JP2018517814A - クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルをグリセリド油から除去する方法、並びにそれらを含む、改善された、グリセリド油を精製する方法 - Google Patents

クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルをグリセリド油から除去する方法、並びにそれらを含む、改善された、グリセリド油を精製する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルをグリセリド油から除去する塩基性イオン液体処理;並びに塩基性イオン液体処理を含む、グリセリド油を精製する方法を対象とするものである。本発明はまた、イオン液体処理から得られる、塩基性イオン液体及びグリセリド油の組成物の使用にも関する。

Description

本発明は、クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルをグリセリド油から除去する塩基性イオン液体処理;並びに塩基性イオン液体処理を含む、グリセリド油を精製する方法を対象とするものである。本発明はまた、イオン液体処理から得られる、塩基性イオン液体及びグリセリド油の組成物の使用にも関する。
ヒト若しくは動物の摂取のために、又は他の家庭用途及びバイオディーゼル用途を含む商業用途のために、天然源から抽出することができる多量のグリセリド油がある。こうしたグリセリド油には、例えば、植物油、水産油、及び動物油脂が含まれる。典型的には、グリセリド油は、その使用前に精製される必要がある。精製は、個別の油に応じて、抽出後のいかなる汚染の、関連するレベル及び性質に応じて、また例えば、精製油の所望される感覚刺激特性にも応じて、変わることができる。
グリセリド油、特に植物油には多数の用途があり、典型的には、バイオディーゼル用途、食品製造、及び食品添加剤での使用、さらに化粧品及び清掃用品の添加剤としての使用に関連する。例えば、パーム油、ダイズ油、ナタネ油(カノーラ油)、及びトウモロコシ油には食品用途と非食品用途の両方があると知られている。
食用にするためには、粗グリセリド油は精製する方法を受けて、所望されない成分を除去しなければならない。粗パーム油は、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリド、カロチン、ステロール、並びにグリセロールで少しもエステル化されていない遊離脂肪酸(FFA)を含む。FFAは、油の劣化及び酸敗の増大をもたらし、そのため、精製する方法が除去しようとする多くの成分の一つである。除去が極めて重要になった、グリセリド油の他の潜在的な汚染物質は、クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルである。
非結合クロロプロパノール、特に3−MCPDは、例えば、醤油などの数多くのダイズ系製品、及び酸加水分解された植物タンパク質で特定されてきた。一方で、それらの脂肪酸エステル形態のクロロプロパノール及びグリシドールは、グリセリド油、特に、例えば精製する方法の結果として、高温にさらされた精製油に蓄積されることが明らかになった。摂取されると、クロロプロパノール及びグリシドールの脂肪酸エステルは、消化管のリパーゼによって加水分解され、遊離クロロプロパノール及び遊離グリシドールが放出される。クロロプロパノールは、典型的には、それぞれ、モノクロロプロパンジオール、2−クロロ−1,3−プロパンジオール(2−MCPD)及び3−クロロ−1,2−プロパンジオール(3−MCPD)、又はそれらから誘導された、対応するジクロロプロパノール、2,3−ジクロロプロパン−1−オール(2,3−DCP)及び1,3−ジクロロプロパン−2−オール(1,3−DCP)の形態で存在する。
精製された食用グリセリド油の消費に関連した、最も一般的なクロロプロパノールは、インビトロでの試験で遺伝毒性発がん性作用を示すことが明らかになった3−MCPDである。結果として、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、2001年に3−MCPDについて暫定的な最大の耐容1日摂取量(TDI)、体重1kg当たり2μgを確立し、2006年の新規研究の総説に記録した。他の遊離クロロプロパノールの潜在的な発がん性作用の研究もまた行われてきた(非特許文献1)。
クロロプロパノールの脂肪酸エステルは、以下に示されるように、モノグリセリド又はジグリセリドから、環状アシルオキソニウムイオンの生成、続いて塩化物イオンによる開環を介して産出されると考えられる(式中、R=H(モノグリセリド)又はC(O)R(ジグリセリド)、1=2−MCPDエステル、及び2=3−MCPDエステル)(非特許文献2)。
非特許文献3に、天然の未精製油脂及び精製油脂における、3−MCPDエステル及びその汚染に関する近年の意見の概要が示されている。そこで報告されているのは、微量の3−MCPDエステルをいくつかの天然の未精製油脂に見つけることができると示した、Chemisches及びVeterinaruntersuchungsamtによって行われた研究(CVUA、シュトゥットガルト、ドイツ)である。その一方で、相当な量の3−MCPDエステルがおおよそ全ての精製油脂で見つかった。
脱臭するステップは、精製する方法において、3−MCPDエステルの生成をもたらす決定的なステップとして特定された。しかし、例えば漂白土で漂白した結果として、いくらか生成されることも明らかになった。さらに、粗油の酸性前処理によって、例えば、デガミング(degumming)の一部として塩酸又はリン酸を用いることによって、3−MCPDエステル生成を増大させることも明らかになった。以下に示すように、調査によって、調査の一部として試験された精製植物油脂を、エステル結合することが明らかになった3−MCPDのレベルに準じて分類した。
低レベル(0.5〜1.5mg/kg):ナタネ油、ダイズ油、ヤシ油、ヒマワリ油
中レベル(1.5〜4mg/kg):サフラワー油、落花生油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油、米ぬか油
高レベル(>4mg/kg):水素添加脂肪、パーム油、及びパーム油留分、固形の揚げ物用脂。
グリシドールの脂肪酸エステルもやはり、精製グリセリド油で検出されたことも報告されている。グリシジルエステル(GE)は、国際がん研究機関(IARC)によって「恐らくヒトにとって発がん性である」と分類された(IARC群2A)、他の既知の汚染物質であり、例えば、植物油脂の熱処理中のその生成は、さらなる安全に対する懸念を増大させる(IARC、2000)。グリシジル脂肪酸エステルは、3−MCPD及び2−MCPDの脂肪酸エステルが生成される、同じアシルオキソニウム中間体から派生すると考えられる。グリシジルエステルは、塩化物イオンによるアシルオキソニウムの求核攻撃よりもむしろ、以下に示すように、モノグリセリドから誘導されるアシルオキソニウム中間体の脱プロトン化及びエポキシド生成の結果として生成される。
これは、粗油中において十分な量の塩化物イオンが非存在の状態では、反応がグリシジル脂肪酸エステル生成で終わることを記載する、非特許文献3によって支持される。一方で、上記のCVUA研究で行われた分析の、塩化ナトリウムの添加を含む条件の下、グリシドールが大方定量的に反応して3−MCPDを生成することが報告されている。測定された結合3−MCPDの相当な量(10〜60%)は、実際、分析それ自体の結果として生成されたグリシドールの脂肪酸エステルから派生することが強く示される。
しかし、グリシジル脂肪酸エステルは、以下に示すように、熱により促進される分子内脱離反応の結果としてジグリシデリド(diglycideride)から主に派生すると考えられる(非特許文献4)。
脱臭のためのストリップ流として用いられる水は、塩化物の源となり、それによってクロロプロパノール脂肪酸エステル及びグリシジル脂肪酸エステルの生成を増大させると初めに疑われた。しかし、これは事実ではないことが示され(非特許文献5)、それよりも、塩素供与体が代わりに油中に油可溶性形態で存在し、クロロプロパノールの生成を可能にするはずであると示唆された(非特許文献6)。
グリセリド油で典型的に見つかる塩化物の無機質源には、鉄[III]塩化物(水処理の凝集剤)、KCl、又は塩化アンモニウム(植物生長を改善するのに用いられる)、並びに塩化カルシウム及び塩化マグネシウムが挙げられる。一方、粗グリセリド油に存在する有機塩素化合物は、例えば、熱分解の結果として塩化水素などの反応性塩素化化合物へ変換することができ、上記で示されたようにアシルグリセロールと反応することができる。有機塩素は、植物によって成熟中に内生的に産出することができる(非特許文献7、非特許文献8及び非特許文献9)。
前述したように、グリセリド油中の、クロロプロパノール及びグリシドールの脂肪酸エステルの蔓延は、高温への暴露及び精製に関連した他の工程条件への暴露によって大幅に増大する。典型的には、粗パーム油などのホスホリピド含有グリセリド油は、水性リン酸及び/又は水性クエン酸でデガミングされて、FFAが除去される前に、水和性及び非水和性の脂質成分並びに他の所望されない物質を除去する。FFAが除去されて、感覚刺激特性及び油安定性が改善される。従来の加工の脱酸は、水酸化ナトリウムなど強塩基の添加(「化学的精製」)による化学的方法(中和)によるものか、又は蒸気ストリッピング(「物理的精製」)などの物理的方法によるものである。食用油精製はまた、典型的には漂白(例えば、漂白土又は漂白粘土を用いて)及び脱臭(FFAを除去するのに用いることもできる)も含み、その後、精製グリセリド油が商業用途に適すると考えられる。先行技術において、いくつかの方法が、クロロプロパノール及びグリシドールの脂肪酸エステル、又はそれらの前駆体を食用グリセリド油から除去するために、精製する方法全体の一部として提案されてきた。
特許文献1には、蒸気ストリッピングの代わりに、植物油脂を、脱臭中に窒素などの不活性ガスでストリッピングすることによって、MCPDに結合されたエステルを除去する方法が記載されている。その方法は、140℃より高く270℃より低い温度で実施され、したがって従来のグリセリド(gylceride)油を精製する方法に比べ有意なエネルギー節約をもたらすわけではない。
非特許文献10に、焼成ゼオライト及び合成ケイ酸マグネシウム吸着剤を用いて、3−MCPD脂肪酸エステル及びグリシジル脂肪酸エステルをパーム油から除去する方法が開示されている。特許文献2にはまた、油を蒸気精製及び脱臭する前に、ケイ酸マグネシウム、シリカゲル、及び漂白粘土などの吸着剤と接触させることによって、グリシジル脂肪酸エステルを植物油から除去する方法が開示されている。吸着剤の使用に関わる問題には、精製グリセリド油を製造する経済的実行可能性へ相当な影響を及ぼし得る、ニュートラルオイル損失(neutral oil losses)の可能性、及び吸着剤再利用の選択の欠如が挙げられる。
例えば、特許文献3から、イオン交換樹脂が、FFA、着色体(colour-bodies)、ガム、及び香味材料を、これらの不純物をイオン交換樹脂に吸着させることによって、グリセリド油から除去するのに用いられることがあるとも知られている。特許文献4には、脱臭工程中に、MCPDエステル生成に関わる化学種、又はエステル自体と選択的に結合するために、カルボキシメチルセルロースなどのイオン交換樹脂を用いることが記載されている。
代替的なものとして、特許文献5には、植物油と非混和性である極性溶媒溶液、例えば酸性化エタノール−水溶液で液−液抽出することによって、塩素化汚染物質を粗植物油から除去する方法が記載されている。極性溶媒相は、油がさらなる精製を受ける前に、抽出に続いて廃棄される。
極性溶媒を用いた液−液抽出技術は、従来、例えばFFA除去などの、グリセリド油の油処理として開示されており、汚染物質の溶解度差及び特定の溶媒相への選択的分配によって油がもたらす分離(oil effecting separation)に基づいて行ってきた。非特許文献11に、植物油を脱酸するためのこうした手法の概説が示される。液−液抽出法は、一般に室温で実施することができること、廃棄物を生じないこと、低いニュートラルオイル損失から利益を得ることに基づいて、有利であると考えられる。しかし、Meirellesらは、液−液抽出法の実施に関連する相当な資本コストが存在し、全体の利益に対する疑いが依然としてあると考える。さらに、この液−液抽出技術で使用される極性溶媒は、しばしば、FFAに加えてモノグリセリド及びジグリセリドを油から除去できることもあり、望ましくない可能性がある。
クロロプロパノール、クロロプロパノール脂肪酸エステル、グリシドール、及びグリシドール脂肪酸エステルを除去することができ、従来のグリセリド油を精製する方法に容易に組み込むことができる、代替的なグリセリド油処理があれば、有益であろう。
本発明は、塩基性アニオンを含むある種の塩基性イオン液体を、クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルをグリセリド油から除去するのに有利に用いることができ、その処理をグリセリド油を精製する方法全体に容易に組み込むことができるという驚くべき発見から導き出される。さらに、塩基性イオン液体によるグリセリド油の処理により、典型的に、従来の精製する方法の分離漂白するステップ及び高温脱臭するステップ(例えば、240℃〜270℃)それぞれで除去される、顔料及び芳香化合物が、少なくとも部分的に除去されることが明らかになった。塩基性イオン液体によるグリセリド油の処理は、精製する方法全体の一部である脱臭するステップに、より低い温度及び/又はより短い時間区分を用いることができ、仮に行うとしてもより狭い範囲のデガミング及び/又は漂白が必要とされ得ることを意味する。これにより、精製する方法に関連するエネルギー要件を緩和し、材料コストを下げる利点がある。
国際公開第2011/009843号パンフレット 国際公開第2011/069028号パンフレット 米国特許第2771480号明細書 国際公開第2011/009841号パンフレット 国際公開第2012/130747号パンフレット
Food Chem Toxicol, 2013, Aug; 58: pages 467 to 478 Destaillats, F.; Craft, B. D.; Sandoz, L; Nagy, K.; Food Addit. Contam. 2012b, 29, 29-37 The International Life Sciences Institute (ILSI) Europe Report Series entitled "3-MCPD Esters in Food Products" by John Christian Larsen (October 2009) Destaillats, F.; Craft, B. D.; Dubois, M.; Nagy, Food Chem. 2012a, 131, 1391-1398 Prudel et al., Eur, J. Lipid Sci. Technol. 2011, 113, 368-373 Matthaus et al., Eur, J. Lipid Sci. Technol. 2011, 113, 380-386 Matthaus, B., Eur. J. Lipid Sci. Technol. 2012, 59, 1333-1334 Nagy, K.; Sandoz, L; Craft, B. D.; Destaillats, F.; Food Addit. Contam. 2011, 28, 1492-1500 "Processing Contaminants in Edible Oils-MCPD and Glycidyl Esters", AOCS Press, 2014, Chapter 1 Eur, J. Lipid Sci. Technol. 2011, 113, 387-392 Meirelles et al., Recent Patents on Engineering 2007, 1, 95-102
一態様において、本発明は、クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルをグリセリド油から除去する方法であって、
(i)クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルを含むグリセリド油を塩基性イオン液体と接触させて、被処理グリセリド油を生成するステップであり、塩基性イオン液体が、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、アルキル炭酸イオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、セリネートイオン(serinate)、プロリネートイオン(prolinate)、ヒスチジネートイオン(histidinate)、トレオニネートイオン(threoninate)、バリネートイオン(valinate)、アスパラギネートイオン(asparaginate)、タウリネートイオン(taurinate)、及びリシネートイオンから選択される塩基性アニオン、並びに有機第四級アンモニウムカチオンを含む、ステップと、
(ii)グリセリド油を塩基性イオン液体と接触させた後、被処理グリセリド油を、有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物から分離するステップであり、被処理グリセリド油が、ステップ(i)で接触させたグリセリド油と比較して、減少した、クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルの濃度を有する、ステップと
を含む、前記方法を提供する。
いくつかの実施形態において、ステップ(i)で接触させたグリセリド油中のモノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの全濃度は、少なくとも0.01ppm、例えば、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、又は少なくとも1.0ppmである。例示的な実施形態において、ステップ(i)で接触させたグリセリド油中のモノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの全濃度は、0.01ppm〜30ppm、1ppm〜25ppm、又は1.5ppm〜20ppmであることができる。
好ましくは、ステップ(ii)で分離された被処理グリセリド油は、ステップ(i)で接触させたグリセリド油よりも、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%低い全濃度のモノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルのを有する。
上記実施形態において、モノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの全濃度を好適に決定する方法は、DGF標準法C−VI 18(10)A又はBによる。これらは、アルカリ条件下でのメタノリシスによって、モノクロロプロパノールの脂肪酸エステルが非結合モノクロロプロパノールに変換され、次いでGC−MS分析が行われる、モノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの全濃度を決定する間接法である。方法A又は方法Bのいずれかにおいて、その手法は、除去するステップ(方法A)によって、又は方法の一部としてNaClよりむしろNaBrを用いること(方法B)によって、試料中のグリシドールの脂肪酸エステルの存在の任意の影響を打ち消して、グリシドールの脂肪酸エステルからモノクロロプロパノールの脂肪酸エステルへの変換を阻止する。
いくつかの実施形態において、ステップ(i)で接触させたグリセリド油中のグリシジル脂肪酸エステルの全濃度は、少なくとも0.1ppm、例えば、少なくとも1.0ppm、少なくとも2.0ppm、又は少なくとも5ppmである。例示的な実施形態において、ステップ(a)で接触させたグリセリド油中の、そのグリシジル脂肪酸エステルの全濃度は、0.1ppm〜30ppm、1ppm〜25ppm、又は1.5ppm〜20ppmであることができる。好ましくは、ステップ(ii)で分離された被処理グリセリド油は、ステップ(i)で接触させたグリセリド油よりも、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%低い全濃度のグリシジル脂肪酸エステルを有する。
上記実施形態において、グリシジル脂肪酸エステルの全濃度を好適に決定する方法は、DGF標準法C−VI 17(10)及びDGF標準法C−VI 18(10)A又はBの組み合わせによる。前述したように、DGF標準法C−VI 17(10)は、モノクロロプロパノール及びグリシドール並びにそれらの脂肪酸エステルの全濃度を決定するのに用いられるが、DGF標準法C−VI 18(10)A又はBは、モノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルだけの濃度を決定する。両方の方法を用いることによって、グリシジル脂肪酸エステルの濃度を、決定された、モノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルとグリシジルエステルとの合計から、決定されたモノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの濃度を減じることによって、間接的に決定することができる。
他の態様において、本発明は、
i)クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルを含むグリセリド油を塩基性イオン液体と接触させて、被処理グリセリド油を生成するステップであり、塩基性イオン液体が、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、アルキル炭酸イオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、セリネートイオン、プロリネートイオン、ヒスチジネートイオン、トレオニネートイオン、バリネートイオン、アスパラギネートイオン、タウリネートイオン、及びリシネートイオンから選択される塩基性アニオン、並びに有機第四級アンモニウムカチオンを含む、ステップと、
ii)グリセリド油を塩基性イオン液体と接触させた後、被処理グリセリド油を、有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物から分離するステップであり、被処理グリセリド油が、ステップ(i)で接触させたグリセリド油と比較して、減少した、クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルの濃度を有する、ステップと
を含む、グリセリド油を精製する方法であって、
その方法が、グリセリド油を塩基性イオン液体と接触させる前及び/又は接触させた後で、グリセリド油を少なくとも1つの精製するステップに供するステップをさらに含む、前記方法を提供する。
いくつかの実施形態において、塩基性イオン液体と接触させたグリセリド油中のモノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの全濃度は、DGF標準法C−VI 18(10)A又はBによって決定して、少なくとも0.01ppm、例えば、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、又は少なくとも1.0ppmである。例示的な実施形態において、塩基性イオン液体と接触させたグリセリド油中のモノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの全濃度は、0.01ppm〜30ppm、1ppm〜25ppm、又は1.5ppm〜20ppmであることができる。
好ましくは、ステップ(ii)で分離された被処理グリセリド油は、ステップ(i)で接触させたグリセリド油よりも、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%低い全濃度のモノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルを有する。
いくつかの実施形態において、塩基性イオン液体を含むグリセリド油中のグリシジル脂肪酸エステルの全濃度は、DGF標準法C−VI 17(10)及びDGF標準法C−VI 18(10)A又はBの組み合わせによって決定して、少なくとも0.1ppm、例えば、少なくとも1.0ppm、少なくとも2.0ppm、又は少なくとも5ppmである。例示的な実施形態において、塩基性イオン液体と接触させたグリセリド油中のグリシジル脂肪酸エステルの全濃度は、0.1ppm〜30ppm、1ppm〜25ppm、又は1.5ppm〜20ppmであることができる。
好ましくは、ステップ(ii)で分離された被処理グリセリド油は、ステップ(i)で接触させたグリセリド油よりも、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%低い全濃度のグリシジル脂肪酸エステルを有する。
本明細書で用いられる用語「グリセリド油」は、その主要成分としてトリグリセリドを含む、油又は脂を示す。例えば、トリグリセリド成分は、グリセリド油の少なくとも50重量%であることができる。グリセリド油は、モノグリセリド及び/又はジグリセリドも含むことができる。好ましくは、グリセリド油は、天然源(例えば、植物、動物、又は魚/甲殻類の源)から少なくとも部分的に得られ、好ましくは食用でもある。グリセリド油には、典型的にその粗状態でホスホリピド成分も含む、植物油、水産油、及び動物油/脂が含まれる。
植物油には、全ての植物、堅果、種の油が含まれる。本発明で用いてもよい好適な植物油の例には、アサイーオイル、アーモンドオイル、ブナノキ油、カシュー油、ヤシ油、ナタネ油(colza oil)、トウモロコシ油、綿実油、グレープフルーツ種子油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、大麻油、レモン油、マカダミア油、マスタード油、オリーブ油、オレンジ油、落花生油(peanut oil)、パーム油、ペカン油、松の実油、ピスタチオ油、ケシ油、ナタネ油、米ぬか油、サフラワー油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油、クルミ油、及び小麦胚芽油が挙げられる。好ましい植物油は、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、落花生油(groundnut oil)、オリーブ油、パーム油、ナタネ油(rapeseed oil)、米ぬか油、サフラワー油、ダイズ油、及びヒマワリ油から選択される油である。最も好ましくは、植物油は、パーム油又はダイズ油である。
好適な水産油には、油の多い魚又は甲殻類(例えば、クリール)の組織から誘導される油が挙げられる。好適な動物油/脂の例には、ブタ脂(ラード)、カモ脂、ガチョウ脂、獣脂油、及びバターが挙げられる。
グリセリド油に存在することがあるFFAは、モノ不飽和FFA、多価不飽和FFA、及び飽和FFAを含む。不飽和FFAの例には、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、及びドコサヘキサエン酸が挙げられる。飽和FFAの例には、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸(tridecylic acid)、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、及びセロチン酸が挙げられる。
好ましくは、本発明で用いられるグリセリド油は植物油である。より好ましくは、グリセリド油は、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、オリーブ油、パーム油、ナタネ油、米ぬか油、サフラワー油、ダイズ油、及びヒマワリ油から選択される植物油である。最も好ましくは、植物油はパーム油又はダイズ油である。
本明細書で用いられる用語「ダイズ油」は、ダイズ(ダイズ(Glycine max))の種から抽出される油を含む。本明細書で用いられる用語「パーム油」は、ヤシ科(Arecaceae genera)の一部を成し、ギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)種(アフリカのアブラヤシ)及びアメリカアブラヤシ(Elaeis oleifera)種(アメリカのアブラヤシ)、又はその交配種を含む、アブラヤシ属(genus Elaeis)の木から少なくとも部分的に誘導される油を含む。したがって、本明細書のパーム油についての言及は、パーム核油及び分留したパーム油、例えば、パーム油ステアリン留分又はパーム油オレイン留分も含む。本明細書で用いられる用語「ナタネ油」は、カノーラ油と同義であり、例えば、ナタネ(セイヨウナタネ(Brassica napus L.))又はノハラガラシ/アブラナ(アブラナ(Brassica rapa subsp. oleifera)、ハクサイ(syn. B. campestris L.))のナタネ種から誘導される油を指す。
グリセリド油に関して本明細書で用いられる用語「粗」は、油抽出に続いて精製するステップを受けていないグリセリド油を意味することを意図する。例えば、粗グリセリド油は、デガミングするステップ、脱酸するステップ、脱ろうするステップ、漂白するステップ、脱色するステップ、又は脱臭するステップを受けていないことになる。グリセリド油に関して本明細書で用いられる「精製された」は、デガミングするステップ、脱酸するステップ、脱ろうするステップ、漂白するステップ、脱色するステップ、及び/又は脱臭するステップなどの、1又は2以上の精製するステップを受けたグリセリド油を意味することを意図する。
本明細書で称される「クロロプロパノール」は、例えば、グリセロールから派生することができるクロロプロパノールであって、モノクロロプロパノール、2−クロロ−1,3−プロパンジオール(2−MCPD)、及び3−クロロ−1,2−プロパンジオール(3−MCPD)、並びにジクロロプロパノール、2,3−ジクロロプロパン−1−オール(2,3−DCP)、及び1,3−ジクロロプロパン−2−オール(1,3−DCP)を含む、クロロプロパノールに対応する。本明細書で称されるクロロプロパノールの脂肪酸エステルは、FFAによるエステル化から生成される、クロロプロパノールのモノエステル形態又はジエステル形態に対応する。
本明細書で称されるグリシドールは、2,3−エポキシ−1−プロパノールに対応する。本明細書で称されるグリシドールの脂肪酸エステルは、FFAによるグリシドールのエステル化から生成される、グリシドールのエステル形態に対応する。
本明細書で用いられる用語「イオン液体」は、塩を溶かすことによって産出可能な液体であり、その場合、イオンのみからなる液体である。イオン液体は、カチオンの1種及びアニオンの1種を含む均一な物質から生成されてもよく、又はカチオンの2種以上及び/若しくはアニオンの2種以上で構成することができる。したがって、イオン液体は、カチオンの2種以上及びアニオンの1種で構成されてもよい。イオン液体は、さらにカチオンの1種及びアニオンの1又は2以上の種で構成されてもよい。またさらに、イオン液体は、カチオンの2種以上及びアニオンの2種以上で構成されてもよい。
用語「イオン液体」は、共に、高い融点を有する化合物、及び例えば、室温以下の低い融点を有する化合物を含む。したがって、多くのイオン液体は、200℃より低い融点、好ましくは150℃より低い融点、特に100℃より低い融点、室温付近(15〜30℃)の融点、又はさらに0℃より低い融点を有する。約30℃より低い融点を有するイオン液体が、一般的に「室温イオン液体」と称される。室温イオン液体では、カチオン及びアニオンの構造により、規則性結晶構造の生成が妨げられ、そのため塩は室温で液体である。
本明細書で用いられる用語「イオン液体」はまた、イオン液体特性を示すが、溶媒が存在する状態で、又は支持体上でのみ安定に存在する、「非正統的な」イオン液体も含む。例えば、本発明に従って用いられる塩基性イオン液体は、第四級アンモニウム水酸化物イオン液体も含む。これらのイオン液体は、ニート(neat)な形態でホフマン脱離によって不安定になることがあるため、典型的には「非正統的な」イオン液体として考えられる。それでも、こうしたイオン液体は、支持体で固定されるとき(例えば、Chem. Commun., 2004, 1096-1097参照)、又は溶媒、例えば水性溶媒が存在する状態で、安定に存在することが知られている。本発明に従って用いられる塩基性イオン液体は、第四級アンモニウム重炭酸イオン液体も含む。これらのイオン液体は、やはり、ホフマン脱離(水酸化物系イオン液体よりもかなり少ない程度であるが)、及び重炭酸塩アニオンの炭酸塩形態への熱分解を被ることもあるため、典型的には「非正統的な」イオン液体であると考えられる。それでも、こうしたイオン液体は、溶媒、例えば水性溶媒が存在する状態で、安定に存在することが知られている。
したがって、「非正統的な」塩基性イオン液体が本発明に従って用いられる場合、水性溶媒などの溶媒と共に、塩基性イオン液体を含む液体を用いることができる。アルコール共溶媒などの追加の共溶媒も含まれていてもよい。イオン液体が溶媒と組み合わせて用いられる好ましい実施形態が、以下により詳細に説明される。
イオン液体は、その、ごくわずかな蒸気圧、温度安定性、低い燃焼性、及び再利用性のために、やはり環境に配慮したものにする、溶媒として最も広く知られている。利用可能なアニオン/カチオンの組み合わせの膨大な数のために、イオン液体の物理的特性(例えば、融点、密度、粘度、及び水又は有機溶媒との混和性)を特定の用途の要件に合うように微調整することが可能である。
したがって、イオン液体は、従来、その有利な特性のために、様々な有機化合物合成及びポリマー合成のための溶媒として開発されてきた。イオン液体が、溶媒として用いられるときに担うことになる、様々な役割を思索する多くの報告がされてきた。S.-I. Ishiguro et al., Pure Appl. Chem., Vol. 82, No.10, pp 1927 to 1941, 2010では、イオン液体が溶媒として作用すると考えられる反応において、溶質−溶媒相互作用、又は溶質イオン若しくは溶質分子の溶媒和が担う重要な役割が報告されている。溶媒粒子が、バルク液体構造に移動し、収容される前に反応で遊離することができる溶液において、こうした溶媒の液体構造が反応で担う重要な役割が特に強調されている。
S.-I. Ishiguroらによれば、イオン液体の液体構造が、分子溶媒とは異なって不均一であり、そのためイオン液体の特有の溶媒特性及び特有の溶質反応性をもたらすことができる。しかし、イオン液体の酸−塩基特性は、例えば、特に通常の分子液体と比較して、溶液化学に関して満足に確立されていないと認められた。したがって、イオン液体が特定の溶液をベースにした反応で果たすことがある役割を予測することは難しい。
本明細書で「有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物」を言及する場合、少なくとも有機第四級アンモニウムカチオンによって、グリセリド油を接触させるのに用いられる塩基性イオン液体から派生するイオン化合物を指すことを意図する。いくつかの実施例において、有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物は、塩基性イオン液体がアニオン交換を受ける結果として予測される塩化物アニオンを含むこともできる。他の実施例において、グリセリド油は、FFAを含み、有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物はまた、脂肪酸のアニオンを含む。被処理グリセリド油から分離されたイオン化合物は、本明細書で定められたイオン液体であってもよいが、初めにグリセリド油を接触させるのに用いられる塩基性イオン液体とは異なる。さらなる実施例において、有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物は、初めにグリセリド油を接触させるのに用いられるイオン液体と同じアニオンを含む。言い換えれば、被処理グリセリド油から分離されたイオン化合物は、初めにグリセリド油を接触させるのに用いられたイオン液体と同じものである。
本発明の方法で用いられるイオン液体は、有機第四級アンモニウムカチオンをベースにする。本明細書で用いられる「有機第四級アンモニウムカチオン」は、窒素原子が置換又は非置換のC−C12ヒドロカルビル基にのみ結合した正電荷アンモニウムカチオンを指すことを意図する。用語「ヒドロカルビル基」は、炭化水素から誘導された、一価のラジカル又は多価のラジカルを指し、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、又はアリールの各基を含むことができる。
好ましくは、塩基性イオン液体の有機第四級アンモニウムカチオンは、
[N(R)(R)(R)(R)]
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、直鎖状若しくは分岐状のC−Cアルキル基、又はC−Cシクロアルキル基から選択され、或いはR、R、R、及びRの任意の2つは、結合してアルキレン鎖−(CH−を生成し、但しqは3〜6であり、上記のアルキル基又はシクロアルキル基は、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシアルコキシ、C−Cシクロアルキル、−OH、−SH、−CO(C−C)アルキル、及び−OC(O)(C−C)アルキルから選択される1〜3個の基によって、例えば、1〜3個の−OH基によって置換されていてもよい。)
から選択される。
より好ましくは、塩基性イオン液体の有機第四級アンモニウムカチオンは、
[N(R)(R)(R)(R)]
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、直鎖状又は分岐状のC−Cアルキル基から選択され、上記アルキル基は、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシアルコキシ、C−Cシクロアルキル、−OH、−SH、−CO(C−C)アルキル、及び−OC(O)(C−C)アルキルから選択される1〜3個の基によって、例えば、1〜3個の−OH基によって置換されていてもよい。)
から選択される。
さらにより好ましくは、有機第四級アンモニウムカチオンは、
[N(R)(R)(R)(R)]
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、C、C、及びCのアルキルを含む、直鎖状又は分岐状のC−Cアルキル基から選択され、R、R、R、又はRの少なくとも1つは、1個の−OH基によって置換される。)
から選択される。
最も好ましくは、有機第四級アンモニウムカチオンはコリンである。

本発明に用いられる塩基性イオン液体は、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、アルキル炭酸イオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、セリネートイオン、プロリネートイオン、ヒスチジネートイオン、トレオニネートイオン、バリネートイオン、アスパラギネートイオン、タウリネートイオン、及びリシネートイオンから選択される塩基性アニオンを取り込む。これらのアニオンは、得られるイオン液体にある種の融点を付与するその能力によって選択される傍観アニオンであるだけではない。本発明に関連して用いられるイオン液体の一部を形成するアニオンの塩基度は、クロロプロパノール及びグリシドール、又はその脂肪酸エステルをグリセリド油から除去する、イオン液体の能力に寄与すると考えられる。本明細書で用いられる用語「塩基性」は、酸と反応(酸を中和)して塩を生成する能力を有するブレンステッド塩基を指す。塩基のpH範囲は、水に溶解又は懸濁されているとき、7.0より高く14.0以下である。
本発明の一実施形態において、塩基性アニオンは、アルキル炭酸イオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、水酸化物イオン、及びアルコキシドイオンから選択され、好ましくは炭酸水素イオン、アルキル炭酸イオン、及び炭酸イオンから選択され、より好ましくは炭酸水素イオンである。
塩基性アニオンが、アルコキシドイオン又はアルキル炭酸イオンから選択される場合、アルキル基は、直鎖状又は分岐状であってもよく、置換又は非置換であってもよい。好ましい一実施形態において、アルキル基は非置換である。他の好ましい実施形態において、アルキル基は、非分岐状である。より好ましい実施形態において、アルキル基は、非置換及び非分岐状である。
アルキル基は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子を含むことができる。したがって、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及び/又はデシルから選択することができる。イソ−プロピル、イソ−ブチル、sec−ブチル、及び/又はtert−ブチルなどの分岐状アルキル基もまた用いることができると理解されるであろう。特に好ましいのは、メチル、エチル、プロピル、及びブチルである。さらに好ましい実施形態において、アルキル基は、メチル及びエチルから選択される。
本発明の実施形態において、塩基性アニオンは、セリネートイオン、プロリネートイオン、ヒスチジネートイオン、トレオニネートイオン、バリネートイオン、アスパラギネートイオン、タウリネートイオン、及びリシネートイオンから選択される。
本発明の好ましい実施形態において、塩基性アニオンは、セリネートイオン、リシネートイオン、プロリネートイオン、タウリネートイオン、及びトレオニネートイオンから選択され、より好ましくはリシネートイオン、プロリネートイオン、及びセリネートイオンから選択され、最も好ましくは、塩基性アニオンは、リシネートイオンである。
本発明の方法から直接得られるグリセリド油を摂取に適合させるために、クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステル、並びにステップ(ii)で分離された有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物を除去するために用いられる塩基性イオン液体は、毒性がほとんどないか、全くない、及び/又は被処理油から容易に、且つ十分に分離できるものであると認識されたい。コリンカチオンを含む塩基性イオン液体は、本発明の方法で用いるのに特に好適である。コリンは、ビタミンB群に分類される水溶性の基本的な栄養素であり、数多くの生理学的機能に関わるアセチルコリンの前駆体である。コリンは、毒性が特に低く、優れた生分解性を有し、本発明の方法で特に有用なイオン液体を生成することができる天然成分となる。
したがって、本発明の特に好ましい実施形態において、塩基性イオン液体は、重炭酸コリン、


又はアルキル炭酸コリン、


(式中、アルキル基は、前述されたアルキル基である)
又は水酸化コリン

から選択される。
セリネートイオン、プロリネートイオン、ヒスチジネートイオン、トレオニネートイオン、バリネートイオン、アスパラギネートイオン、タウリネートイオン、及びリシネートイオンから選択される塩基性アニオンを含む塩基性イオン液体はまた、これらのアミノ酸誘導体の毒性が特に低いために、本発明の方法に特に好適である。
本発明の最も好ましい実施形態において、塩基性イオン液体は重炭酸コリンである。
グリセリド油を接触させるのに用いられる塩基性イオン液体、及び被処理グリセリド油から分離されたイオン化合物は、好ましくは、低い油溶解度を有し、優先的に水性相などの非油相へ分配し、被処理油からのその除去を容易にする。より好ましくは、塩基性イオン液体は、油と非混和性である。油と非混和性であることによって、塩基性イオン液体は、グリセリド油に50ppm未満、好ましくは30ppm未満、より好ましくは20ppm未満、最も好ましくは10ppm未満、例えば5ppm未満の濃度で溶解できることが意味される。したがって、塩基性イオン液体の溶解度は、塩基性イオン液体が油と非混和性であるように調整することができる。
好適には、グリセリド油を塩基性イオン液体と接触させるステップは、80℃未満の温度で、好ましくは25〜65℃の温度で、より好ましくは35〜55℃の温度で、例えば40℃の温度で実施される。認識されるであろうように、グリセリド油は、室温で半固体である場合、塩基性イオン液体と接触させるために液体状であるように、より高い温度が好ましい。好適には、接触させるステップは、0.1MPa絶対圧〜10MPa絶対圧(1バール絶対圧〜100バール絶対圧)の圧力で実施される。
いくつかの実施形態において、接触させるステップは、得られる混合物が、例えば機械式撹拌機、超音波式撹拌機、電磁撹拌機を用いて、又は混合物中で不活性ガスを泡立たせることによって、撹拌される容器内で、グリセリド油を塩基性イオン液体と接触させることによって実施することができる。
好適には、塩基性イオン液体及びグリセリド油は、1:40より大きく1:300までの体積比で接触させることができ、1:50からの、好ましくは1:100からの質量比で接触させることができる。接触させるステップは、1分〜60分、好ましくは2〜30分、より好ましくは5〜20分、最も好ましくは8〜15分持続することができる。
塩基性イオン液体は、ニートな形態で、又は塩基性イオン液体及びグリセリド油と相溶性である、溶媒又は溶媒混合物を追加的に含む液体の一部として、添加することができる。溶媒又は溶媒混合物は、塩基性イオン液体の粘度を所望されるように改良するのに用いてもよい。或いは、溶媒を用いることにより、液体系反応の液体構造に、塩基性イオン液体の反応を促進するのに特に好適な所望される特性を付与することができる。この用途に好適な溶媒には、水又はアルコール、例えばメタノール若しくはエタノールなどの極性溶媒が含まれる。
いくつかの実施形態において、グリセリド油を、液体中の塩基性イオン液体の濃度が15重量%〜90重量%である、塩基性イオン液体及び溶媒を含む液体と接触させる。例示的な実施形態において、溶媒は純水などの水性溶媒である。
好ましい実施形態において、塩基性イオン液体の塩基性アニオンが、アルキル炭酸イオン、炭酸水素イオン、及び炭酸イオンから選択される場合、特に塩基性アニオンが炭酸水素イオンである場合、グリセリド油を、塩基性イオン液体及び水性溶媒などの溶媒を含む液体と接触させ、液体中の塩基性イオン液体の濃度は、50重量%〜90重量%、例えば、75重量%〜85重量%である。
好ましい実施形態において、塩基性イオン液体の塩基性アニオンが、水酸化物イオン及びアルコキシドイオンから選択される場合、特に塩基性アニオンが水酸化物イオンである場合、グリセリド油を、塩基性イオン液体及び水性溶媒などの溶媒を含む液体と接触させ、液体中の塩基性イオン液体の濃度は、15重量%〜60重量%、好ましくは40重量%〜50重量%である。
上記実施形態において、塩基性イオン液体が溶媒との混合物の一部である場合、追加の共溶媒も含まれていてもよい。例えば、水性溶媒が用いられる場合、アルコール共溶媒(複数可)が、例えば塩基性イオン液体及び水性溶媒を含む液体の1重量%から20重量%の間で含まれていてもよい。
被処理グリセリド油から有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物を分離するステップは、重力分離によって(例えば、沈降装置において)実施することができ、沈降装置で、被処理グリセリド油が一般的に上相であり、任意の溶媒と共に有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物が下相に取り込まれる。有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物を分離するステップは、例えば、デカンター、液体サイクロン、静電併合、遠心分離機、又はメンブレンフィルタープレスを用いて成し遂げることもできる。好ましくは、相は、遠心分離機を用いて分離される。接触させるステップ及び分離するステップは、複数回、例えば、2〜4回繰り返すことができる。
グリセリド油から分離された、有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物が、グリセリド油を接触させた後、例えば第四級アンモニウム−FFA塩の生成に続いて沈降する固体である場合、固体イオン化合物は、濾過によって油から分離することができる。或いは、油相と非混和性である、前述された極性溶媒を、固体イオン化合物を溶解させるために添加することができ、それに続いて塩含有相を上述の方法によって油から分離することができる。
接触させるステップ及び分離するステップは、共に向流反応カラムで実施することもできる。グリセリド油(以下「油供給流」)は、一般に向流反応カラムの下部で、又は下部付近で導入され、塩基性イオン液体を含有する相(以下「塩基性イオン液体供給流」)は、向流反応カラムの上部で、又は上部付近で導入される。被処理油相(以下「生成油流」)は、カラムの上部から引き出され、有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物、及び存在する場合溶媒を含有する相(以下「第2流」)は、カラムの下部で、又は下部付近から引き出される。好ましくは、向流反応カラムは、第2流を収集する油溜め領域を有する。好ましくは、油供給流は、油溜め領域のすぐ上の向流反応カラムへ導入される。2個以上の向流反応カラム、例えば、直列に配列された、2〜6個、好ましくは、2〜3個のカラムを用いることができる。好ましくは、向流反応カラムは、構造化されたパッキン材料、例えばガラスラシヒリングで充填することができ、それによって、カラムを通る油及び塩基性イオン液体の流出経路が増える。或いは、向流反応カラムは、複数のトレイを備えてもよい。
特に好ましい実施形態において、接触させるステップ及び分離するステップは共に、遠心接触分離器、例えば米国特許第4959158号明細書、米国特許第5571070号明細書、米国特許第5591340号明細書、米国特許第5762800号明細書、国際公開第99/12650号パンフレット、及び国際公開第00/29120号パンフレットに記載された遠心接触分離器で実施される。好適な遠心接触分離器には、Costner Industries Nevada, Inc.社製のものが挙げられる。グリセリド油及び塩基性イオン液体を含有する相を、遠心接触分離器の環状混合領域へ導入することができる。好ましくは、グリセリド油及び塩基性イオン液体を含有する相は、分離供給流として環状混合領域へ導入される。グリセリド油及び塩基性イオン液体を含有する相は、環状混合領域で急速に混合される。次いで、得られる混合物は、分離領域を通り、遠心力が加わって、油相及び第2相に明確に分離される。
好ましくは、複数個の遠心接触分離器、好ましくは2〜6個、例えば、2〜3個を直列で用いる。好ましくは、油供給流が、直列の第1の遠心接触分離器に導入される一方で、塩基性イオン液体供給流を含む液体が、直列の最終の遠心接触分離器に導入されて、例えば、FFA又は遊離塩化物アニオンの含量が次第に減少する油が、直列の、第1の遠心接触分離器から最終の遠心接触分離器へ通る一方で、例えば、第四級アンモニウム−FFA塩及び/又は第四級アンモニウム塩化物の含量が次第に増加する塩基性イオン液体流が、直列の、最終の遠心接触分離器から第1の遠心接触分離器へ通るようにする。したがって、有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物を含有する相は、第1の遠心接触分離器から除去され、被処理油相は、直列の最終の遠心接触分離器から除去される。
必要に応じて、被処理グリセリドに含まれている残留塩基性イオン液体は、生成油流をシリカカラムに通して、残留塩基性イオン液体がシリカカラムに吸着されることによって回収することができる。次いで、吸着された塩基性イオン液体は、塩基性イオン液体用の溶媒を用いてシリカカラムから洗い落とすことができ、塩基性イオン液体は、減圧で溶媒を飛ばすことによって回収することができる。
被処理グリセリド油は、連続相を産出し、相分離を促進するように、非油相液体、例えば有機第四級アンモニウムカチオンのイオン化合物を含む液体の微細液滴を合体させるために、コアレッサーフィルタ(coalescer filter)に通すこともできる。好ましくは、グリセリド油を接触させるステップで用いられる塩基性イオン液体が溶媒を含む場合、濾過を改善するためにコアレッサーフィルタを同じ溶媒で濡らす。
いくつかの実施形態において、塩基性イオン液体は、支持材に用意することができる。本発明で用いられる好適な支持体は、シリカ、アルミナ、アルミナ−シリカ、炭素、活性炭素、又はゼオライトから選択することができる。好ましくは、支持体はシリカである。支持された形態により、好適な溶媒を含むスラリーとして油と接触させることができる。溶媒は前述された溶媒から選択される。
支持された塩基性イオン液体が用いられる場合、接触させるステップ及び分離するステップは共に、支持された塩基性イオン液体で充填されたカラム(すなわち、充填ベッド構造(packed bed arrangement))に油を通すことによって実施することもできる。追加的に、又は代替的に、複数の、プレート及び/又はトレイを備えた固定ベッド構造を用いることができる。
支持材に塩基性イオン液体を支持する方法は、例えば米国特許出願公開第2002/0169071号、米国特許出願公開第2002/0198100号、及び米国特許出願公開第2008/0306319号など、当分野でよく知られている。典型的には、塩基性イオン液体は、支持材に物理吸着又は化学吸着することができ、好ましくは物理吸着することができる。本発明の方法において、塩基性イオン液体は、塩基性イオン液体:支持体質量比10:1〜1:10で、好ましくは、塩基性イオン液体:支持体質量比1:2〜2:1で支持体に吸着することができる。
本発明に従って用いられる塩基性イオン液体は、クロロプロパノール及びグリシドール、並びにそれらの脂肪酸エステルをグリセリド油から除去できることが明らかになった。いくつかの反応機構は、油を塩基性イオン液体と接触させた結果として可能であると考えられる。任意の特定の理論にとらわれることなく、塩基性イオン液体により、クロロプロパノール及びグリシドール、並びにそれらの脂肪酸エステルのイオン液体を含有する相への優先的な分配が促進され得る。或いは、塩基性イオン液体により、水が存在する状態での、クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルの加水分解が促進され得る。例えば、塩基促進加水分解により、クロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの塩素−炭素結合の開裂がもたらされることがある一方で、塩基促進加水分解により、グリシドール及びその脂肪酸エステルのエポキシドの開環がもたらされることがある。
非結合クロロプロパノール及びグリシドールは、様々な程度でグリセリド油中に含まれていることがある。例えば、非結合クロロプロパノールは、植物によって成熟中に内生的に産出することができる数多くの有機塩素化合物の1つに対応する。(Matthaus, B., Eur. J. Lipid Sci. Technol. 2012, 59, 1333-1334、Nagy, K.; Sandoz, L.; Craft, B. D.; Destaillats, F.; Food Addit. Contam. 2011, 28, 1492-1500、及び"Processing Contaminants in Edible Oils-MCPD and Glycidyl Esters", AOCS Press, 2014, Chapter 1)。一方で、クロロプロパノール脂肪酸エステル及びグリシジル脂肪酸エステルの生成は、主に(i)グリセリド油のモノグリセリド及びジグリセリドの含量、(ii)グリセリド油の塩化物含量、(iii)グリセリド油のプロトン活性、並びに(iv)精製中の熱暴露の程度に左右されることが明らかになった。
除去を必要とするクロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルが含まれるならば、塩基性イオン液体処理は、油抽出の後に任意の先行の精製するステップを受けていない粗グリセリド油に施すことができる。しかし、クロロプロパノール及びグリシドール、並びにそれらの脂肪酸エステルの濃度は、相当な熱暴露を受けた脱臭済みグリセリド油で最も高い。したがって、好ましい実施形態において、前述された除去する方法のステップ(i)で接触させたグリセリド油は、好ましくは、減圧で蒸気などのストリッピング剤と油を接触させることによってグリセリド油を脱臭した脱臭済みグリセリド油である。
イオン液体処理が本発明の一態様に従ってグリセリド油を精製する方法に組み込まれる場合、前述された精製する方法は、グリセリド油を塩基性イオン液体と接触させる前及び/又は接触させた後で、好ましくは、接触させる前に、グリセリド油を少なくとも1つの精製するステップに供するステップを含む。
多様な追加の精製する段階は、塩基性イオン液体で処理する前、又は処理した後で行われる。当分野の技術者には、例えば、"Practical Guide to Vegetable Oil Processing", 2008, Monoj K. Gupta, AOCS Press、及びthe Edible Oil Processing section of the "AOCS Lipid Library" website (lipidlibrary.aocs.org)に説明された精製するステップを含む食用油加工で典型的に用いられる様々な精製するステップが知られている。
いくつかの実施形態において、塩基性イオン液体処理に加えて行われる、少なくとも1つの精製するステップは、デガミングするステップ、漂白するステップ、脱ろうするステップ、脱色するステップ、及び脱臭するステップから選択される精製するステップを含むことができる。特に好ましい実施形態において、塩基性イオン液体処理に加えて行われる、少なくとも1つの精製するステップは、デガミングするステップ、漂白するステップ、及び/又は脱臭するステップを含む。好ましい実施形態において、塩基性イオン液体処理に加えて行われる、少なくとも1つの精製するステップは、脱臭するステップを含む。
デガミングするステップは、典型的には油を水性リン酸及び/又は水性クエン酸と接触させて、水和性及び非水和性のホスファチド(NHP)を共に除去することを含む。典型的には、クエン酸又はリン酸は50重量%水溶液として添加される。好適には、水性酸は、油の約0.02重量%〜約0.20重量%の酸量で、好ましくは、油の0.05重量%〜約0.10重量%の酸量で用いられる。好適には、デガミングするステップは、約50〜110℃、好ましくは80℃〜100℃、例えば、90℃の温度で実施される。デガミングするステップは、好適には、5分〜60分、好ましくは15〜45分、より好ましくは20〜40分、例えば30分持続することができる。酸処理に続いて粘液を沈下させた後、水性相は、デガミングされた油が一般に乾く前に分離される。デガミングされた油を乾燥するステップは、好適には80〜110℃の温度で、好適な時間区分、例えば20〜40分、減圧で、例えば2〜3kPa(20〜30mbar)で行われる。
当分野の技術者に知られているように、低いホスファチド含量(例えば、リン20重量ppm未満)のグリセリド油について、リン酸又はクエン酸を水で大幅に希釈することなく(例えば、85%酸溶液)添加した乾燥デガミング法を用いることができる。NHPは、次の漂白するステップで油から除去することができる、ホスファチジン酸、及び重リン酸カルシウム又は重リン酸マグネシウムの塩へ変換される。油にホスファチド、特にNHPが多い場合、乾燥デガミングは、過剰な量の漂白土が必要となるので、あまり適さないことが知られている。
漂白するステップは、食用油を精製する方法に組み込まれ、クロロフィル、残留セッケン、及びガムを含む着色体、微量金属、並びに酸化生成物を減らす。漂白するステップは、典型的には、例えば、油の質量に対して粘土0.5〜5重量%の量の漂白粘土又は漂白土と油を接触させるステップを含む。漂白粘土又は漂白土は、典型的には、3種の粘土鉱物、カルシウムモンモリロナイト、アタパルジャイト、及び海泡石の、1又は2以上で構成される。中性活性粘土及び酸活性粘土を含む、任意の好適な漂白粘土又は漂白土を、本発明に従って用いることができる(例えば、ベントナイト)。好適には、土を典型的に濾過によって分離する前に、油を漂白粘土と15〜45分、好ましくは20〜40分接触させる。典型的には、80℃〜125℃の温度で、好ましくは90℃〜110℃の温度で、油を漂白粘土又は漂白土と接触させる。大気圧下で行われる接触の最初の区分(「湿式漂白」)に続いて、漂白する方法の第2の段階は、減圧下、例えば、2〜3kPa(20〜30mbar)で行われる(「乾式漂白」)。
有利なことに、塩基性イオン液体処理は、少なくとも部分的に、油をデガミングすることもでき、顔料を除去することもできることが明らかになった。それは、デガミングするステップ及び漂白するステップの範囲を、例えば処理時間又は材料に関して減ずることができることを意味する。
脱臭するステップは、FFA、アルデヒド、ケトン、アルコール、炭化水素、トコフェロール、ステロール、及び植物ステロールなどの揮発性成分を蒸発又は抽出するように、ある量のストリッピング剤を、典型的には、減圧下で一定時間、直接注入することによって蒸留装置の油に通す、ストリッピングする方法に対応する。ストリッピング剤は、好ましくは、蒸気であるが、窒素などの他の作用剤を用いてもよい。好適に用いられるストリッピング剤の量は、油の約0.5重量%〜約5重量%である。
本発明の一態様による精製する方法の脱臭するステップの温度範囲は、好適には160℃〜270℃である。本明細書で脱臭するステップの温度について言及する場合、油がストリッピング剤に暴露される前に加熱される温度を指す。脱臭するステップの圧力範囲は、好適には0.1〜0.4kPa(1〜4mbar)、好ましくは0.2〜0.3kPa(2〜3mbar)である。脱臭するステップの好適な時間区分は、典型的には30〜180分、例えば60〜120分、又は60〜90分である。
当分野の技術者は、グリセリド油の性状及び組成を解析すること、例えば、油のp−アニシジン価(AnV)を測定することによって、脱臭するステップの好適な長さを決定することができる。油のp−アニシジン価は、その酸化状態の測定値であり、より具体的には、主に2−アルケナール及び2,4−ジエナールなどアルデヒドであるが、油に含まれる第2の酸化生成物の濃度に関する情報をもたらす。したがって、p−アニシジン価(AnV)は、脱臭するステップによって除去しようとする酸化生成物の濃度の指標をもたらす。例えば、AOCS公定法Cd 18−90で決定して、AnVが10未満、好ましくは5未満である場合、十分な脱臭するステップを成し遂げることができる。
追加的に、又は代替的に、典型的には粗油の臭気と関連する、油のアルデヒド成分及びケトン成分の量を測定することができ、それにより十分に脱臭が行われたかどうかを決定する。粗パーム油又は臭いパーム油の典型的な揮発性臭気のアルデヒド成分及びケトン成分には、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、n−プロパナール、n−ブタナール、n−ペンタナール、n−ヘキサナール、n−オクタナール、n−ナナナール(nananal)、2−ブテナール、3−メチルブタナール、2−メチルブタナール、2−ペンタナール、2−ヘキサナール、2E,4E−デカジエナール、2E,4Z−デカジエナール、2−ブタノン、2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2−ノナノンが挙げられる。好ましくは、これらの成分の各々は、脱臭済み油中にそれぞれ、油1kg当たり3mg未満、より好ましくは油1kg当たり1mg未満、最も好ましくは油1kg当たり0.5mg未満の量で存在する。
アルデヒド及びケトンの量は、クロマトグラフ法、例えば、GC−TOFMS又はGCxGC−TOFMSによって容易に測定することができる。或いは、アルデヒド及びケトンの誘導体化を用いて、クロマトグラフ分析を改良することができる。例えば、アルデヒド及びケトンは、酸性条件の下、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)で誘導体化できることが知られている。この試薬は、カルボン酸又はカルボン酸エステルと反応することはなく、したがって分析が、グリセリド油試料中のこうした成分の存在によって影響されることはない。誘導体化に続いて、HPLC−UV分析によって、試料中に存在するアルデヒド及びケトンの全量を定量化することができる。
前述されたように、従来のグリセリド油を精製する方法は、油が塩化物源を含む場合及び/又は油のプロトン活性に応じて、クロロプロパノール脂肪酸エステル及びグリシジル脂肪酸エステルの生成にかなり寄与する、相当な量の熱エネルギーをもたらす、高温脱臭するステップ(例えば、240〜270℃)を含む。その結果、好ましい実施形態において、少なくとも1つの精製するステップが脱臭するステップを含む場合、脱臭するステップは塩基性イオン液体処理の前に行われる。これにより、クロロプロパノール脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルの濃度が最も高いと考えられる脱臭済みグリセリド油に、塩基性イオン液体処理が確実に施される。
しかし、本発明に従う塩基性イオン液体による処理の他の利点は、従来の精製する方法中の高温脱臭するステップ(例えば、240℃〜270℃)で、典型的に除去される顔料及び芳香化合物を、処理によって少なくとも部分的に除去することも明らかになったことである。塩基性イオン液体によるグリセリド油の処理によれば、特に脱臭するステップが塩基性イオン液体処理の後で実施される場合、より低い温度及び/又はより短い時間区分を、精製する方法全体の一部としての脱臭するステップに用いることができる。したがって、脱臭するステップの前に塩基性イオン液体処理を実施することは、精製する方法のエネルギー要件を緩和する利点をもたらす。さらに、有利なことに、脱臭するステップ中の熱暴露の温度を低くするか、又は時間区分を短くするかによって、油の所望されない感覚刺激特性をもたらし得る副反応、又は所望されない潜在的な有害副生成物の生成も低減させることができる。
したがっていくつかの実施形態において、塩基性イオン液体処理に加えて実施される少なくとも1つの精製するステップが脱臭するステップを含む場合、脱臭するステップを、塩基性イオン液体処理の後で行うこともできる。従来の脱臭温度は、典型的には220℃を超え、例えば240℃〜270℃であり、典型的には60〜90分行われる。本発明のこれらの実施形態で可能になるように、従来よりも低い温度、例えば160℃〜200℃が脱臭するステップに用いられる場合、脱臭するステップの時間区分は、十分な脱臭を確実にするために長くなることがあるが、それでもなお、より高い温度、例えば240℃〜270℃で、より短い時間で行われた従来の脱臭するステップよりもエネルギー消費がより少なくなる。
好ましい実施形態において、従来の脱臭するステップの時間区分と同じか、それよりも短いものが、従来の脱臭温度よりも低い温度と組み合わせて用いられるが、それに続く塩基性イオン液体処理の結果として同程度の脱臭が成し遂げられる。他の好ましい実施形態において、従来の温度、例えば、240℃〜270℃が本発明の精製する方法に含まれた脱臭するステップで用いられる場合、脱臭するステップの時間区分は、従来用いられるものに比べて短くすることができ、それでも、先行の塩基性イオン液体処理の結果として、同等のレベルの脱臭が成し遂げられる。
特に好ましい実施形態において、脱臭の温度は、160℃〜200℃であり、より好ましくは170℃〜190℃である。好ましくは、脱臭がこれらの温度で行われる時間区分は、30〜150分であり、より好ましくは45〜120分であり、最も好ましくは60〜90分である。
従来のグリセリド油を精製する方法は、典型的には、強塩基、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムでFFAを中和するステップ(いわゆる「化学的精製」方法に対応する)を含む。或いは、脱臭パラメータを調整することによって脱酸を成し遂げることができ、それによって、揮発性FFAがそのステップで除去されることを確実にする(いわゆる「物理的精製」方法)。FFAを中和するステップ(「化学的精製」)の不利点は、所望されないけん化、低いトリグリセリド含量に伴うものであり、またセッケン生成により、乳化の結果として相当な中性油損失をもたらすことがある。本明細書に記載された塩基性イオン液体処理は、油中のFFAを中和するのに有効であるが、中性油のけん化をもたらさない。したがって、塩基性イオン液体処理は、化学的精製方法で用いられる従来の中和するステップに完全に取って代わることができ、そのため、通常、従来の物理的精製のFFA除去を確実にする場合のように、脱臭するステップを長くする必要がない。したがって、本発明の好ましい実施形態において、精製する方法の一部として、塩基性イオン液体処理の前及び/又は後で行われる少なくとも1つの精製するステップは、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム)で中和するステップを含まない。
油に含まれているFFAは、塩基性イオン液体と接触させて中和されて、第四級アンモニウム−FFA塩を生成することができる。好ましい実施形態において、接触させるステップで用いられる塩基性イオン液体の量は、油に含まれるFFAのモル量と少なくとも化学量論的である。例えば、油中の塩基性イオン液体対FFAのモル比は、1:1〜10:1、又は1.5:1〜5:1であってもよい。グリセリド油のFFA含量は、当分野の技術者に既知の一般的な滴定技術を用いて、塩基性イオン液体による処理の前に測定することができる。例えば、フェノールフタレイン指示薬を用いた水酸化ナトリウムによる滴定は、グリセリド油のFFA含量を測定するのに用いることができる。
好ましい実施形態において、塩基性イオン液体は、低融点脂肪酸塩に、直鎖状のC12−C18FFAを供給するように選択される。特に好ましい塩基性イオン液体は、100℃未満の融点を有するこうしたFFAを用いて塩を生成する。こうした塩は、好都合なことに、本明細書で説明された液−液分離技術を用いて被処理グリセリド油から分離することができる。
油中のFFAの非存在又は存在によって、クロロプロパノール及びグリシドール、並びにそれらの脂肪酸エステルをグリセリド油から除去するための塩基性イオン液体処理の能力が影響されないことが明らかになった。したがって、塩基性イオン液体が、FFAの中和に含まれて第四級アンモニウム−FFA塩を生成しようとなかろうと、クロロプロパノール及びグリシドール、並びにそれらの脂肪酸エステルの除去は、著しく影響されることはない。したがって、塩基性イオン液体処理は、様々な程度の脱臭を受けた油に施すことができ、それにより、除去されたFFAを実質的に含んでいるか分からないが、クロロプロパノール及びグリシドールの脂肪酸エステルの濃度の増加をもたらす。
したがって、塩基性イオン液体と接触させたグリセリド油がFFAを含む実施形態において、被処理グリセリド油から分離された有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物は、脂肪酸のアニオンを含むことができる。いくつかの実施形態において、被処理グリセリド油から分離された有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物は、塩化物アニオンを含むことができる。
好ましくは、本発明の塩基性イオン液体処理は、クロロプロパノール若しくはその脂肪酸エステル及び/又はグリシジル脂肪酸エステルをグリセリド油から除去するのに用いられる。より好ましくは、本発明の塩基性イオン液体処理は、モノクロロプロパノール又はその脂肪酸エステルをグリセリド油から除去するのに用いられる。さらにより好ましくは、本発明の塩基性イオン液体処理は、非結合モノクロロプロパノールをグリセリド油から除去するのに用いられる。最も好ましくは、本発明の塩基性イオン液体処理は、非結合3−MCPDをグリセリド油から除去するのに用いられる。
本発明に従って用いられる塩基性イオン液体処理は、グリセリド油精製に関連する材料コストに著しく寄与することができる、汚染物質を除去するためのイオン交換樹脂膜及び限外濾過膜などの使用を不要にすることを意図する。したがって、好ましい実施形態において、本明細書に記載の精製する方法は、イオン交換樹脂膜又は限外濾過膜によるグリセリド油の処理を含まない。
いくつかの実施形態において、必要に応じて、塩基性イオン液体を本発明の精製する方法へ再利用するために、グリセリド油を接触させるのに用いられる塩基性イオン液体は、再生する方法によって、被処理グリセリド油から分離された有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物(このイオン種は様々である)から再生することができる。例えば、再生する方法は、前述された所望の塩基性アニオンを含む塩基性イオン液体を得るために、アニオン又はカチオンを交換するステップを含むことができる。
一実施形態において、再生する方法は、
(a)コリン−FFA塩を炭酸と接触させるステップと、
(b)反応混合物から重炭酸コリンを得るステップと
を含む、コリン−FFA塩から重炭酸コリンを生成するステップを含む。
好ましくは、ステップ(a)は、コリン塩化物塩を含む水溶液をCOと接触させることによって(例えば、水溶液中にCOを泡立たせることによって)実施される。
好ましくは、ステップ(b)は、ステップ(b)の混合物を重炭酸コリンと混和性である溶媒と接触させ、溶媒を重炭酸コリンから分離することによって実施される。
グリセリド油に含まれるクロロプロパノール及び/又はグリシドールの脂肪酸エステル含量が、脱臭するステップの結果として増加するが、脱臭するステップは、油からある種の極性化合物、特に粗グリセリド油の臭気の多くの派生元の酸化生成物を除去することが知られている。この酸化生成物は、主に、通常揮発性であるアルデヒド及びケトンを含む。したがって、脱臭済みグリセリド油は、典型的にはいかなる脱臭も受けていない粗グリセリド油よりも、より低い含量のアルデヒド及びケトンを含むことになる。
したがって、他の態様において、本発明は、前述されたグリセリド油及び塩基性イオン液体を含む組成物であって、組成物のグリセリド油が、前述された方法のいずれかによって決定して、アルデヒド及びケトンの全含量20mg/kg未満、好ましくは、アルデヒド及びケトンの全含量5mg/kg未満を有する、組成物を提供する。この態様による組成物のグリセリド油は、脱臭済みグリセリド組成物であってもよい。塩基性イオン液体のアニオン及びカチオンの特性、並びにグリセリド油の特性に関する、本発明の他の態様の好ましい実施形態は、本発明のこの態様に同様に適用される。例えば、グリセリド油がパーム油であり、塩基性イオン液体が重炭酸コリンであることが最も好ましい。
またさらなる態様において、本発明は、前述されたグリセリド油及び塩基性イオン液体を含む組成物であって、油のp−アニシジン価が10未満であり、好ましくは油のp−アニシジン価が5未満である、組成物を提供する。p−アニシジン価(AnV)は、AOCS公定法Cd 18−90によって好適に測定することができる。この態様による組成物のグリセリド油は、脱臭済みグリセリド組成物であってもよい。塩基性イオン液体のアニオン及びカチオンの特性、並びにグリセリド油の特性に関する、本発明の他の態様の好ましい実施形態は、本発明のこの態様に同様に適用される。例えば、グリセリド油がパーム油であり、塩基性イオン液体が重炭酸コリンであることが最も好ましい。
いくつかの実施形態において、上記態様のグリセリド油中のクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの全濃度は、DGF標準法C−VI 18(10)A又はBによって決定して、少なくとも0.01ppm、例えば、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、又は少なくとも1.0ppmである。例示的な実施形態において、グリセリド油中のクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの全濃度は、0.01ppm〜30ppm、1ppm〜25ppm、又は1.5ppm〜20ppmであることができる。
いくつかの実施形態において、上記態様のグリセリド油中のグリシジル脂肪酸エステルの全濃度は、DGF標準法C−VI 17(10)及びDGF標準法C−VI 18(10)A又はBの組み合わせによって決定して、少なくとも0.1ppm、例えば、少なくとも1.0ppm、少なくとも2.0ppm、又は少なくとも5ppmである。例示的な実施形態において、グリセリド油中のグリシジル脂肪酸エステルの全濃度は、0.1ppm〜30ppm、1ppm〜25ppm、又は1.5ppm〜20ppmであることができる。
本発明はまた、グリセリド油を塩基性イオン液体と接触させることによって、クロロプロパノール若しくはグリシドール、又はその脂肪酸エステルをその油から除去するために、前述された塩基性イオン液体を使用する方法も提供する。塩基性イオン液体のアニオン及びカチオンの特性、並びにグリセリド油の特性に関する、本発明の他の態様の好ましい実施形態は、本発明の本態様に同様に適用される。例えば、グリセリド油がパーム油であり、塩基性イオン液体が重炭酸コリンであることが最も好ましい。
好ましくは、塩基性イオン液体は、クロロプロパノール若しくはその脂肪酸エステル及び/又はグリシジル脂肪酸エステルをグリセリド油から除去するのに用いられる。より好ましくは、塩基性イオン液体は、モノクロロプロパノール又はその脂肪酸エステルをグリセリド油から除去するのに用いられる。さらにより好ましくは、塩基性イオン液体は、非結合モノクロロプロパノールをグリセリド油から除去するのに用いられる。最も好ましくは、塩基性イオン液体は、非結合3−MCPDをグリセリド油から除去するのに用いられる。
前述されたように、DGF標準法C−VI 17(10)及びDGF標準法C−VI 18(10)A又はBは、グリセリド油中のクロロプロパノール及びその脂肪酸エステル並びにグリシジルエステルの濃度を決定するのに用いることができる。或いは、クロロプロパノール及びグリシドール並びにそれらの脂肪酸エステルの含量を決定する直接的な手段には、J Am Oil Chem Soc. Jan 2011; 88(1):1-14に報告されたように、液体クロマトグラフィー−飛行時間型質量分析法(LC−TOFMS)が挙げられる。
前述された本発明の実施形態は、任意の他の両立可能な実施形態と組み合わせて、本発明のさらなる実施形態を構成することができる。
本発明は、ここで以下の実施例によって説明される。
[実施例]
グリセリド油の、酸価(油1g当たりKOHmg)及びFFA(重量%)含量を測定する一般的な方法
イソプロピルアルコール60mlを含むビーカーに、フェノールフタレイン0.5mLを添加した。この混合物を沸騰するまで加熱し、0.02M水酸化カリウムのイソプロピルアルコール中溶液を、薄桃色が約10秒持続するまで添加した。
ガラスバイアルに、グリセリド油試料0.200gを添加し、次いで上記の加熱イソプロピルアルコール溶液50mlに溶解させた。得られた溶液を、0.1ml刻みで目盛られた25mlビュレットを用いて、0.02M水酸化カリウム溶液で、フェノールフタレイン指示薬の終点まで、すなわち、桃色が少なくとも30秒続くまで撹拌しながら滴定した。
次に酸価(油1g当たりKOHmg)を、次式を用いて計算した。
56.1×N×V/m
式中、
56.1は水酸化カリウムのMrであり、
Vは用いられた水酸化カリウム溶液量(ml)であり、
Nは水酸化カリウム溶液の規定度であり、及び
mはグリセリド油試料の質量(g)である。
酸価が決定されると、FFA含量を導くことができる。本開示においてFFA含量は、FFAがパルミチン酸(Mr=256g/モル)及びオレイン酸(Mr=282g/モル)の、平均分子量269g/モルをもたらす等量混合物であると仮定して、質量パーセントで定められる。FFA1重量%を含む油は、油1g当たりオレイン酸/パルミチン酸0.01gを含み、オレイン酸/パルミチン酸量が3.171×10−5モル(0.01/269)に対応する。このオレイン酸/パルミチン酸量(すなわち、酸価−AV)を中和するのに必要となるKOH量は、油1g当たりKOH2.086mg(3.171×10−5×56.1)であると計算される。したがって、FFA含量(重量%)の計算には次式が含まれる。
FFA重量%=酸価×0.479
グリセリド油のイオン液体処理の一般的な方法
1種のドーパント(例えば、クロロプロパノール若しくはその脂肪酸エステル、又はグリシドール若しくはその脂肪酸エステル)でドープされる前に、精製油試料1.5gを試料バイアル内に置く。得られた混合物を3時間撹拌して、油とドーパントの完全な混合を確実なものにし、油のドーパント濃度が決定される。重炭酸コリン(100mg、HO中80w/w%、Sigma-Aldrich UK社製)を油/ドーパント混合物に添加し、得られた混合物を、室温か、又は油が完全に液体状態である最も低い温度のいずれかで約12時間撹拌する。次いで、混合物を2500rpmで10分間遠心分離する。次いで、上部の油相を取り出し、油相の小さい試料を分析用に取得する。
バターのイオン液体処理
上記の一般的な方法を、水20重量%及びFFA0.2重量%未満を含む、精製された牛のミルクバターのイオン液体処理の一部として用いた。Sigma-Aldrich社製の3−MCPDでドープする前に、バターを40℃まで加熱してバターが液体状態であることを確実にした。イオン液体処理の前後での油の分析結果を、以下の表1に示す。
バターのイオン液体処理
上記の一般的な方法を、水20重量%及びFFA0.2重量%未満を含む、精製された牛のミルクバターのイオン液体処理の一部として用いた。Carbosynth Ltd UK社製の3−MCPDオレイン酸エステルでドープする前に、バターを40℃まで加熱してバターが液体状態であることを確実にした。イオン液体処理の前後での油の分析結果を、以下の表1に示す。
精製トウモロコシ油のイオン液体処理
上記の一般的な方法を、FFA0.2重量%未満を含む精製トウモロコシ油のイオン液体処理の一部として用いた。油を、室温で、Sigma-Aldrich社製の3−MCPDでドープした。イオン液体処理の前後での油の分析結果を、以下の表1に示す。
精製トウモロコシ油のイオン液体処理
上記の一般的な方法を、FFA0.2重量%未満を含む精製トウモロコシ油のイオン液体処理の一部として用いた。油を、Carbosynth Ltd UK社製の3−MCPDオレイン酸エステルでドープした。イオン液体処理の前後での油の分析結果を、以下の表1に示す。
精製オリーブ油のイオン液体処理
上記の一般的な方法を、FFA0.2重量%未満を含む精製オリーブ油のイオン液体処理の一部として用いた。油を、室温で、Sigma-Aldrich社製の3−MCPDでドープした。イオン液体処理の前後での油の分析結果を、以下の表1に示す。
精製オリーブ油のイオン液体処理
上記の一般的な方法を、FFA0.2重量%未満を含む精製オリーブ油のイオン液体処理の一部として用いた。油を、Carbosynth Ltd UK社製の3−MCPDオレイン酸エステルでドープした。イオン液体処理の前後での油の分析結果を、以下の表1に示す。
油の分析に用いられる手法は、R.Weisshaar, "Determination of total 3-chloropropane-1 ,2- diol (3-MCPD) in edible oils by cleavage of MCPD esters with sodium methoxide", Eur. J. Lipid Sci. Technol.(2008)110, 183-186によって提案されたものである。この方法には、ナトリウムメトキシドによる3−MCPD脂肪酸エステルの開裂、3−MCPDの抽出、フェニルボロン酸による誘導体化、及びその後のGC−MSを用いた分析(重水素で標識された内部標準(3−MCPD−d)も各試料に添加される)が含まれる。
重水素で標識された3−MCPDでスパイクした標準溶液を増加させて、較正曲線を用いて定量分析を実施した。イオンm/z147(3−MCPD)及びイオンm/z150(3−MCPD−d)が標的イオンであった。m/z196(3−MCPD)及びm/z201(3−MCPD−d)のイオンが確認イオン(qualifier)であった。この手法の検出限界は、0.15mg/kgであった。
上記方法は、油に含まれている3−MCPDエステルとグリシジル脂肪酸エステルとを区別することができない。しかし、上記実施例で用いられた各ドーパントの濃度は、試験された油中の、分析結果に対して重要でないグリシジル脂肪酸エステル濃度に対してかなり過剰である(典型的には、精製油で0.5〜20ppm)。
表1の結果は、本発明の利点を示す。イオン液体処理により、3−MCPDをグリセリド油から高効率で除去できることが明らかである。例えば、実施例1の結果によれば、比較的大量の3−MCPDをバターへドープして、3−MCPD濃度57684ppmをもたらす場合でさえ、3−MCPDがイオン液体処理の後、大幅に除去され、3−MCPD濃度をわずか16ppmまで減らす。3−MCPDのこの初期濃度は、ドープされていない粗油及び精製油で予測されたもの(例えば、約20ppmまで)よりも大幅に高い。同様の結果は植物油についても示される。
表1の結果はまた、イオン液体処理によって、3−MCPD脂肪酸エステルをグリセリド油から除去することができることも示す。イオン液体処理の後、トウモロコシ油及びオリーブ油における3−MCPDエステルの減少(実施例4及び実施例6)は、それぞれ31%及び54%である。バターからの3−MCPDエステル除去の結果は、同じレベルの減少を示さない。しかし、この結果は、バターの含水量によって影響されると考えられる。それでも、結果から明らかなように、塩基性イオン液体処理によって、粗グリセリド油及び精製グリセリド油で典型的に見られる濃度の微量の3−MCPD及び3−MCPDエステルを実質的に全て除去することになる。
さらに、上記実施例で処理された精製油が、低濃度のFFAを含むことは注目に値する。したがって、表1の結果によれば、塩基性イオン液体処理を用いた3−MCPD及び3−MCPDエステルの除去は、FFAによる塩基性イオン液体の酸−塩基反応又は第四級アンモニウム−FFA塩の生成に依存しない。
粗パーム油のイオン液体処理
測定されたFFA含量3.8重量%を有する粗パーム油(CPO)の試料(約2kg)を、サーモスタットで制御された水浴で50℃まで加熱した。次いでCPOの均一混合物を、反応器温度が循環加熱油によって50℃で維持された2L撹拌槽反応器へ添加した。次いで、CPOのFFA含量に対する、重炭酸コリン(HO中80重量%、Sigma-Aldrich UK社製)の化学量論量を、1分当たり1〜2mLの速度で反応容器へ導入した。反応物を、機械式オーバーヘッド撹拌機を用いて500rpmで1時間撹拌した。反応後、混合物を、4000rpmで3分間遠心分離して、第四級アンモニウム−FFA塩及び被処理CPO相を含む相を分離した。
分離された油相は、滴定され、FFA0.29重量%を含むことが明らかになった。3−MCPD脂肪酸エステル(3−MCPD FAエステル)含量は、標準法DGF−C−VI 18、A部を用いて、イオン液体による処理の前後で決定された。結果を以下の表2に示す。
表2の結果もまた、本発明の利点を示す。特に、結果によれば、塩基性イオン液体処理によって、油のFFA含量を大幅に減らしながら、3−MCPDエステル濃度も50%減らす。したがって、3−MCPDエステルの除去は、相当な量のFFAの存在によって、又は同時に起こる塩基性イオン液体によるFFAの中和によって、妨げられることはない。
精製パーム油のイオン液体処理
測定されたFFA含量0.1重量%を有する、市販の、精製され、漂白され、脱臭されたパーム油(RBDPO)試料30gを5個用意し、個別の試験管に移した。試料8aは、いかなる追加材料でもドープされなかった。試料8bは、3−MCPD10mgでドープされた。試料8cは、3−MCPD脂肪酸エステル(3−MCPD FAエステル)10mgでドープされた。試料8dは、グリシジル脂肪酸エステル(GE FAエステル)10mgでドープされた。試料8eは、3−MCPD5mgでドープされ、3−MCPD FAエステル5mg及びGE FAエステル5mgが添加された。試験管をパラフィルムで密封し、サーモスタットで制御された油浴で50℃まで2時間加熱した。
各試料に対して、重炭酸コリン(HO溶液中80重量%3ml)及びHO(2mL)を添加した後、試料を50℃で24時間撹拌した。有機相が分離された。3−MCPD及び3−MCPD FAエステルの合わせた含量を、標準法DGF−C−VI 18、A部を用いて、市販のRBDPO及び全ての5個の試料の有機相について決定した。GE FAエステル含量を、標準法DGF−C−VI 18、B部を用いて、市販のRBDPO及び全ての5個の試料の有機相について決定した。結果を以下の表3に示す。
全ての試料が示すところによれば、パーム油のコリン重炭酸イオン液体による処理によって、3−MCPD/3−MCPD FAエステル及びGE FAエステルの含量の減少がもたらされる。試料8b〜8eの結果に示すように、3−MCPD、3−MCPD−FAエステル、及びGE FAエステルが大量にあっても、イオン液体によってそれらの量を大幅に減らすことができる。さらに、市販のRBDPOを処理すると、3−MCPD/3−MCPD FAエステル及びGE FAエステルの含量が、それぞれ約80%及び約70%減少する。

Claims (37)

  1. クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルをグリセリド油から除去する方法であって、
    (i)クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルを含むグリセリド油を塩基性イオン液体と接触させて、被処理グリセリド油を生成するステップであり、前記塩基性イオン液体が、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、アルキル炭酸イオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、セリネートイオン、プロリネートイオン、ヒスチジネートイオン、トレオニネートイオン、バリネートイオン、アスパラギネートイオン、タウリネートイオン、及びリシネートイオンから選択される塩基性アニオン、並びに有機第四級アンモニウムカチオンを含む、ステップと、
    (ii)前記グリセリド油を前記塩基性イオン液体と接触させた後、前記被処理グリセリド油を、前記有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物から分離するステップであり、前記被処理グリセリド油が、ステップ(i)で接触させた前記グリセリド油と比較して、減少した、クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルの濃度を有する、ステップと
    を含む、前記方法。
  2. (i)クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルを含むグリセリド油を塩基性イオン液体と接触させて、被処理グリセリド油を生成するステップであり、前記塩基性イオン液体が、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、アルキル炭酸イオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、セリネートイオン、プロリネートイオン、ヒスチジネートイオン、トレオニネートイオン、バリネートイオン、アスパラギネートイオン、タウリネートイオン、及びリシネートイオンから選択される塩基性アニオン、並びに有機第四級アンモニウムカチオンを含む、ステップと、
    (ii)前記グリセリド油を前記塩基性イオン液体と接触させた後、前記被処理グリセリド油を、前記有機第四級アンモニウムカチオンを含むイオン化合物から分離するステップであり、前記被処理グリセリド油が、ステップ(i)で接触させた前記グリセリド油と比較して、減少した、クロロプロパノール及び/若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルの濃度を有する、ステップと
    を含む、グリセリド油を精製する方法であって、
    前記方法が、前記グリセリド油を前記塩基性イオン液体と接触させる前及び/又は接触させた後で、前記グリセリド油を少なくとも1つの精製するステップに供するステップをさらに含む、前記方法。
  3. 少なくとも1つの精製するステップが、デガミングするステップ、漂白するステップ、脱ろうするステップ、脱色するステップ、及び脱臭するステップから選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 少なくとも1つの精製するステップが、脱臭するステップを含み、好ましくは、デガミングするステップ及び/又は漂白するステップも含む、請求項3に記載の方法。
  5. 脱臭するステップが、好ましくは、160〜270℃の温度で、好ましくは160℃〜200℃の温度で、より好ましくは170℃〜190℃の温度で行われる蒸気ストリッピングを伴うステップを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 少なくとも1つの精製するステップが、グリセリド油を塩基性イオン液体と接触させる前に行われる、請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 少なくとも1つの精製するステップが、グリセリド油を塩基性イオン液体と接触させた後で行われる、請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
  8. 塩基性イオン液体と接触させたグリセリド油中のモノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの全濃度は、DGF標準法C−VI 18(10)A又はBによって決定して、少なくとも0.01ppm、例えば、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、又は少なくとも1.0ppmである、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 塩基性イオン液体と接触させたグリセリド油中のモノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの全濃度が、DGF標準法C−VI 18(10)A又はBによって決定して、0.01ppm〜30ppm、例えば、1ppm〜25ppm、又は1.5ppm〜20ppmであることができる、請求項8に記載の方法。
  10. 分離された被処理グリセリド油が、塩基性イオン液体と接触させたグリセリド油よりも、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%低いモノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの全濃度を有する、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 塩基性イオン液体を含むグリセリド油中のグリシジル脂肪酸エステルの全濃度は、DGF標準法C−VI 17(10)及びDGF標準法C−VI 18(10)A又はBの組み合わせによって決定して、少なくとも0.1ppm、例えば、少なくとも1.0ppm、少なくとも2.0ppm、又は少なくとも5ppmである、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 塩基性イオン液体と接触させたグリセリド油中のグリシジル脂肪酸エステルの全濃度が、DGF標準法C−VI 17(10)及びDGF標準法C−VI 18(10)A又はBの組み合わせによって決定して、0.1ppm〜30ppm、例えば、1ppm〜25ppm、又は1.5ppm〜20ppmである、請求項11に記載の方法。
  13. 分離された被処理グリセリド油が、塩基性イオン液体と接触させたグリセリド油よりも、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%低いグリシジル脂肪酸エステルの全濃度を有する、請求項11又は12に記載の方法。
  14. グリセリド油を塩基性イオン液体と接触させるステップが、80℃未満の温度で、好ましくは25〜65℃の温度で、より好ましくは35〜55℃の温度で行われる、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 塩基性イオン液体の有機第四級アンモニウムカチオンが、
    [N(R)(R)(R)(R)]
    (式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、直鎖状若しくは分岐状のC−Cアルキル基、又はC−Cシクロアルキル基から選択され、或いはR、R、R、及びRの任意の2つは、結合してアルキレン鎖−(CH−を生成し、但しqは3〜6であり、前記アルキル基又は前記シクロアルキル基は、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシアルコキシ、C−Cシクロアルキル、−OH、−SH、−CO(C−C)アルキル、及び−OC(O)(C−C)アルキルから選択される1〜3個の基によって、例えば、1〜3個の−OH基によって置換されていてもよい。)
    から選択される、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 塩基性イオン液体の有機第四級アンモニウムカチオンが、
    [N(R)(R)(R)(R)]
    (式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、直鎖状又は分岐状のC−Cアルキル基から選択され、前記アルキル基は、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシアルコキシ、C−Cシクロアルキル、−OH、−SH、−CO(C−C)アルキル、及び−OC(O)(C−C)アルキルから選択される1〜3個の基によって、例えば、1〜3個の−OH基によって置換されていてもよい。)
    から選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 塩基性イオン液体の有機第四級アンモニウムカチオンが、
    [N(R)(R)(R)(R)]
    (式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、C、C、及びCのアルキルを含む、直鎖状又は分岐状のC−Cアルキル基から選択され、R、R、R、又はRの少なくとも1つは、1個の−OH基によって置換される。)
    から選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 塩基性イオン液体の有機第四級アンモニウムカチオンがコリンである、

    請求項16に記載の方法。
  19. 塩基性アニオンが、アルキル炭酸イオン、炭酸水素イオン、及び炭酸イオンから選択され、好ましくは、前記塩基性アニオンが炭酸水素イオンである、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
  20. グリセリド油を接触させるのに用いられる塩基性イオン液体が、重炭酸コリンである、

    請求項19に記載の方法。
  21. 塩基性アニオンが、水酸化物イオン及びアルコキシドイオンから選択され、好ましくは、前記塩基性アニオンが水酸化物イオンである、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
  22. グリセリド油を接触させるのに用いられる塩基性イオン液体が、水酸化コリンである、
    請求項21に記載の方法。
  23. グリセリド油を、塩基性イオン液体及び水性溶媒などの溶媒を含む液体と接触させ、前記液体中の塩基性イオン液体の濃度が、15重量%〜90重量%である、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
  24. グリセリド油を、塩基性イオン液体及び水性溶媒などの溶媒を含む液体と接触させ、前記液体中の塩基性イオン液体の濃度が、50重量%〜90重量%、好ましくは75重量%〜85重量%である、請求項19又は20に記載の方法。
  25. グリセリド油を、塩基性イオン液体及び水性溶媒などの溶媒を含む液体と接触させ、前記液体中の塩基性イオン液体の濃度が、15重量%〜60重量%、好ましくは40重量%〜50重量%である、請求項21又は22に記載の方法。
  26. 被処理グリセリド油から分離されたイオン化合物が、1又は2以上の塩化物アニオン、又は遊離脂肪酸のアニオンを含む、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
  27. 接触させたグリセリド油がFFAを含み、グリセリド油から分離されたイオン化合物がコリン−FFA塩である、請求項20に記載の方法であって、前記方法が、被処理油から分離されたイオン化合物から、重炭酸コリン塩基性イオン液体を再生するステップをさらに含み、前記再生するステップが、
    (a)前記コリン−FFA塩を炭酸と接触させるステップと、
    (b)反応混合物から重炭酸コリンを得るステップと
    を含む、前記方法。
  28. 再生するステップのステップ(a)が、コリン−FFA塩を含む水溶液をCOと接触させることによって実施される、請求項27に記載の方法。
  29. グリセリド油が、植物油であり、好ましくは、前記植物油が、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、オリーブ油、パーム油、ナタネ油、米ぬか油、サフラワー油、ダイズ油、及びヒマワリ油、又はその混合物から選択され、より好ましくは前記植物油がパーム油又はダイズ油である、請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
  30. グリセリド油及び塩基性イオン液体を含む組成物であって、前記塩基性イオン液体が、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、アルキル炭酸イオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、セリネートイオン、プロリネートイオン、ヒスチジネートイオン、トレオニネートイオン、バリネートイオン、アスパラギネートイオン、タウリネートイオン、及びリシネートイオンから選択される塩基性アニオン、並びに有機第四級アンモニウムカチオンを含み、前記組成物の前記グリセリド油が、全含量20mg/kg未満のアルデヒド及びケトン、好ましくは、全含量5mg/kg未満のアルデヒド及びケトンを有する、前記組成物。
  31. グリセリド油及び塩基性イオン液体を含む組成物であって、前記塩基性イオン液体が、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、アルキル炭酸イオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、セリネートイオン、プロリネートイオン、ヒスチジネートイオン、トレオニネートイオン、バリネートイオン、アスパラギネートイオン、タウリネートイオン、及びリシネートイオンから選択される塩基性アニオン、並びに有機第四級アンモニウムカチオンを含み、AOCS公定法Cd 18−90によって決定して、前記油のp−アニシジン価が10未満であり、好ましくは前記油のp−アニシジン価が5未満である、前記組成物。
  32. グリセリド油中のモノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの全濃度は、DGF標準法C−VI 18(10)A若しくはBによって決定して、少なくとも0.01ppm、例えば、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、若しくは少なくとも1.0ppmであり、並びに/又は上記態様の前記グリセリド油中のグリシジル脂肪酸エステルの全濃度は、DGF標準法C−VI 17(10)及びDGF標準法C−VI 18(10)A若しくはBの組み合わせによって決定して、少なくとも0.1ppm、例えば、少なくとも1.0ppm、少なくとも2.0ppm、若しくは少なくとも5ppmである、請求項30又は31に記載の組成物。
  33. グリセリド油中のモノクロロプロパノール及びその脂肪酸エステルの全濃度が、0.01ppm〜30ppm、1ppm〜25ppm、若しくは1.5ppm〜20ppmであり、並びに/又は前記グリセリド油中のグリシジル脂肪酸エステルの全濃度が、0.1ppm〜30ppm、1ppm〜25ppm、若しくは1.5ppm〜20ppmである、請求項32に記載の組成物。
  34. グリセリド油が、請求項29に記載されたものであり、及び/又は塩基性イオン液体が請求項15〜22のいずれかに記載されたものである、請求項30〜33のいずれかに記載の組成物。
  35. グリセリド油を塩基性イオン液体と接触させることによって、クロロプロパノール若しくはグリシドール、又はそれらの脂肪酸エステルを前記油から除去するための塩基性イオン液体の使用であって、前記塩基性イオン液体が、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、アルキル炭酸イオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、セリネートイオン、プロリネートイオン、ヒスチジネートイオン、トレオニネートイオン、バリネートイオン、アスパラギネートイオン、タウリネートイオン、及びリシネートイオンから選択される塩基性アニオン、並びに有機第四級アンモニウムカチオンを含む、前記使用。
  36. 塩基性イオン液体が、クロロプロパノール若しくはその脂肪酸エステル及び/又はグリシジル脂肪酸エステルをグリセリド油から除去するのに用いられ、好ましくは、塩基性イオン液体が、モノクロロプロパノール又はその脂肪酸エステルをグリセリド油から除去するのに用いられ、より好ましくは、前記塩基性イオン液体が、非結合モノクロロプロパノールをグリセリド油から除去するのに用いられ、最も好ましくは、前記塩基性イオン液体が、非結合3−MCPDをグリセリド油から除去するのに用いられる、請求項35に記載の使用。
  37. グリセリド油が請求項29に記載されたものであり、及び/又は塩基性イオン液体が請求項15〜22のいずれかに記載されたものである、請求項35又は36に記載の使用。
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