JPWO2011055732A1 - グリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質を低減する方法 - Google Patents
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Abstract
脱色、脱臭工程を経たグリセリド油脂をアルカリ水溶液と接触後、精製することにより、油脂中のクロロプロパノール類である3−クロロプロパンジオールや3−クロロプロパンジオール脂肪酸エステル及びその形成物質を低減することができる。脱色、脱臭工程を経たグリセリド油脂に重量比150〜750ppmの固形アルカリ物質を接触後、精製する際に、得られる油脂のSFC(20℃及び/又は35℃)を固形アルカリ物質を接触させることなく精製して得られる油脂のSFC(20℃及び/又は35℃)に対し、0.9〜1.1の範囲内とすることにより、油脂中のクロロプロパノール類である3−クロロプロパンジオールや3−クロロプロパンジオール脂肪酸エステル及びその形成物質を低減することができる。
Description
本発明はグリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質を低減する方法に関する。
クロロプロパノールとは、プロパノールに塩素が結合した物質の総称であるが、これらの一種である、3−クロロプロパンジオールは、従来から、しょうゆなど主にアミノ酸液を製造する際、副産物として少量生成することが知られており、また食品を加熱調理する過程で、脂質と食塩の存在により生成するといわれている。
最近、食用油脂中には、少量の3−クロロプロパンジオールが脂肪酸と結合したエステル体で存在することがあると明らかになった。(非特許文献1)
さらに、最近、グリセリド油脂中にクロロプロパノール類が生成される過程において、グリシドール脂肪酸エステルがその形成物質として存在していることも報告されている。(非特許文献2)
3−クロロプロパンジオール脂肪酸エステルについては、許容摂取量が定められている、というような規制は無いが、欧州においては、3−クロロプロパンジオール脂肪酸エステルに結合する脂肪酸が全て遊離して、3−クロロプロパンジオールになるとみなし、評価をする動きがあり、グリセリド油脂中の含量を低減する技術の開発が望まれている。
また、グリシドール脂肪酸エステルについても、毒性学的なデータはないが、クロロプロパノール類と同様、グリセリド油脂中の含量を低減する技術の開発が望まれている。
Zelinkova Z, Svejkovska B, Velisek J, Dolezal M.:Fatty acid esters of 3−chloropropane−1,2−diol in edible oils.Food Addit Contam. 2006 Dec;23(12):1290−1298
Dr.Rudiger Weisshaar/Fatty acid esters of 3−MCPD:Overview of occurrence in different types of foods(ILSI Europe Workshop in association with the European Commission:5−6 February 2009 Brussels,Belgium)(http://europe.ilsi.org/NR/rdonlyres/A1D194E7−BFA2−4A23−A673−15F1905300D5/0/Speaker6Weisshaar.pdf)
本発明は、クロロプロパノール類である3−クロロプロパンジオールや3−クロロプロパンジオール脂肪酸エステル及びその形成物質であるグリシドール脂肪酸エステルなどを低減する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、脱色、脱臭工程を経たグリセリド油脂をアルカリ水溶液と接触後、精製することにより、グリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質を低減させることができるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
また、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、脱色、脱臭工程を経たグリセリド油脂に重量比150〜750ppmの固形アルカリ物質を接触させ、得られる油脂のSFC(20℃及び/又は35℃)を、固形アルカリ物質を接触させることなく得られる油脂のSFC(20℃及び/又は35℃)に対し、0.9〜1.1の範囲内とすることにより、グリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質を低減させることができるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の第一は、脱色、脱臭工程を経たグリセリド油脂をアルカリ水溶液と接触後、精製することを特徴とする、グリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質を低減する方法である。
第二は、アルカリ水溶液と接触後、グリセリド油脂の精製を230℃以下で行う第一記載の方法である。
第三は、アルカリ水溶液と接触後、精製前にグリセリド油脂を水洗する第一又は二記載のいずれかの方法である。
第四は、脱色、脱臭工程を経たグリセリド油脂に重量比150〜750ppmの固形アルカリ物質を接触させ、得られる油脂のSFC(20℃及び/又は35℃)を、固形アルカリ物質を接触させることなく得られる油脂のSFC(20℃及び/又は35℃)に対し、0.9〜1.1の範囲内とすることを特徴とする、グリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質を低減する方法である。(SFC:Solid Fat Content/固体脂指数)
第五は、固形アルカリ物質が粒子径1.2mm以下の粒子を60重量%以上含有する粉末状である、第四記載の方法である。
第二は、アルカリ水溶液と接触後、グリセリド油脂の精製を230℃以下で行う第一記載の方法である。
第三は、アルカリ水溶液と接触後、精製前にグリセリド油脂を水洗する第一又は二記載のいずれかの方法である。
第四は、脱色、脱臭工程を経たグリセリド油脂に重量比150〜750ppmの固形アルカリ物質を接触させ、得られる油脂のSFC(20℃及び/又は35℃)を、固形アルカリ物質を接触させることなく得られる油脂のSFC(20℃及び/又は35℃)に対し、0.9〜1.1の範囲内とすることを特徴とする、グリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質を低減する方法である。(SFC:Solid Fat Content/固体脂指数)
第五は、固形アルカリ物質が粒子径1.2mm以下の粒子を60重量%以上含有する粉末状である、第四記載の方法である。
本発明の方法により、グリセリド油脂中のクロロプロパノール類である3−クロロプロパンジオールや3−クロロプロパンジオール脂肪酸エステル及びその形成物質であるグリシドール脂肪酸エステルなどを低減することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる油脂は、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、落花生油、ひまわり油、こめ油、ベニバナ油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、パーム油、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂並びに牛脂、豚脂等の動物脂、並びにこれらに分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂の単品又は、これらを組み合わせたもので、脱色、脱臭の精製工程を経たグリセリド油脂であるが、これらのなかでもパーム系油脂に好ましく適用できる。
本発明に用いられるアルカリ剤としては、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、及び炭酸塩を用いることができ、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を用いることができる。これらアルカリ剤は食品や医薬品用として一般に用いられているもので良く、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらのなかでも、水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。
本発明の方法は、例えば、グリセリド油脂を水酸化ナトリウム水溶液と接触後、精製させる場合、70℃に加熱したグリセリド油脂中に水酸化ナトリウム水溶液を規定量加え、攪拌、遠心分離後、油層を脱水し、脱色、脱臭を行うことにより、グリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質を低減させることができる。
また、本発明の方法は、アルカリ水溶液と接触後、さらに脱色、脱臭の精製を行うことが好ましいが、この際の精製工程は230℃以下で行うと、よりグリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質を低減させる効果が得られ好ましい。
さらに、本発明の方法は、アルカリ水溶液と接触後、精製を行う前に水洗することにより、グリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質を、より低減させることができる。
本発明に用いられる固形アルカリ物質としては、アルコキシド化合物、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、及び炭酸塩を用いることができ、具体的には、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を用いることができる。これら固形アルカリ物質は食品や医薬品用として一般に用いられているもので良く、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらのなかでも、ナトリウムメトキシドを用いることが好ましい。
本発明において、脱色、脱臭工程を経たグリセリド油脂に対し、重量比150〜750ppmの固形アルカリ物質を接触させるが、接触させる固形アルカリ物質が下限未満では、グリセリド油脂中のクロロプロパノール類である3−クロロプロパンジオールや3−クロロプロパンジオール脂肪酸エステル及びその形成物質であるグリシドール脂肪酸エステルなどを十分に低減させることができず、上限を越えると、グリセリド油脂の物性変化に及ぼす影響が強くなり、得られる油脂のSFC(20℃及び/又は35℃)を、固形アルカリ物質を接触させることなく得られる場合の油脂のSFC(20℃及び/又は35℃)に対して、0.9〜1.1の範囲内にすることが難しく、好ましくない。
また、本発明において、脱色、脱臭工程を経たグリセリド油脂に対し、固形アルカリ物質を接触させる際に、得られる油脂のSFC(20℃及び/又は35℃)を、固形アルカリ物質を接触させることなく得られる場合の油脂のSFC(20℃及び/又は35℃)に対して、0.9〜1.1の範囲内にすることを特徴とし、この範囲内にすることにより、油脂の物性を大きく変化させることなく、グリセリド油脂中のクロロプロパノール類である3−クロロプロパンジオールや3−クロロプロパンジオール脂肪酸エステル及びその形成物質であるグリシドール脂肪酸エステルなどを低減させることができる。
本発明において、得られる油脂のSFCを0.9〜1.1の範囲内にする方法としては、上記重量比150〜750ppmの固形アルカリ物質を接触させる場合は、ほぼ上記範囲を越えることはないが、接触時間を短縮するなどの方法により、上記範囲内に制御することができる。
また、本発明において、固形アルカリ接触後、脱色、脱臭といった精製を行うことが好ましく、脱色あるいは脱臭のいずれかのみでもよいが、両方行うことが好ましい。
本発明で使用する固形アルカリ物質は、溶媒等に溶解させた溶液状ではなく、固形で接触させることができれば、その形状は特に限定されないが、より効率よく接触させるためには、粉末状であることが好ましく、より好ましくは粒径1.2mm以下の粒子を60w/w%以上含有する微粉末状が好適である。
本発明において、固形アルカリ物質の接触方法としては、特に限定されないが、加温したグリセリド油脂中に、固形アルカリ物質を添加し、約30分間混合攪拌後、遠心分離により固形アルカリ物質を除去する方法などを挙げることができ、例えば、グリセリド油脂をナトリウムメトキシドと接触後、精製させる場合、85℃に加熱したグリセリド油脂中にナトリウムメトキシドを規定量加え、真空下で反応させた後、酸及び水による中和、水洗を目的として攪拌、遠心分離後、油層を脱水し、脱色、脱臭を行うことにより、グリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質を低減させることができる。
本発明の方法によって得られたグリセリド油脂は、クロロプロパノール類である3−クロロプロパンジオールや3−クロロプロパンジオール脂肪酸エステル及びその形成物質であるグリシドール脂肪酸エステルの含量が低減されるが、本発明において、クロロプロパノール類及びその形成物質であるグリシドール脂肪酸エステルの含量は以下の文献を参考に次のような方法で測定している。
(Determination of total 3−chloropropane−1,2−diol (3−MCPD) in edible oils by cleavage of MCPD esters with sodium methoxide. Eur. J. Lipid Sci. Technol. 2008, 110,:183−186)
(Determination of total 3−chloropropane−1,2−diol (3−MCPD) in edible oils by cleavage of MCPD esters with sodium methoxide. Eur. J. Lipid Sci. Technol. 2008, 110,:183−186)
すなわちまず、油脂 0.1gをt‐ブチルメチルエーテル 1mlに溶かし、20μg/ml内部標準物質(3−MCPD−d5 酢酸エチル溶液)250μlを加え、NaOCH3 溶液(0.5mol/lNaOCH3 in MeOH)1mlと混和後、室温で10分静置する。
続いて、ヘキサン 3ml、NaCl 溶液(NaCl 200g/水 1l)3ml、氷酢酸 0.1mlを添加し、攪拌後、上層を除去する。
さらに、ヘキサン 3mlを添加、攪拌後、上層を除去する。
そして、フェニルボロン酸溶液(フェニルボロン酸1gをアセトン:水=19:1 4mlに溶解)を添加、攪拌後、80℃、20分放置し、室温に放冷後、ヘキサン 2mlを添加、攪拌し、上層をGS−MS分析に供する。
なお、GC−MSについては、分子イオンピークm/z 196(3−MCPD)、m/z 201(3−MCPD−d5)を用いて定量する。
続いて、ヘキサン 3ml、NaCl 溶液(NaCl 200g/水 1l)3ml、氷酢酸 0.1mlを添加し、攪拌後、上層を除去する。
さらに、ヘキサン 3mlを添加、攪拌後、上層を除去する。
そして、フェニルボロン酸溶液(フェニルボロン酸1gをアセトン:水=19:1 4mlに溶解)を添加、攪拌後、80℃、20分放置し、室温に放冷後、ヘキサン 2mlを添加、攪拌し、上層をGS−MS分析に供する。
なお、GC−MSについては、分子イオンピークm/z 196(3−MCPD)、m/z 201(3−MCPD−d5)を用いて定量する。
なお、上記方法は、ドイツ(Deutsche Gesellschaft fur Fettwissenschaft:DGF)の、3−クロロプロパンジオール脂肪酸エステル及びその形成物質であるグリシドール脂肪酸エステルの測定方法として採用されているものであるが、この方法では、グリセリド油脂中の3−クロロプロパンジオール脂肪酸エステル及びその形成物質であるグリシドール脂肪酸エステルを加水分解し、グリセリド油脂中に存在する3−クロロプロパンジオール脂肪酸エステル及びその形成物質であるグリシドール脂肪酸エステルを全て3−MCPDとして測定している。
「With this method, other compounds forming 3−MCPD under the conditions of analysis are also detected. The most important 3−MCPD esters forming compounds is glycidol (oxirane−2−methanol).」
(Ester−bound 3−chloropropane−1,2−diol(3−MCPD esters) and 3−MCPD forming substances:DGF Standard Methods Section C−Fats/C−III 18(09))
「With this method, other compounds forming 3−MCPD under the conditions of analysis are also detected. The most important 3−MCPD esters forming compounds is glycidol (oxirane−2−methanol).」
(Ester−bound 3−chloropropane−1,2−diol(3−MCPD esters) and 3−MCPD forming substances:DGF Standard Methods Section C−Fats/C−III 18(09))
以下、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、例中の%及びppmは重量基準を意味する。なおSFC:Solid Fat Content/固体脂指数の測定は、AOCS Official Method 第5版Cd16−81に準じて行った。
(比較例1)
RBDパームオレイン(ヨウ素価:67)に、白土2重量%添加し、110℃、20Torrで10分間脱色し、続いて、250℃、2Torrで90分間脱臭処理を行った。
得られた食用パームオレイン中のクロロプロパノール類及びその形成物質の含量は、6.1ppmであった。
RBDパームオレイン(ヨウ素価:67)に、白土2重量%添加し、110℃、20Torrで10分間脱色し、続いて、250℃、2Torrで90分間脱臭処理を行った。
得られた食用パームオレイン中のクロロプロパノール類及びその形成物質の含量は、6.1ppmであった。
RBDパームオレイン(ヨウ素価:67)に15%水酸化ナトリウム4重量%添加し、攪拌接触後、遠心分離する。水層は除去し、油層にイオン交換水20重量%添加し、攪拌し、遠心分離する。水層を除去し、得られた油層を110℃、20Torrで10分間脱水処理を行った。白土2重量%添加し、110℃、20Torrで10分間脱色し、続いて、250℃、2Torrで90分間脱臭処理を行った。
精製後の食用パームオレイン中のクロロプロパノール類及びその形成物質の含量は、3.9ppmであった。
精製後の食用パームオレイン中のクロロプロパノール類及びその形成物質の含量は、3.9ppmであった。
RBDパームオレイン(ヨウ素価:67)に15%水酸化ナトリウム4重量%添加し、攪拌接触後、遠心分離する。水層は除去し、油層にイオン交換水20重量%添加し、攪拌し、遠心分離する。水層を除去し、得られた油層を110℃、20Torrで10分間脱水処理を行った。白土2重量%添加し、110℃、20Torrで10分間脱色し、続いて、220℃、2Torrで90分間脱臭処理を行った。
精製後の食用パームオレイン中のクロロプロパノール類及びその形成物質の含量は、2.3ppmであった。
精製後の食用パームオレイン中のクロロプロパノール類及びその形成物質の含量は、2.3ppmであった。
(比較例2)
粗パーム油を脱色、脱臭して得られた精製パーム油(ヨウ素価:52)に、白土2重量%添加し、110℃、20Torrで10分間脱色し、続いて、250℃、2Torrで90分間脱臭処理を行った。
得られた食用パーム油中のクロロプロパノール類及びその形成物質の含量は、6.5ppmであった。また、SFC%は20℃で25.4%、35℃で6.1%であった。
粗パーム油を脱色、脱臭して得られた精製パーム油(ヨウ素価:52)に、白土2重量%添加し、110℃、20Torrで10分間脱色し、続いて、250℃、2Torrで90分間脱臭処理を行った。
得られた食用パーム油中のクロロプロパノール類及びその形成物質の含量は、6.5ppmであった。また、SFC%は20℃で25.4%、35℃で6.1%であった。
粗パーム油を脱色、脱臭して得られた精製パーム油(ヨウ素価:52)に粒径1mm以下の粒子を96.6重量%以上含有する微粉末状のナトリウムメトキシドを300ppm添加し、真空下、85℃で30分間接触させた。その後油層に50%クエン酸水溶液5重量%及びイオン交換水50重量%を添加し、攪拌後、遠心分離した。水層を除去し、得られた油層を110℃、20Torrで10分間脱水処理を行った後、白土2重量%添加し、110℃、20Torrで10分間脱色し、続いて、250℃、2Torrで90分間脱臭処理を行った。
精製後の食用パーム油中のクロロプロパノール類及びその形成物質の含量は、3.6ppmであった。また、SFC%は20℃で25.5%(比較例2で得られた油脂のSFCに対して1.0)、35℃で6.2%(比較例2で得られた油脂のSFCに対して1.0)であり、0.9〜1.1の範囲内であった。
精製後の食用パーム油中のクロロプロパノール類及びその形成物質の含量は、3.6ppmであった。また、SFC%は20℃で25.5%(比較例2で得られた油脂のSFCに対して1.0)、35℃で6.2%(比較例2で得られた油脂のSFCに対して1.0)であり、0.9〜1.1の範囲内であった。
(比較例3)
粗パーム油を脱色、脱臭して得られた精製パーム油(ヨウ素価:52)に実施例1と同じナトリウムメトキシド粉末1500ppm添加し、真空下、85℃で30分間接触させた。その後油層に50%クエン酸水溶液5重量%及びイオン交換水50重量%添加し、攪拌し、遠心分離した。水層を除去し、得られた油層を110℃、20Torrで10分間脱水処理を行った後、白土2重量%添加し、110℃、20Torrで10分間脱色し、続いて、250℃、2Torrで90分間脱臭処理を行った。
精製後の食用パーム油中のクロロプロパノール類及びその形成物質の含量は、2.4ppmであった。ただし、SFC%は20℃で38.3%(比較例2で得られた油脂のSFCに対して1.5)、35℃で12.3%(比較例2で得られた油脂のSFCに対して2.0)であり、0.9〜1.1の範囲外であった。
粗パーム油を脱色、脱臭して得られた精製パーム油(ヨウ素価:52)に実施例1と同じナトリウムメトキシド粉末1500ppm添加し、真空下、85℃で30分間接触させた。その後油層に50%クエン酸水溶液5重量%及びイオン交換水50重量%添加し、攪拌し、遠心分離した。水層を除去し、得られた油層を110℃、20Torrで10分間脱水処理を行った後、白土2重量%添加し、110℃、20Torrで10分間脱色し、続いて、250℃、2Torrで90分間脱臭処理を行った。
精製後の食用パーム油中のクロロプロパノール類及びその形成物質の含量は、2.4ppmであった。ただし、SFC%は20℃で38.3%(比較例2で得られた油脂のSFCに対して1.5)、35℃で12.3%(比較例2で得られた油脂のSFCに対して2.0)であり、0.9〜1.1の範囲外であった。
粗パーム油を脱色、脱臭して得られた精製パーム油(ヨウ素価:52)に粒径0.7mm以下の粒子を60重量%以上含有する粉末状の水酸化ナトリウムを300ppm添加し、真空下、85℃で30分間接触させた。その後油層に50%クエン酸水溶液5重量%及びイオン交換水50重量%添加し、攪拌し、遠心分離した。水層を除去し、得られた油層を110℃、20Torrで10分間脱水処理を行った後、白土2重量%添加し、110℃、20Torrで10分間脱色し、続いて、250℃、2Torrで90分間脱臭処理を行った。
精製後の食用パーム油中のクロロプロパノール類及びその形成物質の含量は、5.9ppmであった。また、SFC%は20℃で25.7%(比較例2で得られた油脂のSFCに対して1.0)、35℃で5.8%(比較例2で得られた油脂のSFCに対して0.95)であり、0.9〜1.1の範囲内であった。
精製後の食用パーム油中のクロロプロパノール類及びその形成物質の含量は、5.9ppmであった。また、SFC%は20℃で25.7%(比較例2で得られた油脂のSFCに対して1.0)、35℃で5.8%(比較例2で得られた油脂のSFCに対して0.95)であり、0.9〜1.1の範囲内であった。
Claims (5)
- 脱色、脱臭工程を経たグリセリド油脂をアルカリ水溶液と接触後、精製することを特徴とする、グリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質を低減する方法。
- アルカリ水溶液と接触後、グリセリド油脂の精製を230℃以下で行う請求項1記載の方法。
- アルカリ水溶液と接触後、精製前にグリセリド油脂を水洗する請求項1又は2記載のいずれかの方法。
- 脱色、脱臭工程を経たグリセリド油脂に重量比150〜750ppmの固形アルカリ物質を接触させ、得られる油脂のSFC(20℃及び/又は35℃)を、固形アルカリ物質を接触させることなく得られる油脂のSFC(20℃及び/又は35℃)に対し、0.9〜1.1の範囲内とすることを特徴とする、グリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質を低減する方法。(SFC:Solid Fat Content/固体脂指数)
- 固形アルカリ物質が粒子径1.2mm以下の粒子を60重量%以上含有する粉末状である、請求項4記載の方法。
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