JP2015142529A - 油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】水と食塩の存在下で高温に加熱したときの3−MCPDEの生成が抑制される油脂組成物の提供。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)ジアシルグリセロール 20質量%以上、
(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分 0.1ppm以上
を含有する油脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)ジアシルグリセロール 20質量%以上、
(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分 0.1ppm以上
を含有する油脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、加熱調理に有用な油脂組成物に関する。
植物の種子、胚芽、果肉等から圧搾されたままの油脂には、トリアシルグリセロール以外に脂肪酸、モノアシルグリセロール、有臭成分等が含まれている。また、油脂は加工する際に加熱工程を経ることで、微量成分が発生し、風味が低下する。これら油脂を食用油として使用するためには、これら微量成分を除去する事による風味改善が必要である。その手段として、高温減圧下で水蒸気と接触させる、いわゆる脱臭処理が一般的に行われている(特許文献1)。
しかしながら、風味改善のために行われている従来の脱臭操作によって、却ってクロロプロパノール類等の副生成物が増加してしまう場合がある。クロロプロパノール類の一種である3−モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステル(3−MCPDE)は、食用油の脱臭工程において高温処理する過程で脂質と塩化物イオンから生成すると考えられている。
3−MCPDEは、3−モノクロロプロパンジオールに1個乃至2個の脂肪酸がエステル結合したエステルであり、油脂中に微量含有されるものである。
しかしながら、風味改善のために行われている従来の脱臭操作によって、却ってクロロプロパノール類等の副生成物が増加してしまう場合がある。クロロプロパノール類の一種である3−モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステル(3−MCPDE)は、食用油の脱臭工程において高温処理する過程で脂質と塩化物イオンから生成すると考えられている。
3−MCPDEは、3−モノクロロプロパンジオールに1個乃至2個の脂肪酸がエステル結合したエステルであり、油脂中に微量含有されるものである。
そこで、食用油の精製工程において3−MCPDE等の生成を抑制する方法が検討され、脱色、脱臭工程を経たパーム系油脂をアルカリ水溶液と接触後、精製する方法(特許文献2)、パーム系油脂の加熱処理以前に、吸着剤処理及び/又はアルカリ処理する方法(特許文献3)、油脂の高温加熱時に炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムを添加する方法(非特許文献1)が報告されている。
Eur.J.Lipid Sci.Tech.2013年、第115巻、p.286−294
一方、油脂中の3−MCPDEは、水と食塩の存在により揚げ物調理等の高温調理の過程でも増加することが知られている。3−MCPDE量の少ない精製油脂であってもこのような高温の加熱条件にさらされると3−MCPDE量は増加してしまう場合があるが、これまでに精製油脂を加熱した時の3−MCPDEの生成を抑制することについて報告はない。
したがって、本発明は、水と食塩の存在下で高温に加熱したときの3−MCPDEの生成が抑制される油脂組成物を提供することに関する。
したがって、本発明は、水と食塩の存在下で高温に加熱したときの3−MCPDEの生成が抑制される油脂組成物を提供することに関する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意研究を行ったところ、油脂組成物中のジアシルグリセロール濃度とアルカリ濃度を調整すれば、油脂組成物を水と食塩の存在下で高温に加熱しても3−MCPDEの生成を抑制できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)ジアシルグリセロール 20質量%以上、
(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分 0.1ppm以上
を含有する油脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、ジアシルグリセロールを20質量%以上含有する油脂組成物に(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分を0.1ppm以上含有させることによる油脂組成物中の3−モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルの生成を抑制する方法を提供するものである。
(A)ジアシルグリセロール 20質量%以上、
(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分 0.1ppm以上
を含有する油脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、ジアシルグリセロールを20質量%以上含有する油脂組成物に(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分を0.1ppm以上含有させることによる油脂組成物中の3−モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルの生成を抑制する方法を提供するものである。
本発明によれば、揚げ物調理のような、水と食塩が存在する高温調理に使用したときも3−MCPDEの生成が抑制される油脂組成物を提供することができる。
本発明の油脂組成物は、油脂を含有するものである。油脂組成物中の油脂の含有量は、85質量%(以下、単に「%」とする)以上が好ましく、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上であり、また、99.99%以下、更に99.95%以下、更に99.9%以下であることが調理性の点から好ましい。なお、本発明において「油脂」は、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロールのいずれか1種以上を含むものとする。
本発明の油脂組成物は、成分(A)ジアシルグリセロールを20%以上含有するが、生理効果の点、3−MCPDE生成抑制の点から、更に25%以上、更に30%以上、更に50%以上、更に60%以上、更に80%以上含有することが好ましく、また、工業的生産性の点から、99.5%以下、更に98%以下、更に95%以下、更に90%以下含有することが好ましい。また、油脂組成物中のジアシルグリセロールの含有量は、20〜99.5%、更に25〜98%、更に30〜95%、更に60〜90%、更に80〜90%であることが好ましい。
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸は特に限定されず、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよいが、外観、生理効果の点から、構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸の含有量は、80%以上、更に85%以上、更に90%以上であることが好ましく、油脂の工業的生産性の点から、100%以下、更に99%以下、更に98%以下であることが好ましい。また、80〜100%、更に85〜99%、更に90〜98%であることが好ましい。不飽和脂肪酸の炭素数は14〜24、更に16〜22であることが生理効果の点から好ましい。
また、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量は、外観の点から、1%以上、更に2%以上であることが好ましく、生理効果の点から、20%以下、更に15%以下、更に10%以下であることが好ましい。また、0〜15%、更に2〜10%であることが好ましい。飽和脂肪酸としては、炭素数14〜24、更に16〜22のものが好ましい。
また、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中、トランス型不飽和脂肪酸の含有量は0〜5%であることが好ましく、更に0.01〜3.5%、更に0.01〜3%であることが生理効果、外観の観点から好ましい。
本発明の油脂組成物は、トリアシルグリセロールを1〜80%、更に5〜80%、更に10〜80%、更に10〜40%、更に10〜20%で含有することが、生理効果、工業的生産性、外観の点で好ましい。
また、油脂組成物中のモノアシルグリセロールの含有量は、5%以下、更に0.01〜3%、更に0.01〜2%、更に0.01〜1.5%であることが好ましい。
油脂組成物中の遊離脂肪酸又はその塩の含有量は、3.5%以下、更に0.01〜1.5%であることが風味等の点で優れており好ましい。トリアシルグリセロール及びモノアシルグリセロールの構成脂肪酸は、ジアシルグリセロールと同じ構成脂肪酸であることが、生理効果、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
また、油脂組成物中のモノアシルグリセロールの含有量は、5%以下、更に0.01〜3%、更に0.01〜2%、更に0.01〜1.5%であることが好ましい。
油脂組成物中の遊離脂肪酸又はその塩の含有量は、3.5%以下、更に0.01〜1.5%であることが風味等の点で優れており好ましい。トリアシルグリセロール及びモノアシルグリセロールの構成脂肪酸は、ジアシルグリセロールと同じ構成脂肪酸であることが、生理効果、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
油脂組成物の油脂の起源としては、食用油脂として使用できるものであれば植物性油脂、動物性油脂のいずれでもよい。具体的な原料としては、菜種油(キャノーラ油)、ひまわり油、とうもろこし油、大豆油、あまに油、米油、紅花油、綿実油、パーム油、やし油、オリーブ油、ぶどう油、アボガド油、ごま油、落花生油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、くるみ油、豚脂、牛脂、鶏油、バター油、魚油等を挙げることができる。またこれらの油脂を分別、混合したもの、水素添加や、エステル交換反応等により脂肪酸組成を調整したものも原料として利用できるが、水素添加していないものが、油脂を構成する全脂肪酸中のトランス型不飽和脂肪酸含量を低減させる点から好ましい。また、使用性の点から、植物性油脂を用いることが好ましく、更に低温耐性に優れた液状油脂を用いることが好ましい。なお、液状油脂とは、基準油脂分析試験法2.3.8−27による冷却試験を実施した場合、20℃で液状である油脂をいう。
また、油脂組成物中の油脂は、精製工程を経た精製油脂であることが好ましい。ここで、精製油脂とは、油糧原料から圧搾又は抽出した状態の油(粗油)に含まれている不純物を除去した油で、好ましくは脱ガム工程、トップカット蒸留工程、酸処理工程、脱色工程、水洗工程、脱臭工程のいずれか1工程以上を行った油である。
脱ガム工程とは水和による方法、酸による方法等があり、リン脂質やたんぱく質等のガム質を除去する工程である。トップカット蒸留工程とは、油脂を蒸留することにより、油脂から脂肪酸等の軽質の副生物を除去する工程である。酸処理工程とは、油脂にクエン酸等のキレート剤を添加、混合し、更に減圧脱水することにより、不純物を除去する工程である。脱色工程とは、油脂に吸着剤等を接触させ、色相、風味を更に良好とする工程である。水洗工程とは、油脂に水を接触させ、油水分離を行う操作を行う工程である。脱臭工程とは、油脂を減圧水蒸気蒸留する工程である。
脱ガム工程とは水和による方法、酸による方法等があり、リン脂質やたんぱく質等のガム質を除去する工程である。トップカット蒸留工程とは、油脂を蒸留することにより、油脂から脂肪酸等の軽質の副生物を除去する工程である。酸処理工程とは、油脂にクエン酸等のキレート剤を添加、混合し、更に減圧脱水することにより、不純物を除去する工程である。脱色工程とは、油脂に吸着剤等を接触させ、色相、風味を更に良好とする工程である。水洗工程とは、油脂に水を接触させ、油水分離を行う操作を行う工程である。脱臭工程とは、油脂を減圧水蒸気蒸留する工程である。
ジアシルグリセロールを含有する油脂は、油脂由来の脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応、油脂とグリセリンとのグリセロリシス反応等により得ることができる。これらの反応は、アルカリ金属又はその合金、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物もしくは炭素数1〜3のアルコキシド等の化学触媒を用いる化学法とリパーゼ等の酵素を用いる酵素法に大別される。なかでも、触媒としてリパーゼ等を用いて酵素的に温和な条件で反応を行うことが風味等の点で優れており好ましい。
本発明で用いられる成分(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分は、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムから選ばれる1種以上の成分、更にナトリウム及びカリウムから選ばれる1種以上の成分であることが3−MCPDE生成抑制の点から好ましい。
アルカリ金属及びアルカリ土類金属の供給源としては、食品に添加が可能なアルカリ塩が好ましく、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等)、炭酸塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等)、硫酸塩(硫酸マグネシウム、硫酸マグネシウムカルシウム等)、炭素数12〜22の脂肪酸塩(ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸バリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム等)等を用いることができる。なかでも、3−MCPDE生成抑制、油脂への配合の点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭素数12〜22の脂肪酸塩が好ましく、更にアルカリ金属の炭酸塩が好ましく、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムが好ましい。
アルカリ金属及びアルカリ土類金属の供給源としては、食品に添加が可能なアルカリ塩が好ましく、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等)、炭酸塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等)、硫酸塩(硫酸マグネシウム、硫酸マグネシウムカルシウム等)、炭素数12〜22の脂肪酸塩(ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸バリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム等)等を用いることができる。なかでも、3−MCPDE生成抑制、油脂への配合の点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭素数12〜22の脂肪酸塩が好ましく、更にアルカリ金属の炭酸塩が好ましく、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムが好ましい。
本発明の油脂組成物中、(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分の含有量は0.1ppm以上であるが、3−MCPDE生成抑制の点から、0.2ppm以上、更に0.5ppm以上、更に1ppm以上、更に1.4ppm以上であることが好ましく、また、風味、外観、油脂への溶解性の点から、50ppm以下、更に20ppm以下、更に10ppm以下、更に5ppm以下、更に3ppm以下であることが好ましい。
油脂組成物中の(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分の含有量は、原子吸光光度法により測定することができる。
油脂組成物中の(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分の含有量は、原子吸光光度法により測定することができる。
更に、本発明の油脂組成物は、保存時及び調理時の酸化安定性の点より、油脂組成物中に抗酸化剤を0.01〜2%含有することが好ましく、更に0.01〜1%、更に0.01〜0.5%含有することが好ましい。抗酸化剤としては、天然抗酸化剤、トコフェロール、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びブチルヒドロキシアニソール(BHA)等から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、天然抗酸化剤、トコフェロール及びアスコルビルパルミテートから選ばれる1種又は2種以上の抗酸化剤がより好ましい。そのなかでも、アスコルビルパルミテートとトコフェロールの併用が好ましい。
本発明の油脂組成物は、3−MCPDEの含有量が1ppm以下、更に0.5ppm以下であることが調理後の3−MCPDE量の抑制の点から好ましい。
油脂組成物中の3−MCPDEは、ドイツ脂質科学会(以下、「DGF」ともいう)標準法C−VI 18(10)(DGF Standard Methods 2010(16.Supplement),C−VI 18(10),“Fatty−acid−bound 3−chloropropane−1,2−diol(3−MCPD)and 2,3−epoxi−propane−1−ol (glycidol)”)記載の方法にて測定することができる。本発明においては、当該標準法assay Bの方法にて得られた値をもって3−MCPDEの含有量とする。測定方法の詳細は実施例に記載した。
油脂組成物中の3−MCPDEは、ドイツ脂質科学会(以下、「DGF」ともいう)標準法C−VI 18(10)(DGF Standard Methods 2010(16.Supplement),C−VI 18(10),“Fatty−acid−bound 3−chloropropane−1,2−diol(3−MCPD)and 2,3−epoxi−propane−1−ol (glycidol)”)記載の方法にて測定することができる。本発明においては、当該標準法assay Bの方法にて得られた値をもって3−MCPDEの含有量とする。測定方法の詳細は実施例に記載した。
本発明の油脂組成物は、特に限定されないが、例えば、ジアシルグリセロールを高含有する油脂、もしくはこれに必要に応じて通常の食用油脂を配合し、油脂と前記成分(B)、更に必要に応じてその他の成分を混合し、適宜加熱、撹拌等することにより得ることができる。
本発明の油脂組成物は、水と食塩の存在下で高温に加熱しても3−MCPDEの生成が少ない。本発明の油脂組成物は、実施例に記載の高温調理モデル試験後に測定される3−MCPDEの含有量が1ppm以下、更に0.8ppm以下、更に0.5ppm以下、更に0.3ppm以下であることが好ましい。
本発明の油脂組成物は、一般の食用油脂と同様に使用でき、油脂を用いた各種飲食物に広範に適用することができる。なかでも、加熱調理用油脂、特にフライや天ぷら等の揚げ物、炒め物、焼き物の加熱調理用油脂として、更に160℃以上、更に170℃以上の高温加熱調理用油脂として好適である。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の油脂組成物、或いは方法を開示する。
<1>次の成分(A)及び(B):
(A)ジアシルグリセロール 20質量%以上、
(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分 0.1ppm以上
を含有する油脂組成物。
(A)ジアシルグリセロール 20質量%以上、
(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分 0.1ppm以上
を含有する油脂組成物。
<2>ジアシルグリセロールの含有量が、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、また、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下であり、また、好ましくは20〜99.5質量%、より好ましくは25〜98質量%、更に好ましくは30〜95質量%、更に好ましくは60〜90質量%、更に好ましくは80〜90質量%である<1>に記載の油脂組成物。
<3>ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中の不飽和脂肪酸の含有量が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99質量%以下、更に好ましくは98質量%以下であり、また、好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは85〜99質量%、更に好ましくは90〜98質量%である<1>又は<2>に記載の油脂組成物。
<4>不飽和脂肪酸の炭素数が好ましくは14〜24、より好ましくは16〜22である<3>に記載の油脂組成物。
<5>ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であり、また、好ましくは0〜15質量%、より好ましくは2〜10質量%である<1>〜<4>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<6>飽和脂肪酸の炭素数が好ましくは14〜24、より好ましくは16〜22である<5>に記載の油脂組成物。
<7>ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のトランス型不飽和脂肪酸の含有量が、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0.01〜3.5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%である<1>〜<6>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<8>油脂の含有量が、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上であり、また、好ましくは99.99質量%以下、より好ましくは99.95質量%以下、更に好ましくは99.9質量%以下である<1>〜<7>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<9>油脂組成物中の油脂が好ましくは精製工程、より好ましくは脱ガム工程、トップカット蒸留工程、酸処理工程、脱色工程、水洗工程又は脱臭工程のいずれか1工程以上を行った精製油脂である<1>〜<8>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<10>成分(B)が、好ましくはナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムから選ばれる1種以上の成分、より好ましくはナトリウム及びカリウムから選ばれる1種以上の成分である<1>〜<9>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<11>成分(B)の供給源が、好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩又は炭素数12〜22の脂肪酸塩であり、より好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩又は炭素数12〜22の脂肪酸塩であり、更に好ましくはアルカリ金属の炭酸塩であり、更に好ましくは炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム又は炭酸水素カリウムである<1>〜<10>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<12>(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分の含有量が、0.1ppm以上であり、好ましくは0.2ppm以上、より好ましくは0.5ppm以上、更に好ましくは1ppm以上、更に好ましくは1.4ppm以上であり、また、好ましくは50ppm以下、より好ましくは20ppm以下、更に好ましくは10ppm以下、更に好ましくは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下である<1>〜<11>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<13>更に抗酸化剤を好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.01〜1質量%、更に好ましくは0.01〜0.5質量%含有する<1>〜<12>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<14>3−MCPDEの含有量が、好ましくは1ppm以下、更に好ましくは0.5ppm以下である<1>〜<13>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<15>高温調理モデル試験後に測定される3−MCPDEの含有量が、好ましくは1ppm以下、より好ましくは0.8ppm以下、更に好ましくは0.5ppm以下、更に好ましくは0.3ppm以下である<1>〜<14>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<16>好ましくは加熱調理用油脂、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは170℃以上の高温加熱調理用油脂である<1>〜<15>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<17>ジアシルグリセロールを20質量%以上含有する油脂組成物に、(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分を0.1ppm以上含有させることによる油脂組成物中の3−モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルの生成を抑制する方法。
<18>3−モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルの生成が水と食塩の共存下で油脂組成物を加熱処理した時のものである<17>に記載の方法。
<3>ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中の不飽和脂肪酸の含有量が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99質量%以下、更に好ましくは98質量%以下であり、また、好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは85〜99質量%、更に好ましくは90〜98質量%である<1>又は<2>に記載の油脂組成物。
<4>不飽和脂肪酸の炭素数が好ましくは14〜24、より好ましくは16〜22である<3>に記載の油脂組成物。
<5>ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であり、また、好ましくは0〜15質量%、より好ましくは2〜10質量%である<1>〜<4>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<6>飽和脂肪酸の炭素数が好ましくは14〜24、より好ましくは16〜22である<5>に記載の油脂組成物。
<7>ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のトランス型不飽和脂肪酸の含有量が、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0.01〜3.5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%である<1>〜<6>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<8>油脂の含有量が、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上であり、また、好ましくは99.99質量%以下、より好ましくは99.95質量%以下、更に好ましくは99.9質量%以下である<1>〜<7>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<9>油脂組成物中の油脂が好ましくは精製工程、より好ましくは脱ガム工程、トップカット蒸留工程、酸処理工程、脱色工程、水洗工程又は脱臭工程のいずれか1工程以上を行った精製油脂である<1>〜<8>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<10>成分(B)が、好ましくはナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムから選ばれる1種以上の成分、より好ましくはナトリウム及びカリウムから選ばれる1種以上の成分である<1>〜<9>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<11>成分(B)の供給源が、好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩又は炭素数12〜22の脂肪酸塩であり、より好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩又は炭素数12〜22の脂肪酸塩であり、更に好ましくはアルカリ金属の炭酸塩であり、更に好ましくは炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム又は炭酸水素カリウムである<1>〜<10>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<12>(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分の含有量が、0.1ppm以上であり、好ましくは0.2ppm以上、より好ましくは0.5ppm以上、更に好ましくは1ppm以上、更に好ましくは1.4ppm以上であり、また、好ましくは50ppm以下、より好ましくは20ppm以下、更に好ましくは10ppm以下、更に好ましくは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下である<1>〜<11>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<13>更に抗酸化剤を好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.01〜1質量%、更に好ましくは0.01〜0.5質量%含有する<1>〜<12>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<14>3−MCPDEの含有量が、好ましくは1ppm以下、更に好ましくは0.5ppm以下である<1>〜<13>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<15>高温調理モデル試験後に測定される3−MCPDEの含有量が、好ましくは1ppm以下、より好ましくは0.8ppm以下、更に好ましくは0.5ppm以下、更に好ましくは0.3ppm以下である<1>〜<14>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<16>好ましくは加熱調理用油脂、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは170℃以上の高温加熱調理用油脂である<1>〜<15>のいずれか1に記載の油脂組成物。
<17>ジアシルグリセロールを20質量%以上含有する油脂組成物に、(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分を0.1ppm以上含有させることによる油脂組成物中の3−モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルの生成を抑制する方法。
<18>3−モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルの生成が水と食塩の共存下で油脂組成物を加熱処理した時のものである<17>に記載の方法。
〔分析方法〕
(1)油脂のグリセリド組成
ガラス製サンプル瓶に、油脂サンプル約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析した。
<GLC分析条件>
(条件)
装置:アジレント6890シリーズ(アジレントテクノジー社製)
インテグレーター:ケミステーションB 02.01 SR2(アジレントテクノジー社製)
カラム:DB−1ht(Agilent J&W社製)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=320℃
ディテクター:FID、T=350℃
オーブン温度:80℃から10℃/分で340℃まで昇温、15分間保持
(1)油脂のグリセリド組成
ガラス製サンプル瓶に、油脂サンプル約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析した。
<GLC分析条件>
(条件)
装置:アジレント6890シリーズ(アジレントテクノジー社製)
インテグレーター:ケミステーションB 02.01 SR2(アジレントテクノジー社製)
カラム:DB−1ht(Agilent J&W社製)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=320℃
ディテクター:FID、T=350℃
オーブン温度:80℃から10℃/分で340℃まで昇温、15分間保持
(2)油脂の構成脂肪酸組成
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られた油脂サンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f−96(GLC法)により測定した。
<GLC分析条件>
カラム:CP−SIL88 50m×0.25mm×0.2μm (VARIAN)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:40)、T=300℃
ディテクター:FID、T=300℃
オーブン温度:150℃で5分保持後、1℃/分で170℃まで昇温、1℃/分で200℃まで昇温、20℃/分で220℃まで昇温、5分保持
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られた油脂サンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f−96(GLC法)により測定した。
<GLC分析条件>
カラム:CP−SIL88 50m×0.25mm×0.2μm (VARIAN)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:40)、T=300℃
ディテクター:FID、T=300℃
オーブン温度:150℃で5分保持後、1℃/分で170℃まで昇温、1℃/分で200℃まで昇温、20℃/分で220℃まで昇温、5分保持
(3)3−MCPDEの測定(ドイツ脂質科学会(DGF)標準法C−VI 18(10)assay B準拠)
フタ付試験管に油脂サンプル約100mgを計量し、内標(3−MCPD−d5−dipalmitate/t−ブチルメチルエーテル)100μL、t−ブチルメチルエーテル100μL、及び0.5Nナトリウムメトキシド200μLを添加して攪拌した後、5分間静置した。イソヘキサン600μL、0.85%硫酸/60%臭化ナトリウム水溶液600μLを添加し攪拌した後、上層を除去した。さらにイソヘキサン600μLを添加し攪拌した後、上層を除去した。下層からジエチルエーテル/酢酸エチル混合溶液(体積比3:2)600μLで3回抽出した抽出液に、飽和フェニルボロン酸/ジエチルエーテル溶液を100μL添加して攪拌した。窒素気流下で有機溶媒を留去した後、これにイソオクタン500μLを加え攪拌した後、ガスクロマトグラフ−質量分析計(GC−MS)に供して、3−MCPDEの定量を行った。
フタ付試験管に油脂サンプル約100mgを計量し、内標(3−MCPD−d5−dipalmitate/t−ブチルメチルエーテル)100μL、t−ブチルメチルエーテル100μL、及び0.5Nナトリウムメトキシド200μLを添加して攪拌した後、5分間静置した。イソヘキサン600μL、0.85%硫酸/60%臭化ナトリウム水溶液600μLを添加し攪拌した後、上層を除去した。さらにイソヘキサン600μLを添加し攪拌した後、上層を除去した。下層からジエチルエーテル/酢酸エチル混合溶液(体積比3:2)600μLで3回抽出した抽出液に、飽和フェニルボロン酸/ジエチルエーテル溶液を100μL添加して攪拌した。窒素気流下で有機溶媒を留去した後、これにイソオクタン500μLを加え攪拌した後、ガスクロマトグラフ−質量分析計(GC−MS)に供して、3−MCPDEの定量を行った。
〔精製油脂aの調製〕
ジアシルグリセロール(DAG)を高含有する精製油脂aを、次の工程により製造した。
大豆脂肪酸をウィンタリングして飽和脂肪酸を低減させたもの455質量部、菜種脂肪酸195質量部及びグリセリン107質量部とを、固定化1,3−位選択リパーゼである市販リパーゼ製剤(Lipozyme RM IM、ノボザイムズジャパン製)を触媒として、0.07hPa、40℃の条件で、5時間エステル化反応を行った。次いで、リパーゼ製剤を濾過した後、235℃で分子蒸留を行った。水洗した後、235℃で1時間脱臭して、精製油脂aを得た。
分析値を表1に示す。なお、表中TAGはトリアシルグリセロール、MAGはモノアシルグリセロールを指す。
ジアシルグリセロール(DAG)を高含有する精製油脂aを、次の工程により製造した。
大豆脂肪酸をウィンタリングして飽和脂肪酸を低減させたもの455質量部、菜種脂肪酸195質量部及びグリセリン107質量部とを、固定化1,3−位選択リパーゼである市販リパーゼ製剤(Lipozyme RM IM、ノボザイムズジャパン製)を触媒として、0.07hPa、40℃の条件で、5時間エステル化反応を行った。次いで、リパーゼ製剤を濾過した後、235℃で分子蒸留を行った。水洗した後、235℃で1時間脱臭して、精製油脂aを得た。
分析値を表1に示す。なお、表中TAGはトリアシルグリセロール、MAGはモノアシルグリセロールを指す。
〔原料油脂〕
前記精製油脂aと、表1の組成を持つ精製油脂bを用いた。各精製油脂中の3−MCPDE量は表1に示すとおりであった。
前記精製油脂aと、表1の組成を持つ精製油脂bを用いた。各精製油脂中の3−MCPDE量は表1に示すとおりであった。
実施例1〜12及び比較例1〜6
〔油脂組成物の調製〕
表2に示した比率になるように、原料油脂にアルカリ塩を水溶液として配合し、120℃で0.5時間加熱を行うことで脱水を行い、油脂組成物を調製した。各油脂組成物(全量100質量%)におけるジアシルグリセロールの含有量とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の含有量は表2に示したとおりである。
〔油脂組成物の調製〕
表2に示した比率になるように、原料油脂にアルカリ塩を水溶液として配合し、120℃で0.5時間加熱を行うことで脱水を行い、油脂組成物を調製した。各油脂組成物(全量100質量%)におけるジアシルグリセロールの含有量とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の含有量は表2に示したとおりである。
〔調理モデル試験〕
試験管に油脂組成物を3g計量し、オイルバスを用いて油温が170℃になるまで加熱した。135mgの塩化ナトリウム水溶液(6.4%)を濾紙(2×0.6cm)に染み込ませ、その濾紙を170℃の油脂組成物で4分間加熱した。濾紙を交換して、同様の操作を合計で3回繰り返した後、油脂組成物中の3−MCPDEを定量した。結果を表2に示す。
試験管に油脂組成物を3g計量し、オイルバスを用いて油温が170℃になるまで加熱した。135mgの塩化ナトリウム水溶液(6.4%)を濾紙(2×0.6cm)に染み込ませ、その濾紙を170℃の油脂組成物で4分間加熱した。濾紙を交換して、同様の操作を合計で3回繰り返した後、油脂組成物中の3−MCPDEを定量した。結果を表2に示す。
表2より明らかなように、もともと3−MCPDE量の少ない油脂組成物であっても水と食塩の存在下で高温加熱すると3−MCPDE量は増加した(比較例1〜4)。これに対し、本発明の油脂組成物は、3−MCPDEの生成が抑制された。
ジアシルグリセロールの量が少ない比較例5とアルカリ金属の量が少ない比較例6の油脂組成物は、高温加熱時の3−MCPDEの生成を抑制できなかった。
ジアシルグリセロールの量が少ない比較例5とアルカリ金属の量が少ない比較例6の油脂組成物は、高温加熱時の3−MCPDEの生成を抑制できなかった。
Claims (6)
- 次の成分(A)及び(B):
(A)ジアシルグリセロール 20質量%以上、
(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分 0.1ppm以上
を含有する油脂組成物。 - (B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分がナトリウム又はカリウムである請求項1記載の油脂組成物。
- 油脂を85質量%以上含有する請求項1又は2記載の油脂組成物。
- 加熱調理用である請求項1〜3のいずれか1項記載の油脂組成物。
- ジアシルグリセロールを20質量%以上含有する油脂組成物に、(B)アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種以上の成分を0.1ppm以上含有させることによる油脂組成物中の3−モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルの生成を抑制する方法。
- 3−モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルの生成が水と食塩の共存下で油脂組成物を加熱処理した時のものである、請求項5記載の3−モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルの生成を抑制する方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017029086A (ja) * | 2015-08-03 | 2017-02-09 | 日清オイリオグループ株式会社 | 加熱調理用油脂組成物およびその製造方法、ならびに加熱調理用油脂の加熱による劣化を抑制する方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2011074575A1 (ja) * | 2009-12-15 | 2011-06-23 | 花王株式会社 | 油脂組成物 |
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-
2014
- 2014-01-31 JP JP2014017290A patent/JP2015142529A/ja active Pending
-
2015
- 2015-01-30 WO PCT/JP2015/052619 patent/WO2015115584A1/ja active Application Filing
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Title |
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EUROPEAN JOURNAL OF LIPID SCIENCE AND TECHNOLOGY, vol. 115, no. 3, JPN6015013893, March 2013 (2013-03-01), pages 286 - 294, ISSN: 0003757248 * |
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JP2017029086A (ja) * | 2015-08-03 | 2017-02-09 | 日清オイリオグループ株式会社 | 加熱調理用油脂組成物およびその製造方法、ならびに加熱調理用油脂の加熱による劣化を抑制する方法 |
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