JP4357923B2 - X線検査装置、x線検査方法およびx線検査装置の制御プログラム - Google Patents

X線検査装置、x線検査方法およびx線検査装置の制御プログラム Download PDF

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Description

本発明は、X線検査装置、X線検査方法およびX線検査装置の制御プログラムに関し、被測定部位の厚みを計測するX線検査装置、X線検査方法およびX線検査装置の制御プログラムに関する。
この種のX線検査装置は、X線源とX線光変換器との間に被測定部位を有する対象試料を介在させ、同X線源からこの対象試料にX線を照射するとともに、対象試料を透過したX線をX線光変換器にて入射し、この入射したX線のX線強度に基づいて被測定部位の厚さを測定していた。このとき、X線源から出力されるX線のX線強度は、X線源の設置環境(温度等)によって上下変動しながら推移する。そこで、X線光変換器の近傍にX線測定器を配置し、このX線測定器で測定されるX線強度に基づき同X線源に対する印加電圧、電流を調整することによって、同X線源から照射されるX線によるX線強度が所望の値になるように補正していた。(例えば、特許文献1を参照。)。
特開平7−43320号公報
上述したX線検査装置においては、X線測定器にX線源から照射されるX線を入射させる必要がある。このとき、X線測定器をX線光変換器の近傍であって対象試料の範囲外に配置した場合、X線をX線測定器に入射させるため、X線の出力を補正するタイミング毎に、X線測定器とX線源とが対面するようにいずれか一方の位置を移動させなければならない。一方、X線測定器をX線光変換器の近傍であって対象試料の範囲内に配置した場合、X線をX線測定器に入射させるため、X線の出力を補正するタイミング毎に、対象試料をX線源とX線光変換器との間から退避させ、X線測定器とX線源とを対面させなければならない。このように、X線の出力を補正するタイミング毎に、対象試料やX線測定器の移動動作を実施すると、被測定部位を測定するためのタクトタイムが冗長になってしまうという課題があった。一方、このタクトタイムの短縮を考慮すると、X線の出力を補正する頻度を少なくする必要があるため、リアルタイムにX線強度の補正を行うことができなくなり、被測定部位の計測精度が低下してしまうという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、被測定部位の計測精度を向上させるとともに、上述したタクトタイムを短縮することが可能なX線検査装置、X線検査方法およびX線検査装置の制御プログラムの提供を目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、X線吸収部材を有する被測定部位がX線非吸収性の媒体上に配置された対象試料に対してX線を照射するX線照射手段と、上記X線照射手段によって照射されたX線により上記対象試料を透過したX線強度を検出するとともに、同X線強度の検出前および検出時に同対象試料上の上記被測定部位を含まない所定領域を透過したX線強度を検出するX線強度検出手段と、上記X線強度検出手段によって検出された上記所定領域を透過したX線強度の変化度合いに基づいて上記対象試料を透過したX線強度を補正するX線強度補正手段と、上記X線強度補正手段によって補正された上記対象試料を透過したX線強度に基づいて上記被測定部位の厚みを計測する厚み計測手段とを具備する構成としてある。
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、被測定部位の厚みを計測するにあたり、先ずX線照射手段からX線吸収部材を有する被測定部位がX線非吸収性の媒体上に配置された対象試料に対してX線を照射する。そして、X線強度検出手段では、X線照射手段によって照射されたX線により対象試料を透過したX線強度を検出する。このとき、当該X線強度は、X線照射手段におけるX線照射時の出力が一定であっても、照射されたX線が周囲の環境(温度等)によってゆらぐことに起因して、上下変動することがある。すなわち、本来は、被測定部位におけるX線の吸収度合いによって変動するX線強度が、被測定部位におけるX線の吸収度合いとは相関関係が無い周囲環境によって変動してしまう。これによって、正確に被測定部位の厚さを計測することができなくなる。
そこで、本発明では、X線強度検出手段にて、対象試料を透過したX線強度の検出前および検出時に、対象試料上の被測定部位を含まない所定領域、すなわち、X線非吸収性の領域を透過したX線強度を検出し、この検出された所定領域を透過したX線強度の変化度合いに基づいて、X線強度補正手段にて対象試料を透過したX線強度を補正する。そして、この補正された上記対象試料を透過したX線強度に基づいて、厚み計測手段は被測定部位の厚みを計測する。このように、対象試料を透過するX線強度の検出前、検出時におけるX線非吸収性の領域でのX線強度の変化度合いに基づいて、この対象試料を透過したX線強度を補正することによって、上述したX線強度の上下変動を解消することが可能となり、対象試料を透過したX線強度の検出精度を向上させることが可能になる。また、対象試料内の領域にて補正のためのX線強度を検出するため、上述した背景技術のように、対象試料やX線測定器の移動動作を行う必要がなく、被測定部位の厚さを計測するタクトタイムを短縮させることが可能になる。
対象試料の構成の一例として、請求項2にかかる発明は、上記請求項1に記載のX線検査装置において、上記X線照射手段は、上記媒体上に形成された複数の対象試料について順次上記X線を照射可能であるとともに、上記X線強度検出手段は、上記X線照射手段によってX線が照射された上記対象試料について順次、上記各X線強度を検出する構成としてある。
上記のように構成した請求項2にかかる発明においては、X線非吸収性の媒体上に複数の対象試料が形成されている場合、X線照射手段は、順次、各対象試料にX線を照射する。このとき、X線強度検出手段は、X線照射手段によってX線が照射された対象試料について順次、各X線強度を検出する。このように媒体上に複数の対象試料が形成されている場合に、本発明を適用すると、各対象試料における被測定部位を含まない領域にて各対象試料の計測毎に補正用のX線強度を検出することができるため、よりタクトタイム短縮の効果を得ることが可能になる。
補正用のX線強度の検出方法の一例として、請求項3にかかる発明は、上記請求項2に記載のX線検査装置において、上記X線強度検出手段は、上記複数の対象試料について透過したX線強度を検出するにあたり、同複数の対象試料のうち、最初の対象試料を透過したX線強度の検出前に検出した同最初の対象試料上の上記被測定部位を含まない所定領域を透過したX線強度を、以降の各対象試料を透過したX線強度の検出前におけるX線強度として利用する構成としてある。
上記のように構成した請求項3にかかる発明においては、複数の対象試料について各X線強度を検出するにあたり、X線強度検出手段は、複数の対象試料のうち、最初の検出対象となる対象試料を透過したX線強度の検出前に検出した同最初の検出対象である対象試料上の被測定部位を含まない所定領域を透過したX線強度を、以降の各対象試料を透過したX線強度の検出前におけるX線強度として利用する。これによって、最初の検出対象の対象試料以外について、対象試料を透過したX線強度の検出前のX線強度を検出する必要がなくなり、よりタクトタイム短縮に寄与することができる。
透過したX線強度の検出手法の一例として、請求項4にかかる発明は、上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載のX線検査装置において、上記X線強度検出手段は、上記対象試料が無い状態にて上記X線照射手段から照射されたX線のX線強度を検出可能であるとともに、同検出された無試料状態のX線強度に基づいて上記対象試料を透過するX線強度を検出する構成としてある。
上記のように構成した請求項4にかかる発明においては、X線強度検出手段にて、対象試料が無い状態でのX線強度を検出可能にする。そして、X線強度検出手段は、この検出された無試料状態のX線強度に基づいて対象試料を透過するX線強度を検出する。
補正方法の一例として、請求項5にかかる発明は、上記請求項4に記載のX線検査装置において、上記X線強度補正手段は、上記検出された無試料状態でのX線強度に、上記X線強度検出手段での上記対象試料を透過したX線強度の検出時に検出した上記被測定部位を含まない所定領域を透過したX線強度の、上記対象試料を透過したX線強度の検出前に上記被測定部位を含まない所定領域を透過したX線強度に対する比を乗算することによって、上記対象試料を透過したX線強度を補正する構成としてある。
上記のように構成した請求項5にかかる発明において、X線強度補正手段は、検出された無試料状態でのX線強度に、X線強度検出手段での対象試料を透過したX線強度の検出時に検出した被測定部位を含まない所定領域を透過したX線強度の、対象試料を透過したX線強度の検出前に被測定部位を含まない所定領域を透過したX線強度に対する比を乗算することによって、対象試料を透過したX線強度を補正する。
X線吸収部材の一例として、請求項6にかかる発明は、上記請求項1〜請求項5のいずれかに記載のX線検査装置において、上記X線吸収部材は、はんだにて形成される構成としてある。
上記のように構成した請求項6にかかる発明においては、被測定部位を構成するX線吸収部材をはんだにて形成する。
X線非吸収性の媒体の一例として、請求項7にかかる発明は、上記請求項1〜請求項6のいずれかに記載のX線検査装置において、上記X線非吸収性の媒体は、シリコンウエハにて形成される構成としてある。
上記のように構成した請求項7にかかる発明においては、被測定部位が配置されるX線非吸収性の媒体をシリコンウエハにて形成する。
X線照射手段を具体的構成の一例として、請求項8にかかる発明は、上記請求項1〜請求項7のいずれかに記載のX線検査装置において、上記X線照射手段は、開放管型X線管にて形成される構成としてある。
上記のように構成した請求項8にかかる発明においては、X線照射手段を開放管型X線管にて形成する。
ここで、上述してきたX線吸収部材を有する被測定部位がX線非吸収性の媒体上に配置された対象試料に対してX線を照射することにより同被測定部位の厚みを計測するX線検査装置は、請求項9に示すように、その手順を提示した方法としても成立することは言うまでもない。すなわち、必ずしも実体のあるX線検査装置に限らず、X線検査方法としても有効であることに相違はない。
また、X線吸収部材を有する被測定部位がX線非吸収性の媒体上に配置された対象試料に対してX線を照射することにより同被測定部位の厚みを計測するX線検査装置は、上述したX線検査装置単独で実現される場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としては各種の態様を含むものであり、ソフトウェアであったりハードウェアであったりするなど、適宜変更可能である。すなわち、請求項10に示すように、発明の思想の具現化例としてX線検査装置をコンピュータにて実現可能にする制御プログラムとしても発明は成立することは言うまでもない。このとき、この制御プログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であっても良いし、光磁気記録媒体であっても良いし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
また、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地も無く同様である。その他、供給方法として通信回線を利用して行う場合でも本発明が利用されていることには変わりないし、半導体チップに書き込まれたようなものであっても同様である。さらに、一部がプログラム(ソフトウェア)であって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記録しておいて必要に応じて適宜読み込まれているような形態のものとしてあっても良い。
以上説明したように請求項1,請求項9,請求項10にかかる発明によれば、対象試料を透過したX線強度の検出精度を向上させることが可能であるとともに、被測定部位の厚さを計測するタクトタイムを短縮させることが可能なX線検査装置、X線検査方法およびX線検査装置の制御プログラムを提供することができる。また、請求項2にかかる発明によれば、タクトタイム短縮の効果を得ることができる。さらに、請求項3にかかる発明によれば、よりタクトタイムを短縮することができる。さらに、請求項4にかかる発明によれば、透過したX線強度の検出手法の一例を提示することができる。さらに、請求項5にかかる発明によれば、X線強度の補正方法の一例を提示することができる。さらに、請求項6にかかる発明によれば、X線吸収部材の一例を提示することができる。さらに、請求項7にかかる発明によれば、X線非吸収性を有する媒体の一例を提示することができる。さらに、請求項8にかかる発明によれば、X線照射手段に採用して好ましい、構成を提示することができる。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施形態について説明する。
(1)X線検査装置の構成:
(2)はんだバンプの厚み計測について:
(3)はんだバンプ計測処理の処理内容:
(4)まとめ:
(1)X線検査装置の構成:
図1は本発明にかかるX線検査装置の概略ブロック図である。同図において、このX線検査装置は、X線撮像機構部10とX線撮像制御部20とから構成されている。X線撮像機構部10は、X線発生器11とX線フラットパネルセンサ13とX−Yステージ15とを備えている。X線撮像制御部20は、X線制御部21とメモリ22とステージ制御部23と画像処理部24とCPU25と出力部26aと入力部26bとを備えている。メモリ22はデータを蓄積可能な記憶媒体であり、RAMやEEPROM(登録商標),HDD等種々の記憶媒体にて構成される。X線制御部21は、X線発生器11を制御して所定のX線を発生させることができ、メモリ22に記憶された所定の撮像条件を参照してX線管に対する印加電圧,撮像時間等を取得することにより、予め決められた撮像条件で駆動するようにX線発生器11を制御する。


ステージ制御部23はX−Yステージ15と接続されており、同X−Yステージ15をX軸方向およびY軸方向に移動させる。ステージ制御部23は後述するように、対象試料である半導体チップ32の測定や無試料での測定を実現するためにX−Yステージ15を移動させることができ、撮像条件に記述されたそれぞれの座標データをメモリ22から取得して、データで示される座標にX−Yステージ15を移動させる。画像処理部24は、X線フラットパネルセンサ13と接続されており、X線フラットパネルセンサ13が出力する検出値によって、X線強度を検出可能になっている。
出力部26aはCPU25での処理結果等を表示するディスプレイであり、入力部26bは利用者の入力を受け付ける操作入力機器であり、利用者は入力部26bを介して種々の入力を実行可能であるし、CPU25や画像処理部24での処理によって得られる種々の演算結果やはんだバンプ30の計測結果、はんだバンプ30の良否判定結果等を出力部26aに表示することができる。CPU25は、メモリ22に蓄積された各種制御プログラムに従って所定の演算処理を実行可能であり、利用者が入力部26b等によって検査指示等を行うことによって各種制御プログラムを実行し、計測したはんだバンプ30内の厚みに基づいて、このはんだバンプ30の高さ、面積、体積、ボイドの有無等の測定を実行し、当該はんだバンプ30の良否判定を行う。
X線発生器11は、上記X線制御部21の制御に従ってX線管に対する印加電圧を制御し、また、指示された時間、X線を照射する。図2にはX線管11aの概略構成を示している。同図に示すようにX線管11aは開放管と呼ばれるタイプのX線管であり、アノード11bとカソード11cと電子レンズ11dとターゲット11eと絞り11fを備えている。X線管11aに対する印加電圧によってカソード11cから飛び出した電子はアノード11b方向に進行し、コイルからなる電子レンズ11dおよび絞り11fによって絞られてターゲット11eの微小位置に衝突する。
ターゲット11eに電子が衝突すると当該ターゲット11e内の電子が励起され、励起された電子が低準位の軌道に遷移する際のエネルギーがX線として放射される。本実施形態におけるX線管11aは上述のように開放管であり、このタイプのX線管では図2に示すようにターゲット11eと試料との距離が非常に小さい状態で試料に対してX線を照射することができる。これに対して密閉管と呼ばれるタイプのX線管ではX線の照射方向にシャッターが備えられており、開放管と比較してターゲットと試料との距離が大きくなる。ターゲットの距離からX線フラットパネルセンサ13での距離を一定とした場合、ターゲットと試料との距離が近いほど倍率が大きくなって大きなX線像を得ることができる。
すなわち、本実施形態におけるX線検査装置は、より高分解能のX線撮像画像を得ることができるようになっている。本実施形態において、X線の照射方向にはX線フラットパネルセンサ13とX−Yステージ15とが配設されている。X−Yステージ15は、検査の対象試料となるはんだバンプ30を備える半導体チップ32を実装したシリコンウエハ31を載置可能であり、このシリコンウエハ31を載置した状態でX線の照射方向と略垂直方向にステージを移動させる。このとき、上記ステージ制御部23が指示する任意の座標値によって正確に位置を制御しつつステージを移動させることができる。
また、X−Yステージ15は、X線の照射範囲をシリコンウエハ31の載置範囲外にすることもできる。従って、X−Yステージ15によるステージの移動によって、X線の照射範囲内に検査の対象試料を配設可能であるし、X線が試料に照射されない状態にすることもできる。なお、図1ではシリコンウエハ31上に半導体チップ32が備えられ、この半導体チップ32の上面にBGAを形成する複数のはんだバンプ30が備えられている様子を模式的に示している。
X線フラットパネルセンサ13は、入射X線の強度に相当するデータを出力するイメージインテンシファイアである。具体的には、図3に示すように、X線フラットパネルセンサ13の下部には、シンチレータ13aが備えられており、入射X線は同シンチレータ13aにて可視光に変換される。シンチレータ13aの上方には光検出アレイ13bが配設される。この光検出アレイ13bの構成を図4に示す。同図において、光検出アレイ13bは、平面状に並べられた複数のCCD13b1が備えられており、上記可視光が各CCD13b1に到達すると各CCD13b1にて同可視光の強度に応じた電圧が検出される。
ここで、図5はCCD13b1上のある直線上で検出されるX線の強度をはんだバンプ30の一つについて拡大して示している。この検出電圧は、光検出アレイ13bに接続されたデジタル変換部13cにてデジタルデータに変換されるとともに、画像処理部24に入力される。そして、画像処理部24は、はんだバンプ30の検出強度が得られるため、当該画像処理部24は、この取得した検出強度から、図6に示すようにはんだバンプ30の厚みを計測する。
以下、はんだバンプ30の厚みを計測する手法を説明する。一般に、物質を透過したX線の強度は以下の式(1)にて表現することができる。
Figure 0004357923
ここで、IはX線検出器13によって検出されるX線強度であり、I0はX線が試料を透過しない場合にX線フラットパネルセンサ13によって検出されるX線強度であり、μは対象試料におけるX線吸収係数,tは対象試料の厚みである。
式(1)について自然対数をとると、以下の式(2)になる。
Figure 0004357923
同式(2)の左辺は対象試料の厚みに比例してその大きさが変化する。この厚みtは、上述したCCD13b1の画素毎に取得することができ、CCD13b1の各画素は平面上に配設されているので、この厚みtはCCD13b1の各位置毎に取得される。従って、2次元平面内の各位置に対応した厚みtを取得することとなり、この2次元平面の位置を(x,y)座標で特定することによって、はんだバンプ30の厚みtを計測することができる。
一方、X線制御部21によって、X線発生器11が発生するX線を一定に制御したとしても、このX線はX線撮像機構部10の周囲環境(温度等)が起因となってゆらぐことがある。このとき、X線フラットパネルセンサ13が検出するX線強度は、このゆらぎに応じて上下変動する。このようにX線のゆらぎによってX線強度が上下変動するということは、本来ははんだバンプ30におけるX線の吸収度合いによって変動するX線強度が、同はんだバンプ30におけるX線の吸収度合いとは相関関係が無い周囲環境によって上下変動することを示す。これによって、はんだバンプ30の厚さの計測精度が低下する。このX線強度の上下変動は、上述した式(1)におけるX線強度I0の周囲環境による変動によって発生する。
そこで、本実施形態においては、このX線強度I0をX線強度Iの検出時に際して補正することによって、X線強度Iに対する、X線のゆらぎに起因したX線強度I0の上下変動の影響を低減させることによって、はんだバンプ30の厚みを高精度に計測可能にする。
ここで、本発明の対象試料である半導体チップ32が形成されたX線非吸収性の媒体であるシリコンウエハ31の構成を図7に示すとともに、当該半導体チップ32の構成を図8に示す。図において、半導体チップ32は四角形に形成されるとともに配線パターンに対応してX線吸収部材のはんだバンプ30が配置されている。そして、かかる構成の半導体チップ32は円形形状のシリコンウエハ31上に複数配列されている。本実施形態では、この半導体チップ32の四角形形状がX線フラットパネルセンサ13にてX線強度Iを検出する際の撮像視野Sを構成する。
従って、ステージ制御部23によってX−Yステージ15を各半導体チップ32を撮像可能に移動制御しつつ、各半導体チップ32を順次撮像する。また、本実施形態では、半導体チップ32のはんだバンプ30が配置されていない領域をX線モニタ領域Rとし、このX線モニタ領域Rを透過するX線のX線強度をX線フラットパネルセンサ13にて検出し、当該検出したX線強度に基づいてX線強度I0を補正する。このようにX線モニタ領域Rをはんだバンプ30が配置されていない領域に形成すると同X線モニタ領域Rは、厚さが均一のX線非吸収性のシリコンウエハ31上に形成されることになる。従って、補正用のX線強度I0MONおよびX線強度I0REFを検出するには好ましい。
また、対象試料である半導体チップ32上にX線モニタ領域Rを形成することによって、補正用のX線強度I0MONおよびX線強度I0REFを検出するために、X−Yテーブル15をテーブル制御部23にて制御することにより、X線フラットパネルセンサ13とX線発生器11との間を無試料状態にする動作が不要となる。従って、X線強度Iの補正を行いつつ、各半導体チップ32上のはんだバンプ30を計測するタクトタイムを短縮することが可能になる。ここで、X線強度Iの検出前および検出時に、このX線モニタ領域Rを透過するX線強度を検出するにあたり、本実施形態ではX線強度Iの検出前に検出するX線強度をX線強度I0REFとし、X線強度Iの検出時に検出するX線強度をX線強度I0MONとして、式(2)のX線強度I0を次式によって補正し、補正後のX線強度I’0を算出する。
Figure 0004357923
そして、この式(3)を式(2)に代入し、次式(4)によって、式(2)にて計測されるはんだバンプ30の厚みtから補正後の厚みに比例する厚みt’を計測する。
Figure 0004357923
ここで、本実施形態において、補正用のX線強度I0REFは、シリコンウエハ31上の各半導体チップ32のうち、検査について最初の対象試料となる半導体チップ32でのみ検出する。これによって、各半導体チップ32毎にX線強度I0REFを検出する必要がなくなり、上述したタクトタイムをより短縮することが可能になる。また、本実施形態において半導体チップ32上に設定されるX線モニタ領域Rは、厚さが均一なX線非吸収性の媒体であるシリコンウエハ31上であって、はんだバンプ30が配置されていない領域に形成されているため、補正用のX線強度I0MON、X線強度I0REFを検出するのに好適である。
(3)はんだバンプ計測処理の処理内容:
次に、上述した機能を実現する際のはんだバンプ計測処理の処理内容を図9のフローチャートに示す。
同図において、先ずCPU25はメモリ22に記録された無試料測定位置の座標データを取得し、ステージ制御部23に受け渡す。ステージ制御部23はこの無試料測定位置座標データに従ってX−Yステージ15を移動させ、X線発生器11とX線フラットパネルセンサ13との間に試料であるシリコンウエハ31が配設されていない状態とする(ステップS105)。次に、CPU25はメモリ22に記憶された撮像条件を取得し、X線制御部21に受け渡す。X線制御部21はこの撮像条件に従ってX線発生器11での条件設定を行い、X線を照射させる(ステップS110)。
この設定によって照射されたX線は試料を透過せずにX線フラットパネルセンサ13に到達し、無試料画像を撮像する(ステップS115)。そして、CPU25は画像処理部24を制御してX線フラットパネルセンサ13で検出されたX線強度I0を取得する(ステップS120)。X線強度I0を取得すると、最初の対象試料になる半導体チップ32に移動する。このときCPU25はまずメモリ22に記録された当該半導体チップ32の座標データを取得し、ステージ制御部23に受け渡す。ステージ制御部23はこの座標データに従ってX−Yステージ15を移動させ、X線発生器11とX線フラットパネルセンサ13との間に当該半導体チップ32を配設させる(ステップS125)。そして、CPU25はメモリ22に記録された撮像条件を取得し、X線制御部21に受け渡す。
X線制御部21はこの撮像条件に従ってX線発生器11での条件設定を行い、X線を照射させ(ステップS130)、当該半導体チップ32の画像を撮像する(ステップS135)。ここで、CPU25はメモリ22に記録されたX線モニタ領域Rの座標データを取得し、同座標データに基づいて当該X線モニタ領域RにおけるX線強度I0REFを検出し取得するとともに(ステップS140)、撮像した画像に基づいてX線強度Iを検出し取得する(ステップS145)。次に、X線モニタ領域Rの取得した座標データに基づいて当該X線モニタ領域RにおけるX線強度I0MONを検出し取得する(ステップS150)。そして、取得したX線強度Iの検出前のX線強度0REFと検出後のX線強度I0MONを利用して式(3)に基づいてX線強度I0を補正し、補正後のX線強度I’0を算出する(ステップS155)。
このようにX線強度I’0を算出すると、式(4)に基づいて、補正後のはんだバンプ30の厚みt’を計測する(ステップS160)。ここで、この計測したはんだバンプ30の厚みt’に基づいて、当該半導体チップ32上の全てのはんだバンプ30の高さ、面積、体積、ボイドの有無等を測定するし(ステップS165)、各はんだバンプ30の良否を判定する(ステップS170)。そして、シリコンウエハ31に形成された全半導体チップ32についての計測が完了したか否かを判定する(ステップS175)。全半導体チップ32についての計測が完了していない場合は、CPU25はメモリ22に記録された次の対象試料となる半導体チップ32の座標データを取得し、ステージ制御部23に受け渡す。
ステージ制御部23はこの座標データに従ってX−Yステージ15を移動させ、X線発生器11とX線フラットパネルセンサ13との間に半導体チップ32を配設させる(ステップS180)。そして、CPU25はメモリ22に記憶された撮像条件を取得し、X線制御部21に受け渡す。X線制御部21はこの撮像条件に従ってX線発生器11での条件設定を行い、X線を照射させ(ステップS185)、当該半導体チップ32の画像を撮像する(ステップS190)。以降は、上述したステップS145〜ステップS175の処理を繰り返すことによって、シリコンウエハ31上の全半導体チップ32について計測を実行する。
(4)まとめ:
このように、対象試料である半導体チップ32上にX線強度Iを補正するためのX線強度Iの検出前のX線強度I0REFおよび検出後のX線強度I0MONを透過させるX線モニタ領域Rを形成することによって、従来技術のように補正用のX線強度を検出するために、X−Yテーブル15をテーブル制御部23にて制御することにより、X線フラットパネルセンサ13とX線発生器11との間を無試料状態にする動作が不要となり、X線強度Iの補正を行いつつ各半導体チップ32を計測するタクトタイムを短縮することを可能にする。
X線検査装置の構成を示した構成図である。 X線発生器の構成をを示した構成図である。 X線フラットパネルセンサの構成を示した構成図である。 光検出アレイの構成を示した構成図である。 検出強度を模式的に示した模式図である。 計測された厚みを模式的に示した模式図である。 シリコンウエハの構成を示した構成図である。 半導体チップの構成を示した構成図である。 はんだバンプ計測処理の処理内容を示したフローチャートである。
符号の説明
10…X線撮像機構部
11…X線発生器
11a…X線管
11b…アノード
11c…カソード
11d…電子レンズ
11e…ターゲット
11f…絞り
13…X線フラットパネルセンサ
15…X−Yステージ
20…X線撮像制御部
21…X線制御部
22…メモリ
23…ステージ制御部
24…画像処理部
26a…出力部
26b…入力部
30…はんだバンプ
31…シリコンウエハ
32…半導体チップ

Claims (9)

  1. X線吸収部材を有する被測定部位がシリコンウエハにて形成されたX線非吸収性の媒体上に配置された対象試料に対してX線を照射するX線照射手段と、
    上記X線照射手段によって照射されたX線により上記対象試料を透過したX線強度を検出するとともに、同X線強度の検出前および検出時に同対象試料上の上記被測定部位を含まないシリコンウエハにて形成されたX線非吸収性の所定領域を透過したX線強度を検出するX線強度検出手段と、
    上記X線強度検出手段によって検出された上記所定領域を透過したX線強度の変化度合いに基づいて上記対象試料を透過したX線強度を補正するX線強度補正手段と、
    上記X線強度補正手段によって補正された上記対象試料を透過したX線強度に基づいて上記被測定部位の厚みを計測する厚み計測手段とを具備することを特徴とするX線検査装置。
  2. 上記X線照射手段は、上記媒体上に形成された複数の対象試料について順次上記X線を照射可能であるとともに、上記X線強度検出手段は、上記X線照射手段によってX線が照射された上記対象試料について順次、上記各X線強度を検出することを特徴とする上記請求項1に記載のX線検査装置。
  3. 上記X線強度検出手段は、上記複数の対象試料について透過したX線強度を検出するにあたり、同複数の対象試料のうち、最初の対象試料を透過したX線強度の検出前に検出した同最初の対象試料上の上記被測定部位を含まない所定領域を透過したX線強度を、以降の各対象試料を透過したX線強度の検出前におけるX線強度として利用することを特徴とする上記請求項2に記載のX線検査装置。
  4. 上記X線強度検出手段は、上記対象試料が無い状態にて上記X線照射手段から照射されたX線のX線強度を検出可能であるとともに、同検出された無試料状態のX線強度に基づいて上記対象試料を透過するX線強度を検出することを特徴とする上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載のX線検査装置。
  5. 上記X線強度補正手段は、上記検出された無試料状態でのX線強度に、上記X線強度検出手段での上記対象試料を透過したX線強度の検出時に検出した上記被測定部位を含まない所定領域を透過したX線強度の、上記対象試料を透過したX線強度の検出前に上記被測定部位を含まない所定領域を透過したX線強度に対する比を乗算することによって、上記対象試料を透過したX線強度を補正することを特徴とする上記請求項4に記載のX線検査装置。
  6. 上記X線吸収部材は、はんだにて形成されることを特徴とする上記請求項1〜請求項5のいずれかに記載のX線検査装置。
  7. 上記X線照射手段は、開放管型X線管にて形成されることを特徴とする上記請求項1〜請求項のいずれかに記載のX線検査装置。
  8. 所定のX線照射機構から、X線吸収部材を有する被測定部位がシリコンウエハにて形成されたX線非吸収性の媒体上に配置された対象試料に対してX線を照射することにより同被測定部位の厚みを計測するX線検査方法であって、
    上記X線照射機構を駆動させ、上記対象試料に対してX線を照射させるX線照射工程と、
    上記X線照射工程にて照射されたX線により上記対象試料を透過したX線強度を検出するとともに、同X線強度の検出前および検出時に同対象試料上の上記被測定部位を含まないシリコンウエハにて形成されたX線非吸収性の所定領域を透過したX線強度を検出するX線強度検出工程と、
    上記X線強度検出工程にて検出された上記所定領域におけるX線強度の変化度合いに基づいて上記対象試料を透過したX線強度の強度を補正するX線強度補正工程と、
    上記X線強度補正工程により補正された上記対象試料を透過したX線強度に基づいて上記被測定部位の厚みを計測する厚み計測工程とを具備することを特徴とするX線検査方法。
  9. 所定のX線照射機構から、X線吸収部材を有する被測定部位がシリコンウエハにて形成されたX線非吸収性の媒体上に配置された対象試料に対してX線を照射することにより同被測定部位の厚みを計測するX線検査装置をコンピュータにて制御するための制御プログラムであって、コンピュータに、
    上記X線照射機構を駆動させ、上記対象試料に対してX線を照射させるX線照射機能と、
    上記X線照射機能によって駆動されたX線照射機構が照射したX線により上記対象試料を透過したX線強度をX線強度の検出センサに検出させるとともに、同X線強度の検出前および検出時に同対象試料上の上記被測定部位を含まないシリコンウエハにて形成されたX線非吸収性の所定領域を透過したX線強度をX線強度の検出センサに検出させるX線強度検出機能と、
    上記X線強度検出機能によって検出された上記所定領域を透過したX線強度の変化度合いに基づいて上記対象試料を透過したX線強度を補正するX線強度補正機能と、
    上記X線強度補正機能によって補正されたX線強度に基づいて上記被測定部位の厚みを計測する厚み計測機能とを実現させることを特徴とするX線検査装置の制御プログラム。
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