以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る車両用モータの制御装置が適用される車両用内燃機関のシステム構成を示す図である。
内燃機関101は例えば直列4気筒ガソリン機関であり、各気筒に空気を導入するための吸気管102には、内燃機関101の吸入空気流量QAを検出する吸入空気量センサ103が設けられている。
前記吸入空気量センサ103としては、例えば、熱線式流量計などが用いられる。
各気筒の燃焼室104の吸気口を開閉する吸気バルブ105が設けられ、該吸気バルブ105上流側の吸気管102には、気筒毎に燃料噴射弁106が配置される。
前記燃料噴射弁106には、圧力が調整された燃料が供給され、前記燃料噴射弁106の開弁時間に比例する燃料が噴射される。
前記燃料噴射弁106から噴射された燃料は、吸気バルブ105を介して燃焼室104内に空気と共に吸引され、点火プラグ107による火花点火によって着火燃焼し、該燃焼による圧力がピストン108をクランク軸109に向けて押し下げることで、前記クランク軸109を回転駆動する。
また、前記燃焼室104の排気口を開閉する排気バルブ110が設けられ、該排気バルブ110が開くことで排ガスが排気管111に排出される。
前記排気管111には、三元触媒等の排気浄化触媒を備えた触媒コンバータ112が介装されており、排ガスは、前記触媒コンバータ112に備えられた排気浄化触媒によって浄化されて排出される。
前記吸気バルブ105及び排気バルブ110は、クランク軸109を介して回転駆動されるカム軸の回転によって開動作する。
前記排気バルブ110は、一定のバルブリフト量(最大バルブリフト量)・バルブ作動角・バルブタイミング(一定のリフト特性)で開動作するが、前記吸気バルブ105のバルブリフト量(最大バルブリフト量)・バルブ作動角・バルブタイミングは、可変バルブリフト機構(VEL)113及び可変バルブタイミング機構(VTC)114によって変更可能となっている。
前記可変バルブリフト機構113は、吸気バルブ105のバルブリフト量(最大バルブリフト量)及びバルブ作動角を連続的に変化させる機構であり、前記可変バルブタイミング機構114は、クランク軸109に対する後述の吸気カム軸115の回転位相を変化させることで、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相を進角・遅角変化させる機構である。
また、前記点火プラグ107それぞれには、点火プラグ107に対して点火エネルギを供給する点火モジュール116が直付けされている。
前記点火モジュール116は、点火コイルと該点火コイルへの通電を制御するパワートランジスタとを含んで構成される。
前記燃料噴射弁106,可変バルブリフト機構113,可変バルブタイミング機構114及び点火モジュール116は、制御装置201によって制御される。
前記制御装置201は、マイクロコンピュータを含んで構成され、各種センサ・スイッチからの信号を入力し、予め記憶されたプログラムに従った演算処理を行うことで、前記燃料噴射弁106,可変バルブリフト機構113,可変バルブタイミング機構114及び点火モジュール116それぞれの操作量を決定し出力する。
前記燃料噴射弁106による燃料噴射の制御においては、各気筒の吸気行程に合わせて個別に燃料噴射を実行させる、所謂シーケンシャル噴射制御が行われるようになっている。
図2は、吸気バルブ105のバルブリフト量及びバルブ作動角(リフト特性)を連続的に可変とする可変バルブリフト機構113(可変動弁機構)の構造を示す斜視図である。
前記吸気バルブ105の上方に、前記クランク軸109によって回転駆動される吸気カム軸115が気筒列方向に沿って回転可能に支持されている。
前記吸気カム軸115には、吸気バルブ105のバルブリフタ105aに当接して吸気バルブ105を開閉駆動する揺動カム4が相対回転可能に外嵌されている。
前記吸気カム軸115と揺動カム4との間には、吸気バルブ105のバルブ作動角及びバルブリフト量を連続的に変更するための可変バルブリフト機構113が設けられている。
また、前記吸気カム軸115の一端部には、クランク軸109に対する前記吸気カム軸115の回転位相を変化させることにより、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相を連続的に変更する可変バルブタイミング機構114が配設されている。
前記可変バルブリフト機構113は、図2及び図3に示すように、吸気カム軸115に偏心して固定的に設けられる円形の駆動カム11と、この駆動カム11に相対回転可能に外嵌するリング状リンク12と、吸気カム軸115と略平行に気筒列方向へ延びる制御軸13と、この制御軸13に偏心して固定的に設けられた円形の制御カム14と、この制御カム14に相対回転可能に外嵌すると共に、一端がリング状リンク12の先端に連結されたロッカアーム15と、このロッカアーム15の他端と揺動カム4とに連結されたロッド状リンク16と、を有している。
前記制御軸13は、モータ17によりギア列(減速機構)18を介して所定の角度範囲内で回転駆動される。
尚、モータ17として本実施形態では、3相DCブラシレスモータ(以下、BLMともいう)を用いる。
上記の構成により、クランク軸109に連動して吸気カム軸115が回転すると、駆動カム11を介してリング状リンク12が略並進移動すると共に、ロッカアーム15が制御カム14の軸心周りに揺動し、ロッド状リンク16を介して揺動カム4が揺動して吸気バルブ105が開閉駆動される。
また、前記モータ17を駆動制御して制御軸13の角度を変化させることにより、ロッカアーム15の揺動中心となる制御カム14の軸心位置が変化して揺動カム4の姿勢が変化する。
これにより、図5の矢印301に示すように、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相SPが略一定のままで、吸気バルブ105のバルブ作動角OA及びバルブリフト量VL(最大バルブリフト量)が連続的に変化する。
尚、バルブ作動角及びバルブリフト量が連続的に変化すると同時に、バルブ作動角の中心位相が進角・遅角変化するように、前記可変バルブリフト機構113を構成することも可能である。
図4は、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相を可変とする前記可変バルブタイミング機構114の構造を示す。
前記可変バルブタイミング機構114は、クランク軸109によりタイミングチェーンを介して回転駆動されるカムスプロケット51(タイミングスプロケット)と、前記吸気カム軸115の端部に固定されてカムスプロケット51内に回転自在に収容された回転部材53と、該回転部材53をカムスプロケット51に対して相対的に回転させる油圧回路54と、カムスプロケット51と回転部材53との相対回転位置を所定位置で選択的にロックするロック機構60とを備えている。
前記カムスプロケット51は、外周にタイミングチェーン(又はタイミングベルト)が噛合する歯部を有する回転部(図示省略)と、該回転部の前方に配置されて前記回転部材53を回転自在に収容するハウジング56と、該ハウジング56の前後開口を閉塞するフロントカバー,リアカバー(図示省略)とから構成される。
前記ハウジング56は、前後両端が開口形成された円筒状を呈し、内周面には、横断面台形状を呈し、それぞれハウジング56の軸方向に沿って設けられる4つの隔壁部63が90°間隔で突設されている。
前記回転部材53は、吸気カムシャフト3の前端部に固定されており、円環状の基部77の外周面に90°間隔で4つのベーン78a,78b,78c,78dが設けられている。
前記第1〜第4ベーン78a〜78dは、それぞれ断面が略逆台形状を呈し、各隔壁部63間の凹部に配置され、前記凹部を回転方向の前後に隔成し、ベーン78a〜78dの両側と各隔壁部63の両側面との間に、進角側油圧室82と遅角側油圧室83を構成する。
前記ロック機構60は、ロックピン84が、回転部材53の初期位置において係合孔(図示省略)に係入するようになっている。
前記油圧回路54は、進角側油圧室82に対して油圧を給排する第1油圧通路91と、遅角側油圧室83に対して油圧を給排する第2油圧通路92との2系統の油圧通路を有し、この両油圧通路91,92には、供給通路93とドレン通路94a,94bとがそれぞれ通路切り換え用の電磁切換弁95を介して接続されている。
前記供給通路93には、オイルパン96内の油を圧送する機関駆動のオイルポンプ97が設けられている一方、ドレン通路94a,94bの下流端がオイルパン96に連通している。
前記第1油圧通路91は、回転部材53の基部77内に略放射状に形成されて各進角側油圧室82に連通する4本の分岐路91dに接続され、第2油圧通路92は、各遅角側油圧室83に開口する4つの油孔92dに接続される。
前記電磁切換弁95は、内部のスプール弁体が各油圧通路91,92と供給通路93及びドレン通路94a,94bとを相対的に切り換え制御するようになっている。
前記制御装置201は、前記電磁切換弁95を駆動する電磁アクチュエータ99に対する通電量を、ディザ信号が重畳されたデューティ制御信号(操作量)に基づいて制御する。
可変バルブタイミング機構114においては、電磁アクチュエータ99にデューティ比(オン時間割合)0%のオフ制御信号を出力すると、オイルポンプ47から圧送された作動油は、第2油圧通路92を通って遅角側油圧室83に供給されると共に、進角側油圧室82内の作動油が、第1油圧通路91を通って第1ドレン通路94aからオイルパン96内に排出されるようにしてある。
従って、電磁アクチュエータ99にデューティ比0%のオフ制御信号を出力すると、遅角側油圧室83の内圧が高くなる一方で、進角側油圧室82の内圧が低くなり、回転部材53は、ベーン78a〜78bを介して最大遅角側に回転し、この結果、吸気バルブ105の開期間(バルブ作動角の中心位相)がピストン位置に対して相対的に遅角変化する。
即ち、電磁アクチュエータ99への通電を遮断すると、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相は遅角変化し、最終的には、最遅角位置で停止する。
また、電磁アクチュエータ99にデューティ比100%のオン制御信号を出力すると、作動油は、第1油圧通路91を通って進角側油圧室82内に供給されると共に、遅角側油圧室83内の作動油が第2油圧通路92及び第2ドレン通路94bを通ってオイルパン96に排出され、遅角側油圧室83が低圧になる。
このため、電磁アクチュエータ99にデューティ比100%のオン制御信号を出力すると、回転部材53は、ベーン78a〜78dを介して進角側へ最大に回転し、これによって、吸気バルブ105の開期間(バルブ作動角の中心位相)がピストン位置に対して相対的に進角変化する。
このように、前記可変バルブタイミング機構114は、図5の矢印302に示すように、吸気バルブ105のバルブ作動角OA及びバルブリフト量VLを変えずに、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相SPを進・遅角変化させる機構であり、前記制御信号のデューティ比を変更することで、最遅角位置から最進角位置までの間の任意の位置にバルブ作動角の中心位相を変化させることができる。
尚、吸気バルブ105のバルブ作動角・バルブリフト量を連続的に可変とする可変バルブリフト機構113、及び、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相を連続的に可変とする可変バルブタイミング機構114は、上記の図2〜4に示したものに限定されない。
例えば、可変バルブタイミング機構114としては、上記のベーン式の他、歯車を用いてクランク軸109に対し前記吸気カム軸115を相対回転させる機構などを用いることができ、更に、油圧アクチュエータの他、モータや電磁ブレーキなどをアクチュエータとして用いる機構を採用できる。
また、前記可変バルブリフト機構113として、本実施形態では、前述のように制御軸の回転位置に応じてエンジンバルブのリフト特性を可変とする機構を採用したが、例えば特開2007−205329号公報に開示されるように、制御軸を軸方向の位置に応じてエンジンバルブのリフト特性を可変とする機構を採用することもできる。
前記制御装置201には、前記制御軸13の角度に応じたレベルの信号を出力する角度センサ202からの信号が入力されると共に、前記モータ17に備えられる3つの磁極位置センサ211U,211V,211Wからのパルス信号がそれぞれ入力される。
前記角度センサ202は例えばポテンショメータからなり、制御軸13の角度に応じた電圧を出力し、前記磁極位置センサ211U,211V,211Wは、例えばホールICからなり、モータ17のロータの回転に応じて周期的に変化するパルス信号を出力する。
そして、前記角度センサ202からの信号に基づき前記制御軸13の角度を検出する一方、機関運転条件(機関負荷・機関回転速度など)に応じて目標バルブリフト量に対応する制御軸13の目標角度を演算し、前記角度の検出値と前記目標角度とに基づいてモータ17の指令トルクを演算し、該指令トルクや前記磁極位置センサ211U,211V,211Wで検出される磁極位置などから、前記モータ17(U相,V相及びW相)の通電を制御する。
尚、前記可変バルブリフト機構113に用いられるモータ17が、本願発明に係る制御装置を適用する車両用モータに相当するものであり、モータ17,該モータ17の駆動回路及び前記磁極位置センサ211U,211V,211Wの詳細は、後で詳細に説明する。
また、前記制御装置201は、機関運転条件(機関負荷・機関回転速度など)に基づいて吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相の目標進角量を演算し、クランク角センサ203及びカムセンサ204の出力信号に基づいて検出される実際の進角量が前記目標進角量に近づくように、前記実際の進角量と目標進角量との偏差に基づいて、電磁アクチュエータ99に出力する制御信号のデューティ比(操作量)をフィードバック制御する。
前記クランク角センサ203は、クランク軸109に軸支したシグナルプレート203aの周縁に等間隔で形成された突起部203bを、ピックアップ203cで検出することで、単位クランク角毎のポジション信号POSを出力すると共に、前記シグナルプレート203aに180deg間隔で2箇所に形成した突起部203dをピックアップ203eで検出することで、各気筒の所定クランク角位置(所定ピストン位置)毎のリファレンス信号REFを出力する。
前記リファレンス信号REFの出力間隔は、本実施形態における4気筒機関における点火間隔に相当し、前記リファレンス信号REFは、各気筒の同じピストン位置(例えばBTDC75deg)毎に出力されることになる。
前記制御装置201では、クランク角センサ203の出力信号(ポジション信号POS又はリファレンス信号REF)に基づいて内燃機関101の回転速度NEを算出する。
一方、前記カムセンサ204は、前記リファレンス信号REFの発生間隔において、気筒ナンバーを示す数のカム信号CAMを出力し、可変バルブタイミング機構114によってクランク軸109に対する吸気カム軸115の位相が変化すると、前記リファレンス信号REFの出力位置に対するカム信号CAMの出力位置が変化する。
従って、例えば、前記リファレンス信号REFが発生してからカム信号CAMが発生するまでの角度を計測することで、可変バルブタイミング機構114による中心位相の進角量を検出することができる。
尚、前記カム信号CAMの発生位置は、可変バルブタイミング機構114によって吸気カム軸115の位相を変化させても、リファレンス信号REFの出力位置を横切って変化することがないように設定されている。
前記制御装置201には、上記吸入空気量センサ103,角度センサ202,クランク角センサ203及びカムセンサ204の出力信号が入力される他、内燃機関101の運転・停止のメインスイッチであるイグニッションスイッチ(IGNスイッチ)205の信号、アクセルセンサ206からのアクセルペダル207の開度信号ACC、水温センサ208からの冷却水温度信号TW、空燃比センサ209からの空燃比信号AFなどが入力される。
前記空燃比センサ209は、排気管111に設けられ、内燃機関101の空燃比と密接な関係にある排気中の酸素濃度に感応して出力が変化するセンサ(酸素濃度センサ)である。
図6は、前記制御装置201の詳細構成を示す図であり、前記制御装置201は、内燃機関101における点火動作や燃料噴射動作を制御するECM214と、前記可変バルブリフト機構113のモータ17を駆動する駆動回路(インバータ)212と、前記駆動回路212を制御するVELコントローラ213とを備えている。
前記ECM214には、前記水温センサ208やクランク角センサ203などの内燃機関101の運転状態を検出する各種センサ・スイッチからの信号が入力されると共に、アクセルセンサ206などの車両の運転状態を検出するセンサ・スイッチからの信号が入力され、これらの信号に基づいて、前記点火モジュール116や燃料噴射弁106に対する操作量を演算して出力する。
また、前記ECM214は、前記各種センサ・スイッチからの信号に基づいて、前記可変バルブリフト機構113の制御軸13の目標角度(目標バルブリフト量)を演算して、前記VELコントローラ213に出力する。
前記VELコントローラ213には、前記角度センサ202からの検出信号(出力電圧VAS)が入力されると共に、前記モータ17に設けられる3つの磁極位置センサ211U,211V,211Wからのパルス信号が入力され、これらに基づいてモータ17の駆動回路212に含まれるスイッチング素子を制御する。
図7は、前記駆動回路212及びモータ17の詳細を示す。
前記モータ17は3相DCブラシレスモータ(BLM)であり、U相,V相及びW相の3相巻線215U,215V,215Wが、図示省略した円筒状の固定子に設けられ、該固定子の中央部に形成された空間に永久磁石回転子216が配置される。
そして、駆動回路212は、例えばIGBTからなる6個のスイッチング素子217a〜217fを3相ブリッジ接続し、かつ、各スイッチング素子217a〜217fに逆並列にダイオード218a〜218fをそれぞれ接続して構成され、かつ、電源回路219を有している。
前記スイッチング素子217a〜217fの制御端子(ゲート端子)は、前記VELコントローラ213に接続されている。
また、図8に示すように、前記モータ17の回転子102の回転軸を中心とする円周上に3つの磁極位置センサ(ホールIC)211U,211V,211W(ホールIC)が配置されている。
前記3つの磁極位置センサ211U,211V,211Wは、ロータの回転に伴って周期的に変化するパルス信号を出力するセンサであり、それぞれのパルス信号は、図9及び図10に示すように、相互に電気角で120deg(1/3周期)の位相差をもって出力される。
ここで、モータ17の正転時には、図9に示すように、磁極位置センサ211Wの出力パルスSwの立ち上がりから電気角120deg後に、磁極位置センサ211Uの出力パルスSuが立ち上がり、更に電気角120deg後に、磁極位置センサ211Vの出力パルスSvが立ち上がる。
これに対し、モータ17の逆転時には、図10に示すように、磁極位置センサ211Vの出力パルスSvの立ち上がりから電気角120deg後に、磁極位置センサ211Uの出力パルスSuが立ち上がり、更に電気角120deg後に、磁極位置センサ211Wの出力パルスSwが立ち上がる。
このため、例えば、モータ17の正転時は、磁極位置センサ211Uの出力パルスSuの立ち上がり時に磁極位置センサ211Vの出力パルスSvがローレベルであるのに対し、モータ17の逆転時は、磁極位置センサ211Uの出力パルスSuの立ち上がり時に磁極位置センサ211Vの出力パルスSvがハイレベルとなり、前記ローレベル・ハイレベルを区別することで、モータ17の正転状態と逆転状態とを判別できるようになっている。
更に、前記3つの磁極位置センサ211U,211V,211Wのパルス信号Su,Sv,Swの立ち上がり・立ち下りは電気角60deg毎に発生するので、パルス信号Su,Sv,Swの立ち上がり・立ち下りの組み合わせ(出力パターン)から、図9及び図10中に示すように、磁極位置は、電気角60deg毎の6ステップに判別される。
具体的には、図11に示すように、A:30deg〜90deg、B:90deg〜150deg、C:150deg〜210deg、D:210deg〜270deg、E:270deg〜330deg、F:330deg〜30degの6ステップに、磁極位置(N極位置)が含まれる角度領域が判別される。
図9又は図10に示されるように、例えば、出力パルスSvがハイレベルであり、かつ、出力パルスSwがハイレベルであれば、磁極位置は、B(90deg〜150deg)の角度範囲内であると判断され、出力パルスSuがハイレベルであり、かつ、出力パルスSwがハイレベルであれば、磁極位置は、D(210deg〜270deg)の範囲内であると判断される。
前記スイッチング素子217a〜217fの制御による各相の通電制御においては、磁極位置センサ211U,211V,211Wによる磁極位置の検出結果に基づいて、各相(U相,V相及びW相)への電圧Vu、Vv、Vwが決定される。
以下では、前記磁極位置センサ211U,211V,211Wの出力パルスに基づくモータ制御の流れを、図12のフローチャートに従って説明する。
尚、図12のフローチャートに示すルーチンは、ECM214とVELコントローラ213とを含む前記制御装置201における処理機能を示す。
図12のフローチャートに示すルーチンは、ステップS1001でイグニッションスイッチ(IGNスイッチ)205がオン(オフ→オン)されることで、ステップS1002〜ステップS1010の処理が開始され、ステップS1011でイグニッションスイッチ(IGNスイッチ)205がオフ(オン→オフ)されたことが判断されるようになるまでは、ステップS1002〜ステップS1010の処理を繰り返し実行し、ステップS1011でイグニッションスイッチ(IGNスイッチ)205がオフ(オン→オフ)されたことが判断されると、処理を終了させるようになっている。
ステップS1002では、磁気位置センサ211U,211V,211Wの出力や角度センサ202の出力、更に、機関回転速度NE,アクセル開度ACCなどのデータなどを読み込む。
ステップS1003では、制御軸13の目標角度、換言すれば、吸気バルブ105のバルブリフト量(最大バルブリフト量)の目標値を演算する。
具体的には、図13に示すように、まず、そのときの機関回転速度NEとアクセル開度ACCとから目標トルクを設定し、次いで、前記目標トルクと機関回転速度NEとから、吸気バルブ105の目標バルブリフト量(目標バルブ作動角)に相当する制御軸13の目標角度である目標制御軸角度を設定する。
ステップS1004では、磁気位置センサ211U,211V,211Wに異常が発生しているか否かを判断する。
ステップS1004における異常判断においては、磁気位置センサ211U,211V,211Wの出力パルス信号のそれぞれについて周波数(又は周期)を求めて、各出力パルス信号の周波数(又は周期)が一致していれば、磁気位置センサ211U,211V,211Wは全て正常であると判断する。
ここで、周波数(周期)の検出誤差内のずれであれば、周波数(周期)が一致していると判断させるようにする。
一方、各出力パルス信号の周波数(周期)のうち2つが一致し、1つだけが他と異なる場合に、磁気位置センサ211U,211V,211Wの異常を判断する。
尚、磁気位置センサ211U,211V,211Wのうち2つ以上が同時に異常となることは殆どないため、上記のように、2つの周波数(周期)が同じで、1つの周波数(周期)が他と異なる場合に、出力信号の周波数(周期)が他の2つと異なる1つのセンサが異常であると判断させることができる。
また、上記のようにして、磁気位置センサ211U,211V,211Wのうちの1つについて異常を判断した後、正常であると判断した2つの磁気位置センサ211間で周波数(周期)にずれが生じた場合には、モータ制御不能と判断して、モータ17の制御を停止(モータ17への通電を停止)させることが好ましい。
ステップS1004で磁気位置センサ211U,211V,211Wが全て正常であると判断されると、ステップS1008へ進む。
ステップS1008では、モータ指令値の演算を行う。
具体的には、ステップS1003で演算した制御軸13の目標角度と、前記角度センサ202で検出された実際の角度との偏差(エラー)VELERに基づく比例・積分・微分処理によって、モータ17の指令値を算出する。
具体的には、下式に従って前記指令値を算出する。
尚、数1において、Pは比例ゲイン、Iは積分ゲイン、Dは微分ゲインであり、予め実機若しくはモデルを用いて適合された値を記憶しておいて用いる。
ここで、後述する180度通電方式や120度通電方式では、前記指令値は指令電圧として算出され、同じく後述するベクトル制御方式では、前記指令値が指令トルクとして算出される。
次のステップS1009では、モータ17の3相(U相、V相、W相)の電圧Vu、Vv、Vwを決定する。
図14は、120度通電方式における電圧Vu、Vv、Vwの決定、換言すれば、モータ駆動原理を示す。
図14は、前記磁気位置センサ211U,211V,211Wで検出される6ステップの磁気位置毎に切り替えられる6つ通電パターン(1)〜(6)を示してあり、各通電パターン(1)〜(6)においてスイッチング素子217a〜217fは、指令電圧に応じてパルス幅変調される信号で駆動される。
また、図14に示す例は、モータを図14における反時計回りに回転させる場合の例を示し、図11に示したN極の磁極位置(A〜F)(磁極位置が含まれる角度領域)に応じて通電パターン(1)〜(6)を切り替えることで、モータ17を反時計方向に回転させる。
通電モード(1)は、N極が位置D(210deg〜270deg)に位置していることが検出された場合に選択され、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217dをオンし、他を全てオフとすることで、U相からV相に向けて電流を流す。
通電モード(2)は、N極が位置D(210deg〜270deg)から進角して位置E(270deg〜330deg)に位置していることが検出された場合に選択され、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217fをオンし、他を全てオフとすることで、U相からW相に向けて電流を流す。
通電モード(3)は、N極が位置E(270deg〜330deg)から進角して位置F(330deg〜30deg)に位置していることが検出された場合に選択され、スイッチング素子217c及びスイッチング素子217fをオンし、他を全てオフとすることで、V相からW相に向けて電流を流す。
通電モード(4)は、N極が位置F(330deg〜30deg)から進角して位置A(30deg〜90deg)に位置していることが検出された場合に選択され、スイッチング素子217b及びスイッチング素子217cをオンし、他を全てオフとすることで、V相からU相に向けて電流を流す。
通電モード(5)は、N極が位置A(30deg〜90deg)から進角して位置B(90deg〜150deg)に位置していることが検出された場合に選択され、スイッチング素子217b及びスイッチング素子217eをオンし、他を全てオフとすることで、W相からU相に向けて電流を流す。
通電モード(6)は、N極が位置B(90deg〜150deg)から進角して位置C(150deg〜210deg)に位置していることが検出された場合に選択され、スイッチング素子217e及びスイッチング素子217dをオンし、他を全てオフとすることで、W相からV相に向けて電流を流す。
そして、N極が位置C(150deg〜210deg)から進角して位置D(210deg〜270deg)に位置していることが検出された場合には、前記通電モード(1)に戻って通電パターンが切り換えられる。
上記のように、6つの通電パターン(1)〜(6)を、磁極位置A〜Fの判別に応じて切り替えることで、図15に示すように、各スイッチング素子217a〜217fは、240deg毎に120deg間通電されることから、図14及び図15に示すような通電方式は120度通電方式と呼ばれる。
また、磁極位置A〜Fの判別に応じた通電パターンとしては、図16に示すような180度通電方式の呼ばれるものがある。
図16に示す180度通電方式では、磁極位置A(30deg〜90deg)において、スイッチング素子217b,スイッチング素子217c及びスイッチング素子217eをオンし、他を全てオフとし、V相及びW相からU相に向けて電流を流す。
磁極位置B(30deg〜90deg)においては、スイッチング素子217b,スイッチング素子217d及びスイッチング素子217eをオンし、他を全てオフとし、W相からV相及びU相に向けて電流を流す。
磁極位置C(150deg〜210deg)においては、スイッチング素子217a,スイッチング素子217d及びスイッチング素子217eをオンし、他を全てオフとし、U相及びW相からV相に向けて電流を流す。
磁極位置D(210deg〜270deg)においては、スイッチング素子217a,スイッチング素子217d及びスイッチング素子217fをオンし、他を全てオフとし、U相からV相及びW相に向けて電流を流す。
磁極位置E(270deg〜330deg)においては、スイッチング素子217a,スイッチング素子217c及びスイッチング素子217fをオンし、他を全てオフとし、U相及びV相からW相に向けて電流を流す。
磁極位置F(330deg〜30deg)においては、スイッチング素子217b,スイッチング素子217c及びスイッチング素子217fをオンし、他を全てオフとし、U相からV相及びW相に向けて電流を流す。
また、前記ベクトル制御方式では、前記磁極位置を、磁極位置が含まれる角度領域ではなく、角度θの数値データとして制御周期毎に演算し、該角度値に基づいて前記モータ17の3相(U相、V相、W相)の電圧Vu、Vv、Vwを決定する。
前記角度θとしての磁極位置を検出する方式として、補間演算を用いる方式がある。
即ち、図17(A)に示すように、前記磁気位置センサ211U,211V,211Wからのパルス信号によって検出される磁極位置の切り替わりタイミング(磁極位置:30deg,90deg,150deg,210deg,270deg,330deg)からの経過時間と、モータ回転速度とから、前記切り替わりタイミングからの角度変化分を求め、該角度変化分を直前の切り替わりタイミングでの角度値(磁極位置:30deg,90deg,150deg,210deg,270deg,330deg)に加算することで、現時点の磁極位置(deg)を求める。
換言すれば、前記磁気位置センサ211U,211V,211Wからのパルス信号の立ち上がり又は立ち下がりタイミング間における磁極位置(角度変化)を線型補間して、磁極位置(角度θ)の変化を連続的に求めるものである。
本願の可変バルブリフト機構113では、制御軸13の実角度と目標角度との偏差に応じてモータ17の印加電圧が制御され、目標角度の変更に伴ってモータ17を回転させ、目標角度への収束によってモータ17を停止させることになるため、モータ17の停止状態から加速時や減速時のモータ回転速度は遅く、また、偏差が大きいと最高速に至るが、偏差が小さい場合には、最高速に至る前に減速に移行して最高速にならない場合もある。
このように、可変バルブリフト機構113においては、モータ回転速度は一定ではないため、前記切り替わりタイミングからの角度変化分を求めるためには、そのときのモータ回転速度の情報が必要となるものであり、前記モータ回転速度は、前記磁気位置センサ211U,211V,211Wからのパルス信号の立ち上がり・立ち下がりの周期(周波数)から求めることができる。
尚、モータ17の回転速度(例えば最高速)が、目標速度になるように、モータ17の印加電圧が制御されるシステムであってもよい。
ところで、モータ回転速度が高い場合には、補間演算の精度を確保できるものの、モータ回転速度が低く、磁気位置センサ211U,211V,211Wからのパルス信号の切り替わり周期が長くなると、補間演算の精度が悪化する。
そこで、モータ回転速度が、補間演算精度から決定される所定速度以下である場合には、図17(B)に示すように、前記磁気位置センサ211U,211V,211Wからのパルス信号によってステップ的に検出される磁極位置が含まれる角度領域(30deg〜90deg,90deg〜150deg,150deg〜210deg,210deg〜270deg,270deg〜330deg)の各中間点(60deg,120deg,180deg,240deg,360deg)に位置するものとする。
前記中間点を角度θとする処理においては、例えば磁気位置センサ211Uのパルス信号の立ち下がりに基づいて磁極位置θ=30degが検出されると、次に前記磁気位置センサ211U,211V,211Wからのパルス信号から磁極位置が検出されるまでは、N極が60degに位置しているものして通電制御を行わせ、次に、磁気位置センサ211Wのパルス信号の立ち上がりに基づいて磁極位置θ=90degが検出されると、120degに位置しているものして通電制御を行わせ、結果的に、60deg毎に磁極位置(磁極角度)を更新させる。
そして、前記ベクトル制御方式では、上記のようにして検出される磁極位置(角度θ)及び前記指令トルクから、図18に示すようにして、3相電圧Vu、Vv、Vwを決定する。
図18において、角度・角速度演算部601では、前記磁気位置センサ211U,211V,211Wの出力を入力し、前述のようにしてロータの角度(磁極位置)及び角速度を算出する。
3相−2相変換器602では、3相電流の検出値を、そのときのロータ角度(角度θとしての磁極位置)に基づいて2軸の回転座標系(d−q座標系)の電流Id,Iqに変換する。
また、ベクトル制御部603には、指令トルクをトルク定数Ktで除算して得られる目標電流と、前記角度・角速度演算部601で算出された角速度と、前記3相−2相変換器602で求めた電流Id,Iqとが入力され、前記目標電流及び電気角・角速度に基づいてd−q座標系におけるd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを算出する。
そして、指令電流Idref及びq軸電流指令値Iqrefと算出電流Iq,Idを比較してフィードバックし、指令電圧Vq,Vdを算出する。
2相−3相変換器604では、前記指令電圧Vq,Vdを3相電圧Vu、Vv、Vwに変換して出力する。
前記図12のフローチャートのステップS1010では、前記3相電圧Vu、Vv、Vwに基づいて前記スイッチング素子217a〜217fをパルス幅変調して駆動する。
一方、ステップS1004で、磁気位置センサ211U,211V,211Wに異常が発生していると判断された場合、即ち、各出力パルス信号の周波数(周期)のうち2つが一致し、1つだけが他と異なる場合には、ステップS1005へ進む。
ステップS1005では、前記制御軸13の目標角度の分解能を、ステップS1004で異常判定されなかった場合よりも低下させる処理、換言すれば、目標角度の最小変化幅を、ステップS1004で異常判定されなかった場合よりも大きくする処理を実行する。
前記磁気位置センサ211U,211V,211Wからのパルス信号のうちの1つに異常が生じると、残る2つの正常なパルス信号に基づいて磁極位置を判断することになり、その場合、図19に示すように、正常時には、60degの分解能で磁極位置を検出できるのに対し、2倍の120degの分解能でしか磁極位置を検出できない角度領域が生じる。
図19に示す例では、磁気位置センサ211Wの出力に異常が生じ、その結果、磁極位置D,Eの判別、及び、磁極位置A,Bの判別が不能になっており、磁気位置センサ211Uの立ち上がりから磁気位置センサ211Vの立ち上がりまでの間は、角度域210deg〜330degの120deg範囲に位置していると判断され、磁気位置センサ211Uの立ち下がりから磁気位置センサ211Vの立ち下がりまでの間は、角度域30deg〜150degの120deg範囲に位置していると判断される。
このような磁極位置の検出分解能が低下した状態で収束させることができる目標とすべく、ステップS1005では、目標値の分解能を低下させる。
具体的には、前記磁気位置センサ211U,211V,211Wが正常であるときに、例えば、1deg単位で目標角度を設定していたとすると、ステップS1005へ進んだときには、5deg単位に目標角度を補正する。
この場合、制御軸13の初期角度を0degとすれば、設定可能な目標角度は、0,5,10,15,20,25・・・の5の倍数となり、例えば、ステップS1003で設定された目標角度が前記5の倍数に一致しない場合には、最も近い5の倍数、又は、ステップS1003で設定された目標角度よりも大きい側で近い5の倍数、又は、ステップS1003で設定された目標角度よりも小さい側で近い5の倍数を、最終的な目標角度に設定する。
例えば、ステップS1003で設定された目標角度が14degであれば、異常判定状態では、これを15degに補正するか、又は、10degに補正する。
従って、ステップS1005で目標値の分解能を低下させる処理を行うと、図20に示すように、分解能未満での目標角度の変化は、最終的な目標値に反映されないことになる。
図12のフローチャートのステップS1006では、前記ステップS1008と同様にして、モータ指令値(指令電圧値又は指令トルク値)を演算する。
ステップS1007では、モータ17の3相(U相、V相、W相)の電圧Vu、Vv、Vwを決定する。
まず、前記120度通電方式で、磁気位置センサ211U,211V,211Wに異常が生じた場合における電圧Vu、Vv、Vw決定の様子を、図19を参照して説明する。
ここでは、磁気位置センサ211Wの出力に異常が生じ、磁気位置センサ211U,211Vからの出力パルス信号に基づき、磁極位置を検出する場合を例とする。
前記磁気位置センサ211Wの出力に異常が生じると、磁気位置センサ211Wの出力に基づく磁極位置の判別が行えなくなり、磁極位置Dと磁極位置Eとからなる120deg領域に入った場合、磁極位置Dと磁極位置Eとのいずれに該当しているか(換言すれば、磁極位置Dと磁極位置Eとの切り替わり)が不明となり、また、磁極位置Aと磁極位置Bとからなる120deg領域に入った場合にも、磁極位置Aと磁極位置Bとのいずれに該当しているか(換言すれば、磁極位置Aと磁極位置Bとの切り替わり)が不明となる。
このような場合、120度通電方式では、磁極位置Cから磁極位置Dと磁極位置Eとからなる120deg領域に切り替わったときには、該120deg領域におけるより進角側である磁極位置Eに該当するようになったものと仮定して通電パターンを切り替え、磁極位置Fから磁極位置Aと磁極位置Bとからなる120deg領域に切り替わった場合には、該120deg領域におけるより進角側である磁極位置Bに該当するようになったものと仮定して通電パターンを切り替える。
即ち、磁気位置センサ211が正常であれば、磁極位置Dでは、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217dをオンし、他を全てオフとするのに対し、磁極位置Eでは、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217fをオンし、他を全てオフとする。
これに対し、磁気位置センサ211Wが異常になると、磁極位置Cから磁極位置Dと磁極位置Eとからなる120deg領域に切り替わった場合には、スイッチング素子217aをオンし、スイッチング素子217fをオンし、スイッチング素子217dを含む他のスイッチング素子217を全てオフとすることで、磁極位置Cから直接磁極位置Eに切り替わった場合に対応する通電パターンの切り替えを行い、磁気位置センサ211Vの出力の立ち上がりによって磁極位置Fに入ったことが検出されるようになるまで、前記オン・オフ状態を保持させる。
また、磁気位置センサ211が正常であれば、磁極位置Aでは、スイッチング素子217b及びスイッチング素子217cをオンし、他を全てオフとするのに対し、磁極位置Bでは、スイッチング素子217b及びスイッチング素子217eをオンし、他を全てオフとする。
これに対し、磁気位置センサ211Wが異常になると、磁極位置Fから磁極位置Aと磁極位置Bとからなる120deg領域に切り替わった場合には、スイッチング素子217bをオンし、スイッチング素子217eをオンし、スイッチング素子217cを含む他のスイッチング素子217を全てオフとし、磁気位置センサ211Vの出力の立ち下がりによって磁極位置Cに入ったことが検出されるようになるまで、前記オン・オフ状態を保持させる。
上記のように、分解能が低下した角度域に入った場合に、より進角側の磁極位置(図19に示す例では、磁極位置E又は磁極位置B)に該当するようになったものと仮定して、通電パターンの切り替えを行えば、実際にはより進角側の角度域に入っているのに、それよりも遅角側の角度域に対応する通電パターンで通電されることを抑止できる。
換言すれば、磁気位置センサ211のうちの1つが異常になっても、モータ回転速度を遅くしたり、モータ回転を停滞させたりする電流磁束の発生を抑止でき、2つの磁気位置センサ211の出力による120度通電方式で、モータ17を所望の方向に回転駆動させることができる。
また、180度通電方式の場合は、磁気位置センサ211の異常に対して、図21に示すようにして、通電パターンの切り替えを行わせる。
図21に示す例も、磁気位置センサ211Wの出力に異常が生じ、磁気位置センサ211U,211Vから磁極位置を検出する場合を例とする。
前記磁気位置センサ211Wの出力に異常が生じると、磁気位置センサ211Wの出力に基づく磁極位置の判別が行えなくなり、磁極位置Dと磁極位置Eとからなる120deg領域に入った場合、磁極位置Dと磁極位置Eとのいずれに該当しているか(換言すれば、磁極位置Dと磁極位置Eとの切り替わり)が不明となり、また、磁極位置Aと磁極位置Bとからなる120deg領域に入った場合にも、磁極位置Aと磁極位置Bとのいずれに該当しているか(換言すれば、磁極位置Aと磁極位置Bとの切り替わり)が不明となる。
このような場合、180度通電方式では、120度通電方式の場合と同様に、磁極位置Cから磁極位置Dと磁極位置Eとからなる120deg領域に切り替わったときに、該120deg領域におけるより進角側である磁極位置Dに該当するようになったものと仮定して通電パターンを切り替え、磁極位置Fから磁極位置Aと磁極位置Bとからなる120deg領域に切り替わった場合には、該120deg領域におけるより進角側である磁極位置Bに該当するようになったものと仮定して通電パターンを切り替える。
即ち、磁気位置センサ211が正常であれば、磁極位置Dでは、スイッチング素子217a,スイッチング素子217d及びスイッチング素子217fをオンし、他を全てオフとするのに対し、磁極位置Eでは、スイッチング素子217a,スイッチング素子217c及びスイッチング素子217fをオンし、他を全てオフとする。
これに対し、磁気位置センサ211Wが異常になると、磁極位置Cから磁極位置Dと磁極位置Eとからなる120deg領域に切り替わった場合には、スイッチング素子217a,スイッチング素子217c及びスイッチング素子217fをオンし、スイッチング素子217dを含む他を全てオフとすることで、磁極位置Cから直接磁極位置Eに切り替わった場合に対応する通電パターンの切り替えを行い、磁気位置センサ211Vの出力の立ち上がりによって磁極位置Fに入ったことが検出されるようになるまで、前記オン・オフ状態を保持させる。
また、磁気位置センサ211が正常であれば、磁極位置Aでは、スイッチング素子217b,スイッチング素子217c及びスイッチング素子217eをオンし、他を全てオフとするのに対し、磁極位置Bでは、スイッチング素子217b,スイッチング素子217d及びスイッチング素子217eをオンし、他を全てオフとする。
これに対し、磁気位置センサ211Wが異常になると、磁極位置Fから磁極位置Aと磁極位置Bとからなる120deg領域に切り替わった場合には、スイッチング素子217b,スイッチング素子217d及びスイッチング素子217eをオンし、スイッチング素子217cを含む他を全てオフとすることで、磁極位置Cから直接磁極位置Eに切り替わった場合に対応する通電パターンの切り替えを行い、磁気位置センサ211Vの出力の立ち下がりによって磁極位置Cに入ったことが検出されるようになるまで、前記オン・オフ状態を保持させる。
上記のように、180度通電方式においても、分解能が低下した角度域に入った場合に、より進角側の磁極位置(図21に示す例では、磁極位置E又は磁極位置B)に該当するようになったものと仮定して、通電パターンの切り替えを行えば、実際にはより進角側の角度域に入っているのに、それよりも遅角側の角度域に対応する通電パターンで通電されることを抑止できる。
換言すれば、磁気位置センサ211のうちの1つが異常になっても、モータ回転速度を遅くしたり、モータ回転を停滞させたりする電流磁束の発生を抑止でき、2つの磁気位置センサ211の出力による180度通電方式で、モータ17を所望の方向に回転駆動させることができる。
尚、上記では、磁気位置センサ211Wの出力が異常になった場合を例示したが、磁気位置センサ211U又は磁気位置センサ211Vが異常になった場合も、分解能が低下した角度域に入った場合に、より進角側の磁極位置に該当するようになったものと仮定して、通電パターンの切り替えを行えばよい。
例えば、磁気位置センサ211Uに異常が生じると、磁極位置Cと磁極位置Dとのいずれに該当しているかが不明となり、また、磁極位置Fと磁極位置Aとのいずれに該当しているかが不明となる。
従って、磁極位置Bから磁極位置Cと磁極位置Dとからなる120deg領域に入った場合には、より進角側である磁極位置Dに該当するようになったものと仮定して、通電パターンの切り替えを行い、磁極位置Eから磁極位置Fと磁極位置Aとからなる120deg領域に入った場合には、より進角側である磁極位置Aに該当するようになったものと仮定して、通電パターンの切り替えを行えばよい。
また、磁気位置センサ211Vに異常が生じると、磁極位置Eと磁極位置Fとのいずれに該当しているかが不明となり、また、磁極位置Bと磁極位置Cとのいずれに該当しているかが不明となる。
従って、磁極位置Dから磁極位置Eと磁極位置Fとからなる120deg領域に入った場合には、より進角側である磁極位置Fに該当するようになったものと仮定して、通電パターンの切り替えを行い、磁極位置Aから磁極位置Bと磁極位置Cとからなる120deg領域に入った場合には、より進角側である磁極位置Cに該当するようになったものと仮定して、通電パターンの切り替えを行えばよい。
更に、磁極位置がA→F→E→D・・と切り替わる回転方向が逆の場合(時計回りに回転する場合)も同様であり、磁気位置センサ211Wの出力が異常となり、磁極位置Fから磁極位置Eと磁極位置Dとからなる120deg領域に入った場合には、進角側である磁極位置Dに該当するようになったものと仮定して通電パターンの切り替えを行い、磁極位置Cから磁極位置Bと磁極位置Aとからなる120deg領域に入った場合には、進角側である磁極位置Aに該当するようになったものと仮定して、通電パターンの切り替えを行えばよい。
図22は、モータを反時計回りに回転させる場合であって、磁気位置センサ211Wの出力が異常となった場合において、磁極位置A〜Fの判断がどのように切り替わるかを示すものであり、磁極位置A〜Fの判断結果は、F→B→C→E→F・・・と切り替わることになる。
一方、ベクトル制御方式では、磁極位置センサ211の異常によって120deg分解能域が生じ、この120deg分解能域内に磁極位置が該当するようになった場合には、該120deg分解能域の中間点に位置しているものとして、3相電圧Vu、Vv、Vwを演算させる。
図23(A)は、磁気位置センサ211Wの出力が異常となって、磁極位置Eと磁極位置Dとのいずれに該当しているかが不明となり、また、磁極位置Bと磁極位置Aとのいずれに該当しているかが不明となった場合の磁極位置(角度データ)の設定方法を示す。
前述のように、モータ回転速度が所定速度よりも高い場合には、モータ回転速度に基づく補間演算を行わせるが、磁極位置Eと磁極位置Dとからなる120deg領域に入った場合には、該120deg領域の中間点である270degに位置しているものとして、3相電圧Vu、Vv、Vwを演算させ、磁極位置Aと磁極位置Bとからなる120deg領域に入った場合には、該120deg領域の中間点である90degに位置しているものとして、3相電圧Vu、Vv、Vwを演算させる。
そして、磁極位置Eと磁極位置Dとからなる120deg領域から、磁極位置F領域への切り替わりを、磁気位置センサ211Vの出力の立ち上がりに基づいて検出すると、補間演算による角度データの更新を開始させ、磁極位置Aと磁極位置Bとからなる120deg領域から、磁極位置C領域への切り替わりを、磁気位置センサ211Vの出力の立ち下がりに基づいて検出すると、補間演算による角度データの更新を開始させる。
換言すれば、120deg分解能領域に入ると、120deg分解能領域に入る直前の位置から60degだけ進角した位置に該当しているものとして、3相電圧Vu、Vv、Vwを演算させ、60deg分解能領域では、補間演算による角度データの更新を行わせ、該補間演算結果に基づいて3相電圧Vu、Vv、Vwを演算させる。
また、ベクトル制御方式でモータ回転速度が所定回転速度以下であると、磁極位置A〜Fのうち実際の磁極位置を含む角度領域の中間点に位置しているものとして、3相電圧Vu、Vv、Vwを演算させるが、磁気位置センサ211に異常が発生すると、図23(B)に示すように、磁極位置の角度データを設定する。
磁気位置センサ211Wに異常が生じ、磁極位置Dと磁極位置Eとからなる120deg分解能領域に入った場合には、該120deg領域の中間点である270degに位置しているものとして、3相電圧Vu、Vv、Vwを演算させ、磁極位置Aと磁極位置Bとからなる120deg分解能領域に入った場合には、該120deg領域の中間点である90degに位置しているものとして、3相電圧Vu、Vv、Vwを演算させる。
即ち、例えば、磁極位置Cから、磁極位置Dと磁極位置Eとからなる120deg領域に入った場合には、角度データが、磁極位置Cの角度領域の中間点である180degから、磁極位置Dと磁極位置Eとからなる120deg領域の中間点である270degに切り替えられ、磁極位置Fの角度領域に移ると、磁極位置Fの角度領域の中間点である360deg(0deg)に切り替え、これらのステップ変化する角度データに基づいて3相電圧Vu、Vv、Vwを演算させる。
また、磁極位置Fから、磁極位置Aと磁極位置Bとからなる120deg領域に入った場合には、角度データが、磁極位置Fの角度領域の中間点である360deg(0deg)から、磁極位置Aと磁極位置Bとからなる120deg領域の中間点である90degに切り替えられ、磁極位置Cの角度領域に移ると、磁極位置Cの角度領域の中間点である180degに切り替え、これらのステップ変化する角度データに基づいて3相電圧Vu、Vv、Vwを演算させる。
換言すれば、120deg分解能領域に入ると、それまでの角度データよりも90degだけ磁極位置のデータを進角補正することで、120deg分解能領域の中間点に位置すると判断されるようにする。
前記ベクトル制御方式における磁気位置センサ211の異常における角度データの補正は、磁気位置センサ211W以外の磁気位置センサ211Uや磁気位置センサ211Vが異常となったときにも同様に行え、120deg分解能領域の中間点への切り替え(90degの進角補正)は、回転方向の双方で行える。
図24は、磁極位置の角度データをモータ回転速度に基づいて補間する場合であって、磁気位置センサ211Wに異常が生じた場合における、磁極位置(角度データ)の更新の様子を示し、角度330degから角度30degまでの間は、補間演算によって連続的な角度変化を検出させ、角度30degから角度150degまでは、角度90degに位置しているものとし、角度150degから角度210degまでの間は、補間演算によって連続的な角度変化を検出させ、角度210degから角度330degまでは、角度270degに位置しているものとして、3相電圧Vu、Vv、Vwを演算させる。
図25は、磁極位置の角度データを、各磁極位置A〜Fの角度領域の中間点としてステップ的に切り替える場合であって、磁気位置センサ211Wに異常が生じた場合における、磁極位置(角度データ)の更新の様子を示し、磁極位置の角度データは、磁気位置センサ211U,211Wの出力パルスに基づいて、0deg→90deg→180deg→270deg→0degの順に切り替えられる。
上記のように、磁気位置センサ211のうちの1つの異常によって120deg分解能領域となった角度域に、磁極位置が含まれるようになった場合に、磁極位置の角度データを120deg分解能領域の中間点まで進角補正すれば、120deg分解能領域の中間点に適合する3相電圧Vu、Vv、Vwが演算されるから、実際よりも過剰に進角側或いは遅角側の角度位置に対応する値に3相電圧Vu、Vv、Vwが演算されることを抑止でき、2つの磁気位置センサ211を用いて、モータ駆動制御を継続させることができる。
そして、本実施形態の場合、前記モータ17は、可変バルブリフト機構(VEL)113のアクチュエータとして用いられるから、モータ駆動制御を継続させることができれば、吸気バルブ105のリフト量を機関運転状態に対応する値に制御でき、内燃機関101の出力性能・燃費・排気性状の悪化を抑制できる。
ステップS1007では、前述のように、磁気位置センサ211のうちの1つの異常によって120deg分解能領域となった角度域について磁極位置の補正を行わせて、補正結果に基づいて3相電圧Vu、Vv、Vwが演算させる。
そして、次のステップS1010では、前記3相電圧Vu、Vv、Vwに基づいて前記スイッチング素子217a〜217fを制御する。
ステップS1011では、イグニッションスイッチ(IGNスイッチ)205がオンからオフに切り替えられたか否かを判断し、オン状態を維持する場合には、ステップS1002に戻って、モータ制御を継続させる。
一方、イグニッションスイッチ(IGNスイッチ)205がオンからオフに切り替えられると、本ルーチンを終了させることで、モータ17制御を停止させ、モータ17への通電を遮断する。
尚、上記実施形態では、車両用モータを、可変バルブリフト機構(VEL)113のアクチュエータとして用いられるモータ17としたが、この他、ウォーターポンプやオイルポンプなどのポンプを駆動するモータや、油圧制御のためのバルブを駆動するモータなどであってもよい。
また、磁気位置センサ211の異常を検出した場合には、係る異常の発生を車両の運転者にランプ等によって警告することが好ましい。
また、磁気位置センサ211の異常の検出方法を、周期・周波数に基づく方法に限定するものではなく、断線・ショートの検出などを行わせたり、出力パルス信号間における位相変化を検出させたりすることができる。