以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る計測装置を含むガス供給システムの構成図である。ガス供給システム1は、各ガス器具10に燃料ガスを供給するものであって、複数のガス器具10と、ガス供給元の調整器20と、配管31,32と、ガスメータ(計測装置)40とを備えている。なお、図1に示す例では、ガスメータ40を計測装置の一例として挙げるが、計測装置はガスメータ40に限らず、ガスの状態(流量、熱量、湿度など)を計測する他の装置であってもよい。
調整器20は上流からの燃料ガスを所定圧力(例えば、2.9kPa)に調整して第1配管31に流すものである。第1配管31は、調整器20とガスメータ40とを接続するものである。第2配管32はガスメータ40とガス器具10とを接続する配管である。ガスメータ40は、燃料ガスの流量を測定して積算流量を表示するものである。このようなガス供給システム1では、ガスメータ40内に第1配管31及び第2配管32とつながる流路が形成されており、調整器20を通じて流れてきた燃料ガスは第1配管31からガスメータ40、及び第2配管32を通じてガス器具10に到達し、ガス器具10において燃焼されることとなる。
また、ガス器具10は、概略的に、遮断弁12、ガバナ13、及びバーナー14を備えている。遮断弁12は、ガス器具10に設けられた弁である。ガバナ13は、ガバナ内弁13aを有し、ガス器具10のバーナー14に供給するガスの圧力をガバナ内弁13aの開度によって調整するものである。圧力調整された燃料ガスはガバナ13の先端のノズル13bを通じてバーナー14に至り、燃焼することとなる。なお、ガス器具10は、全てがガバナ13を有しているわけでなく、ガスコンロなどのようにガバナ13を有さないものもある。
図2は、図1に示したガバナ13の一例を示す側方断面図である。なお、図2では、ガバナ13の一例を示すに過ぎず、ガバナ13の構成は図2に示すものに限られない。また、図2に示すガバナ13については図1に示したノズル13bを省略して図示する。
図2に示すようにガバナ13は、外壁13cとガバナキャップ13dとによって形成される内部空間の一部をガス流路として用いるものである。このようなガバナ13は、ガバナ内弁13aに加えて、内部空間に、ダイヤフラム13e、調整スプリング13f、及び調整ネジ13gを備えている。
ダイヤフラム13eは、ガバナ13の内部空間を仕切る膜状の部材である。このダイヤフラム13eには、一方側(流路側)にガバナ内弁13aが取り付けられている。また、ダイヤフラム13eの他方側(流路として機能しない側)に調整スプリング13fが取り付けられている。調整スプリング13fは、一端にダイヤフラム13eが取り付けられ、他端に調整ネジ13gが取り付けられている。調整ネジ13gは、ねじ切り溝が形成されたガバナ13の内壁に固定される構造となっており、ねじ切り溝との固定位置を変化させることで調整スプリング13fの圧縮率を変更可能となっている。また、調整ネジ13gは外部にむき出しとなっておらず、ガバナキャップ13dによって覆われた構造となっている。
また、ガバナ13の外壁13cには、ダイヤフラム13eの他方側に通じる空気孔13hが形成されている。このため、ダイヤフラム13eの他方側は空気圧となっている。さらに、図2に示す例においてガバナ内弁13aは半球形状となっており、上下動によって通過口13iの開口割合を制御可能となっている。
このようなガバナ13では、ガス出側のガス圧力が大気圧に比べて設定圧力より高くなると、ダイヤフラム13eが上へ押し上げられ、同時にダイヤフラム13eに取り付けられているガバナ内弁13aも上に引き上げられる。これにより、通過口13iの開口割合が小さくなって、ガス流量が減少してガス出側の圧力は減少する。一方、ガス出側のガス圧力が大気圧に比べて設定圧力より低くなると、ダイヤフラム13eが下がり、同時にダイヤフラム13eに取り付けられているガバナ内弁13aも下がる。これにより、通過口13iの開口割合が大きくなって、ガス流量が増大してガス出側の圧力は増大する。このように、ガバナ13は上流側の圧力の変動に対して下流側の流量を一定に保つことで、下流側の圧力を調整することとなる。
図3は、本発明の第1実施形態に係るガスメータ40の構成図である。同図に示すガスメータ40は、流量センサ41と、圧力センサ42と、マイコン43と、トリガ信号発生部(トリガ信号発生手段)44と、圧力センサ駆動回路45と、流量センサ駆動回路46とを備えている。
流量センサ41は、ガスメータ40内の流路に設置され、流路内のガス流量に応じた電気信号を出力するものである。本実施形態に係るガスメータ40が超音波式のガスメータである場合、流量センサ41は、流路内に一定距離だけ離れて配置された例えば圧電式振動子からなる2つの音響トランスジューサによって構成される。また、本実施形態に係るガスメータ40がフローセンサなどの熱式センサを搭載したガスメータである場合、温度分布をつくり出すヒータと、その温度分布に応じた信号を発生させるサーモパイル等によって構成される。
圧力センサ42は、ガスメータ40内の流路内に存在するガスのガス圧力に応じた電気信号を出力するものである。この圧力センサ42は、圧力に応じて単調増加又は単調減少するアナログ電圧を出力するものが好ましい。また、圧力センサ42は、所定流量毎に1パルス出力するセンサ部と、パルスを入力して周波数/電圧変換する回路とから構成されていてもよい。なお、圧力センサ42は、ガスメータ40内の流路に限らず、可能であればガスメータ40の外部に存在する第1配管31内や第2配管32内に設置されていてもよい。同様に、流量センサ41についても設置箇所については変更可能である。
また、本実施形態では、図3において流量センサ41及び圧力センサ42からの信号が直接マイコン43やトリガ信号発生部44に入力されているが、場合によっては増幅器等の他の要素が両者間に追加されていてもよい。
トリガ信号発生部44は、マイコン43の周辺回路であって、トリガ信号を発生させるものである。具体的にトリガ信号発生部44は、圧力センサ42から入力した電気信号を積算して積算量が所定量に達した場合に、トリガ信号を出力するものである。ここで、ガス器具10が使用されたりガス漏れが発生したりすると、配管31,32内のガス圧力が低下する。そのガス圧力の低下の積算量が所定量に達したときに、トリガ信号発生部44は、ガス器具10の使用が開始されたかガス漏れが発生したとしてトリガ信号を出力することとなる。そして、マイコン43は、トリガ信号を入力ポートP1から入力して各種処理を実行することとなる。
このトリガ信号発生部44は、積分回路44aと、パルス発生回路44bとによって構成されている。積分回路44aは、抵抗R1〜R3、コンデンサC、及びオペアンプOP1から構成されている。この積分回路44aは、圧力センサ42からの電気信号を、抵抗R1を介してオペアンプOP1のマイナス入力端子に入力する。また、オペアンプOP1のプラス入力端子には、安定化電位VCCとグランド間を可変抵抗R2と固定抵抗R3とによって分圧した基準電位Voを入力している。オペアンプOP1の出力は、コンデンサCの一端とパルス発生回路44bとに接続されている。コンデンサCの他端はオペアンプOP1のマイナス入力端子に接続されると共に、通常オフのデジタルスイッチSW1を介してパルス発生回路44bのNPNトランジスタQのコレクタに接続されている。
パルス発生回路44bは、コンパレータCP1と、固定抵抗R4〜R6と、NPNトランジスタQとから構成されている。コンパレータCP1のマイナス入力端子には、固定抵抗R4を介して積分回路44aのオペアンプOP1の出力側が接続されている。また、コンパレータCP1のプラス入力端子は、安定化電位VCCとグランド間を固定抵抗R5と固定抵抗R6とによって分圧された接続点Bに接続されている。また、コンパレータCP1の出力は、NPNトランジスタQのベースに接続されている。NPNトランジスタQのエミッタは、コンパレータCP1のプラス入力端子(接続点B)に接続されている。さらに、コンパレータCP1の出力は、マイコン43の入力ポートP1に接続されている。このコンパレータCP1から出力される信号がトリガ信号となる。
以上説明したように構成されたトリガ信号発生回路44は、以下のように動作する。まず、初期状態において、コンデンサCには蓄電されておらず、オペアンプOP1の出力は、基準電位Voになっている。また、トランジスタQはオフ状態であり、接続点Bの電位は固定抵抗R5,R6によって分圧された電位になっており、基準電位Voより高い電位となっている。これにより、コンパレータCP1の出力はHighになる。よって、トランジスタQはオフのままになる。
この状態で、基準電位Voと同電位の圧力センサ42の出力がある場合は、コンデンサCに電荷は蓄積されず、このままの状態を保つ。基準電位Voと同電位の圧力センサ42の出力は、初期状態では通常のガス圧(約2.9kPa)に相当する出力である。
この状態から、ガス漏れかガス器具10の使用が発生し、ガス圧が低下すると、圧力センサ42の出力が下がる。すると、積分回路44aは圧力センサ42の出力の積算を開始し、コンデンサCに電荷が蓄積されていくことで、オペアンプOP1の出力が徐々に上昇していく。そして、圧力センサ42の出力の積算が所定の積算値に達すると、オペアンプOP1の出力は接続点Bの電位まで上昇する。オペアンプOP1の出力が接続点Bの電位を超えるとコンパレータCP1の出力が反転してLowとなり、トランジスタQがオン状態となり、エミッタからベースへ電流が流れる。その時、トランジスタQへの電流流入により、接続点Bの電位は下がるため、コンパレータCP1の出力はLowを維持する。このHighからLowへの出力変化をトリガ信号として出力する。
この状態でマイコン43からリセット信号がスイッチSW1に送られると、SW1はオン状態になり、トランジスタQがオン状態なので、コンデンサCに蓄積された電荷はトランジスタQのコレクタを通して放電され、オペアンプOP1の出力は下がっていく。オペアンプOP1の出力が下がった接続点Bの電位になるまでこの状態を維持して、コンデンサCの放電を十分行う。そして、オペアンプOP1の出力が下がった接続点Bの電位を下回ると、コンパレータCP1の出力は再び反転してHigh出力となり、初期状態に戻る。このようにして、トリガ発生回路44は、マイコンからのリセット信号を受け取ると、初期状態に戻り再び圧力センサの出力を積算していく。
また、本実施形態では、積分回路44aとパルス発生回路44bとによる構成を説明したが、圧力センサ42からの電気信号を積算して積算量が所定量に達したときにトリガ信号を出力する構成であればなんでも良い。また、マイコン43からのリセット信号を受けて初期状態に戻り再び積算を開始できる構成であればなんでも良い。例えば、別な構成の積分回路や別な構成のパルス発生回路で構成してもかまわない。また、リセット方法を論理回路などで構成するようにしても良い。例えば、スイッチSW1を設けずにトリガ信号を繰り返し出力できる構成としておいて、マイコン43からのリセット信号によって接続点Bの電位を強制的にグランド電位へ変化させることで初期状態に戻るようにする方法も考えられる。また、トリガ発生回路44の電源を一度切る方法などでもかまわない。さらには、例えば、圧力センサ42からの電気信号出力を専用マイコンに入力して専用マイコン内で積算量を演算し、積算量が所定量を超える場合に専用マイコンからトリガ信号を出力するような構成にしてもよい。こうすることで所定量や基準電位Voを可変にすることができるからである。また、例えば、圧力センサ42からの電気信号を積分回路44aに入力し、積分回路44aの出力をそのままマイコン43に入力してもよい。この場合、マイコン43は、積分回路44aの積算量が所定量に達したか否かを判断し、達した場合にマイコン43自身がトリガ信号を出力することとなる。この場合、トリガ信号はプログラム内のヴァーチャルなものであり、現実のトリガ信号を作る必要が無くなる。
マイコン43は、ガスメータ40の全体を制御するものであり、流量の積算制御、表示制御、遮断弁の遮断制御等を行うものである。また、本実施形態においてマイコン43は計測部43aと、判断部(判断手段)43bとを有している。計測部43aは、流量センサ41や圧力センサ42からの電気信号に基づいてガス流量やガス圧力の計測を行うものである。判断部43bは、計測部43aにより計測されたガス流量やガス圧力の波形データから、ガス使用状況を判断するものである。
なお、判断部43bは、ガス使用状況として、電子制御機能付きガス器具の使用であること、ガバナ付きガス器具の使用であること、ガバナ無しガス器具の使用であること、ガス漏れの発生であること、ガバナ無しガス器具の使用又はガス漏れの発生であること、ガス器具の使用であること、電子制御機能付きガス器具の使用でないこと、ガバナ付きガス器具の使用でないこと、ガバナ無しガス器具の使用でないこと、ガス漏れの発生でないこと、ガバナ無しガス器具の使用及びガス漏れの発生でないこと、ガス器具の使用でないこと、及び、特定のガス器具の使用であることの少なくとも1つを判断する。しかし、以下の説明において判断部43bは、ガバナ付きガス器具の使用であること、ガバナ無しガス器具の使用であること、及び、ガス漏れの発生であることの3つをガス使用状況として判断する例を説明する。
さらに、マイコン43は、基準電位調整部(基準電位調整手段)43cを備えている。基準電位調整部43cは、積分回路44aを構成する可変抵抗R2の抵抗値を調整するものである。この可変抵抗R2の抵抗値を調整することにより、圧力センサ42からの電気信号と比較される基準電位Voが調整される。より詳細に説明すると、基準電位調整部43cは、配管31,32のガス圧力(通常2.9kPa)に応じた電気信号によって、積分回路44aが電荷を蓄積しないように可変抵抗R2を調整している。基準電位Voを調整する、すなわち比較する基準ガス圧を調整する理由は、夜間を経て昼間になると配管内の圧力が上昇して、圧力が4.0kPaなどに達してしまったり、ガス使用による圧力降下で2.5kPa程度までガス圧が下がってしまったりすることがあるためである。このような場合、基準電位調整部43cは、4.0kPaや2.5kPaの圧力に相当する電位に基準電位Voを調整することによって、積分回路44aが電荷を蓄積しないようにすることとなる。
また、計測部43aは、高速計測部(第1計測手段)43a1と、正規計測部(第2計測手段)43a2とを備えている。高速計測部43a1は、流路内のガス圧力及びガス流量の少なくとも一方からなる計測対象を第1所定時間毎の計測間隔で計測するものである。正規計測部43a2は、ガスメータ40における基本的な役割、すなわち積算流量を求めるためのものであり、積算流量を求めるために第1所定時間よりも長い第2所定時間毎の計測間隔でガス流量を測定するものである。なお、本実施形態において高速計測部43a1は、ガス圧力を計測するものとして説明するが、特にガス圧力に限らず、ガス流量であってもよいし、ガス圧力とガス流量との双方を計測するものであってもよい。
圧力センサ駆動回路45は、圧力センサ42の駆動を制御するものであり、簡易計測駆動回路45aと、高速計測駆動回路45bとを備えている。また、流量センサ駆動回路46は、流量センサ41の駆動を制御するものであり、高速計測駆動回路46aと、正規計測駆動回路46bとを備えている。
ここで、本実施形態に係るガスメータ40は、簡易計測モードと、高速計測モードと、正規計測モードとの3つの計測モードにより動作するようになっている。ガスメータ40を簡易計測モードで駆動させたい場合には、簡易計測駆動回路45aが機能して、流量センサ駆動回路46の機能を停止する。ガスメータ40を高速計測モードで駆動させたい場合には、高速計測駆動回路45bが機能して、流量センサ駆動回路46の機能を停止する。また、ガスメータ40を正規計測モードで駆動させたい場合には、圧力センサ駆動回路45の機能を停止して、正規計測駆動回路46bが機能する。さらに、計測部43についても各計測モードに対応しており、ガスメータ40を簡易計測モードで駆動させたい場合、計測部43aの機能は停止し、ガスメータ40を高速計測モードで駆動させた場合、高速計測部43a1が機能し、ガスメータ40を正規計測モードで駆動させた場合、正規計測部43a2が機能する。
ここで、各計測モードについて説明する。まず、正規計測モードとは、流路内のガス流量を検出するモードであって、第2所定時間毎に1回のタイミングで正規計測部43a2がガス流量を計測するモードである。高速計測モードとは、流路内のガス圧力を検出するモードであって、第1所定時間毎に1回のタイミングで高速計測部43a1が圧力センサ42からのガス圧力を検出するモードである。簡易計測モードとは、低消費電力で圧力センサ42が駆動されて圧力センサ42からの電気信号がトリガ信号発生部44に入力されるモードである。
より詳細に各計測モードについて説明する。本実施形態における簡易計測モードにおいて、図3に示す切替スイッチ42aは、圧力センサ42の出力をトリガ信号発生部44へ入力するように設定される。圧力センサ駆動回路45は、簡易計測駆動回路45aが駆動され、流量センサ駆動回路46は、機能を停止して、計測部43aは、処理を停止している。ガスメータ40は、主としてガス器具10が使用されていないときに簡易計測モードとなる。図3において後述するが、簡易計測モードにおいてマイコン43は、入力ポートP1にトリガ信号が入力されるまで、流量や圧力の計測処理を必要としておらず、計測部43aを停止しておくことで、マイコン43の消費電力自体が軽減されている。
さらに簡易計測モードでは、流量の計測処理を必要としないことから、流量センサ41を駆動させる必要が無く、流量センサ駆動回路46は流量センサ41を駆動しない。従って、流量センサを駆動するための消費電力が削減されている。
加えて簡易計測モードでは、圧力センサ駆動回路45は、簡易計測駆動回路45aが駆動することで、圧力センサ42への供給電流を通常時よりも小さくしている。トリガ信号発生部44の動作が圧力センサ42の出力の積算値の監視であることで、圧力センサ42の出力のノイズ成分は積算によって低減されるために、圧力センサ42の出力のS/Nを下げることができるため、供給電流を通常よりも小さくできる。以上のように、簡易計測モードでは、圧力センサ42への供給電流を抑えると共にマイコン43の処理量を低下させて、消費電力を正規計測モード及び高速計測モードの消費電力未満とする。
そして、簡易計測モードにおいて圧力センサ42の電気信号の積算量が所定量に達すると直ちに、トリガ信号発生部44は、トリガ信号を発生させてマイコン43に入力し、マイコン43は、簡易計測モードを停止して高速計測モードに移行するように制御する。
なお、簡易計測モードにおいてマイコン43は定期的(例えば1時間毎)に起動し、切替スイッチ42aの出力先をマイコン43となるように切り替える。そして、マイコン43の計測部43aは、現在のガス圧力を計測する。計測後、マイコン43の基準電位調整部43cは、積分回路44aの可変抵抗R2の抵抗値を調整して、トリガ信号発生部44の基準電位Voを調整する。その後、通常の簡易計測モードの状態へ戻す。これにより、夜間から昼間を経て配管内の圧力が上昇したような場合に対応する。すなわち、ガス器具10の使用やガス漏れが無い場合において、積分回路44aによる積算量が所定量に達しないように基準電位Voを調整する。
本実施形態における高速計測モードにおいて、図3に示す切替スイッチ42aは圧力センサ42の出力を直接マイコン43へ入力するように設定される。圧力センサ駆動回路45は、高速計測駆動回路45bが駆動され、流量センサ駆動回路46は、機能を停止して、計測部43aは、高速計測部43a1のみを機能させる。
高速計測モードは、高速計測部43a1により例えば約1ミリ秒に1回の計測間隔でガス圧力を計測するモードである。この高速計測モードでは、最大で300Hzの周波数を示す圧力波形を計測できることが好ましい。ガスメータ40は、主としてトリガ信号が発生してから特定時間(約0.3秒から2.0秒程度)経過するまで高速計測モードとなる。この高速計測モードにおいてガスメータ40は、ガス圧力の振動波形をとらえ、ガス流路下流側に設置されたガス器具10の使用を判断すると共に、ガス漏れが発生しているか否かを判断することとなる。
なお、ガス圧力の振動波形とガス流量の振動波形とは相関関係がある。このため、高速計測モードでは、流量センサ駆動回路46の高速計測駆動回路46aを駆動させて、約1ミリ秒に1回の計測間隔でガス流量を計測してもよいし、両方の高速計測駆動回路45b,46aを駆動させて、約1ミリ秒に1回の計測間隔でガス圧力とガス流量との双方を計測してもよい。
また、本実施形態における高速計測モードでは、トリガ信号を発生させる必要が無く、トリガ信号発生部44の動作は停止している。従って、高速計測モード時には、トリガ信号発生部44に電流を供給しないようにするほうが好ましい。
本実施形態における正規計測モードにおいて、図3に示す切替スイッチ42aは、圧力センサ42の出力をトリガ信号発生部44へ入力するように設定される。圧力センサ駆動回路45は、簡易計測駆動回路45aが駆動され、流量センサ駆動回路46は、正規計測駆動回路46bが駆動され、計測部43aは、正規計測部43a2のみを機能させている。
正規計測モードは、積算流量を求めるために、正規計測部43a2により約2秒に1回の計測間隔でガス流量を計測するモードである。ガスメータ40は、主としてガス器具10が使用されているときに正規計測モードとなり、ガス流量に応じてメータ本体に表示される積算流量の値を増加させていく。このように正規計測モードは、積算流量というガス使用量を求めるためのモードである。
なお、正規計測モードでも、トリガ信号発生部44は機能しており、簡易計測モードと同様に、積算量が所定量に達すると、トリガ信号発生部44は直ちにトリガ信号を発生させる。そして、マイコン43は、正規計測モードを停止して高速計測モードに移行するように制御する。
正規計測モードでは、ガスが使用されているため、ガス配管31,32のガス圧力は通常よりも低下していることが多い。そのため、トリガ発生回路44における基準電位Voは、その低下したガス圧力に相当する電位に調整されなければならない。そのため、正規計測モードに切り替わる直前に、マイコン43は切替スイッチ42aの出力先を一時的にマイコン43となるように切り替え、計測部43aはガス圧力を計測する。そして、基準電位調整部43cは、その計測されたガス圧力に基づいて、基準電位Voを調整する。
正規計測モードでは、ガスが使用されている状態であるため、調整器20によるガス圧調整が十分働いている。このため、ガス流量が安定している場合には、簡易計測モード時のように定期的にガス圧の計測を行う必要は無い。ガス流量が変化して所定の流量変化(例えば100L/hr)を超えた場合に、改めてガス圧を計測してそのガス圧力に基づいて基準電圧Voを調整することが望ましい。そうすることでガス使用量の変化に伴う圧力変化の影響を軽減できるからである。
以上のようなガス供給システム1において、ガスメータ40は以下のようにモード移行する。図4は、第1実施形態に係るガスメータ40のモード移行方法の概略を示す状態遷移図である。図4に示すように、まず、ガスが使用されていない場合、ガスメータ40は簡易計測モードとなる。このとき、ガスメータ40において、圧力センサ駆動回路45は、圧力センサ42を低消費電力で連続的に駆動させるように簡易計測駆動回路45aを機能させ、トリガ信号発生部44は、圧力センサ42から連続的に出力される電気信号を入力する。
トリガ信号発生部44の積分回路44aは入力した電気信号を積算する。このとき、可変抵抗R2が調整されており、圧力が一定値を保持している場合に電気信号が積算されないようになっている。また、パルス発生回路44bは、積算量が所定量に達しない場合にはトリガ信号を出力しない。これにより、簡易計測モードが維持されることとなる。
一方、簡易計測モードにおいて積算量が所定量に達した場合、すなわち、ある程度の流量が発生して圧力が変化し、積算量が所定量に達した場合、トリガ信号発生部44は、トリガ信号を発生させる。これにより、マイコン43は、簡易計測モードから高速計測モードに移行するための指示信号を発生させる。そして、圧力センサ駆動回路45は指示信号を入力して簡易計測駆動回路45aを停止し、高速計測駆動回路45bを機能させる。また、これと同時にマイコン43は、圧力センサ42の出力先を制御する切替スイッチ42aを切り替える切替信号を出力する。これにより、圧力センサ42からの電気信号は、マイコン43に入力されるようになり、高速計測部43a1が計測を開始する。そして、ガスメータ40は、高速計測モードに移行する(S1)。
なお、簡易計測モードにおいてマイコン43は1時間毎など規定時間毎に切替スイッチ42aを切り替える切替信号を出力する。そして、圧力センサ42からの電気信号の出力先をマイコン43となるように設定する。この際、マイコン43は、圧力センサ42からの電気信号に基づいて圧力値を求める。そして、マイコン43の基準電位調整部43cは、求めた圧力値に基づいて可変抵抗R2の抵抗値を調整して、基準電位Voを調整する。これにより、マイコン43は、意図せずトリガ信号が出力されてしまう事態を防止している。すなわち、ガス圧力は昼夜の気温差によって変動する傾向があり、可変抵抗R2の抵抗値を調整しないと、気温差によって変動したガス圧力によってトリガ信号が出力されてしまうからである。
以上のように、マイコン43は例えば1時間毎など規定時間毎に圧力を検出するが、その頻度は非常に少なく、マイコン43で常時圧力を計測している場合と比較すると消費電力は大きくない。加えて、規定時間毎の圧力計測を除けば、簡易計測モードにおいてマイコン43は演算を行う必要がなく、しかも圧力センサ42への供給電流が小さくされていることから、正規計測モードや高速計測モードに比べると、消費電力は小さくなる。
また、ガスメータ40の高速計測部43a1は、高速計測モードに移行すると、約1ミリ秒に1回の計測間隔でガス圧力の計測を行う。そして、計測されたガス圧力波形に基づいて、判断部43bは、ガス使用状況、すなわちガバナ付きガス器具10の使用、ガバナ無しガス器具10の使用、ガス漏れのいずれかの状態に該当するかを判断する。
さらに、ガスメータ40は、高速計測モードにおいて圧力の計測を特定時間(例えば0.3秒から2.0秒程度)だけ行う。そして、特定時間経過後、マイコン43は、高速計測モードから正規計測モードに移行させるための指示信号を発生させる。これにより、圧力センサ駆動回路45は、指示信号を入力して高速計測駆動回路45bを停止させ、簡易計測駆動回路45aの駆動を開始させる。同時に、流量センサ駆動回路46は、指示信号を入力して正規計測駆動回路46bを機能させる。
さらに同時に、マイコン43は、高速計測モードにおいて最後に計測された圧力センサ42からの電気信号に基づいて、基準電位調整部43cは基準電位Voを調整する。そして、マイコン43はさらに、圧力センサ42の出力先を制御する切替スイッチ42aを切り替える切替信号を出力して、圧力センサ42からの電気信号がトリガ信号発生部44に入力されるようにすることで、トリガ信号発生部44の動作を開始する。そして、正規計測駆動回路46bは流量センサ41を駆動させ、正規計測部43a2は約2秒に1回の計測間隔で、ガス流量を検出していく。このように、正規計測部43a2は、高速計測部43a1が計測しているときはガス流量の測定を停止しており、高速計測部43a1による測定が終了した後に即座にガス流量の計測を開始する。これにより、ガスメータ40は正規計測モードに移行する(S2)。
なお、高速計測モードにおいてガス漏れが発生していると判断した場合、ガスメータ40は、遮断弁を動作させて流路を閉じ、ガス漏れの防止を図ることとなる。また、高速計測モードにおいて、特別な場合には特定時間経過後であっても高速計測モードを継続させる(S3)。ここで、特別な場合とは、例えば、ガス器具10が一度着火に失敗し、失敗直後に再度着火動作を開始すると予想された場合などである。
正規計測モード時に、所定値(例えば1.5L/hrであってガスメータ40で計測可能な最低流量)を超える流量が検出されなくなったとする。すなわち、正規計測モードにおいて検出される流量がゼロ相当となったとする。この場合、マイコン43は、正規計測モードから簡易計測モードに移行させるための指示信号を発生させる。そして、流量センサ駆動回路46は指示信号を入力して正規計測駆動回路46bを機能停止させる。そして、正規計測部43a2はガス流量の測定を停止する。このようにして、ガスメータ40は簡易計測モードに移行する(S4)。
なお、流量が所定値を超えるか否かを検出する場合、1回の計測で判断するよりも数回から数十回連続で超えない場合を流量ゼロ相当とするほうが好ましい。ガス器具使用開始時など圧力振動が発生して一時的に流量ゼロ相当になる可能性があるからである。さらに、正規計測モードから簡易計測モードに移行させる場合、ガス器具10の使用が終了した直後で、ガス漏れが確実にないことを判断した後に、モード移行させるようにしてもよい。
さらに、正規計測モードにおいて積算量が所定量に達した場合、すなわち高速計測部43a1が計測を停止中であり、且つ、正規計測部43a2がガス流量を計測中である状態において、トリガ信号発生部44からトリガ信号が発生したとする。この場合、マイコン43は、正規計測モードから高速計測モードに移行するための指示信号を発生させる。そして、指示信号を入力した圧力センサ駆動回路45は、簡易計測駆動回路45aを停止し、高速計測駆動回路45bを機能させるとともに、指示信号を入力した流量センサ駆動回路46は、正規計測駆動回路46bを停止させる。同時に、マイコン43は、切替信号を出力して、切替スイッチ42aは、その切替信号を入力して、圧力センサ42からの出力の出力先をマイコン43からトリガ信号発生部44に切り替える。さらに同時に、計測部43aは、正規計測部43a2を停止して高速計測部43a1を機能させる。このようにして、ガスメータ40を高速計測モードに移行させる(S5)。この高速計測モードの移行により、ガスメータ40は、ガス使用中に新たなガス器具10が使用された場合、及び、ガス使用中に使用中のガス器具10とは別の箇所からガス漏れが発生した場合などにおいて、新たなガス器具10の使用であるか、ガス器具10のガス使用量が変化したのか、ガス漏れであるかを判断することができる。
ところで、高速計測モードにおいて圧力センサ42のみから信号を取得する場合、流量計測が行われなくなり、特定時間中流量計測が行われないこととなる。よって、トリガ信号がマイコン43に入力されて高速計測モードに移行する際に、マイコン43からの指示信号によって、流量センサ駆動回路46が機能を停止させることなく、正規計測駆動回路46bの駆動を開始させ、計測部43aが高速計測部43a1と正規計測部43a2との両方で並列に計測を開始させることで、正規計測モード相当の流量計測をも行う並列処理を実行することが望ましい。これにより、特定時間中に発生した流量を取りこぼすことなく、積算流量を求めることができるからである。
この場合、高速計測モードに関係する各モード移行S1,S2、S5の動作は下記の通り変更する。簡易計測モードから高速計測モードへ移行する(S1)時は、上記の処理のほかに、マイコン43からの指示信号により流量センサ駆動回路46が正規計測駆動回路46bを機能させるとともに、計測部43aが正規計測部43a2を機能させるだけでよい。高速計測モードから簡易計測モードへ移行する(S2)時には、流量センサ駆動回路46は正規計測駆動回路を機能させている状態のため、その動作変更を実施しないようにし、また、計測部43aは正規計測部43a2を機能させている状態のため、その動作変更を実施しないようにすれば良い。また、簡易計測モードから高速計測モードへ移行する(S5)時には、S2と同様に、流量センサ駆動回路46の動作変更を実施しないようにし、また、計測部43aの動作変更を実施しないようにすれば良い。
以上、図3と図4とに基づいて各モードとモード移行について説明したが、上記高速計測モードにおいてトリガ信号発生部44は機能を停止していることが望ましい。高速計測モードにおいて高速計測部43a1が計測対象を計測している間は、新たに高速計測部43a1による計測対象の計測を開始する必要がなく、その間だけトリガ信号発生部44の動作を停止することで、一層消費電力を低減できるからである。
次に、高速計測モードにおけるガス器具10の使用、及びガス漏れについての判断方法について説明する。ガバナ付きガス器具10が使用された場合、ガバナ無しガス器具10が使用された場合、及びガス漏れが発生した場合、それぞれ異なる圧力変化を示す。具体的には圧力変化を縦軸とし、時間を横軸とした場合、圧力変化の振幅及び周波数は特徴的なものとなる。マイコン43は、高速計測モード時において、圧力変化の振幅及び周波数から、ガバナ付きガス器具10が使用されたか否か、ガバナ無しガス器具10が使用されたか否か、及びガス漏れが発生したか否かを判断する。
図5は、ガバナ付きガス器具10の使用を開始したときの圧力変化の様子を示すグラフである。なお、図5において縦軸は、圧力変化量(kPa)を示し、横軸はガバナ付きガス器具10の使用を開始してからの経過時間(秒)を示している。
ガバナ付きガス器具10の使用が開始された場合、圧力は、図5に示す所定の振幅を示した後に、安定状態となる。具体的には、ガバナ付きガス器具10の使用開始直後に、一度「−0.1」kPa弱への圧力低下を示した後(符号a1参照)、約「0.05」kPaへの圧力上昇を示す(符号a2参照)。その後、圧力は約「−0.05」kPa強への圧力低下を示した後に(符号a3参照)、約「0.05」kPa弱への圧力上昇を示す(符号a4参照)。以後、徐々に振幅が小さくなりつつも圧力は振動を繰り返し、最終的には圧力変化がない安定状態となる。
このような圧力の振動が発生する理由は、ガバナ13内に調整スプリング13fが設けられているからである。すなわち、ガバナ付きガス器具10の使用が開始されると、調整スプリング13fが振動すると共に、ガバナ内弁13aについても振動し、通過口13iの開口割合についても小刻みに大きくなったり小さくなったりと変化するからである。
特に、ガバナ付きガス器具10の使用開始時においては、圧力振動の周波数や振幅に特徴が見られる。具体的には調整スプリング13fが小刻みに振動することから、圧力について細かな振動を示すこととなる。この結果、圧力波形は比較的高い周波数成分を多く含むこととなる。また、ガバナ付きガス器具10の使用開始時に調整スプリング13fの振動によって通過口13iが大きくなったり小さくなったりすることから、圧力波形は、大きな振幅を示す。
なお、圧力Pは、
なる演算式で表すことができる。ここで、Cは振幅を示し、kは摩擦力(減衰定数)を示し、ωは復元力を示し、αは初期位置を示している。この式は多くの周波数f
i=ω
i/2πの振動の重ね合わせであることを示している。
図6は、ガバナ無しガス器具10の使用を開始したときの圧力変化の様子を示すグラフである。なお、図6において縦軸は、圧力変化量(kPa)を示し、横軸はガバナ無しガス器具10の使用を開始してからの経過時間(秒)を示している。
ガバナ無しガス器具10の使用が開始された場合、圧力は、図6に示す所定の振幅を示した後に、安定状態となる。具体的には、ガバナ付きガス器具10の使用開始直後に、一度「−0.1」kPa弱への圧力低下を示した後(符号b1参照)、約「0.01」kPaへの圧力上昇を示す(符号b2参照)。その後、圧力は約「−0.05」kPa強への圧力低下を示す(符号b3参照)。以後、圧力上昇が無い状態のまま、圧力は振動を繰り返す。そして、振幅が徐々に振幅が小さくなり、最終的には圧力変化がない安定状態となる。このような圧力の振動が発生する理由は、以下による。
図7は、ガバナ無しガス器具10での燃料ガスの供給の様子を示す概略図である。図7に示すように、ガバナ無しガス器具10が使用された場合、燃料ガスは第2配管32からノズルホルダ100を通じてバーナー14等に至る。ここで、ノズルホルダ100にある流速を持った気体が流入したときはその慣性力で急には流速が小さくならずに一端ガスが圧縮され圧力が上昇する。その後上昇した圧力により流入流速が小さく(場合によっては逆流)なって圧力が下がる。これを繰り返すことで圧縮膨張の振動が発生する。
以上のように、ガバナ付きガス器具10の使用時と、ガバナ無しガス器具10の使用時とでは、圧力は振動することとなる。しかしながら、図6に示す圧力波形を図5に示す圧力波形と比較すると、以下のような差異がある。
まず、ガバナ付きガス器具10の場合、調整スプリング13fのように細かく振動する物質を有しているのに対し、ガバナ無しガス器具10の場合、そのような物質を有していない。このため、図6に示す圧力波形は、図5に示す圧力波形と同様に振動を示しているものの、全体として振動周波数が図5に示す圧力波形よりも低くなる。
さらに、ガバナ付きガス器具10の場合、調整スプリング13fの振動によって振幅が大きくなっているが、ガバナ付きガス器具10の場合、調整スプリング13fが無く、ノズルホルダ100の圧縮性による振動が発生しているのみである。このため、図6に示す圧力波形は、図5に示す圧力波形よりも振幅が小さくなる。
このような特徴から、マイコン43は、ガバナ付きガス器具10の使用であるか、ガバナ無しガス器具10の使用であるか否かを判断できることとなる。
図8は、ガス漏れ時の圧力変化の様子を示すグラフである。なお、図8において縦軸は、圧力変化量(kPa)を示し、横軸はガス漏れが発生してからの経過時間(秒)を示している。
図8に示すように、ガス漏れが発生した場合、圧力は明確な振動を示すことなく緩やかに低下していくこととなる。このように、ガス漏れの場合、調整スプリング13fの振動、及び、ノズルホルダ100の圧縮性による振動の双方が発生しないため、圧力波形には明確な振動が見られない。
以上のように、ガバナ付きガス器具10の使用開始時と、ガバナ無しガス器具10の使用開始時と、ガス漏れ発生時とでは、圧力波形に特徴的な差異がある。マイコン43は、上記の特徴から、ガバナ付きガス器具10の使用であるか、ガバナ無しガス器具10の使用であるか、ガス漏れであるかを判断することができる。
なお、ガバナ付きガス器具10の使用であるかなどを判断するにあたり、マイコン43は、周波数や振幅の値を用いても良いし、周波数や振幅を示す演算結果(例えばフーリエ変換により得られるスペクトルデータ)を用いるようにしてもよい。
また、本実施形態において判断部43bは、ガス使用状況としてガバナ付きガス器具10の使用、ガバナ無しガス器具10の使用、及びガス漏れの発生を判断するが、電子制御機能付きガス器具10(必ずガバナ付きガス器具に相当する)の使用についても判断することができる。まず、電子制御機能を有するガス器具10では、商用電源の周波数を超える周波数成分が波形に含まれる傾向にある。ここで、電子制御機能とは、少なくとも50Hz以上の速度でPIDなどの自動制御によりガス量を細かく調整することでガス燃焼量を制御する機能をいい、例えば給湯器などで温度を調整する機能をいう。これは、電子制御において少なくとも50Hzの速度でガス量を調整するため、この周波数がそのまま、ノイズ的に重畳してしまうからである。従って、ガバナ付きガス器具10のうち電子制御機能を有するものは、電子制御機能を有しないものよりもより高い周波数成分を含むこととなり、判断部43bは高い周波数成分を認識することにより電子制御機能付きガス器具10を判断することができる。
次に、フローチャートを参照して、本実施形態に係るガスメータ40の動作を説明する。図9は、第1実施形態に係るガスメータ40の動作の詳細を示すフローチャートであり、簡易計測モードにおける動作を示している。
簡易計測モードでは、簡易計測駆動回路45aによって圧力センサ42が連続的に駆動され、トリガ信号発生部44は、圧力センサ42からの電気信号を連続的に入力する。このような状態において、マイコン43は、トリガ信号を入力したか否かを判断する(S10)。
トリガ信号を入力したと判断した場合(S10:YES)、積算量が所定量に達したと判断できる。すなわち、ある程度の流量のガスが流路内を流れようとしていると判断できる。このような場合、マイコン43は、切替信号を出力する(S11)。この切替信号によって圧力センサ42からの電気信号の出力先が、トリガ信号発生部44からマイコン43に切り替わるように、切替スイッチ42aは切り替えられる。そして、マイコン43は、指示信号を圧力センサ駆動回路45に出力する(S12)。これにより、圧力センサ駆動回路45は、簡易計測駆動回路45aを停止するとともに高速計測モード駆動回路45bが機能することとなり、計測モードは、簡易計測モードから高速計測モードに移行する。次いで、トリガ信号発生部44は停止する(S13)。その後、図9に示す処理は終了する。
なお、高速計測モードにおいて正規計測モード相当の計測を行う場合は、ステップS12で出力される指示信号において、流量センサ駆動回路46にも指示信号を入力し、指示信号を入力した流量センサ駆動回路46は、正規計測駆動回路46bの駆動を開始すればよい。
一方、トリガ信号を入力していないと判断した場合(S10:NO)、マイコン43は、規定時間(例えば1時間)経過したか否かを判断する(S14)。規定時間経過していないと判断した場合(S14:NO)、処理はステップS10に移行する。他方、規定時間経過したと判断した場合(S14:YES)、マイコン43は切替信号と指示信号とを送信する(S15)。これにより、切り替え信号によって圧力センサ42からの電気信号の出力先が、トリガ信号発生部44からマイコン43に切り替わるように、切替スイッチ42aは切り替えられるとともに、指示信号により、圧力センサ駆動回路45において簡易計測駆動回路45aを停止し、高速計測駆動回路45bを機能させる。次いで、マイコン43の計測部43aは、圧力センサ42からの電気信号に基づいて圧力を計測する(S16)。
その後、マイコン43の基準電位調整部43cは、ステップS16において計測した圧力の値をもとに、可変抵抗R2の抵抗値を調整する(S17)。マイコン43は再度切替信号と指示信号とを送信する(S18)。これにより、切替信号によって圧力センサ42からの電気信号の出力先が、マイコン43からトリガ信号発生部44に切り替わるように、切替スイッチ42aは切り替えられるとともに、指示信号により、圧力センサ駆動回路45において高速計測駆動回路45bを停止し、簡易計測駆動回路45aを機能させる。その後、処理はステップS10に移行する。
図10は、第1実施形態に係るガスメータ40の動作の詳細を示すフローチャートであり、高速計測モードにおける動作を示している。図10に示すように、高速計測モードにおいて、まず高速計測部43a1は動作を開始する(S20)。その後、高速計測部43a1は、第1所定時間(具体的には1ミリ秒)経過したか否かを判断する(S21)。第1所定時間経過していないと判断した場合(S21:NO)、経過したと判断されるまで、この処理が繰り返される。第1所定時間経過したと判断した場合(S21:YES)、高速計測部43a1は計時した時間をリセットする(S22)。そして、高速計測部43a1は、圧力センサ42からの信号に基づいて、流路内のガス圧力を検出すると共に、検出したガス圧力を記憶する(S23)。
その後、高速計測部43a1は、特定時間(具体的には0.3秒〜2.0秒)経過したか否かを判断する(S24)。この処理において高速計測部43a1は、圧力データが所定個数(例えば300〜2000個)溜まったか否かによって特定時間経過したか否かを判断することとなる。特定時間を経過していないと判断した場合(S24:NO)、処理はステップS21に移行する。
一方、特定時間経過したと判断した場合(S24:YES)、判断部43bは、動作を開始して、特定時間中にステップS23において計測及び記憶したガス圧力のデータに基づいて、ガス器具10の使用やガス漏れを判断する(S25)。その後、マイコン43は、ステップS24の処理においてガス漏れ無しと判断されたか否かを判断する(S26)。
ガス漏れ無しと判断されていた場合(S26:YES)、マイコン43は、切替信号を出力する(S27)。この切替信号によって圧力センサ42からの電気信号の出力先が、マイコン43からトリガ信号発生部44に切り替わるように、切替スイッチ42aは切り替えられる。そして、マイコン43は、指示信号を発生させる(S28)。これにより、圧力センサ駆動回路45は、指示信号を入力して、高速計測駆動回路45bを停止し、簡易計測駆動回路45aの駆動を開始する。さらに、流量センサ駆動回路46は、指示信号を入力して、正規計測駆動回路46bの駆動を開始する。そして、トリガ信号発生部44が起動することにより、計測モードは、高速計測モードから正規計測モードに移行する。その後、ステップS23で計測した最後(もしくは最後の数回の平均)の圧力データに基づいて、基準電位調整部43cは基準電位Voを調整する(S29)。そして、高速計測部43a1は計測を停止することとなる(S30)。そして、図10に示す処理は終了する。
一方、ガス漏れ無しと判断されていなかった場合(S26:NO)、すなわち、ガス漏れがあったと判断されていた場合、マイコン43は、遮断弁を遮断すると共に、警報等を行う(S31)。その後、マイコン43は、指示信号を出力し(S32)、指示信号に従って、圧力センサ駆動回路45は機能を停止する。そして、高速計測部43a1は計測を停止することとなる(S30)。その後、図10に示す処理は終了する。
図11は、第1実施形態に係るガスメータ40の動作の詳細を示すフローチャートであり、正規計測モードにおける動作を示している。図11に示すように、
まず、正規計測モードにおいて正規計測部43a2は動作を開始する(S40)。その後、正規計測部43a2は第2所定時間(具体的には2秒)経過したか否かを判断する(S41)。第2所定時間経過したと判断した場合(S41:YES)、マイコン43は計時した時間をリセットする(S42)。
そして、正規計測部43a2は、流量センサ41からの信号に基づいて、流路内のガス流量を検出する(S43)。次いで、正規計測部43a2は、ステップS43において検出した流量が、所定値(例えば1.5L/hr)を超える流量であるか否かを判断する(S44)。所定値を超える流量であると判断した場合(S44:YES)、正規計測部43a2は、ステップS43において計測された流量を積算する(S45)。その後、処理はステップS41に移行する。
一方、所定値を超える流量でないと判断した場合(S44:NO)、マイコン43は、指示信号を発生させる(S46)。これにより、指示信号を入力した流量センサ駆動回路46は機能を停止する。このとき、圧力センサ駆動回路45は簡易計測駆動回路45aが駆動したままの状態である。その後、基準電位調整部43cは基準電位Voを初期状態の電圧に調整する(S47)。このとき、ガス圧を計測して基準電位Voの調整値を決めても良い。そして、正規計測部43a2は動作を停止する(S48)。そして、計測モードは、正規計測モードから簡易計測モードに移行し、図11に示す処理は終了する。なお、ステップS44の処理では、1回だけ「NO」と判断された場合に、ステップS46の処理に進むが、これに限らず、ステップS44において複数回連続して「NO」と判断された場合に、ステップS46の処理に進むことが望ましい。これにより、脈動により瞬間的に流量が所定値を超えなかった場合に簡易計測モードに移行することを防止できるからである。
ところで、ステップS41において第2所定時間経過していないと判断した場合(S41:NO)、マイコン43は、トリガ信号を入力したか否かを判断する(S49)。トリガ信号を入力していないと判断した場合(S49:NO)、処理はステップS41に移行する。
一方、トリガ信号を入力したと判断した場合(S49:YES)、マイコン43は、切替信号を出力し(S50)、次いで、指示信号を出力する(S51)。切替信号を入力した切替スイッチ42aは、圧力センサからの電気信号の出力先を、トリガ信号発生部44からマイコン43にするように切り替える。また、指示信号を入力した圧力センサ駆動回路45は、簡易計測駆動回路45aの駆動を停止して、高速計測駆動回路45bの駆動を開始する。同時に、指示信号を入力した流量センサ駆動回路46は、機能を停止する。その後、トリガ信号発生部44は停止すると共に(S52)、正規計測部43a2は計測を停止する(S48)。これにより、計測モードは、正規計測モードから高速計測モードに移行する。そして、図11に示す処理は終了する。
なお、図11に示す処理では、図9に示した簡易計測モードとは異なり、基準電位調整部43cが逐次可変抵抗R2の抵抗値を調整して基準電位Voを調整する必要はない。ガスが常に消費されている状態では、通常、圧力調整器20のガス圧調整が十分働いており、ガス流量が安定していればガス圧も安定しているからである。ただし、ガス使用量が変化して所定の流量変化(例えば100L/hr)を超えた場合には、改めてガス圧力を計測してそのガス圧力に基づいて基準電位Voを調整するようにしても良い。
図12は、図10に示したステップS25の詳細を示すフローチャートであり、ガス器具10の使用及びガス漏れ判断に関する処理を示している。図12に示すように、まず、マイコン43は、図10のステップS22において記憶したガス圧力の波形の周波数を分析すると共に(S60)、振幅を分析する(S61)。
その後、マイコン43は、ステップS60の分析結果に基づいて、波形内に判別値以上の周波数成分が規定値以上含まれるか否かを判断する(S62)。判別値以上の周波数成分が規定値以上含まれると判断した場合(S62:YES)、すなわち図5に示した圧力波形のようにある程度高い周波数成分を多く含む場合、マイコン43は、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断する(S63)。そして、図12に示す処理は終了し、処理は図10のステップS25に移行する。
また、波形内に判別値以上の周波数成分が規定値以上含まれないと判断した場合(S62:NO)、マイコン43は、第1の山の振幅値(すなわち圧力が変化してから最初に振幅が正方向に大きくなったときの最大値、又は、全体を通して最も振幅が正方向に大きくなったときの値)が元圧(図5等の縦軸で「0」の圧力)に所定量を加えた値以上であるか否かを判断する(S64)。第1の山の振幅値が元圧に所定量を加えた値以上であると判断した場合(S64:YES)、マイコン43は、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断する(S63)。そして、図12に示す処理は終了し、処理は図10のステップS25に移行する。
一方、第1の山の振幅値が元圧に所定量を加えた値以上でないと判断した場合(S64:NO)、マイコン43は、第1の山の振幅値が元圧とほぼ同等の値(具体的には元圧±規定の値)であるか否かを判断する(S65)。第1の山の振幅値が元圧とほぼ同等の値であると判断した場合(S65:YES)、マイコン43は、ガバナ無しガス器具10の使用であると判断する(S66)。そして、図12に示す処理は終了し、処理は図10のステップS25に移行する。
また、第1の山の振幅値が元圧とほぼ同等の値でないと判断した場合(S65:NO)、マイコン43は、第1の山の振幅値が元圧に所定量を減算した値以下であるか否かを判断する(S67)。第1の山の振幅値が元圧に所定量を減算した値以下であると判断した場合(S67:YES)、マイコン43は、流量センサ41からの信号に基づいて規定量以上の流量が検出されるか否かを判断する(S68)。
規定量以上の流量が検出されると判断した場合(S68:YES)、すなわち、ガス器具10の使用による周波数及び振幅の特徴が得られず、流路内のガス圧力が低下し、しかも規定量以上の流量が検出された場合、マイコン43は、ガス漏れであると判断する(S69)。そして、図12に示す処理は終了し、処理は図10のステップS25に移行する。
ところで、第1の山の振幅値が元圧に所定量を減算した値以下でないと判断した場合(S67:NO)、及び、規定量以上の流量が検出されないと判断した場合(S68:NO)、マイコン43は、ガス器具10の使用及びガス漏れのいずれにも該当しないと判断する(S70)。そして、図12に示す処理は終了し、処理は図10のステップS25に移行する。
なお、ガス器具10の使用及びガス漏れについては、図12に示すものに限らず、例えば、他の方法によって判断されてもよい。例えば、マイコン43は、ステップS62又はステップS64において「YES」と判断した場合、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断するが、これに限らず、ステップS62及びステップS64の双方において「YES」と判断した場合、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断してもよい。
また、マイコン43は、圧力波形の減衰係数が予め定められた値以下である場合に、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断してもよい。さらに、マイコン43は、第1の山の振幅値が、第1の谷の振幅値(すなわち圧力が変化してから最初に振幅が負方向に大きくなったときの最小値、又は、全体を通して最も振幅が負方向に大きくなったときの値)よりも小さい場合に、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断してもよい。さらには、上記した内容を各種組み合わせて、ガバナ付きガス器具10の使用を判断してもよい。
このようにして、第1実施形態に係るガスメータ40及び計測方法によれば、圧力センサ42から入力した電気信号を積算して積算量が所定量に達した場合、トリガ信号を発生させる。ここで、ガス使用開始時又はガス漏れ発生時には、流路内の圧力が減少する。そして、圧力センサ42から入力した電気信号の積算量が所定量に達するとトリガ信号が発生する。よって、ガス使用開始時又はガス漏れ発生時にトリガ信号が発生することになる。そして、トリガ信号が発生された場合に、トリガ信号の発生から流路内のガス圧力及びガス流量の少なくとも一方からなる計測対象を計測する。このため、トリガ信号が発生する前には計測対象を計測することなく、適切なタイミングで計測を開始することができる。さらに、適切に計測を開始するために、圧力センサ42の出力に基づく圧力値を計測する必要がなく、積算量が所定量に達したことを監視するだけでよいため、簡便な構成とすることができると共に、圧力センサ42や流量センサ41で常時圧力や流量の出力に基づく圧力値や流量値を計測してトリガ信号を出力する場合に比べると、消費電力を低減することができる。さらにまた、圧力降下の積算量を監視ていることから、外部の圧力脈動などが発生している場合には積算量は所定値に達することがなく、ガス漏れやガス器具使用の開始時以外の場合に誤ってトリガ信号を出力することがない。以上より、消費電力の増大を抑制しつつ、ガス使用開始時又はガス漏れ発生時を特定することができる。
また、トリガ信号の発生から特定時間だけ流路内の計測対象を計測すると共に、計測された測定対象の波形データからガス使用状況を判断するため、ガス使用開始時又はガス漏れ発生時から特定時間経過するまでの波形データを取得することができ、それ以降の時間帯の波形データを取得してしまう事態を防止することができる。従って、ガス使用状況を判断するためのデータ取得について適切化を図ることができる。
また、積算流量を求めるために第2所定時間毎の計測間隔でガス流量を測定する正規計測部43a2を備え、正規計測部43a2は、高速計測部43a1が計測しているときはガス流量の測定を停止し、高速計測部43a1が測定を終了した後にガス流量の計測を開始する。このため、必要なときにガス流量の計測をすると共に、ガス使用状況を判断するための計測時には正規計測部43a2によるガス流量の計測を停止することで、消費電力を低減させることができる。さらに、高速計測部43a1と正規計測部43a2とで、同時に計測動作をすることがないため、一部共通の構成をとることができ、装置を簡素化できる。また、計測対象がガス流量である場合には、流量センサ41も共通化することができ、さらに装置を簡素化することができる。
また、積算流量を求めるために第2所定時間毎の計測間隔でガス流量を測定する正規計測部43a2を備え、正規計測部43a2は、トリガ信号の発生から測定を開始し、高速計測部43a1は、トリガ信号の発生から特定時間だけ流路内の計測対象を計測する。このため、積算流量を求めるにあたり、流量が発生していないときや流量が安定しているときなど、計測しなくても良いときにはガス流量を計測せずに、流量変化があったときにだけ流量計測を開始することができ、流量計測にかかる計測を省略でき、ひいては消費電力を削減できる。
また、高速計測部43a1は、自己が計測を停止中で、且つ、正規計測部43a2がガス流量を計測中である状態において、トリガ信号が発生された場合、計測対象の計測を開始するため、ガス器具10の使用中において、新たなガス器具10が使用された場合やガス漏れが発生した場合にトリガ信号が発生されることとなり、ガス器具10の使用中であっても、新たなガス器具10の使用やガス漏れなどのガス使用状況を判断することができる。
また、積算流量を求めるにあたり、流量が発生していない(例えば1.5L/hr未満)時を判断することで、流量が発生しておらず計測しなくても良いことを判断して、適切なときにガス流量の計測を停止できる。これにより、ガス流量を計測しなくて良いときにガス流量の計測を停止して、流量変化があったときにだけ流量計測を開始することができ、流量計測を省略できると共に、一層消費電力を削減できる。
また、トリガ信号発生部44は高速計測部43a1が計測対象を計測している間は動作を停止しているため、高速計測部43a1が計測対象を計測している間は、新たに高速計測部43a1による計測対象の計測を開始する必要がなく、その間だけトリガ信号発生部44の動作を停止することで、一層消費電力を低減できる。
また、トリガ信号発生部44が積分回路44aを含むため、圧力センサ42からの電気信号を積算するための手段をアナログの積分回路44aとして構成することで、トリガ信号発生部44を簡便な構成とすることができる。さらに、圧力センサ42のS/Nを下げることができ、ひいては、圧力センサ42の駆動電力を下げることができるため、より一層省電力化することができる。
また、基準電位Voと電気信号との電位差を積算するため、基準電位Voを通常時のガス圧力での圧力センサ42の出力に設定することで、通常時のガス圧力との圧力変化分だけを積算することができる。
また、基準電位Voを調整する基準電位調整部43cを備えるため、ガスメータなどのように、配管内の圧力が昼夜で変化するような場合に、意図せず積算値が所定量に達しないようにすることができる。また、ガス使用時のように、通常の圧力よりも圧力が低い状態で安定している場合に、同様に、意図せず積算値が所定量に達しないようにすることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るガスメータ40は、第1実施形態のものとほぼ同様であるが、一部構成及び処理が異なっている。以下、第1実施形態との相違点のみを説明する。
図13は、本発明の第2実施形態に係るガスメータ40の構成図である。なお、図13において、トリガ信号発生部44の内部構成は図3に示したものと同じであるため、図示を省略している。図13に示すように、第2実施形態に係るガスメータ40は、トリガ信号発生部44からのトリガ信号の出力先が第1実施形態と異なると共に、新たにアナログスイッチ(スイッチ手段)47を備えている。さらに、第2実施形態に係るガスメータ40は、小型で消費電力がマイコン43よりも小さいサブマイコン48を備えている。このサブマイコン48は、図3に示した基準電位調整部43cと同様の構成からなる基準電位調整部48aを備えている。
このようなガスメータ40では、簡易計測モードにおいてアナログスイッチ47がオフとなっており、トリガ信号発生部44からのトリガ信号が入力されるまで、マイコン43には電源電圧が供給されない状態となっている。
また、トリガ信号発生部44からのトリガ信号が入力されていない場合、サブマイコン48は規定時間(例えば1時間)毎に切替信号を送信し、圧力センサ42からの電気信号を自己に入力する構成となっている。そして、サブマイコン48の基準電位調整部48aはトリガ信号発生部44内の可変抵抗R2の抵抗値を調整して、トリガ信号発生部44の基準電位Voを調整する。
一方、トリガ信号発生部44からトリガ信号が出力されると、アナログスイッチ47はオン状態となる。また、マイコン43は、トリガ信号発生部44からトリガ信号が出力されてアナログスイッチ47がオン状態となることにより、電源電圧が供給されてオン状態となる。この際、サブマイコン48は機能を停止するようになっていてもよい。
また、トリガ信号は、切替スイッチ42a及び圧力センサ駆動回路45に直接出力される。これにより、切替スイッチ42aはマイコン43からの切替信号によらず、電気信号の出力先をマイコン43側に切り替えることとなる。同様に、圧力センサ駆動回路45は、マイコン43からの指示信号を入力することなく、簡易計測駆動回路45aを停止し、高速計測駆動回路45bの駆動を開始する。そして、マイコン43は、高速計測部43a1を起動させることで、計測モードを簡易計測モードから高速計測モードに移行させることとなる。
なお、一度トリガ信号を入力した切替スイッチ42a、圧力センサ駆動回路45及びアナログスイッチ47は、モード移行状態やマイコンのオン状態から移行前の状態に戻らないように工夫されている必要がある。具体的には、アナログスイッチ47にロジック回路を設けてマイコン43から出力されるリセット信号の入力がなければ移行前の状態に戻らないようにすればよい。あるいは、トリガ信号発生部44のヒステリシスを大きくして、マイコン43から出力されるリセット信号の入力がなければトリガ信号発生部44からの出力がオフ状態に戻らないようにすればよい。
以上のようにガスメータ40を構成することにより、簡易計測モードではマイコン自体を停止状態にでき、一層消費電力を抑えることができる。なお、本実施形態では高速計測部43a1と正規計測部43a2と判断部43bが同じマイコン43内の1機能として存在しているが、別々のマイコンやマイコン周辺回路の1機能として存在し、アナログスイッチ47がオン状態となることにより、別々のマイコンやマイコン周辺回路に電源電圧が供給される構成となっていてもよい。
ところで、第2実施形態に係るガスメータ40は、正規計測モードから簡易計測モードに移行する際に、アナログスイッチ47をオフする信号を、出力ポートP2から出力してアナログスイッチ47をオフ状態とする。また、正規計測モードから簡易計測モードに移行する際には、切替信号を出力して、出力先をトリガ信号発生部44に戻しておく。
このようにして、第2実施形態に係るガスメータ40によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第2実施形態によれば、高速計測部43a1及び判断部43bのそれぞれは、トリガ信号が出力されてアナログスイッチ47がオン状態となることにより、電源電圧が供給されるマイコン43の1機能として構成されているため、高速計測部43a1及び判断部43bは、トリガ信号が出力される際に電源オンとなり、トリガ信号が出力されるまでは停止状態にある。従って、一層消費電力を低減することができる。なお、本実施形態において高速計測部43a1及び判断部43bは、双方がマイコン43の1機能であるが、これに限らず、いずれか一方のみがマイコン43の1機能となっていてもよい。さらに、マイコン43のみの1機能に限らず、マイコン43とマイコン周辺回路とからなる1機能として構成されていてもよい。
また、正規計測部43a2は、トリガ信号発生部44からトリガ信号が出力されてアナログスイッチ47がオン状態となることにより、電源電圧が供給されるマイコン43の1機能として構成されため、正規計測部43a2は、トリガ信号が出力される際に電源オンとなり、トリガ信号が出力されるまでは停止状態にある。従って、流量が発生していないときや流量が安定しているときなど、計測しなくても良いときにはガス流量を計測せずに、流量変化があったときにだけ流量計測を開始することができ、流量計測にかかる計測を省略できると共に、一層消費電力を低減することができる。なお、この場合においても正規計測部43a2はマイコン43のみの1機能に限らず、マイコン43とマイコン周辺回路とからなる1機能として構成されていてもよい。
なお、近年のマイコンは低消費電力モード・スリープモードなどの機能を持っており、モード切替端子への信号入力でモードを切り替えることもできるため、そのような端子へトリガ信号を入力して、低消費電力モードから通常モードへ切り替えるように構成してもよい。
加えて、正規計測モードにおいてトリガ信号発生部44は機能を停止していてもよい。正規計測モードにおいて正規計測部43a2が計測対象を計測している間は、新たに正規計測部43a2による計測対象の計測を開始する必要がなく、その間だけトリガ信号発生部44の動作を停止することで、一層消費電力を低減できるからである。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3実施形態に係るガスメータ40は、第1実施形態のものとほぼ同様であるが、一部構成及び処理が異なっている。以下、第1実施形態との相違点のみを説明する。
図14は、本発明の第3実施形態に係るガスメータ40の構成図である。図14に示すように、第3実施形態に係るガスメータ40は、圧力センサ駆動回路45及び流量センサ駆動回路46に高速計測駆動回路45b,46aを持っていない。さらに、ガスメータ40は切替スイッチ42aを有していない。また、マイコン43内に判断部43bを無くしているとともに、マイコン43内の計測部43aは、正規計測部43a2のみから構成されている。
第3実施形態において、まず、ガスが使用されていない状態では、ガスメータ40は簡易計測モードとなる。このとき、ガスメータ40において、圧力センサ駆動回路45は、圧力センサ42を低消費電力で連続的に駆動させるように簡易計測駆動回路45aを機能させ、トリガ信号発生部44は、圧力センサ42から連続的に出力される電気信号を入力する。流量センサ駆動回路46は動作していない。
ここで、トリガ信号発生部44は上述したように構成されており、圧力センサ42からの電気信号を積算して積算量が所定量に達しない場合、すなわちある程度の流量が流れない限り、トリガ信号発生部44からは、トリガ信号が出力されないようになっている。これにより、簡易計測モードが維持されることとなる。
第3実施形態においても、簡易計測モードは図9に示すフローチャートと同様に実施される。まず、トリガ信号が入力されない間は、ステップS10を繰り返す。一方、簡易計測モードにおいて圧力センサ42からの電気信号を積算して積算量が所定量に達した場合、すなわちある程度の流量が流れた場合、トリガ信号発生部44は、トリガ信号を発生させ、マイコン43にトリガ信号が入力する(S10)。次にマイコン43は、ステップS11の切替信号出力は実施せずに、簡易計測モードから正規計測モードに移行するための指示信号を発生させる(S12)。そして、圧力センサ駆動回路45は、指示信号を入力して、駆動を停止し、同時に、流量センサ駆動回路46は、指示信号を入力して、正規計測駆動回路の駆動を開始する。そして、計測部43aは正規計測部43a2を機能させる。その後、トリガ信号発生部は機能を停止して(S13)、ガスメータ40は、正規計測モードに移行する。
また、第3実施形態においても基準電位調整部43cが機能し、トリガ信号発生部44の基準電位Voを逐次調整する点は第1実施形態と同じである。すなわち、図9に示すステップS14〜S18の処理が実行される点は同じである。
また、第3実施形態において、正規計測モードは図11に類似のフローチャートで実施される。相違点は、ステップS41で第2所定時間を経過していない場合は無条件でステップS41を繰り返し、ステップS48からステップS51の動作を実施しない点で異なるだけである。
このようにして、第3実施形態に係るガスメータ40によれば、第1実施形態と同様に、消費電力の増大を抑制しつつ、ガス使用開始時を特定することなどができる。
さらに、第3実施形態によれば、積算流量を求めるにあたり、流量が発生していない時や流量が安定している時など、計測しなくても良い時にはガス流量を計測せずに、流量変化があった時にだけ流量計測を開始することができ、流量計測にかかる計測を省略でき、ひいては消費電力を削減できる。加えて、ガス流量の計測を必要な時にだけ実施することができ、計測精度を悪くせずに消費電力を削減できる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態を組み合わせてもよい。例えば、本実施形態において高速計測モードは、1ミリ秒に1回の計測間隔となっていたが、これに限らず、より短い計測間隔(0.1ミリ秒)又は長い計測間隔(10ミリ秒)であってもよいし、常時圧力センサ42が駆動されて常時圧力が検出される状態となっていてもよい。加えて、正規計測部43a2は、第2所定時間(例えば2秒)毎に常時ガス流量を計測してもよい。この場合、流量センサ駆動回路46の正規計測駆動回路46bは動作を停止せず、常時流量センサ41を駆動させることとなる。
また、本実施形態において圧力センサ42からの電気信号は直接積分回路44aに入力されているが、これに限らず、両者間に非常に低い周波数(例えば、1Hz未満)の信号を除去するハイパスフィルタ又はバンドパスフィルタを備えていてもよい。これにより、DC電圧と低周波数の信号を除去することとなり、基準電位調整部43c,47aによる基準電位Voの調整が不要となるためである。すなわち、配管内の圧力が昼夜で変化する場合において、昼夜の気温差による圧力変化のような低周波成分を除去できることとなり、簡易な構成で意図せず積算値が所定量に達しないようにすることができる。
また、本実施形態においてトリガ信号発生部44はガスメータ40の一部として存在しているが、これに限らず、トリガ信号発生部44をガスメータ40から取り出してトリガ信号発生装置として構成してもよい。また、トリガ信号発生部44のみならず、計測部43aや判断部43bや駆動回路45等についてもガスメータ40から取り出して構成してもよい。
また、第1及び第2実施形態において、正規計測部43a2は簡易計測モードにおいては流量を計測していないが、これに限らず、簡易計測モードにおいても第2所定時間毎もしくはそれより長い計測間隔でガス流量を測定してもよい。
また、第1及び第2実施形態において、流量センサ駆動回路46、流量センサ41、及び、正規計測部43a2を取り外して、ガス流量の計測をしない、ガス漏れ及びガス器具判別専用装置とすることもできる。
また、第1及び第2実施形態において、ステップS25で詳細な解析を行い、個別のガス器具の判別まで実施して、ガス器具判別装置とすることもできる。個別のガス器具の使用が判別できると、個別のガス器具の使用状況の監視などができるようになる。
また、本実施形態において、正規計測部43a1はガス流量が所定値を超えない場合に簡易計測モードに移行して測定を停止するが、これに限らず、測定したガス流量が所定の変化量を超えないと判断した場合(例えば±1.5L/hr未満の場合)、ガス流量の測定を停止してもよい。これにより、流量変化があった時にだけ流量を詳細に計測することとなり、流量が安定しているときには流量計測を省略できると共に、一層消費電力を削減できる。加えて、流量の計測を停止する場合に限らず、計測間隔である第2所定時間を長くするようにしてもよい。これによっても、流量が安定しているときには流量計測を省略できると共に、一層消費電力を削減できるからである。
さらに、本実施形態において、正規計測部43aはガス流量が所定値を超えない場合に簡易計測モードに移行して測定を停止するが、これに限らず、トリガ信号発生部44からトリガ信号が規定時間発生しなかった場合、ガス流量の測定を停止するようにしてもよいし、計測間隔である第2所定時間を長くするようにしてもよい。トリガ信号発生部44からトリガ信号が規定時間発生しないという事は、圧力が安定していてガス流量が所定の変化量(例えば±1.5L/hr)を超えない状態であると判断できるため、ガス流量の変化を監視する必要が無く、簡便な構成とすることができ、一層消費電力を削減できる。
また、本実施形態において指示信号はマイコン43から出力されるが、これに限らず、マイコン43の外部に、指示信号の発生用のアナログ回路を設けるようにしてもよい。