JP5360415B2 - 精製されたパーム系油脂及びその製造方法 - Google Patents

精製されたパーム系油脂及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、加熱時の色調の悪化を改善した、精製されたパーム系油脂及びその製造方法に関する。
パーム油は、低コストで、風味がよく、酸化安定性が高い、また、分別することにより、低融点から高融点まで種々の物性をもつ分別油が得られることから、食用油脂として、さまざまな用途に利用されている。
しかしながら、パーム油は大豆油や菜種油などに比べ、加熱による色調の変化が早いといった現象がある。特に、パーム系油脂をフライ油として用いたり、あるいはスプレー油としてオーブン焼成などの加熱調理に用いたりすると、パーム系油脂は加熱による色調変化が急速に生じる。そのため、風味が良くとも、頻繁にフライ油を交換しなければならなかったり、、また、スプレー後、焼成された調理品が着色するといった問題もあり、加熱調理用途でのパーム系油脂の使用は、敬遠される傾向がある。
このパーム系油脂の加熱による色調の悪化を抑制する方法は、これまでにもいくつか検討されており、例えば、特許文献1には、パーム油を比表面積250〜350m/g、三二酸化鉄含有量0〜3重量%、及び酸化ケイ素含有量70〜90重量%の酸性白土で処理する方法が提案されている。しかしながら、この方法では、加水加熱試験後の赤色強度を7程度までしか抑えることができず、効果が不十分であった。また、特許文献2には、パーム原油を精製する工程において、脱色処理前に脂肪酸およびβカロチンを低減する方法が提案されているが、この方法はパーム原油を精製する方法に過ぎず、さらに、上記いずれの方法でも分別、精製された食用パームオレインや精製パーム油などでは、加熱後の着色の悪化を十分に抑制することが出来なかった。
特開平4−183794号公報 特開2006−316254号公報
本発明の知見によれば、パーム系油脂の加熱による色調の悪化は、ヨウ素価が高くなるほど、すなわち分別油の低融点画分ほどその傾向が著しく、加熱調理用油脂として配合されることの多い、食用パームオレインの加熱による色調の悪化を抑制することが出来れば、低コストで酸化安定性の高いパーム系油脂を加熱調理用油脂に用いることができ、パーム系油脂の利用用途のさらなる拡大につなげることができる。さらに加熱による色調の悪化を改善できれば、フライ油として使用した場合のフライ油の交換頻度を下げることができ、廃棄油脂の削減による環境負荷への影響も軽減することができる。
そこで本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ヨウ素価が高くなるほど、その傾向が著しいパーム系油脂の加熱による色調の悪化は、パーム系油脂中に残存するトコトリエノール含量と相関することを見出し、パーム系油脂中のトコトリエノール含量を低減させることにより、加熱による色調の悪化を抑制することができるという知見を見出した。さらに、パーム系油脂中のトコトリエノール含量を効率的に低減させることの出来る製造方法を見出し、本発明の精製されたパーム系油脂を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第一は、190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)がR≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たすことを特徴とする精製されたパーム系油脂である。第二は、トコトリエノール含量(T)(単位はppm)がT≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たすことを特徴とする第一記載の精製されたパーム系油脂である。第三は、第一又は第二いずれか記載の精製されたパーム系油脂を含有する加熱調理用油脂である。第四は、吸着剤でトコトリエノール含量を低減することを特徴とする、第一又は第二記載の精製されたパーム系油脂の製造方法である。第五は、吸着剤が薬品賦活処理された活性炭である第四記載の精製されたパーム系油脂の製造方法である。第六は、吸着剤が燐酸賦活処理された活性炭である第四記載の精製されたパーム系油脂の製造方法である。第七は、パーム系油脂のトコトリエノール含量(T)(単位はppm)をT≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たすように低減することを特徴とする、パーム系油脂の加熱による色調の変化の抑制方法である。
本発明の精製されたパーム系油脂は、従来、パーム油を加熱調理用途に使用すると問題となっていた、加熱による色調の悪化を改善することができ、低コストで酸化安定性の高いパーム系油脂を加熱調理用油脂として用いることができ、パーム系油脂の利用用途のさらなる拡大につなげることができる。さらにフライ油、スプレー油などの加熱調理に用いた場合、油脂の交換頻度を下げることができ、廃棄油脂の削減による環境負荷への影響も軽減することができる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明における、精製されたパーム系油脂は190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)が以下の式を満たすことを特徴とする。
R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)、但しXは40〜75である。
すなわち、ヨウ素価40〜75の範囲内において、従来の同じヨウ素価のパーム系油脂と比較すると、加熱による色調の悪化が抑えられていることを特徴とする。
本発明における、測色Red値は、試料油を直径14mmの試験管3本に各20g計量し、アルミブロック試験管加熱装置にて、190℃72時間加熱した後、室温まで冷却し、ロビボンド比色計にて5.25インチセルを用い測定することができる。
本発明における、精製されたパーム系油脂としては、天然パーム油を溶剤、非溶剤分別法によって分別して得られた低融点画分であるパームオレインを、さらに1段分別、若しくは2段分別して得られる、ヨウ素価60以上の食用パームオレインを挙げることができる。
本発明において、ヨウ素価60以上の食用パームオレインは、190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)が好ましくは7.5以下、より好ましくは6.5以下であり、従来の食用パームオレインと比較すると加熱による色調の悪化が抑えられていることを特徴とする。
また、本発明における、精製されたパーム系油脂としては、天然パーム油を精製して得られる、ヨウ素価50以上60未満の精製パーム油および食用パームオレインを挙げることができる。
本発明において、ヨウ素価50以上60未満の精製パーム油および食用パームオレインは、190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)が好ましくは5.5以下であり、従来の精製パーム油および食用パームオレインと比較すると加熱による色調の悪化が抑えられていることを特徴とする。
さらに、本発明における、精製されたパーム系油脂としては、天然パーム油を溶剤、非溶剤分別法によって分別して得られる、ヨウ素価40以上50未満のパーム中融点画分を挙げることができる。
本発明において、ヨウ素価40以上50未満のパーム中融点画分は、190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)が好ましくは3以下であり、従来のパーム中融点画分と比較すると加熱による色調の悪化が抑えられていることを特徴とする。
本発明における、精製されたパーム系油脂は、トコトリエノール含量(T)(単位はppm)が以下の式を満たすことを特徴とする。
T≦8X−260(X:ヨウ素価)、但しXは40〜75である。
すなわち、ヨウ素価40〜75の範囲内において、従来の同じヨウ素価のパーム系油脂と比較すると、トコトリエノール含量が少ないことを特徴とする。
本発明において、トコトリエノールとはパーム油や米ぬか油に含まれるトコフェロールの同族体であり、α、β、γ、δの4つの異性体が存在するが、本発明においてトコトリエノール含量とはα、β、γ、δの4つのトコトリエノール異性体を合わせた総トコトリエノール含量を表し、トコトリエノール含量は高速液体クロマトグラフィーに蛍光分光光度計を組み合わせて、測定することができ、例えば日本分光株式会社製高速液体クロマトグラフィーシステムに、日立製作所製L−7480形蛍光検出器を組み合わせて励起波長298nm 蛍光波長325nmで測定することができる。カラムはシリカ系順相型充填剤として例えば、Du−Pont Zorbax Sil 5μ 250mmが使用できる。
本発明における精製されたパーム系油脂は、パーム油の加熱による色調の悪化は、パーム系油脂中に存在するトコトリエノール含量と相関するという知見に基づき、ヨウ素価が高くなるほど、色調の悪化が著しいパーム系油脂の問題を改善したものである。
通常の精製工程を経た従来のヨウ素価60以上の食用パームオレイン中には300〜600ppm程度のトコトリエノールが存在しているが、本発明における、ヨウ素価60以上の食用パームオレインはトコトリエノール含量が好ましくは260ppm以下、さらに加熱時の色調の悪化を抑えるためには、220ppm以下であることが好ましい。
また、従来のヨウ素価50以上60未満の精製パーム油および食用パームオレイン中には200〜300ppm程度のトコトリエノールが存在しているが、本発明における、ヨウ素価50以上60未満の精製パーム油および食用パームオレインはトコトリエノール含量が好ましくは200ppm以下、さらに加熱時の色調の悪化を抑えるためには、160ppm以下であることが好ましい。
さらに、従来のヨウ素価40以上50未満のパーム中融点画分には150〜200ppm程度のトコトリエノールが存在しているが、本発明における、ヨウ素価40以上50未満のパーム中融点画分はトコトリエノール含量が好ましくは100ppm以下、さらに加熱時の色調の悪化を抑えるためには、60ppm以下であることが好ましい。
本発明における精製されたパーム系油脂は、その製造方法において、吸着剤でトコトリエノール含量を低減することを特徴とする。
従来のパーム油の精製工程である、脱ガム工程、脱酸工程、脱色工程あるいは脱臭工程では、リン脂質、微量金属、遊離脂肪酸、カロチン、色素成分あるいは有臭成分等はほぼ完全に除去されているが、トコフェロール類あるいはトコトリエノール類は充分除去されずに精製パーム系油脂中に残存している。
本発明における精製されたパーム系油脂はその製造方法において、吸着剤でトコトリエノール含量を低減することを特徴とし、使用できる吸着剤としては、トコトリエノールを吸着できるものであれば、とくに制限なく利用することができ、活性白土、酸性白土、活性炭、シリカゲル、珪藻土等を例示することができるが、効率的にトコトリエノールを吸着できる吸着剤として、活性炭を用いることが好ましい。
トコトリエノールを吸着できる活性炭としては、おがくず、木質チップ、竹、ヤシ殻、石炭等を原料に、燐酸、塩化亜鉛、硫酸、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の薬品による賦活処理、あるいは、水蒸気、二酸化炭素、空気、燃焼ガス等のガスによる賦活処理されたものが使用できる。これらの活性炭のなかでも、トコトリエノールの吸着効果の高い、薬品処理した活性炭がより好ましく使用できる。
さらに、本発明における精製されたパーム系油脂の製造方法においては、トコトリエノールを吸着できる吸着剤として、上記活性炭のなかでも、燐酸賦活処理した活性炭を用いると、トコトリエノール吸着能が高く、少ない吸着剤で、より効率的にトコトリエノール含量を低減させることができる。
本発明における精製されたパーム系油脂の製造方法において、吸着剤によりトコトリエノール含量を低減させる方法としては、パーム系油脂に吸着剤を添加し、一定時間、50〜150℃の加温真空下で、撹拌接触させる方法が例示できるが、脱色工程において、白土とともに吸着剤を添加し、トコトリエノール含量を低減させることもできる。また、吸着剤を充填したカラム処理でも同等な効果を得ることができる。
本発明における精製されたパーム系油脂は、従来のパーム系油脂と比較すると加熱調理時の色調の悪化が大幅に改善されているため、フライ油としてや、オーブン焼成調理の際のスプレー油としてなど、加熱調理用用途に幅広く利用することができる。
本発明における精製されたパーム系油脂は、加熱調理用途に使用する際、パーム系油脂単独で使用することが出来るのはもちろんのこと、その他、例えば、菜種油、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、米油あるいはヒマワリ油から選ばれた1種又は2種以上の油脂を配合することで、用途や嗜好に応じた加熱調理用油脂を得ることができ、従来パーム系油脂をブレンドすることで、懸念された加熱による色調の悪化を改善されたことで、加熱調理用油脂として、パーム系油脂の風味の良さ、酸化安定性の高さなどの利点を生かすことが出来る。
また、本発明における精製されたパーム系油脂を含有する加熱調理用油脂には、必要に応じて、乳化剤、坑酸化剤、シリコーン等を添加することが出来る。
以下、本発明について実施例を示し、より詳細に説明する。
RBDパームオレイン(トコトリエノール含量654ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%、吸着剤として塩化亜鉛賦活木質活性炭を油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い食用パームオレイン(ヨウ素価:X=67)を得た。
得られた食用パームオレインの190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は7.2であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たす(R≦8.14)ものであった。また、得られた食用パームオレインのトコトリエノール含量(T)は250ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たす(T≦276)ものであった。
RBDパームオレイン(トコトリエノール含量654ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%、吸着剤として燐酸賦活粒状木質活性炭を油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い食用パームオレイン(ヨウ素価:X=67)を得た。
得られた食用パームオレインの190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は7であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たす(R≦8.14)ものであった。また、得られた食用パームオレインのトコトリエノール含量(T)は236ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たす(T≦276)ものであった。
RBDパームオレイン(トコトリエノール含量654ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%、吸着剤として燐酸賦活粉末木質活性炭を油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い食用パームオレイン(ヨウ素価:X=67)を得た。
得られた食用パームオレインの190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は6であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たす(R≦8.14)ものであった。また、得られた食用パームオレインのトコトリエノール含量(T)は176ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たす(T≦276)ものであった。
RBDパームオレイン(トコトリエノール含量788ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%、吸着剤として燐酸賦活粉末木質活性炭を油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い食用パームオレイン(ヨウ素価:X=65)を得た。
得られた食用パームオレインの190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は6.3であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たす(R≦7.7)ものであった。また、得られた食用パームオレインのトコトリエノール含量(T)は215ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たす(T≦260)ものであった。
RBDパームオレイン(トコトリエノール含量519ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%、吸着剤として燐酸賦活粉末木質活性炭を油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い食用パームオレイン(ヨウ素価:X=56.5)を得た。
得られた食用パームオレインの190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は5であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たす(R≦5.83)ものであった。また、得られた食用パームオレインのトコトリエノール含量(T)は152ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たす(T≦192)ものであった。
RBDパーム(トコトリエノール含量440ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%、吸着剤として燐酸賦活粉末木質活性炭を油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い精製パーム油(ヨウ素価:X=51.2)を得た。
得られた精製パーム油の190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は4.4であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たす(R≦4.664)ものであった。また、得られた精製パーム油のトコトリエノール含量(T)は121ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たす(T≦149.6)ものであった。
パーム中融点画分(トコトリエノール含量266ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%、吸着剤として燐酸賦活粉末木質活性炭を油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行いパーム中融点画分(ヨウ素価:X=45.4)を得た。
得られたパーム中融点画分の190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は2.5であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たす(R≦3.388)ものであった。また、得られたパーム中融点画分のトコトリエノール含量(T)は46ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たす(T≦103.2)ものであった。
[比較例1]
RBDパームオレイン(トコトリエノール含量654ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い食用パームオレイン(ヨウ素価:X=67)を得た。
得られた食用パームオレインの190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は9.9であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たさない(R≦8.14)ものであった。また、得られた食用パームオレインのトコトリエノール含量(T)は469ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たさない(T≦276)ものであった。
[比較例2]
RBDパームオレイン(トコトリエノール含量654ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%、吸着剤として活性白土を油脂に対して6重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い食用パームオレイン(ヨウ素価:X=67)を得た。
得られた食用パームオレインの190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は9.9であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たさない(R≦8.14)ものであった。また、得られた食用パームオレインのトコトリエノール含量(T)は466ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たさない(T≦276)ものであった。
[比較例3]
RBDパームオレイン(トコトリエノール含量654ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%、吸着剤としてシリカゲルを油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い食用パームオレイン(ヨウ素価:X=67)を得た。
得られた食用パームオレインの190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は9.9であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たさない(R≦8.14)ものであった。また、得られた食用パームオレインのトコトリエノール含量(T)は371ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たさない(T≦276)ものであった。
[比較例4]
RBDパームオレイン(トコトリエノール含量654ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%、吸着剤として水蒸気賦活木質活性炭を油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い食用パームオレイン(ヨウ素価:X=67)を得た。
得られた食用パームオレインの190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は9.5であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たさない(R≦8.14)ものであった。また、得られた食用パームオレインのトコトリエノール含量(T)は330ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たさない(T≦276)ものであった。
[比較例5]
RBDパームオレイン(トコトリエノール含量654ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%、吸着剤としてヤシ殻粉末活性炭を油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い食用パームオレイン(ヨウ素価:X=67)を得た。
得られた食用パームオレインの190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は9.3であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たさない(R≦8.14)ものであった。また、得られた食用パームオレインのトコトリエノール含量(T)は306ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たさない(T≦276)ものであった。
[比較例6]
RBDパームオレイン(トコトリエノール含量654ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%、吸着剤としてヤシ殻粉末活性炭を油脂に対して6重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い食用パームオレイン(ヨウ素価:X=67)を得た。
得られた食用パームオレインの190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は8.7であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たさない(R≦8.14)ものであった。また、得られた食用パームオレインのトコトリエノール含量(T)は299ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たさない(T≦276)ものであった。
[比較例7]
RBDパームオレイン(トコトリエノール含量788ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い食用パームオレイン(ヨウ素価:X=65)を得た。
得られた食用パームオレインの190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は9.5であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たさない(R≦7.7)ものであった。また、得られた食用パームオレインのトコトリエノール含量(T)は499ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たさない(T≦260)ものであった。
[比較例8]
RBDパームオレイン(トコトリエノール含量519ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い食用パームオレイン(ヨウ素価:X=56.5)を得た。
得られた食用パームオレインの190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は7.2であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たさない(R≦5.83)ものであった。また、得られた食用パームオレインのトコトリエノール含量(T)は324ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たさない(T≦192)ものであった。
[比較例9]
RBDパーム(トコトリエノール含量453ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行い精製パーム油(ヨウ素価:X=51.2)を得た。
得られた精製パーム油の190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は6.2であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たさない(R≦4.664)ものであった。また、得られた精製パーム油のトコトリエノール含量(T)は240ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たさない(T≦149.6)ものであった。
[比較例10]
パーム中融点画分(トコトリエノール含量266ppm)を用い、脱色時に活性白土を油脂に対して3重量%添加し、80℃〜130℃減圧下で、攪拌接触処理後濾別し、通常の脱臭処理を行いパーム中融点画分(ヨウ素価:X=45.4)を得た。
得られたパーム中融点画分の190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)は4であり、R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)を満たさない(R≦3.388)ものであった。また、得られたパーム中融点画分のトコトリエノール含量(T)は144ppmであり、T≦8X−260(X:ヨウ素価)を満たさない(T≦103.2)ものであった。
実施例1〜7及び比較例1〜10の結果を表に示す。

Figure 0005360415
本発明の実施例および比較例において、トコトリエノール含量(T)と190℃加熱72時間後の測色Red値(R)の関係を示すグラフである。 本発明の実施例および比較例において、ヨウ素価(X)と190℃加熱72時間後の測色Red値(R)の関係を示すグラフであり、グラフ上の直線は、ヨウ素価(X)と190℃加熱72時間後の測色Red値(R)がR=0.22X−6.6の関係で表される直線である。 本発明の実施例および比較例において、ヨウ素価(X)とトコトリエノール含量(T)の関係を示すグラフであり、グラフ上の直線は、ヨウ素価(X)とトコトリエノール含量(T)が、T=8X−260の関係で表される直線である。

Claims (2)

  1. 燐酸賦活処理された活性炭でトコトリエノール含量(T)(単位はppm)を以下の式を満たすように低減し、190℃加熱72時間後のロビボンド5.25インチセルでの測色Red値(R)が以下の式を満たすことを特徴とするパーム系油脂の製造方法。
    T≦8X−260(X:ヨウ素価)
    R≦0.22X−6.6(X:ヨウ素価)
  2. 燐酸賦活処理された活性炭でトコトリエノール含量(T)(単位はppm)を以下の式を満たすように低減することを特徴とする、パーム系油脂の加熱による色調の変化の抑制方法。
    T≦8X−260(X:ヨウ素価)
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