JP5296751B2 - 試料検査装置及び吸収電流像の作成方法 - Google Patents

試料検査装置及び吸収電流像の作成方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体その他の試料を検査する試料検査装置及び当該装置を用いた吸収電流像の作成方法に関する。例えば検査対象とする配線(導体)に含まれる電気的な不良箇所の同定を容易にする技術に関する。
半導体表面に回路パターンが形成された半導体試料の検査においては、欠陥箇所の特定が重要である。その一方で、昨今におけるデバイスの微細化に伴い、欠陥箇所の同定が難しくなっている。その結果、不良解析に膨大な時間が必要になっている。そのため、現在では、OBIRCH(Optical Beam Induced Resistance Change)やEB(Electron Beam)テスタその他の解析装置が、この種の不良解析に用いられている。この他、配線の不良解析に関する分野では、電子線を半導体試料に照射し、配線により吸収された電流や半導体試料から放出された二次的な信号(二次電子や反射電子)を解析して画像化する技術が注目されている。配線により吸収された電流(吸収電流)に基づいて得られる信号(吸収電流信号)の分布像は、電子線吸収電流像(EBAC:Electron Beam Absorbed Current)と呼ばれる。
以下では、EBACに関する従来技術について説明する。例えば特許文献1には、試料表面の配線パターンに荷電粒子線を照射し、当該配線パターンに接触させた2本の探針a及びbに流れる吸収電流を測定する吸収電流検出装置が開示されている。特許文献1に装置は、探針a及びbに流れる吸収電流を、所定の抵抗値を有する出力電圧調整用の入力抵抗を介して電流/電圧変換器に与えることを特徴とする。一方、特許文献2は、吸収電流像を作成する際の試料の温度を可変し、各温度で作成された吸収電流像の差分画像を取得することにより、不良箇所を同定する技術を開示する。
特開2008−203075号公報 特開2009−252854号公報
特許文献1に示す装置は、吸収電流を電流/電圧変換器を用いて電圧に変換する。このことは、吸収電流が配線パターンの抵抗分にのみ依存することを意味する。すなわち、定常状態としての吸収電流の情報しか得ることができず、配線パターンの途中に生じた特異な変化点を見つけることができない。
また、特許文献1に示す装置は、吸収電流の検出信号を電子線の走査に応じてプロットすることにより吸収電子像を生成する。しかし、当該装置は、吸収電流の検出信号に対する基準電位に接地電位(GND)を使用する。このため、差動増幅器を用いる場合に比して、吸収電流の検出信号に対する測定ダイナミックレンジが狭くならざるを得ない。特に、不良箇所の抵抗値が小さい場合、不良箇所における検出信号の変化を大きくするために、信号源となる電子線を強くする必要がある。しかし、電子線のエネルギーを高めると、不良箇所に流れる電流が多くなり、不良箇所を表示する前に試料自体が破損してしまう可能性がある。
一方、特許文献2に示す装置は、試料を全体的に加熱又は冷却することにより、温度条件の異なる吸収電子像を得る。このため、試料全体が温度変化することで発生する電気特性の変化を観察することができる。しかし、当該装置の手法は、局所的に温度を変化させることができない。このため、不良箇所又はその周辺の局所的な温度変化に伴う電気特性の変化を観察することができない。従って、特許文献2に示す装置においても、不良箇所を同定することは難しい。
そこで、本発明者らは、吸収電流を検出する方式の試料検査装置において、吸収電流の局所的な変化を容易に検出できる技術の提供を目的とする。
本発明者らは、2本の探針を試料に接触させた状態で検査範囲を電子線で走査し、2本の探針から検出される吸収電流の分布像を出力する試料検査装置に適用して好適な装置構成を提案する。
例えば、少なくとも2つの探針により電気的に接続された試料側の配線区間を未知の抵抗分として用いるブリッジ回路と、平衡状態時に等電位が現われるブリッジ回路上の2点から信号を入力する差動増幅器と、差動増幅器の差動出力信号を電子線の走査に連動させて吸収電子像を出力する画像処理部とを有する装置構成を提案する。
この装置構成の場合、電子線が配線区間を照射すると、吸収電流が探針からブリッジ回路に流れて平衡状態から変化する。この平衡状態に対する変化分が差動増幅器で増幅され、吸収電流像が生成される。さらに、この装置構成は、電子線が不良箇所を照射する場合における局所的な抵抗値や電流値の変化をブリッジ回路内の抵抗比の変化として検出する。このため、配線区間における不良箇所を強調した吸収電子像を生成できる。
また例えば、少なくとも2つの探針により電気的に接続された試料側の配線区間に直列に接続される抵抗と、当該抵抗及び配線区間の接続中点に現われる信号を検出信号とする差動増幅器と、差動増幅器の差動出力信号を電子線の走査に連動させて吸収電子像を出力する画像処理部とを有する装置構成を提案する。
この装置構成の場合、電子線が配線区間を照射すると、吸収電流が探針から抵抗に流れて初期状態から変化する。この初期状態に対する変化分が差動増幅器で増幅され、吸収電流像が生成される。さらに、この装置構成は、電子線が不良箇所を照射する場合における局所的な抵抗値や電流値の変化を、直列に接続された抵抗に対する抵抗比の変化として検出する。このため、配線区間における不良箇所を強調した吸収電子像を生成できる。
本発明によれば、配線区間に含まれる不良箇所をその他の配線区間に対して強調した吸収電流像を得ることができる。この結果、不良箇所の同定精度や不良解析の測定効率を向上できる。
本発明の一形態例としての試料検査装置の概略構成を示す図。 図1に対応する構成を含む半導体検査装置の構成例を示す図。 本発明の一形態例としての試料検査装置の概略構成を説明する図。 図3に対応する構成を含む半導体検査装置の構成例を示す図。
以下、図面を参照して本発明の形態例を説明する。
(形態例1)
図1に、試料検査装置の概略構成例を示す。形態例に係る試料検査装置は、前述した検出方式のうち電子線吸収電流像(EBAC)の生成に差動増幅器を用いる方式に対応する。
形態例に係る装置は、電子線源5から試料2に一次電子線1を照射する。試料2には配線パターン3が形成されている。この明細書において、配線パターン3には、試料2の表面に露出した配線パターン(「ネット」ともいう。)だけでなく、下層面に形成される配線パターンも含まれる。また、配線パターン3には、単一層に形成される配線パターンだけでなく、複数層に亘って立体的に接続された配線パターンも含む。さらに、この明細書における配線パターン3には、設計上の配線パターンだけでなく、ショート不良によって意図せず接続された配線パターンも含まれる。図1では、配線パターン3を簡略的に表している。
形態例に係る装置は、少なくとも2本の探針4を有している。当該装置は、検査時に、検査対象とする配線パターン3の両端又は2つのパッドにそれぞれ探針4を接触させる。探針4が所定位置に接触された状態で、配線パターン3を含む試料2の表面領域を一次電子線1で走査する。一次電子線1が配線パターン3(配線パターン3内の不良箇所6も含む。)を照射すると、一次電子線1の電子が配線パターン3内に入り込む。これが吸収電流である。吸収電流は、探針4によって取り出される。通常、EBACは、吸収電流を検出した信号(吸収電流信号)の分布像として生成される。なお、一次電子線1が配線パターン3以外の領域を照射した場合、探針4からの出力に吸収電流が含まれることはない。
形態例に係る装置の場合、検出対象である配線パターン3を、ブリッジ回路11を構成する未知の抵抗分として扱う。すなわち、2つの探針4の接触点を両端とする配線パターン3(未知の抵抗分)が、ブリッジ回路11を構成する一対の直列回路のうち一方側の直列回路の構成要素になるように配線する。図1の場合、配線パターン3を、抵抗値が既知の固定抵抗10に直列に接続する。なお、ブリッジ回路11の他方の直列回路は、抵抗値を可変制御できる可変抵抗8と抵抗値が既知の固定抵抗9で構成する。勿論、2つの探針4を試料2の所定位置に接触させない場合、固定抵抗10を含む直列回路は等価的に線路が切断された回路となり、ブリッジ回路11はブリッジ回路として機能しなくなる。
この形態例の場合、探針4の根元から延びる引き出し配線の一方と可変抵抗8の接続中点が電流の流入側となり、固定抵抗9及び10の接続中点が電流の流出側となるように定電流源7が接続される。すなわち、定電流源7は、可変抵抗器8の配置側が電流分岐点となり、固定抵抗9の配置側が電流合流点となるように接続される。2つの探針4が試料2の所定位置に接触されることで閉回路が完成し、定電流源7の電流は2つの直列回路に分岐して流れる。なお、図1の場合には、定電流源7を接続した例を示しているが、定電流源7に代えて電圧源を接続する構成を採用することもできる。
ブリッジ回路11は、可変抵抗8と固定抵抗9の接続中点を一方の出力端Aとし、未知の抵抗分(配線パターン3の抵抗分)と固定抵抗10の接続中点を他方の接続端Bとする。すなわち、ブリッジ回路11が平衡状態の場合に等電位が現われる2点を出力端とする。図1の場合、可変抵抗8と固定抵抗9の接続中点を差動増幅器12の反転入力端に接続し、(配線パターン3の抵抗分)と固定抵抗10の接続中点を差動増幅器12の非反転入力端に接続する。差動増幅器12の出力端には、ブリッジ回路11の固定抵抗9及び10に流れる電流又は固定抵抗9及び10の両端に発生する電圧に応じて発生される信号を差動増幅した差動出力信号が現れる。後述するように、ブリッジ回路11が平衡状態の場合、差動出力信号はゼロであり、一次電子線1が配線パターン3を照射する場合、差動出力信号は非ゼロとなる。
差動出力信号は、不図示の画像処理部において、一次電子線1の走査位置に関連付けられた輝度値に変換される。図1では、表示部14に、配線パターン3に対応する吸収電流像13が表示された状態を示す。なお、吸収電流像13のうち破線で囲んで示す領域部分は、配線パターン3の不良箇所6に対応する吸収電流像15である。不良箇所6以外の配線パターン3に比して輝度変化が大きく表示されていることが分かる。
続いて、形態例1に係る試料検査装置を用いた検査動作例を説明する。なお、以下の説明では、探針4は、既に試料2の所定位置に接触されているものとする。
まず、ブリッジ回路11を平衡状態に調整する動作を説明する。この動作時、一次電子線1は照射されない。従って、可変抵抗8及び固定抵抗9で構成される直列回路と、配線パターン3(未知の抵抗分)と固定抵抗10で構成される直列回路には、定電流源7より供給される電流のみが流れる。配線パターン3の抵抗値は未知であるので、初期状態でのブリッジ回路11は平衡状態にない。従って、差動増幅器12の出力端には、非ゼロの差動出力信号が現れる。この差動出力信号を不図示の抵抗制御部で監視し、差動出力信号がゼロになるように、可変抵抗8の抵抗値を可変制御する。すなわち、各直列回路の出力端A及びBに電位差が生じない状態に可変抵抗8の抵抗値を可変制御する。
次に、検査開始後の動作を説明する。なお、検査開始後も、一次電子線1が配線パターン3以外の領域を照射する場合には、ブリッジ回路11の平衡状態が維持されることは言うまでもない。まず、一次電子線1が不良箇所6を除く配線パターン3を照射する場合を説明する。この場合、一次電子線1のうち配線パターン3に入り込んだ電子による電流(吸収電流)は、一次電子線1の照射点から探針4までの配線パターン3の抵抗値に応じて分流される。分流後の電流は、平衡状態にあるブリッジ回路11に流れる電流に重畳される。
なお、分流された吸収電流の一部に対応する信号は、差動増幅器12の非反転入力端に与えられ、吸収電流の残りの一部に対応する信号は、可変抵抗8を経由して差動増幅器12の反転入力端に与えられる。すなわち、差動増幅器12の差動入力端には、吸収電流による信号の変位分が与えられる。具体的には、固定抵抗9及び10に流れる電流差又は固定抵抗9及び10の両端に発生する電圧差に応じた差信号(非ゼロ)が差動増幅器12に入力される。この結果、表示部14の表示画面のうち一次電子線1の照射位置に対応する座標点には、配線パターン3を除く領域部分とは異なる輝度値の輝点が表示される。かくして、配線パターン3が画面上に表示される。
続いて、一次電子線1が配線パターン3内の不良箇所6を照射する場合を説明する。一般に、不良箇所6は、配線パターン3の正常部分とは異なる抵抗値を有しているか、異種金属で構成されている。以下では、不良箇所6の構造別に、一次電子線1を照射した際の動作内容を説明する。
まず、不良箇所6の抵抗値が配線パターン3の正常部分とは異なる抵抗値を有している場合についての動作を説明する。不良原因には、正常部分に比して高い抵抗値を有する場合(高抵抗不良)や正常部分に比して低い抵抗値を有する場合(低抵抗不良)が想定される。
いずれの場合も、不良箇所6は、一次電子線1の熱エネルギーにより加温される。これに伴い、不良箇所6の抵抗値は一時的に増加する。しかも、不良箇所6は、局部的な存在であり、かつ、前後の配線区間の抵抗値との間に連続性がない。このため、不良箇所6の抵抗値の変化は、配線パターン3の正常領域に一次電子線1が照射される場合に比べ、吸収電流の流れ方(抵抗値)に大きな影響を与えることになる。
以下、この現象をより詳細に説明する。半導体デバイスの製造上、不良箇所6が配線パターン3と同じ抵抗値及び形状を有することは非常に稀である。従って、不良箇所6の線幅は、配線パターン3より細い場合と太い場合のいずれかになる。不良箇所6が配線パターン3より太い場合、不良箇所6は配線パターン3よりも太く見えるため、不良箇所は見え易い。一方、不良箇所6が配線パターン3より細い場合、不良箇所6の熱容量は配線パターン3の熱容量よりも小さい。従って、一次電子線1が照射された場合の抵抗値の変化は、配線パターン3よりも大きくなる。さらに、不良箇所6が配線パターン3とは異種の金属で構成される場合、不良箇所6の熱容量が小さいことにより、一次電子線1が照射された場合のゼーベック効果は配線パターン3に比して大きくなる。なお、ゼーベック効果とは、異種金属が接合された箇所で電位差が生じ、その電位差が温度に比例する現象をいう。すなわち、不良箇所6に一次電子線1が当たる場合と不良箇所6に一次電子線1が当たらない場合(配線パターン3に一次電子線1が当たる場合)とでは、不良箇所6の抵抗値に違いが生じる。
ところで、配線パターン全体に流れ得る電流の値は、配線パターン3のみの場合(不良箇所6が無い場合)と比較し、不良箇所6が有する抵抗値により制限を受ける。このため、不良箇所6に一次電子線1が当たり、不良箇所6の抵抗が僅かにでも変化すると、不良箇所に流れる吸収電流量に変化が生じる。この吸収電流量の変化は、配線パターン全体に流れる電流の変化と同じであるので、配線パターン全体の抵抗値が変化としたのと同じ効果を持つ。
そこで、本形態例の場合には、ブリッジ回路11内の抵抗比の変化が強調された検出信号として吸収電流像を生成する。
実際、不良箇所6が一次電子線1で照射された場合に出現する差信号は、配線パターン3の他の領域部分から得られる差信号に対して変化する。このため、表示部14に表示される吸収電子像には、不良箇所6の領域と配線パターン3の他の領域との間に明確な輝度差(明暗差)が現われる。すなわち、不良箇所6が配線パターン3の他の領域に比して強調的に表示される。このことは、不良箇所6の画面上における同定が容易になることを意味する。
次に、不良箇所6の材料が配線パターン3の他の領域とは異なる場合、すなわち異種金属である場合について説明する。例えばショート不良を想定する。前述したように、異種金属が接合された箇所では、ゼーベック効果が発生する。従って、不良箇所6が一次電子線1の照射によって加温されて温度が上昇すると、不良箇所6の部分における電位差は一層大きくなる。すなわち、一次電子線1が配線パターン3の他の領域を照射している場合と、一次電子線1が不良箇所6を直接照射している場合とでは、不良箇所6の領域に生じる電位差が大きく変化する。このことは、不良箇所6が一次電子線1で照射されると、配線パターン3内の吸収電流の流れ方(抵抗値)に変化が現われることを意味する。すなわち、ブリッジ回路11内の抵抗比が変化する。従って、ブリッジ回路11を通じて差動増幅器12に与えられる差信号の大きさは、不良箇所6に一次電子線1を照射する場合と配線パターン3の他の領域部分に一次電子線1を照射する場合とで異なることになる。このため、表示部14に表示される吸収電子像には、不良箇所6の領域と配線パターン3の他の領域との間に明確な輝度差(明暗差)が現われる。すなわち、不良箇所6を配線パターン3の他の領域に比して強調的に表示することができる。このことは、不良箇所6の画面上における同定が容易になることを意味する。
なお、図1では、配線パターン3に不良箇所6が一箇所だけ示しているが、実際の試料2では、配線パターン3上に複数個の不良箇所6が存在することもある。ただし、原因が同じ不良箇所6では、一次電子線1の照射によって同じ反応が発生する。従って、配線パターン3上に存在する不良箇所6の数だけ、前述した明暗差が不良箇所6と配線パターン3の他の領域との間に発生する。すなわち、一次電子線1の一度の走査により、複数の不良箇所6を同時に検出することができる。
また、本形態例の場合、不良箇所6とその周囲に位置する配線パターン3の境界部分では差分入力が大きく変化する。この特性を利用することで、下層配線に存在する不良箇所6の識別がより容易になるという効果も期待される。一般に、試料表面の近くに位置する配線パターン3に対しては一次電子線1の散乱の影響が少なく、配線パターン3の輪郭も明確に検出され易い。これに対し、検査対象とする配線パターン3が試料表面から離れるのに従って(配置位置が深くなるのに従って)、配線パターン3の輪郭は不鮮明になる傾向がある。このため、従来装置の場合には、本来表示されないはずの配線パターン3の表示の有無などを通じてショート不良の発生の有無を確認できたとしても、不良箇所6を同定することが難しい。しかしながら、本形態例に係る試料検査装置を用いれば不良箇所6を配線パターン3と区別可能に表示できるため、不良箇所6の位置の同定が容易になる。
なお、前述の説明では、不良箇所6を配線パターン3の他の領域との違いを明暗差で表現するものとして説明したが、表示色の違いで表現することもできる。また、不図示の画像処理部において不良箇所6と配線パターン3の他の領域との検出信号の違いを強調する信号処理を加えても良い。例えば配線パターン3として検出された領域のうち、隣接領域に対して検出信号が閾値以上変化した領域を不良箇所6の境界として検出しても良い。
(形態例2)
図2に、形態例1に係る試料検査装置を搭載する半導体検査装置の構成例を示す。形態例に係る半導体検査装置は、電子線を照射できる電子線照射光学系を有している。電子線照射光学系は、電子線源5、コンデンサレンズ16、17、絞り18、スキャン偏向器19、イメージシフト偏向器20、対物レンズ21で構成される。従って、電子線源5より射出された一次電子線1は、コンデンサレンズ16及び17、絞り18、スキャン偏向器19、イメージシフト偏向器20、対物レンズ21を経由して試料2に照射される。この際、一次電子線1は、スキャン偏向器19等により試料2の表面を走査する。
試料2の表面のうち一次電子線1の照射領域からは二次電子線22が放出される。二次電子線22は、二次電子線検出器23により検出される。二次電子線検出器23は、SEM(scanning electron microscope)制御部24により制御される。この形態例の場合、SEM制御部24には、ビデオボード25及び記録部26が搭載される。
ビデオボード25には、SEM画像用のビデオ処理機能と吸収電流像用のビデオ処理機能が搭載される。このうち、SEM画像用のビデオ処理機能には、二次電子線検出器23より検出された信号をディジタル信号に変換する処理機能と、一次電子線1の走査に同期させて表示部14によりSEM画像を表示する処理機能とが搭載されている。
一次電子線1の走査に同期して二次電子線22の検出信号が表示部14に表示されることにより、表示画面上にはSEM像が構成される。ここで、二次電子線22の検出信号と当該検出信号から構成されたSEM像は、記録部26に記録される。吸収電流像用のビデオ処理機能については後述する。
SEM制御部24は、ビデオ信号の処理だけでなく半導体検査装置全体の制御にも用いられる。SEM制御部24によりSEM像を表示部14に表示できることにより、試料表面の配線パターン3と、当該配線パターン3に対する探針4の接触位置を画面上で確認することができる。
次に、検査対象である試料2周辺の装置構成を説明する。この形態例の場合、試料2は半導体集積回路である。例えば半導体集積回路がマトリクス状に配列されたウェハを想定する。試料2は、試料ホルダ27に固定的に載置されている。試料台としての試料ステージ28は、試料ホルダ27をX軸、Y軸、Z軸の3軸方向に移動可能な機構を有している。試料2に接触される各探針4は、それぞれ専用の探針ステージ29により搬送駆動される。この探針ステージ29は、対応する探針4をX軸、Y軸、Z軸の3軸方向に移動可能な機構を有している。これらの機構により、試料2の任意の領域に探針4を接触させることができる。これにより、試料2の表面に形成された配線パターン3と探針4をSEM像として確認しながら探針4の接触位置を調整することができる。
2本の探針4を試料2の配線パターン3の両端やパッドに接触させることにより、2つの探針4間に未知の抵抗が接続された状態が形成される。すなわち、ブリッジ回路11が完成される。
この探針4の接触後、一次電子線1の照射開始前の段階で、ブリッジ回路11を平衡状態に調整する制御が実行される。具体的には、可変抵抗8の抵抗値を、差動出力信号に応じて制御する動作が実行される。なお、ブリッジ回路11を構成する4つの抵抗値のうち固定抵抗9及び10は既知である。このため、固定抵抗9及び10に印加される電圧が検出できれば、試料2の配線パターン3の抵抗値を求めることができる。ブリッジ回路11が平衡状態とは、固定抵抗9及び10に印加される電圧が同じになる状態である。
一次電子線1を照射しない状態において、差動増幅器12の差動入力端子には出力端A及びBのそれぞれから電圧(固定抵抗9及び10に印加される電圧)が与えられる。差動増幅器12の差動出力信号は増幅器30により増幅される。増幅後の差動出力信号は、ビデオボード25とA/D変換器32に与えられる。A/D変換器32は、入力された差動出力信号をディジタル信号に変換し、抵抗制御部31に出力する。抵抗制御部31は、入力値(差動出力信号のディジタル信号の値)がゼロになるように可変抵抗8の抵抗値を可変制御する。この形態例の場合、抵抗制御部31は、入力値をゼロにするための抵抗値の換算データを不図示の記憶領域に有している。
抵抗制御部31は、入力値に応じた換算データを可変抵抗8に対して出力し、可変抵抗8の抵抗値を任意の抵抗値に設定する。なお、抵抗制御部31の記憶領域には可変抵抗8の初期値が記憶されており、定電流源7から定電流が供給される前に可変抵抗8の抵抗値を設定することができるようになっている。この定電流の印加前の抵抗値の制御を可能とするため、図2には、抵抗制御部31から定電流源7に延びる制御線を描いている。
以上のように、抵抗制御部31は、一次電子線1の照射前に可変抵抗8の抵抗値を適正値に制御し、ブリッジ回路11を平衡状態に制御する。なお、平衡状態が実現されることで、可変抵抗8の抵抗値が換算データとして確定する。従って、抵抗制御部31は、探針4間に接続されている未知の抵抗の抵抗値(回路パラメータ)を算出することができる。算出された未知の抵抗の抵抗値は、抵抗制御部31の記憶領域に保存されると共に、必要に応じて外部に出力される。なお、配線パターン3の抵抗値(回路パラメータ)が計算されると、次回以降の検査時において平衡状態が得られるように可変抵抗8の抵抗値を自動設定できる。また、配線パターン3の抵抗値(回路パラメータ)に基づいて、不良箇所6を破壊せずに済む電源条件(定電流源7又は定電圧源)を設定することが可能になる。
ブリッジ回路11が平衡状態に制御されることで、一次電子線1による試料2の照射が可能な状態になる。一次電子線1の照射が可能になった状態を示す許可通知は、不図示の信号線を通じて抵抗制御部31からSEM制御部24に与えられる。半導体検査装置の全体を制御するSEM制御部24は、許可通知の受け取り後以降に、一次電子線1の照射とその走査制御を開始する。
一次電子線1は試料2の表面に沿って走査される。一次電子線1の照射位置が配線パターン3(不良箇所6を含む。)上に位置したとき、一次電子線1の一部の電子が配線パターン3(不良箇所6を含む。)に入り込む。この電子が吸収電流として2本の探針4からそれぞれ検出される。前述の通り、一次電子線1は、その照射位置から探針4までの抵抗値に応じて分流され、各探針4から吸収電流として出力される。
これら吸収電流の流入によりブリッジ回路11の平衡状態は崩れ、差動増幅器12の差動入力端には、非ゼロの差信号が与えられる。差動増幅器12の差動出力端には、この差信号を増幅した差動出力信号が現れる。この差動出力信号は、増幅器30により吸収電流像13の表示に必要な増幅率にて増幅され、ビデオボード25に与えられる。この後、ビデオボード25は、差動増幅器12から入力された信号を、電子線照射光学系の走査に依存した信号と共に表示部14に与え、その表示画面上に吸収電流像13を表示させる。
この表示中に、一次電子線1が配線パターン3の不良箇所6を照射すると、一次電子線1の熱エネルギーにより不良箇所6の抵抗値が僅かに変動する。抵抗値が変動すると、不良箇所6に流れる電流も僅かに変動する。この抵抗値の変動及び電流の変動は、不良箇所6を除いた配線パターン3の変動の大きさとは異なる。従って、配線パターン3の他の領域とは明らかに異なる信号がブリッジ回路11から差動増幅器12に与えられる。この結果、差動増幅器12の差動出力端には、配線パターン3の他の領域とは異なる振幅の作動出力信号が現れる。かくして、表示部14の表示画面上には、配線パターン3のうち不良箇所6を強調的に表した吸収電流像15が表示される。すなわち、配線パターン3の他の領域に比して明暗差が強調された吸収電流像15が表示される。
以上説明したように、本形態例に係る半導体検査装置においては、2つの探針4に接続された配線パターン3の抵抗分をブリッジ回路11における未知の抵抗として用い、不良箇所6における抵抗値の僅かな違い又は変化を、ブリッジ回路11を構成する抵抗の抵抗比の変化として強調し、差動入力信号に反映させることができる。この結果、配線パターン3とそれ以外の領域だけでなく、配線パターン3内における僅かな抵抗変化を強調して検出することが可能になる。すなわち、不良箇所6を除く配線パターン3の部分(吸収電流像13)と不良箇所6の配線パターンの部分(吸収電流像15)とを識別可能に表示できる。
このような吸収電流像の表示により、高抵抗不良、低抵抗不良、ショート不良を容易に解析することができる。また、異種金属接合による配線パターンの不良の場合にも、不良箇所6に一次電子線1が照射される場合におけるゼーベック効果の変化を、ブリッジ回路11を構成する抵抗の抵抗比の変化として強調し、差動入力信号に反映させることができる。かくして、不良箇所6を除く配線パターン3の部分(吸収電流像13)と不良箇所6の配線パターンの部分(吸収電流像15)とを識別可能に表示できる。
このように、本形態例に係る半導体検査装置の場合には、配線パターン3の不良解析効率を飛躍的に向上させることができる。
なお、形態例に係る半導体検査装置の場合にも、一度に複数の不良箇所6を観察することができる。従って、形態例に係る装置の場合には、不良箇所の数に応じて観察回数を増やす必要がない。このことは、検査に伴う煩雑さを軽減できることに通じ、不良解析効率と利便性を同時に向上できることを意味する。
また、形態例に係る装置の場合には、ブリッジ回路11を平衡状態で動作させる条件に従って、可変抵抗8の抵抗値その他の回路パラメータを自動的に設定することができる。この結果、測定時における設定の煩雑さを軽減し、利便性を大幅に向上することができる。
(形態例3)
図3に、試料検査装置の他の概略構成例を示す。図3には、図1との対応部分に同一符号を付して示す。本形態例に係る試料検査装置も、電子線吸収電流像(EBAC)の生成に差動増幅器を用いる方式に対応する。
図3に示すように、形態例に係る装置は、2本の探針4が接触された配線パターン3の抵抗分(未知の抵抗分)の変化の検出に抵抗値変異検出回路35を使用する。図3に示す抵抗値変異検出回路35は、定電流源7に対し、2本の探針4が接触された配線パターン3の抵抗分(未知の抵抗分)と可変抵抗8を直列に接続した閉回路として構成される。また、可変抵抗8の両端に発生する電圧を差動増幅器12に対する差動入力信号として使用する。なお、図3では、定電流源7を接続した回路構成を描いているが、形態例1及び2の場合と同様に、定電流源に代えて定電圧源を接続することもできる。
配線パターン3の抵抗分(未知の抵抗分)と可変抵抗8は直列回路を構成する。従って、定電流源7から一定の電流が供給される本例では、可変抵抗8の両端には、その抵抗値と流れる電流の積で与えられる電圧が発生する。なお、定電圧源を用いる場合、可変抵抗8の両端には、配線パターン3の抵抗分(未知の抵抗分)と可変抵抗8の抵抗比で分圧した電圧が発生する。
この形態例の場合、配線パターン3の抵抗値(回路パラメータ)は、以下のように計算することができる。なお、計算処理は、不図示のコンピュータや信号処理部の演算処理を通じて行う。例えば電源に定電流源7を使用する場合、直列回路(配線パターン3の抵抗分と可変抵抗8で構成される。)の両端電圧を測定する。この電圧を既知の電流値で除算すれば、直列回路の合成抵抗値が求まる。直列回路の場合、合成抵抗値は各抵抗値の和で与えられる。従って、合成抵抗値から可変抵抗8の抵抗値を減算すれば、配線パターン3の抵抗分を算出することができる。一方、電源に定電圧源を使用する場合、可変抵抗8の両端に発生する電圧を測定する。この測定値を可変抵抗8の抵抗値(既知)で除算すると、直列回路に流れる電流値を求めることができる。また、直列回路の両端電圧(既知)から測定値を減算することにより、配線パターン3の抵抗分の両端に発生する電圧値を算出できる。従って、算出された電圧値を電流値で除算すれば、配線パターン3の抵抗分を算出することができる。
この形態例の場合、配線パターン3の抵抗分(未知の抵抗分)と可変抵抗8の接続中点Cを差動増幅器12の非反転入力端に接続し、可変抵抗8の他端Dを差動増幅器12の反転入力端に接続する。なお、非反転入力端に延びる配線には、コンデンサ34とスイッチ36で構成される並列回路を直列に接続する。スイッチ36が閉じている場合、配線パターン3の抵抗分と可変抵抗8の接続中点Cに現れる電位がそのまま非反転入力端に与えられる。一方、スイッチ36が開いている場合、配線パターン3の抵抗分と可変抵抗8の接続中点Cに現れる電位の変化分(交流成分)だけが非反転入力端に与えられる。
以下の説明では、試料2の所定位置に2本の探針4が接触されてはいるが、未だ一次電子線1が照射されていない状態を初期状態という。初期状態の場合、可変抵抗8の両端には一定の電圧が現れる。この電圧に応じた差動出力信号が差動増幅器12から不図示の画像処理部を通じて表示部14に与えられる。因みに、スイッチ36が閉じた状態で用いられる場合、可変抵抗8の両端に現われる電圧に応じた明るさの一様な画像が表示される。一方、スイッチ36が開いた状態で用いられる場合、可変抵抗8の両端に現われる電圧は一定であるので、差動入力端の電位差はゼロになる。
次に、一次電子線1が配線パターン3を照射した場合を想定する。この場合、一次電子線1の電子が配線パターン3に入り込む。入り込んだ電子は、一次電子線1の照射位置から各探針4までの抵抗値に応じて分流され、吸収電流として各探針4から出力される。図3の場合であれば、定電流源7から供給される電流に吸収電流が重畳される。この吸収電流の重畳分だけ可変抵抗8に発生する電圧が初期状態に対して変化する。このように、可変抵抗8の電圧が初期状態に対して変化した領域が吸収電子像13として画面上に表示される。なお、スイッチ36が開いている場合には、配線パターン3のうち一次電子線1の走査方向に対して垂直方向に延びる配線パターン3の輪郭部分が画面上に表示される。
続いて、一次電子線1が配線パターン3の不良箇所6を照射した場合を説明する。この場合、不良箇所6では、形態例1で説明したように、一次電子線1の熱エネルギーによる加温に伴う抵抗値の一時的な増加やゼーベック効果による一時的な起電力の発生が認められる。
なお、配線パターン3内において、不良箇所6は局所的な存在である。また、不良箇所6の抵抗値は、配線パターン3の他の領域(不良箇所を含まない領域)の抵抗値と大きく異なっている。従って、不良箇所6の抵抗値の変化は、配線パターン3に流れる吸収電流や抵抗値に変化として現われる。すなわち、配線パターン3と可変抵抗8の抵抗比が変化する。
この結果、可変抵抗8の両端には、一次電子線1が配線パターン3の他の領域(不良箇所を含まない領域)を照射する場合とは異なる電圧が発生する。従って、差動増幅器12の差動出力端には、一次電子線1が配線パターン3を照射する場合とは異なる差動出力信号が現われる。従って、表示画面上には、配線パターン3に対応する吸収電流像13に比して明暗差が大きい不良箇所6に対応する吸収電流像15が表示される。すなわち、不良箇所6を配線パターン3の他の領域に比して強調的に表示することができる。従って、不良箇所6を検出画面上で容易に同定できる。
勿論、この形態例の場合も、不良箇所6に対応する検出信号の変化はいずれも同じである。従って、試料2に複数の不良箇所6が存在する場合にも、存在する不良の数だけ、同じ表示が得られることになる。すなわち、一次電子線1の一度の走査により、複数の不良箇所6を同時に検出することができる。
また、本形態例の場合にも、前述した形態例1の場合と同様に、試料表面から離れた位置(深い位置)にある配線パターン3の不良箇所6の同定が容易である。また、本形態例の場合も、前述した形態例1の場合と同様に、不良箇所6の表示と配線パターン3の表示を明暗差ではなく、表示色の違いとして表現しても良い。また、不図示の画像処理部において不良箇所6と配線パターン3の他の領域との検出信号の違いを強調する信号処理を加えても良い。
(形態例4)
図4に、形態例3に係る試料検査装置を搭載する半導体検査装置の構成例を示す。なお、図4には、図2(形態例2)との対応部分に同一符号を付して示している。以下では、形態例2との相違点、特に抵抗値変異検出回路35に関連する制御動作を中心に説明する。
説明の前提として、2本の探針4は、試料2の配線パターン3の両端やパッドに既に接触されているものとする。すなわち、抵抗値変異検出回路35が動作可能な状態になっているものとする。
一次電子線1の照射を開始する前に、可変抵抗8の抵抗値は初期値に設定される。抵抗制御部31には、定電流源7と可変抵抗8の初期値が保持されており、当該初期値が抵抗制御部31を通じて設定される。
なお、電源に定電圧源を使用する場合、初期設定の後、抵抗制御部31を通じてスイッチ36を閉制御することにより、配線パターン3の抵抗値を計算することができる。スイッチ36を閉制御すると、コンデンサ34を使用しない回路構成を選択することができる。この場合、可変抵抗8の両端に発生する電圧を検出することができる。可変抵抗8の両端に発生した電圧は、増幅器30及びA/D変換器32を通じて抵抗制御部31に入力される。ここで、抵抗制御部31は、定電圧源の電圧値、可変抵抗8の抵抗値、増幅器30の増幅率のいずれも知っている。従って、抵抗制御部31は、これら既知の値と増幅器30の出力値を用いることにより、配線パターン3の抵抗値を計算することができる。
これに対し、電源に定電流源7を使用する場合、配線パターン3と可変抵抗8の両端に発生する電圧を検出すれば、配線パターン3の抵抗値(回路パラメータ)を算出できる。このように、配線パターン3の抵抗値を算出することができれば、検出に適した抵抗比が得られるように可変抵抗8の抵抗値を自動的に設定することが可能になる。
図4の説明に戻る。前述した初期設定動作が終了すると、抵抗制御部31はスイッチ36を開制御する。すなわち、コンデンサ34を使用する回路構成を選択する。この場合、差動増幅器12の非反転入力端には、可変抵抗8の両端に発生する電圧のうち変化分(交流成分)だけが入力される。
このとき、定電流源7より配線パターン3及び可変抵抗8に一定の電流が供給されている。この状態で、一次電子線1が配線パターン3を照射すると、定電流源7から供給される定電流に吸収電流が重畳される。この吸収電流の重畳の開始時と終了時には、可変抵抗8の両端に発生する電圧が変化する。このとき、当該変化分に対応する差動出力電圧が差動増幅器12から増幅器30に与えられ、表示部14には配線パターン3の輪郭を与える吸収電流像13が表示される。
次に、一次電子線1が配線パターン3の不良箇所6を照射したとする。この場合、一次電子線1が有する熱エネルギーにより不良箇所6の抵抗値が大きく変化し、配線パターン3に流れる吸収電流が変動する。吸収電流が変動すると、配線パターン3の抵抗値も変化する。かくして、配線パターン3の抵抗分と可変抵抗8の抵抗比が、不良箇所6以外の配線パターン3に一次電子線1が照射される場合に比して大きく変化する。この結果、可変抵抗8の両端に発生する電圧には、比較的大きな変化が生じる。なお、一次電子線1の不良箇所6に対する照射位置に応じて抵抗値が変化する場合には、一次電子線1の照射位置の移動に伴って発生する電圧変化が差動出力電圧として差動増幅器12から増幅器30に与えられる。この結果、表示部14には、配線パターン3の不良箇所やその輪郭を与える吸収電流像15が表示される。
以上説明したように、本形態例に係る半導体検査装置においては、2つの探針4に接続された配線パターン3の抵抗分を抵抗値変異検出回路35における未知の抵抗として用い、不良箇所6と配線パターン3の他の領域部分との間における抵抗値の僅かな違い又は変化を強調し、差動入力信号に反映させることができる。この結果、配線パターン3とそれ以外の領域だけでなく、配線パターン3内における僅かな抵抗変化を強調して検出することが可能になる。すなわち、不良箇所6を除く配線パターン3の部分(吸収電流像13)と不良箇所6の配線パターンの部分(吸収電流像15)とを識別可能に表示できる。
このような吸収電流像の表示により、高抵抗不良、低抵抗不良、ショート不良を容易に解析することができる。また、異種金属接合による配線パターンの不良の場合にも、不良箇所6に一次電子線1が照射される場合におけるゼーベック効果の変化を、配線パターン3と可変抵抗8の抵抗比の変化として強調し、差動入力信号に反映させることができる。かくして、不良箇所6を除く配線パターン3の部分(吸収電流像13)と不良箇所6の配線パターンの部分(吸収電流像15)とを識別可能に表示できる。
なお、形態例に係る半導体検査装置の場合にも、一度に複数の不良箇所6を観察することができる。従って、形態例に係る装置の場合には、不良箇所の数に応じて観察回数を増やす必要がない。このことは、検査に伴う煩雑さを軽減できることに通じ、不良解析効率と利便性を同時に向上できることを意味する。
また、形態例に係る装置の場合には、可変抵抗8の抵抗値その他の回路パラメータを自動的に事前に設定することができる。従って、測定時における設定の煩雑さを軽減し、利便性を大幅に向上することができる。
1:一次電子線
2:試料
3:配線パターン
4:探針
5:電子線源
6:不良箇所
7:定電流源
8:可変抵抗
9:固定抵抗
10:固定抵抗
11:ブリッジ回路
12:差動増幅器
13:吸収電流像
14:表示部
15:吸収電流像(不良箇所)
16,17:コンデンサレンズ
18:絞り
19:スキャン偏向器
20:イメージシフト偏向器
21:対物レンズ
22:二次電子線
23:二次電子線検出器
24:SEM制御部
25:ビデオボード
26:記録部
27:試料ホルダ
28:試料ステージ
29:探針ステージ
30:増幅器
31:抵抗制御部
32:A/D変換機
34:コンデンサ
35:抵抗値変異検出回路
36:スイッチ

Claims (10)

  1. 試料を載置できる試料台と、
    電子線を前記試料に照射できる電子線照射光学系と、
    前記試料に接触される少なくとも2つの探針と、
    前記試料に対する2つの探針の接触により特定される配線区間を未知の抵抗分として用いるブリッジ回路と、
    平衡状態時に等電位が現れる前記ブリッジ回路上の2点から信号を入力する差動増幅器と、
    前記試料に対する電子線の走査に伴って前記差動増幅器に現われる差動出力信号と前記電子線の走査を制御する信号とに基づいて吸収電流像を出力する画像処理部と、
    前記吸収電流像を表示する表示部と
    を有することを特徴とする試料検査装置。
  2. 請求項1に記載の試料検査装置において、
    前記試料が、配線パターンが形成された半導体試料である
    ことを特徴とする試料検査装置。
  3. 請求項1又は2に記載の試料検査装置において、
    前記配線区間の回路パラメータを、前記ブリッジ回路の既知の抵抗値を用いた演算処理を通じて計算する
    ことを特徴とする試料検査装置。
  4. 試料を載置できる試料台と、電子線を前記試料に照射できる電子線照射光学系と、前記試料に接触される少なくとも2つの探針とを有する試料検査装置を用いた吸収電流像の作成方法において、
    前記試料に対する2つの探針の接触により特定される配線区間を未知の抵抗分として用いるブリッジ回路を平衡状態に制御する処理と、
    平衡状態時に等電位が現れる前記ブリッジ回路上の2点から信号を差動増幅器に入力する処理と、
    前記試料に対する電子線の走査に伴って前記差動増幅器に現われる差動出力信号と前記電子線の走査を制御する信号とに基づいて吸収電流像を出力する処理と、
    前記吸収電流像を表示する処理と
    を有することを特徴とする試料検査装置を用いた吸収電流像の作成方法。
  5. 試料を載置できる試料台と、
    電子線を前記試料に照射できる電子線照射光学系と、
    前記試料に接触される少なくとも2つの探針と、
    前記試料に対する2つの探針の接触により特定される配線区間に直列に接続される抵抗と、当該抵抗及び前記配線区間に定電流又は定電圧を供給する定電流源又は定電圧源とを有し、前記抵抗及び前記配線区間の接続中点に現われる信号を検出信号とする検出回路と、
    前記検出信号から直流成分を除去する素子と、
    直流成分を除去した後の前記検出信号と基準信号を入力する差動増幅器と、
    前記試料に対する電子線の走査に伴って前記差動増幅器に現われる差動出力信号と前記電子線の走査を制御する信号とに基づいて吸収電流像を出力する画像処理部と、
    前記吸収電流像を表示する表示部と
    を有することを特徴とする試料検査装置。
  6. 請求項5に記載の試料検査装置において、
    前記差動増幅器に対する一方の入力を、直流成分を除去した後の前記検出信号と直流成分を除去する前の前記検出信号の間で切り替える切替手段
    を有することを特徴とする試料検査装置。
  7. 請求項5又は6に記載の試料検査装置において、
    前記抵抗が、可変抵抗である
    ことを特徴とする試料検査装置。
  8. 請求項5又は6に記載の試料検査装置において、
    前記試料が、配線パターンが形成された半導体試料である
    ことを特徴とする試料検査装置。
  9. 請求項5又は6に記載の試料検査装置において、
    前記配線区間の回路パラメータを、前記抵抗の抵抗値及び前記差動増幅器に現われる差動出力信号を用いた演算処理を通じて計算する
    ことを特徴とする試料検査装置。
  10. 試料を載置できる試料台と、電子線を前記試料に照射できる電子線照射光学系と、前記試料に接触される少なくとも2つの探針とを有する試料検査装置を用いた吸収電流像の作成方法において、
    前記試料検査装置が、前記試料に対する2つの探針の接触により特定される配線区間に直列に接続される抵抗と、当該抵抗及び前記配線区間に定電流又は定電圧を供給する定電流源又は定電圧源とを含む検出回路を有し、
    前記抵抗及び前記配線区間の接続中点に現われる信号を検出信号として直流成分を除去する素子に入力する処理と、
    直流成分を除去した後の前記検出信号と基準信号を差動増幅器に入力する処理と、
    前記試料に対する電子線の走査に伴って前記差動増幅器に現われる差動出力信号と前記電子線の走査を制御する信号とに基づいて吸収電流像を出力する処理と、
    前記吸収電流像を表示する処理と
    を有することを特徴とする試料検査装置を用いた吸収電流像の作成方法。
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