JP2012224797A - エステル交換油脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ジアルキルケトン類(Dialkylketones;DAKs)の含量が極めて低減されたエステル交換油脂を容易かつ安価に得ることができるエステル交換油脂の製造方法を提供すること。
【解決手段】油脂とアルカリ触媒を含む反応液と、酸性物質と、を混合してエステル交換反応を停止させた後、洗浄を行う工程を含む、ジアルキルケトン類の含有量が低減されたエステル交換油脂の製造方法。好ましい態様では、前記酸性物質の使用量が、油脂100重量部に対して10重量部以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、エステル交換油脂の製造方法に関し、更に詳しくは、アルカリ触媒を用いたエステル交換油脂の製造方法に関する。
従来より、各種の油脂の物性を改質する手段として、エステル交換反応が広く採用されている。例えば、常温で固体であるパーム油を原料とし、酸触媒やアルカリ触媒などの化学触媒、あるいは、酵素触媒の存在下でエステル交換反応を行い、液状油脂を作製する場合などである。
このように、エステル交換反応は、各種の触媒存在下で行われるが、このうち、酵素触媒を用いる方法は、反応時間が長いうえ、一般的に酵素が高価であるため、生産性、コストなどの点で問題がある。一方、化学触媒を用いる方法は、コスト面では酵素触媒を用いる方法より有利であるが、酵素触媒を用いる場合と異なり、得られるエステル交換油脂中に、副産物としてジアルキルケトン類(Dialkylketones;DAKs)が生成されることが知られている。DAKsは、脂肪酸から誘導される2つのアルキル鎖を有するケトン類である。近年、このDAKsが人体に対して害となる可能性があることが指摘されており、化学触媒下で行うエステル交換反応(化学エステル交換反応)を行って得られる油脂中のDAKsの含量を低減する試みがなされている(特許文献1)。
特許文献1には、化学エステル交換反応時の条件として、使用する触媒量をパーム油ステアリンに対して0.01〜0.50重量%、反応温度を30〜120℃、反応時間を10分以上、などとすることで、最終的に得られるパーム油ステアリン中のDAKsの含有量を1〜139ppmにすることができる旨が記載されている。
国際公開第09/012982号
上記のように、酵素触媒を用いなくとも特許文献1には、触媒量、反応温度、反応時間の何れかを特定の範囲にすることで、化学エステル交換反応においてDAKsのパーム油ステアリン中の含量を抑制する方法が記載され、DAKs量を減らすには触媒量を減らすか、反応時間を短くするか、反応温度を低くする必要がある事が読み取れる。しかし、触媒量を減らした場合は、反応時間を長くするか、反応温度を高くする必要があり、コストが高くなってしまう。反応時間を短くした場合は、触媒量を増やすか、反応温度を高くする必要があり、コストが高くなってしまう。また、反応温度を低くした場合は、触媒量を増やすか、反応時間を長くする必要があり、コストが高くなってしまう。化学エステル交換反応においてDAKs量を減らそうとすると、何れにしてもコストが高くなってしまい、安価に製造しにくくなる。
そこで、本発明の目的とするところは、酵素触媒を用いることなく、DAKsの含量が極めて低減されたエステル交換油脂を容易かつ安価に得ることができるエステル交換油脂の製造方法を提供することにある。
上記課題に鑑みて、本発明者らが鋭意検討した結果、化学エステル交換反応を停止する際に、その反応液と酸性物質とを混合し、その後酸性の液で洗浄することで、最終的に得られるエステル交換油脂中のDAKsの含量を低減することができることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)油脂とアルカリ触媒を含む反応液と、酸性物質と、を混合してエステル交換反応を停止させた後、酸性の液で洗浄を行う工程を含む、ジアルキルケトン類の含有量が低減されたエステル交換油脂の製造方法。
(2)前記酸性物質の使用量が、油脂100重量部に対して10重量部以下である前記(1)記載のジアルキルケトン類の含有量が低減されたエステル交換油脂の製造方法。
(3)前記酸性物質中の水分含量が75重量%以下である前記(1)または(2)記載のジアルキルケトン類の含有量が低減されたエステル交換油脂の製造方法。
(4)前記酸性物質が、該酸性物質と水との混合液のpHが7未満となる特性を有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載のジアルキルケトン類の含有量が低減されたエステル交換油脂の製造方法。
(5)前記のジアルキルケトンの含有量が低減されたエステル交換油脂が食用である前記(1)〜(4)のいずれかに記載のジアルキルケトン類の含有量が低減されたエステル交換油脂の製造方法。
(6)油脂とアルカリ触媒を含む反応液と、酸性物質と、を混合してエステル交換反応を停止させ、ジアルキルケトン類の生成を抑制することを特徴とするエステル交換反応の停止方法。
本発明によれば、酵素触媒を用いることなく、DAKsの含量が極めて低減されたエステル交換油脂を容易かつ安価に得ることができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本発明のエステル交換油脂の製造方法は、油脂とアルカリ触媒を含む反応液と、酸性物質と、を混合してエステル交換反応を停止させた後、酸性の液で洗浄する工程を含む。
本発明では、このように、油脂とアルカリ触媒を含む反応液と、酸性物質とを混合してエステル交換反応を停止する。そして、その後酸性の液で洗浄を行う。このような一連の操作を行うことで、最終的に得られるエステル交換油脂中のDAKsの含量を低減できる理由は必ずしも明らかではないが、以下のことが推測される。
化学エステル交換反応を停止する際に、アルカリ触媒由来の物質が残った状態で、特許文献1に記載のように、停止剤として水を用いた場合にはジアルキルケトン類(DAKs)を生成し、本発明のようにさらに酸性物質を用いた場合には、アルカリ触媒由来の物質の影響が無くなることで、DAKsの生成を抑制しているものと推測される。
尚、本発明は、当該推測により何ら拘束されるものではない。
本発明では、先ず、原料となる油脂(原料油脂)をアルカリ触媒存在下でエステル交換反応させる。尚、原料油脂には水分が含まれる場合があるため、原料油脂とアルカリ触媒とを混合してエステル交換反応を行う前に、加熱及び/又は減圧条件下において原料油脂から水分を除去することが好ましい。加熱条件としては70〜120℃、減圧条件としては10Pa以下とするとよい。また、原料油脂中の水分含量としては、100ppm以下であるのが好ましい。
また、本発明において使用する反応槽としては、一般的な撹拌翼を備えた反応槽であればよく、必要により、温度調整、圧力調整が可能な手段を備えているとよい。
本発明において使用する油脂(原料油脂)としては、特に限定は無く、植物性油脂、動物性油脂、これらの油脂の分別油脂、硬化油、エステル交換油(予めエステル交換された油脂)などを用いることができる。また、これらのうちから1種または2種以上を用いても良い。
動物性油脂としては、例えば、各種の魚油などの海産動物油、牛脂、豚脂、羊脂などの動物油脂、牛乳脂肪などの乳脂などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
植物性油脂としては、例えば、大豆油、ナタネ油、ひまわり油、オリーブ油、ごま油、キャノーラ油、綿実油、こめ油、サフラワー油、やし油、パーム油、パーム核油、シア油、サル脂、イリッぺ脂、カカオ脂などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、特に、油脂中のトリ飽和脂肪酸グリセライドなどの高融点成分を結晶として析出させながらエステル交換反応を行なうダイレクトエステル交換反応の場合は、パーム系油脂を原料油脂として用いるのが好ましく、ヨウ素価55以上のパーム系油脂がより好ましい。このようにパーム系油脂を用いることで、安価なパーム系油脂を主原料として、高い液状性と酸化安定性を兼ね備えた安価な液状油脂を高収率で得ることができる。パーム系油脂とは、パーム由来であれば特に限定はなく、パーム精製油、未精製のクルード油、一回以上の分別によって得られたパームオレインなどの分画油、などである。また、パームオレインとは、パームの果肉から採取した脂を分離して得られ、ヨウ素価が55以上のものを指す。
さらに、パーム系油脂を用いる場合、その他の油脂を用いても良いが、パーム系油脂以外の油脂の含有量は、原料油脂全体中50重量%以下が好ましく、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、最も好ましくは0重量%である。また、パーム系油脂以外の油脂としては、構成脂肪酸全体中の飽和脂肪酸含量が20重量%よりも低い油脂であることが好ましく、例えば大豆油、ナタネ油などが挙げられる。
本発明において使用するアルカリ触媒としては、特に制限は無く、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート(ナトリウムメトキシド)、ナトリウムエトキシド、カリウムメチラート、ナトリウム・カリウム合金等が挙げられる。その中でも、食用に供する場合は、ナトリウムメチラート、ナトリウム・カリウム合金を用いるのが好ましく、アルカリ触媒の安定性の観点から、ナトリウムメチラートがより好ましい。
原料油脂とアルカリ触媒の混合比は特に限定はなく、アルカリ触媒の特性などを考慮して、定法に従って適宜決定すればよい。例えば、アルカリ触媒を用いる場合は、概ね、原料油脂100重量部に対して0.05〜0.5重量部用いるとよい。
アルカリ触媒存在下で原料油脂のエステル交換反応を行う際の条件は、特に限定は無く、定法に従って目的とするエステル交換油脂を所望量生成することができればよい。例えば、反応温度としては、20〜120℃、反応時間としては、3分間以上であるが、これらの条件に限定されるわけではない。
また、上記のダイレクトエステル交換反応の場合は、反応温度を10〜40℃の低温で行う必要があるが、このような場合は、反応時間は、1〜48時間行うのが好ましい。
上記のようにして、原料油脂をアルカリ触媒存在下でエステル交換反応を行った後、所望のエステル交換油脂が所望量生成した時点で、油脂(原料油脂と生成したエステル交換油脂を含む混合油脂)とアルカリ触媒を含む反応液と、酸性物質とを混合して、エステル交換反応を停止させる。尚、所望のエステル交換油脂が所望量生成した時点は、反応液をサンプリングして、その組成をガスクロマトグラフィや高速液体クロマトグラフィにより測定することにより確認することができる。
この際に使用する酸性物質としては、特に制限は無く、無機酸、有機酸などを用いることができる。
無機酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
有機酸としては、例えば、酢酸、クエン酸、リンゴ酸などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
この中でも、DAKsの生成を効果的に抑制する観点からは、有機酸が好ましく、なかでも、安価なクエン酸がより好ましい。
また、酸性物質の形態としては、液体状、ペースト状、固体状何れでもよいが、水分を含有する場合は、DAKsの生成抑制の観点から、水分含量は95重量%以下が好ましく、75重量%以下がより好ましい。また、固体状の場合は、反応液への分散性、反応液との接触面積を確保する観点からは、粒子の大きさが小さい粉体状であることが好ましく、粉体の粒子の大きさとしては、例えば1〜1000μmである。また、液体状には、水分を含まない液状のもの、酸性を示す各種の化合物の水溶液を含む。
また、本発明で使用する酸性物質は、上記のように各種の形態を有するものを使用することが可能であり、当該酸性物質と水との混合液のpHが7未満となる特性を有するものであればよい。
この際の酸性物質の使用量としては、特に限定は無く、使用する酸性物質の特性を考慮して適宜決定すればよく、例えば、油脂100重量部に対して10重量部以下とするのが好ましい。また、DAKsの生成を抑制しつつ、エステル交換反応を停止させる観点からは、酸性物質の使用量としては、アルカリ触媒1モルに対して1モル/(酸性物質の酸価)以上とするのが好ましい。また、酸性物質が水分を含む場合は、水分を除く乾燥重量を基準に使用量を決定する。
尚、この場合の「油脂」とは、原料油脂を意味する。
反応液と酸性物質との混合方法は、エステル交換反応を適切に停止させることができれば特に限定はなく、反応液に対して酸性物質を添加しても良いし、酸性物質に対して反応液を添加しても良い。
一例として、他の撹拌槽に予め充填された酸性物質に対して反応槽中の反応液を投入し、これらを混合する場合は、例えば、反応液量に対して概ね1/10〜10倍量(重量比)の液体状の酸性物質に、反応液を投入、撹拌して、反応液と酸性物質とを混合するとよい。これにより、反応液と酸性物質を均等に混合することが容易となる傾向にある。
また、他の例として、反応槽中の反応液に対して酸性物質を添加してこれらを混合する場合は、各種形態の酸性物質を上記の使用量になるように反応液に投入、撹拌して、反応液中に酸性物質を均等に分散させる。この際、操作性の観点から、酸性物質が水分を含む場合は、水分含量が0.5〜95重量%のものを、油脂100重量部に対して10重量部以下使用するのが好ましい。また、水分を含まない場合(例えば、固体状の場合)も同様に、油脂100重量部に対して10重量部以下使用するのが好ましい。
また、反応液と酸性物質とを混合する際の温度は特に限定は無いが、DAKsの生成を抑制しつつ、エステル交換反応を停止させる観点から、反応液のエステル交換反応時の温度以下であるのが好ましい。
本発明では、以上のように、油脂とアルカリ触媒を含む反応液と、酸性物質とを混合してエステル交換反応を停止する。このようなエステル交換反応の停止方法を採用することで、既に述べたが、エステル交換反応の停止の際のDAKsの生成を抑制することが可能となり、ひいては、後述する、その後の洗浄操作を経た後の最終的に得られるエステル交換油脂を含む油脂中のDAKsの含有量を顕著に低減することが可能になると考えられる。
上記のようにしてエステル交換反応を停止させた後、反応液と酸性物質との混合液の洗浄を行う。
当該洗浄は、酸性の液を用いて行う。酸性の液としては、酸性の水性媒体を用いることができる。エステル交換反応終了後の混合液を酸性の水性媒体により洗浄することで、混合液から、アルカリ触媒、その他の水溶性の副産物を除去し、これらの不純物が除去されたエステル交換油脂を含む油脂を得ることができる。
この洗浄処理において使用可能な酸性の水媒体としては、上記の酸性物質のうち、pHが7未満の水溶液となり得るものを用いることができ、例えば、燐酸などの無機酸や、クエン酸や酢酸などの有機酸などを用いた水溶液が挙げられる。この中でも、DAKsの生成を効果的に抑制する観点からは、有機酸を用いることが好ましく、なかでも、安価なクエン酸を用いることがより好ましい。また、酸性の水溶液の酸性成分の濃度は、特に限定はないが、0.5〜60重量%であるのが好ましい。0.5重量%より少ないと、用いる水溶液の量が多く扱いにくい場合があり、60重量%より多いと酸性物質が溶解せずに析出する場合がある。また、洗浄時に用いる酸性の水溶液とエステル交換反応停止時に用いた酸性物質とは同じ酸性の成分を含有するものであっても良いし、異なるものであっても良い。
洗浄方法としては、特に限定はなく、反応液と酸性物質との混合液の状態に応じて、適宜決定することができる。
例えば、酸性物質として比較的多くの水分を含有するものを用いた場合は、反応液と酸性物質との混合液を所定時間静置すると、油層と水層に分離されるため、水層を定法に従って除去した後、得られた油層と酸性の水溶液とを混合、撹拌した後、同じく所定時間静置して、エステル交換油脂などを含む油層と酸性の水溶液を含む水層に分離させる。この際、アルカリ触媒に由来する物質が水層に移行し、水層を除去することで、当該物質が除去される。このような、油層と水または酸性の水溶液との混合、静置、油層と水層の分離、水層除去との一連の操作を1回または2回以上行う。また、必要に応じて、さらに水を用いて同様の操作を行っても良い。
また、他の例として、酸性物質として比較的少量の水分を含有するものを用いた場合は、反応液と酸性物質との混合液を所定時間静置しても、水層を分離除去することは困難なため、当該混合液と酸性の水溶液とを混合、撹拌した後、所定時間静置して、油層と水層に分離させる。この後の処理は、上記の例と同様にして、洗浄を行う。
本発明では、油脂とアルカリ触媒を含む反応液と、酸性物質とを混合してエステル交換反応を停止させているため、DAKsの生成は抑制されており、どのような洗浄方法を採用しても、最初の洗浄時には、水を用いた場合であっても、酸性物質が存在するため、DAKsの生成は抑制されることとなる。そして、初回の洗浄により、アルカリ触媒の多くは除去されるため、その後に水分とDAKs誘導体が共存したとしても、DAKsの生成が抑制されると考えられる。
また、DAKsの生成をさらに抑制する観点から、酸性の水溶液を用いて洗浄することが好ましい。
以上のようにして、反応液と酸性物質との混合液から、エステル交換油脂を含有する油層は、必要に応じて、加熱及び/又は減圧条件下にて脱水処理を行うことができる。加熱条件としては70〜120℃、減圧条件としては10Pa以下とするとよい。また、油層中の水分含量としては、100ppm以下であるのが好ましい。
また、油層に着色があれば、脱色処理を行っても良い。脱色処理の方法としては、定法に従って行えばよく、例えば、油層に、白土、活性白土、活性炭などの吸着剤を添加し、所定時間撹拌した後、吸着剤をろ過などにより除去する方法などが挙げられる。
更に、必要により、定法に従って、油層中の複数種の油脂を分別してもよい。また、ダイレクトエステル交換反応によりエステル交換油脂を製造する場合は、固体脂と液状油脂とを分別することが好ましい。
以上のようにして得られるエステル交換油脂の用途としては、特に限定は無いが、ジアルキルケトン類の悪影響を回避することができるため、食用油脂、医薬品や化粧品などの原料油脂として好適である。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<油脂中のジアルキルケトン含量分析>
装置:島津製prominence 高圧グラジエントシステム
カラム:GL Science製 Inertsil SIL 100A 5μm(4.6×250mm)
カラム温度:40℃
移動相:A;トルエン(2.5mL/Lギ酸)/ヘキサン=50/50(v/v)
B;酢酸エチル
流量:1.0mL/min
注入量:50μL
検出器:ELSD
標準物質:ジアルキルステアリン
定量:ジステアリルケトンを標準物質として検量線を作成し、油脂中のジアルキルケトン含量を算出した。
前処理:測定する油脂1mLと2N KOH/EtOH 10mLをナス型フラスコに加え、90℃、30分間、還流させ、けん化を行った。その後、室温まで降温し、10mLの水を加えて混合し、分液ロートへ移した。石油エーテル5mLを加え、振とうし、上層(石油エーテル層)を回収した。下層に石油エーテル5mLを加え、振とうし、上層(石油エーテル相)を回収し、1回目に回収した上層と合わせ、ジアルキルケトンの抽出操作を行った。該上層(石油エーテル層)に水/EtOH(1:1)10mL加え、振とうし、飽和食塩水を2ml加え、上層(石油エーテル層)を回収した。再び、該上層に水/EtOH(1:1)10mL加え、振とうし、飽和食塩水を2ml加え、上層(石油エーテル層)を回収し、洗浄操作を行った。該上層(石油エーテル層)の溶媒を窒素により除去し、トルエン/ヘキサン 4mLを加え、超音波によって溶解させ、10mLに定容した。
<エステル交換油脂の製造>
(実施例1) 60重量%クエン酸水への反応液の投入による停止
パームオレイン(ヨウ素価64)100重量部をセパラブルフラスコに入れ、攪拌(100rpm)しながら90℃で真空脱水し、40℃に降温した後、ナトリウムメチラートを0.1重量部加え、40℃でエステル交換反応を3時間行った。
この反応液を40℃の60重量%クエン酸水(クエン酸としては磐田化学工業社製、「クエン酸(結晶)」を使用した。以下同じ。)500重量部へ投入し、5分間撹拌(100rpm)して、エステル交換反応を停止した。その後、静置して、エステル交換油脂を含む油層と、クエン酸水層とに分離し、このクエン酸水層を除去して油層を得た。
得られた油層に、40℃の60重量%クエン酸水100重量部を加えて撹拌した後、静置して油層とクエン酸水層とに分離し、このクエン酸水層を除去して油層を得た。この操作を合計5回繰返し、油層を洗浄した。
この洗浄処理した油層を90℃に加熱し、真空脱水を行ない、白土を2重量部加え、20分間攪拌後、ろ過することで白土を除き、脱色を行ない、エステル交換油脂を得た。
得られたエステル交換油脂中のDAKsの含有量を上記に従って測定したところ、30ppmであった。
(実施例2) 25重量%クエン酸水への反応液の投入による停止
パームオレイン(ヨウ素価64)100重量部をセパラブルフラスコに入れ、攪拌(100rpm)しながら90℃で真空脱水し、40℃に降温した後、ナトリウムメチラートを0.1重量部加え、40℃でエステル交換反応を3時間行った。
この反応液を40℃の25重量%クエン酸水500重量部へ投入し、5分間撹拌(100rpm)し、エステル交換反応を停止した。その後、静置して、エステル交換油脂を含む油層と、クエン酸水層とを分離し、このクエン酸水層を除去して油層を得た。
得られた油層に、40℃の25重量%クエン酸水100重量部を加えて撹拌した後、静置して油層とクエン酸水層とに分離し、このクエン酸水層を除去して油層を得た。この操作を合計5回繰返し、油層を洗浄した。
この洗浄処理した油層を90℃に加熱し、真空脱水を行ない、白土を2重量部加え、20分間攪拌後、ろ過することで白土を除き、脱色を行ない、エステル交換油脂を得た。
得られたエステル交換油脂中のDAKsの含有量を上記に従って測定したところ、32ppmであった。
(実施例3) 60重量%クエン酸水の反応液への投入による停止
パームオレイン(ヨウ素価64)100重量部をセパラブルフラスコに入れ、攪拌(100rpm)しながら90℃で真空脱水し、40℃に降温した後、ナトリウムメチラートを0.1重量部加え、40℃でエステル交換反応を3時間行った。
そして、この反応液に40℃の60重量%クエン酸水0.5重量部を投入し、10分間撹拌(100rpm)し、エステル交換反応を停止した。
その後、この液に40℃の60重量%クエン酸水100重量部を加えて撹拌した後、静置してエステル交換油脂を含む油層と、クエン酸水層とに分離し、このクエン酸水層を除去して油層を洗浄した。得られた油層を同様にしてクエン酸水にて再度洗浄した。この洗浄処理を合計5回繰り返して行った。
この洗浄処理した油層を90℃に加熱して、真空脱水を行ない、白土を2重量部加え、20分間攪拌後、ろ過することで白土を除去し、脱色を行ない、エステル交換油脂を得た。
得られたエステル交換油脂中のDAKsの含有量を上記に従って測定したところ、12ppmであった。
(実施例4) 25重量%クエン酸水の反応液への投入による停止
パームオレイン(ヨウ素価64)100重量部をセパラブルフラスコに入れ、攪拌(100rpm)しながら90℃で真空脱水し、40℃に降温した後、ナトリウムメチラートを0.1重量部加え、40℃でエステル交換反応を3時間行った。
そして、この反応液に40℃の25重量%クエン酸水1.2重量部を投入し、10分間撹拌(100rpm)し、エステル交換反応を停止した。
その後、この液に40℃の25重量%クエン酸水100重量部を加えて撹拌した後、静置してエステル交換油脂を含む油層と、クエン酸水層とに分離し、このクエン酸水層を除去して油層を洗浄した。得られた油層を同様にしてクエン酸水にて再度洗浄した。この洗浄処理を合計5回繰り返して行った。
この洗浄処理した油層を90℃に加熱して、真空脱水を行ない、白土を2重量部加え、20分間攪拌後、ろ過することで白土を除去し、脱色を行ない、エステル交換油脂を得た。
得られたエステル交換油脂中のDAKsの含有量を上記に従って測定したところ、20ppmであった。
(実施例5) 75重量%燐酸水の反応液への投入による停止
パームオレイン(ヨウ素価64)100重量部をセパラブルフラスコに入れ、攪拌(100rpm)しながら90℃で真空脱水し、40℃に降温した後、ナトリウムメチラートを0.1重量部加え、40℃でエステル交換反応を3時間行った。
そして、この反応液に40℃の75重量%燐酸水(和光純薬工業株式会社製)0.2重量部を投入し、10分間撹拌(100rpm)し、エステル交換反応を停止した。
その後、この液に40℃の60重量%クエン酸水100重量部を加えて撹拌した後、静置してエステル交換油脂を含む油層と、クエン酸水層とに分離し、このクエン酸水層を除去して油層を洗浄した。得られた油層を同様にしてクエン酸水にて再度洗浄した。この洗浄処理を合計5回繰り返して行った。
この洗浄処理した油層を90℃に加熱して、真空脱水を行ない、白土を2重量部加え、20分間攪拌後、ろ過することで白土を除去し、脱色を行ない、エステル交換油脂を得た。
得られたエステル交換油脂中のDAKsの含有量を上記に従って測定したところ、14ppmであった。
(実施例6) クエン酸粉末の反応液への投入による停止
パームオレイン(ヨウ素価64)100重量部をセパラブルフラスコに入れ、攪拌(100rpm)しながら90℃で真空脱水し、40℃に降温した後、ナトリウムメチラートを0.1重量部加え、40℃でエステル交換反応を3時間行った。
そして、この反応液にクエン酸粉末0.3重量部を投入し、20分間撹拌(100rpm)し、エステル交換反応を停止した。
その後、この液に40℃の60重量%クエン酸水100重量部を加えて撹拌した後、静置してエステル交換油脂を含む油層と、クエン酸水層とに分離し、このクエン酸水層を除去して油層を洗浄した。得られた油層を同様にしてクエン酸水にて再度洗浄した。この洗浄処理を合計5回繰り返して行った。
この洗浄処理した油層を90℃に加熱して、真空脱水を行ない、白土を2重量部加え、20分間攪拌後、ろ過することで白土を除去し、脱色を行ない、エステル交換油脂を得た。
得られたエステル交換油脂中のDAKsの含有量を上記に従って測定したところ、27ppmであった。


Claims (6)

  1. 油脂とアルカリ触媒を含む反応液と、酸性物質と、を混合してエステル交換反応を停止させた後、酸性の液で洗浄を行う工程を含む、ジアルキルケトン類の含有量が低減されたエステル交換油脂の製造方法。
  2. 前記酸性物質の使用量が、油脂100重量部に対して10重量部以下である請求項1記載のジアルキルケトン類の含有量が低減されたエステル交換油脂の製造方法。
  3. 前記酸性物質中の水分含量が75重量%以下である請求項1または2記載のジアルキルケトン類の含有量が低減されたエステル交換油脂の製造方法。
  4. 前記酸性物質が、該酸性物質と水との混合液のpHが7未満となる特性を有する請求項1〜3のいずれかに記載のジアルキルケトン類の含有量が低減されたエステル交換油脂の製造方法。
  5. 前記のジアルキルケトンの含有量が低減されたエステル交換油脂が食用である請求項1〜4のいずれかに記載のジアルキルケトン類の含有量が低減されたエステル交換油脂の製造方法。
  6. 油脂とアルカリ触媒を含む反応液と、酸性物質と、を混合してエステル交換反応を停止させ、ジアルキルケトン類の生成を抑制することを特徴とするエステル交換反応の停止方法。


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