次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
<第1実施形態に係る画像形成装置の機能構成>
図2は、第1実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示す図である。図2に示すように、画像形成装置100は、搬送制御手段としてのエンジン制御部10と、書き込み制御部20と、書き込み光学ユニット30と、画像処理部40と、レジストセンサ50とを含むように構成される。
エンジン制御部10は、中央処理装置(CPU)を含み、画像形成装置100全体の制御を司り、各種設定を行う。エンジン制御部10は、印刷ジョブスタート信号の入力を検知すると、給紙装置に対して転写紙の給紙を指示し、レジストセンサ50から転写紙が基準位置に到達したことを通知する基準位置到達信号I−REG_Nを受信すると、転写紙を一旦停止させる。
また、エンジン制御部10は、転写紙を一旦停止させた後、画像処理部40から出力される画像転送準備が完了したことを示すプリントリクエスト信号(画像転送準備完了信号)PRREQ_Nがアサートされているか否かを判定し、アサートされていない場合には、アサートされるまで繰り返し処理を行う。エンジン制御部10は、上述したレジストセンサ50からの基準位置到達信号I−REG_Nと、画像処理部40からのプリントリクエスト信号PRREQ_Nのアサートを検出すると、書き込み制御部20に対して動作開始信号STTRIG_Nを任意に出力する。
また、エンジン制御部10は、書き込み制御部20にて生成される書込同期動作開始信号STOUT_Nを受信すると、停止していた転写紙の搬送を再開する。なお、書込同期動作開始信号STOUT_Nは、書き込み制御部20において動作開始信号STTRIG_Nを受信した後に、ライン同期信号lclreを検知して所定時間stout_r経過したタイミングで生成される信号である。
書き込み制御部20では、この書込同期動作開始信号STOUT_Nに基づいて書き込み制御部20内での書き込み動作が開始される。
このように第1実施形態では、書き込み制御部20にて書込同期動作開始信号STOUT_Nが生成されると、エンジン制御部10に対しても書込同期動作開始信号STOUT_Nを出力する。エンジン制御部10は、書込同期動作開始信号STOUT_Nを受信すると、同時に停止していた転写紙の搬送を再開する。
書き込み制御部20は、同期信号制御部22と、遅延ライン制御部24と、書込画像展開部26と、LDドライバ28とを含むように構成され、画像処理部40から出力される画像信号に応じて、感光体上に光を照射し静電潜像を形成する光源の照射位置を制御して、画像の書き込み位置を制御する。例えば、書き込み制御部20は、転写紙に画像を形成するため、入力された画像データを二次元画像に展開するタイミング処理等を行う。
書き込み制御部20は、エンジン制御部10から動作開始信号STTRIG_Nを受信すると、同期信号制御部22にて生成されるライン同期信号lclreを検知し、所定時間stout_r経過したタイミングで、書込同期動作開始信号STOUT_Nを生成する。
ここで、ライン同期信号lclreは、書き込み光学ユニット30の同期検知板32から出力される同期検知信号DETP_Nを基準に、書き込み制御部20の同期信号制御部22にてタイミング管理される信号である。また、ライン同期信号lclreは、書き込み光学ユニット30のポリゴンミラー34の一面走査毎に1パルス生成されるライン同期信号である。また、上述した所定時間stout_rは、画像形成装置100における部品、ユニットの配置、線速等により決定される値である。
書き込み制御部20は、書込同期動作開始信号STOUT_Nをトリガに、遅延ライン制御部24にてライン同期信号lclreをカウントする。遅延ライン制御部24は、遅延ラインカウンタを有し、遅延ラインカウンタにおいて副走査タイミングの制御を行う。
ここで、遅延ラインカウンタは、ライン同期信号lclreをカウントし、副走査方向への遅延ライン数を管理する。
具体的には、予めレジストセンサ50から転写装置までの距離と、感光体ドラム上にレーザビームを露光する位置から転写装置までの距離との差を作像遅延量として算出する。算出された結果から、作像遅延量を副走査ライン数に置き換え、エンジン制御部10から書き込み制御部20に対して副走査遅延レジスタに設定する。
遅延ラインカウンタは、初期値として副走査遅延ラインレジスタ値をロードし、ライン同期信号lclre毎にディクリメント動作し、遅延カウンタが0に達したタイミングで、画像処理部40に対して、画像転送要求信号MFSYNC_Nを出力する。この調整により、出力回数によらず毎回同一の副走査位置に出力画像を形成することが可能となる。
なお、上記実施形態では、ディクリメントする方法を示したが、本発明においては、特にこれに限定されるものではなく、例えばインクリメントする方法でカウントしても良い。この場合には、遅延カウンタが、初期値として0をロードし、ライン同期信号lclre毎にインクリメント動作し、遅延カウンタが、副走査遅延レジスタ値に達したタイミングで、書き込み制御部20は、画像処理部40に対して、画像転送要求信号MFSYNC_Nを出力すると良い。
書き込み制御部20は、画像処理部40に対して、画像転送要求信号MFSYNC_Nを出力した後、画像処理部40から蓄積された画像データIPDATA_Nを受信すると、書込画像展開部26にてライン同期信号lclreを基準に、主走査と副走査の2次元画像に展開し、LDドライバ28に出力する。
LDドライバ28は、入力された2次元画像信号に基づき、書き込み光学ユニット30のLDユニット36に対して実装した光源としてのレーザダイオードを駆動する。また、書き込み制御部20は、書き込み光学ユニット30の偏光器であるポリゴンミラー34の回転数を制御するポリゴンクロック信号PMCLKを出力する
書き込み光学ユニット30は、同期検知板32と、ポリゴンミラー34と、LDユニット36とを含むよう構成される。同期検知板32は、光学センサである同期検知センサが装着され、主走査特定位置にて反射したレーザビームの入射タイミングに合わせて、同期検知信号DETP_Nを生成し、書き込み制御部20に出力する。同期検知板32は、主走査方向の書き出し基準位置を検出する。
回転体としてのポリゴンミラー34は、周面に回転多面鏡を有し、書き込み制御部20から出力されたポリゴンクロック信号PMCLKに基づき、ポリゴンモータによって回転する。ポリゴンミラー34は、高速回転によって、LDユニット36から出射されたレーザビームを主走査方向に偏向させる。
LDユニット36は、実装されたレーザダイオードからレーザビームを出射し、感光体にレーザビームを露光させ静電潜像を形成する。
画像処理部40は、スキャナ部・プリンタドライバ部42から受信した画像データに各種の画像処理を施した画像データを蓄積する。また、画像処理部40は、書き込み制御部20への画像転送準備が完了すると、エンジン制御部10に対してプリントリクエスト信号PRREQ_Nを出力する。また、画像処理部40は、書き込み制御部20から画像転送要求信号MFSYNC_Nが入力されると、画像転送要求信号MFSYNC_Nに応じて蓄積された画像データIPDATA_Nを書き込み制御部20に出力する。
上述したように、第1実施形態では、エンジン制御部10において画像処理部40における画像転送準備が完了したことを確認した上で、動作開始信号STTRIG_Nが出力される。また、書き込み制御部20内の書き込み開始信号となる書込同期動作開始信号STOUT_Nを利用し、書込同期動作開始信号STOUT_Nをエンジン制御部10に対しても出力することで、停止された転写紙の搬送を再開する。
これにより、書き込み制御部20における副走査タイミング制御の起点と、転写紙の搬送の起点を一致させたまま、転写紙のみが先行して搬送されることを防止する。
<第1実施形態に係る書き込み制御処理>
次に、第1実施形態に係る書き込み制御処理について説明する。図3は、第1実施形態に係る書き込み制御処理を示すフローチャートである。
図3に示すように、エンジン制御部10は、印刷ジョブスタート信号が入力されたことを検知すると、給紙装置に対し転写紙の給紙を開始する(S001)。エンジン制御部10は、レジストセンサ50から出力される基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされているか否か(I−REG_N=0?)を判定する(S002)。
エンジン制御部10は、基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされていると判定した場合(S002において、YES)、転写紙を一旦停止させる(S003)。また、エンジン制御部10は、基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされていないと判定した場合(S002において、NO)、基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされるまで繰り返し処理を行う。
次に、エンジン制御部10は、画像処理部40から出力されるプリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされているか否か(PRREQ_N=0?)を判定する(S004)。エンジン制御部10は、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされていると判定した場合(S004において、YES)、任意のタイミングで、書き込み制御部20に対して動作開始信号STTRIG_Nを出力する(S005)。また、エンジン制御部10は、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされていないと判定した場合(S004において、NO)、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされるまで繰り返し処理を行う。
次に、エンジン制御部10は、書き込み制御部20から出力される書込同期動作開始信号STOUT_Nがアサートされているか否かを判定する(S006)。ここで、書込同期動作開始信号STOUT_Nは、書き込み制御部20において動作開始信号STTRIG_Nを受信したタイミングから、次のライン同期信号lclreを基準として、所定時間stout_r経過後に生成される信号である。
エンジン制御部10は、書込同期動作開始信号STOUT_Nがアサートされていると判定した場合(S006において、YES)、即ち書込同期動作開始信号STOUT_Nが入力された場合には、入力されたと同時に、停止していた転写紙の搬送を再開する(S007)。また、エンジン制御部10は、書込同期動作開始信号STOUT_Nがアサートされていないと判定した場合(S006において、NO)、書込同期動作開始信号STOUT_Nがアサートされるまで繰り返し処理を行う。
書き込み制御部20は、書込同期動作開始信号STOUT_N生成後、次のライン同期信号lclreからカウントを開始し、設定された遅延ライン量に達すると、画像処理部40に対して、画像転送要求MFSYNC_Nを出力する。(S008)。
次に、画像処理部40は、書き込み制御部20から受信した画像転送要求信号MFSYNC_Nに応じて、蓄積された画像データIPDATA_Nを書き込み制御部20へ転送する(S009)。
書き込み制御部20は、ライン同期信号lclreを基準に、書込画像展開部26にて画像データIPDATA_Nを主走査と副走査の2次元画像に展開し、LDドライバ28へ出力する。LDドライバ28では入力された2次元画像信号に基づいてLDユニット32に実装したレーザダイオードを駆動して露光を開始する(S010)。
なお、上述した基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされた後、所定時間待っても、エンジン制御部10においてプリントリクエスト信号PRREQ_Nのアサートを確認できない場合は、画像処理部40のエラーとして処理してもよい。
<第1実施形態に係る書き込み制御処理のタイミングチャート>
次に、図4を用いて、第1実施形態に係る書き込み制御処理のタイミングチャートについて説明する。図4は、第1実施形態に係る書き込み制御処理のタイミングチャートを示す図である。なお、以下の説明では、第1実施形態として3つの実施例(実施例1〜3、図4(A)〜(C))について説明するが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
また、以下に示す第1実施形態の特徴として、エンジン制御部10から出力される動作開始信号STTRIG_Nのタイミングは、レジストセンサ50から出力される基準位置到達信号I−REG_Nと、画像処理部40から出力されるプリントリクエスト信号(画像転送準備完了信号)PRREQ_Nがアサートされた後であること、また、エンジン制御部10が転写紙の搬送を再開するタイミングは、動作開始信号STTRIG_Nの後に書き込み制御部20において生成される書込同期動作開始信号STOUT_Nがアサートされると同時に行なわれる点である。
<実施例1:図4(A)>
実施例1では、エンジン制御部10にて転写紙が基準位置に到達したことが検出される(a1に示す基準位置到達信号I−REG_Nの立ち下がり時)よりも、画像処理部40からのプリントリクエスト信号(画像転送準備完了信号)PRREQ_Nの方が先にアサートされる場合(プリントリクエスト信号PRREQ_Nの立ち下がりが早い場合)を示している。
図4(A)では、まず、ジョブスタートの指示により、給紙が開始される。次に、エンジン制御部10にてプリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされる(プリントリクエスト信号PRREQ_Nが立ち下がっている)。
その後、転写紙が基準位置に到達し、レジストセンサ50がONされることにより、エンジン制御部10においてa1に示す基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされる(基準位置到達信号I−REG_Nが立ち下がっている)。これにより、エンジン制御部10は転写紙の搬送を停止する。
エンジン制御部10は、基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされた後、プリントリクエストPRREQ_Nがアサートされたか否かを判定する。図4(A)に示すように、プリントリクエスト信号PRREQ_Nは既にアサートされているため、エンジン制御部10は、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされているのを確認後、任意のタイミングで、書き込み制御部20へ動作開始信号STTRIG_Nを出力する。
次に、書き込み制御部20は、動作開始信号STTRIG_Nが入力された後、次のライン同期信号lclreを基準として、図4(A)のR1に示す所定時間stout_r経過後に、書込同期動作開始信号STOUT_Nを生成し、エンジン制御部20に出力する。ここで、所定時間stout_rは、上述したように、画像形成装置100の部品、ユニットの配置、線速等から決定される値である。
エンジン制御部10は、書き込み制御部20から書込同期動作開始信号STOUT_Nを受信すると同時に、転写紙の搬送を再開する。
書き込み制御部20は、書込同期動作開始信号STOUT_N生成後、次のライン同期信号lclreからカウントを始め、設定された遅延ライン量に達すると、図4(A)のb1に示すライン同期信号lclreと同期したタイミングで、画像処理部40に画像転送要求MFSYNC_Nを出力する。
画像処理部40は、画像転送要求信号MFSYNC_Nを入力した後、画像データIPDATA_Nを、書き込み制御部20へ転送し、書き込み制御部20は、ライン同期信号lclreを基準として露光を開始する。なお、図4(A)中のPFGATE_Nは、副走査画像領域を表す副走査ゲート信号である。
<実施例2:図4(B)>
実施例2では、画像処理部40から出力されるプリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされるタイミングが、転写紙が基準位置に到達したことが検出される(a2に示す基準位置到達信号I−REG_Nの立ち下がり時)時点よりも遅い場合を示している。また、プリントリクエスト信号PRREQ_Nのアサートされるタイミングは、転写紙基準位置到達時の、次の同期検知信号DETP_N出力前となっている。
図4(B)では、まず、ジョブスタートの指示により、給紙が開始される。次に、転写紙が基準位置に到達し、レジストセンサ50がONされることにより、エンジン制御部10においてa2に示す基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされる。これにより、エンジン制御部10は転写紙の搬送を停止する。
エンジン制御部10は、基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされた後、プリントリクエストPRREQ_Nがアサートされているか否かを判定する。図4(B)に示すように、プリントリクエスト信号PRREQ_Nはまだアサートされていないため、エンジン制御部10は、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされているかの判定を続ける。
エンジン制御部10は、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされているているのを確認後、任意のタイミングで、書き込み制御部20へ動作開始信号STTRIG_Nを出力する。
次に、書き込み制御部20は、動作開始信号STTRIG_Nが入力された後、次のライン同期信号lclreを基準として、図4(B)のR1に示す所定時間stout_r経過後に、書込同期動作開始信号STOUT_Nを生成し、エンジン制御部20に出力する。ここで、所定時間stout_rは、上述したように、画像形成装置100の部品、ユニットの配置、線速等から決定される値である。
エンジン制御部10は、書き込み制御部20から書込同期動作開始信号STOUT_Nを受信すると同時に、転写紙の搬送を再開する。その後は、上述した図4(A)と同様の処理が行なわれる。
<実施例3:図4(C)>
実施例3は、実施例2よりも画像処理部40から出力されるプリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされるタイミングが、転写紙の基準位置到達時(a3に示す基準位置到達信号I−REG_Nの立ち下がり時)よりも更に遅い場合を示している。即ち、実施例3では、プリントリクエスト信号PRREQ_Nのアサートされるタイミングが、転写紙基準位置到達後で、更に同期検知信号DETP_N出力後となっている。
図4(C)では、まず、ジョブスタートの指示により、給紙が開始される。次に、転写紙が基準位置に到達し、レジストセンサ50がONされることにより、エンジン制御部10においてa3に示す基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされ(基準位置到達信号I−REG_N立ち下がり)、エンジン制御部10は転写紙の搬送を停止する。
エンジン制御部10は、基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされた後、プリントリクエストPRREQ_Nがアサートされているか否かを判定する。図4(C)に示すように、プリントリクエスト信号PRREQ_Nはまだアサートされていないため、エンジン制御部10は、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされているかの判定を続ける。
ここで、実施例3では、同期検知信号DETP_N、又はライン同期信号lclreが出力されたタイミングにおいて、プリントリクエスト信号PRREQ_Nはまだアサートされていない。エンジン制御部10は、同期検知信号DETP_N、又はライン同期信号lclreが出力された後、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされているていること(プリントリクエスト信号PRREQ_N立ち下がり)を確認し、その後任意のタイミングで、書き込み制御部20へ動作開始信号STTRIG_Nを出力する。
次に、書き込み制御部20は、動作開始信号STTRIG_Nが入力された後、次のライン同期信号lclreを基準として、図4(C)のR1に示す所定時間stout_r経過後に、書込同期動作開始信号STOUT_Nを生成し、エンジン制御部20に出力する。ここで、所定時間stout_rは、上述したように、画像形成装置100の部品、ユニットの配置、線速等から決定される値である。
エンジン制御部10は、書き込み制御部20から書込同期動作開始信号STOUT_Nを受信すると同時に、転写紙の搬送を再開する。その後は、上述した図4(A)と同様の処理が行なわれる。
上述したように第1実施形態によれば、実施例1〜3(図4(A)〜(C))のようにプリントリクエスト信号PRREQ_Nがどのようなタイミングでアサートしても、転写紙搬送再開から露光開始までの時間が一定となることがわかる。したがって、出力回数によらず毎回同一の副走査位置に出力画像を形成しつつも、画像処理部の処理に対して紙搬送だけが先行される状態を防ぐことを可能とする。
<第2実施形態に係る画像形成装置の機能構成>
次に、図5を用いて第2実施形態に係る画像形成装置の機能構成について説明する。図5は、第2実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示す図である。図5に示す第2実施形態に係る画像形成装置101は、図2の画像形成装置100と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
図5に示すように、エンジン制御部10は、印刷ジョブスタート信号の入力を検知すると、給紙装置に対して転写紙の給紙を指示し、レジストセンサ50から転写紙が基準位置に到達したことを通知する基準位置到達信号I−REG_Nを受信すると、転写紙を一旦停止させる。
また、エンジン制御部10は、転写紙を一旦停止させた後、画像処理部40から出力される画像転送準備が完了したことを示すプリントリクエスト信号(画像転送準備完了信号)PRREQ_Nがアサートされているか否かを判定し、アサートされていない場合には、アサートされるまで繰り返し処理を行う。
また、エンジン制御部10は、書き込み光学ユニット30に取り付けられた同期検知板31から検出される同期検知信号DETP_Nがアサートされているか否か判定し、アサートされていない場合には、アサートされるまで繰り返し処理を行う。
エンジン制御部10は、上述したレジストセンサ50から出力される基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされた後、画像処理部40からのプリントリクエスト信号PRREQ_N、及び同期検知信号DETP_Nのアサートを検出すると、特定のタイミングにて停止していた転写紙の搬送を再開すると共に、特定のタイミングにて書き込み制御部20に対して動作開始信号STTRIG_Nを出力する。ここで、特定のタイミングとは、画像形成装置101における部品、ユニットの配置、線速等から算出される。
上述したように、第2実施形態では、エンジン制御部10は、画像処理部40からのプリントリクエスト信号PRREQ_Nの他、同期検知信号DETP_Nに基づき、転写紙の搬送を再開すると共に、書き込み制御部20に対して動作開始信号STTRIG_Nを出力する。これにより、同期検知信号DETP_Nと非同期に動作開始信号STTRIG_Nを出力してしまうと、動作開始信号STTRIG_Nから書き込み制御部20の動作開始までの時間が、最大でポリゴンミラーの一面周期分ばらつく状態を回避することができる。
即ち、第2実施形態では、同期検知信号DETP_Nから特定のタイミングで、転写紙の搬送を再開し、書き込み制御部20に対して動作開始信号STTRIG_Nを出力することによって、書き込み制御部20の動作開始のばらつきを解消する。
書き込み制御部20は、エンジン制御部10から出力される動作開始信号STTRIG_Nを受信すると、書き込み光学ユニット30の同期検知板36から出力される同期検知信号DETPに同期して、同期信号制御部22にて生成されるライン同期信号lclreを検知する。
また、書き込み制御部20は、ライン同期信号lclreを検知後、所定時間stout_r経過したタイミングで、書込同期動作開始信号STOUT_Nを生成する。書き込み制御部20は、エンジン制御部10から動作開始信号STTRIG_Nを受信すると、同期信号制御部22にて生成されるライン同期信号lclreを検知し、所定時間stout_r経過したタイミングで、書込同期動作開始信号STOUT_Nを生成する。
また、書き込み制御部20は、書込同期動作開始信号STOUT_Nをトリガに、遅延ライン制御部24にてライン同期信号lclreをカウントし、遅延ラインカウンタにおいて副走査タイミングの制御を行う。
上述したように、第2実施形態では、エンジン制御部10において画像処理部40における画像転送準備の状態、及び同期検知信号DETP_Nを確認した上で、転写紙の搬送を再開すると共に、書き込み制御部20に対して動作開始信号STTRIG_Nを出力する。これにより、書き込み制御部20の動作開始のばらつきを解消すると共に、書き込み制御部20における副走査タイミング制御の起点と、転写紙の搬送の起点を一致させたまま、転写紙のみが先行して搬送されることを防止する。
なお、エンジン制御部10は、同期開始信号DETP_Nの代わりに、例えば書き込み制御部20から出力される、書き込み光学ユニット30のポリゴンモータを駆動するためのポリゴンクロックPMCLK等、ポリゴンミラー34の1面周期内で毎回同じタイミングで切り替わる信号を用いることができる。
<第2実施形態に係る書き込み制御処理>
次に、第2実施形態に係る書き込み制御処理について説明する。図6は、第2実施形態に係る書き込み制御処理を示すフローチャートである。
図6に示すように、エンジン制御部10は、印刷ジョブスタート信号が入力されたことを検知すると、給紙装置に対し転写紙の給紙を開始する(S101)。エンジン制御部10は、レジストセンサ50から出力される基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされているか否か(I−REG_N=0?)を判定する(S102)。
エンジン制御部10は、基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされていると判定した場合(S102において、YES)、転写紙を一旦停止させる(S103)。また、エンジン制御部10は、基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされていないと判定した場合(S102において、NO)、基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされるまで繰り返し処理を行う。
次に、エンジン制御部10は、画像処理部40から出力されるプリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされているか否か(PRREQ_N=0?)を判定する(S104)。また、エンジン制御部10は、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされていないと判定した場合(S104において、NO)、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされるまで繰り返し処理を行う。
エンジン制御部10は、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされていると判定した場合(S104において、YES)、エンジン制御部10は、同期検知信号DETP_Nがアサートされたか否かを判定する(S105)。なお、エンジン制御部10は、同期検知信号DETP_Nがアサートされていないと判定した場合(S105において、NO)、同期検知信号DETP_Nがアサートされるまで繰り返し処理を行う。
エンジン制御部10は、同期検知信号DETP_Nがアサートされたと判定した場合(S105において、YES)、同期検知信号DETP_Nからタイミング調整値T1が経過しているか否かについて判定する(S106)。また、エンジン制御部10は、タイミング調整値T1が経過していないと判定した場合(S106において、NO)、タイミング調整値T1が経過するまで繰り返し処理を行う。
エンジン制御部10は、タイミング調整値T1が経過したと判定した場合(S106において、YES)、書き込み制御部20に対して動作開始信号STTRIG_Nを出力する(S107)。
また、エンジン制御部10は、同時に同期検知信号DETP_Nからタイミング調整値T2が経過しているか否かについて判定する(S108)。なお、エンジン制御部10は、タイミング調整値T2が経過していないと判定した場合(S108において、NO)、S108に戻り処理を続ける。
エンジン制御部10は、タイミング調整値T2が経過したと判定した場合(S108において、YES)、停止していた転写紙の搬送を再開する(S109)。
次に、書き込み制御部20は、動作開始信号STTRIG_Nを受信したタイミングから、次のライン同期信号lclreを基準として、所定時間stout_r経過後に、書込同期動作開始信号STOUT_Nを生成する。(S110)。これにより、書き込み制御部20内における書き込み処理が開始する。
また、書き込み制御部20は、書込同期動作開始信号STOUT_N生成後、次のライン同期信号lclreからカウントをはじめ、設定された遅延ライン量に達すると、画像処理部40に対して、画像転送要求MFSYNC_Nを出力する。(S111)。
画像処理部40は、書き込み制御部20から受信した画像転送要求信号MFSYNC_Nに応じて、蓄積された画像データIPDATA_Nを書き込み制御部20へ転送する(S113)。
書き込み制御部20は、ライン同期信号lclreを基準に、書込画像展開部26にて画像データIPDATA_Nを主走査と副走査の2次元画像に展開し、LDドライバ28へ出力する。LDドライバ28では入力された2次元画像信号に基づいてLDユニット32に実装したレーザダイオードを駆動して露光を開始する(S113)。
なお、基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされた後、エンジン制御部10において所定時間待ってもプリントリクエスト信号PRREQ_Nのアサートを確認できない場合は、画像処理部40のエラーとして処理してもよい。
<第2実施形態に係る書き込み制御処理のタイミングチャート>
次に、図7を用いて、第2実施形態に係る書き込み制御処理のタイミングチャートについて説明する。図7は、第2実施形態に係る書き込み制御処理のタイミングチャートを示す図である。なお、以下の説明では、第2実施形態として3つの実施例(実施例1〜3、図7(A)〜(C))について説明するが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
また、以下に示す第2実施形態の特徴は、エンジン制御部10から出力される動作開始信号STTRIG_Nのタイミングと、エンジン制御部10が転写紙の搬送を再開するタイミングとが、画像処理部40から出力されるプリントリクエスト信号(画像転送準備完了信号)PRREQ_Nと、同期検知信号DETP_Nを基準にしている点である。また、第2実施形態では、書込同期動作開始信号STOUT_Nは、書き込み制御部20内のみにて使用されている構成となっている。
<実施例1:図7(A)>
実施例1では、エンジン制御部10にて転写紙が基準位置に到達したことが検出される(a1に示す基準位置到達信号I−REG_Nの立ち下がり時)よりも、画像処理部40からのプリントリクエスト信号(画像転送準備完了信号)PRREQ_Nの方が先にアサートされる場合(プリントリクエスト信号PRREQ_Nの立ち下がりが早い場合)を示している。
図7(A)では、まず、ジョブスタートの指示により、給紙が開始される。次に、エンジン制御部10にて画像処理部40から出力されたプリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされる(プリントリクエスト信号PRREQ_N立ち下がり)。
その後、転写紙が基準位置に到達し、レジストセンサ50がONされることにより、エンジン制御部10にてa1に示す基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされる(基準位置到達信号I−REG_N立ち下がり)。これにより、エンジン制御部10は、転写紙の搬送を停止する。
エンジン制御部10は、基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされた後、プリントリクエストPRREQ_Nがアサートされているか否かを判定する。図7(A)に示すように、プリントリクエスト信号PRREQ_Nは既にアサートされているため、エンジン制御部10は、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされているのを確認する。
エンジン制御部10は、プリントリクエスト信号PRREQ_Nのアサートを確認後、次の同期検知信号DETP_Nを基準として、タイミング調整値T1経過後に、動作開始信号STTRIG_Nを生成し、書き込み制御部20に出力すると共に、タイミング調整値T2経過後に、転写紙の搬送を再開する。
なお、ここで、プリントリクエスト信号PRREQ_Nのアサートを確認後、「次の」同期検知信号DETP_Nを基準としたが、その限りではなく「次の次」、「次の次の次」等を基準としても良い。
また、プリントリクエスト信号PRREQ_Nのアサートを確認後、同期検知信号DETP_Nを基準としたが、その限りではなく、例えば書き込み制御部20から出力される、書き込み光学ユニット30のポリゴンモータを駆動するためのポリゴンクロック等、ポリゴンミラー34の1面周期内で毎回同じタイミングでONする(切り替わる)信号であれば良い。
また、タイミング調整値T1、及びタイミング調整値T2は、上述した図2において説明した遅延ライン量の算出と同様に、部品、ユニットの配置、線速等から決定される値である。したがって、「タイミング調整値T1>タイミング調整値T2」、「タイミング調整値T1=タイミング調整値T2」、「タイミング調整値T1<タイミング調整値T2」等の関係は、機種ごとに異なる。
次に、書き込み制御部20は、動作開始信号STTRIG_Nが入力された後、次のライン同期信号lclreを基準として、図7(A)のR1に示す所定時間stout_r経過後に、書込同期動作開始信号STOUT_Nを生成し、エンジン制御部20に出力する。なお、所定時間stout_rは、上述したように、画像形成装置101の部品、ユニットの配置、線速等から決定される値である。
書き込み制御部20は、書込同期動作開始信号STOUT_N生成後、次のライン同期信号lclreからカウントを始め、設定された遅延ライン量に達すると、図7(A)のb1に示すライン同期信号lclreと同期したタイミングで、画像処理部40に画像転送要求MFSYNC_Nを出力する。
画像処理部40は、画像転送要求信号MFSYNC_Nを入力した後、画像データIPDATA_Nを、書き込み制御部20へ転送し、書き込み制御部20は、ライン同期信号lclreを基準として露光を開始する。なお、図7(A)中のPFGATE_Nは、副走査画像領域を表す副走査ゲート信号である。
<実施例2:図7(B)>
実施例2では、画像処理部40から出力されるプリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされるタイミングが、転写紙が基準位置に到達したことが検出される(a2に示す基準位置到達信号I−REG_Nの立ち下がり時)時点よりも遅い場合を示している。また、プリントリクエスト信号PRREQ_Nのアサートされるタイミングは、転写紙基準位置到達時の、次の同期検知信号DETP_N出力前となっている。
図7(B)では、まず、ジョブスタートの指示により、給紙が開始される。次に、転写紙が基準位置に到達し、レジストセンサ50がONされることにより、エンジン制御部10においてa2に示す基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされる(基準位置到達信号I−REG_N立ち下がり)。これにより、エンジン制御部10は転写紙の搬送を停止する。
エンジン制御部10は、基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされた後、プリントリクエストPRREQ_Nがアサートされているか否かを判定する。図7(B)に示すように、プリントリクエスト信号PRREQ_Nはまだアサートされていないため、エンジン制御部10は、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされているかの判定を続ける。
エンジン制御部10は、プリントリクエスト信号PRREQ_Nのアサートされたこと(プリントリクエスト信号PRREQ_N立ち下がり)を確認後、次の同期検知信号DETP_Nを基準として、タイミング調整値T1経過後に、動作開始信号STTRIG_Nを生成し、書き込み制御部20に出力すると共に、タイミング調整値T2経過後に、転写紙の搬送を再開する。
その後は、上述した図7(A)と同様の処理が行なわれる。
<実施例3:図7(C)>
実施例3は、実施例2よりも画像処理部40から出力されるプリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされるタイミングが、転写紙の基準位置到達時(a3に示す基準位置到達信号I−REG_Nの立ち下がり時)より更に遅い場合を示している。即ち、実施例3では、プリントリクエスト信号PRREQ_Nのアサートされるタイミングが、転写紙基準位置到達後で、次の同期検知信号DETP_N出力後となっている。
図7(C)では、まず、ジョブスタートの指示により、給紙が開始される。次に、転写紙が基準位置に到達し、レジストセンサ50がONされることにより、エンジン制御部10においてa3に示す基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされ(基準位置到達信号I−REG_N立ち下がり)、エンジン制御部10は転写紙の搬送を停止する。
エンジン制御部10は、基準位置到達信号I−REG_Nがアサートされた後、プリントリクエストPRREQ_Nがアサートされているか否かを判定する。図7(C)に示すように、プリントリクエスト信号PRREQ_Nはまだアサートされていないため、エンジン制御部10は、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされているかの判定を続ける。
ここで、実施例3では、同期検知信号DETP_Nが出力されたタイミングにおいて、プリントリクエスト信号PRREQ_Nはまだアサートされていない。エンジン制御部10は、同期検知信号DETP_N、又はライン同期信号lclreが出力された後、プリントリクエスト信号PRREQ_Nがアサートされていること(プリントリクエスト信号PRREQ_N立ち下がり)を確認する。
次に、エンジン制御部10は、プリントリクエスト信号PRREQ_Nのアサート確認後、次の同期検知信号DETP_Nを基準として、タイミング調整値T1経過後に、動作開始信号STTRIG_Nを生成し、書き込み制御部20に出力すると共に、タイミング調整値T2経過後に、転写紙の搬送を再開する。その後は、上述した図7(A)と同様の処理が行なわれる。
上述したように第2実施形態によれば、実施例1〜3(図7(A)〜(C))のようにPRREQ_Nがどのようなタイミングでアサートしても、転写紙搬送再開から露光開始までの時間が一定となることがわかる。したがって、出力回数によらず毎回同一の副走査位置に出力画像を形成しつつも、画像処理部の処理に対して紙搬送だけが先行してしまう状況を防ぐことを可能とする。また、同期検知信号DETP_Nを確認した上で、書き込み制御部20に対して動作開始信号STTRIG_Nを出力する。これにより、書き込み制御部20の動作開始のばらつきを解消することを可能とする。
上述のように、本発明によれば、画像処理部の処理状態を考慮して、転送紙の搬送を再開することにより、画像書込処理における転送紙の先行搬送を防ぐことが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。