JP5352135B2 - 検査装置及び検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体素子の電気特性をプローブを用いて検査する検査装置及び検査方法に関する。
半導体チップ上に形成された微細な電子回路の電気的欠陥を検出するための検査装置としては、被測定点に電子ビームを照射し、測定点より発生する2次電子放出量が測定点の電圧値によって変化することを利用して、LSIの電気的不良箇所を検出する電子ビームテスタや、LSI上に形成した特性測定用パッドの位置に合わせて配置された複数のメカニカルプローブ(探針)をその測定用パッドに触針させて、LSIの電気特性を測定するプローバ装置等の検査装置が知られている。このようなプローバ装置に関わる技術としては、例えば、特許文献1,2及び3に記載のものがある。
特許文献1には、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)の試料室内にプローブ(探針)を設置し、走査電子顕微鏡で測定対象試料である電子素子を観察しながら、プローブの先端をその電子素子の所望箇所に触針させることにより、微細な電子素子の電気特性を計測する不良検査装置が記載されている。
特許文献2には、走査電子顕微鏡を用いた不良検査装置において、プローブ及び試料を載置する試料台のそれぞれを駆動する独立の駆動手段と、プローブと試料台を一体的に駆動するベースステージ駆動手段とを備え、さらに、走査電子顕微鏡画像と配線レイアウトのデータを用いたCADナビゲーション方式を採用することにより、触針所望箇所の走査電子顕微鏡画像を取得し、プローブの触針を行う不良検査装置が記載されている。
また、特許文献3には、独立して駆動できる複数のプローブの位置や動作等を容易に制御するためのGUI(Graphical User Interface)を有する不良検査装置が記載されている。
特開平9−326425号公報 特開2005−210067号公報 特開2006−125909号公報
近年、半導体素子の電気特性評価技術においては、電気回路としての電気特性評価やトランジスタ単体の電気特性評価に加えて、半導体素子の信頼性及び安全性評価のための温度特性評価技術に関するニーズが高まっている。
従来技術による温度特性評価では、測定対象である半導体試料を試料台に固定し、まず、常温時に、先端を半導体試料の測定用パッドに触針させて電気特性を測定した後、プローブ先端を少し離し、次いで、試料全体の温度を調整(加熱又は冷却)して、試料が熱平衡に達した後、プローブの先端を半導体試料の測定用パッドに触針させて電気特性を測定し、その後、プローブ先端を少し離すという作業を繰り返す。
このような温度特性評価においては、温度調整時に、試料台及びプロービング機構等を含む試料室全体の温度を変化させており、この温度変化による試料台及びプロービング機構等の伸縮により試料ドリフトが発生していた。このため、温度調整の度にプローブの触針位置を調整する必要があり非常に手間がかると共に、温度調整から熱平衡に達し試料ドリフトが収束するまでの時間は非常に長く、スループットの悪化を招いていた。スループットを改善するために、試料ドリフト中にプローブを測定用パッドに触針し電気特性を測定することも考えられるが、試料ドリフト中の無理な触針動作は、プローブ先端や試料の測定用パッドの破損や磨耗を引き起こし、プローブ及び測定対象試料の寿命低下の原因となる。また、試料台及びプロービング機構等の加熱による電気的ノイズの増加は、測定精度や測定安定性に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、試料の温度調整を局所的に行うことにより、試料ドリフトを抑制することができる検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、試料を保持する試料ステージと、前記試料に電磁波を照射する電磁波照射手段とを備え、前記試料に電磁波を照射することにより、前記試料の温度を調整するものとする。
本発明によれば、試料の測定対象箇所に電磁波を照射することにより、試料の温度調整を行うので、その試料の局所的な温度調整が可能となり、試料ドリフトを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
本発明の第1の実施の形態を図1〜図4を用いて説明する。
図1は、本実施の形態の不良検査装置の全体構成を示した図である。
図1において、本実施の形態の不良検査装置100は、SEM(Scanning Electron Microscope:以下SEMと記載する)1と、試料駆動装置2と、試料測定装置3と、制御システム4と、電磁波制御システム5と、SEM制御用PC117とを備えている。
SEM1は、1次電子線103を射出する電子源(図示せず)及び1次電子線103を導き測定対象試料である半導体試料118に照射する電子ビーム光学系と、1次電子線103の照射により半導体試料118から発生した2次電子105を検出する2次電子検出器104と、電子ビーム光学系の動作、例えば、電子源の電子ビーム引出し電圧や偏向レンズへの印加電圧などを制御する電子ビーム光学系制御装置116とを備えている。本実施の形態の電子ビーム光学系は、1次電子線103を測定対象試料上に照射し、かつ走査する照射光学系を形成しており、電子ビームを発生する電子源やビームを走査するための偏向装置,電子ビームを収束するためのレンズ等を含んでいる。
また、本実施の形態の不良検査装置100は、真空チャンバ102内に設けられた試料台109に保持された半導体試料118の上側及び横側からの画像を取得するための複数の光学顕微鏡又はCCDカメラ(図示せず)等を備えている。
真空チャンバ隔壁102は、大気圧の領域と真空の領域を隔てる隔壁である。SEM1の電子ビーム光学系を覆う電子ビームカラム101の照射部及び2次電子検出器104の電子を検出するセンサ部は、真空チャンバ隔壁102内に配置されているが、電源及び伝送線が接続される部分は、真空チャンバ隔壁102の外部に突き出て配置されている。つまり、SEM1の電子ビーム光学系を覆う電子ビームカラム101及び2次電子検出器104は、真空チャンバ隔壁102を貫通するように配置されている。
試料駆動装置2は、半導体試料118を保持する試料台109と、試料台109を保持し、この試料台109をX,Y(水平)方向へ駆動する試料台駆動装置110と、試料台駆動手段110を保持し、X,Y(水平),Z(垂直)方向へ駆動する駆動手段を有するベースステージ111と、ベースステージ111を保持するベース112を備えている。試料台109と試料台駆動装置110とを合わせて試料ステージと呼ぶ。ベースステージ111上には、試料ステージと共にプローブ駆動部(後述)108が保持されており、ベースステージ111をベース112に対して相対的に駆動することにより、試料ステージとプローブ駆動部108を一体的に駆動することができる。試料ステージ、ベースステージ111及びベース112は、真空チャンバ隔壁102内に配置されている。
試料測定装置3は、半導体試料118の所定箇所に触針される複数(例えば6つ)のメカニカルプローブ(図1では2つのみ図示)106と、この複数のメカニカルプローブ(以下、単にプローブと記載する)106のそれぞれを保持するプローブホルダである複数(例えば6つ)のアタッチメント107と、このアタッチメント107のそれぞれを保持し、プローブ106をアタッチメント107と共に所望の位置に移動する複数(例えば6つ)のプローブ駆動部108と、プローブ106を介して半導体試料118の電気特性を計測する電気特性測定器113とを備えている。
プローブ106は、半導体試料118の測定用パッド203,204,205,206(後の図3参照)などの所定箇所に触針するものであり、このプローブ106を介して半導体試料118の電気特性測定を行う(後述)。
プローブ駆動部108は、試料駆動装置2の試料ステージと共に、ベースステージ111に保持されている。6つのプローブ駆動部108は、それぞれ、プローブ106をアタッチメント107ごとX,Y(水平),Z(垂直)方向に駆動する駆動手段である。
試料ステージは、試料台109を駆動することにより半導体試料118を駆動することができ、プローブ駆動部108は、6つのプローブ106を個別に駆動することができ、ベースステージ111は、試料ステージとプローブ駆動部108とを一体的に駆動することができるので、従って、半導体試料118とプローブ106の両者を、独立的にも一体的にも駆動することができる。また、試料台109を試料台駆動装置110によりベースステージ111に対して相対的に駆動することにより、6つのプローブ106同士の相対位置を変えることなく半導体試料118に対する相対位置を変えることが出来る。
試料測定装置3の電気特性測定器113は、真空チャンバ隔壁102の外部に設置されており、プローブ106,アタッチメント107及びプローブ駆動部108は、真空チャンバ隔壁102の内部に設置されている。
電気特性測定器113は、プローブ106を介して半導体試料118の所望の箇所、例えば、測定用パッド203,204,205,206(後の図3参照)に電流,電圧を印加する電源(図示せず)と、半導体試料118の所望の箇所の電流,電圧を検出する検出器(図示せず)とを有している。試料台109及びアタッチメント107は、この電気特性測定器113に接続されており、電気特性測定器113は、電圧,電流の印加及び検出を行い、主としてプローブ106及びアタッチメント107を介して半導体試料118の電流,電圧特性を計測し、その電流,電圧特性を元に所望の特性値を算出する。この特性値は、例えば、プローブ106の触針箇所の電流値,電圧値及び抵抗値などである。本実施の形態のように、測定対象試料として半導体試料を用いる場合には、電気特性測定器113として、例えば、半導体パラメータアナライザなどが用いられる。電気特性測定器113により得られた半導体試料118の電流,電圧特性の波形及び各特性値(以下、単に電気特性データと記載する)は、伝送線を介して制御システム4の制御コンピュータ114に伝送される。
電磁波制御システム5は、電磁波を生成する電磁波光源(電磁波生成装置)121と、電磁波光源121で生成した電磁波を半導体試料118の測定対象箇所に照射する光ファイバ120と、半導体試料118の測定対象箇所から放射される電磁波の強さを検出する電磁波計測機構122と、半導体試料118の測定対象箇所から放射される電磁波を電磁波計測機構122に伝える光ファイバ119と電磁波計測機構122で計測した電磁波(例えば、赤外線)の強さを基に半導体試料118の温度を計算し、その温度のデータを制御コンピュータ114に出力すると共に、制御コンピュータ114からの指令信号に基づいて電磁波光源121で生成する電磁波の周波数及び強さを制御する電磁波制御機構123とを備えている。本例においては、電磁波計測機構122及び電磁波制御機構123が半導体試料118の電磁波照射箇所の温度を測定する温度測定機構を構成する。但し、電磁波計測機構122に電磁波の検出値を温度測定値に変換する機能がある場合には、電磁波計測機構122が単体で温度測定を行い、電磁波制御機構123において半導体試料118の温度を算出する機能を省略することができる。
電磁波光源121は、種々の周波数の電磁波を生成することが可能である。生成する電磁波の周波数を調整する具体的方法としては、電磁波を生成する光源の種類を切り換える方法や電磁波を生成する光源からの電磁波の中から特定の周波数の電磁波を選択的に取り出す方法がある。前者の場合、例えば、異なる周波数の電磁波を生成する光源をリボルバー状に構成した光源切り換え機構を回転させて光源種を変更する方法が例示できる。後者の場合、例えば、回折格子を用いて特定の波長を選択する方式が考えられる。電磁波光源121では、例えば赤外線(波長0.7μm〜1mm)や紫外線(波長10nm〜400nm)などの電磁波を生成する。
電磁波光源121,電磁波計測機構122及び電磁波制御機構123は真空チャンバ隔壁102の外部に配置されており、一端を電磁波光源121及び電磁波計測機構122に接続された光ファイバ119,120は、真空チャンバ隔壁102を貫通して設けられ、他端を半導体試料118の測定対象箇所の近傍に、その先端を測定対象箇所に向けて配置されている(後の図2参照)。
制御システム4は、制御コンピュータ114と、メモリ等の記憶機器115とを備えている。電気特性測定器113で計測され、制御コンピュータ114に伝送された半導体試料118の電気特性データは、制御コンピュータ114に備えられた光学ディスク,ハードディスク又はメモリなどの記憶機器115に格納され、制御コンピュータ114は、この電気特性を解析することにより半導体試料118の測定箇所が不良か正常かなどの判定を行う。また、制御コンピュータ114は、不良検査装置100の全体の動作を制御する役割も果たしており、入力手段により各装置の設定パラメータが設定されたら、記憶機器115に記憶したソフトウェアに従って、電子銃制御装置116,2次電子検出器104,電磁波制御機構123,試料ステージ及びベースステージ111等の各構成装置を制御する。
SEM制御用PC117は、SEM1の光学条件,倍率,フォーカス,イメージシフト,SEM画像の明るさ,スキャンスピード,アライメント,画像の記録,試料駆動装置2の試料ステージ及び試料測定装置3のプローブ106の位置等をGUI(Graphical User Interface)操作やキーボードへのコマンド入力により制御するものであり、制御コンピュータ114を介して電子銃制御装置116に制御信号を伝送することで電子ビーム光学系(図示せず)を制御し、2次電子検出器104で検出した検出信号を取得すると共に、試料台駆動装置110,ベースステージ111,プローブ駆動部108,光学顕微鏡,CCDカメラ等の動作を制御する。
図2は、本実施の形態の不良検査装置における電気特性測定時の横方向からの光学顕微鏡像を示す図である。
図2において、半導体試料118は試料台109に保持されており、この半導体試料118の測定対象箇所には、SEM1の電子ビーム光学系(図示せず)から1次電子線103が照射されると共に、その測定用パッド(後の図3参照)203,204,205,206にはプローブ106が触針されている。また、半導体試料118の測定対象箇所の近傍には光ファイバ119,120の一端が、その先端を測定対象箇所に向けて配置されている。この状態で、電磁波光源121において電磁波(例えば、赤外線や紫外線)を生成し、光ファイバ120を介して半導体試料118の測定対象箇所に照射する。
電磁波光源121において、例えば、赤外線(例えば、波長4μm〜1mmの遠赤外線)を生成し、光ファイバ120を介して半導体試料118の測定対象箇所に照射する場合、測定対象箇所は照射された赤外線の作用により局所的に加熱される。また、全ての物体は、その温度に比例した強さの赤外線を放出しており、測定対象箇所から放出される赤外線を光ファイバ119を介して電磁波計測機構122に入力して赤外線の強さを計測し、この赤外線の強さのデータを電磁波制御機構123に送り、このデータを基に半導体試料118の測定対象箇所の温度を知ることができる。制御コンピュータ114は、このようにして得られた半導体試料118の測定対象箇所の温度と設定温度の偏差が小さくなるように電磁波光源121で生成する赤外線の強さを制御することにより、測定対象箇所の温度を調整する。
また、電磁波光源121において、紫外線(波長10nm〜400nm)を生成し、光ファイバ120を介して半導体試料118の測定対象箇所に照射する場合、半導体試料118の表面の帯電や汚染を除去することができる。また、帯電除去に有効な電磁波としては、例えば、波長が253.7nmの紫外線が知られている。また、例えば、真空チャンバ102内に適量の酸素を導入した状態で、例えば、波長が184.9nm及び257.7nmの紫外線(低圧紫外線ランプなどで生成可能)を半導体試料118に照射した場合には、半導体試料118の表面の汚染物質(例えばカーボン等の有機物)を除去することができる。
図3は、半導体試料118の電気特性を測定する場合のSEM画像を示す図である。
図3において、半導体試料118は、ソース,ドレイン,ゲート,ウェルのそれぞれに繋がる測定用パッド203,204,205,206を有しており、試料測定装置3が備える6つのプローブ106のうちの4つのプローブ106がプローブ駆動部108等により、それぞれの測定用パッドに触針されている。測定用パッドに触針しない2つのプローブ106は、その他のプローブ106などの駆動に障害にならない位置に退避させる。
この状態で、電気特性測定器113により測定用プローブ106を介して所望の測定用パッドに電圧を印加し、測定用プローブ106を介して所望の測定用パッドの電圧や電流を測定することにより、半導体試料118の電気特性データを取得する。例えば、ソースに繋がる測定用パッド203とドレインに繋がる測定用パッド204間に電圧を印加した状態でゲートに繋がる測定用パッド205に電圧を掃引し、測定用パッド(ソース)203と測定用パッド(ドレイン)204の間を流れる電流を測定することにより、あるソース,ドレイン間電圧における、ゲート電圧とドレイン電流の関係を示す波形(電流,電圧特性)を得ることが出来る。この電流,電圧特性の波形や各特性値などの電気特性データは、電気特性測定器113のディスプレイ(図示せず)に表示されると共に、制御コンピュータ114に伝送される。
以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
本実施の形態の不良検査装置100において、測定対象試料の一例として半導体試料118を測定する場合、この半導体試料118は試料台109に保持される。
まず、SEM制御用PC117を操作し、光学顕微鏡の低倍率の観察像により半導体試料118の測定対象箇所と本実施の形態で使用する4つのプローブ106プローブ106を水平方向及び垂直方向の位置関係を観察しながら、4つのプローブ106を水平方向及び垂直方向に駆動し、半導体試料201の測定対象箇所と4つのプローブ106の相対位置をSEM1で観察可能な範囲まで近づける。
次に、SEM1を用いて、半導体試料118の測定対象箇所及び4つのプローブ106を観察しながら、例えば、4つのプローブ106を半導体試料201の所望の測定用パッドに触針させる。
この状態で、例えば半導体パラメータアナライザ等の電気特性測定器113が有する通電手段により、所望のプローブ106を介して半導体試料118の測定用パッドに電圧,電流を掃引し、それと同時に所望のプローブ106を介して半導体試料118の測定用パッドの電圧,電流を測定することにより、常温における半導体試料118の電流,電圧特性の波形を得る。電気特性測定器113は、この電流,電圧特性を元に、電流値,電圧値及び抵抗値等の所望の特性値を算出し、この特性値と電流,電圧特性の波形を図示しないディスプレイに表示すると共に、伝送線を介して制御コンピュータ114に伝送する。制御コンピュータ114は、電気特性測定器113から伝送された特性値を記憶機器115に格納すると共に、この特性値を解析することにより半導体試料118の測定箇所が不良か正常かなどの判定を行う。常温における半導体試料118の電流,電圧特性の測定が終了したら、半導体試料118の測定用パッドへの電流,電圧の掃引を停止する。
次に、制御コンピュータ114の入力手段を用いて、半導体試料118の測定対象箇所の温度を設定する。制御コンピュータ114は、電磁波制御機構123を制御して、電磁波光源121に赤外線(例えば、波長4μm〜1mmの遠赤外線)を生成させ、光ファイバ120を介して半導体試料118の測定対象箇所に照射することにより、この測定対象箇所を局所的に加熱する。
ここで、プローブ106を試料へ接触させる前に、電磁波照射部領域内に移動することによりプローブ106も加熱され、プローブと試料の接触時に起きる熱損失及び熱膨張を回避することができる。なお、常温においてプローブを接触させた状態であれば、接触状態のまま、プローブ及び試料測定箇所に電磁波を照射させてもよい。
そして、半導体試料118の測定対象箇所が所望の設定温度に達して安定したら、電気特性測定器113は、所望のプローブ106を介して半導体試料118の測定用パッドに電圧,電流を掃引すると共に、所望のプローブ106を介して半導体試料118の測定用パッドの電圧,電流を測定することにより、所望の高温時における半導体試料118の電流,電圧特性の波形を得る。電気特性測定器113は、この電流電圧特性を元に特性値を算出し、この特性値と電流,電圧特性をディスプレイに表示すると共に、伝送線を介して制御コンピュータ114に伝送する。制御コンピュータ114は、電気特性測定器113から伝送された特性値を記憶機器115に格納すると共に、この特性値を解析することにより半導体試料118の測定箇所が不良か正常かなどの判定を行う。
このように、半導体試料118の測定対象箇所を局所的に加熱するので、試料全体を加熱する場合と異なり試料駆動装置2及び試料測定装置3の熱膨張による試料ドリフトが抑制される。したがって、プローブ106を測定用パッドに触針した状態での温度変調において、試料ドリフトによりプローブ106が受ける曲げ力を抑えることができる。よって、プローブ106を測定用パッドに触針した状態での温度変調においても、プローブ106及び測定用パッドへの負荷を抑制することができる。
以上のように構成した本実施の形態においては、半導体試料118の測定対象箇所を局所的に加熱することにより、試料駆動装置2及び試料測定装置3の伸縮を抑制することができ、試料ドリフトを抑制しつつ温度変調を行うことができる。これにより、半導体試料118の温度変調を行う場合、従来のように試料ドリフトが収束するまでの間に測定を中断する必要が無くなり、試料ドリフトの収束を待っていた従来と比較して、スループットを大幅に改善することができる。
また、試料駆動装置及び試料測定装置などの加熱による電気的ノイズの増加を防止することができ、測定精度や測定安定性を確保することができる。
さらに、半導体試料118の所望の箇所を所望の温度で加熱することができるので、半導体試料118の所望の箇所に付着したカーボンなどの吸着物を加熱することにより除去することができる。
また、半導体試料118の所望の箇所に紫外線を照射し、SEM1による観察時の所望箇所の帯電及び試料汚染を除去することが出来るので、長時間の安定した観察が可能となる。
本発明の第2の実施の形態を図4及び図5を用いて説明する。本実施の形態は、上記第1の実施の形態における電磁波照射用の光ファイバの先端に電磁波の照射範囲を絞り込むためのレンズを備えたものである。
図4は、本実施の形態における電磁波照射用の光ファイバの先端部を示す図である。
図4において、本実施の形態における電磁波照射用の光ファイバ303は、電磁波光源121で生成された電磁波を伝える光ファイバ部301と、伝えられた電磁波を絞り込むレンズ部302とを備えている。電磁波光源121で生成された電磁波(例えば、波長4μm〜1mmの遠赤外線)は、光ファイバ部301により伝えられ、レンズ部302において絞り込まれて照射されるので、半導体試料118に加工マーキングを施すことができる。
図5は、本実施の形態におけるSEM画像の一例を示す図である。図5に示すSEM画像中には、半導体試料118と、4つのプローブ106と、光ファイバ303が示されている。電磁波光源121で生成した赤外線を、光ファイバ303を介して半導体試料118に照射しながら、半導体試料118と共に試料台109を試料台駆動装置110によりX,Y(水平)方向に方形に駆動すると、図5中に符号304で示すように、方形の加工マーキングを施すことができる。
その他の構成は、本発明の第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においては、電磁波光源121で生成した電磁波を半導体試料118の所望の箇所に絞り込んで照射することができるので、その照射位置に加工マーキングを施すことができる。
また、半導体試料118に赤外線を照射しながら、半導体試料118を試料台109と共に駆動することにより、半導体試料118に任意の形状の加工マーキングを施すことができる。
なお、本実施の形態では、方形の加工マーキング304を施す場合を例にとり説明したが、これに限られず、半導体試料118を任意の方向(水平方向)に駆動することにより、任意の形状の加工マーキングを施すことが可能である。
本発明の第3の実施の形態を図6〜図11を用いて説明する。図中、図1に示した部材と同等の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は、プローブのアタッチメントの一部を電磁波照射用の光ファイバのアタッチメントと交換し、電磁波照射用の光ファイバを駆動できるようにしたものである。
図6は、本実施の形態の不良検査装置100Aの全体構成を示した図である。
図6において、本実施の形態の不良検査装置100Aは、SEM(Scanning Electron Microscope:以下SEMと記載する)1と、試料駆動装置2と、試料測定装置3Aと、制御システム4と、電磁波制御システム5Aと、SEM制御用PC117とを備えている。
試料測定装置3Aは、半導体試料118の所定箇所に触針される複数(例えば4つ)のプローブ(図1では1つのみ図示)106と、半導体試料118の所望の箇所に電磁波を照射するための光ファイバ127と、半導体試料118の所望の箇所から放射される電磁波を受けるための光ファイバ227(後の図10参照)と、プローブ106及び光ファイバ127,227のそれぞれを先端部125a及び先端部125bを介して保持する複数(例えば6つ)のアタッチメント107aと、このアタッチメント107aのそれぞれを保持し、プローブ106及び光ファイバ127,227のそれぞれをタッチメント107aと共に所望の位置に移動する複数(例えば6つ)のプローブ駆動部108と、プローブ106を介して半導体試料118の電気特性を計測する電気特性測定器113とを備えている。
アタッチメント107aの保持する先端部125a及び125bは取り外し可能となっており、それぞれ、プローブ106や光ファイバ127,227を保持する種々の先端部と交換可能である。
電磁波制御システム5Aは、電磁波を生成して出力すると共に、入力される電磁波の強さを計測する電磁波光源及び電磁波計測機構124と、電磁波光源及び電磁波計測機構124で生成した電磁波を光ファイバ127に伝える光ファイバ126と、光ファイバ227で受けた電磁波を電磁波光源及び計測機構124に伝えるための光ファイバ(図示せず)と、電磁波光源及び電磁波計測機構124で計測した電磁波の強さを基に半導体試料118の温度を計算し、その温度のデータを制御コンピュータ114に出力すると共に、制御コンピュータ114からの指令信号に基づいて電磁波光源及び電磁波計測機構124で生成する電磁波の周波数及び強さを制御する電磁波制御機構123とを備えている。
電磁波光源及び電磁波計測機構124は、生成する電磁波の周波数を変えることが可能であり、例えば、異なる周波数の電磁波を生成する光源をリボルバー式で変更及び選択する方式や、回折格子を用いて各波長を選択する方式などにより電磁波を生成する。電磁波光源121では、例えば赤外線(波長0.7μm〜1mm)や紫外線(波長10nm〜400nm)などの電磁波を生成する。
図7は、本実施の形態におけるアタッチメントと、その接続関係の一例を示した模式図であり、図8及び図9は、それぞれ、アタッチメント及び先端部の詳細を示す図である。
図7において、アタッチメント107aは、プローブ駆動部108に保持されており、光ファイバ126を介して電磁波光源及び電磁波計測機構124と接続されると共に、伝送線113aを介して、電気特性計測器113と接続されている。アタッチメント107aには、電磁波照射用の光ファイバ127を有する先端部125bが接続されており、光ファイバ127は、先端部125bとアタッチメント107aの接続部で光ファイバ126に接続されている。電気特性測定器113に接続された伝送線113aは、アタッチメント107aと先端部125bの接続部で遮断されている。このようにアタッチメント107aと先端部125bを接続した場合においては、電磁波光源及び電磁波計測機構124で生成した電磁波を光ファイバ126を介して伝え、光ファイバ127を介して半導体試料118に照射することができる。
先端部125bは、図8に示すように、アタッチメント107aに対して取り外し可能となっており、先端部125bに代えて、図9に示す先端部125a又は125cなど、他の構成のアタッチメントを接続することができる。アタッチメント107aに先端部125aを接続した場合、プローブ106は先端部125aとアタッチメント107aの接続部で伝送線113aと接続され、光ファイバ126は遮断される。このように、アタッチメント107aと先端部125aを接続した場合において、電気特性測定器113は、プローブ106を介して半導体試料118の電気的特性を測定することができる。また、アタッチメント107aに先端部125cを接続した場合、半導体試料118の所望箇所から放出される赤外線を光ファイバ227で受け、伝搬用の光ファイバ(図示せず)を介して電磁波光源及び電磁波計測機構124に入力して赤外線の強さを計測し、この赤外線の強さのデータを元に磁波制御機構123で計算することにより半導体試料118の所望箇所の温度を知ることができる。
図10は、本実施の形態における半導体試料の電気特性測定時の横方向からの光学顕微鏡増を示す図であり、図11は、電気特性測定時のSEM画像を示す図である。
図10及び図11において、半導体試料118の測定用パッド203,204,205,206にはプローブ106が触針されている。また、半導体試料118の測定対象箇所の近傍には光ファイバ127,227が測定対象箇所に向けて配置されている。この状態で、電磁波光源及び電磁波計測機構124において電磁波(例えば、赤外線や紫外線)を生成し、光ファイバ126及び光ファイバ127を介して半導体試料118の測定対象箇所に照射する。また、測定対象箇所から放出される赤外線を光ファイバ227を介して電磁波光源及び電磁波計測機構124に入力して赤外線の強さを計測し、この赤外線の強さのデータを電磁波制御機構123に送り、このデータを基に半導体試料118の測定対象箇所の温度を知ることができる。制御コンピュータ114は、このようにして得られた半導体試料118の測定対象箇所の温度と設定温度の偏差が小さくなるように電磁波光源121で生成する赤外線の強さを制御することにより、測定対象箇所の温度を調整する。
その他の構成は、本発明の第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、半導体試料118の測定対象箇所を局所的に加熱することにより、試料駆動装置2及び試料測定装置3の伸縮を抑制することができ、試料ドリフトを抑制しつつ温度変調を行うことができる。これにより、半導体試料118の温度変調を行う場合、従来のように試料ドリフトが収束するまでの間に測定を中断する必要が無くなり、試料ドリフトの収束を待っていた従来と比較して、スループットを大幅に改善することができる。
また、電磁波を照射する位置を、プローブ106と同様にアタッチメント107aを駆動することにより操作することができるので、所望箇所に電磁波を照射することができる。
なお、本発明の実施の形態においては、電磁波光源及び電磁波計測機構は1つの構成である場合を例に取り説明したがこれに限られず、電磁波光源と電磁波計測機構を別々に設けても良い。
また、電磁波照射用の光ファイバを設けた先端部と電磁波を受けるための光ファイバを設けた先端部を別々に用意したがこれに限られず、この両方の光ファイバを設けた先端部及び、この先端部の光ファイバのそれぞれと電磁波光源及び電磁波計測機構を接続できるアタッチメントを用いても良い。
図12に、電磁は照射用の光ファイバ126a及び、電磁波を受けるための光ファイバ126bを設けたアタッチメント107bを示す。本機構はプローブ106のみを加熱することが可能であり、プローブと試料の接触時に起きる熱損失及び熱膨張を回避することができる。
さらに、電磁波照射用の光ファイバの先端にレンズ部を設けたものを用いても良い。
また、本発明の第1〜第3の実施の形態においては、電磁波照射機構に光ファイバを用いる場合について説明したがこれに限られず、例えば、電磁波生成装置と一体又は別に設けたレンズなどを電磁波照射装置として用いても良い。
本発明の第1の実施の形態における不良検査装置の全体構成を示した図である。 本発明の第1の実施の形態における電気特性測定時の横方向からの光学顕微鏡像を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における電気特性測定時のSEM画像を示す図である。 本発明の第2の実施の形態における光ファイバの詳細を示す図である。 本発明の第2の実施の形態におけるSEM画像を示す図である。 本発明の第3の実施の形態における不良検査装置の全体構成を示した図である。 本発明の第3の実施の形態におけるアタッチメントとその接続関係の一例を示す図である。 本実施の第3の実施の形態におけるアタッチメントの詳細を示す図である。 本実施の第3の実施の形態における先端部の詳細を示す図である。 本発明の第3の実施の形態における電気特性測定時の横方向からの光学顕微鏡像を示す図である。 本発明の第3の実施の形態における電気特性測定時のSEM画像を示す図である。 本発明の第3の実施の形態におけるアタッチメントとその接続関係を示す図である。
符号の説明
1 SEM
2 試料駆動装置
3,3A 試料測定装置
4 制御システム
5,5A 電磁波制御システム
100,100A 不良検査装置
101 電子ビームカラム
102 真空チャンバ隔壁
103 1次電子線
104 2次電子検出器
105 2次電子
106 プローブ(メカニカルプローブ)
107,107a,107b アタッチメント
108 プローブ駆動部
109 試料台
110 試料台駆動装置
111 ベースステージ
112 ベース
113 電気特性測定器
114 制御コンピュータ
115 記憶機器
116 電子ビーム光学系制御装置
117 SEM制御用PC
118 半導体試料
119,120,126,126a,126b,127,227,303 光ファイバ
121 電磁波光源
122 電磁波計測機構
123 電磁波制御機構
124 電磁波光源及び電磁波計測機構
125a,125b 先端部
203〜206 測定用パッド
301 光ファイバ部
302 レンズ部
304 加工マーキング

Claims (6)

  1. 試料を保持するステージと、
    前記試料上の半導体素子の電気特性を測定するのに用いる複数のプローブと、
    前記試料に相対して前記プローブを駆動する駆動部と、
    前記プローブに電圧及び/又は電流を印加する電源と、
    前記プローブが接触した前記試料上の半導体素子の電気特性を測定する検出器と、
    前記プローブと試料に電磁波を照射する電磁波照射機構と
    前記試料を真空雰囲気内に配置するための真空チャンバと、
    前記試料から放出される電磁波を計測する電磁波計測機構と、
    当該電磁波計測機構によって計測された電磁波に基づいて前記試料の温度を求め、当該温度に応じて前記電磁波照射機構を制御する制御コンピュータを備え、
    前記電磁波照射機構は、前記プローブと試料に照射される電磁波を生成する電磁波光源と、当該電磁波光源で生成した電磁波を照射する光ファイバとを備えていることを特徴とする検査装置。
  2. 請求項1に記載の検査装置において、
    前記プローブ又は前記電磁波照射機構を選択的に前記駆動部に取り付けるためのアタッチメントを備えていることを特徴とする検査装置。
  3. 請求項1記載の検査装置において、
    前記電磁波照射機構が照射する電磁波の周波数及び/又は強度を調整する電磁波制御機構を備えていることを特徴とする検査装置。
  4. 請求項1記載の検査装置において、
    前記電磁波照射機構は、前記電磁波として赤外線を試料に照射し、試料の赤外線照射箇所を加熱することを特徴とする検査装置。
  5. 請求項1記載の検査装置において、
    前記電磁波照射機構は、前記電磁波として赤外線を試料に照射し、試料の赤外線照射箇所を加工することを特徴とする検査装置。
  6. 請求項1記載の検査装置において、
    前記電磁波照射機構は、前記電磁波として紫外線を試料に照射し、試料の紫外線照射箇所の帯電又は汚染を除去することを特徴とする検査装置。
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