)も併用してもよい。上記炭素材料としては、上記の比表面積を有するものの入手が容易な点で、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、その他のカーボンブラック類が特に好ましい。
上記の比表面積を有する炭素材料と、他の導電助剤(上記以外の比表面積を有する炭素材料、または炭素材料以外の導電助剤)とを併用する場合には、導電助剤全量中、上記の比表面積を有する炭素材料が、例えば、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。勿論、上記の比表面積を有する炭素材料のみ(すなわち、100質量%)を用いてもよい。
詳しくは後述するが、本発明の正極を製造するにあたっては、化合物(A)、化合物(B)、導電助剤および結着剤などを含有する正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶剤に分散(結着剤は溶解していてもよい)させてなる正極合剤含有組成物を用いた製法が通常採用される。よって、本発明の正極に用いる結着剤(バインダ)としては、NMPなどの有機溶剤に溶解、または分散可能なポリマーが好ましいものとして挙げられる。具体的には、ジエン系ポリマー、オレフィン系ポリマー、スチレン系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリアミド系およびポリイミド系ポリマー、エステル系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系化合物などが例示できる。
より具体的には、ポリ1,3−ブタジエン、ポリイソプレン、イソプレン−イソブチレンコポリマー、天然ゴム、スチレン−1,3−ブタジエンコポリマー(SBR)、スチレン−イソプレンコポリマー、1,3−ブタジエン−イソプレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−1,3−ブタジエン−イソプレンコポリマー、1,3−ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタクリル酸メチルコポリマー、スチレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−イタコン酸コポリマー、スチレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタクリル酸メチル−フマル酸コポリマー、スチレン−1,3−ブタジエン−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、1,3−ブタジエン−スチレン−メタクリル酸メチルコポリマー、スチレン−1,3−ブタジエン−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタクリル酸メチル−フマル酸コポリマーなどのジエン系ポリマー;エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン系アイオノマー、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレンなどオレフィン系ポリマー;スチレン−エチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−ブタジエン−プロピレンコポリマー、スチレン−アクリル酸n−ブチル−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリル酸n−ブチル−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリルコポリマーなどのスチレン系ポリマー;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、アクリレート−アクリロニトリルコポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸メチル−アクリル酸−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリル系ポリマー;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、芳香族ポリアミド、ポリイミドなどのポリアミド系およびポリイミド系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのエステル系ポリマー;ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン(VDF−HFP)コポリマー、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン(VDF−HFP−TFE)コポリマー、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン(VDF−PFP)コポリマー、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン(VDF−PFP−TFE)コポリマー、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン(VDF−PFMVE−TFE)コポリマー、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン(VDF−CTFE)コポリマーなどのフッ素系ポリマー;が挙げられる。
また、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレン、ポリ(2−メトキシエトキシエチレン)、ポリ(3−モルフィニルエチレン)、ポリビニルスルホン酸なども、結着剤として用いることができる。更に、ポリスチレン−ポリブタジエンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレン・ブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン・ブロックコポリマー、スチレン−イソプレン・ブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン・ブロックコポリマーなどのブロックポリマーも結着剤として使用可能である。
上記例示の結着剤の中でも、特に、共役ジエン系モノマーのホモポリマー、共役ジエン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとのコポリマーおよびこれらと共重合可能なモノマーとのコポリマーなどのジエン系ポリマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーのホモポリマー、並びにポリビニリデンフルオライドおよびポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系ポリマーが好ましい。結着剤には、上記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用しても構わない。
本発明の正極は、上記の通り、正極活物質、導電助剤および結着剤を含有する正極合剤で構成される正極合剤層を、集電体となる導電性基体の片面または両面に形成した形態を有している。集電体としては、構成される電池において実質上化学的に安定な電子伝導体であれば特に制限されない。例えば、集電体を構成する材料としては、例えば、アルミニウムやその合金、ステンレス鋼、ニッケルやその合金、チタンやその合金、炭素、導電性樹脂などの他に、アルミニウムまたはステンレス鋼の表面にカーボンまたはチタンを処理させたものなどが用いられる。これらの中でも、アルミニウムおよびアルミニウム合金が特に好ましい。これらの材料は表面を酸化して用いることもできる。また、表面処理により集電体表面に凹凸を付けることが好ましい。集電体の形状としては、フォイルの他、フィルム、シート、ネット、パンチングされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体などが挙げられる。集電体の厚みは特に限定されないが、例えば、5〜50μmであることが好ましい。
正極合剤含有組成物(ペースト、スラリーなど)の調製方法としては、例えば、(1)導電助剤と結着剤と溶剤を予め強せん断分散装置で混練し、この分散体に正極活物質を添加して、更に強せん断分散装置で混練して調製する方法、(2)正極活物質と結着剤と溶剤との混合物を分散させてペースト状などの分散体とし、これとは別に導電助剤と結着剤と溶剤とを強せん断分散装置で混練して別分散体とし、前者の分散体に後者の別分散体を添加して更に分散させることにより調製する方法、(3)正極活物質と導電助剤と結着剤と溶剤との混合物を強せん断分散装置で混練して調製する方法、などが挙げられる。
なお、正極活物質である化合物(A)と化合物(B)は、予めこれらを混合物とし、この混合物を正極合剤含有組成物の調製に供してもよく、化合物(A)と化合物(B)とを混合せずにそのまま正極合剤含有組成物の調製に供しても構わない。
正極合剤含有組成物の調製に用いる上記の強せん断分散装置としては、例えば、混練のための2枚のブレードと1本の高速撹拌機を具備する三軸型のプラネタリーミキサー;混練のための2枚のブレードと2本の高速撹拌機を具備する四軸型のプラネタリーミキサー[浅田鉄工社製「プラネタリーディスパ(商品名)」など];三枚のブレードを有する三軸型のプラネタリーミキサー[井上製作所社製「トリミックス(商品名)」など];ミルに代表されるメディアミル;ニーダー;連続式2軸混練機;コロイドミル;ロールミル;塗料(正極合剤含有組成物)にジェット流を発生させ、液―液間のせん断により分散を行うホモジナイザー型分散機;機械精度を高め、3000〜20000min−1の高速運転可能な高速回転ホモジナイザー型分散機であるクレアミックス(商品名、エム・テクニック社製)やユニバーサルミキサー(商品名、パウレック社製);などが例示できる。
本発明の正極は、例えば、上記の手法によって調製された正極合剤含有組成物を集電体の片面または両面に塗布し、乾燥して溶剤を除去した後、カレンダー成形などのプレス処理を施して、正極合剤層の厚みと密度を調整する工程を経て製造される。
このようにして得られる本発明の正極においては、正極合剤層の密度が、例えば、3.6g/cm以上であることが好ましく、3.7g/cm以上であることがより好ましい。現在、層状のリチウム・コバルト複合酸化物を使用した正極では、正極合剤層密度が3.6〜3.8g/cm付近までのものが使用可能となっている。そのため、本発明の正極においても、正極合剤層の密度を3.6g/cm以上とすることが、高容量化の量る観点から好ましい。すなわち、このような高密度の正極合剤層を有する正極とすることにより、この正極を有する電池の容量をより高めることができる。なお、正極合剤層の密度があまり高すぎると、正極合剤層中への電解液の浸透性が低下して、電池特性が損なわれることがあるため、正極合剤層の密度は、4.3g/cm以下であることが好ましく、4.2g/cm以下であることがより好ましい。
ここでいう正極合剤層の密度は、以下の方法により測定されるものである。まず、正極を1cm×1cmの大きさに切り取り、マイクロメータで厚み(l)を、精密天秤で質量(m)を測定する。次に、正極合剤層を削り取り、集電体のみを取り出して、その集電体の厚み(l)と質量(m)を正極と同様に測定する。得られた厚みと質量から、以下の式によって正極合剤層密度(dca)を求める(なお、上記の厚みの単位はcm、質量の単位はgである)。
ca=(m−m)/(l−l
ここで、正極合剤層中の成分組成としては、正極合剤層全量中、例えば、正極活物質の含有量が96〜99質量%であることが好ましい。また、正極合剤層全量中における導電助剤の含有量は、0.5質量%以上であって、2.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下であることが望ましい。更に、正極合剤層全量中における結着剤の含有量は、0.5質量%以上であって、2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下であることが望ましい。
本発明の正極では、特に上記の比表面積を有する炭素材料を導電助剤に用いれば、正極合剤層中の導電助剤含有量を上記のように低減しても、非常に良好な導電性を確保でき、更に、これに伴って結着剤の含有量も低減できることから、正極合剤層の密度をより容易に高めることが可能であり、電池をより高容量とすることができる。
本発明の非水電解質二次電池は、上記本発明の正極を有していればよく、その他の構成・構造については特に制限は無く、従来公知の非水電解質二次電池に採用されている各構成・構造を適用することができる。
負極としては、例えば、負極活物質を含有する負極合剤層を集電体表面に形成してなるものが挙げられる。負極合剤層は、負極活物質の他に、結着剤や導電助剤(必要に応じて)を含有しており、例えば、負極活物質および結着剤(更には導電助剤)などを含む混合物(負極合剤)に、適当な溶剤を加えて十分に混練して得られる負極合剤含有組成物(スラリーなど)を、集電体表面に塗布し乾燥することで、所望の厚みとしつつ形成することができる。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛)、人造黒鉛、膨張黒鉛などの黒鉛材料;ピッチをか焼して得られるコークスなどの易黒鉛化性炭素質材料;フルフリルアルコール樹脂(PFA)やポリパラフェニレン(PPP)およびフェノール樹脂を低温焼成して得られる非晶質炭素などの難黒鉛化性炭素質材料;などの炭素材料が挙げられる。また、炭素材料の他に、リチウムやリチウム含有化合物も負極活物質として用いることができる。リチウム含有化合物としては、Li−Alなどのリチウム合金や、Si、Snなどのリチウムとの合金化が可能な元素を含む合金が挙げられる。更にSn酸化物やSi酸化物などの酸化物系材料も用いることができる。負極合剤全量中における負極活物質含有量は、例えば、97〜99質量%であることが好ましい。
導電助剤は、電子伝導性材料であれば特に限定されないし、使用しなくても構わない。導電助剤の具体例としては、アセチレンブラック;ケッチェンブラック;チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;などの炭素材料の他、金属繊維などの導電性繊維類;フッ化カーボン;銅、ニッケルなどの金属粉末類;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用しても構わない。これらの中でも、アセチレンブラック、ケッチェンブラックや炭素繊維が特に好ましい。ただし、負極に導電助剤を使用する場合には、高容量化のために、負極合剤全量中における導電助剤含有量を10質量%以下とすることが望ましい。
負極合剤層に係る結着剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。具体的には、例えば、上記本発明の正極に係る結着剤と同じ材料や、エチレン−アクリル酸共重合体または該共重合体のNaイオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体または該共重合体のNaイオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体または該共重合体のNaイオン架橋体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体または該共重合体のNaイオン架橋体などが使用でき、それらの材料を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用しても構わない。
上記の中でも、PVDF、SBR、エチレン−アクリル酸共重合体または該共重合体のNaイオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体または該共重合体のNaイオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体または該共重合体のNaイオン架橋体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体または該共重合体のNaイオン架橋体が特に好ましい。負極合剤全量中における結着剤含有量は、例えば、1〜5質量%であることが好ましい。
負極に用いる集電体としては、非水電解質二次電池内において、実質上、化学的に安定な電子伝導体であれば特に限定されない。かかる集電体を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケルやその合金、銅やその合金、チタンやその合金、炭素、導電性樹脂などの他に、銅またはステンレス鋼の表面にカーボンまたはチタンを処理させたものなどが用いられる。これらの中でも、銅および銅合金が特に好ましい。これらの材料は表面を酸化して用いることもできる。また、表面処理により集電体表面に凹凸を付けることが好ましい。集電体の形状としては、フォイルの他、フィルム、シート、ネット、パンチングされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体などが挙げられる。集電体の厚みは特に限定されないが、例えば、5〜50μmであることが好ましい。
非水電解質としては、例えば、下記の非水系溶媒中に、リチウム塩を溶解させることで調製した溶液(非水電解液)が使用できる。
溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、γ−ブチロラクトン(γ-BL)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、燐酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒を1種単独で、または2種以上を混合した混合溶媒として用いることができる。
非水電解質に係る無機イオン塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiCnF2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO[ここでRfはフルオロアルキル基]などのリチウム塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。このリチウム塩の電解液中の濃度としては、0.6〜1.8mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.6mol/lとすることがより好ましい。
本発明の非水電解質二次電池内では、上記正極と上記負極との間に、上記の非水電解質を含ませたセパレータが配される。セパレータとしては、大きなイオン透過度および所定の機械的強度を有する絶縁性の微多孔性薄膜が用いられる。また、一定温度以上(例えば100〜140℃)で構成材料の溶融によって孔が閉塞し、抵抗を上げる機能を有するもの(すなわち、シャットダウン機能を有するもの)が好ましい。このようなセパレータの具体例としては、耐有機溶剤性および疎水性を有するポリエチレン、ポリプロピレンなどポリオレフィン系ポリマー、またはガラス繊維などの材料で構成されるシート(多孔質シート)、不織布若しくは織布;上記例示のポリオレフィン系ポリマーの微粒子を接着剤で固着した多孔質体;などが挙げられる。セパレータの孔径は、正負極より脱離した正負極の活物質、導電助剤および結着剤などが通過しない程度であることが好ましく、例えば、0.01〜1μmであることが望ましい。セパレータの厚みは、8〜30μmとすることが一般的であるが、本発明では、10〜20μmとすることが好ましい。また、セパレータの空孔率は、構成材料や厚みに応じて決定されるが、30〜80%であることが一般的である。
このようにして得られる本発明の非水電解質二次電池では、その正極(本発明の正極)が、リチウム金属基準で4.2〜4.5Vといった電圧まで充電しても安定しており、このような電圧のうち、より高電圧での充電を行うことで、更なる高容量化が達成できる。
以上のように、本発明の非水電解質二次電池は、高容量であり、かつ過充電時や高温貯蔵時における安全性に優れていることから、こうした特性を活かして、主に角形電池が使用されるホータブル機器、例えば、携帯電話、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ポータブルオーディオプレイヤーなどの小型電子機器用途に好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
<正極の作製>
正極活物質として、化合物(A)であるLiNi0.82Co0.15Mg0.03と、化合物(B)であるLiCo0.99Mg0.01とを、(A)/(B)=20/80(質量比)で混合した混合物を用いた。上記混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.45m/g、アルカリ量は0.11質量%であった。
上記の正極活物質と、導電助剤としてのアセチレンブラック[電気化学工業株式会社製「デンカブラック(商品名)」、粉状品、平均1次粒径(電子顕微鏡法):40nm、BET比表面積:65m/g、DBP吸油量:180cc/100g]と、結着剤としてのPVDFのNMP溶液とを、固形分質量比98:1:1の比率で混合し、溶剤であるNMPを加えて、エム・テクニック社製の「クレアミックス CLM0.8(商品名)」を用いて、回転数:10000min−1で30分間処理を行い、ペースト状の混合物とした。この混合物に、溶剤であるNMPを更に加えて、回転数:10000min−1で15分間処理を行い、正極合剤含有組成物を調製した。
上記の正極合剤含有組成物を、集電体であるアルミニウム箔(厚み:15μm)の両面に塗布し、120℃で12時間真空乾燥を施し、更にプレス処理を施して、集電体の両面に、厚みが52μmの正極合剤層を有する正極を作製した。上記の方法によって求めたプレス処理後の正極合剤層の密度は、3.75g/cmであった。
<負極の作製>
天然黒鉛:97.5質量%、SBR:1.5質量%、およびカルボキシメチルセルロース(増粘剤):1質量%を、水を用いて混合してスラリー状の負極合剤含有組成物を調製した。この負極合剤含有組成物を、集電体である銅箔(厚み:8μm)の両面に塗布し、120℃で12時間真空乾燥を施し、更にプレス処理を施して、集電体の両面に、厚みが63μmの負極合剤層を有する負極を作製した。正極合剤層の密度測定方法と同じ方法で求めたプレス処理後の負極合剤層の密度は、1.65g/cmであった。
<電極体の作製>
上記の正極と負極とをセパレータを介して重ね合わせ、これらを巻回して電極体を作製した。セパレータとしては、厚みが16μmのポリエチレン製多孔膜(透気度300秒/100cm)を用いた。
<非水電解液の調製>
炭酸エチレン(EC)と炭酸メチルエチル(MEC)と炭酸ジエチル(DEC)との混合溶媒(体積比 1:1:1)に、1mol/lの濃度でLiPFを溶解させて非水電解液(非水電解質)を調製した。
<電池の組み立て>
上記の電極体および非水電解液を用いて、角形非水電解質二次電池を組み立てた。まず、上記電極体の各端面に集電板を溶接により接合した。次に、集電板のリード部を蓋体に取り付けられている電極端子集電機構と接続した。その後、正極缶の内部に電極体を収容して、正極缶の開口部に蓋体を溶接固定した。最後に蓋体に設けられた注液孔から正極缶内に非水電解液を注入して、厚さ4mm、幅34mm、高さ50mmで、図1に示す構造で、図2に示す外観の角形非水電解質二次電池を作製した。
ここで図1および図2に示す電池について説明すると、正極1と負極2は上記のようにセパレータ3を介して渦巻状に巻回した巻回構造の電極体6として、角形の正極缶4に非水電解液とともに収容されている。ただし、図1では、煩雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用した集電体としての金属箔や非水電解液などは図示していない。
正極缶4はアルミニウム合金製で電池の外装材を構成するものであり、この正極缶4は正極端子を兼ねている。そして、正極缶4の底部にはポリエチレンシートからなる絶縁体5が配置され、上記正極1、負極2およびセパレータ3からなる電極体6からは、正極1および負極2のそれぞれ一端に接続された正極集電板7と負極集電板8が引き出されている。また、正極缶4の開口部を封口するアルミニウム合金製の蓋板9にはポリプロピレン製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板(電極端子集電機構)13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は上記正極缶4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、正極缶4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。
なお、図1では示していないが、蓋板9には注液孔が設けられており、電池組み立ての際には、この注液孔から電池内に非水電解液が注入され、その後、注液孔は封止される。また、これも図1には示していないが、蓋板9には、防爆用の安全弁が設けられている。
この実施例1の電池では、正極集電板7を蓋板9に直接溶接することによって正極缶4と蓋板9とが正極端子として機能し、負極集電板8をリード板13に溶接し、そのリード板13を介して負極集電板8と端子11とを導通させることによって端子11が負極端子として機能するようになっているが、正極缶4の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図2は上記図1に示す電池の外観を模式的に示す斜視図であり、この図2は上記電池が角形電池であることを示すことを目的として図示されたものであって、この図2では電池を概略的に示しており、電池の構成部材のうち特定のものしか図示していない。また、図1においても、電極体の内周側の部分は断面にしていない。
実施例2
正極活物質として、実施例1と同じ構造の化合物(A)および化合物(B)を、(A)/(B)=10/90(質量比)の比率で混合した混合物として用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。上記混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.45m/g、アルカリ量が0.07質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.77g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例3
正極活物質として、実施例1と同じ構造の化合物(A)および化合物(B)を、(A)/(B)=30/70(質量比)の比率で混合した混合物として用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。上記混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.44m/g、アルカリ量が0.15質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.70g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
比較例1
正極活物質として、実施例1と同じ構造の化合物(A)および化合物(B)を、(A)/(B)=40/60(質量比)の比率で混合した混合物として用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。上記混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.43m/g、アルカリ量が0.19質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.65g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
比較例2
正極活物質として、実施例1と同じ構造の化合物(B)のみを用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。上記混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.45m/g、アルカリ量が0.02質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.79g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例1〜3および比較例1、2の電池について、下記の各評価を行った。結果を表1に示す。
<放電容量>
実施例1〜3および比較例1、2の電池について、放電容量を測定した。測定においては、各電池について、まず、873mAを1.0Cとして、1.0Cで4.2Vまで定電流充電を行い、その後、充電電流値が20mAとなるまで定電圧充電を行った。次に、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行って、0.2C電池容量(放電容量)を求めた。その後、上記条件で再び充電を行い、2.0Cで3.0Vまで定電流放電を行って、2.0C電池容量(放電容量)を求めた。なお、充電後の正極の電位は、リチウム金属基準で4.3Vであった。
<過充電>
実施例1〜3および比較例1、2の電池について、各5個を25℃にて1Cの電流量で5.0Vまで定電流充電を行い、5.0Vに達した後は5.0Vでの定電圧充電を行った。試験は、定電流充電の開始から240分間実施し、その間に電池温度が120℃以上となった個数を調べた。
<高温貯蔵後の電池膨れ>
実施例1〜3および比較例1、2の電池について、上記の放電容量測定と同じ条件で4.2Vまで定電流−定電圧充電を行った後に、80℃の環境下で4h貯蔵し、取り出してから20℃の雰囲気中で2時間冷却した後の電池の厚みを測定して、貯蔵前の電池の厚みからの変化(膨れ)を求めた。
Figure 0005361029
なお、表1における「アルカリ量」の欄の数値は、正極活物質中のアルカリ量[化合物(A)および(B)の混合物中、または正極活物質として用いた複合酸化物全量中のアルカリ量]を、「過充電試験」の欄の数値は、「過充電試験で120℃以上になった電池個数/試験個数」を、「電池膨れ」の欄の数値は、高温貯蔵試験後の電池膨れを、それぞれ意味している(後記の表2および表3においても、同じ)。
表1に示す結果から明らかなように、上記層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物[化合物(A)]と上記層状リチウム・コバルト複合酸化物[化合物(B)]を質量比で10:90〜30:70の範囲で混合した正極活物質を用いた実施例1〜3の電池では、高容量化が達成されていると共に、過充電時の安全性、高温貯蔵後の電池膨れも良好であった。これに対し、化合物(A)の比率が大きい比較例1では放電容量が大きいものの、過充電時の電池温度が上昇しやすく、高温貯蔵時の膨れも大きくなった。これは過充電時において、リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物の発熱が開始する温度が低く、また正極活物質中のアルカリ量が多いために電池内のガス発生量が大きくなったためである。
一方、化合物(A)を含有しない正極を用いた比較例2では、高容量の電池が得られなかった。
実施例4
化合物(A)を、LiNi0.70Co0.27Mg0.03に変更した以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。化合物(A)と化合物(B)との混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.40m/g、アルカリ量が0.08質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.75g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例5
化合物(A)を、LiNi0.90Co0.07Mg0.03に変更した以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。化合物(A)と化合物(B)との混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.40m/g、アルカリ量が0.12質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.75g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例6
化合物(A)を、LiNi0.85Co0.10Mg0.05に変更した以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。化合物(A)と化合物(B)との混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.32m/g、アルカリ量が0.11質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.75g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例7
化合物(A)を、LiNi0.85Co0.10Al 0.05に変更した以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。化合物(A)と化合物(B)との混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.36m/g、アルカリ量が0.11質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.75g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例8
化合物(A)を、LiNi0.85Co0.10Ti0.05に変更した以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。化合物(A)と化合物(B)との混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.40m/g、アルカリ量が0.11質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.75g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例9
化合物(B)を、LiCo0.98Mg0.02に変更した以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。化合物(A)と化合物(B)との混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.38m/g、アルカリ量が0.11質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.75g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例10
化合物(B)を、LiCo0.98Al0.02に変更した以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。化合物(A)と化合物(B)との混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.40m/g、アルカリ量が0.11質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.75g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例11
化合物(B)を、LiCo0.98Ti0.02に変更した以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。化合物(A)と化合物(B)との混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.40m/g、アルカリ量が0.11質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.75g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例12
正極合剤含有組成物の調製に際し、導電助剤の比率を0.5質量%とし、正極活物質である混合物の比率を98.5質量%とした以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。化合物(A)と化合物(B)との混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.44m/g、アルカリ量が0.11質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.80g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例13
正極合剤含有組成物の調製に際し、結着剤の比率を2.0質量%とし、正極活物質である混合物の比率を97質量%とした以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。化合物(A)と化合物(B)との混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.44m/g、アルカリ量が0.11質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.75g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
比較例3
化合物(A)の代わりに、LiNi0.85Co0.15を用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。LiNi0.85Co0.15と化合物(B)との混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.45m/g、アルカリ量が0.08質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.75g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
比較例4
化合物(B)の代わりに、LiCoOを用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。化合物(A)とLiCoOとの混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.47m/g、アルカリ量が0.11質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.75g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
比較例5
化合物(A)の代わりに、LiNi0.85Co0.07Mg0.08を用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。LiNi0.85Co0.07Mg0.08と化合物(A)との混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.30m/g、アルカリ量が0.11質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.75g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
比較例6
化合物(A)の代わりに、LiNiOを用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。LiNiOと化合物(B)との混合物は、平均粒径が11μm、BET比表面積が0.45m/g、アルカリ量が0.18質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.70g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
比較例7
化合物(A)および化合物(B)として、平均粒径がそれぞれ4μmとなるように分級したものを用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。化合物(A)と化合物(B)との混合物は、平均粒径が4μm、BET比表面積が0.67m/g、アルカリ量が0.11質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.55g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
比較例8
化合物(A)および化合物(B)として、平均粒径がそれぞれ25μmとなるように分級したものを用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。化合物(A)と化合物(B)との混合物は、平均粒径が25μm、BET比表面積が0.18m/g、アルカリ量が0.11質量%であり、プレス処理後の正極合剤層の密度は、3.65g/cmであった。
上記の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例4〜13および比較例3〜8の非水電解質二次電池に係る正極の構成を表2に示す。
Figure 0005361029
実施例4〜13および比較例3〜8の非水電解質二次電池について、実施例1と同じ評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0005361029
表3に示す結果から明らかなように、実施例4〜10の電池でも、実施例1〜3の電池と同様に、2.0Cの高負荷条件においても高容量化が達成されていると共に、過充電時の安全性および高温貯蔵後の電池膨れ抑制能も優れていた。
これに対し、化合物(A)に代えて元素Mを含有しないリチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物を使用した比較例3の電池では、過充電時における電池温度が高く、高温貯蔵時の膨れも著しく大きくなっている。よって、添加元素Mを含有する層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物[化合物(A)]を使用することにより、過充電時の電池温度上昇抑制および高温貯蔵時の電池膨れ低減が可能であることが分かる。ただし、添加元素Mの含有率が多いリチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物を化合物(A)に代えて用いた比較例5の電池において、放電容量が低下した。比較例6の電池は、全実施例・比較例の中で最も高容量であるが、正極活物質中のアルカリ量が多いため、高温貯蔵時の電池膨れが大きく、また、過充電試験に供した電池が全て120℃以上となり、安全性が劣っていた。
以上のように、正極活物質に特定組成の層状型リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)と層状型リチウム・コバルト複合酸化物(B)を用い、これらの形態と含有アルカリ量を制御することにより、高容量で、かつ安全性の高い非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池の一例を模式的に示す図で、(a)はその平面図、(b)はその部分縦断面図である。 図1に示す非水電解質二次電池の斜視図である。
符号の説明
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 正極缶
5 絶縁体
6 電極積層体
7 正極集電体
8 負極集電体
9 封口用蓋板
10 絶縁パッキング
11 端子
12 絶縁体
13 リード板

Claims (6)

  1. 下記の層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)および下記の層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)のみを活物質として用いてなる正極合剤層を有することを特徴とする非水電解質二次電池用正極。
    上記層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)は、一般式LiNiCo(1−x−y) (0.65≦x≦0.90、0.02≦y≦0.06、元素MはAl、MgおよびTiよりなる群から選択される少なくとも1種の元素)で表される化合物で、上記層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)は、一般式LiCo(1−z) (0.005≦z≦0.03、元素MはAl、MgおよびTiよりなる群から選択される少なくとも1種の元素)で表される化合物であり、かつ上記層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)と上記層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)とを混合物としたとき、上記混合物の比表面積が0.2〜0.6m/g、上記混合物中のアルカリ量が0.15質量%以下であり、上記層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)と上記層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)との合計量を100質量%としたとき、上記層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)の含有率が、10〜30質量%である。
  2. 層状リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物(A)と層状リチウム・コバルト複合酸化物(B)とを混合物としたとき、上記混合物の平均粒径が8〜20μmである請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極。
  3. 正極合剤層中に、0.5〜2.0質量%の炭素材料と、0.5〜2.5質量%の結着剤を含有している請求項1または2に記載の非水電解質二次電池用正極。
  4. 正極合剤層の密度が、3.6〜4.3g/cmである請求項1〜のいずれかに記載の非水電解質二次電池用正極。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の非水電解質二次電池用正極を有することを特徴とする非水電解質二次電池。
  6. 正極の充電終止電圧がリチウム金属基準で4.2〜4.5Vとなる条件で充電して使用する請求項に記載の非水電解質二次電池。
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