JP5356180B2 - 横軸ポンプ設備、及び運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、河川の排水を行う排水機場(ポンプ機場)などに設置するための横軸ポンプを備えた横軸ポンプ設備、及び運転方法に関する。
従来の横軸ポンプ構造図を図8に、横軸ポンプを備えたポンプ設備とQ−H線図を図9に、複数台の横軸ポンプを備えた排水機場(ポンプ機場)の系統図を図10に、先行特許のインペラ部で発生する逆流についての模式説明図を図11に示す。
図8、図9に示すように従来技術では、横軸ポンプ101はポンプインペラ102を内蔵するポンプケーシング103と、該ポンプケーシング103の吸込側に吸込水槽120に吸込口104aが開口する吸込管104と、吐出側に吐出弁105を介して吐出槽130内に吐出口107aが開口する吐出管107を備えている。なお、吐出管107の吐出口107aにはフラップ弁106を備えている。ポンプ軸108は減速機110を介して駆動機111(モータ、エンジン等)で駆動されるようになっている。
吸込水槽120上に据付けられた横軸ポンプ101のポンプケーシング103頂部(インペラ下流部)に満水検知器112が取付けられ、吸気配管113を介して電動機114で駆動される真空ポンプ115が接続されている。真空ポンプ115が作動されると吸気を開始し、吸気(呼水)運転を行い、前記横軸ポンプ101のポンプケーシング103内が完全に満水(満水検知器112が満水を検知した状態)になってから、横軸ポンプ101を始動しているので始動時間が長くなるという問題があった。
その対策としてポンプケーシング103内に水が無いドライ状態又は、ポンプケーシング103内が完全に満水になる前の水位Hahになったら横軸ポンプ101を始動することが考えられるが、現状の満水検知装器112の取付位置では横軸ポンプ101の駆動による吐出流が遠心力により満水検知器112内に流入し、満水状態でもないのに内部のフロート(図示は省略)を押上げたり、作動させてしまい、真空ポンプ115の吸気を妨げてしまう問題がある。この対策として、満水検知器112からフロートを排除することが考えられるが、フロートを取外すと河川水等に含まれている塵芥(流入スクリーンを通過した草、木端等)が、真空ポンプ115内に流れ込んで真空ポンプ115に噛み込まれ故障する恐れがあった。また、塵芥がない場合でも、真空ポンプに吸気と共に水が吸い上げられて水ポンプ状態となり、過負荷が発生し故障する恐れがあった。
また、主ポンプである横軸ポンプ101の容量が大きい(大口径)場合、必要吸気量が大きくなる為、特に始動時間が長くかかり、最悪の場合、浸水被害をもたらす可能性がある。これを改善するため、真空ポンプの吸気容量を大きくする(大きな真空ポンプを採用)と真空ポンプの電動機容量が大きくなるためその分高価となり、また、騒音も大きくなる(特に、真空ポンプは騒音が大きい)等の経済性、環境性に問題があった。
また、図10に示すように一般的なポンプ機場の配置では、経済性の観点から排水(呼水)運転用の真空ポンプ115、115は全横軸ポンプ101、101、・・・の共通補機として設置され(一般的には、一台を予備機として2台設置されている)ており、横軸ポンプ101の一台毎にそれぞれの吸気弁116の開閉操作を順次行い、真空ポンプ115の一台により満水動作を行っている。そのため、主ポンプである横軸ポンプ101の台数が多い場合には設備内に設置されている主ポンプ全台が始動完了するまでに必要な始動時間が長くかかり、内水位の上昇に合わせたポンプ始動ができず、最悪の場合、浸水被害をもたらす可能性がある。一台あたりの横軸ポンプ101の満水時間は通常5分程度であり、台数が多い場合、例えば6台の横軸ポンプ101が設置されている場合は、全台が排水運転を行うにはその他の補機設備(弁等)の動作時間も合わせると30分以上が必要になる。
また、近年集中豪雨により河川の水位上昇スピードが速くなっており、この始動時間を早くすることがポンプ場(排水機場)としての使命、機能の観点から、強く求められている。予備機の設置によりある程度の信頼性は確保しているが、主ポンプの台数が多い場合は使用頻度も高くなり、故障の確率も大きくなる。万一、予備機も含め真空ポンプが故障した場合、主ポンプは始動不可能な状態となり、大きな被害(浸水被害)が発生してしまうため、できる限り真空ポンプを健全な状態に維持(信頼性を確保)する必要がある。
そして、これらの問題解決のために、特許文献1には、横軸ポンプのポンプケーシング13内の空気は、ポンプケーシング13のインペラ14上流側に設けた空気取出口11から真空ポンプ3で排出されてポンプケーシング13内に水を導き、水位がインペラ14下端付近まで上昇すると水位検出器16に検知されて横軸ポンプ10を回転させ、満水前にポンプを起動するから始動時間が短縮できる発明が記載されている。
また、特許文献2にもほぼ同様に、遠心力によりポンプケーシング内壁に沿って流れる水の影響を少なくするために、ポンプケーシング10頂部より上流側の吸込エルボ12の上部に開口35を設けて真空吸引装置40に接続し、該真空吸引装置40の起動と共にポンプも気中運転させることにより、ポンプケーシング10内は負圧となって水位が上昇し、羽根車20より上流側では水面Hにより水と空気の2層に分離され、空気は効率よく真空吸引装置40に吸引され、ポンプを気中運転させるから起動トルクは小さくて済む発明が記載されている。
また、本出願人の出願に係る発明である特許文献3には、横軸ポンプが満水前に始動する制御、及び、真空ポンプの複数台起動による横軸ポンプの始動時間短縮方法に関する発明が記載されている。
特開昭58−013191号公報 特開平11−093882号公報 特願2007−324981号
上記先行特許においては、吸気口をポンプケーシングのポンプインペラの上流側に設け、ポンプ起動、運転による吐出水流による吸気の阻害を防止し、真空ポンプによる吸気と主ポンプ運転を同時に行い、始動時間を短縮することを特徴としている。しかしながら、斜流、軸流ポンプにおいては、図9に示すように完全に満水状態になってサイホンが形成される前の状態の水位Hahでは、ポンプにとって実楊程が高い状態、つまり、小水量域での運転状態となっており、ポンプインペラ102部では、図11に示すように逆流f1が生じ、ポンプケーシング103のインペラ102上流部に設けた吸気口に向かって水流を発生させて真空ポンプ115による吸気作用を遅らせ、始動時間をより短くすることができなかった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、真空ポンプにて吸気満水し、始動を行う横軸ポンプにおいて、ポンプインペラ部での逆流に起因する吸気口付近における流れの乱れをなくしスムーズな吸気を可能とすることで始動時間を更に短縮し、始動性や維持管理性を向上させ、信頼性の高いポンプ設備、及びその運転方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明は、真空ポンプにより吸気し、ポンプケーシング内を満水させ始動する横軸ポンプにおいて、真空ポンプにより吸気、ポンプケーシング内が満水になる前に横軸ポンプを始動・回転させるとともに、真空ポンプに至る吸気配管の吸気取出口をポンプケーシングのインペラ上流側で、かつ、ポンプケーシング内側に突出して設け、ポンプケーシング内側に突出させた吸気取出口の開口をポンプ運転時の水流に対向して配置したことを特徴とする。
ポンプ設備を上記構成とすることにより、始動時間を短縮し、横軸ポンプの排水運転の遅れによる浸水被害を防止でき信頼性の高い設備が可能となる。特に、吸気取出口をポンプケーシングのインペラ上流側で、かつ、ポンプケーシング内側に突出して設けたことより、始動時のポンプ低流量特性によるケーシング内側表面に発生する逆水流の影響を受けず、スムーズな吸気が可能となり、従来技術よりも早い始動時間でポンプを運転することが可能となる。ポンプケーシング内頂部の空気は、ポンプ運転による吐出流により吐出水槽に掃流、掃気されるため最終的には完全な満水状態(サイホン状態)でポンプは運転される。
吸気取出口の開口をポンプ運転時の水流に対向して配設したことにより、より確実に逆流による吸気の阻害を防止し、信頼性の高い吸気構造となる。
また、上記ポンプ設備において、ポンプケーシング内側に突出させた、吸気取出口を有する吸気配管を略平板状に構成し、吸込旋回流の発生を抑制したことを特徴とする。
吸気取出口を有する吸気配管を略平板状に構成し、始動時間の短縮だけでなく、吸込旋回流の発生を抑制させる機能を持たせることにより、ポンプ機能(始動時間)だけでなく、ポンプ性能も向上させることが可能となり、より効果的なポンプ設備を構築できる。
また、上記ポンプ設備において、ポンプケーシングのインペラ上流側に設けた吸気取出口の他に、ポンプケーシング略頂部にも吸気取出口を設け、それぞれの吸気取出口に接続された吸気配管を切替えて吸気できるように、各吸気配管に吸気弁を設けることを特徴とする。
また、上記ポンプ設備において、ポンプの始動方法(モード)を複数設けるとともに、各吸気配管に設置された吸気弁の切替制御を行って複数の始動方法を選択可能とすることを特徴とする。
このように、吸気取出口をポンプケーシングのインペラ上流側とポンプケーシング略頂部に設け、それぞれの吸気取出口の吸気弁を切替え、また、ポンプ始動モードを複数設定することにより、ほぼ完全な満水状態(サイホン状態)でのポンプ始動も可能となり、満水待機運転や緊急時の最速始動(非満水始動)等に柔軟に対応でき、ポンプ設備の運用方法の幅が広がりポンプ設備自体の機能を向上できる。
本発明のポンプ設備によれば、真空ポンプに至る吸気配管の吸気取出口をポンプケーシングのインペラ上流側で、かつ、ポンプケーシング内側に向けて突出して設け、該吸気取出口の開口をポンプ運転時の水流に対向して配置したので、始動時にポンプインペラ部で生じるポンプケーシング内壁に沿って流れる逆水流が、吸気取出口からは流入しにくくなり、逆水流の影響を受けずスムーズな吸気が可能となり、より始動時間が短縮される。また、ポンプは満水前のドライ(又は若干水に漬かっている)状態で始動することになるため、始動時に必要なトルクは小さくなるから、駆動機に電動機を用いる場合は、安価な始動装置の使用が可能となり、経済性の良いポンプ設備を構築できる。
本発明のポンプ設備の第1実施例である。 本発明の吸気取出口の開口位置に関する別の実施例である。 本発明の取付用吸気部の別の実施例である。 本発明の取付用吸気部の別の実施例である。 本発明のポンプ設備の第2実施例である。 本発明のポンプ設備における横軸ポンプを起動する際の操作手順を示すフローチャートである。 本発明と従来技術における横軸ポンプのトルクと回転数の関係を表す図面である。 従来の横軸ポンプの構造図である。 従来の横軸ポンプを備えたポンプ設備とQ−H線図である。 従来の複数台の横軸ポンプを備えた排水機場(ポンプ機場)の系統図である。 先行特許のインペラ部で発生する逆流についての模式説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態例を説明する。図1は、本発明の第1実施例である横軸ポンプを備えたポンプ設備の概略図である。図1に示すように吸込水槽120上に据付けられた横軸ポンプ1には、ポンプインペラ部より上流側のポンプケーシング2上部に開口部14を形成し、吸気配管8に形成した取付用吸気部15を前記開口部14にパッキング(図示せず)を介して固定する。取付用吸気部15の上部には、満水検知器11、吸気弁13(電磁弁又は電動弁)、真空ポンプ9が順次配置され吸気配管8で接続されている。取付用吸気部15の下方にはポンプケーシング2内に突出して吸気取出口17を有する下吸気配管16が取り付けられ、該下吸気配管16と吸気配管8が連通している。なお、吸気配管8を延長して下吸気配管としてもよいし、別部材としてもよい。
このように、ポンプインペラ部より上流側のポンプケーシング2上部に固定された取付用吸気部15に、ポンプケーシング2内側に向けて吸気取出口17を有する下吸気配管16をポンプケーシング2内に下方に突設させて配置することにより、ポンプインペラ部で発生し、ポンプケーシング2の内側壁に沿って流れる逆水流は、下吸気配管16が突出している分だけ衝突しても吸気取出口17から流れ込みにくくなる。即ち、逆水流の影響を受けず、スムーズな吸気ができ早い始動時間でポンプ運転が可能となる。なお、下吸気配管16の突出長さ、吸気取出口17の位置は適宜実験等により決定できる。
図2は、吸気取出口17の開口位置に関する別の実施形態例を示す図である。ここでは、取付用吸気部15から突出する下吸気配管16の先端部で、かつ、吸込水槽120側を切欠いて吸気取出口17としたものである。このように吸気取出口17を逆水流の衝突側と反対側、つまり、主ポンプ運転時の水流に対して対向して配置させることにより、より確実に逆水流による吸気の阻害を防止でき、信頼性の高い吸気構造とすることができる。なお、図2では、下吸気配管16は円筒形状であるが、水流抵抗を考慮して断面楕円形状又は流線形状としても良い。図2(a)は側面図、図2(b)はA−A矢視図である。
図3は、取付用吸気部15の別の実施形態例を示す図である。ここでは、ポンプケーシング2内側下方に向けて突出させた下吸気配管を略平板形状とし、ポンプ軸と略平行に配置して吸込流旋回防止する機能、即ち吸込流旋回防止板(ホワールストップ)18として機能させるものである。吸気取出口17は吸込流旋回防止板18の先端部で、かつ、吸込水槽120側に開口させて形成している。これにより、逆水流の影響を受けずにスムーズな吸気ができ、始動時間の短縮だけでなく、吸込旋回流を抑制する機能も持たせたことにより、ポンプ機能(始動時間)だけでなく、ポンプ性能も向上させることが可能となり、より効果的なポンプ設備を構築できる。図3(a)は側面図、図3(b)はA−A矢視図である。
図4は、取付用吸気部15の別の実施形態例を示す図である、取付用吸気部15を横軸ポンプのポンプケーシングに設けられている点検カバー蓋19に設けたものである。図2の下吸気配管16の代わりに,点検カバー蓋19の裏面にポンプケーシング2内側に向けて曲管20の開口部を吸込水槽120側に向けて突設させたものである。このような構成とすることにより、既存のポンプ設備も容易に改造でき、始動時間の短縮を行うことができる。なお、取付用吸気部15あるいは点検カバー蓋19の上面側に吸気取出口17の開口方向を表示するマークを付設しておくと、ポンプ軸方向と吸気取出口17の開口方向とを簡単に一致させることができ、誤組立もなく効率的である。図4(a)は側面図、図4(b)はA−A矢視図である。
図5は、本発明の第2実施例形態例である横軸ポンプを備えたポンプ設備の概略図である。本ポンプ設備の横軸ポンプ1では、ポンプインペラ部より上流側のポンプケーシング2上部に設けた吸気取出口17を有する取付用吸気部15の他に,ポンプケーシング2の略頂部にも吸気取出口21を設け、該吸気取出口21に吸気配管8の吸気弁A22(電磁弁又は電動弁)と満水検知器11の間から分岐する分岐管24を吸気弁B23(電磁弁又は電動弁)を外在させて接続している。
吸気弁A22と、吸気弁B23とを切替えることにより、吸気取出部を吸気取出口17から吸気取出口21に切替え、ポンプインペラ部より上流側のポンプケーシング2上部に設けた吸気取出口17から吸気する緊急始動モード、あるいは、ポンプケーシング2の略頂部の吸気取出口21から吸気する通常始動モード又は満水待機始動モードになるようにしている。即ち、横軸ポンプの始動モードを切替選択できるようにしている。
また、横軸ポンプ1は、落水を検知するための落水検知器25を備えている。落水検知器25は、横軸ポンプ1の満水操作を行う際のポンプケーシング2内の水位を検知するものであり、真空ポンプ9を運転するとポンプケーシング2内の空気が吸引され負圧となり、該ケーシング2内に吸込水槽120から水が導入され、水位が徐々に上昇し、落水検知器25が落水を検知しなくなる(落水不検知)とケーシング内の水が所定水位に達していると判断する。
図6は、ポンプ設備における横軸ポンプ1を起動する際の操作手順を示すフローチャートで、図示されてない操作制御盤の操作により、緊急始動モード(始動時間短縮モード)、満水待機始動モード、通常始動モードの3モードが切替選択できるようになっている。以下、緊急始動モード、満水待機始動モード、通常始動モードを順に説明する。
〔緊急始動モード〕
緊急始動モード(始動時間短縮モード)は、横軸ポンプ1のポンプインペラ部より上流側のポンプケーシング2上部に設けた吸気取出口17から、吸気弁A22を通して真空ポンプ9により吸気し満水操作を行う運転モードである。操作制御盤で緊急始動モードが切替選択される(ステップST1)と、始動指令(ステップST1−1)を出す。次いで、吸気弁A22を開き(ステップST1−2)、続いて、吸気弁B23を閉じ(ステップST1−3)、真空ポンプ9を始動する(ステップST1−4)。
上記真空ポンプ9の作動により、ポンプケーシング2内の空気が吸気取出口17から吸引され、吸込水槽120の水がポンプケーシング2内に流入する。その後、ポンプケーシング2内の水位は徐々に上昇し、ポンプ始動水位に達したか否かを例えば落水検知器25により判断し(ステップST1−5)、ポンプ始動水位に達した場合は(ポンプ始動水位に達するまで待って)、駆動機4を始動させ横軸ポンプ1の運転を開始する(ステップST1−6)。その後、真空ポンプ9と横軸ポンプ1の運転により水位は更に上昇を続け、満水検知器11により満水に達したことが検知される(ステップST1−7)と、吸気弁A22が閉じられ(ステップST1−8)、それから、真空ポンプ9を停止させ(ステップST1−9)、満水操作を終了するが、横軸ポンプ1は運転を継続する。なお、主ポンプを完全なドライ(無水)状態から、運転させる場合においては(ステップST1−5)を省略し、真空ポンプと主ポンプの始動を同時に行ってもよい。
なお、緊急始動モードのみで構成されるポンプ設備の場合では、横軸ポンプは満水前のドライ(又は若干水に浸かっている)状態で始動されるから、満水状態で始動される場合に比べ始動時に必要なトルクが小さくて済み、駆動機に電動機を用いる場合は安価な始動装置が使用でき経済的効果が得られる。
〔満水待機始動モード〕
満水待機始動モードは、横軸ポンプ1のポンプケーシング2の略頂部の吸気取出口21から、吸気弁B23を通して真空ポンプ9により吸気し満水操作を行う運転モードである。制御盤で満水待機始動モードが切替選択される(ステップST2)と、始動指令(ステップST2−1)を出す。次いで、吸気弁A22を閉じ(ステップST2−2)、続いて、吸気弁B23を開き(ステップST2−3)、真空ポンプ9を始動する(ステップST2−4)。
上記真空ポンプ9の作動でポンプケーシング2内の空気が頂部吸気取出口21から吸引され、吸込水槽120の水がポンプケーシング2内に流入する。その後、ポンプケーシング2内の水位は徐々に上昇し、満水に達したか否かを満水検知器11により判断する(ステップST2−5)。満水に達していない場合は、ステップST2−2に戻り満水に達するまで吸気を継続する。満水に達した場合は、吸気弁B23を閉じ(ステップST2−6)、続いて、真空ポンプ9を停止させ(ステップST2−7)、吸込水槽120の水位が所定のポンプ始動水位(運用上、任意で設定されたポンプ排水開始水位である吸込水槽水位SWL)に達したか否かを判断する(ステップST2−8)。吸込水槽120の水位が所定のポンプ始動水位に達していない場合は、ステップST2−5戻りポンプ始動水位に達するまで上記状態を維持する。吸込水槽120の水位が所定のポンプ始動水位に達した場合は、駆動機4を始動させ横軸ポンプ1の運転を開始する(ステップST2−9)。ここでは、満水検知器の信号により、満水の状態を判断しているが、落水検知器25の信号を利用して判断してもよく、その他別に設ける状態検知器により判断するようにしてもよい。
〔通常始動モード〕
通常始動モードは、横軸ポンプ1のポンプケーシング2略頂部の吸気取出口21から、吸気弁B23を通して真空ポンプ9により吸気し満水操作を行う運転モードである。制御盤で通常始動モードが切替選択される(ステップST3)と、まず、吸込水槽120の水位が所定のポンプ始動水位に達しているか否かを判断する(ステップST3−1)。吸込水槽120の水位が所定のポンプ始動水位に達していない場合は、ポンプ始動水位に達するまで機器の停止状態を維持する。吸込水槽120の水位が所定のポンプ始動水位に達した場合は、吸気弁A22を閉じ(ステップST3−2)、続いて、吸気弁B23を開き(ステップST3−3)、真空ポンプ9を始動する(ステップST3−4)。
上記真空ポンプ9の作動でポンプケーシング2内の空気が頂部吸気取出口21から吸引され、吸込水槽120の水がポンプケーシング内に流入する。その後、ポンプケーシング2内の水位は徐々に上昇し、満水検知器11が所定の満水水位を検知する(ステップST3−5)と、駆動機4を始動させ横軸ポンプ1の運転を開始し(ステップST3−6)、続いて、吸気弁B23を閉じ(ステップST3−7)、真空ポンプ9を停止させ(ステップST3−8)、満水操作を終了するが、横軸ポンプ1は運転を継続する。
なお、緊急始動モード、満水待機始動モードにおいては、吐出弁を中間開又は全開状態で、始動又は待機させる。
図7は、縦軸をトルク、電流値、横軸を回転数とし、本発明と従来技術における横軸ポンプの電動機定格トルク、ポンプ起動トルク、電動機コンドルファ起動時のトルク、電動機リアクトル起動時のトルク、電動機始動電流、電動機リアクトル起動時電流をそれぞれ表す図面である。従来技術の満水後起動においては、低タップでは、電動機の始動電流が小さくなる回転数までポンプ回転数を上げることができないためリアクトル起動はできず、起動トルクが高くても始動電流の小さい高価なコンドルファ起動とする必要があった。請求項1〜3に記載の発明のように、ポンプを満水前のドライ(又は若干水に漬かっている)状態で始動すると、従来の満水後に始動する場合に比べ、始動時に必要なトルクが小さく(水負荷が少なくなる)なるから、駆動機に電動機を用いる場合は、始動電流が許容値を超えない回転数域で、定格状態に切替が可能である為、高価なコンドルファ起動とすることなく安価なリアクトル起動を採用することが可能となり、安価な始動装置が使用でき経済的である。
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造であっても、本願発明の作用効果を奏する以上、本願発明の技術範囲である。
1 横軸ポンプ
2 ポンプケーシング
3 吐出弁
4 駆動機(電動機、ディーゼルエンジン、ガスタービン等)
5 減速機
8 吸気配管
9 真空ポンプ
10 電動機
11 満水検知器
12 フロート
13 吸気弁
14 開口部
15 取付用吸気部
16 下吸気配管
17 吸気取出口
18 吸込流旋回防止板(スワールストップ)
19 点検カバー蓋
20 曲管
21 吸気取出口
22 吸気弁A
23 吸気弁B
24 分岐管
25 落水検知器

Claims (4)

  1. 真空ポンプにより吸気し、ポンプケーシング内を満水させ始動する横軸ポンプ設備において、
    前記真空ポンプにより吸気、前記ポンプケーシング内が満水になる前に前記横軸ポンプを始動・回転させるとともに、前記真空ポンプに至る吸気配管の吸気取出口を前記ポンプケーシングのインペラ上流側で、かつ、ポンプケーシング内側に突出して設け、前記ポンプケーシング内側に突出させた吸気取出口の開口をポンプ運転時の水流に対向して配置したことを特徴とする横軸ポンプ設備。
  2. 請求項1に記載の横軸ポンプ設備において、
    前記ポンプケーシング内側に突出させた吸気取出口を有する吸気配管を略平板状に構成し、吸込旋回流の発生を抑制したことを特徴とする横軸ポンプ設備。
  3. 請求項1又は2に記載の横軸ポンプ設備において、
    前記ポンプケーシングのインペラ上流側に設けた前記吸気取出口の他に、ポンプケーシング略頂部にも吸気取出口を設け、それぞれの吸気取出口に接続された吸気配管を切替えて吸気できるように、各吸気配管に吸気弁を設けたことを特徴とする横軸ポンプ設備。
  4. 請求項3に記載の横軸ポンプ設備において、
    ポンプの始動方法(モード)を複数設けるとともに、前記各吸気配管に設置された吸気弁の切替制御を行って複数の始動方法を選択可能とすることを特徴とする横軸ポンプ設備の運転方法。
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