以下に、本願発明を画像形成装置の一例であるタンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、プリンタと称する)に適用した実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば「左右」「上下」等)を用いる場合は、図1において紙面に直交した方向を正面視とし、この方向を基準にしている。これらの用語は説明の便宜のために用いたものであり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
(1).プリンタの概要
まず初めに、図1を参照しながらプリンタ1の概要を説明する。図1に示すように、実施形態のプリンタ1は、その筺体2内に、大別して画像プロセス装置3、給紙装置4、及び定着装置5等を備えている。詳細は図示していないが、プリンタ1は、例えばLANといったネットワークに接続されていて、外部端末(図示省略)からの印刷指令を受け付けると、当該指令に基づいて印刷を実行するように構成されている。
筺体2内の中央部に位置する画像プロセス装置3は、像担持体の一例である感光体13上に形成されたトナー像を記録材Pに転写する役割を担うものであり、中間転写ベルト6、及びイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応する計4つの作像部7等を備えている。なお、図1では説明の便宜上、各作像部7に、再現色に応じて符号Y,M,C,Kを添えている。
中間転写ベルト6は、導電性を有する素材からなる無端状のものであり、筺体2内の中央部右側に位置する駆動ローラ8と、同じく中央部左側に位置する従動ローラ9とに巻き掛けられている。この場合、駆動モータ(図示省略)からの動力伝達にて、駆動ローラ8を図1の反時計方向に回転駆動させることにより、中間転写ベルト6は図1の反時計方向に回転する。
中間転写ベルト6のうち駆動ローラ8に巻き掛けられた部分の外周側には、二次転写ローラ10が配置されている。二次転写ローラ10は、中間転写ベルト6に当接していて、中間転写ベルト6と二次転写ローラ10との間(当接部分)が二次転写領域である二次転写ニップ部11になっている。二次転写ローラ10は、中間転写ベルト6の回転に伴って、又は二次転写ニップ部11に挟持搬送される記録材Pの移動に伴って図1の時計方向に回転する。
中間転写ベルト6のうち従動ローラ9に巻き掛けられた部分の外周側には、転写ベルトクリーナ12が配置されている。転写ベルトクリーナ12は、中間転写ベルト6上に残留する未転写トナーを除去するためのものであり、中間転写ベルト6に当接している。
4つの作像部7は、中間転写ベルト6の下方において、図1の左からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、中間転写ベルト6に沿って並べて配置されている。各作像部7は、図1の時計方向に回転駆動する像担持体の一例としての感光体13を備えている。感光体13の周囲には、図1における時計回りの回転方向に沿って順に、帯電器14、現像部15、一次転写ローラ16、及び感光体クリーナ17が配置されている。
感光体13は負帯電性のものであり、感光体モータ(図示省略)からの動力伝達にて、図1の時計方向に回転駆動するように構成されている。帯電器14はローラ帯電式のものであり、当該帯電器14には、帯電用電源(図示省略)から所定のタイミングにて感光体帯電のための電圧が印加される。現像部15は、負の極性を呈するトナーを利用して、感光体13上に形成された静電潜像を反転現像にて顕在化させるものである。
一次転写ローラ16は中間転写ベルト6の内周側に位置していて、中間転写ベルト6を挟んで、対応する作像部7の感光体13に対峙している。一次転写ローラ16も、中間転写ベルト6の回転に伴って図1の反時計方向に回転する。中間転写ベルト6と一次転写ローラ16との間(当接部分)は、一次転写領域である一次転写ニップ部18になっている。感光体クリーナ17は、感光体13上に残留する未転写トナーを除去するためのものであり、感光体13に当接している。
4つの作像部7の下方には露光部19が配置されている。露光部19は、外部端末等からの画像情報に基づき、レーザービームにて各感光体13に静電潜像を形成するものである。中間転写ベルト6の上方には、各現像部15に供給されるトナーを収容するホッパー20が配置されている。なお、図1では説明の便宜上、各ホッパー20にも、再現色に応じて符号Y,M,C,Kを添えている。
画像プロセス装置3の下方に位置する給紙装置4は、記録材Pを収容する複数段(実施形態では2段)の給紙カセット21,22、給紙カセット21,22内の記録材Pを1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ23,24、及び繰り出された記録材Pを所定のタイミングにて二次転写ニップ部11(二次転写領域)に搬送する一対のレジストローラ25等を備えている。
各給紙カセット21(22)は筺体2の下部に着脱可能に配置されている。各給紙カセット21(22)内の記録材Pは、対応する繰り出しローラ23(24)の回転にて、最上部のものから1枚ずつ搬送経路30に送り出される。
実施形態のプリンタ1はいわゆるA3対応機であり、各給紙カセット21(22)には、最大でA3サイズの記録材Pが、定着装置5に短辺側から進入する縦送りの姿勢で収容可能になっている。この場合、A3縦の記録材Pの通紙幅(記録材Pの搬送方向Yに直交する方向の記録材P寸法)は297mm、搬送方向長さは420mmとなる。
実施形態の給紙装置4は、A4サイズ以下の同一サイズの記録材Pを縦送り及び横送り可能に収容できる構成である。この場合、上段の給紙カセット21には、A4サイズの記録材Pが、定着装置5に短辺側から進入する縦送りの姿勢で収容されている一方、下段の給紙カセット22には、A4サイズの記録材Pが、定着装置5に長辺側から進入する横送りの姿勢で収容されている。
従って、上段の給紙カセット21からA4縦の記録材Pを繰り出すか、下段の給紙カセットからA4横の記録材Pを繰り出すかによって、給紙装置4からA4サイズの記録材Pを縦送りしたり横送りしたりできる。換言すると、給紙装置4から向きの異なるA4サイズの記録材Pを給紙できる。
なお、A4縦の記録材Pの通紙幅は210mm、搬送方向長さは297mmとなり、A4横の記録材Pの通紙幅は297mm、搬送方向長さは210mmとなる。言うまでもないが、給紙装置4の各給紙カセット21(22)には、A4サイズ以下の規格の記録材Pであれば、縦送り及び横送りのどちらの姿勢でも収容できる。
実施形態における各給紙カセット21(22)内の記録材Pは、中央基準線(図示省略)を基準にして矢印Y方向に搬送するセンター基準でセットされている。このため、画像プロセス装置3での転写処理や定着装置5での定着処理(詳細は後述する)も、センター基準で実行される。
搬送経路30は、給紙装置4の各給紙カセット21(22)から、両レジストローラ25間のニップ部、及び画像プロセス装置3における二次転写ニップ部11(二次転写領域)を経て、定着装置5における定着ニップ部35(詳細は後述する)に至る。そして、搬送経路30は、定着ニップ部35から一対の排出ローラ26を介して筺体2上面の排紙トレイ27にまで延びている。
画像プロセス装置3における二次転写ローラ10の上方に位置する定着装置5は、記録材Pの搬送方向Yに直交する方向(以下、通紙幅方向という)に長い加熱ローラ32、及び、加熱ローラ32と平行状に延びる加圧ローラ34を備えている。図1では左寄りに加熱ローラ32が、右寄りに加圧ローラ34が位置している。加圧ローラ34は、加熱ローラ32に当接していて、加熱ローラ32と加圧ローラ34との間(当接部分)が定着領域である定着ニップ部35になっている。これら両ローラ32,34により一対の回転部材が構成されている。
この場合、加圧ローラ34が図1の時計方向に回転駆動すると、当該加圧ローラ34の回転に伴って、又は定着ニップ部35に挟持搬送される記録材Pの移動に伴って、加熱ローラ32が図1の反時計方向に回転する。実施形態における両ローラ32,34の通紙幅方向の長さは、定着ニップ部35にA4サイズ以下の規格の記録材Pを縦横いずれの方向にも通紙し得るような長さ(A3サイズの記録材Pであれば縦方向に通紙可能な長さ)になっている。
加熱ローラ32内には、第1負荷の一例である主ヒータランプ36が配置されている。加圧ローラ34内には、第2負荷の一例である副ヒータランプ39が配置されている。これら両ヒータランプ36,39はローラ32,34に対する加熱手段を構成するものである。実施形態では、主ヒータランプ36の消費電力(約1200W程度)の方が副ヒータランプ39の消費電力(約250W程度)よりも大きくなっている。加熱ローラ32の表面には、当該加熱ローラ32の表面温度を検出する主温度センサ37が配置されている。また、加圧ローラ34の表面には、当該加圧ローラ34の表面温度を検出する副温度センサ40が配置されている。
なお、搬送経路30のうち定着ニップ部35より搬送下流側には、定着ニップ部35を通過した記録材Pを加熱ローラ32から分離させつつ一対の排出ローラ26に向けて案内するための分離爪42が配置されている。一方、搬送経路30のうち定着ニップ部35より搬送上流側には、記録材Pを安定した姿勢で定着ニップ部35に向けて案内する定着前ガイド43が配置されている。
(2).プリンタの画像形成動作
次に、プリンタ1における画像形成動作の一例について簡単に説明する。プリンタ1は、1色のトナー(例えばブラック)を用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードと、4色のトナーを用いてカラー画像を形成するカラーモードとの間でOFF換え可能に構成されている。
例えばカラーモードの場合はまず、画像プロセス装置3の各作像部7において、所定の速度で回転駆動する感光体13の外周面が帯電器14にて帯電される。次いで、帯電された感光体13の外周面に、外部端末からの画像情報に応じたレーザービームが露光部19から投射され、静電潜像が形成される。そして、静電潜像は、現像部15から供給されるトナーにて反転現像されて顕在化し、各色のトナー像となる。
各感光体13の外周面に形成された各色のトナー像は、感光体13の回転にて一次転写ニップ部18に到達すると、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で、感光体13から中間転写ベルト6の外周面に転写(一次転写)されて重ねられる。中間転写ベルト6に転写されず感光体13の外周面に残った未転写トナーは、感光体13の回転を利用して感光体クリーナ17にて掻き取られ、感光体13上から取り除かれる。
重ね合わされた4色のトナー像は、中間転写ベルト6の回転にて二次転写ニップ部11に移動する。このとき、重ね合わされた4色のトナー像の移動タイミングに合わせて、外部端末等の指令に基づき選択された給紙カセット21(22)から、記録材Pが二次転写ニップ部11に搬送される。そして、記録材Pが二次転写ニップ部11を通過することにより、重ね合わされた4色のトナー像が記録材Pに一括して転写(二次転写)される。なお、二次転写後に中間転写ベルト6の外周面に残った未転写トナーは、転写ベルトクリーナ12にて掻き取られ、中間転写ベルト6上から取り除かれる。その後、各感光体13及び中間転写ベルト6の回転駆動が停止する。
4色のトナー像が二次転写された記録材P(未定着トナー像を乗せた記録材P)は、搬送経路30を通って定着装置5の定着ニップ部35に搬送される。そして、記録材Pが定着ニップ部35を通過して加熱及び加圧され、未定着トナー像が記録材Pに定着する。その後、記録材Pは一対の排出ローラ26の回転にて排紙トレイ27上に排出されることになる。
(3).電力制御装置及びその周辺の構造
次に、主として図2を参照しながら、電力制御装置50及びその周辺の構造について説明する。実施形態のプリンタ1には、商用の交流電源49から主及び副ヒータランプ36,39に供給される電力を位相制御にて調節する電力制御装置50を備えている。
電力制御装置50は、通電初期又は終期において各ヒータランプ36,39への供給電力を導通角(電力供給区間αn,βn,γn(nは整数)の位相角)の変更にて徐々に増減させる位相制御と、主ヒータランプ36にのみ連続的に電力供給する全点灯制御とを行うものである。位相制御は、主ヒータランプ36への通電初期において主ヒータランプ36への電力供給区間αn(電力供給時間と言ってもよい)を交流半波(交流電圧の半周期)毎に漸増させるスルーアップ制御と、主ヒータランプ36への通電終期において主ヒータランプ36への電力供給区間αnを交流半波毎に漸減させるスルーダウン制御との2つに大別される(図3参照)。
かかる制御を実行するための構成として、電力制御装置50は、電源部51と制御部52とを有している。電源部51は、交流電源49から受けた50Hz又は60Hzの電力を、各ヒータランプ36,39等に供給する役割を担うものであり、ゼロクロス検出回路53、電源制御部54、主ヒータ点灯回路55、副ヒータ点灯回路56、及び、力率改善回路付きのAC/DC変換回路57を含んでいる。
制御部52は、画像プロセス装置3や定着装置5等の動作を統括的に制御して円滑な画像形成動作を実行する役割を担うものであり、各種演算処理を実行するCPU58と、記憶部59とを含んでいる。また、図示は省略するが、装置制御部52は、制御プログラムやデータを記憶させるためのROM、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるためのRAM、及びセンサやアクチュエータ等との間でデータのやり取りをするための入出力インターフェイス等をも含んでいる。なお、商用の交流電源49は電源部51に電気的に接続されている。電源部51の電源制御部54と制御部52のCPU58とにより位相制御手段が構成されている。
電源部51の一構成要素であるゼロクロス検出回路53は、交流電源49から供給される交流電圧のゼロクロス点を検出して、ゼロクロス点近傍においてローレベルとなるゼロクロス信号(図3(b)参照)を生成し制御部52に出力するものであり、制御部52に電気的に接続されている。実施形態のゼロクロス検出回路53は、ゼロクロス信号の生成時に、交流電圧が正の場合は正の閾値電圧以下になるとローレベルの電圧を出力し、交流電圧が負であれば負の閾値電圧以上になるとローレベルの電圧を出力するように設定されている。このため、ゼロクロス信号におけるローレベル区間の中央がゼロクロス点になる。
電源制御部54は基本的に、制御部52から入力されたトリガ信号(図3(c)〜(e)参照)を各ヒータ点灯回路55,56に出力して、各ヒータランプ36,39に印加される交流電圧の導通角を制御するものである。電源制御部54は、制御部52と、主及び副ヒータ点灯回路55,56と、力率改善回路付きのAC/DC変換回路57とに電気的に接続されている。
ここで、トリガ信号とは、各ヒータランプ36,39への電力供給のためのものである。主ヒータ点灯回路55に対する主トリガ信号は、ゼロクロス信号の立下りZnから待機時間Tnの経過後にハイレベル(OFF)からローレベル(ON)に立下り、次のゼロクロス信号の立下りZn時にローレベル(ON)からハイレベル(OFF)に立上るように設定されている(図3(c)参照)。副ヒータ点灯回路56に対する副トリガ信号は、ゼロクロス信号の立下りZn時にハイレベル(OFF)からローレベル(ON)に立下り、前述のゼロクロス信号の立下りZnから待機時間Tnの経過後にローレベル(ON)からハイレベル(OFF)に立上るように設定されている(図3(d)参照)。
主及び副ヒータ点灯回路55,56は、電源制御部54から出力されたトリガ信号に基づいて、それぞれ対応するヒータランプ36,39への電力供給をON・OFF(点灯・消灯)させるものである。電源制御部54と主ヒータランプ36とは、主ヒータ点灯回路55を介して電気的に接続されている。電源制御部54と副ヒータランプ39とは、副ヒータ点灯回路56を介して電気的に接続されている。実施形態の主及び副ヒータ点灯回路55,56は、例えば絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)等の半導体素子にて構成されている。
主ヒータ点灯回路55は、主トリガ信号の立下りタイミング(設定された導通角)から交流電圧のゼロクロス点までの間だけ主ヒータランプ36に電力供給する設定になっている(図3(f)参照)。これとは逆に、副ヒータ点灯回路56は、交流電圧のゼロクロス点から副トリガ信号の立上りタイミング(設定された導通角)までの間だけ副ヒータランプ39に電力供給する設定になっている(図3(g)参照)。
つまり、主ヒータ点灯回路55は、ゼロクロス点から設定された導通角まで電力供給をOFFにし、前記導通角から次のゼロクロス点まで電力供給をONにする順位相制御を実行することになる。また、副ヒータ点灯回路56は、ゼロクロス点から設定された導通角まで電力供給をONにし、前記導通角から次のゼロクロス点まで電力供給をOFFにする逆位相制御を実行することになる。従って、交流半波を複数含む位相制御区間(スルーアップ及びスルーダウン区間)において、各ヒータランプ36,39への電力供給区間αn,βnが重複することはない。
主ヒータ点灯回路55にて第1スイッチング手段が構成されており、副ヒータ点灯回路56にて第2スイッチング手段が構成されている。主ヒータ点灯回路55としては、IGBTに限らず、電界効果トランジスタ(MOS−FET)やバイポーラトランジスタ、若しくはトライアック等を用いることが可能である。副ヒータ点灯回路56としては、IGBT以外に、電界効果トランジスタ(MOS−FET)やバイポーラトランジスタ等を採用できる。なお、副ヒータ点灯回路56としてトライアックを採用しないのは、これが後述する逆位相制御(図3(g)参照)に不向きだからである。逆の視点から見ると、副ヒータ点灯回路56は逆位相制御が可能な半導体素子であればよい。また、各ヒータ点灯回路55,56としてリレー回路の採用も可能である。
力率改善回路付きのAC/DC変換回路57(以下、単にAC/DC変換回路57という)は第3負荷に電力供給するための回路である。AC/DC変換回路57は制御部52のCPU58と電源制御部54とに電気的に接続されている。詳細は後述するが、AC/DC変換回路57には、位相制御中において両ヒータランプ36,39に電力供給しない場合の余剰電力が電源制御部54から供給される。この場合、AC/DC変換回路57から制御部52を経由した余剰電力(制御情報)に基づいて、例えば第3負荷である二次側電気部材の一例として、電動ファン61駆動用の電動モータ60等が駆動するように構成されている。
他方、制御部52の一構成要素であるCPU58は、主及び副温度センサ37,40からの制御情報、ゼロクロス検出回路53からのゼロクロス信号、及び時間情報テーブル(詳細は後述する)に基づき、各ヒータ点灯回路55,56(ヒータランプ36,39)に対するトリガ信号を電源制御部54に出力して、各ヒータランプ36,39及びAC/DC変換回路57を介した二次側電気部材(以下では、AC/DC変換回路57側という)への電力供給区間αn,βn,γnを制御する役割を担うものである。CPU58には、前述した主及び副温度センサ37,40と、記憶部59と、例えば電動ファン61駆動用の電動モータ60等が電気的に接続されている。
CPU58に電気的に接続された電動モータ60と電動ファン61とは、二次側電気部材の構成要素の1つである。電動ファン61としては、例えば定着装置5を通過した記録材Pを冷却するための排出ファン等を採用すればよい。なお、図示は省略するが、排出ファンは排出ローラ26の近傍にあるデカーラ部に設けられている。当該排出ファンの回転駆動にて、定着装置5を通過して高温になった記録材Pに筺体2外からの空気が吹き付けられる。このため、カールを防止して記録材Pの搬送性が良好に維持されることになる。
記憶部59は不揮発性のものであり、当該記憶部59には、交流半波毎に導通角を徐々に増減させるための待機時間Tn(nは整数)をまとめた時間情報テーブル(図示省略)が予め記憶されている。時間情報テーブルは、電源周波数50Hz用のものと60Hz用のものとに分けられており、位相制御(スルーアップ及びスルーダウン制御)の実行時にCPU58に読み込まれる。なお、スルーアップ制御では主ヒータランプ36への電力供給区間αnを徐々に長くする必要があり、スルーダウン制御では主ヒータランプ36への電力供給区間αnを徐々に短くする必要があるので、待機時間Tnは、nの値が大きくなるほど短くなるように設定されている。
(4).スルーアップ制御の説明
次に、図4〜図6のフローチャートと図7〜図9の波形図とを参照しながら、スルーアップ制御の一例について説明する。なお、以下に開示のフローチャートにて示されるアルゴリズムは、制御部52のROM等にプログラムとして予め記憶されており、RAMに読みだされてからCPU58にて実行される。また、各トリガ信号は初めに、ハイレベル(OFF)になっているものとする。
スルーアップ制御処理は、CPU58が少なくとも一方のヒータランプ36,39に対する点灯要求を発生させることで開始される(ステップS001)。当該点灯要求の発生要因としては、定着装置5の昇温が必要な時、例えば電源投入直後のウォームアップ時や、ウォームアップ後に各ローラ32,34の表面温度が予め設定された定着温度を下回った時等が挙げられる。
次いで、電源周波数(50Hz又は60Hz)に応じた時間情報テーブルを記憶部59から読み込んでから(ステップS002)、前述の点灯要求が主ヒータランプ36に対するものか、副ヒータランプ39に対するものか、若しくは両方のヒータランプ36,39に対するものかを判別する(ステップS003)。
前述の点灯要求が両方のヒータランプ36,39に対するものである場合はステップS101に移行する。主ヒータランプ36に対する点灯要求の場合はステップS201に移行し、副ヒータランプ39に対する点灯要求の場合はステップS301に移行することになる。
まずは、図4及び図7を参照しながら、両方のヒータランプ36,39に対する点灯要求があった場合の例から説明する。ステップS101においては、図7(b)に示すようなゼロクロス信号の最初の立下りZ(ダウンエッジ)を検出したか否かを判別する。
最初の立下りZが検出されると(S101:YES)、次いで、CPU58は、ステップS002にて読み込まれた時間情報テーブルから待機時間Tn(nは整数)を抜き出し、当該待機時間Tnの計測を開始する(ステップS102)。待機時間Tnの計測開始点は、ゼロクロス信号の立下りタイミングZである(図7(b)参照)。また、最初に抜き出した待機時間Tnのnの値は最小値(実施形態では1)となる。
次いで、副トリガ信号をローレベルに立下げると共に、主トリガ信号をハイレベルに立上げる(ステップS103)。そうすると、副トリガ信号の立下りタイミング(主トリガ信号の立上りタイミングでもある)後に到来するゼロクロス点において、主ヒータ点灯回路55がOFF状態となり、主ヒータランプ36への電力供給が停止すると共に、副ヒータ点灯回路56がON状態となり、逆位相制御にて副ヒータランプ39に電力が供給されることになる(図7(f)(g)参照)。副ヒータランプ39への電力供給は、待機時間Tnの計測終了まで継続される。
次いで、CPU58は、待機時間Tnの計測が終了(カウントアップ)したか否かを判別する(ステップS104)。CPU58は計測終了までステップS104を繰り返す。待機時間Tnに達した場合は(S104:YES)、副トリガ信号をハイレベルに立上げると共に、主トリガ信号をローレベルに立下げる(ステップS105)。
そうすると、副ヒータ点灯回路56がOFF状態となり、副ヒータランプ39への電力供給が停止すると共に、主ヒータ点灯回路55がON状態となり、順位相制御にて主ヒータランプ36に電力が供給されることになる。主ヒータランプ36への電力供給は、主トリガ信号の立下りタイミング後に到来するゼロクロス点まで継続される。従って、上記制御と図7(f)(g)とから明らかなように、主ヒータランプ36の導通角に相当する電力供給区間αnと、副ヒータランプ39の導通角に相当する電力供給区間βnとの和は、交流半波(180°)と一致することになる。
次いで、CPU58は、ゼロクロス信号の次の立下りZを検出したか否かを判別する(ステップS106)。CPU58は、次の立下りZを検出するまでステップS106を繰り返す。次の立下りZが検出された場合は(S106:YES)、次いで、主温度センサ37の検出情報(制御情報)から得られた加熱ローラ32の表面温度を読み込み(ステップS107)、当該表面温度が予め設定された加熱基準温度より高いか否かを判別する(ステップS108)。ここで、加熱基準温度は、定着温度より低い温度になっている。また、加熱ローラ32の表面温度に着目したのは、加熱ローラ32内にある主ヒータランプ36の消費電力の方が加圧ローラ34内にある副ヒータランプ39の消費電力よりも大きく、昇温作用が大きいためである。
加熱ローラ32の表面温度が加熱基準温度より高ければ(S108:YES)、スルーアップ制御が終了したとしてリターンし、その後、全点灯制御を実行することになる。加熱ローラ32の表面温度が加熱基準温度以下であれば(S108:NO)、次いで、待機時間Tnのnの値を1つインクリメントして、T(n+1)を新たな待機時間Tnに置き換え(ステップS109)、ステップS103に戻ってスルーアップ制御を継続する。従って、加熱ローラ32の表面温度が加熱基準温度を超えるまで、ステップS103〜S109が繰り返されることになる。
図7(f)から明らかなように、待機時間はTn>T(n+1)であるので、主ヒータランプ36への電力供給区間はαn<α(n+1)となる。従って、スルーアップ制御では、主ヒータランプ36への電力供給区間αn、すなわち、主ヒータランプ36の点灯時間が交流半波毎に徐々に増加するのである。
次に、図5及び図8を参照しながら、主ヒータランプ36に対する点灯要求があった場合の例について説明する。ステップS201においては、図8(b)に示すようなゼロクロス信号の最初の立下りZ(ダウンエッジ)を検出したか否かを判別する。
最初の立下りZが検出されると(S201:YES)、次いで、CPU58は、ステップS002にて読み込まれた時間情報テーブルから待機時間Tnを抜き出し、当該待機時間Tnの計測を開始する(ステップS202)。
当該制御処理では副ヒータランプ39に対する点灯要求がないので、次いで、二次側トリガ信号をローレベルに立下げると共に、主トリガ信号をハイレベルに立上げる(ステップS203)。そうすると、二次側トリガ信号の立下りタイミング(主トリガ信号の立上りタイミングでもある)後に到来するゼロクロス点において、主ヒータ点灯回路55がOFF状態となり、主ヒータランプ36への電力供給が停止する。そして、主ヒータ点灯回路55だけでなく副ヒータ点灯回路56もOFF状態であるから、逆位相制御にてAC/DC変換回路57側に電力が供給されることになる(図8(f)(g)(h)参照)。AC/DC変換回路57側への電力供給は、待機時間Tnの計測終了まで継続される。
次いで、CPU58は、待機時間Tnの計測が終了(カウントアップ)したか否かを判別する(ステップS204)。CPU58は計測終了までステップS204を繰り返す。待機時間Tnに達した場合は(S204:YES)、二次側トリガ信号をハイレベルに立上げると共に、主トリガ信号をローレベルに立下げる(ステップS205)。
そうすると、AC/DC変換回路57側への電力供給が停止すると共に、主ヒータ点灯回路55がON状態となり、順位相制御にて主ヒータランプ36に電力が供給されることになる。主ヒータランプ36への電力供給は、主トリガ信号の立下りタイミング後に到来するゼロクロス点まで継続される。従って、上記制御と図8(f)(h)とから明らかなように、主ヒータランプ36の導通角に相当する電力供給区間αnと、AC/DC変換回路57側の導通角に相当する電力供給区間γnとの和は、交流半波(180°)と一致することになる。
次いで、CPU58は、ゼロクロス信号の次の立下りZを検出したか否かを判別する(ステップS206)。CPU58は、次の立下りZを検出するまでステップS206を繰り返す。次の立下りZが検出された場合は(S206:YES)、次いで、主温度センサ37の検出情報(制御情報)から得られた加熱ローラ32の表面温度を読み込み(ステップS207)、当該表面温度が予め設定された加熱基準温度より高いか否かを判別する(ステップS208)。
加熱ローラ32の表面温度が加熱基準温度より高ければ(S208:YES)、スルーアップ制御が終了したとしてリターンし、その後、全点灯制御を実行することになる。加熱ローラ32の表面温度が加熱基準温度以下であれば(S208:NO)、次いで、待機時間Tnのnの値を1つインクリメントして、T(n+1)を新たな待機時間Tnに置き換え(ステップS209)、ステップS203に戻ってスルーアップ制御を継続する。従って、加熱ローラ32の表面温度が加熱基準温度を超えるまで、ステップS203〜S209が繰り返されることになる。
次に、図6及び図9を参照しながら、副ヒータランプ39に対する点灯要求があった場合の例について説明する。ステップS301においては、図9(b)に示すようなゼロクロス信号の最初の立下りZ(ダウンエッジ)を検出したか否かを判別する。
最初の立下りZが検出されると(S301:YES)、次いで、CPU58は、ステップS002にて読み込まれた時間情報テーブルから待機時間Tnを抜き出し、当該待機時間Tnの計測を開始する(ステップS302)。
当該制御処理では主ヒータランプ36に対する点灯要求がないので、次いで、副トリガ信号をローレベルに立下げると共に、二次側トリガ信号をハイレベルに立上げる(ステップS303)。そうすると、副トリガ信号の立下りタイミング(二次側トリガ信号の立上りタイミングでもある)後に到来するゼロクロス点において、AC/DC変換回路57側への電力供給が停止すると共に、副ヒータ点灯回路56がON状態となり、逆位相制御にて副ヒータランプ39に電力が供給されることになる(図9(f)(g)(h)参照)。副ヒータランプ39への電力供給は、待機時間Tnの計測終了まで継続される。
次いで、CPU58は、待機時間Tnの計測が終了(カウントアップ)したか否かを判別する(ステップS304)。CPU58は計測終了までステップS304を繰り返す。待機時間Tnに達した場合は(S304:YES)、副トリガ信号をハイレベルに立上げると共に、二次側トリガ信号をローレベルに立下げる(ステップS305)。
そうすると、副ヒータ点灯回路56がOFF作動して、副ヒータランプ39への電力供給が停止すると共に、順位相制御にてAC/DC変換回路57側に電力が供給されることになる。AC/DC変換回路57側への電力供給は、二次側トリガ信号の立下りタイミング後に到来するゼロクロス点まで継続される。従って、上記制御と図9(g)(h)とから明らかなように、副ヒータランプ36の導通角に相当する電力供給区間βnと、AC/DC変換回路57側の導通角に相当する電力供給区間γnとの和は、交流半波(180°)と一致することになる。
次いで、CPU58は、ゼロクロス信号の次の立下りZを検出したか否かを判別する(ステップS306)。CPU58は、次の立下りZを検出するまでステップS306を繰り返す。次の立下りZが検出された場合は(S206:YES)、次いで、副温度センサ40の検出情報(制御情報)から得られた加圧ローラ34の表面温度を読み込み(ステップS307)、当該表面温度が予め設定された加圧基準温度より高いか否かを判別する(ステップS308)。ここで、加圧基準温度も定着温度より低い温度になっている。
加圧ローラ34の表面温度が加圧基準温度より高ければ(S308:YES)、スルーアップ制御が終了したとしてリターンし、その後、全点灯制御を実行することになる。加圧ローラ34の表面温度が加圧基準温度以下であれば(S308:NO)、次いで、待機時間Tnのnの値を1つインクリメントして、T(n+1)を新たな待機時間Tnに置き換え(ステップS309)、ステップS303に戻ってスルーアップ制御を継続する。従って、加圧ローラ34の表面温度が加圧基準温度を超えるまで、ステップS303〜S309が繰り返されることになる。
(5).全点灯制御の説明
次に、図3の波形図を参照しながら、全点灯制御の一例について説明する。前述の通り、全点灯制御は主ヒータランプ36にのみ連続的に電力供給する態様であるから、全点灯区間では、主トリガ信号だけがローレベルに維持され、副及び二次側トリガ信号はハイレベルに維持される。従って、主ヒータ点灯回路55だけがON状態となり、主ヒータランプ36に連続的に電力が供給されることになる。なお、図3では、全点灯区間として交流1周期分だけ図示しているが、これに限るものではなく、加熱ローラ32の表面温度が定着温度に達するまで全点灯制御が継続して行われる。加熱ローラ32の表面温度が定着温度を超えると、スルーダウン制御が実行されることになる。
(6).スルーダウン制御の説明
次に、図10のフローチャートと図11の波形図とを参照しながら、スルーダウン制御の一例について説明する。なお、各トリガ信号は初めに、ハイレベル(OFF)になっているものとする。
スルーダウン制御処理は、全点灯制御の後に実行されるものであるため、CPU58が主ヒータランプ36に対する消灯要求を発生させることで開始される(ステップS401)。当該消灯要求の発生要因としては、加熱ローラ32の表面温度が定着温度を超えた時が挙げられる。次いで、電源周波数(50Hz又は60Hz)に応じた時間情報テーブルを記憶部59から読み込んでから(ステップS402)、図11(b)に示すようなゼロクロス信号の最初の立下りZ(ダウンエッジ)を検出したか否かを判別する(ステップS403)。
最初の立下りZが検出されると(S403:YES)、次いで、CPU58は、ステップS402にて読み込まれた時間情報テーブルから待機時間Tn(nは整数)を抜き出し、当該待機時間Tnの計測を開始する(ステップS404)。待機時間Tnの計測開始点は、ゼロクロス信号の立下りタイミングZである(図11(b)参照)。また、待機時間Tnのnの値は、スルーアップ制御の場合とは逆に、予め設定された最大値となる。
当該制御処理では副ヒータランプ39に対する消灯要求がないので、次いで、二次側トリガ信号をローレベルに立下げると共に、主トリガ信号をハイレベルに立上げる(ステップS405)。そうすると、二次側トリガ信号の立下りタイミング(主トリガ信号の立上りタイミングでもある)後に到来するゼロクロス点において、主ヒータ点灯回路55がOFF状態となり、主ヒータランプ36への電力供給が停止する。そして、主ヒータ点灯回路55だけでなく副ヒータ点灯回路56もOFF状態であるから、逆位相制御にてAC/DC変換回路57側に電力が供給されることになる(図11(f)(g)(h)参照)。AC/DC変換回路57側への電力供給は、待機時間Tnの計測終了まで継続される。
次いで、CPU58は、待機時間Tnの計測が終了(カウントアップ)したか否かを判別する(ステップS406)。CPU58は計測終了までステップS406を繰り返す。待機時間Tnに達した場合は(S406:YES)、二次側トリガ信号をハイレベルに立上げると共に、主トリガ信号をローレベルに立下げる(ステップS407)。
そうすると、AC/DC変換回路57側への電力供給が停止すると共に、主ヒータ点灯回路55がON状態となり、順位相制御にて主ヒータランプ36に電力が供給されることになる。主ヒータランプ36への電力供給は、主トリガ信号の立下りタイミング後に到来するゼロクロス点まで継続される。従って、この場合も、主ヒータランプ36の導通角に相当する電力供給区間αnと、AC/DC変換回路57側の導通角に相当する電力供給区間γnとの和は、交流半波(180°)と一致することになる。
次いで、CPU58は、ゼロクロス信号の次の立下りZを検出したか否かを判別する(ステップS408)。CPU58は、次の立下りZを検出するまでステップS408を繰り返す。次の立下りZが検出された場合は(S408:YES)、次いで、主温度センサ37の検出情報(制御情報)から得られた加熱ローラ32の表面温度を読み込み(ステップS409)、当該表面温度が予め設定された設定温度より低いか否かを判別する(ステップS410)。
加熱ローラ32の表面温度が設定温度より低ければ(S410:YES)、スルーダウン制御が終了したとしてリターンする。加熱ローラ32の表面温度が設定温度以上であれば(S410:NO)、次いで、待機時間Tnのnの値を1つデクリメントして、T(n−1)を新たな待機時間Tnに置き換え(ステップS411)、ステップS405に戻ってスルーダウン制御を継続する。従って、加熱ローラ32の表面温度が設定温度未満になるまで、ステップS405〜S411が繰り返されることになる。
図11(f)から明らかなように、待機時間はT(n−1)>Tnであるので、主ヒータランプ36への電力供給区間はα(n−1)<αnとなる。従って、スルーダウン制御では、主ヒータランプ36への電力供給区間αn、すなわち、主ヒータランプ36の点灯時間が交流半波毎に徐々に減少するのである。
(7).スルーアップ制御の別例
さて、前述したスルーアップ及びスルーダウン制御の例では、加熱又は加圧ローラ32,34の表面温度を検出し、当該検出結果に応じて制御の継続・終了を判断しているが、所定の目標時間が経過すると制御を中止するという態様も採用できる。
図12のフローチャートと図13の波形図とにはスルーアップ制御の別例を示している。当該別例の制御態様(ステップS501〜ステップS518)は、前述の例(図4のフローチャート)と基本的に同じであるが、制御の継続・終了の判断基準を、加熱ローラ32の表面温度ではなく、所定の目標時間Tmainにした点が異なっている。
別例のスルーアップ制御処理は、CPU58が点灯要求を発生させることで開始される(ステップS501)。次いで、電源周波数(50Hz又は60Hz)に応じた時間情報テーブルと、加熱目標時間Tmain及び加圧目標時間Tsubとを記憶部59から読み込む(ステップS502)。
これら各目標時間のうち加熱目標時間Tmainは、主ヒータランプ36に電力供給可能な時間を意味しているが、スルーアップ制御に要する時間にも相当する。この場合は例えば400〜500msに設定される。加圧目標時間Tsubは、副ヒータランプ39に電力供給可能な時間を意味し、例えば100〜200msに設定される。加熱目標時間Tmainは加圧目標時間Tsubより大きい値となっている(Tmain>Tsub)。従って、AC/DC変換回路57側に電力供給可能な二次側目標時間Tsndは、加熱目標時間Tmainから加圧目標時間Tsubを引いた値で表されることになる(Tsnd=Tmain−Tsub)。
次いで、スルーアップ制御に要する時間(加熱目標時間Tmain)をカウントするためのスルーアップタイマーを開始させる(ステップS503)。当該スルーアップタイマーとしては、例えばCPU58の内部タイマーが用いられる。
次いで、図13(b)に示すようなゼロクロス信号の最初の立下りZ(ダウンエッジ)を検出したか否かを判別する(ステップS504)。最初の立下りZが検出されると(S504:YES)、次いで、CPU58は、ステップS002にて読み込まれた時間情報テーブルから待機時間Tnを抜き出し、当該待機時間Tnの計測を開始する(ステップS505)。最初に抜き出した待機時間Tnのnの値は最小値(実施形態では1)となる。
次いで、副トリガ信号をローレベルに立下げると共に、主トリガ信号をハイレベルに立上げる(ステップS506)。その結果、副トリガ信号の立下りタイミング(主トリガ信号の立上りタイミング)後に到来するゼロクロス点において、主ヒータランプ36への電力供給が停止すると共に、逆位相制御にて副ヒータランプ39に電力が供給される(図13(f)(g)参照)。副ヒータランプ39への電力供給は、待機時間Tnの計測終了まで継続される。
次いで、CPU58は、待機時間Tnの計測が終了(カウントアップ)したか否かを判別する(ステップS507)。待機時間Tnに達した場合は(S507:YES)、副トリガ信号をハイレベルに立上げると共に、主トリガ信号をローレベルに立下げる(ステップS508)。その結果、副ヒータランプ39への電力供給が停止すると共に、順位相制御にて主ヒータランプ36に電力が供給される。主ヒータランプ36への電力供給は、主トリガ信号の立下りタイミング後に到来するゼロクロス点まで継続される。
次いで、CPU58は、ゼロクロス信号の次の立下りZを検出したか否かを判別し(ステップS509)、次の立下りZが検出されれば(S509:YES)、次いで、待機時間Tnのnの値を1つインクリメントして、T(n+1)を新たな待機時間Tnに置き換え(ステップS510)、その後、加圧目標時間Tsubが経過したか否かを判別する(ステップS511)。
加圧目標時間Tsubが経過していなければ(S511:NO)、ステップS506に戻ってスルーアップ制御を継続する。すなわち、この段階では、主及び副ヒータランプ36,39に交互に電力供給されることになる。
加圧目標時間Tsubが経過していれば(S511:YES)、次いで、二次側トリガ信号をローレベルに立下げると共に、主トリガ信号をハイレベルに立上げる(ステップS512)。その結果、二次側トリガ信号の立下りタイミング(主トリガ信号の立上りタイミング)後に到来するゼロクロス点において、主ヒータランプ36への電力供給が停止する。そして、主ヒータ点灯回路55だけでなく副ヒータ点灯回路56もOFF状態であるから、逆位相制御にてAC/DC変換回路57側に電力が供給される(図13(f)(g)(h)参照)。AC/DC変換回路57側への電力供給は、待機時間Tnの計測終了まで継続される。
次いで、CPU58は、待機時間Tnの計測が終了(カウントアップ)したか否かを判別する(ステップS513)。待機時間Tnに達した場合は(S513:YES)、二次側トリガ信号をハイレベルに立上げると共に、主トリガ信号をローレベルに立下げる(ステップS514)。その結果、AC/DC変換回路57側への電力供給が停止すると共に、順位相制御にて主ヒータランプ36に電力が供給される。主ヒータランプ36への電力供給は、主トリガ信号の立下りタイミング後に到来するゼロクロス点まで継続される。
次いで、CPU58は、ゼロクロス信号の次の立下りZを検出したか否かを判別し(ステップS515)、次の立下りZが検出されれば(S515:YES)、次いで、待機時間Tnのnの値を1つインクリメントして、T(n+1)を新たな待機時間Tnに置き換えてから(ステップS516)、加熱目標時間Tmainが経過したか否かを判別する(ステップS517)。
加熱目標時間Tmainが経過していなければ(S517:NO)、ステップS512に戻ってスルーアップ制御を継続する。すなわち、この段階では、主ヒータランプ36及びAC/DC変換回路57側に交互に電力供給されることになる。一方、加熱目標時間Tmainが経過していれば(S517:YES)、スルーアップ制御が終了したとして、スルーアップタイマーをリセット(ステップS518)してからリターンし、その後、全点灯制御を実行することになる。
なお、上記別例はスルーアップ制御についてのみ説明しているが、スルーダウン制御についても同様の態様を採用できる。この場合(スルーダウン制御)は、待機時間Tnを徐々に長くすれば足りることになる。
(8).まとめ
以上まとめると、交流半波を複数含むスルーアップ及びスルーダウン区間において、両ヒータ点灯回路55,56のうち一方をONにしたときに他方をOFFにして、両ヒータランプ36,39のいずれか一方に電力供給し、両ヒータ点灯回路55,56をOFFにしたときに二次側電気部材であるAC/DC変換回路57側に電力供給するから、位相制御に際して、交流電源から供給される電力を両ヒータランプ36,39とAC/DC変換回路57とに振り分けでき、力率の大幅な改善が可能になる。従って、無駄な電力消費を抑制して、電力を有効利用できる。
特に実施形態では、交流半波を複数含むスルーアップ及びスルーダウン区間においては、各ヒータランプ36,39やAC/DC変換回路57側(二次側電気部材)への電力供給区間αn,βn,γnが各々重複しないように電力供給されるから、位相制御において生じ易い電力ノイズ(電力供給のON・OFFに起因したノイズ)の低減にも効果的である。
更に実施形態では、プリンタ1にて消費される電力の7割以上を使用する定着装置5に対して電力制御装置50を適用しているため、力率を格段に改善でき、プリンタ1における電力消費の効率を格段に向上できるのである。
(9).その他
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。前述の実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例にして説明したが、これに限らず、複写機、プリンタ、ファクシミリ又はこれらの機能を複合的に備えた複合機等であってもよい。また、前述の実施形態では、加熱手段としてヒータランプを例に説明したが、例えば、コイル等のようにローラを加熱し得るものであれば足りる。
本願発明は、電力制御装置に限らず、制御方法としてもよい。本願発明において各種処理を行う手段及び方法は、専用のハードウェア回路、又はプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現可能である。上記プログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体といったコンピュータ読み取り可能な記録媒体にて提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、制御手段等の記憶部に転送されて記憶される。
また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像形成装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。更に、上記プログラムは、記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。