JP5356603B2 - ドライフィルムフォトレジスト - Google Patents

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Description

本発明は多層構造を持つドライフィルムフォトレジストに関する。
ドライフィルムフォトレジスト(dryfilm photoresist)は1968年頃にアメリカデュポン社によって‘RISTON’という商品名で開発されて以来、現在の電気・電子産業、特にプリント基板などの加工に重要な材料として使われている。
プリント基板上の回路形成に使われるフォトレジスト材料としては、全体の約50%程度が感光性スクリーン印刷インクを使っているが、高密度と高信頼度が要求される両面板及び多層板のプリント基板の製作にはドライフィルムフォトレジストが必須に使われている。
このようなドライフィルムフォトレジストは支持体フィルム(base film)及び感光性樹脂層(photosensitive layer)の2層の構造に主に積層され、ドライフィルムフォトレジストの使用前まで感光性樹脂層を保護するために保護フィルムをさらに含む。
一般に、支持体フィルムは、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルフィルムを使い、その厚さは25μm程度である。このような支持体フィルムは、ドライフィルムフォトレジストを製造する間に感光性樹脂層の支持体の役目をするもので、粘着力を持っている感光性樹脂層の露光の際に取り扱いやすくするものである。
感光性樹脂は光による反応メカニズムによってネガティブ型とポジティブ型に分けられる。ネガティブ型感光性樹脂の場合は、露光された部分で光架橋反応が起こり未露光部位はアルカリで洗い落とされてレジストパターンが残ることになり、ポジティブ型感光性樹脂の場合は、露光部位で発光して反応が起こってアルカリによって現像され、未露光部位が残ってレジストパターンを形成する。
感光性樹脂層は光重合性単量体、光重合開始剤、バインダーポリマーなどを含んで目的にかなうように製造される。このような感光性樹脂層は支持体フィルム上に塗布され、塗布の後、使用目的によって適宜15〜100μmまでの厚さを持つ。このような感光性樹脂層は、フォトレジストに要求される機械的・化学的性質と加工などの条件によって多様な組成を持っている。
一方、保護フィルムは、取扱いの際、レジストの損傷を防止し、ほこりのような異物から感光性樹脂層を保護する保護カバーの役目をするもので、感光性樹脂層の支持体フィルムが形成されない裏面に積層される。
このようなドライフィルムフォトレジストを利用したパターン形成方法の一例を挙げれば、プリント基板上に適用するとき、先に保護フィルムを剥がし、銅張積層板(copper clad laminate;CCL)上にラミネーション(lamination)した後、所望のパターンのマスクをつけて紫外線(UV)を照射して露光(exposing)を行い、適切な溶剤を使って硬化しなかった部分を洗い落とす現像(developing)過程を経る。
通常、このような組成を持つドライフィルムフォトレジストを用いる場合、露光の際には、感光性樹脂層に支持体フィルムが付着されたまま進むので、感光性樹脂層とマスクが支持体フィルムの厚さ程度離隔され、結果として解像度を向上させるのに限界がある。また、紫外線光を照射させて露光させる場合、紫外線が支持体フィルムを透過して紫外線透過率にも影響を及ぼし、支持体フィルムの内部粒子による紫外線散乱などのため高解像度を具現するのに限界がある。
このような点を解決するために、支持体フィルムを剥がした後、露光することもできるが、感光性樹脂層は粘着性を持っているため、支持体フィルムを剥がせば、マスクが前記感光性樹脂層に付くことになるので、感光性樹脂層に損傷が与えられ、結果として解像度が低下し、マスクが汚染されることにより、マスクの寿命が短縮する問題がある。
したがって、現実的に支持体フィルムを剥がした後の露光はなされにくく、これによる解像度低下の問題は依然として残っている。
さらに、プリント基板の高密度化及び半導体パッケージング技術の発展につれて回路線幅の高密度化が進み、このような微細回路基板に適用することができる高解像のドライフィルムフォトレジストに対する要求が切実な状況である。
したがって、本発明は前記のような従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、支持体フィルムを除去した状態で露光工程を実施することができるようにして解像度を向上させ、特に支持体フィルムと樹脂保護層を適正水準に接着させるとともに、支持体フィルムの除去の際、樹脂保護層の損傷がないドライフィルムフォトレジストを提供することである。
本発明の一具現例は、支持体フィルム、樹脂保護層及び感光性樹脂層を順次積層して含み、前記樹脂保護層は水溶性高分子及びアルコキシアルコールを含むドライフィルムフォトレジストである。
本発明の他の一具現例は、支持体フィルム上に積層された離型層をさらに含み、前記離型層はシリコン樹脂、フッ素樹脂及び脂肪族ワックスの中で選ばれた1種以上を含み、前記樹脂保護層は重量平均分子量5000〜300000のポリビニルアルコールを含むドライフィルムフォトレジストである。
本発明のさらに他の一具現例は、前記樹脂保護層はアルコキシアルコールを30000ppm以下含むドライフィルムフォトレジストである。
本発明のさらに他の一具現例は、前記アルコキシアルコールは炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルコール基を持つドライフィルムフォトレジストである。
本発明のさらに他の一具現例は、前記アルコキシアルコールはブトキシエタノールであるドライフィルムフォトレジストである。
本発明のさらに他の一具現例は、前記水溶性高分子を水及びアルコキシアルコールを含む溶媒にとかした後、これを支持体フィルム上にコートして樹脂保護層を形成するドライフィルムフォトレジストである。
本発明のさらに他の一具現例は、前記溶媒は水100重量部に対してアルコキシアルコール1〜43重量部を含むドライフィルムフォトレジストである。
本発明のさらに他の一具現例は、前記支持体フィルムと樹脂保護層間の粘着力が0.0005〜0.01N/cmであるドライフィルムフォトレジストである。
本発明のさらに他の一具現例は、前記樹脂保護層は、ポリシリコンを含む場合、水溶性高分子100重量部に対してポリシリコン0.01〜3重量部の含量で含むドライフィルムフォトレジストである。
本発明のさらに他の一具現例は、前記ポリシリコンは、水、アルコール類及びこれらの混合物の中で選ばれたいずれか一つの溶媒100gに6時間80℃の条件でポリシリコン0.1gを溶解するとき、粒度が1μm以下であるドライフィルムフォトレジストである。
本発明のさらに他の一具現例は、前記樹脂保護層はヘイズが3.0%以下であるドライフィルムフォトレジストである。
本発明のさらに他の一具現例は、前記樹脂保護層は1μm当たり現像時間が10秒以下であるドライフィルムフォトレジストである。
本発明のさらに他の一具現例は、前記離型層及び樹脂保護層間の粘着力が0.0005〜0.01N/cmであるドライフィルムフォトレジストである。
本発明のさらに他の一具現例は、前記樹脂保護層は厚さが10μm以下であるドライフィルムフォトレジストである。
本発明のさらに他の一具現例は、前記ポリビニルアルコールは鹸化度が75〜97%であるドライフィルムフォトレジストである。
本発明によるドライフィルムフォトレジストは、支持体フィルムを除去した状態で露光工程を実施することが可能で、支持体フィルムによる露光効果の悪影響を防止することにより、究極に解像度を向上させることができる。
特に、本発明による樹脂保護層は、ポリシリコンのような湿潤剤(wetting agent)の含量を減らすことができて、原価を節減させながらヘイズ(haze)を低める効果を得ることができ、支持体フィルムと樹脂保護層を適正水準で接着させるとともに、支持体フィルムを除去するとき、樹脂保護層に損傷を与えなくてヘイズの低下を防止することができ、現像時間の低下も発生しないので、高解像度を達成することができる。
本発明の実施例1で製造された現像工程後のプリント基板の表面を1200倍で拡大して撮影した電子燎微鏡写真である。 本発明の実施例5で製造された現像工程後のプリント基板の表面を1200倍で拡大して撮影した電子燎微鏡写真である。 比較例1で製造された現像工程後のプリント基板の表面を1200倍で拡大して撮影した電子燎微鏡写真である。
本発明の一具現例によれば、支持体フィルム、樹脂保護層及び感光性樹脂層を順次積層して含み、前記樹脂保護層は水溶性高分子及びアルコキシアルコールを含むドライフィルムフォトレジストを提供するものである。
本発明のドライフィルムフォトレジストは、支持体フィルム、離型層、樹脂保護層及び感光性樹脂層を順次積層して含む構造になっている。
前記支持体フィルムは樹脂保護層と感光性樹脂層の支持体の役目をするので、十分な機械的特性を備えたものが好ましい。より具体的に、支持体フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、及びポリエチレンナフタレートフィルムのようなポリエステル系フィルム;ポリエチレンフィルム、及びポリプロピレンフィルムのようなポリオレフィン系フィルム;ポリビニルクロリドとビニルアセテートの共重合体フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、及びポリトリフルオロエチレンフィルムのようなポリビニル系フィルム;ポリイミド系フィルム;6,6−ナイロンのようなポリアミド系フィルム;セルローストリアセテート、及びセルロースジアセテートフィルムのようなポリアセテート系フィルム;アルキルポリ(メト)アクリレートフィルムのようなポリアクリレート系フィルム;(メト)アクリル酸エステル共重合体フィルムのようなポリアクリル系フィルム;などをあげることができ、これらの中で機械的特性及び経済性を考慮して、好ましくはポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。
前記支持体フィルムの厚さは10〜100μmの範囲で所望の目的によって選択することができる。
前記樹脂保護層は水溶性高分子及びアルコキシアルコールを含む。
これを具体的に説明すれば、樹脂保護層は水溶性高分子を含んでいるので、水溶性高分子を溶解させるために溶媒として水を使うことができる。前記アルコキシアルコールは水より表面張力が小さいため、支持体フィルムに樹脂保護層を形成するためのコーティング液、つまり水溶性高分子及びアルコキシアルコールを含むコーティング液を塗布するとき、湿潤性(wetting)を向上させて塗膜をよく形成させる効果を得ることができる。
また、このような湿潤性を向上させるために樹脂保護層にポリシリコンのような湿潤剤を添加することができる。樹脂保護層にアルコキシアルコールを含む場合、湿潤剤の含量を減らしても湿潤性を向上させることができるので、湿潤剤の含量を減少させることができて原価が節減される経済的な効果を得ることができる。特に、水溶性高分子を含む樹脂保護層に湿潤剤として使うことができるポリシリコンを添加する場合、ポリシリコンは水よりアルコキシアルコールに対する溶解度(solubility)が高いからヘイズ(haze)を低めることができ、結果として高解像度を具現することができる。このような点で前記アルコキシアルコールは樹脂保護層に水溶性高分子とともに含まれることが好ましい。
前述したアルコキシアルコールは30000ppm以下の含量で樹脂保護層に含むことが好ましい。前記アルコキシアルコールの含量は樹脂保護層が支持体フィルム上に形成されて乾燥した後の含量を意味するもので、樹脂保護層のアルコキシアルコールの含量が低いことが要求されるので、アルコキシアルコールの下限値は低いほど良い。前記アルコキシアルコールの含量が前記範囲内にある場合、本発明で望む水準以上に樹脂保護層の物性を持つことができる。
前記アルコキシアルコールは炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルコール基、好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基及び炭素数1〜6のアルコール基を持つことが良い。
前記アルコキシアルコールの具体的な例としては、2−n−ヘキソキシエタノール(2−n−hexoxyethanol)、2−(2−メチルペントキシ)エタノール(2−(2−methylpentoxy)ethanol)、2−(3−メチルペントキシ)エタノール(2−(3−methylpentoxy)ethanol)、2−(2,3−ジメチルブトキシ)エタノール(2−(2,3−dimethylbutoxy)ethanol)、2−(2,2−ジメチルブトキシ)エタノール(2−(2,2−dimethylbutoxy)ethanol)、2−n−ペントキシエタノール(2−n−pentoxyethanol)、2−イソ−ペントキシエタノール(2−iso−pentoxyethanol)、2−ネオ−ペントキシエタノール(2−neo−pentoxyethanol)、2−n−ブトキシエタノール(2−n−butoxyethanol)、2−イソ−ブトキシエタノール(2−iso−butoxyethanol)、2−n−プロポキシエタノール(2−n−propoxyethanol)、2−イソ−プロポキシエタノール(2−iso−propoxyethanol)、2−エトキシエタノール(2−ethoxyethanol)、2−メトキシエタノール(2−methoxyethanol)、n−ヘキソキシメタノール(n−hexoxymethanol)、(2−メチルペントキシ)メタノール((2−methylpentoxy)methanol)、(3−メチルペントキシ)メタノール((3−methylpentoxy)methanol)、(2,3−ジメチルブトキシ)メタノール((2,3−dimethylbutoxy)methanol)、(2,2−ジメチルブトキシ)メタノール((2,2−dimethylbutoxy)methanol)、n−ペントキシメタノール(n−pentoxymethanol)、イソ−ペントキシメタノール(iso−pentoxymethanol)、ネオ−ペントキシメタノール(neo−pentoxymethanol)、n−ブトキシメタノール(n−butoxymethanol)、イソ−ブトキシメタノール(iso−butoxymethanol)、n−プロポキシメタノール(n−propoxymethanol)、イソ−プロポキシメタノール(iso−propoxymethanol)、エトキシメタノール(ethoxymethanol)、メトキシメタノール(methoxymethanol)などをあげることができる。本発明の目的による効果を得るために、前記アルコキシアルコールはブトキシエタノールであることが好ましい。
本発明によるドライフィルムフォトレジストは、前記水溶性高分子を水及びアルコキシアルコールを含む溶媒にとかした後、これを支持体フィルム上にコートして形成された樹脂保護層を含むものである。前記溶媒に水溶性高分子をとかして樹脂保護層を形成する場合、水に水溶性高分子が均一にとけることができ、アルコキシアルコールは水より表面張力が小さいため、支持体フィルムに樹脂保護層を形成するためのコーティング液、つまり水溶性高分子及びアルコキシアルコールを含むコーティング液を塗布するとき、湿潤性を向上させて塗膜をよく形成させる効果を得ることができる。
前述した樹脂保護層は水溶性高分子及びアルコキシアルコールを含む。樹脂保護層は水溶性高分子によって水を溶媒として使うことができ、このような水溶性高分子は水に比べてアルコキシアルコールに対する溶解度が低いため、水とともに使うことが好ましい。すなわち、水溶性高分子はアルコキシアルコールに対する溶解度が水に比べて低いため、アルコキシアルコールの含量が増加すれば水溶性高分子の含量が減少することができ、水溶性高分子の含量を増加させるために水の含量を増加させる場合、湿潤性が低下する問題が発生することができる。このような湿潤性が低下する問題を防止するために樹脂保護層に湿潤剤を付け加えることができるが、このような添加剤によってヘイズが高くなる問題が発生することになる。このような面で前記樹脂保護層はアルコキシアルコールとともに水を含むことが好ましく、前記溶媒にアルコキシアルコールと水を含む場合、適正水準の範囲で含まれなければならない。
前記溶媒は、水100重量部に対してアルコキシアルコール1〜43重量部を含むことができる。前記水100重量部に対するアルコキシアルコールの含量が前記範囲内にある場合、水溶性高分子を本発明が願う水準の含量で均一に溶解させるとともに湿潤性を向上させる効果を得ることができる。
前述した構成を含む場合、前記樹脂保護層のヘイズが3.0%以下、1μm当たり現像速度が10秒以下であることができる。
本発明によるドライフィルムフォトレジストをパターン形成方法に用いる場合、一例を挙げて説明すれば、先に支持体フィルム、樹脂保護層及び感光性樹脂層が順次積層されたドライフィルムフォトレジストにおいて感光性樹脂層の一面に保護フィルムがある場合、保護フィルムを剥がして感光性樹脂層の一面と銅張積層板(CCL)の上部が触れるようにラミネーション(lamination)する。その後、支持体フィルムを除去し、所望のパターンのマスクを樹脂保護層上につけて紫外線(UV)を照射して露光(exposing)を行い、適切な現像液を使って硬化しなかった部分を洗い落とす現像(developing)過程を経る。
現像液は大部分水溶性溶媒でなっているが、現像後に残余物が感光性樹脂層に残っていないように樹脂保護層が現像液の水溶性溶媒によくとけて洗い落とされることが重要であり、これは現像性を高める要素中の一つである。
特に、樹脂保護層に含まれる水溶性高分子は重量平均分子量が増加するほど溶解度が低下し、現像液に洗い落とされる程度が低下することができる。
このような現像性は現像速度にも影響を受ける。樹脂保護層の現像速度が速いほど良いが、樹脂保護層の現像速度が遅ければ樹脂保護層の厚さ偏差による現像時間の差がたくさん発生することになり、感光性樹脂層が必要以上にたくさん洗い落とされて密着力が低下することができ、あるいは不十分に洗い落とされて解像力が低下することができるため、精密なパターン形成のために樹脂保護層の現像速度は感光性樹脂層の現像を考慮して適切な速度を持たなければならない。
したがって、樹脂保護層は現像性を向上させるために適正水準の重量平均分子量を持つ水溶性高分子を含み、残余物が残らなく感光性樹脂層の硬化した部分に損傷が与えられないように適正水準の現像速度を持つことが重要である。
本発明による水溶性高分子は、重量平均分子量5000〜300000、好ましくは5000〜15000、より好ましくは5000〜10000のポリビニルアルコールが好ましい。前記重量平均分子量が5000未満であればフィルム上の塗布が困らなく、強度が弱くて感光性樹脂層の保護機能をすることが難しくて好ましくなく、300000を超えれば現像時間が長くなり、銅張積層板上に積層した後、支持体フィルムを剥離させるときに損傷されるおそれがある。
前記ポリビニルアルコールは鹸化度が75%〜97%であることが好ましい。前記鹸化度は現像性に影響を与える要素で、前記鹸化度が前記範囲内にある場合、樹脂保護層が適切な現像時間を持つため、感光性樹脂層を形成するのに密着力の低下と解像度の低下をきたさない効果がある。
一方、解像度を向上させるための方法の一つとして、パターンをより細密に形成させることが重要である。細密なパターン形成のためには、露光の際、樹脂保護層への光散乱度が低くなければならないのでヘイズ値が低いことが要求される。これは、ドライフィルムフォトレジストから感光性樹脂層を露光する場合、光が樹脂保護層を通過するからである。
前記樹脂保護層は、ヘイズが3.0%以下、好ましくは0.001〜3.0%の値を持つことができ、前記ヘイズが前記範囲内にある場合、露光の際、光透過率を高めて解像度を向上させることができる。
これを具体的に説明すれば、前記樹脂保護層のヘイズは光散乱度を低めるために低い値を持つことが要求されるので、下限値が低いほど好ましく、3%を超える場合、露光、現像過程を経った感光樹脂層の形状(side wall)が滑らかではなくて荒くなる問題がある。
前記樹脂保護層は、1μm当たり現像速度が10秒以下、好ましくは0.1〜10秒の値を持つことができ、前記範囲内にある場合、最適の現像速度を持つことによって解像度を向上させることができる。
これを具体的に説明すれば、前記樹脂保護層の現像速度は現像性の向上のために低い値を持つことが要求されるので、下限値が低いほど好ましく、10秒を超える場合、樹脂保護層の厚さ偏差による現像時間の差がたくさん発生することになり、感光性樹脂層が必要以上に多く洗い落とされて密着力が低下することができ、あるいは不十分に洗い落とされて解像力が低下する問題がある。
また、本発明のドライフィルムフォトレジストは、露光工程の前、支持体フィルムを除去して露光工程を実施することができるので、従来に支持体フィルムを除去した状態で露光工程を実施する場合、マスクとの接触によって発生する感光性樹脂層上の損傷及びマスクの汚染を防止することができ、支持体フィルム中に含まれた粒子による悪影響を防止する効果も得ることができる。
前記樹脂保護層は、支持体フィルムが除去される場合を考慮して、支持体フィルムに対して適正水準で粘着力を持つことが要求される。支持体フィルムを樹脂保護層から剥がすとき、樹脂保護層の表面に損傷を与えればいけないという点で支持体フィルムと樹脂保護層間の粘着力は0.0005〜0.01N/cmであることが好ましい。これを具体的に説明すれば、前記粘着力が前記範囲内にある場合、ラミネーションするとき、保護フィルムを除去する場合、支持体フィルムと樹脂保護層が分離されない利点があり、露光前に支持体フィルムを除去するとき、樹脂保護層に損傷を与えないで除去することができる利点がある。
一方、本発明による樹脂保護層はポリシリコンを含むことができる。
前記ポリシリコンは樹脂保護層に離型性を付与する役目をし、支持体フィルムと樹脂保護層間の粘着力及びヘイズにも影響を及ぼすことができる。前記ポリシリコンを樹脂保護層に含む場合、前記樹脂保護層は水溶性高分子100重量部に対してポリシリコン0.01〜3重量部の含量で含むものであることができる。前記水溶性高分子100重量部に対するポリシリコンの含量は支持体フィルム上の塗布の容易さ及び乾燥後の樹脂保護層のヘイズを考慮して前記範囲内で実施することが好ましい。
このようなポリシリコンは、水、アルコール類及びこれらの混合物の中で選ばれたいずれか一つの溶媒に溶解性を持つものである。ポリシリコンが有機溶媒にとけるものであれば水及びアルコール類またはこれらを混合した溶媒にとけなくて粒度が非常に増加するため、本発明では好ましくない。
前記ポリシリコンは、溶液方式の粒度測定器で測定して、前記溶媒100gに6時間及び80℃の条件でポリシリコン0.1gをとかしたとき、粒度が1μm以下のものであり、ポリシリコンをすべてとかすことが好ましいので、粒度の下限値は低いほど良い。前記ポリシリコンの粒度が前記範囲内にある場合、ヘイズの低下を防止し、感光性樹脂層の回路形成の際、形状(side wall)が低下することを防止することができる。
前記樹脂保護層は10μm以下、好ましくは0.001〜10μm、より好ましくは0.001〜5μmの厚さを持つものである。
前述したように、露光の際、マスクをつけて光を照射させるに当たり、マスクと感光性樹脂層との距離が近いほど高解像度を具現することができる。このために、感光性樹脂層の上部にマスクをつけて露光することが最も良いが、感光性樹脂層の粘着性によってマスクに付くことになるので、感光性樹脂層が損傷されるだけでなくマスクも汚染され、このような問題で従来には解像度を向上させるのに限界があった。
本発明は、高解像度を具現するために、樹脂保護層の厚さが小さい値を持つことが要求されるので、下限値が小さいほど好ましく、よって10μm以下の厚さを持つ樹脂保護層を使うことで、マスクとの離隔距離を最小化し、支持体フィルムを除去して露光を実施しても感光性樹脂層の損傷及びマスクの汚染が発生しないので、従来に解像度を向上させるのにあった限界を克服することができ、よって高解像度を具現することができる。
本発明の他の一具現例によれば、前記支持体フィルム上に積層された離型層をさらに含み、前記離型層はシリコン樹脂、フッ素樹脂、及び脂肪族ワックスの中で選ばれた1種以上のものを含み、前記樹脂保護層は、重量平均分子量5000〜300000、好ましくは5000〜15000、より好ましくは5000〜10000のポリビニルアルコールを含むドライフィルムフォトレジストを提供するものである。
前記離型層は支持体フィルムの上部に形成されて樹脂保護層と支持体フィルムを適正水準で接着させるとともに樹脂保護層から支持体フィルムを剥がすとき、樹脂保護層の表面に損傷を与えない役目をする。
これを具体的に説明すれば、一例として、ドライフィルムフォトレジストをパターン形成方法に用いる場合、前述したように、支持体フィルム、樹脂保護層及び感光性樹脂層が順次積層されたドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層が銅張積層板(CCL)の上部に接触するようにラミネーション(lamination)した後、支持体フィルムを樹脂保護層から剥がす。この際、支持体フィルムの上部に離型層を備えずに樹脂保護層を積層したドライフィルムフォトレジストである場合、支持体フィルムを剥がす工程の前に支持体フィルムと樹脂保護層が分離される問題が発生して、工程上の問題による作業性が低下し、ドライフィルムフォトレジストが不良を有して製造される問題がある。また、支持体フィルムを剥がす工程の前に支持体フィルムと樹脂保護層が分離されなくても、支持体フィルムを剥がしながら樹脂保護層の表面に損傷を与えることになり、結果としてヘイズが低下し、現像時間に良くない影響を及ぼして解像度が低下する問題が発生する。
前記離型層は、シリコン樹脂、フッ素樹脂、及び脂肪族ワックスの中で選ばれた1種以上のものを含む。
前記離型層は、前述したように、樹脂保護層から支持体フィルムを除去する場合を考慮して、離型層と樹脂保護層間に適正水準で離型力を持つことが要求される。支持体フィルムを樹脂保護層から剥がすとき、離型層によって樹脂保護層の表面に損傷を与えればいけないので、離型層及び樹脂保護層間の粘着力は0.0005〜0.01N/cmであることが好ましい。これを具体的に説明すれば、前記粘着力が前記範囲内にある場合、ラミネーションするとき、感光性樹脂層の上部に保護フィルムをさらに含むドライフィルムフォトレジストにおいて、銅張積層板の上部にドライフィルムフォトレジストを積層するために保護フィルムを除去する場合、支持体フィルムと樹脂保護層が分離されない利点があり、露光の前に支持体フィルムを除去するとき、樹脂保護層の表面に損傷を与えずに除去することができる利点がある。
このような樹脂保護層を形成する方法は特に限定されるものではなく、樹脂保護層形成用組成物を有機溶剤及び水を含む溶媒に溶解し、これを支持体フィルム及び/または離型層上に塗布及び乾燥して形成させることができる。
一方、前記感光性樹脂層は、ドライフィルムフォトレジストがネガティブ型に適用されるかあるいはポジティブ型に適用されるかによってその組成が変わることができる。このようなネガティブ型またはポジティブ型ドライフィルムフォトレジストによる感光性樹脂層の組成は通常本発明が属した分野で広く知られた感光性樹脂組成から選択することができる。
一例として、ドライフィルムフォトレジストがネガティブ型の場合、前記感光性樹脂層はバインダー樹脂、光重合性化合物としてエチレン系不飽和化合物、光重合開始剤及び添加剤を含むことができる。
前記バインダー樹脂としては、アクリル系ポリマー(acrylic polymer)、ポリエステル(polyester)、ポリウレタン(polyurethane)などが使用できる。これらの中で、アクリル系ポリマーの一種であるメタクリル共重合体(methacrylic copolymer)が好ましい。必要によって、エチレン不飽和カルボン酸(ethylenically unsaturated carboxylic acid)及びその他のモノマーの共重合体が使用できる。前記メタクリル共重合体としては、アセトアセチル(acetoacetyl)基を含むメタクリル共重合体も使用できる。前記メタクリル共重合体を合成するために使用可能なメタクリルモノマー(methacrylic monomer)としては、メチルメタクリレート(methylmethacrylate)、エチルメタクリレート(ethylmethacrylate)、プロピルメタクリレート(propyl methacrylate)、ブチルメタクリレート(butyl methacrylate)、ヘキシルメタクリレート(hexyl methacrylate)、2−エチルヘキシルメタクリレート(2−ethylhexyl methacrylate)、シクロヘキシルメタクリレート(cyclohexyl methacrylate)、ベンジルメタクリレート(benzyl methacrylate)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(dimethylaminoethyl methacrylate)、ヒドロキシエチルメタクリレート(hydroxyethyl methacrylate)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(hydroxypropyl methacrylate)、グリシジルメタクリレート(glycidyl methacrylate)などをあげることができる。前記エチレン不飽和カルボン酸(ethylenically unsaturated carboxylic acid)としては、アクリル酸(acrylic acid)、メタクリル酸(methacrylic acid)、クロトン酸(crotonic acid)のようなモノアクリル酸(monoacrylic acid)が多く使われる。また、マレイン酸(maleic acid)、フマル酸(fumaric acid)、イタコン酸(itaconic acid)のようなジカルボン酸(dicarboxylic acid)、またはこれらの無水物、半エステル(half ester)なども使用できる。これらの中でアクリル酸とメタクリル酸が好ましい。その他の共重合(copolymerzation)可能なモノマーとしては、アクリルアミド(acrylamide)、メタクリルアミド(methacrylamide)、アクリロニトリル(acrylonitrile)、メタクリルロニトリル(methacrylonitrile)、スチレン(styrene)、a−メチルスチレン(amethylstyrene)、ビニルアセテート(vinyl acetate)、アルキルビニルエーテル(alkyl vinyl ether)などをあげることができる。
前記光重合性モノマーとしてエチレン系不飽和化合物としては、単官能または二官能、三官能以上の多官能モノマーが使用できる。前記多官能モノマーとしては、エチレングリコールジメタクリレート(ethylene glycol dimethacrylate)、ジエチレングリコールジメタクリレート(diethylene glycol dimethacrylate)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(tetraethylene glycol dimethacrylate)、プロピレングリコールジメタクリレート(propylene glycol dimethacrylate)、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(polypropylene glycol dimethacrylate)、ブチレングリコールジメタクリレート(butylene glycol dimethacrylate)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(neopentyl glycol dimethacrylate)、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート(1,6−hexane glycol dimethacrylate)、トリメチロールプロパントリメタクリルレート(trimethylolpropane trimethacrylate)、グリセリンジメタクリレート(glycerin dimethacrylate)、ペンタエリトリトールジメタクリレート(pentaerythritol dimethacrylate)、ペンタエリトリトールトリメタクリレート(pentaerythritol trimethacrylate)、ジペンタエリトリトールペンタメタクリレート(dipentaerythritol pentamethacrylate)、2,2−ビス(4−メタクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン(2,2−bis(4−methacryloxydiethoxyphenyl)propane)、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルメタクリレート(2−hydroxy−3−methacryloyloxypropyl methacrylate)、エチルジグリシジルエーテルジメタクリレート(ethylene glycol diglycidylether dimethacrylate)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート(diethylene glycol diglycidylether dimethacrylate)、フタル酸ジグリシジルエステルジメタクリレート(phthalic acid diglycidyl ester dimethacrylate)、グリセリンポリグリシジルエーテルポリメタクリルレート(glycerin polyglycidyl ether polymethacrylate)などをあげることができる。前記単官能モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−hydroxyethyl methacrylate)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(2−hydroxypropyl methacrylate)、2−ヒドロキシブチルメタクリレート(2−hydroxybutyl methacrylate)、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(2−phenoxy−2−hydroxypropyl methacrylate)、2−メタクリロイルオキシ−2ヒドロキシフタルレート(2−methacryloyloxy−2−hydroxypropyl phthalate)、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(3−chloro−2−hydroxypropyl methacrylate)、グリセリンモノメタクリルレート(glycerin monomethacrylate)、2−メタクリロイルオキシエチル酸フォスフェート(2−methacryloyloxyethyl acid phosphate)、フタル酸(phthalic acid)誘導体のメタクリレート、N−メチロールメタクリルアミド(N−methylol methacrylamide)などが使用できる。前記単官能モノマーは前記多官能モノマーとともに使用できる。
前記光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル(benzoin methyl ether)、ベンゾインエチルエーテル(benzoin ethyl ether)、ベンゾインイソプロピルエーテル(benzoin isopropyl ether)、ベンゾインn−ブチルエーテル(benzoinn−butyl ether)、ベンゾインフェニルエーテル(benzoin phenyl ether)、ベンジルジフェニルジスルフィド(benzyl diphenyl disulfide)、ベンジルジメチルケタル(benzyl dimethyl ketal)、アントラキノン(anthraquinone)、ナフトキノン(naphthoquinone)、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン(3,3−dimethyl−4−methoxybenzophenone)、ベンゾフェノン(benzophenone)、p,p’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(p,p’−bis(dimethylamino)benzophenone)、p,p’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(p,p’−bis(diethylamino)benzophenone)、p,p’−ジエチルアミノベンゾフェノン(p,p’−diethylaminobenzophenone)、ピバロンエチルエーテル(pivalone ethyl ether)、1,1−ジクロロアセトフェノン(1,1−dichloroacetophenone)、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン(p−t−butyldichloroacetophenone)、ヘキサアリール−イミダゾール(hexaaryl−imidazole)のダイマー(dimer)、2,2’−ジエトキシアセトフェノン(2,2’−diethoxyacetophenone)、2,2’−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン(2,2’−diethoxy−2−phenylacetophenone)、2,2’−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン(2,2’−dichloro−4−phenoxyacetophenone)、フェニルグリオキシレート(phenylglyoxylate)、a−ヒドロキシ−イソブチルフェノン(a−hydroxyisobutylphenone)、ジベンゾスパン(dibenzospan)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン(1−(4−isopropylphenyl)−2−hydroxy−2−methyl−1−propanone)、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン(2−methyl−[4−(methylthio)phenyl]−2−morpholino−1−propanone)、トリ−ブロモフェニルソルホン(tri−bromophenylsulfone)、トリブロモメチルフェニルソルホン(tribromomethylphenylsulfone)などが使用できる。
前記添加剤として、ビニルクロリドレジンなどの柔軟剤を含むことができる。その具体的な例として、フタル酸エステル(phthalic ester)の種類には、ジメチルフタルレート(dimethyl phthalate)、ジエチルフタルレート(diethyl phthalate)、ジブチルフタレート(dibutyl phthalate)、ジヘブチルフタルレート(diheptyl phthalate)、ジオクチルフタルレート(dioctyl phthalate)、ジイソデシルフタルレート(diisodecyl phthalate)、ブチルベンジルフタレート(butylbenzyl phthalate)、ジイソノニルフタルレート(diisononyl phthalate)、エチルグフタリルグリコレート(ethylphthalylethyl glycolate)、ジメチルイソフタレート(dimethylisophthalate)、ジクロロヘキシルフタルレート(dichlorohexyl phthalate)などがあり、脂肪酸またはアリマティクサン(arimaticacid)のエステル、例えばジオクチルアジペート(dioctyl adipate)、ジイソブチルアジペート(diisobutyl adipate)、ジブチルアジペート(dibutyl adipate)、ジイソデシルアジペート(diisodecyl adipate)、ジブチルジグリコールアジペート(dibutyl diglycol adipate)、ジブチルセバケート(dibutyl sebacate)、ジオクチルセバケート(dioctyl sebacate)などをあげることができる。
また、本発明では、グリセロールトリアセテート(glycerol triacetate)、トリメチルフォスフェート(trimethyl phosphate)、トリエチルフォスフェート(triethyl phosphate)、トリブチルフォスフェート(tributyl phosphate)、トリオクチルフォスフェート(trioctyl phosphate)、トリブトキシエチルフォスフェート(tributoxyethyl phosphate)、トリス−クロロエチルフォスフェート(tris−chloroethylphosphate)、トリス−ジクロロプロピルフォスフェート(tris−dichloropropyl phosphate)、トリフェニルフォスフェート(triphenyl phosphate)、トリクレシルフォスフェート(tricresyl phosphate)、トリキシレニルフォスフェート(trixylenyl phosphate)、クレシルジフェニルフォスフェート(cresyl diphenyl phosphate)、オクチルジフェニルフォスフェート(octyl diphenyl phosphate)、キシレニルジフェニルフォスフェート(xylenyl diphenyl phosphate)、トリラウリルフォスフェート(trilauryl phosphate)、トリセチルフォスフェート(tricetyl phosphate)、トリステアリルフォスフェート(tristearyl phosphate)、トリオレイルフォスフェート(trioleyl phosphate)、トリフェニルフォスフィト(triphenyl phosphite)、トリストリデシルフォスフィト(tris−tridecyl phosphite)、ジブチルヒドロゲンフォスフィト(dibutyl hydrogen phosphite)、ジブチル−ブチルフォスフォネート(dibutyl−butyl phosphonate)、ジ(2−エチルヘキシル)フォスフォネート(di(2−ethylhexyl)phosphonate)、2−エチルヘキシル−2−エチルヘキシルフォスフォネート(2−ethylhexyl−2−ethylhexyl phosphonate)、メチル酸フォスフェート(methyl acid phosphate)、イソプロピル酸フォスフェート(isopropyl acid phosphate)、ブチル酸フォスフェート(butyl acid phosphate)、ジブチル酸フォスフェート(dibutyl acid phosphate)、モノブチル酸フォスフェート(monobutyl acid phosphate)、オクチル酸フォスフェート(octyl acid phosphate)、ジオクチルフォスフェート(dioctyl phosphate)、イソデシル酸フォスフェート(isodecyl acid phosphate)、モノイソデシルフォスフェート(monoisodecyl phosphate)、デカノール酸フォスフェート(decanol acid phosphate)などの柔軟剤を使うこともできる。
その外に、揮発性有機物であるグリセリン(glycerin)、トリメチロールプロパン(trimethylolpropane)、エチレングリコール(ethylene glycol)、ジエチレングリコール(diethylene glycol)、トリエチレン グリコール(triethylene glycol)、プロピレングリコール(propylene glycol)、ジプロピレングリコール(dipropylene glycol)またはこれらの低級アルキルエーテル(alkyl ether)、低級脂肪酸エステル、高級脂肪酸またはこれらのエステル、高級脂肪酸アルコールまたはこれらのエステルなども本発明の柔軟剤として使用可能である。
前述したネガティブ型感光性樹脂に含まれるバインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤及び添加剤は任意の目的によって適宜混合して使うことができる。
一方、ドライフィルムフォトレジストがポジティブ型の場合には、前記感光性樹脂層はアルカリ可溶性樹脂及びジアジド系感光性化合物を含むことができ、具体的にアルカリ可溶性樹脂としてノボラック樹脂を使うことができ、より好ましくは、クレゾールノボラック樹脂を含むことができる。前記ノボラック樹脂はフェノール単独であるいはアルデヒド及び酸性触媒との組合物を重縮合反応させて得ることができる。
この際、フェノール類は特に限定されるものではなく、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3.5−キシレノール、2,3.5−トリメチルフェノール−キシレノール、4−t−ブチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−メチル−2−t−ブチルなどの1価フェノール類;及び2−ナフトール、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタリン、1,5−ジヒドロキシナフタリン、レゾルシノール、ピロカテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、フルオログルシノール、ピロカテコールなどの多価フェノール類などをあげることができ、これらの中で選択して単独であるいは2種以上組み合わせて使うことができる。特にm−クレゾール、p−クレゾールの組合せが好ましい。
前記アルデヒド類は特に限定されるものではないが、ホルムアルデヒド、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、アルファまたはベータ−フェニルプロピルアルデヒド、o−、m−またはp−ヒドロキシベンズアルデヒド、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどをあげることができ、単独であるいは2種以上組み合わせて使うことができる。
前記クレゾールノボラック樹脂は、重量平均分子量(GPC測定法によるとき)が2,000〜30,000であることが好ましく、クレゾールノボラック樹脂はメタ/パラクレゾールの含量比によって感光速度と残膜率などの物性が変わることができるので、メタ/パラクレゾールの含量が重量基準で4:6〜6:4の比率で混合されたものが好ましい。前記クレゾールノボラック樹脂中のメタクレゾールの含量が前記範囲を超えれば感光速度が速くなるとともに残膜率が急激に低くなり、パラクレゾールの含量が前記範囲を超えれば感光速度が遅くなる欠点がある。前記クレゾールノボラック樹脂はメタ/パラクレゾールの含量が重量基準で4:6〜6:4のクレゾールノボラック樹脂を単独で使うことができるが、より好ましくは互いに異なる樹脂を混合して使用することができる。この場合、クレゾールノボラック樹脂を重量平均分子量が8,000〜30,000のクレゾールノボラック樹脂と、重量平均分子量が2,000〜8,000のノボラック樹脂を7:3〜9:1の比率で混合して使用することが好ましい。
前記の説明及び以下の説明において、“重量平均分子量”は特定の言及がない限りゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定される、ポリスチレン当量の換算値に定義される。
一方、フォトレジスト層組成において、ジアジド系感光性化合物はアルカリ可溶性樹脂のアルカリに対する溶解度を減少させる溶解抑制剤として作用し、光が照射されればアルカリ可溶性物質に変わってアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解度を増加させる役目をすることになる。このように、光照射による溶解度の変化によって本発明のフィルム型光分解性転写材料は露光部位が現像される。
前記ジアジド系感光性化合物はポリヒドロキシ化合物とキノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化反応によって合成することができる。ジアジド系感光性化合物を得るためのエステル化反応はポリヒドロキシ化合物とキノンジアジドスルホン酸化合物を、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン、クロロホルム、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペラジンまたは4−ジメチルアミノピリジンのような塩基性触媒を滴下して縮合させた後、得られた生成物を洗浄、精製、乾燥させることで得ることができる。
この際、キノンジアジドスルホン酸化合物としては、一例として、1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸、1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸及び1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸などのo−キノンジアジドスルホン酸化合物及びその外のキノンジアジドスルホン酸誘導体などをあげることができる。前記キノンジアジドスルホン酸化合物は自らアルカリ中でアルカリ可溶性樹脂の溶解度を低める溶解阻止制としての機能を持つ。しかし、露光の際、アルカリ可溶性になるために分解し、それによってむしろアルカリにおいてアルカリ可溶性樹脂の溶解を促進させる特性を持つ。
前記ポリヒドロキシ化合物としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4’−トリヒドロキシベンゾフェノンなどのトリヒドロキシベンゾフェノン類;2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,5−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのテトラヒドロキシベンゾフェノン類;2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,5−ペンタヒドロキシベンゾフェノンなどのペンタヒドロキシベンゾフェノン類;2,3,3’,4,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,3’,4,5’−ヘキサベンゾフェノンなどのヘキサヒドロキシベンゾフェノン類;没食子酸アルキルエステル類;オキシフラボン類などをあげることができる。
これらから得られたジアジド系感光性化合物の具体的な一例としては、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホネート、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホネート及び(1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン)−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホネートの中で選ばれた1種以上を挙げることができる。
このようなジアジド系感光性化合物は、フォトレジスト層組成中でアルカリ可溶性樹脂100重量部に対して30〜80重量部であることが現像性や溶解性の面で有利であることができる。
前述したポジティブ型感光性樹脂層は感度増進剤を含むことができ、これは感度を向上させるためのものである。その一例としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン及び1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンの中で選ばれた1種以上であることができる。前記感度増進剤を含むとき、その含量はアルカリ可溶性樹脂100重量部を基準として3〜15重量部であることが感光効果向上及びウィンドウ工程マージンの面で有利であることができる。その外に、ポジティブ型感光性樹脂層は、レベリング剤、充填剤、酸化防止剤などのその他の成分や添加剤を含むことができる。
一方、アルカリ可溶性樹脂、ジアジド系感光性化合物などを含む組成物を一定量の溶剤に分散させて造液してから塗布することになる。この際、溶媒の一例としては、エチルアセテート、ブチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、エチルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンゼン、トルエン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エチレングリコール、キシレン、エチレングリコールモノエチルエーテル及びジエチレングリコールモノエチルエーテルよりなる群から選ばれた1種以上を挙げることができる。
本発明によるドライフィルムフォトレジストは、感光性樹脂層の一面に保護フィルムをさらに含むことができる。前記保護フィルムは感光性樹脂層を外部から保護する役目をするもので、ドライフィルムフォトレジストを後工程に適用するときは容易に離脱され、保管及び流通するときには離型されないように適当な離型性と粘着性を必要とする。
以下、本発明の好適な実施例及び比較例を説明する。しかし、下記の実施例は本発明の好適な一実施例であるばかり、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜9及び比較例1〜4
<実施例1>
(a)重量平均分子量が22000、鹸化度が87%であるポリビニルアルコール(KURARAY社製、PVA205)20g、及びブトキシエタノール(2−n−butoxyethanol)溶媒100gに6時間80℃の条件でポリシリコン0.1gをとかしたとき、粒度が0μmであるポリシリコン(BYK社製、BYK−349、乾燥後の固形分対比0.25%)0.05gを蒸溜水90g、ブトキシエタノール(2−n−butoxyethanol)10gに入れ、80℃で6時間撹拌してまったくとかして樹脂保護層用組成物を製造した。これを厚さ16μmの支持体フィルム(ヘイズ2.3%、表面処理なし、ポリエチレンテレフタレートフィルム、FDFR−16μm、KOLON社製)上にコーティングバーでコートした後、熱風オーブンを利用して80℃で10分間乾燥して厚さ3μmの樹脂保護層を形成した。形成された樹脂保護層を乾燥させた後、下記の残留溶媒量測定方法で測定した結果、樹脂保護層に含まれたブトキシエタノールの含量は1200ppmであった。
この際、前記ポリシリコンを前記溶媒に6時間80℃の条件でとかしたとき粒度が0μmであるという意味はポリシリコンが溶媒にほぼまったく溶解されて粒子相が見つからなかったことを意味し、以下に特に言及がない限り、‘粒度0μm’は前記と同様な意味で使われる。
(b)UH−9200series(Kolon社製)に使用された組成及び含量で感光性樹脂組成物を製造した。具体的には、光開始剤類を溶媒であるメチルエチルケトンとメチルアルコールにとかした後、光重合性オリゴマー類とバインダーポリマーを添加し、撹拌機(mechanical stirrer)を利用して1時間混合して感光性樹脂組成物を製造した。
(c)前記感光性樹脂組成物を19μm厚さの保護フィルム(シリコンが離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム、CY201−19μm、KOLON社製)上にコーティングバーでコートした後、熱風オーブンを利用して80℃で6分間乾燥して厚さ15μmの感光性樹脂層を形成した。
(d)乾燥が済んだ(c)フィルムの感光性樹脂層と前記(a)の樹脂保護層が接するように50℃で圧力4kgf/cmでラミネーションして厚さ53μmのフィルム型感光性転写材料を製造した。
<実施例2>
ブトキシエタノールの代わりにエトキシエタノールを使うことを除き、実施例1と同様に実施した。この際、形成された樹脂保護層を乾燥させた後、下記の残留溶媒量測定方法で測定した結果、樹脂保護層に含まれたエトキシエタノールの含量は1100ppmであった。
<実施例3>
蒸溜水90g及びブトキシエタノール10gの代わりに蒸溜水95g及びブトキシエタノール5gを使うことを除き、実施例1と同様に実施した。この際、形成された樹脂保護層を乾燥させた後、下記の残留溶媒量測定方法で測定した結果、樹脂保護層に含まれたブトキシエタノールの含量は900ppmであった。
<実施例4>
蒸溜水90g及びブトキシエタノール10gの代わりに蒸溜水80g及びブトキシエタノール20gを使うことを除き、実施例1と同様に実施した。この際、形成された樹脂保護層を乾燥させた後、下記の残留溶媒量測定方法で測定した結果、樹脂保護層に含まれたブトキシエタノールの含量は1400ppmであった。
<実施例5>
(a)重量平均分子量が22000、鹸化度が87%であるポリビニルアルコール(KURARAY社製、PVA205)20g、及びポリシリコン(BYK社製、BYK−349、乾燥後の固形分対比0.25%)0.05gを蒸溜水90g、ブトキシエタノール(2−n−butoxyethanol)10gに入れ、80℃で6時間撹拌してまったくとかして樹脂保護層用組成物を製造した。
これを厚さ16μmの支持体フィルム(CY201−16μm、KOLON社製)上にコーティングバーでコートした後、熱風オーブンを利用して80℃で10分間乾燥して厚さ3μmの樹脂保護層を形成した。この際、前記支持体フィルムは、ILC(in−line coating)法によって支持体フィルムの一面にシリコン樹脂を使って離型層が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムである。参考として、支持体フィルム上の離型層はILC法の外にオフ−ラインコーティング(off line coating)法で形成することができる。このようなILC法及びオフ−ラインコーティング法は本発明が属した分野で広く知られた方法であるので、その具体的な説明は省略する。
(b)UH−9200series(KOLON社製)に使用された組成及び含量で感光性樹脂組成物を製造した。具体的には、光開始剤類を溶媒であるメチルエチルケトンとメチルアルコールにとかした後、光重合性オリゴマー類とバインダーポリマーを添加し、撹拌機を利用して1時間混合して感光性樹脂組成物を製造した。
(c)前記感光性樹脂組成物を19μm厚さの保護フィルム(CY201−19μm、KOLON社製)上にコーティングバーでコートした後、熱風オーブンを利用して80℃で6分間乾燥して厚さ15μmの感光性樹脂層を形成した。
(d)乾燥が済んだ(c)フィルムの感光性樹脂層と前記(a)の樹脂保護層が接するように50℃で圧力4kgf/cmでラミネーションして厚さ53μmのフィルム型感光性転写材料を製造した。
<実施例6>
下記のように実施したことを除き、実施例5と同様な方法でドライフィルムフォトレジストを製造した。
(a)重量平均分子量が75000、鹸化度が87%であるポリビニルアルコール(KURARAY社製、PVA217)10g、及びポリシリコン(BYK社製、BYK−349、乾燥後の固形分対比0.25%)0.025gを蒸溜水90g、ブトキシエタノール10gに入れ、80℃で6時間撹拌してまったくとかして樹脂保護層用組成物を製造した。これを厚さ16μmの支持体フィルム(CY201−16μm、KOLON社製)上にコーティングバーでコートした後、熱風オーブンを利用して80℃で10分間乾燥して厚さ3μmの樹脂保護層を形成した。
<実施例7>
下記のように実施したことを除き、実施例5と同様な方法でドライフィルムフォトレジストを製造した。
(a)重量平均分子量が22000、鹸化度が87%であるポリビニルアルコール(KURARAY社製、PVA205)20g、及びポリシリコン(BYK社製、BYK−349、乾燥後の固形分対比0.25%)0.05gを蒸溜水90g、エトキシエタノール10gに入れ、80℃で6時間撹拌してまったくとかして樹脂保護層用組成物を製造した。これを厚さ50μmの支持体フィルム(F−50、ドンシン化学社製)上にコーティングバーでコートした後、熱風オーブンを利用して80℃で20分間乾燥して厚さ10μmの樹脂保護層を形成した。この際、前記支持体フィルムは、フッ素樹脂を使って離型層を形成したことを除き、実施例5と同様な方法で製造したポリエチレンテレフタレートフィルムである。
<実施例8>
下記のように実施したことを除き、実施例5と同様な方法でドライフィルムフォトレジストを製造した。
(a)重量平均分子量が22000、鹸化度が87%であるポリビニルアルコール(KURARAY社製、PVA205)20g、及びポリシリコン(BYK社製、BYK−349、乾燥後の固形分対比0.25%)0.05gを蒸溜水99.5g、ブトキシエタノール(2−n−butoxyethanol)0.5gに入れ、80℃で6時間撹拌してまったくとかして樹脂保護層用組成物を製造した。これを厚さ16μmの支持体フィルム(CY201−16μm、KOLON社製)上にコーティングバーでコートした後、熱風オーブンを利用して80℃で10分間乾燥して厚さ3μmの樹脂保護層を形成した。
<実施例9>
下記のように実施したことを除き、実施例5と同様な方法でドライフィルムフォトレジストを製造した。
(a)重量平均分子量が75000、鹸化度が87%であるポリビニルアルコール(KURARAY社製、PVA217)10gを蒸溜水68g、ブトキシエタノール32gに入れ、80℃で6時間撹拌してまったくとかして樹脂保護層用組成物を製造した。これを厚さ16μmの支持体フィルム(CY201−16μm、KOLON社製)上にコーティングバーでコートした後、熱風オーブンを利用して80℃で10分間乾燥して厚さ3μmの樹脂保護層を形成した。
<比較例1>
(a)UH−9200series(KOLON社製)に使用された組成及び含量で感光性樹脂組成物を製造した。具体的には、光開始剤類を溶媒であるメチルエチルケトンとメチルアルコールにとかした後、光重合性オリゴマー類とバインダーポリマーを添加し、撹拌機を利用して1時間混合して感光性樹脂組成物を製造した。
(b)前記感光性樹脂組成物を厚さ16μmの支持体フィルム(ヘイズ2.3%、離型層なし、ポリエチレンフィルム、FDFR−16μm、KOLON社製)上にコーティングバーでコートした後、熱風オーブンを利用して80℃で10分間乾燥して厚さ15μmの感光性樹脂層を形成した。
(c)乾燥が済んだ(b)フィルムの感光性樹脂層と厚さが19μmの保護フィルム(CY201−19μm、KOLON社製)の離型層が接するように50℃で圧力4kgf/cmでラミネーションして厚さ50μmのドライフィルムフォトレジストを製造した。
<比較例2>
ブトキシエタノールの代わりにアセトンを使うことを除き、実施例1と同様に実施した。
<比較例3>
ブトキシエタノールの代わりにテトラヒドロフラン(THF)を使うことを除き、実施例1と同様に実施した。
<比較例4>
ブトキシエタノールの代わりにテトラヒドロフラン(THF)を使うことを除き、実施例5と同様に実施した。
前記実施例1〜9及び比較例2〜4による水溶性高分子の重量平均分子量、鹸化度及び残留溶媒量は下記方法で測定した。
重量平均分子量測定
水溶性高分子の重量平均分子量は、GFC(Gel Filtration Chromatography; Varian GPC system)を利用し、40℃の温度、固定相(Stationary Phase)は、(Plgel Mixed D)×2、移動相(Mobile Phase):THF、1.0ml/分、注入:100μl、検出:RI、40Cの条件でPS Standard(Polymer Standards Service社製、Mp723000、219000、89300、52200、30300、7000、5000、2960)を0.1%濃度でTHFにとかして注入したものを基準物質として測定した。試料は0.2%濃度でTHFにとかした後、0.45μm PTFE syringe filterで濾過して注入した。
鹸化度測定
ポリビニルアルコールの鹸化度はJIS K6726にしたがって測定した。
残留溶媒量測定
残留溶媒量測定はヘッドスペースを利用したGC−Massで測定する。残留溶媒量を測定するための試料として、実施例1〜9及び比較例2及び4によって製造されたドライフィルムフォトレジストを7cm×7cmのサイズに切断した後、保護フィルムを剥がして10cm×10cmサイズの銅張積層板にラミネーションした。その後、ラミネーションされたドライフィルムフォトレジストの支持体フィルムを剥がした後、樹脂保護層を剥がし、ヘイズメーター(Haze Meter)(NIPPON DENSHOKU社製、NDH−2000)を利用して前記剥がした樹脂保護層を準備し、この樹脂保護層5gを取り、22mlのヘッドスペースバイアル(Headspace vial)に入れて密封した後、ヘッドスペース条件(インキュベーション温度:200℃(オーブン)、インキュベーション時間:30分、注射器温度:150℃、撹拌機速度:250rpm、充填速度(Fill Speed):25μl/s、充填ストローク(Fill Strokes):0、注射速度(Injection Speed):700μl/s、注射前遅延(Pre Inject Delay):0ms、注射後遅延(Post inject Delay):500ms)で測定した。試料の測定条件は下記のようである。
器機:Varian 4000 GC/MS+CombiPAL injector
固定相:VF−5ms(30m×0.25mm×0.25μm)
移動相:He、1mL/分
注射:Headpspace−200μl(splitless)、250℃
温度:40℃(5分)から240℃(5分)まで@10℃/分
検出:EI mode(28〜500m/z Full scan)
前記実施例1〜9及び比較例1〜4によって製造されたドライフィルムフォトレジストの粘着力を次のように測定した。
粘着力測定
<支持体フィルムと樹脂保護層間の粘着力>
幅3cm、長さ20cmのドライフィルムフォトレジスト試片の保護フィルムを除去し、銅張積層板に110℃、4kgf/cmの条件下で2m/分の速度でラミネーションした後、支持体フィルムを除去した。これに、幅4cm、長さ25cm、厚さ19μmのPETフィルム(FDFR、Kolon社製)を110℃、4kgf/cmの条件下で2m/分の速度でラミネーションした後、前記PETフィルムを離型させ始め、開始点より5cm地点から8cm地点まで100mm/分の速度で10N load cellを使って離型させるのに必要な力をUTM(4303series、Instron社製)を使って測定した。
<離型層と樹脂保護層間粘着力>
幅3cm、長さ20cmのドライフィルムフォトレジスト試片の保護フィルムを除去した後、110℃で速度2m/分、圧力4kgf/cmで銅張積層板にラミネーションした。その後、支持体フィルムを離型させながら、開始点より5cm地点から8cm地点まで100mm/分の速度で10N load cellを使って離型させるのに必要な力をUTM(4303series、Instron社製)を使って測定した。この際、前記支持体フィルムを離型させるとは、実施例5〜9の場合、支持体フィルムの一面にある離型層を離型させることを意味する。
<感光性樹脂層と保護フィルム間の粘着力>
幅3cm、長さ20cmのドライフィルムフォトレジスト試片の保護フィルムを離型させながら開始点より5cm地点から8cm地点まで100mm/分の速度で10N load cellを使って離型させるのに必要な力を万能試験機(UTM、4303series、Instron社製)を使って測定した。
<支持体フィルムを剥がした後の樹脂保護層とPET間の粘着力>
幅3cm、長さ20cmのドライフィルムフォトレジスト試片の保護フィルムを除去し、銅張積層板に110℃、4kgf/cmの条件下で2m/分の速度でラミネーションした後、支持体フィルムを除去した。この際、前記支持体フィルムを除去したというのは、実施例1〜5の場合、支持体フィルムの一面にある離型層も一緒に除去したことを意味する。
さらに、幅4cm、長さ25cm、厚さ19μmのPETフィルム(FDFR、Kolon社製造)を110℃、4kgf/cmの条件下で2m/分の速度でラミネーションした後、前記PETフィルムを離型させ始め、開始点より5cm地点から8cm地点まで100mm/分の速度で10N load cellを使って離型させるのに必要な力をUTM(4303series、Instron社製)を使って測定した。
下記表1は実施例1〜4及び比較例1〜4によって製造されたドライフィルムフォトレジストの粘着力を測定した結果を示したものである。
前記PETフィルムをラミネーションするときの条件は一般的な露光時のマスクと接着される条件と同様であり、下記の表1において、測定された支持体フィルムの粘着力は、実施例1〜4及び比較例2〜4の場合、樹脂保護層とPETフィルム間の粘着力であり、比較例1の場合、感光性樹脂層とPETフィルム間の粘着力である。
また、下記の表2は実施例5〜9及び比較例1によって製造されたドライフィルムフォトレジストの粘着力を測定した結果を示したものである。前記PETフィルムのラミネーションするときの条件は一般的な露光時のマスクと接着される条件と同様である。
(注)前記表1で、例外として*は支持体フィルムと感光性樹脂層間の粘着力を意味し、**は支持体フィルムを剥がした後の感光性樹脂層と保護フィルム間の粘着力を意味する。
(株)前記表2で、例外として*は支持体フィルムと感光性樹脂層間の粘着力を意味し、**は支持体フィルムを剥がした後の感光性樹脂層とPETフィルム間の粘着力を意味する。
前記測定結果、実施例1〜4と比較例1は、感光性樹脂層と保護フィルム間の離型力及び樹脂保護層と支持体フィルム間の離型力が作業性を阻害しない範囲にあることが分かり、比較例2及び4は実施例で使用したアルコキシアルコールでない水と相溶性がある溶媒を使ったが、樹脂保護層の主な物質であるポリビニルアルコールとの相溶性が大きく低下して沈澱現象が起こったから、ドライフィルムフォトレジストとして使うことができないフィルムの形成ができなく、よって本発明で使用できない溶媒であると思われる。
また、実施例5〜9の場合、感光性樹脂層と保護フィルム間の離型力及び樹脂保護層と支持体フィルムの一面にある離型層間の粘着力は作業性を阻害しない範囲にあることが分かる。
これから、実施例1〜9の場合、樹脂保護層と露光条件で一般的に使われるマスク材質間の粘着力が非常に低いことが分かり、よって露光の際、取扱いが容易であることが分かる。
特性評価
つぎに、前記実施例1〜9及び比較例1〜4で製造されたドライフィルムフォトレジストを次のような方法でプリント基板に形成した後、ドライフィルムフォトレジストの特性を評価した。
(1)プリント基板上への形成
銅張積層板(CCL)にブラシ前処理器を使って新しい銅面を形成し、適切な表面粗度を形成する。その後、5%硫酸溶液で酸処理して後、水洗、乾燥し、ラミネーターに投入した。ラミネーターはHakuto Mach 610iを使い、110℃で圧力4kgf/cm、速度2m/分の条件で、実施例1〜6及び比較例1〜4で製造されたドライフィルムフォトレジストを銅張積層板にラミネーションした。この際、予熱は実施しなかった。その後、UV露光機(Perkin Elmer OB−7120、5KW平行光)で照射して露光を実施した。露光が済んだプリント基板を現像機に通過させて現像した。
この際、樹脂保護層を含む実施例1〜9の場合、露光工程の前に支持体フィルムを剥がし、樹脂保護層を含まない比較例1の場合、支持体フィルムを現像工程の前に剥がした。
(a)ヘイズ
実施例1〜9 及び比較例1〜4で製造されたドライフィルムフォトレジストを7cm×7cmのサイズに切断した後、保護フィルムを剥がし、10cm×10cmサイズの銅張積層板にラミネーションした。その後、ラミネーションされたドライフィルムフォトレジストの支持体フィルムを剥がした後、樹脂保護層を剥がし、ヘイズメーター(Haze Meter)(NIPPONDENSHOKU社製、NDH−2000)を利用して前記剥がされた樹脂保護層のヘイズを測定した。
(b)現像時間
樹脂保護層を含まない場合、前記(a)のようにドライフィルムフォトレジストを銅張積層板にラミネーションしたプリント基板を温度30℃の条件で圧力1.5kgf/cmで現像液(1%NaCO水溶液)を噴射する、ファンタイプのノズルと基板の間隔が15cmである現像機に通過させ、ラミネーションされた部位が現像液でまったく洗い落とされて除去される時間を測定してこれを感光性樹脂層だけの最小現像時間(以下、‘Smin’という)とした。また、感光性樹脂層だけの実際現像時間(以下、‘Sdel’という)は感光性樹脂層だけの最小現像時間(Smin)の二倍の時間に算定した。
一方、樹脂保護層を含むフィルムの場合、樹脂保護層を含むフィルムの最小現像時間(以下、‘Pmin’という)は感光性樹脂層だけの最小現像時間(Smin)を測定する方法と同様に測定し、樹脂保護層を含むフィルムの実際現像時間(以下、‘Pdel’という)は感光性樹脂層だけの実際現像時間(Sdel)に樹脂保護層だけの現像時間(以下、‘Ptim’という)を付け加えなければならない。これを表せば次の数式1のようである。
<数式1>
del=Sdel+Ptim
=Smin×2+Ptim
前記数式1を異に表現すれば下記の数式2で表現される。
<数式2>
del=Pmin+Smin
したがって、樹脂保護層を含むフィルムの最小現像時間と樹脂保護層を含まないフィルムの最小現像時間、つまり感光性樹脂層だけの最小現像時間をそれぞれ測定し、これら値から樹脂保護層を含むフィルムの実際現像時間を算出することができる。
ここで、感光性樹脂層だけの最小現像時間(Smin)は比較例1のドライフィルムフォトレジストに対する最小現像時間から決める。
前記数式1及び数式2から樹脂保護層だけの現像時間(Ptim)を算出し、算出された現像時間を樹脂保護層の厚さで分けた値を樹脂保護層の1μm当たり現像時間に定義する。
(c)感度と露光量
露光の際、実施例1〜9 及び比較例2〜4の場合には樹脂保護層上に、比較例1の場合には支持体フィルム上に感度器(21段Stouffer Step Tablet)を位置させた後、感度5段、6段、7段を得るための露光量を光量計(UV−351、ORC社製)を使って測定し、その値は下記表3に示した。この際、感度は現像後基板に残っている感光性レジストの最大単位個数で評価した。
(2)回路物性:解像度、細線密着力、1/1(Line/Space)解像度
Kolon Test Artworkを利用して解像度、細線密着力、1/1(Line/Space)解像度を測定して回路物性評価した。
本実験において、解像度は、未露光部位が現像されるとき、どのくらい小さな線幅まで現像されたかを測定した値で、この値が小さいほど解像度が高く、測定された解像度の測定に使用されたマスクは4μmから20μmまで0.5μmの間隔で形成されており、具現しようとする値の解像度に間隔400μmで作られたマスクを使った。細線密着力値は露光部位が現像後にどのくらいけ小さな線幅まで侵食を受けないで直線の回路を形成するかを測定した値で、この値が小さいほど細線密着力値が高く、測定された細線密着力値の測定に使用されたマスクは4μm〜20μmまで0.5μmの間隔で形成されており、具現しようとする値の細線密着力値に間隔400μmで作られたマスクを使った。また、1/1解像度は回路ラインと回路ライン間の間隔を1:1にしてきれいに現像された最小線幅を測定した値を示すものである。
(3)表面分析
実施例1、実施例5及び比較例1のドライフィルムフォトレジストを適用したプリント基板を前記のように露光及び現像工程を経った後、表面を電子燎微鏡で撮影してそれぞれ図1、図2及び図3に示した。
下記の表3はヘイズ現像時間及び露光条件による回路物性の測定結果をそれぞれ示すものである。
(注)前記表2で、最小現像時間(秒)は樹脂保護層を含むフィルムの最小現像時間(Pmin)を意味し、実際現像時間(秒)は樹脂保護層を含むフィルムの実際現像時間(Pdel)を意味する。ただ、例外として、*は感光性樹脂層だけの最小現像時間(Smin)を意味し、**は感光性樹脂層だけの実際現像時間(Sdel)を意味する。
前記測定結果、同一段数を具現するために必要な露光量は実施例1〜9と比較例1は違いがほとんどなく、回路測定結果は、実施例1〜9の場合、解像度などにおいて比較例1に比べて優れた結果を示し、特に比較例1は樹脂保護層がないからヘイズ測定ができなく、比較例2〜4はフィルムが形成されなくて測定することができなかった。
一方、本発明の樹脂保護層を含むドライフィルムフォトレジストの場合、樹脂保護層の1μm当たり現像時間が0.5〜3秒程度であることが分かる。
また、図1〜図3の電子燎微鏡写真による表面観察の結果、実施例1及び実施例5によるドライフィルムフォトレジストを適用したプリント基板表面の写真である図1の場合、比較例1に比べ、側面及び表面の凹凸がほとんどなくて非常に優れたパターンを形成したことが分かる。
結論として、表1及び表3から本発明のドライフィルムフォトレジストを適用した場合、粘着力の面で支持体フィルムと感光性樹脂層が積層された比較例1と同様に作業性を阻害しない範囲にあるとともに、露光の際、取扱いが容易であるだけでなく解像度が向上することが分かる。
本発明の単純な変形または変更はいずれも当該分野の通常の知識を持った者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更はいずれも本発明の範囲に属するものとして見なされる。
本発明は、支持体フィルムを除去した状態で露光工程を実施して解像度を向上させ、特に支持体フィルムと樹脂保護層を適正水準に接着させるとともに、支持体フィルムの除去の際、樹脂保護層の損傷がないドライフィルムフォトレジストに適用可能である。

Claims (15)

  1. 支持体フィルム、樹脂保護層及び感光性樹脂層を順次積層して含み、
    前記樹脂保護層は水溶性高分子及びアルコキシアルコールを含むことを特徴とする、ドライフィルムフォトレジスト。
  2. 前記支持体フィルム上に積層された離型層をさらに含み、前記離型層はシリコン樹脂、フッ素樹脂及び脂肪族ワックスの中で選ばれた1種以上を含み、前記樹脂保護層は重量平均分子量5000〜300000のポリビニルアルコールを含むことを特徴とする、請求項1に記載のドライフィルムフォトレジスト。
  3. 前記樹脂保護層はアルコキシアルコールを30000ppm以下含むことを特徴とする、請求項1に記載のドライフィルムフォトレジスト。
  4. 前記アルコキシアルコールは炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルコール基を持つことを特徴とする、請求項1に記載のドライフィルムフォトレジスト。
  5. 前記アルコキシアルコールはブトキシエタノールであることを特徴とする、請求項4に記載のドライフィルムフォトレジスト。
  6. 前記水溶性高分子を水及びアルコキシアルコールを含む溶媒にとかした後、これを支持体フィルム上にコートして樹脂保護層を形成することを特徴とする、請求項1に記載のドライフィルムフォトレジスト。
  7. 前記溶媒は、水100重量部に対してアルコキシアルコール1〜43重量部を含むことを特徴とする、請求項6に記載のドライフィルムフォトレジスト。
  8. 前記支持体フィルムと樹脂保護層間の粘着力が0.0005〜0.01N/cmであることを特徴とする、請求項1に記載のドライフィルムフォトレジスト。
  9. 前記樹脂保護層は、水溶性高分子100重量部に対してポリシリコンを0.01〜3重量部の含量で含むことを特徴とする、請求項1に記載のドライフィルムフォトレジスト。
  10. 前記ポリシリコンは、水、アルコール類及びこれらの混合物の中で選ばれたいずれか一つの溶媒100gに6時間80℃の条件でポリシリコン0.1gを溶解するとき、粒度が1μm以下であることを特徴とする、請求項9に記載のドライフィルムフォトレジスト。
  11. 前記樹脂保護層はヘイズが3.0%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のドライフィルムフォトレジスト。
  12. 前記樹脂保護層は1μm当たり現像時間が10秒以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のドライフィルムフォトレジスト。
  13. 前記離型層と樹脂保護層間の粘着力が0.0005〜0.01N/cmであることを特徴とする、請求項2に記載のドライフィルムフォトレジスト。
  14. 前記樹脂保護層は厚さが10μm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のドライフィルムフォトレジスト。
  15. 前記ポリビニルアルコールは鹸化度が75〜97%であることを特徴とする、請求項2に記載のドライフィルムフォトレジスト。
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