以下、本発明の一の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本実施の形態の画像形成装置10は、像保持体12を備えている。像保持体12は、円柱状に構成され、所定方向(図1中、矢印X方向)に回転可能に設けられている。この像保持体12の周囲には、像保持体12の回転方向に沿って順に帯電装置14、露光装置16、現像装置18及び転写ロール24が設けられている。
帯電装置14は、像保持体12表面に帯電させる。露光装置16は、帯電装置14によって表面を帯電された像保持体12の表面に、画像形成装置10において形成する対象の画像に応じレーザー光を照射することで、像保持体12上に該画像に応じた静電潜像を形成する。現像装置18は、静電潜像をトナーによって現像する。像保持体12の静電潜像の形成された領域が像保持体12の回転に伴って現像装置18の設けられた領域に達すると、現像装置18によって静電潜像が現像されて、静電潜像に応じたトナー像が形成される。転写ロール24は、搬送ベルト20を介して像保持体12に対向配置されている。転写ロール24は、円柱状に構成されており、その軸方向が像保持体12の軸方向と一致するように配置されている。
転写ロール24は、像保持体12上に形成されたトナー像を搬送ベルト20によって搬送されてきた記録媒体22上に転写する。トナー像の転写された記録媒体22は、搬送ベルト20によって搬送されて図示を省略する定着装置の設けられた位置にまで達すると、該定着装置によって記録媒体22へ定着される。これによって、記録媒体22に画像が形成される。
画像形成装置10に設けられた装置各部は、主制御部42に信号授受可能に接続されており、主制御部42の制御によって画像形成処理等が制御される。
上述のように、本実施の形態の画像形成装置10では、主制御部42の制御によって、電子写真方式による画像形成処理が行われている。
ここで上記転写ロール24は、主制御部42に信号授受可能に接続された電圧印加部23により転写バイアス電圧が印加される。これにより、転写ロール24と像保持体12との間には、像保持体12上に保持されているトナー像を構成するトナーを記録媒体22側へ移行させる電界が形成される。この形成された電界によって、像保持体12上に保持されていたトナー像を構成するトナーが記録媒体22側へ移行して、トナー像が記録媒体22へ転写される。
このため、転写ロール24の抵抗値が像保持体12を記録媒体22側へ移行させるために必要十分な値の抵抗値(以下、基準抵抗値と称する)を維持している場合には、像保持体12上に保持されていたトナー像は良好に記録媒体22側へ転写される。しかし、転写ロール24の抵抗値は温度変動や湿度変動、及び継続して使用される事等によって変動する場合がある。この抵抗値の変動は、転写効率の劣化につながり、画質劣化が引き起こされる場合があった。
なお、この基準抵抗値とは、画像形成装置10の構成、帯電装置14による帯電電位、露光装置16によって形成された静電潜像の電位、現像装置18によって形成されるトナー像を構成するトナーの帯電量等によって異なるが、転写ロール24に印加される転写バイアス電圧として予め定められた基準電圧が電圧印加部23から転写ロール24に印加されたときに良好なトナー像転写が行われるときの、転写ロール24の体積抵抗率を示している。また、本実施の形態で用いている「抵抗値」は、全て体積抵抗率を示している。
そこで本実施の形態の画像形成装置10には、転写ロール24の抵抗値の変動を抑制するために、上記構成に加えて更に、供給吸収ロール26、バイアス印加部28、駆動部30、温度湿度センサ32、供給吸収制御部34、メモリ36、回収ロール38、及び駆動部40が設けられている。これらのバイアス印加部28、駆動部30、温度湿度センサ32、メモリ36、回収ロール38、及び駆動部40は、供給吸収制御部34に信号授受可能に接続されており、供給吸収制御部34の制御によって動作する。この供給吸収制御部34は、画像形成装置10の装置各部を制御する主制御部42に信号授受可能に接続されている。
供給吸収ロール26は、イオン導電剤を転写ロール24へ供給または転写ロール24からイオン導電剤を吸収するための部材である。供給吸収ロール26は、本実施の形態では、円柱状に構成され、転写ロール24と軸方向が一致するように該転写ロール24の外周面に接触配置されている。そして、この供給吸収ロール26は金属シャフトである芯材26Aの外周に導電層26Bが積層された構成とされている。
芯材26Aは、転写ロール24の回転軸となる支持部材、及び電圧印加部23によって転写バイアスを印加される電極として機能する円柱状の部材である。芯材26Aとしては、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属又は合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;導電性樹脂;などの導電性(体積抵抗率が104Ωcm以下)の材質が挙げられる。これらの材質であれば、強度及び電気的特性の点から、芯材26Aとしていずれも使用される。
導電層26Bは、基材にイオン導電剤を混入された構成とされている。この導電層26Bは、芯材26Aに印加された電圧の極性に応じて、導電層26B中のイオン導電剤を転写ロール24へ供給または転写ロール24からイオン導電剤を吸収する。
この基材としては、ゴム、ウレタン等の高分子エラストマーや高分子フォーム材料等が用いられる。
この導電層26Bの基材として用いられるウレタンフォームとしては、所要のポリオールおよびイソシアネートを反応させることにより得られる発泡体であり、所望の特性が得られる方法であれば、公知のいかなる方法をも用いることができる。前記ポリオールとしては、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独でも2種以上を混合して用いても良い。前記イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトシイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等を用いることができる。これらのイソシアネートは単独でも2種以上を混合して用いても良い。
また、この導電層26Bの基材として用いられるゴムとしては、天然ゴム、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ポリノルボルネンゴム等の通常のゴム、又はスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンの水添加物(SEBS)等の熱可塑性ゴムが使用され、またこれらのゴムに液状ポリイソプレンゴムを混合したものも用いられる。更に、これらのゴムやエピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとの共重合ゴム等を発泡させたものを用いてもよい。
上記導電層26Bの基材に添加されるイオン導電剤としては、過塩素酸ナトリウム,過塩素酸カルシウム,塩化ナトリウム等の無機イオン導電剤、更に変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート,ステアリルアンモニウムアセテート,ラウリルアンモニウムアセテート,オクタデシルトリメチルアンモニウム過塩素酸塩等の有機イオン導電剤が例示され、一般的には過塩素酸ナトリウムが多用される。
これらのイオン導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は特に制限はないが、供給吸収ロール26による転写ロール24の抵抗調整の制御しやすさの理由から、基材100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが望ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲であることがより望ましい。
本実施形態における導電層26Bの体積抵抗率の常用対数値は7LogΩcm以上11LogΩcmの範囲に少なくとも製造時に調整されていることが望ましく、8Logcm以上10LogΩcm以下の範囲に調整されていることがより望ましい。この体積抵抗率の常用対数値の調整は、上記基材への上記イオン導電剤の添加量を調整することで可能である。
また、前記導電層26Bの硬度は、転写ロール24へのイオン導電剤の供給または吸収の均一化の理由から、転写ロール24における導電層26Bと接触する層のアスカーC硬度未満の硬度であることが好ましく、具体的には、アスカーC硬度で15°以上90°以下の範囲であることが望ましい。アスカーC硬度が15°以上90°以下の範囲内であれば、転写ロール24との接触状態の安定性が得られ、また弾性回復力が適度に得られて高速化に対応可能となる。
なお、アスカーC硬度の測定は、3mm厚の測定シート表面にアスカーC型硬度計(高分子計器社製)の測定針を押圧し、1000g荷重の条件で行う。
前記導電層26Bの厚みは、転写ロール24との接触領域においてイオン導電剤の供給または吸収を行うために十分な変形を可能とするために1mm以上10mm以下の範囲が望ましく、2mm以上8mm以下の範囲がより望ましい。
この供給吸収ロール26は、芯材26Aの外周に導電層26Bを形成してなる成形物を得ることにより作製される。具体的には、まず、芯材26Aである金属のシャフトの表面に導電層26Bを設ける。導電層26Bの作製方法としては、例えば、上記基材としてのゴム材料とイオン導電剤との混合物に加硫剤と加硫促進剤とを加えて混練りした混合物を押し出し成型した後、加熱して加硫させる方法が挙げられる。また、その他の方法として、導電層26Bを構成する材料を含む塗布液を表面に塗布した芯材26Aを、加熱した円筒型内に挿入し、遠心成形することで導電層26Bを形成して供給吸収ロール26としてもよい。
バイアス印加部28は、芯材26Aに電気的に接続され、供給吸収制御部34からの信号に応じた極性及び電圧値の電圧を、該信号に応じた時間、芯材26Aへ印加する。この電圧の芯材26Aへの印加に応じて、導電層26Bのイオン導電剤が転写ロール24に供給または転写ロール24のイオン導電剤が吸収される。駆動部30は、供給吸収ロール26を、転写ロール24の回転方向(図1中、矢印Y方向)に対して逆方向(図1中、矢印X方向)に回転させる。駆動部30は、供給吸収制御部34からの信号に応じて供給吸収ロール26を回転駆動させる。なお、転写ロール24は、記録媒体22及び搬送ベルト20を像保持体12との間で挟持搬送するために、像保持体12の回転方向(図1中、矢印X方向)に対して逆方向(図1中、矢印Y方向)に回転される。このため、供給吸収ロール26は、本実施の形態では、像保持体12と同じ方向に回転される。
温度湿度センサ32は、画像形成装置10内の温度及び湿度を測定するためのセンサである。本実施の形態では、温度湿度センサ32は、転写ロール24の設置されている環境温度及び環境湿度を測定することを目的として設けられている。このため、温度湿度センサ32は、転写ロール24の設置されている温度条件及び湿度条件を測定可能な位置に設置されることが好ましい。
メモリ36は、各種情報、後述する図2及び図3に示す処理ルーチンを実行するためのプログラムが予め記憶されていると共に、各種データを記憶する。
また、メモリ36は温度を示す温度情報と、湿度を示す湿度情報と、イオン導電剤を転写ロール24に供給する供給情報、転写ロール24からイオン導電剤を吸収する吸収情報、またはイオン導電剤の供給吸収の不要を示す不要情報と、電圧値情報と、を対応づけて記憶する。
これらの温度情報及び湿度情報に対応する、供給情報、吸収情報、または不要情報と、電圧値情報と、は、例えば、転写ロール24を様々な温度及び湿度の環境下に設置した状態で、転写ロール24に基準電圧を印加したときの転写ロール24の抵抗値が、上記基準抵抗値となるように調整するためには、イオン導電剤の供給が必要であるか否か、吸収が必要であるか否か、抵抗値の調整のために必要な量のイオン導電剤を供給または吸収するために必要な電圧値はどのくらいか、等を予め測定した測定結果を対応づけて記憶しておけばよい。
例えば、電圧印加部23から上記基準電圧を印加したときの転写ロール24の抵抗値が、予め定められた基準抵抗値より大きくなる温度及び湿度下に転写ロール24が設置されている場合には、該温度及び湿度下に設置された状態の転写ロール24の抵抗値を上記基準抵抗値とするためにイオン導電剤の供給が必要であるのか、または吸収(転写ロール24から供給吸収ロール26へ吸収)が必要であるのか、または調整の必要がないのか、を予め測定して記憶すればよい。なお、電圧値としては、予め電圧印加時間を定めておけばよい。なお、本実施の形態では、この時間を時間T1として説明する。また、本実施の形態では、バイアス印加部28から供給吸収ロール26へ時間T1の間継続して電圧を印加するときの電圧値を調整することで、転写ロール24へ供給または吸収するイオン導電剤の量を調整するものとして説明する。
なお、本実施の形態では、バイアス印加部28から供給吸収ロール26へ印加される電圧(転写バイアス)の電圧印加時間を固定とし、電圧値を調整することで、転写ロール24へ供給または転写ロール24から吸収されるイオン導電剤の量を調整(すなわち、抵抗値を調整)する場合を説明するが、該電圧値を一定とし且つ該電圧印加時間を可変として調整してもよいし、これらの電圧値及び電圧印加時間の双方を調整することで転写ロール24の抵抗値を調整してもよい。
上記メモリ36に記憶された情報に基づいて、環境条件に基づいた電圧がバイアス印加部28から供給吸収ロール26へ印加されることで、供給吸収ロール26から転写ロール24へイオン導電剤が供給または該転写ロール24から供給吸収ロール26へイオン導電剤が吸収される(詳細後述)。
回収ロール38は、供給吸収ロール26から転写ロール24へ供給されたイオン導電剤の内の、搬送ベルト20に付着したイオン導電剤を回収するための回収部材である。回収ロール38は、駆動部40に接続されており、駆動部40は、供給吸収制御部34に信号授受可能に接続されている。供給吸収制御部34の制御によって駆動部40が駆動されることで、回収ロール38は、搬送ベルト20の搬送方向(図1中、矢印Z方向)に対して反対方向(図1中、矢印X方向)に回転される。これによって、搬送ベルト20に付着したイオン導電剤が容易に回収される。
この回収ロール38は、搬送ベルト20上に付着したイオン導電剤を回収可能な構成であればどのような構成であってもよいが、供給吸収ロール26と同一構成であることが好ましい。回収ロール38が供給吸収ロール26と同一構成であれば、イオン導電剤を回収した回収ロール38を、そのまま供給吸収ロール26として設けることで、イオン導電剤の再利用が効率良くなされる。
具体的には、回収ロール38を、金属シャフトである芯材38Aの外周に導電層38Bが積層された構成とすればよい。なお、芯材38Aとしては、上記供給吸収ロール26で用いた芯材26Aと同一構成であるため詳細な説明を省略する。また、導電層38Bとしても、上記供給吸収ロール26で説明した導電層26Bと同一構成であるため詳細な説明を省略する。
ここで、供給吸収ロール26からイオン導電剤を供給、または供給吸収ロール26にイオン導電剤を吸収される転写ロール24は、少なくとも供給吸収ロール26に接する外周面を含む層が、供給吸収ロール26から供給されたイオン導電剤を吸収または、供給吸収ロール26にイオン導電剤を放出することの可能な構成とされている。
具体的には、転写ロール24は、例えば、供給吸収ロール26と同じ様に、金属シャフトである芯材24Aの外周に導電層24Bが積層された構成とされている。なお、芯材24Aは、上記説明した芯材26Aと同一構成であればよく、導電層24Bは、上記説明した導電層26Bと同一構成であればよい。
次に、供給吸収制御部34で実行される処理を説明する。
画像形成装置10の図示を省略する電源スイッチが操作されることで画像形成装置10の装置各部に電力が供給されると、供給吸収制御部34では所定時間毎に図2に示す処理ルーチンが実行されて、ステップ100へ進む。すなわち、図2に示す処理は、画像形成装置10の装置各部に電力が供給された状態にあるとき、すなわち画像形成処理が行われているとき等において、所定時間毎に繰り返し実行される。
ステップ100では、温度湿度センサ32から温度情報及び湿度情報を読み取る。
次のステップ102では、転写ロール24へのイオン導電剤の供給が必要であるか、転写ロール24からのイオン導電剤の吸収が必要であるか、または供給吸収が不要(すなわち、イオン導電剤の量が適量)であるか、を判断する。
ステップ102の判断は、上記ステップ100で読み取った温度情報及び湿度情報の双方に対応する、供給情報、吸収情報、または不要情報をメモリ36から読み取ることによって判別可能である。
具体的には、ステップ100で読み取った温度情報及び湿度情報に対応する情報が、供給情報、吸収情報、及び不要情報の内の、供給情報である場合にはイオン導電剤の供給が必要であると判別し、吸収情報である場合にはイオン導電剤の吸収が必要であると判別し、不要情報である場合には供給吸収不要(適量)であると判別する。
ステップ102でイオン導電剤の供給吸収共に不要(すなわち転写ロール24のイオン導電剤の量が適量)であると判別した場合には、本ルーチンを終了する。
一方、ステップ102でイオン導電剤の供給が必要であると判別した場合には、ステップ104へ進み、転写ロール24へイオン導電剤を供給する極性で、且つ上記ステップ100で読み取った温度情報及び湿度情報の双方に対応する電圧値情報の電圧値の電圧印加を示すバイアス電圧印加指示信号をバイアス印加部28へ出力した後に、ステップ108へ進む。
ステップ104の処理によってバイアス電圧印加指示信号を受け付けたバイアス印加部28は、該信号に含まれる電圧値の電圧のバイアス電圧を、供給吸収ロール26のイオン導電剤が転写ロール24側へ移行する極性で印加を開始する。
これによって、供給吸収ロール26の導電層26B中のイオン導電剤の転写ロール24側への供給が開始される。
また、上記ステップ102でイオン導電剤の吸収が必要であると判別した場合には、ステップ106へ進み、転写ロール24からイオン導電剤を吸収(すなわち、転写ロール24のイオン導電剤を供給吸収ロール26側へ移動)させる極性で、且つ上記ステップ100で読み取った温度情報及び湿度情報の双方に対応する電圧値情報の電圧値の電圧印加を示すバイアス電圧印加指示信号をバイアス印加部28へ出力した後に、ステップ108へ進む。
ステップ106の処理によって、バイアス電圧印加指示信号を受け付けたバイアス印加部28は、該信号に含まれる電圧値の電圧のバイアス電圧を、転写ロール24側のイオン導電剤が供給吸収ロール26側へ移行する極性で印加を開始する。
これによって、転写ロール24の導電層24B中のイオン導電剤が供給吸収ロール26側へ移行し、転写ロール24のイオン導電剤の供給吸収ロール26側への吸収が開始される。
次のステップ108では、上記ステップ104またはステップ106でバイアス電圧印加指示信号を出力してから予め定められた時間(上記時間T1)経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ110へ進む。
ステップ110では、バイアス電圧印加停止指示信号をバイアス印加部28へ出力した後に、本ルーチンを終了する。バイアス電圧印加停止指示信号を受け付けバイアス印加部28は、供給吸収ロール26へのバイアス電圧印加を停止する。これによって、供給吸収ロール26から転写ロール24へのイオン導電剤の供給、または転写ロール24から供給吸収ロール26へのイオン導電剤の吸収が停止される。
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置10によれば、画像形成処理実行中を含む、画像形成装置10の装置各部に電力が供給された状態にあるときに、所定時間毎に図2に示す処理ルーチンが実行されて、転写ロール24の設置されている環境温度及び環境湿度に応じて、転写ロール24が予め定められた基準抵抗値を維持するように供給吸収ロール26がイオン導電剤を供給または転写ロール24から供給吸収ロール26へイオン導電剤を吸収する。このため、環境温度及び環境湿度の変動に影響を受けず、転写ロール24は安定した基準抵抗値を保つことが可能となる。従って、転写ロール24による転写ムラ等が抑制され、画像形成装置10による画質向上が図れる。
ここで、転写ロール24は、転写ロール24への通電時間が長くなるほど、抵抗値が高くなる傾向にある。
そこで、図2に示す処理ルーチンへの割り込み処理として、さらに、転写ロール24のサイクル数に応じて、供給吸収ロール26から転写ロール24へイオン導電剤を供給する処理を行ってもよい。
この場合には、例えば、図1に示すように、転写ロール24のサイクル数をカウントするためのカウンタ41を、転写ロール24のサイクル数を計測可能な位置に設けると共に供給吸収制御部34に信号授受可能に接続すればよい。そして、所定時間毎に、図2に示した処理ルーチンに対して、図3に示す割り込み処理を実行すればよい。
なお、本実施の形態では、カウンタ41によって転写ロール24のサイクル数をカウントし、カウント結果に応じてイオン導電剤の供給を行う場合を説明するが、転写ロール24への通電時間が基準抵抗値を保つために不十分な状態となる予め計測された時間以上となったときに、イオン導電剤の供給を行うようにしてもよい。この場合には、カウンタ41に換えて、通電時間を計測するタイマー等を用いればよい。
サイクル数に応じてイオン導電剤の供給を更に行う場合には、供給吸収制御部34は、上記図2の処理ルーチン実行中において、所定時間毎に図3に示す割り込み処理を実行し、ステップ200へ進む。
なお、メモリ36には、上記説明した情報に加えてさらに、転写ロール24の抵抗値が上記基準抵抗値から上昇してイオン導電剤の供給を必要とする程度に高くなる臨界値のサイクル数を示す臨界サイクル数情報を予め測定して記憶する。また、該イオン導電剤の供給を必要とする程度に転写ロール24の抵抗値が高くなったときに、該転写ロール24の抵抗値を基準抵抗値にまで下げるために必要な量のイオン導電剤を供給するために芯材26Aに印加する電圧の電圧値及び電圧印加時間T2を示す情報(電圧値情報、及び時間T2情報)を予め該臨界サイクル数情報に対応づけて記憶するものとする。
ステップ200では、カウンタ41によって計測されたサイクル数を読取る。次のステップ202では、上記ステップ200で読み取ったサイクル数が、メモリ36に記憶されている上記臨界サイクル数情報の臨界サイクル数以下であるか否かを判別し、肯定されると本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ202において、上記ステップ200で読み取ったサイクル数が、上記臨界サイクル数を超える値である場合には、ステップ202において否定されてステップ204へ進む。
ステップ204では、臨界サイクル数情報に対応づけてメモリ36に記憶されている電圧値情報の電圧値の電圧を、転写ロール24へイオン導電剤を供給する極性で、供給吸収ロール26に印加することを示すバイアス電圧印加指示信号をバイアス印加部28へ出力する。
該バイアス電圧印加指示信号を受け付けたバイアス印加部28では、該信号に基づいて、臨界サイクル数情報に対応づけてメモリ36に記憶されている電圧値情報の電圧値の電圧を、転写ロール24へイオン導電剤を供給する極性で、供給吸収ロール26に印加する。これによって、供給吸収ロール26から転写ロール24へのイオン導電剤の供給が開始される。
次のステップ206では、上記ステップ204の処理が実行されてから上記電圧印加時間T2を経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ208へ進む。
ステップ208では、バイアス電圧印加停止指示信号をバイアス印加部28へ出力した後に、ステップ210へ進む。バイアス電圧印加停止指示信号を受け付けバイアス印加部28は、供給吸収ロール26へのバイアス電圧印加を停止する。これによって、供給吸収ロール26から転写ロール24へのイオン導電剤の供給が停止される。
次のステップ210では、カウンタ41のサイクル数をリセットした後に、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、転写ロール24が予め定められた基準抵抗値を維持するように、転写ロール24の設置されている環境温度及び環境湿度に応じて、供給吸収ロール26が転写ロール24へイオン導電剤を供給、または転写ロール24から供給吸収ロール26へイオン導電剤を吸収すると共に、転写ロール24の稼働時間に応じて、供給吸収ロール26から転写ロール24へイオン導電剤を供給する。
このため、環境条件として、転写ロール24の設置された環境温度及び環境湿度のみならず、転写ロール24のサイクル数に応じた転写ロール24の抵抗値の調整が可能とされる。従って、本実施の形態の画像形成装置10によれば、環境温度及び環境湿度の変動に影響を受けず、且つ転写ロール24のサイクル数等の稼働時間によらず、転写ロール24は安定した基準抵抗値を保つことが可能となる。従って、転写ロール24による転写ムラ等が抑制され、画像形成装置10において、環境条件が変化した場合であっても抵抗値の変動による画質劣化が抑制され、画質向上が図れる。
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、画像形成装置10に設けられた供給吸収ロール26は、1つの供給吸収ロール26が転写ロール24へのイオン導電剤の供給または吸収を行う場合を説明したが、本実施の形態では、図4の画像形成装置10Aに示すように、供給吸収ロール26を、イオン導電剤を転写ロール24へ供給する供給専用の供給ロール25と、転写ロール24からイオン導電剤を吸収する吸収専用の吸収ロール27と、から構成する場合を説明する。
本実施の形態の画像形成装置10Aは、図4に示すように、像保持体12、帯電装置14、露光装置16、現像装置18、搬送ベルト20、転写ロール24、電圧印加部23、温度湿度センサ32、主制御部42、供給吸収制御部34、回収ロール38、駆動部40、及びメモリ36を備えている。また、画像形成装置10において用いられていた供給吸収ロール26として、供給ロール25及び吸収ロール27を備えると共に、バイアス印加部29、駆動部31、駆動部33、及びバイアス印加部37を備えている。
なお、画像形成装置10Aの構成は、第1の実施の形態で示した画像形成装置10(図1参照)とは、画像形成装置10における供給吸収ロール26として供給ロール25及び吸収ロール27が設けられ、画像形成装置10における回収ロール38及び駆動部30に変えて、バイアス印加部29、駆動部31、駆動部33、及びバイアス印加部37が設けられている以外は、同じ構成であるため、同一部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
供給ロール25は、芯材25Aの外周に導電層25Bを設けた構成とされている。吸収ロール27は、芯材27Aの外周に導電層27Bを設けた構成とされている。これらの芯材25A及び芯材27Aは、第1の実施の形態の画像形成装置10で説明した芯材26Aと同一構成され、導電層25B及び導電層27Bは、第1の実施の形態の画像形成装置10で説明した導電層26Bと同一構成とされている。
また、この供給ロール25の芯材25Aには、バイアス印加部29が電気的に接続されると共に、駆動部31が接続されている。これらのバイアス印加部29及び駆動部31は、供給吸収制御部34に信号授受可能に接続されている。吸収ロール27の芯材27Aには、バイアス印加部37が電気的に接続されていると共に、駆動部33が接続されている。これらのバイアス印加部37及び駆動部31は、供給吸収制御部34に信号授受可能に接続されている。
なお、バイアス印加部29及びバイアス印加部37は、第1の実施の形態で説明したバイアス印加部28と同様に、供給吸収制御部34からの信号に応じた極性及び電圧値の電圧を、該信号に応じた時間、芯材25A及び芯材27Aの各々へ印加する。駆動部31及び駆動部33は、各々供給ロール25及び吸収ロール27の各々を転写ロール24の回転方向(図4中、矢印Y方向)に対して逆方向(図4中、矢印X方向)に回転させる。
本実施の形態の画像形成装置10Aの供給吸収制御部34においては、画像形成装置10の供給吸収制御部34と同様に、第1の実施の形態で説明した図2及び図3で示す処理と略同様の処理が実行される。具体的には、図2におけるステップ104でバイアス印加部28に出力した信号を、バイアス印加部29へ出力し、ステップ106でバイアス印加部28に出力した信号を、バイアス印加部37へ出力すればよい。また、ステップ110においてバイアス印加部28に出力した信号を、バイアス印加部29及びバイアス印加部37の双方へ出力すればよい。これら以外の処理は、第1の実施の形態と同じであるため説明を省略する。
このように、供給吸収ロール26として、イオン導電剤を転写ロール24へ供給する供給ロール25と、イオン導電剤を転写ロール24から吸収する吸収ロール27と、を別体として設けることで、供給ロール25におけるイオン導電剤の量が転写ロール24へイオン導電剤を安定して供給する事の困難な程度に不足し、吸収ロール27におけるイオン導電剤の量が転写ロール24からイオン導電剤を吸収することが困難な程度に過剰となった場合に、これらの供給ロール25と吸収ロール27との設置位置を交換することで、安定した転写ロール24の抵抗値の維持が容易に図れる。
(第3の実施の形態)
なお、上記画像形成装置10及び画像形成装置10Aに示す例では、画像形成装置として像保持体12上に形成されたトナー像を転写ロール24によって記録媒体22に直接転写する場合を説明したが、本実施の形態では、像保持体12上に形成されたトナー像を転写ロール24によって中間転写ベルト54へ一次転写した後に、二次転写バックアップロール44によって記録媒体22に転写する場合を説明する。
図5に示すように、本実施の形態の画像形成装置10Bは、像保持体12、帯電装置14、露光装置16、現像装置18、中間転写ベルト54、電圧印加部23(図5では図示省略、図1参照)、転写ロール24、電圧印加部23、温度湿度センサ32、主制御部42、供給吸収制御部34、回収ロール38、駆動部40、二次転写ロール64、及びメモリ36を備えている。
像保持体12は、帯電装置14によって表面を一様に帯電された後に、露光装置16によって画像に応じたレーザー光が露光されることで静電潜像が形成され、現像装置18によって現像されてトナー像を形成される。像保持体12上に形成されたトナー像は、転写ロール24によって中間転写ベルト54に転写された後に、二次転写バックアップロール44によって記録媒体22に転写される。なお、画像形成装置10Bにおいて、像保持体12及び転写ロール24は、第1の実施の形態で説明した搬送ベルト20に換えて、中間転写ベルト54を挟持搬送することによって、像保持体12上に保持されていたトナー像を中間転写ベルト54上に転写する。記録媒体22に転写されたトナー像は、図示を省略する定着装置によって記録媒体22上に定着される。
また、画像形成装置10Bは、供給吸収ロール46、駆動部48、バイアス印加部50、温度湿度センサ52、及びカウンタ53を備えている。これらの供給吸収ロール46、駆動部48、バイアス印加部50、温度湿度センサ52、及びカウンタ53は、供給吸収制御部34に信号授受可能に接続されている。
二次転写バックアップロール44は、二次転写ロール64に中間転写ベルト54を介して対向配置されている。この二次転写バックアップロール44は、転写ロール24と同一構成とされている。すなわち、二次転写バックアップロール44は、芯材44Aの外周に導電層44Bが設けられた構成とされており、芯材44A及び導電層44Bの構成は、各々芯材24A及び導電層24Bの構成と同じ構成とされている。
上記転写ロール24及び二次転写バックアップロール44は、中間転写ベルト54の、像保持体12の設けられた側の面に対して対向する側の面に接触配置されている。
また、二次転写ロール64は、中間転写ベルト54の、像保持体12の設けられた側と同じ側の面に接触配置されている。
供給吸収ロール46は、供給吸収ロール26と同じ構成とされており、円柱状に構成され、二次転写バックアップロール44と軸方向が同一となるように該二次転写バックアップロール44の外周面に接触配置されている。
供給吸収ロール46は、イオン導電剤を二次転写バックアップロール44へ供給または二次転写バックアップロール44からイオン導電剤を吸収するための部材である。この供給吸収ロール46は、供給吸収ロール26と同様に、芯材46Aの外周に導電層46Bが積層された構成とされている。
なお、この芯材46A及び導電層46Bの構成は、上記第1の実施の形態で説明した芯材26A及び導電層26Bの構成と同じとされている。
バイアス印加部50は、芯材46Aに電気的に接続され、供給吸収制御部34からの信号に応じた極性及び電圧値の電圧を、該信号に応じた時間、芯材46Aへ印加する。この電圧の芯材46Aへの印加に応じて、導電層46Bのイオン導電剤が二次転写バックアップロール44に供給または二次転写バックアップロール44のイオン導電剤が吸収される。駆動部48は、供給吸収ロール46を二次転写バックアップロール44の回転方向(図5中、矢印Y方向)に対して逆方向(図5中、矢印X方向)に回転させる。駆動部48は、供給吸収制御部34からの信号に応じて供給吸収ロール46を回転駆動させる。なお、二次転写バックアップロール44は、転写ロール24と同様に、芯材44Aの外周に導電層44Bが積層された構成とされている。この芯材44A及び導電層44Bの構成は、第1の実施の形態で説明した芯材24A及び導電層24Bの各々と同じであるため詳細な説明を省略する。
温度湿度センサ52は、温度湿度センサ32と同様に、画像形成装置10B内の温度及び湿度を測定するためのセンサである。本実施の形態では、温度湿度センサ52は、二次転写バックアップロール44の設置されている環境温度及び環境湿度を測定することを目的として設けられている。このため、温度湿度センサ52は、二次転写バックアップロール44の近傍に設置されることが好ましい。なお、本実施の形態の画像形成装置10Bにおいては、温度湿度センサ52を温度湿度センサ32と別体として設ける場合を説明するが、何れか一方の温度湿度センサのみ設けた構成であってもよい。
カウンタ53は、第1の実施の形態で説明したカウンタ41と同様に、二次転写バックアップロール44のサイクル数を計測する。
なお、画像形成装置10Bの構成は、上述のように、第1の実施の形態で示した画像形成装置10(図1参照)とは、略同じ構成であるため、同一部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
次に、本実施の形態の画像形成装置10Bの供給吸収制御部34で実行される処理を説明する。
なお、画像形成装置10Bのメモリ36には、各種情報、第1の実施の形態で説明した図3、後述する図6、及び図7に示す処理ルーチンを実行するためのプログラムが予め記憶されていると共に、各種データを記憶する。
また、メモリ36は温度を示す温度情報と、湿度を示す湿度情報と、イオン導電剤を転写ロール24または二次転写バックアップロール44に供給する供給情報、転写ロール24または二次転写バックアップロール44からイオン導電剤を吸収する吸収情報、またはイオン導電剤の供給吸収の不要を示す不要情報と、電圧値情報と、を対応づけて記憶する。
これらの温度情報及び湿度情報に対応する、供給情報、吸収情報、または不要情報と、電圧値情報と、は、予め転写ロール24及び二次転写バックアップロール44を様々な温度及び湿度の環境下に設置した状態で、転写ロール24及び二次転写バックアップロール44に基準電圧を印加したときの転写ロール24及び二次転写バックアップロール44の抵抗値が、予め定められた基準抵抗値となるように調整するために必要なイオン導電剤の量に応じて予め定めて記憶しておけばよい。
画像形成装置10Bの図示を省略する電源スイッチが操作されることで画像形成装置10Bの装置各部に電力が供給されると、供給吸収制御部34では所定時間毎に図6に示す処理ルーチンが実行されて、ステップ100へ進む。すなわち、図6に示す処理は、画像形成装置10Bの装置各部に電力が供給された状態にあるとき、すなわち画像形成処理中等において、所定時間毎に繰り返し実行される。
供給吸収制御部34では、まず、第1の実施の形態の画像形成装置10で説明したように、ステップ100〜ステップ110の処理が行われて、転写ロール24の抵抗値が基準抵抗値となるように供給吸収ロール26によってイオン導電剤が供給、吸収、または供給吸収の何れも行わない処理が行われる。
なお、図6に示すステップ100〜ステップ110の処理は、図2で説明したステップ100〜ステップ110の処理において、ステップ102で適量(すなわち、供給吸収不要)と判別された場合、及びステップ110の処理終了後に処理ルーチンを終了せずにステップ300へ進む以外は、各々同一符号のステップで同じ処理を行うため説明を省略する。
上記ステップ102で適量(供給吸収不要)と判別された場合、及び上記ステップ110の終了の後に、ステップ300へ進む。
ステップ300では、温度湿度センサ52から温度情報及び湿度情報を読み取る。
次のステップ302では、二次転写バックアップロール44へのイオン導電剤の供給が必要であるか、二次転写バックアップロール44からのイオン導電剤の吸収が必要であるか、または供給吸収が不要であるか、を判断する。
ステップ302の判断は、上記ステップ300で読み取った温度情報及び湿度情報の双方に対応する、供給情報、吸収情報、または不要情報をメモリ36から読み取ることによって判別可能である。
具体的には、ステップ300で読み取った温度情報及び湿度情報に対応する情報が、供給情報、吸収情報、及び不要情報の内の、供給情報である場合にはイオン導電剤の供給が必要であると判別し、吸収情報である場合にはイオン導電剤の吸収が必要であると判別し、不要情報である場合には供給吸収が不要であると判別する。
ステップ302でイオン導電剤の供給吸収共に不要であると判別した場合には、本ルーチンを終了する。
一方、ステップ302でイオン導電剤の供給が必要であると判別した場合には、ステップ304へ進み、二次転写バックアップロール44へイオン導電剤を供給する極性で、且つ上記ステップ300で読み取った温度情報及び湿度情報の双方に対応する電圧値情報の電圧値の電圧印加を示すバイアス電圧印加指示信号をバイアス印加部50へ出力した後に、ステップ308へ進む。
ステップ304の処理によってバイアス電圧印加指示信号を受け付けたバイアス印加部50は、該信号に含まれる電圧値の電圧のバイアス電圧を、供給吸収ロール46のイオン導電剤が二次転写バックアップロール44側へ移行する極性で印加を開始する。
これによって、供給吸収ロール46の導電層46B中のイオン導電剤の二次転写バックアップロール44側への供給が開始される。
また、上記ステップ302でイオン導電剤の吸収が必要であると判別した場合には、ステップ306へ進み、二次転写バックアップロール44からイオン導電剤を吸収(すなわち、二次転写バックアップロール44のイオン導電剤を供給吸収ロール46側へ移動)させる極性で、且つ上記ステップ300で読み取った温度情報及び湿度情報の双方に対応する電圧値情報の電圧値の電圧印加を示すバイアス電圧印加指示信号をバイアス印加部50へ出力した後に、ステップ308へ進む。
ステップ306の処理によって、バイアス電圧印加指示信号を受け付けたバイアス印加部50は、該信号に含まれる電圧値の電圧のバイアス電圧を、二次転写バックアップロール44側のイオン導電剤が供給吸収ロール46側へ移行する極性で印加を開始する。
これによって、二次転写バックアップロール44の導電層44B中のイオン導電剤が供給吸収ロール46側へ移行し、二次転写バックアップロール44のイオン導電剤の供給吸収ロール46側への吸収が開始される。
次のステップ308では、上記ステップ304またはステップ306でバイアス電圧印加指示信号を出力してから予め定められた時間(上記時間T1)経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ310へ進む。
ステップ310では、バイアス電圧印加停止指示信号をバイアス印加部50へ出力した後に、本ルーチンを終了する。バイアス電圧印加停止指示信号を受け付けたバイアス印加部50は、供給吸収ロール46へのバイアス電圧印加を停止する。これによって、供給吸収ロール46から二次転写バックアップロール44へのイオン導電剤の供給、または二次転写バックアップロール44から供給吸収ロール46へのイオン導電剤の吸収が停止される。
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置10Bによれば、画像形成処理実行中を含む、画像形成装置10Bの装置各部に電力が供給された状態にあるときに、所定時間毎に図6に示す処理ルーチンが実行されて、転写ロール24の設置されている環境温度及び環境湿度に応じて、転写ロール24が予め定められた基準抵抗値を維持するように供給吸収ロール26がイオン導電剤を供給または転写ロール24から供給吸収ロール26へイオン導電剤を吸収すると共に、二次転写バックアップロール44の設置されている環境温度及び環境湿度に応じて、二次転写バックアップロール44が予め定められた基準抵抗値を維持するように供給吸収ロール46がイオン導電剤を供給または二次転写バックアップロール44から供給吸収ロール46へイオン導電剤を吸収する。このため、環境温度及び環境湿度の変動に影響を受けず、転写ロール24及び二次転写バックアップロール44は安定した基準抵抗値を保つことが可能となる。従って、転写ロール24及び二次転写バックアップロール44による転写ムラ等が抑制され、画像形成装置10Bによる画質向上が図れる。
ここで、二次転写バックアップロール44は、転写ロール24と同様に、二次転写バックアップロール44への通電時間が長くなるほど、抵抗値が高くなる傾向にある。
そこで、図6に示す処理ルーチンへの割り込み処理として、図3に示す割り込み処理を行うと共に、図7に示す割り込み処理を実行すればよい。これによって、転写ロール24のサイクル数に応じて供給吸収ロール26から転写ロール24へのイオン導電剤供給がなされると共に、二次転写バックアップロール44のサイクル数に応じて供給吸収ロール46から二次転写バックアップロール44へのイオン導電剤供給がなされる。
この場合には、例えば、図7に示すように、画像形成装置10Bに更に、二次転写バックアップロール44のサイクル数をカウントするためのカウンタ53を、二次転写バックアップロール44のサイクル数を計測可能な位置に設けると共に供給吸収制御部34に信号授受可能に接続すればよい。そして、所定時間毎に、図6に示した処理ルーチンに対して、さらに図3に示す処理及び、図7に示す処理を、割り込み処理すればよい。
すなわち、供給吸収制御部34は、所定時間毎に図3及び図7に示す割り込み処理を実行する。図7に示す割り込み処理を実行する場合には、ステップ400へ進む。
なお、メモリ36には、上記説明した情報に加えてさらに、二次転写バックアップロール44の抵抗値が上記基準抵抗値から上昇してイオン導電剤の供給を必要とする程度に高くなる臨界値のサイクル数を示す臨界サイクル数情報を予め測定して記憶する。また、該イオン導電剤の供給を必要とする程度に二次転写バックアップロール44の抵抗値が高くなったときに、該二次転写バックアップロール44の抵抗値を基準抵抗値にまで下げるために必要な量のイオン導電剤を供給するために芯材46Aに印加する電圧の電圧値及び電圧印加時間T2を示す情報(電圧値情報、及び時間T2情報)を予め該臨界サイクル数情報に対応づけて記憶するものとする。
ステップ400では、カウンタ53によって計測されたサイクル数を読取る。次のステップ402では、上記ステップ400で読み取ったサイクル数が、メモリ36に記憶されている二次転写バックアップロール44の上記臨界サイクル数情報の臨界サイクル数以下であるか否かを判別し、肯定されると本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ402において、上記ステップ400で読み取ったサイクル数が、二次転写バックアップロール44の上記臨界サイクル数を超える値である場合には、ステップ402において否定されてステップ404へ進む。
ステップ404では、該臨界サイクル数情報に対応づけてメモリ36に記憶されている電圧値情報の電圧値の電圧を、二次転写バックアップロール44へイオン導電剤を供給する極性で、供給吸収ロール46に印加することを示すバイアス電圧印加指示信号をバイアス印加部50へ出力する。
該バイアス電圧印加指示信号を受け付けたバイアス印加部50では、該信号に基づいて、二次転写バックアップロール44の臨界サイクル数情報に対応づけてメモリ36に記憶されている電圧値情報の電圧値の電圧を、二次転写バックアップロール44へイオン導電剤を供給する極性で、供給吸収ロール46に印加する。これによって、供給吸収ロール46から二次転写バックアップロール44へのイオン導電剤の供給が開始される。
次のステップ406では、上記ステップ404の処理が実行されてから上記電圧印加時間T2を経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ408へ進む。
ステップ408では、バイアス電圧印加停止指示信号をバイアス印加部50へ出力した後に、ステップ410へ進む。バイアス電圧印加停止指示信号を受け付けバイアス印加部50は、供給吸収ロール46へのバイアス電圧印加を停止する。これによって、供給吸収ロール46から二次転写バックアップロール44へのイオン導電剤の供給が停止される。
次のステップ410では、カウンタ53のサイクル数をリセットした後に、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置10Bによれば、転写ロール24及び二次転写バックアップロール44が予め定められた基準抵抗値を維持するように、転写ロール24及び二次転写バックアップロール44の各々の設置されている環境温度、環境湿度、及びサイクル数に応じて、イオン導電剤を供給またはイオン導電剤を吸収する。このため、環境条件として、転写ロール24及び二次転写バックアップロール44の設置された環境温度及び環境湿度のみならず、転写ロール24及び二次転写バックアップロール44のサイクル数に応じた抵抗値の調整が可能とされる。
なお、本実施の形態の画像形成装置10Bにおいて、二次転写バックアップロール44より中間転写ベルト54の搬送方向下流側で、且つ転写ロール24より上流側に、該中間転写ベルト54における二次転写バックアップロール44の接する面側に接触配置されるように回収ロール38と同一構成の回収ロールを更に設けた構成としてもよい(図示省略)。このようにすれば、転写ロール24によって中間転写ベルト54の内周面側に付着したイオン導電剤が、該転写ロール24の中間転写ベルト54搬送方向下流側で且つ二次転写バックアップロール44より上流側に配置された回収ロール38によって回収され、二次転写バックアップロール44によって中間転写ベルト54の内周面側に付着したイオン導電剤が、該二次転写バックアップロール44の中間転写ベルト54搬送方向下流側で且つ転写ロール24より上流側に配置された回収ロール(図示省略)によって回収される。
なお、上記実施の形態では、転写ロール24(本発明の画像形成装置の一次転写ロールに相当)及び二次転写バックアップロール44について、イオン導電剤を供給または吸収する形態を説明したが、さらに、二次転写ロール64についても同様に、イオン導電剤を供給または吸収する構成としてもよい。
この場合には、図9に示すように、本実施の形態で説明した画像形成装置10Bの構成に加えてさらに、イオン導電剤供給吸収ユニット87を含んだ構成の画像形成装置10Dとすればよい。なお、画像形成装置10Dの構成は、イオン導電剤供給吸収ユニット87を含んだ構成である以外は、画像形成装置10Dの構成と同じであるため、同じ機能を有する部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
イオン導電剤供給吸収ユニット87は、供給吸収ロール66、駆動部74、バイアス印加部72、温度湿度センサ78、カウンタ76、及び除去部材70を含んで構成されている。供給吸収ロール66、駆動部74、バイアス印加部72、温度湿度センサ78、及びカウンタ76は、上記実施の形態で説明した供給吸収制御部34に信号授受可能に接続されている。
供給吸収ロール66は、上記に説明した供給吸収ロール26と同じ構成とされており、円柱状に構成され、二次転写ロール64と軸方向が同一となるように該二次転写ロール64の外周面に接触配置されている。
供給吸収ロール66は、イオン導電剤を二次転写ロール64へ供給、または二次転写ロール64からイオン導電剤を吸収するための部材である。この供給吸収ロール66は、供給吸収ロール26と同様に、芯材66Aの外周に導電層66Bが積層された構成とされている。
なお、この芯材66A及び導電層66Bの構成は、上記第1の実施の形態で説明した芯材66A及び導電層66Bの構成と同じとされている。
バイアス印加部72は、芯材66Aに電気的に接続され、供給吸収制御部34からの信号に応じた極性及び電圧値の電圧を、該信号に応じた時間、芯材66Aへ印加する。この電圧の芯材66Aへの印加に応じて、導電層66Bのイオン導電剤が二次転写ロール64に供給、または二次転写ロール64のイオン導電剤が吸収される。駆動部74は、供給吸収ロール66を二次転写ロール64の回転方向に対して逆方向に回転させる。駆動部74は、供給吸収制御部34からの信号に応じて供給吸収ロール66を回転駆動させる。
なお、二次転写ロール64は、転写ロール24と同様に、芯材64Aの外周に導電層64Bが積層された構成とされている。この芯材64A及び導電層64Bの構成は、第1の実施の形態で説明した芯材24A及び導電層24Bの各々と同じであるため詳細な説明を省略する。また、この二次転写ロール64は、上述したように、中間転写ベルト54の、像保持体12の設けられた側と同じ側の面に接触配置されている。
温度湿度センサ78は、温度湿度センサ32と同様に、画像形成装置10D内の温度及び湿度を測定するためのセンサである。本実施の形態では、温度湿度センサ78は、二次転写ロール64の設置されている環境温度及び環境湿度を測定することを目的として設けられている。このため、温度湿度センサ78は、二次転写ロール64の近傍に設置されることが好ましい。なお、画像形成装置10Dにおいては、温度湿度センサ78を温度湿度センサ32や温度湿度センサ52と別体として設ける場合を説明するが、何れか1つの温度湿度センサのみ設けた構成であってもよい。
カウンタ76は、第1の実施の形態で説明したカウンタ41と同様に、二次転写ロール64のサイクル数を計測する。
除去部材70は、二次転写ロール64の表面に残留したイオン導電剤を除去する部材である。
次に、画像形成装置10Dの供給吸収制御部34で実行される処理を説明する。
なお、画像形成装置10Dのメモリ36には、各種情報、上記の実施の形態で説明した図3、図6、図7、及び後述する図10及び図11に示す処理ルーチンを実行するためのプログラムが予め記憶されていると共に、各種データを記憶する。
また、メモリ36は温度を示す温度情報と、湿度を示す湿度情報と、イオン導電剤を転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ロール64に供給する供給情報、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ロール64からイオン導電剤を吸収する吸収情報、またはイオン導電剤の供給吸収の不要を示す不要情報と、電圧値情報と、を対応づけて記憶する。
これらの温度情報及び湿度情報に対応する、供給情報、吸収情報、または不要情報と、電圧値情報と、は、予め転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ロール64を様々な温度及び湿度の環境下に設置した状態で、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ロール64に基準電圧を印加したときの、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ロール64の各々の抵抗値が、予め定められた基準抵抗値となるように調整するために必要なイオン導電剤の量に応じて予め定めて記憶しておけばよい。
画像形成装置10Dの図示を省略する電源スイッチが操作されることで画像形成装置10Dの装置各部に電力が供給されると、供給吸収制御部34では所定時間毎に図10に示す処理ルーチンが実行されて、ステップ100へ進む。すなわち、図10に示す処理は、画像形成装置10Dの装置各部に電力が供給された状態にあるとき、すなわち画像形成処理中等において、所定時間毎に繰り返し実行される。
供給吸収制御部34では、まず、第1の実施の形態の画像形成装置10で説明したように、ステップ100〜ステップ110の処理が行われて、転写ロール24の抵抗値が基準抵抗値となるように供給吸収ロール26によってイオン導電剤が供給、吸収、または供給吸収の何れも行わない処理が行われる。
なお、図10に示すステップ100〜ステップ110の処理は、図2で説明したステップ100〜ステップ110の処理において、ステップ102で供給吸収不要(すなわち適量)と判別された場合、及びステップ110の処理終了後に処理ルーチンを終了せずにステップ300へ進む以外は、各々同一符号のステップで同じ処理を行うため説明を省略する。
上記ステップ102で供給吸収不要と判別された場合、及び上記ステップ110の終了の後に、ステップ300へ進み、該ステップ300〜ステップ310の処理が行なわれて、二次転写バックアップロール44の抵抗値が基準抵抗値となるように供給吸収ロール46によってイオン導電剤が供給、吸収、または供給吸収の何れも行わない処理が行われる。なお、図10に示すステップ300〜ステップ310の処理は、図6で説明したステップ300〜ステップ310の処理において、ステップ302で適量(すなわち供給吸収不要)と判別された場合、及びステップ310の処理終了後に処理ルーチンを終了せずにステップ500へ進む以外は、各々同一符号のステップで同じ処理を行うため説明を省略する。
ステップ500では、温度湿度センサ78から温度情報及び湿度情報を読み取る。
次のステップ502では、二次転写ロール64へのイオン導電剤の供給が必要であるか、二次転写ロール64からのイオン導電剤の吸収が必要であるか、または供給吸収が不要(すなわち、二次転写ロール64におけるイオン導電剤量が適量)であるか、を判断する。
ステップ502の判断は、上記ステップ500で読み取った温度情報及び湿度情報の双方に対応する、供給情報、吸収情報、または不要情報をメモリ36から読み取ることによって判別可能である。
具体的には、ステップ500で読み取った温度情報及び湿度情報に対応する情報が、供給情報、吸収情報、及び不要情報の内の、供給情報である場合にはイオン導電剤の供給が必要であると判別し、吸収情報である場合にはイオン導電剤の吸収が必要であると判別し、不要情報である場合には供給吸収が不要であると判別する。
ステップ502でイオン導電剤の供給吸収共に不要であると判別した場合には、二次転写ロール64におけるイオン導電剤量が適量であるため、本ルーチンを終了する。
一方、ステップ502でイオン導電剤の供給が必要であると判別した場合には、ステップ504へ進み、二次転写ロール64へイオン導電剤を供給する極性で、且つ上記ステップ500で読み取った温度情報及び湿度情報の双方に対応する電圧値情報の電圧値の電圧印加を示すバイアス電圧印加指示信号をバイアス印加部72へ出力した後に、ステップ508へ進む。
ステップ504の処理によってバイアス電圧印加指示信号を受け付けたバイアス印加部72は、該信号に含まれる電圧値の電圧のバイアス電圧を、供給吸収ロール66のイオン導電剤が二次転写ロール64側へ移行する極性で印加を開始する。
これによって、供給吸収ロール66の導電層66B中のイオン導電剤の、二次転写ロール64側への供給が開始される。
また、上記ステップ502でイオン導電剤の吸収が必要であると判別した場合には、ステップ506へ進み、二次転写ロール64からイオン導電剤を吸収(すなわち、二次転写ロール64のイオン導電剤を供給吸収ロール66側へ移動)させる極性で、且つ上記ステップ500で読み取った温度情報及び湿度情報の双方に対応する電圧値情報の電圧値の電圧印加を示すバイアス電圧印加指示信号をバイアス印加部72へ出力した後に、ステップ508へ進む。
ステップ506の処理によって、バイアス電圧印加指示信号を受け付けたバイアス印加部72は、該信号に含まれる電圧値の電圧のバイアス電圧を、二次転写ロール64側のイオン導電剤が供給吸収ロール66側へ移行する極性で印加を開始する。
これによって、二次転写ロール64の導電層64B中のイオン導電剤が供給吸収ロール66側へ移行し、二次転写ロール64のイオン導電剤の供給吸収ロール66側への吸収が開始される。
次のステップ508では、上記ステップ504またはステップ506でバイアス電圧印加指示信号を出力してから予め定められた時間(上記時間T1)経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ510へ進む。
ステップ510では、バイアス電圧印加停止指示信号をバイアス印加部72へ出力した後に、本ルーチンを終了する。バイアス電圧印加停止指示信号を受け付けたバイアス印加部72は、供給吸収ロール66へのバイアス電圧印加を停止する。これによって、供給吸収ロール66から二次転写ロール64へのイオン導電剤の供給、または二次転写ロール64から供給吸収ロール66へのイオン導電剤の吸収が停止される。
以上説明したように、画像形成装置10Dによれば、画像形成処理実行中を含む、画像形成装置10Dの装置各部に電力が供給された状態にあるときに、所定時間毎に図10に示す処理ルーチンが実行されて、転写ロール24の設置されている環境温度及び環境湿度に応じて、転写ロール24が予め定められた基準抵抗値を維持するように供給吸収ロール26がイオン導電剤を供給または転写ロール24から供給吸収ロール26へイオン導電剤を吸収させる処理、二次転写バックアップロール44の設置されている環境温度及び環境湿度に応じて、二次転写バックアップロール44が予め定められた基準抵抗値を維持するように供給吸収ロール46がイオン導電剤を供給または二次転写バックアップロール44から供給吸収ロール46へイオン導電剤を吸収させる処理、及び二次転写ロール64の設置されている環境温度及び環境湿度に応じて、二次転写ロール64が予め定められた基準抵抗値を維持するように供給吸収ロール66がイオン導電剤を供給または二次転写ロール64から供給吸収ロール66へイオン導電剤を吸収させる処理、が行なわれる。
このため、環境温度及び環境湿度の変動に影響を受けず、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ロール64は安定した基準抵抗値を保つことが可能となる。従って、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ロール64による転写ムラ等が抑制され、画像形成装置10Dによる画質向上が図れる。
また、上述のように、二次転写ロール64は、上述したように、中間転写ベルト54の、像保持体12の設けられた側と同じ側の面に接触配置されており、二次転写バックアップロール44及び転写ロール24は、中間転写ベルト54の、像保持体12の設けられた側に対向する側の面に接触配置されている。このため、中間転写ベルト54の内周面側、及び外周面側の双方に配置された各種ロール(転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ロール64)について、環境温度及び環境湿度の変動に影響を受けず安定した基準抵抗値が保たれる。
なお、上記では、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ロール64の全てについて、上記イオン導電剤の供給吸収処理を行なう場合を説明したが、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ロール64の内の少なくとも1つについて上記イオン導電剤の供給吸収処理を行なう形態としてもよいことはいうまでもない。
ここで、二次転写ロール64は、転写ロール24と同様に、二次転写ロール64への通電時間が長くなるほど、抵抗値が高くなる傾向にある。
そこで、図10に示す処理ルーチンへの割り込み処理として、図3に示す割り込み処理、及び図7に示す割り込み処理を実行すると共に、更に図11に示す割り込み処理を実行すればよい。これによって、転写ロール24のサイクル数に応じた供給吸収ロール26から転写ロール24へのイオン導電剤供給、二次転写バックアップロール44のサイクル数に応じた供給吸収ロール46から二次転写バックアップロール44へのイオン導電剤供給、及び二次転写ロール64のサイクル数に応じた供給吸収ロール66から二次転写ロール64へのイオン導電剤供給がなされる。
この場合には、所定時間毎に、図10に示した処理ルーチンに対して、さらに図3に示す処理、図7に示す処理、及び図11に示す処理を、割り込み処理すればよい。
すなわち、供給吸収制御部34は、所定時間毎に図3、図7、及び図11に示す割り込み処理を実行する。図3及び図7に示す割り込み処理は、上述したため説明を省略する。図11に示す割り込み処理を実行する場合には、ステップ600へ進む。
なお、メモリ36には、上記説明した情報に加えてさらに、二次転写ロール64の抵抗値が上記基準抵抗値から上昇してイオン導電剤の供給を必要とする程度に高くなる臨界値のサイクル数を示す臨界サイクル数情報を予め測定して記憶する。また、該イオン導電剤の供給を必要とする程度に二次転写ロール64の抵抗値が高くなったときに、該二次転写ロール64の抵抗値を基準抵抗値にまで下げるために必要な量のイオン導電剤を供給するために芯材66Aに印加する電圧の電圧値及び電圧印加時間T2を示す情報(電圧値情報、及び時間T2情報)を予め該臨界サイクル数情報に対応づけて記憶するものとする。
ステップ600では、カウンタ76によって計測されたサイクル数を読取る。次のステップ602では、上記ステップ600で読み取ったサイクル数が、メモリ36に記憶されている二次転写ロール64の上記臨界サイクル数情報の臨界サイクル数以下であるか否かを判別し、肯定されると本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ602において、上記ステップ600で読み取ったサイクル数が、二次転写ロール64の上記臨界サイクル数を超える値である場合には、ステップ602において否定されてステップ604へ進む。
ステップ604では、該臨界サイクル数情報に対応づけてメモリ36に記憶されている電圧値情報の電圧値の電圧を、二次転写ロール64へイオン導電剤を供給する極性で、供給吸収ロール66に印加することを示すバイアス電圧印加指示信号をバイアス印加部72へ出力する。
該バイアス電圧印加指示信号を受け付けたバイアス印加部72では、該信号に基づいて、二次転写ロール64の臨界サイクル数情報に対応づけてメモリ36に記憶されている電圧値情報の電圧値の電圧を、二次転写ロール64へイオン導電剤を供給する極性で、供給吸収ロール66に印加する。これによって、供給吸収ロール66から二次転写ロール64へのイオン導電剤の供給が開始される。
次のステップ606では、上記ステップ604の処理が実行されてから上記電圧印加時間T2を経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ608へ進む。
ステップ608では、バイアス電圧印加停止指示信号をバイアス印加部72へ出力した後に、ステップ610へ進む。バイアス電圧印加停止指示信号を受け付けバイアス印加部72は、供給吸収ロール66へのバイアス電圧印加を停止する。これによって、供給吸収ロール66から二次転写ロール64へのイオン導電剤の供給が停止される。
次のステップ610では、カウンタ76のサイクル数をリセットした後に、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置10B及び画像形成装置10Dによれば、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ロール64が予め定められた基準抵抗値を維持するように、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ロール64の各々の設置されている環境温度、環境湿度、及びサイクル数に応じて、イオン導電剤をこれらのロールへ供給、またはこれらのロールからイオン導電剤を吸収する。このため、環境条件として、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ロール64の設置された環境温度及び環境湿度のみならず、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ロール64のサイクル数に応じた抵抗値の調整が可能とされる。
(第4の実施の形態)
上記第3の実施の形態では、転写ロール24(本発明の画像形成装置の一次転写ロールに相当)及び二次転写バックアップロール44について、イオン導電剤を供給または吸収する形態を説明したが、本実施の形態では、さらに、記録媒体22を搬送する二次転写ベルト90の内周面側についても同様に、イオン導電剤を供給または吸収する構成とした場合を説明する。
この場合には、図12に示すように、第3の実施の形態で説明した画像形成装置10B(図5参照)の構成に加えてさらに、二次転写ベルト90、及びイオン導電剤供給吸収ユニット89を含んだ構成の画像形成装置10Eとすればよい。なお、画像形成装置10Eの構成は、二次転写ベルト90、及びイオン導電剤供給吸収ユニット89を含んだ構成である以外は、画像形成装置10Bの構成と同じであるため、同じ機能を有する部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
二次転写ベルト90は、無端ベルト状に構成されており、中間転写ベルト54の外周面側に設けられている。この二次転写ベルト90は、中間転写ベルト54を介して、その外周面が二次転写バックアップロール44に対向配置されている。二次転写ベルト90は、その外周面に記録媒体22を保持して搬送(図12中、矢印Q方向)する。この二次転写バックアップロール44の、中間転写ベルト54及び二次転写ベルト90を介して対向する領域には、二次転写バイアスアース部材92が設けられている。
二次転写ベルト90によって搬送された記録媒体22は、二次転写バックアップロール44と二次転写バイアスアース部材92との間の領域を通過することによって、該記録媒体22に中間転写ベルト54上に保持されていた画像が転写される。
イオン導電剤供給吸収ユニット89は、供給吸収ロール94、駆動部98、バイアス印加部96、温度湿度センサ97、及びカウンタ99を含んで構成されている。供給吸収ロール94、駆動部98、バイアス印加部96、及び温度湿度センサ97は、上記第3の実施の形態で説明した供給吸収制御部34に信号授受可能に接続されている。
供給吸収ロール94は、上記に説明した供給吸収ロール26と同じ構成とされており、円柱状に構成され、二次転写ベルト90の幅方向に対して軸方向が同一となるように、二次転写ベルト90の内周面に接触配置されている。
供給吸収ロール94は、イオン導電剤を二次転写ベルト90の内周面へ供給、二次転写ベルト90の内周面からイオン導電剤を吸収するための部材である。この供給吸収ロール94は、供給吸収ロール26と同様に、芯材94Aの外周に導電層94Bが積層された構成とされている。
なお、この芯材94A及び導電層94Bの構成は、上記第1の実施の形態で説明した芯材94A及び導電層94Bの構成と同じとされている。
バイアス印加部96は、芯材94Aに電気的に接続され、供給吸収制御部34からの信号に応じた極性及び電圧値の電圧を、該信号に応じた時間、芯材94Aへ印加する。この電圧の芯材94Aへの印加に応じて、導電層94Bのイオン導電剤が二次転写ベルト90の内周面に供給、または二次転写ベルト90の内周面のイオン導電剤が吸収される。駆動部98は、供給吸収ロール94を二次転写ベルト90の搬送方向に対して逆方向に回転させる。駆動部98は、供給吸収制御部34からの信号に応じて供給吸収ロール94を回転駆動させる。
温度湿度センサ97は、温度湿度センサ32と同様に、画像形成装置10E内の温度及び湿度を測定するためのセンサである。本実施の形態では、温度湿度センサ97は、二次転写ベルト90の内周面側の環境温度及び環境湿度を測定することを目的として設けられている。このため、温度湿度センサ97は、二次転写ベルト90の内周面近傍に設置されることが好ましい。なお、画像形成装置10Eにおいては、温度湿度センサ97を温度湿度センサ32や温度湿度センサ52と別体として設ける場合を説明するが、何れか1つの温度湿度センサのみ設けた構成であってもよい。
カウンタ99は、第1の実施の形態で説明したカウンタ41と同様に、二次転写ベルト90のサイクル数を計測する。
二次転写ベルト90は、図13に示すように、導電層90Bの外周面に、弾性体層90Aが積層された構成とされている。なお、この導電層90Bと弾性体層90Aとの間に、中間層が形成されていてもよい。
二次転写ベルト90の外周面側に設けられた弾性体層90Aは、ゴム弾性体からなることが好ましい。前記ゴム弾性体の材料は、固形状、液状のどちらでもよく、アクリルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エピクロルヒドリン共重合ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、クロロプレン等が挙げられ、中でもエチレン−プロピレン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エピクロルヒドリン共重合ゴムが好ましい。これら弾性体は、単独または2種類以上が混合して用いられる。
この弾性体層90Aの体積抵抗率はカーボンブラック等の導電剤により調整される。更に必要に応じて軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカおよび炭酸カルシウム等の充填剤等、通常ゴムに添加され得る材料を加えてもよい。
一方、内周面側に設けられた導電層90Bは、樹脂を含有していることが好ましく、導電層90Bを構成する樹脂としては、ウレタン樹脂、ポリエステル、フェノール、アクリル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、セルロース、共重合ナイロン等が挙げられ、ウレタン樹脂、ポリエステル、共重合ナイロンが好ましい。このうちの共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロンの内のいずれか1種または複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。ここで、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロンよりなる重合単位が共重合体中に含まれる割合は、質量比で合わせて10%以上であるのが好ましい。前記重合単位が10%以上の場合は、調液性および塗布時における成膜性に優れるとともに、特に繰り返し使用時における導電層90Bの磨耗や導電層90Bへの異物付着が少なく、二次転写ベルト90の耐久性に優れ、また同時に吸湿性が低く、環境による特性の変化も少なくなる。
なお、所望の二次転写ベルト90の体積抵抗値を得るために導電層90Bの体積抵抗値は109Ω・cm以上が好ましい。
また、二次転写ベルト90は、導電層90Bと弾性体層90Aとの間に中間層が形成されていてもよい。該中間層としては、抵抗調整、或いは下地として設けるもので、前記ゴム弾性体材料および前記最表面層を構成する樹脂に使用できる材料が好ましく、さらにゴムとしては、エチレン−プロピレン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エピクロルヒドリン共重合ゴムが好ましく、樹脂としてはウレタン樹脂、ポリエステル、共重合ナイロン等が好ましい。
また、二次転写ベルト90の内周面側の層である導電層90Bには、イオン導電剤を含んだ構成であることが望ましい。このイオン導電剤としては、第1の実施の形態で挙げたイオン導電剤を同じものが好適に用いられる。
本実施の形態においては、供給吸収ロール94は、二次転写ベルト90の内周面側に接触配置されていることから、二次転写ベルト90の内周面側を構成する導電層90Bがイオン導電剤を含んだ構成であることによって、効率よく二次転写ベルト90の抵抗値が調整されることとなる。
次に、画像形成装置10Eの供給吸収制御部34で実行される処理を説明する。
なお、画像形成装置10Eのメモリ36には、各種情報、上記の実施の形態で説明した図3、図7、及び後述する図14及び図15に示す処理ルーチンを実行するためのプログラムが予め記憶されていると共に、各種データを記憶する。
また、メモリ36は温度を示す温度情報と、湿度を示す湿度情報と、イオン導電剤を転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ベルト90に供給する供給情報、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ベルト90からイオン導電剤を吸収する吸収情報、またはイオン導電剤の供給吸収の不要を示す不要情報と、電圧値情報と、を対応づけて記憶する。
これらの温度情報及び湿度情報に対応する、供給情報、吸収情報、または不要情報と、電圧値情報と、は、予め転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ベルト90を様々な温度及び湿度の環境下に設置した状態で、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ベルト90に基準電圧を印加したときの、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ベルト90の各々の抵抗値が、予め定められた基準抵抗値となるように調整するために必要なイオン導電剤の量に応じて予め定めて記憶しておけばよい。
画像形成装置10Eの図示を省略する電源スイッチが操作されることで画像形成装置10Eの装置各部に電力が供給されると、供給吸収制御部34では所定時間毎に図14に示す処理ルーチンが実行されて、ステップ100へ進む。すなわち、図14に示す処理は、画像形成装置10Eの装置各部に電力が供給された状態にあるとき、すなわち画像形成処理中等において、所定時間毎に繰り返し実行される。
供給吸収制御部34では、まず、第1の実施の形態の画像形成装置10で説明したように、ステップ100〜ステップ110の処理が行われて、転写ロール24の抵抗値が基準抵抗値となるように供給吸収ロール26によってイオン導電剤が供給、吸収、または供給吸収の何れも行わない処理が行われる。
なお、図14に示すステップ100〜ステップ110の処理は、図2で説明したステップ100〜ステップ110の処理において、ステップ102で供給吸収不要(すなわち適量)と判別された場合、及びステップ110の処理終了後に処理ルーチンを終了せずにステップ300へ進む以外は、各々同一符号のステップで同じ処理を行うため説明を省略する。
上記ステップ102で供給吸収不要と判別された場合、及び上記ステップ110の終了の後に、ステップ300へ進み、該ステップ300〜ステップ310の処理が行なわれて、二次転写バックアップロール44の抵抗値が基準抵抗値となるように供給吸収ロール46によってイオン導電剤が供給、吸収、または供給吸収の何れも行わない処理が行われる。なお、図14に示すステップ300〜ステップ310の処理は、図6で説明したステップ300〜ステップ310の処理において、ステップ302で適量(すなわち供給吸収不要)と判別された場合、及びステップ310の処理終了後に処理ルーチンを終了せずにステップ700へ進む以外は、各々同一符号のステップで同じ処理を行うため説明を省略する。
ステップ700では、温度湿度センサ97から温度情報及び湿度情報を読み取る。
次のステップ702では、二次転写ベルト90へのイオン導電剤の供給が必要であるか、二次転写ベルト90からのイオン導電剤の吸収が必要であるか、または供給吸収が不要(すなわち、二次転写ベルト90の内周面側におけるイオン導電剤量が適量)であるか、を判断する。
ステップ702の判断は、上記ステップ700で読み取った温度情報及び湿度情報の双方に対応する、供給情報、吸収情報、または不要情報をメモリ36から読み取ることによって判別可能である。
具体的には、ステップ700で読み取った温度情報及び湿度情報に対応する情報が、供給情報、吸収情報、及び不要情報の内の、供給情報である場合にはイオン導電剤の供給が必要であると判別し、吸収情報である場合にはイオン導電剤の吸収が必要であると判別し、不要情報である場合には供給吸収が不要であると判別する。
ステップ702でイオン導電剤の供給吸収共に不要であると判別した場合には、二次転写ベルト90におけるイオン導電剤量が適量であるため、本ルーチンを終了する。
一方、ステップ702でイオン導電剤の供給が必要であると判別した場合には、ステップ704へ進み、二次転写ベルト90へイオン導電剤を供給する極性で、且つ上記ステップ700で読み取った温度情報及び湿度情報の双方に対応する電圧値情報の電圧値の電圧印加を示すバイアス電圧印加指示信号をバイアス印加部96へ出力した後に、ステップ708へ進む。
ステップ704の処理によってバイアス電圧印加指示信号を受け付けたバイアス印加部96は、該信号に含まれる電圧値の電圧のバイアス電圧を、供給吸収ロール94のイオン導電剤が二次転写ベルト90側へ移行する極性で印加を開始する。
これによって、供給吸収ロール94の導電層94B中のイオン導電剤の、二次転写ベルト90側への供給が開始される。
また、上記ステップ702でイオン導電剤の吸収が必要であると判別した場合には、ステップ706へ進み、二次転写ベルト90からイオン導電剤を吸収(すなわち、二次転写ベルト90のイオン導電剤を二次転写ベルト90側へ移動)させる極性で、且つ上記ステップ700で読み取った温度情報及び湿度情報の双方に対応する電圧値情報の電圧値の電圧印加を示すバイアス電圧印加指示信号をバイアス印加部96へ出力した後に、ステップ708へ進む。
ステップ706の処理によって、バイアス電圧印加指示信号を受け付けたバイアス印加部96は、該信号に含まれる電圧値の電圧のバイアス電圧を、二次転写ベルト90側のイオン導電剤が供給吸収ロール94側へ移行する極性で印加を開始する。
これによって、二次転写ベルト90の導電層90B中のイオン導電剤が供給吸収ロール94側へ移行し、二次転写ベルト90のイオン導電剤の供給吸収ロール94側への吸収が開始される。
次のステップ708では、上記ステップ704またはステップ706でバイアス電圧印加指示信号を出力してから予め定められた時間(上記時間T1)経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ710へ進む。
ステップ710では、バイアス電圧印加停止指示信号をバイアス印加部96へ出力した後に、本ルーチンを終了する。バイアス電圧印加停止指示信号を受け付けたバイアス印加部96は、供給吸収ロール94へのバイアス電圧印加を停止する。これによって、供給吸収ロール94から二次転写ベルト90へのイオン導電剤の供給、または二次転写ベルト90から供給吸収ロール94へのイオン導電剤の吸収が停止される。
以上説明したように、画像形成装置10Eによれば、画像形成処理実行中を含む、画像形成装置10Eの装置各部に電力が供給された状態にあるときに、所定時間毎に図14に示す処理ルーチンが実行されて、転写ロール24の設置されている環境温度及び環境湿度に応じて、転写ロール24が予め定められた基準抵抗値を維持するように供給吸収ロール26がイオン導電剤を供給または転写ロール24から供給吸収ロール26へイオン導電剤を吸収させる処理、二次転写バックアップロール44の設置されている環境温度及び環境湿度に応じて、二次転写バックアップロール44が予め定められた基準抵抗値を維持するように供給吸収ロール46がイオン導電剤を供給または二次転写バックアップロール44から供給吸収ロール46へイオン導電剤を吸収させる処理、及び二次転写ベルト90の設置されている環境温度及び環境湿度に応じて、二次転写ベルト90が予め定められた基準抵抗値を維持するように供給吸収ロール94がイオン導電剤を供給または二次転写ベルト90から供給吸収ロール94へイオン導電剤を吸収させる処理、が行なわれる。
このため、環境温度及び環境湿度の変動に影響を受けず、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ベルト90は安定した基準抵抗値を保つことが可能となる。従って、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ベルト90による転写ムラ等が抑制され、画像形成装置10Eによる画質向上が図れる。
なお、上記では、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ベルト90の全てについて、上記イオン導電剤の供給吸収処理を行なう場合を説明したが、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ベルト90の内の少なくとも1つについて上記イオン導電剤の供給吸収処理を行なう形態としてもよいことはいうまでもない。
ここで、二次転写ベルト90は、転写ロール24と同様に、二次転写ベルト90への通電時間が長くなるほど、抵抗値が高くなる傾向にある。
そこで、図14に示す処理ルーチンへの割り込み処理として、図3に示す割り込み処理、及び図7に示す割り込み処理を実行すると共に、更に図15に示す割り込み処理を実行すればよい。これによって、転写ロール24のサイクル数に応じた供給吸収ロール26から転写ロール24へのイオン導電剤供給、二次転写バックアップロール44のサイクル数に応じた供給吸収ロール46から二次転写バックアップロール44へのイオン導電剤供給、及び二次転写ベルト90のサイクル数に応じた供給吸収ロール94から二次転写ベルト90へのイオン導電剤供給がなされる。
この場合には、所定時間毎に、図14に示した処理ルーチンに対して、さらに図3に示す処理、図7に示す処理、及び図15に示す処理を、割り込み処理すればよい。
すなわち、供給吸収制御部34は、所定時間毎に図3、図7、及び図15に示す割り込み処理を実行する。図3及び図7に示す割り込み処理は、上述したため説明を省略する。図15に示す割り込み処理を実行する場合には、ステップ800へ進む。
なお、メモリ36には、上記説明した情報に加えてさらに、二次転写ベルト90の抵抗値が上記基準抵抗値から上昇してイオン導電剤の供給を必要とする程度に高くなる臨界値のサイクル数を示す臨界サイクル数情報を予め測定して記憶する。また、該イオン導電剤の供給を必要とする程度に二次転写ベルト90の抵抗値が高くなったときに、該二次転写ベルト90の抵抗値を基準抵抗値にまで下げるために必要な量のイオン導電剤を供給するために芯材94Aに印加する電圧の電圧値及び電圧印加時間T2を示す情報(電圧値情報、及び時間T2情報)を予め該臨界サイクル数情報に対応づけて記憶するものとする。
ステップ800では、カウンタ99によって計測されたサイクル数を読取る。次のステップ702では、上記ステップ800で読み取ったサイクル数が、メモリ36に記憶されている二次転写ベルト90の上記臨界サイクル数情報の臨界サイクル数以下であるか否かを判別し、肯定されると本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ802において、上記ステップ800で読み取ったサイクル数が、二次転写ロール64の上記臨界サイクル数を超える値である場合には、ステップ802において否定されてステップ804へ進む。
ステップ804では、該臨界サイクル数情報に対応づけてメモリ36に記憶されている電圧値情報の電圧値の電圧を、二次転写ベルト90へイオン導電剤を供給する極性で、供給吸収ロール94に印加することを示すバイアス電圧印加指示信号をバイアス印加部96へ出力する。
該バイアス電圧印加指示信号を受け付けたバイアス印加部96では、該信号に基づいて、二次転写ベルト90の臨界サイクル数情報に対応づけてメモリ36に記憶されている電圧値情報の電圧値の電圧を、二次転写ベルト90へイオン導電剤を供給する極性で、供給吸収ロール94に印加する。これによって、供給吸収ロール94から二次転写ベルト90へのイオン導電剤の供給が開始される。
次のステップ806では、上記ステップ804の処理が実行されてから上記電圧印加時間T2を経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ808へ進む。
ステップ808では、バイアス電圧印加停止指示信号をバイアス印加部96へ出力した後に、ステップ810へ進む。バイアス電圧印加停止指示信号を受け付けバイアス印加部96は、供給吸収ロール94へのバイアス電圧印加を停止する。これによって、供給吸収ロール94から二次転写ベルト90へのイオン導電剤の供給が停止される。
次のステップ810では、カウンタ99のサイクル数をリセットした後に、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置10Eによれば、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ベルト90が予め定められた基準抵抗値を維持するように、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ベルト90の各々の設置されている環境温度、環境湿度、及びサイクル数に応じて、イオン導電剤をこれらのロールへ供給、またはこれらのロールからイオン導電剤を吸収する。このため、環境条件として、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ベルト90の設置された環境温度及び環境湿度のみならず、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、及び二次転写ベルト90のサイクル数に応じた抵抗値の調整が可能とされる。
なお、本実施の形態の画像形成装置10Eに、更に、上記第3の実施の形態で説明したイオン導電剤供給吸収ユニット87を設けて、上記第3の実施の形態で説明したステップ500〜ステップ510の処理を更に行なうことによって、二次転写ロール64についても同様に、更にイオン導電剤の供給吸収処理を行なうようにしてもよい。またさらに、図11に示す処理を割り込み処理してもよい。
このようにすれば、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、二次転写ロール64、及び二次転写ベルト90が予め定められた基準抵抗値を維持するように、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、二次転写ロール64、及び二次転写ベルト90の各々の設置されている環境温度、環境湿度、及びサイクル数に応じて、イオン導電剤をこれらのロールへ供給、またはこれらのロールからイオン導電剤を吸収する。このため、環境条件として、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、二次転写ロール64、及び二次転写ベルト90の設置された環境温度及び環境湿度のみならず、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、二次転写ロール64、及び二次転写ベルト90のサイクル数に応じた抵抗値の調整が可能とされる。
(第5の実施の形態)
上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、1つの画像形成装置に対して1つの像保持体12が設けられ構成である場合を説明したが、供給吸収ロール26及び供給吸収ロール46は、図8に示すような複数の像保持体を有するタンデム型の画像形成装置10Cにも好適に適用される。
なお、下記においては図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
図8に示す画像形成装置10Cは、4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置であり、4つのトナーカートリッジ71、1対の定着ロール69、二次転写バックアップロール44、テンションロール73、バックアップロール75、用紙経路77A、給紙手段77、露光装置16、4つの像保持体12、4つの転写ロール24、駆動ロール81、転写クリーナー87A、4つの帯電装置14、感光体クリーナー84、現像装置18、中間転写ベルト86、除電ロール88等を主用な構成部材として含んでなる。
なお、上記説明した画像形成装置10、画像形成装置10A、及び画像形成装置10Bと同一機能を有する部分には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
像保持体12の周囲には、反時計回りに帯電装置14、現像装置18、中間転写ベルト54を介して配置された転写ロール24、感光体クリーナー84が配置され、これら1組の部材が、1つの色に対応した現像ユニットを形成している。また、この現像ユニット毎に、現像装置18に現像剤を補充するトナーカートリッジ71がそれぞれ設けられており、各現像ユニットの像保持体12に対して、帯電装置14と現像装置18とに挟まれた位置の像保持体12表面に画像情報に応じたレーザー光を照射することができる露光装置16が設けられている。
4つの色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した4つの現像ユニットは、画像形成装置内において水平方向に直列に配置されており、4つの現像ユニットの像保持体12と転写ロール24との接触部を挿通するように中間転写ベルト54が設けられている。中間転写ベルト54は、その内周側に以下の順序で反時計回りに設けられた、二次転写バックアップロール44、テンションロール73、および駆動ロール81により張架されている。なお、4つの1次転写ロールは、中間転写ベルト54が二次転写バックアップロール44からテンションロール73に移動する途中に位置する。また、中間転写ベルト54を介して駆動ロール81の反対側には中間転写ベルト54の外周面をクリーニングする転写クリーナー87Aが駆動ロール81に対して圧接するように設けられている。
また、中間転写ベルト54を介して二次転写バックアップロール44の反対側には給紙手段77から用紙経路77Aを経由して搬送される記録媒体の表面に、中間転写ベルト54の外周面に形成されたトナー像を転写するためのバックアップロール75が、二次転写バックアップロール44に対して圧接するように設けられている。二次転写バックアップロール44から駆動ロール81に到る中間転写ベルト54の外周面には、この外周面を除電するための除電ロール88が設けられている。
また、画像形成装置10Cの底部には記録媒体をストックする給紙手段77が設けられ、給紙手段77から用紙経路77Aを経由して2次転写部を構成する二次転写バックアップロール44とバックアップロール75との圧接部を通過するように供給する。この圧接部を通過した記録媒体はさらに1対の定着ロール69の圧接部を挿通するように不図示の搬送手段により搬送可能であり、最終的に画像形成装置外へと排出される。
このように構成された画像形成装置10Cには、上記第1の実施の形態〜第4の実施の形態で説明した、供給吸収制御部34、メモリ36、イオン導電剤供給吸収ユニット80イオン導電剤供給吸収ユニット83、イオン導電剤供給吸収ユニット87、及びイオン導電剤供給吸収ユニット89が設けられている。
このイオン導電剤供給吸収ユニット80は、上記実施の形態で説明した供給吸収ロール26、バイアス印加部28、駆動部30、温度湿度センサ32、カウンタ41、回収ロール38、及び駆動部40を含んで構成され、画像形成装置10及び画像形成装置10Bと同様に供給吸収制御部34に信号授受可能に接続されている。
また、イオン導電剤供給吸収ユニット83は、上記実施の形態で説明した供給吸収ロール46、駆動部48、バイアス印加部50、温度湿度センサ52、及びカウンタ53を含んで構成され、画像形成装置10Bと同様に供給吸収制御部34に信号授受可能に接続されている。
また、上述したように、イオン導電剤供給吸収ユニット87は、供給吸収ロール66、駆動部74、バイアス印加部72、温度湿度センサ78、カウンタ76、及び除去部材70を含んで構成されている。供給吸収ロール66、駆動部74、バイアス印加部72、温度湿度センサ78、及びカウンタ76は、供給吸収制御部34に信号授受可能に接続されている。
また、上述したように、イオン導電剤供給吸収ユニット89は、供給吸収ロール94、駆動部98、バイアス印加部96、温度湿度センサ97、及びカウンタ99を含んで構成されている。供給吸収ロール94、駆動部98、バイアス印加部96、及び温度湿度センサ97は、供給吸収制御部34に信号授受可能に接続されている。
このように構成し、供給吸収制御部34において第3の実施の形態で説明した図10、図3、図7、及び図11、及び第4の実施の形態で説明した図14、図15に示す処理ルーチンを実行すればよい。
このようにすれば、タンデム型の画像形成装置10Cにおいても同様に、画像形成装置10Bと同様に、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、二次転写ロール64、及び二次転写ベルト90の内周面側が予め定められた基準抵抗値を維持するように、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、二次転写ロール64、及び二次転写ベルト90の内周面側の各々の設置されている環境温度、環境湿度、及びサイクル数に応じて、イオン導電剤を供給またはイオン導電剤を吸収する。このため、環境条件として、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、二次転写ロール64、及び二次転写ベルト90の内周面側の設置された環境温度及び環境湿度のみならず、転写ロール24、二次転写バックアップロール44、二次転写ロール64、及び及び二次転写ベルト90のサイクル数に応じた抵抗値の調整が可能とされる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」「%」はすべて「質量部」「質量%」を意味する。
なお、実施例及び比較例において、体積抵抗率の常用対数値の測定は、測定サンプルを、温度22℃、湿度55%環境下に24時間以上放置した後に、金属製平板上にロール(測定対象の転写ロール)を載せて、このロールの芯材である金属シャフトの両端に4.9Nの荷重をかけた状態で、該金属シャフトにプラス1000Vの直流電圧を10秒印加した後の電流値から、下記式(1)を用いて算出し、その常用対数値を求めた。
体積抵抗率(Ω・cm)=V/I×S(金属平板とロールの接触面積)/L(導電層の厚み)・・式(1)
<実施例1>
(転写ロールの作製)
・80%の2,4−トリレンジイソシアネートと20%の2,6−トリレンジイソシアネーとから構成されるイソシアネート基を有する化合物と、グリセリンにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを付加して分子量5000としたポリエーテルポリオールとから構成されるプレポリマー ・・・・・・・・100質量部
・1,4−ブタンジオール ・・・・・・・6.65質量部
・シリコーン系界面活性剤 ・・・・・・・・3.6質量部
・ジブチルチンジラウレート ・・・・・0.007質量部
・過塩素酸ナトリウムのジエチレングリコールモノメチルエステル溶液
・・・・・・0.02質量部
上記の混合物をMONDOMIX社製泡立注入機で泡立てた後に、この泡立てた混合物をローラ芯金(SUS304から構成される直径8mmの金属のシャフト)を中央部に配置したモールドに注入し、120℃で1時間硬化させた。その後、研削盤にて砥石研磨を行うことによって、芯材としてのロール状の金属シャフト上に導電層(導電層の厚み5mm)の転写ロール(直径18mm)を調整した。
得られた転写ロールの体積抵抗率の常用対数値は、22℃、55%RH環境下で8.5LogΩ・cm、アスカーC硬度は40°であった。
(供給吸収ロールの作製)
上記転写ロールの作製で用いた混合物を、転写ロールの作製と同じ方法によりMONDOMIX社製泡立注入機で泡立てた後に、この泡立てた混合物を、ローラ芯金(SUS304から構成される直径4mmの金属のシャフト)を中央部に配置したモールドに注入し、120℃で1時間硬化させた。その後、研削盤にて砥石研磨を行うことによって、芯材としてのロール状の金属シャフト上に導電層(導電層の厚み2mm)の供給吸収ロール(直径8mm)を調整した。
得られた供給吸収ロールの体積抵抗率の常用対数値は、22℃、55%RH環境下で9.4LogΩ・cm、アスカーC硬度は25°であった。
(評価)
評価装置として、図5に示す構成の富士ゼロックス社製DocuColor5065Pの一次転写ロール及び2次転写バックアップロールの双方を上記作製の転写ロールに変更し、該装置に上記第3の実施の形態で説明した供給吸収制御部34、メモリ36、イオン導電剤供給吸収ユニット80及びイオン導電剤供給吸収ユニット83を搭載したDocuColor5065P改造機を調整した。
この改造機を用いて、10℃、15%RHの環境下、28℃、85%RHの環境下の各々の環境下において、プロセススピード260mm/secで、A4用紙(富士ゼロックスインターフィールド社製、商品名C2紙)に100%のベタ画像及び線画像を含む画像を800000枚形成し、以下の評価を行った。なお、この画像形成時において、供給吸収制御部34において上記図6、図7、及び図3に示す処理を実行させた。
―画質評価―
10℃15%RH、及び28℃85%RHの各々の環境下において形成された800000枚の画像について、欠け、擦れ等の画質劣化の有無を目視にて観察したところ、何れの環境において形成された画像についても、欠け、擦れ等の画質劣化は見られなかった。
―抵抗値評価―
10℃15%RH、及び28℃85%RHの各々の環境下において800000枚の画像を形成した後に、改造機に搭載した転写ロールの体積抵抗率の常用対数値を測定したところ、何れも8.5LogΩ・cmであり、環境温度及び湿度が変動しても体積抵抗率の常用対数値の変動はみられなかった。
<実施例2>
(二次転写ベルトの作製)
アクリロニトリル−ブタジエンゴムとエピクロルヒドリン共重合ゴムの混合ゴムを主成分とする0.55mm厚み、400mm幅、基準自由周長505mmのゴム基材を押し出し成型した後、フッ素樹脂系のコート層(最表面層)10μmを積層し、二次転写ベルトを作製した。得られた転写ロールの体積抵抗率は、22℃、55%RH環境下で9.0LogΩ・cmであった。
体積抵抗率は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6991に従って測定した。具体的には、例えば、図16に示す円形電極を用いて測定した。図16は、体積抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図16に示す円形電極は、第一電圧印加電極A’と第二電圧印加電極B’とを備える。第一電圧印加電極A’は、円柱状電極部C’と、該円柱状電極部C’の外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部C’を一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部D’とを備える。第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と第二電圧印加電極B’との間に導電性ベルトT’を挟持し、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(2)により、二次転写ベルトの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出した。ここで、下記式(2)中、tは二次転写ベルトの厚さを示す。
ρv=19.6×(V/I)×t ・・式(2)
実施例1で用いた改造機において、図5に示す構成の富士ゼロックス社製DocuColor5065Pの二次転写ベルトを上記調整した二次転写ベルトに変更すると共に、一次転写ロール及び2次転写バックアップロールの双方を上記実施例1で調整した転写ロールに変更し、この装置に、上記第4の実施の形態で説明した、供給吸収制御部34、メモリ36、イオン導電剤供給吸収ユニット80、イオン導電剤供給吸収ユニット83、及びイオン導電剤供給吸収ユニット89を搭載したDocuColor5065P改造機を調整した。
この改造機を用いて、10℃、15%RHの環境下、28℃、85%RHの環境下の各々の環境下において、プロセススピード260mm/secで、A4用紙(富士ゼロックスインターフィールド社製、商品名C2紙)に100%のベタ画像及び線画像を含む画像を800000枚形成し、以下の評価を行った。なお、この画像形成時において、供給吸収制御部34において上記図3、図7、図14、及び図15に示す処理を実行させた。
―画質評価―
10℃15%RH、及び28℃85%RHの各々の環境下において形成された800000枚の画像について、欠け、擦れ等の画質劣化の有無を目視にて観察したところ、何れの環境において形成された画像についても、欠け、擦れ等の画質劣化は見られなかった。
―抵抗値評価―
10℃15%RH、及び28℃85%RHの各々の環境下において800000枚の画像を形成した後に、改造機に搭載した転写ロールの体積抵抗率の常用対数値を測定したところ、何れも9.0LogΩ・cmであり、環境温度及び湿度が変動しても体積抵抗率の常用対数値の変動はみられなかった。
<比較例1>
実施例1で用いた改造機において、上記第3の実施の形態で説明した供給吸収制御部34、メモリ36、イオン導電剤供給吸収ユニット80及びイオン導電剤供給吸収ユニット83を搭載しなかった(図6、図7、及び図3の処理ルーチンも実行されない状態)以外は、実施例1で用いた改造機を用いて実施例1と同じ条件及び方法を用いて評価を行った。
―画質評価―
10℃15%RH、及び28℃85%RHの各々の環境下において形成された800000枚の画像について、欠け、擦れ等の画質劣化の有無を目視にて観察したところ、10℃15%RHの環境下において画像形成を行ったときに100000枚形成時に画像濃度ムラが発生した。
―抵抗値評価―
10℃15%RH、及び28℃85%RHの各々の環境下において800000枚の画像を形成した後に、改造機に搭載した転写ロールの体積抵抗率の常用対数値を測定したところ、10℃15%RHの環境下で画像形成を行った転写ロールの体積抵抗率の常用対数値は、10.0LogΩ・cmであり、28℃85%RHの環境下で画像形成を行った転写ロールの体積抵抗率の常用対数値は、8.0LogΩ・cmであり、環境変化により2.0LogΩ・cmの体積抵抗率の常用対数値の変動がみられた。。
<比較例2>
実施例1で用いた改造機に搭載した転写ロール及び供給吸収ロールの作製において、過塩素酸ナトリウムの33%ジエチレングリコールモノメチルエステル溶液0.02質量部に換えて、Degussa製カーボンブラック(Special Black4)を24重量部を用いた以外は、実施例1と同じ条件及び方法を用いて転写ロール及び供給吸収ロールを作製した。
そして、実施例1で用いた改造機に搭載した転写ロール及び供給吸収ロールに換えて、本比較例2で作製した転写ロール及び供給吸収ロールを用いた以外は、実施例1で用いた改造機を用いて実施例1と同じ条件及び方法を用いて評価を行った。
―画質評価―
10℃15%RH、及び28℃85%RHの各々の環境下において形成された800000枚の画像について、欠け、擦れ等の画質劣化の有無を目視にて観察したところ、
10℃ 10%RHの環境下において画像形成を行ったときに90000枚形成時に画像濃度ムラが発生した。
―抵抗値評価―
10℃15%RH、及び28℃85%RHの各々の環境下において800000枚の画像を形成した後に、改造機に搭載した転写ロールの体積抵抗率の常用対数値を測定したところ、10℃15%RHの環境下で画像形成を行った転写ロールの体積抵抗率の常用対数値は、11.2LogΩ・cmであり、28℃85%RHの環境下で画像形成を行った転写ロールの体積抵抗率の常用対数値は、8.2LogΩ・cmであり、環境変化により3.0LogΩ・cmの体積抵抗率の常用対数値の変動がみられた。