JP5457663B2 - 判断装置及び判断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、判断装置及び判断方法に関する。
従来、使用中のガス器具にガバナが設けられているかを判断するガス器具判別装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2005−265513号公報
ここで、本件出願人は、特願2008−86022の技術を発明している。この発明では、ガス圧力に基づいてガバナ付きガス器具が使用されたか、ガバナ無しガス器具が使用されたか、及び、ガス漏れが発生しているか否かを判断するようになっている。
ところが、特許文献1に記載のガス供給システムにおいてガバナ付きガス器具の使用を判断する場合には、得られた圧力波形を周波数解析等する必要がある。このため、ガバナ付きガス器具の使用を判断するにあたり、演算量が多くなって消費電力が増大してしまう可能性があった。さらに、従来のガス器具判別装置ではガス器具の使用終了も判断できない。
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、消費電力を抑えつつガバナ付きガス器具の使用及びガス器具の使用終了を判断することが可能な判断装置及び判断方法を提供することにある。
本発明の判断装置は、流路内のガス流量に応じた電気信号を出力する流量センサと、流量変化発生時以降における流量センサからの電気信号に基づく流量値そのものからガバナ付きガス器具の使用を判断すると共に、流量値と予め定められた値との演算結果からガス器具の使用終了を判断する判断手段と、を備え、判断手段は、流量が増加を示した後に、逆流を示すか又は流量増加前の流量よりも少なくなる場合に、ガバナ付きガス器具の使用であると判断することを特徴とする。ここで、流量値そのものとは、流量値自体を意味してもよいし、流量値そのものの元となる電圧値や電流値であってもよい。
この判断装置によれば、流量変化発生時以降における流量センサからの電気信号に基づく流量値そのものからガバナ付きガス器具の使用を判断すると共に、流量値と予め定められた値との演算結果からガス器具の使用終了を判断する。このため、周波数解析等の必要がなく、消費電力を抑えつつガバナ付きガス器具の使用及びガス器具の使用終了を判断することができる。
さらに、流量が増加を示した後に、逆流を示すか又は流量増加前の流量よりも少なくなる場合に、ガバナ付きガス器具の使用であると判断する。ここで、逆流等を示す場合とは、振幅が非常に大きく、ガバナ付きガス器具の使用である可能性が高い。このため、1台目のガス器具の使用開始時については、流量が増加を示した後に逆流を示す場合に、ガバナ付きガス器具の使用であると判断することができ、2台目以降のガス器具の使用開始時については、流量が増加を示した後に流量増加前の流量よりも少なくなる場合に、ガバナ付きガス器具の使用であると判断することができる。これにより、流量波形をフーリエ変換するなど解析することなく、流量値そのものからガバナ付きガス器具の使用を判断できることとなる。さらには、フーリエ変換などでは一定数の流量データが溜まってから解析を行う必要があり、一定数の流量データが蓄積されるまではガバナ付きガス器具の使用が判断できないが、上記の如く、逆流を示すか又は流量増加前の流量よりも少なくなる場合を判断する際には、現時点の流量値から逆流を示すか又は流量増加前の流量よりも少なくなったかを判断すればよいこととなり、流量データを蓄積せずともよいこととなる。従って、より短い時間でガバナ付きガス器具の使用を判断することができる。
また、本発明の判断装置において、判断手段は、流量の減少を示した後に、流量値の今回の極大値と極小値との差が前回の極大値と極小値との差の所定倍よりも小さくならない状態が、所定回数連続する場合、1台以上のガス器具の使用が終了したと判断することが好ましい。
この判断装置によれば、流量の減少を示した後に、流量値の今回の極大値と極小値との差が前回の極大値と極小値との差の所定倍よりも小さくならない状態が、所定回数連続する場合、1台以上のガス器具の使用が終了したと判断する。ここで、ガス器具の終了時には2〜3秒程度の長い時間継続して弱い流量の振動が得られる。このため、流量の減少を示した後に、流量値の今回の極大値と極小値との差が前回の極大値と極小値との差の所定倍よりも小さくならない状態が、所定回数連続するという弱い振動を示す特徴が表れた場合には、フーリエ変換等の周波数解析を行うことなく、1台以上のガス器具の使用が終了したと判断することができる。
また、本発明の判断装置において、判断手段は、流量の減少量に対して所定値を乗じた値以上の振幅を示す場合に、1台以上のガス器具の使用が終了したと判断することが好ましい。
この判断装置によれば、流量の減少量に対して所定値以上の振幅を示す場合に、1台以上のガス器具の使用が終了したと判断する。ここで、ガス器具の使用終了時には、流量の減少量に比例した振幅が得られる。このため、流量の減少量という流量値と所定値という予め定められた値とを乗じた値以上の振幅を示す場合、フーリエ変換等の周波数解析を行うことなく、1台以上のガス器具の使用が終了したことを判断することができる。
また、本発明の判断方法は、流量変化発生時以降における流量センサからの電気信号に基づく流量値そのものからガバナ付きガス器具の使用を判断すると共に、流量値と予め定められた値との演算結果からガス器具の使用終了を判断する判断工程を有し、判断工程では、流量が増加を示した後に、逆流を示すか又は流量増加前の流量よりも少なくなる場合に、ガバナ付きガス器具の使用であると判断することを特徴とする。
この判断方法によれば、流量変化発生時以降における流量センサからの電気信号に基づく流量値そのものからガバナ付きガス器具の使用を判断すると共に、流量値と予め定められた値との演算結果からガス器具の使用終了を判断する。このため、周波数解析等の必要がなく、消費電力を抑えつつガバナ付きガス器具の使用及びガス器具の使用終了を判断することができる。さらに、流量が増加を示した後に、逆流を示すか又は流量増加前の流量よりも少なくなる場合に、ガバナ付きガス器具の使用であると判断する。ここで、逆流等を示す場合とは、振幅が非常に大きく、ガバナ付きガス器具の使用である可能性が高い。このため、1台目のガス器具の使用開始時については、流量が増加を示した後に逆流を示す場合に、ガバナ付きガス器具の使用であると判断することができ、2台目以降のガス器具の使用開始時については、流量が増加を示した後に流量増加前の流量よりも少なくなる場合に、ガバナ付きガス器具の使用であると判断することができる。これにより、流量波形をフーリエ変換するなど解析することなく、流量値そのものからガバナ付きガス器具の使用を判断できることとなる。さらには、フーリエ変換などでは一定数の流量データが溜まってから解析を行う必要があり、一定数の流量データが蓄積されるまではガバナ付きガス器具の使用が判断できないが、上記の如く、逆流を示すか又は流量増加前の流量よりも少なくなる場合を判断する際には、現時点の流量値から逆流を示すか又は流量増加前の流量よりも少なくなったかを判断すればよいこととなり、流量データを蓄積せずともよいこととなる。従って、より短い時間でガバナ付きガス器具の使用を判断することができる。
本発明によれば、消費電力を抑えつつガバナ付きガス器具の使用及びガス器具の使用終了を判断することが可能な判断装置及び判断方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る判断装置を含むガス供給システムの構成図である。ガス供給システム1は、ストーブ、ファンヒータ、給湯器及びガスコンロなどの各ガス器具10に燃料ガスを供給するものであって、複数のガス器具10と、ガス供給元の調整器20と、配管31,32と、ガスメータ(判断装置)40とを備えている。なお、図1に示す例では、ガスメータ40を判断装置の一例として挙げるが、判断装置はガスメータ40に限るものではない。
調整器20は上流からの燃料ガスを所定圧力に調整して第1配管31に流すものである。この調整器20は、例えば燃料ガスを2.9kPa程度の圧力に調整して第1配管31に流す構成となっている。第1配管31は、調整器20とガスメータ40とを接続するものである。第2配管32はガスメータ40とガス器具10とを接続する配管である。ガスメータ40は、燃料ガスの流量を測定して積算流量を表示するものである。このようなガス供給システム1では、ガスメータ40内に第1配管31及び第2配管32とつながる流路が形成されており、調整器20を通じて流れてきた燃料ガスは第1配管31からガスメータ40、及び第2配管32を通じてガス器具10に到達し、ガス器具10において燃焼されることとなる。
また、ガス器具10は、概略的に、遮断弁12、ガバナ13、及びバーナー14を備えている。遮断弁12は、ガス器具10に設けられた弁である。ガバナ13は、ガバナ内弁13aを有し、ガス器具10のバーナー14に供給するガスの圧力をガバナ内弁13aの開度によって調整するものである。圧力調整された燃料ガスはガバナ13の先端のノズル13bを通じてバーナー14に至り、燃焼することとなる。なお、ガス器具10は、全てがガバナ13を有しているわけでなく、ガスコンロなどのようにガバナ13を有さないものもある。
図2は、図1に示したガバナ13の一例を示す側方断面図である。なお、図2では、ガバナ13の一例を示すに過ぎず、ガバナ13の構成は図2に示すものに限られない。また、図2に示すガバナ13については図1に示したノズル13bを省略して図示する。
図2に示すようにガバナ13は、外壁13cとガバナキャップ13dとによって形成される内部空間の一部をガス流路として用いるものである。このようなガバナ13は、ガバナ内弁13aに加えて、内部空間に、ダイヤフラム13e、調整スプリング13f、及び調整ネジ13gを備えている。
ダイヤフラム13eは、ガバナ13の内部空間を仕切る膜状の部材である。このダイヤフラム13eには、一方側(流路側)にガバナ内弁13aが取り付けられている。また、ダイヤフラム13eの他方側(流路として機能しない側)に調整スプリング13fが取り付けられている。調整スプリング13fは、一端にダイヤフラム13eが取り付けられ、他端に調整ネジ13gが取り付けられている。調整ネジ13gは、ねじ切り溝が形成されたガバナ13の内壁に固定される構造となっており、ねじ切り溝との固定位置を変化させることで調整スプリング13fの圧縮率を変更可能となっている。また、調整ネジ13gは外部にむき出しとなっておらず、ガバナキャップ13dによって覆われた構造となっている。
また、ガバナ13の外壁13cには、ダイヤフラム13eの他方側に通じる空気孔13hが形成されている。このため、ダイヤフラム13eの他方側は空気圧となっている。さらに、図2に示す例においてガバナ内弁13aは半球形状となっており、上下動によって通過口13iの開口割合を制御可能となっている。
このようなガバナ13では、ガス入側のガス圧が高くなると、ダイヤフラム13eが上へ押し上げられ、同時にダイヤフラム13eに取り付けられているガバナ内弁13aも上に引き上げられる。これにより、通過口13iの開口割合が小さくなって、ガス流量が減少する。一方、ガス入側のガス圧が低くなると、ダイヤフラム13eが下がり、同時にダイヤフラム13eに取り付けられているガバナ内弁13aも下がる。これにより、通過口13iの開口割合が大きくなって、ガス流量が増大する。このように、ガバナ13は上流側の圧力の変動に対して下流側の流量を一定に保つことで、下流側の圧力を調整することとなる。
再度、図1を参照する。同図に示すように、本実施形態に係るガスメータ40は、流量センサ41と、マイコン42とを備えている。
流量センサ41は、ガスメータ40内の流路に設置され、流路内のガス流量を検出するためのものである。本実施形態に係るガスメータ40が超音波式のガスメータである場合、流量センサ41は、流路内に一定距離だけ離れて配置された例えば圧電式振動子からなる2つの音響トランスジューサによって構成される。また、本実施形態に係るガスメータ40がフローセンサなどの熱式センサを搭載したガスメータである場合、温度分布をつくり出すヒータと、その温度分布に応じた信号を発生させるサーモパイル等によって構成される。
なお、流量センサ41は、最大300Hz程度の波形が計測できるものが望ましい。また、本実施形態では、図1において流量センサ41からの信号が直接マイコン42に入力されているが、場合によっては増幅器等の他の要素が両者間に追加されていてもよい。
マイコン42は、ガスメータ40の全体を制御するものであり、流量の積算制御、表示制御、遮断弁の遮断制御等を行うものである。また、本実施形態においてマイコン42は、記憶部42aと、判断部(判断手段)42bとを備えている。記憶部42aは、流量センサ41を通じて検出された各時刻の流量値を記憶するものである。記憶部47aに記憶される流量値は、例えば0.3〜1秒程度のデータであり、約1ミリ秒に1回の計測間隔で測定されたデータである。判断部42aは、記憶部42aに記憶された各時刻の流量値そのものからガバナ付きガス器具10の使用を判断すると共に、流量値と予め定められた値との演算結果からガス器具の使用終了を判断する。
ここで、判断部42bによる判断原理について説明する。図3は、ガバナ付きガス器具10の使用を開始したときの流量変化の様子を示すグラフである。なお、図3において縦軸は、流量に応じた流量センサ41からの出力電圧(V)を示し、横軸はガバナ付きガス器具10の使用を開始してからの経過時間(sec)を示している。また、図3は流量センサ41がフローセンサである場合のグラフを示している。
ガバナ付きガス器具10の使用が開始された場合、流量は、図3に示す所定の振動を示した後に、安定状態となる。具体的には、ガバナ付きガス器具10の使用開始直後に、出力電圧は、一度約「0.3」Vを示した後(符号a1参照)、約「−0.2」Vを示す(符号a2参照)。その後、出力電圧は約「0.3」Vを示した後に(符号a3参照)、約「−0.27」Vを示す(符号a4参照)。以後、徐々に振幅が小さくなりつつも波形は振動を繰り返し、最終的には出力電圧約「0.2」Vで安定状態となる。
このような流量の振動が発生する理由は、ガバナ13内に調整スプリング13fが設けられているからである。すなわち、ガバナ付きガス器具10の使用が開始されると、調整スプリング13fが振動すると共に、ガバナ内弁13aについても振動し、通過口13iの開口割合についても小刻みに大きくなったり小さくなったりと変化するからである。
特に、ガバナ付きガス器具10の使用開始時に調整スプリング13fの振動によって通過口13iが大きくなったり小さくなったりすることから、流量波形は、大きな振幅を示す。
図4は、ガバナ無しガス器具10での燃料ガスの供給の様子を示す概略図である。図4に示すように、ガバナ無しガス器具10が使用された場合、燃料ガスは第2流路32からノズルホルダ100を通じてバーナー14等に至る。ここで、ノズルホルダ100にある流速を持った気体が流入したときはその慣性力で急には流速が小さくならずに一端ガスが圧縮され圧力が上昇する。その後上昇した圧力により流入流速が小さく(場合によっては逆流)なって圧力が下がる。このような流速の変化を繰り返すことによって、流量の振動が発生する。
以上のように、ガバナ付きガス器具10の使用時と、ガバナ無しガス器具10の使用時とでは、流量は振動することとなる。しかしながら、ガバナ付きガス器具10の使用時にはガバナ無しガス器具10の使用以上の振幅を示す。
まず、ガバナ無しガス器具10の場合、調整スプリング13fが無く、ノズルホルダ100への気体流入慣性力による振動が発生しているのみである。これに対し、ガバナ付きガス器具10であっても、ノズルホルダ100を有しており、ノズルホルダ100への気体流入慣性力による振動は発生する。これに加えて、ガバナ付きガス器具10は、ガバナ13を有しており、調整スプリング13fによる振動が加算される。この結果、ガバナ付きガス器具10ではガバナ無しガス器具10よりも振幅が大きくなる傾向がある。
図5は、ガス漏れ時の流量変化の様子を示すグラフである。なお、図5において縦軸は、流量に応じた流量センサ41からの出力電圧(V)を示し、横軸はガバナ付きガス器具10の使用を開始してからの経過時間(sec)を示している。
図5に示すように、ガス漏れが発生した場合、流量は一応の振動を示すが、その振動は比較的緩やかなものとなる。このように、ガス漏れの場合、調整スプリング13fの振動、及び、ノズルホルダ100の圧縮性による振動の双方が発生しないため、流量波形には図3に示すほどの明確な振動が見られない。
以上のように、ガバナ付きガス器具10の使用開始時と、ガバナ無しガス器具10の使用開始時と、ガス漏れ発生時とでは、流量波形に特徴的な差異がある。従って、マイコン42の判断部42bは、上記の特徴から、ガバナ付きガス器具10の使用を判断することができる。
具体的に説明すると、図3から明らかなように、ガバナ付きガス器具10の使用の場合、流量が増加を示した後に、逆流を示すことがある(符号a2,a4)。上記したように、ガバナ付きガス器具10を使用した場合、振幅が大きくなる。このため、逆流を示すことがある。よって本実施形態では、流量波形を周波数解析してガバナ付きガス器具10の使用を判断しなくともよく、判断部42bは、単に流量センサ41からの出力電圧が負に振れた時点でガバナ付きガス器具10の使用と判断する。これにより、流量波形の周波数等を判断する必要が無くなり、リアルタイム的にガバナ付きガス器具10の使用を判断することができる。
なお、既に1台以上のガス器具10が使用されており、この状態から2台目以降のガス器具10の使用が開始される場合については、逆流を示す場合に限らず、以下のようにしてガバナ付きガス器具10の使用を判断してもよい。すなわち、判断部42bは、流量が増加を示した後に流量増加前の流量よりも少なくなる場合に、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断してもよい。これにより、2台目以降のガス器具10の使用についても、リアルタイム的にガバナ付きガス器具10の使用を判断することができる。
さらに、本実施形態において判断部42bは、ガス器具10の使用終了を判断する機能を有している。次に、図6を参照して、ガス器具10の使用終了判断の原理について説明する。図6は、ガス器具10の使用終了時における流量変化の様子を示すグラフである。なお、図6において縦軸は、流量に応じた流量センサ41からの出力電圧(V)を示し、横軸はガバナ付きガス器具10の使用を終了してからの経過時間(sec)を示している。
図6に示すように、ガス器具10の使用が終了した場合、流量は減少を示す。さらに、ガス器具10の使用終了時には比較的長い時間(2〜3秒程度)継続して弱い流量の振動が得られることがわかっている。この理由は以下のように説明できる。すなわち、ガス使用終了時は遮断弁が急激に閉じられ、ガスの流れの慣性力により遮断弁付近の圧力が上がり、その後その圧力を開放するため逆流が発生し、遮断弁付近の圧力が下がる。これを繰り返すことにより振動が発生するが、それを減衰させる部材は配管の小さい流量抵抗だけなので、振動が比較的長時間続く。これに対してガス器具10の使用終了でなくガス使用量を減らした場合には、絞り弁の下流側にも圧力が逃げられるため、この振動は比較的早く収まる。このため、判断部42bは、流量の減少を示した後に、流量値の今回の極大値と極小値との差が前回の極大値と極小値との差の所定倍(1未満の数であって例えば0.8)よりも小さくならない状態が所定回数連続するというガス使用量減では得られないガス器具10の使用終了時の特徴が表れた場合には、1台以上のガス器具10の使用が終了したと判断する。
さらに、図6に示すように、ガス器具10の使用終了時には、流量の減少量dに比例した振幅vが得られることがわかっている。この理由は、ガス使用終了時に遮断弁が急激に閉じられた時の圧力上昇が、ガスの流れの慣性力に比例することにより、それに比例した振動振幅が発生するためである。このため、判断部42bは、流量の減少量dに対して所定値cを乗じた値以上の振幅vを示す場合、すなわちd×c≦vの関係が成立する場合に、1台以上のガス器具の使用が終了したと判断する。
次に、本実施形態に係るガスメータ40の判断方法をフローチャートを参照して説明する。図7は、本実施形態に係るガスメータ40の判断方法を示すフローチャートである。
図7に示すように、まずマイコン42は、流量変動が発生したか否かを判断する(S1)。例えば、マイコン42は所定時間以内に所定量以上の流量の変化があった場合に流量変動が発生したと判断する。流量変動が発生しなかったと判断した場合(S1:NO)、発生したと判断されるまで、この処理が繰り返される。
流量変動が発生したと判断した場合(S1:YES)、マイコン42は、流量センサ41からの電気信号に基づく流量値を計測すると共に、記憶部42aに記憶させる(S2)。
その後、マイコン42は、流量の計測時間(例えば0.3〜1秒程度)が終了したか否かを判断する(S3)。計測終了でないと判断した場合(S3:NO)、処理はステップS2に移行する。一方、計測終了であると判断した場合(S3:YES)、判断部42bは、流量が増加を示したか否かを判断する(S4)。
流量が増加を示したと判断した場合(S4:YES)、判断部42bは、流量が逆流又は増加前の流量よりも減少をしたか否かを判断する(S5)。流量が逆流を示さず、且つ増加前の流量よりも減少を示さないと判断した場合(S5:NO)、図7に示す処理は終了する。一方、流量が逆流又は増加前の流量よりも減少を示したと判断した場合(S5:YES)、判断部42bは、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断する(S6)。その後、図7に示す処理は終了する。
ところで、流量が増加を示さないと判断した場合(S4:NO)、判断部42bは変数nを「1」に初期化する(S7)。その後、判断部42bは、記憶部42aに記憶された流量値のデータからn個目の極小値sを判定する(S8)。次いで、判断部42bは、記憶部42aに記憶された流量値のデータからn個目の極大値bを判定する(S9)。
ここで、判断部42bは極小値s及び極大値bを以下のようにして判定する。すなわち、判断部42bは、図6に示すように、ある程度の流量増加(符号sからbに掛けての増加)があった後に、増加前の最小値を1個目の極小値sと判定する。その後、順次所定時間内における最大値及び最小値を判断することで、極大値b及び極小値sを判定する。なお、極大値b及び極小値sの判定方法はこれに限られるものではなく、例えば、計測開始から0.1秒後から0.2秒間隔で最大値と最小値とをbとsとして求めてもよい。
ステップS9の後、判断部42bは、変数nが「1」であるか否かを判断する(S10)。変数nが「1」であると判断した場合(S10:YES)、判断部42bは変数nをインクリメントし(S11)、処理はステップS8に移行する。一方、変数nが「1」でないと判断した場合(S10:NO)、判断部42bは、流量値の今回の極大値bと極小値sとの差が前回の極大値bn−1と極小値sn−1との差の所定倍αよりも小さくならないか否かを判断する(S12)。すなわち、判断部42bは、(b−s)/(bn−1−sn−1)≧α(αは例えば0.8)の関係式が成立するか否かを判断する(S12)。
(b−s)/(bn−1−sn−1)≧αの関係式が成立すると判断した場合(S12:YES)、判断部42bは、ステップS12において「YES」と判断される状態が、所定回数X連続して続いたか否かを判断する(S13)。所定回数X連続して続いていないと判断した場合(S13:NO)、処理はステップS11に移行する。
所定回数X連続して続いたと判断した場合(S13:YES)、判断部42bは、1台以上のガス器具10の使用が終了したと判断する(S15)。そして、図7に示す処理は終了する。
また、(b−s)/(bn−1−sn−1)≧αの関係式が成立しないと判断した場合(S12:NO)、判断部42bは、流量の減少量dに対して所定値cを乗じた値以上の振幅vを示すか否かを判断する(S14)。すなわち判断部42bは、振幅v≧減少量d×所定値cの関係が成立するか否かを判断する。
ここで、ステップS7〜S13の処理は、ステップS2〜S5の処理と並列して行うことも可能である。すなわち、ステップS2の処理の前にn=1とするステップS7を行った後、ステップS2で流量を計測する。その後、その前の数個のデータを解析してステップS8,S9の処理を行うことができる。その後、ステップS10〜S13の判断を実施し、ステップS11へ移行した場合はステップS2へ戻って計測を続ければよい。ステップS15へ進む場合は、ガス器具10の使用終了なので、計測を止めて処理を終了する。ステップS3で計測終了したり、ステップS14へ行きガス器具使用終了以外と判断されたりした場合は、ステップS4以降へ進めばよい。ステップS4で流量増加していないと判断したら処理を終了する。増加していると判断したらステップS5以下の処理を行う。このようにすることで、ガス器具終了処理の判断をリアルタイム性良く行うことができる。
振幅v≧減少量d×所定値cの関係が成立しないと判断した場合(S14:NO)、図7に示す処理は終了する。一方、振幅b≧減少量c×定数αの関係が成立すると判断した場合(S14:YES)、判断部42bは1台以上のガス器具10の使用が終了したと判断する(S15)。その後、図7に示す処理は終了する。
このようにして、本実施形態に係るガスメータ40及び判断方法によれば、流量変化発生時以降における流量センサ41からの電気信号に基づく流量値そのものからガバナ付きガス器具10の使用を判断すると共に、流量値と予め定められた値との演算結果からガス器具10の使用終了を判断する。このため、周波数解析等の必要がなく、消費電力を抑えつつガバナ付きガス器具10の使用及びガス器具10の使用終了を判断することができる。
また、流量が増加を示した後に、逆流を示すか又は流量増加前の流量よりも少なくなる場合に、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断する。ここで、逆流等を示す場合とは、振幅が非常に大きく、ガバナ付きガス器具10の使用である可能性が高い。このため、1台目のガス器具10の使用開始時については、流量が増加を示した後に逆流を示す場合に、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断することができ、2台目以降のガス器具10の使用開始時については、流量が増加を示した後に流量増加前の流量よりも少なくなる場合に、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断することができる。これにより、流量波形をフーリエ変換するなど解析することなく、流量値そのものからガバナ付きガス器具10の使用を判断できることとなる。さらには、フーリエ変換などでは一定数の流量データが溜まってから解析を行う必要があり、一定数の流量データが蓄積されるまではガバナ付きガス器具10の使用が判断できないが、上記の如く、逆流を示すか又は流量増加前の流量よりも少なくなる場合を判断する際には、現時点の流量値から逆流を示すか又は流量増加前の流量よりも少なくなったかを判断すればよいこととなり、流量データを蓄積せずともよいこととなる。従って、より短い時間でガバナ付きガス器具10の使用を判断することができる。
また、流量の減少を示した後に、流量値の今回の極大値bと極小値sとの差が前回の極大値bn−1と極小値sn−1との差の所定倍αよりも小さくならない状態が、所定回数X連続する場合、1台以上のガス器具10の使用が終了したと判断する。ここで、ガス器具10の終了時には2〜3秒程度の長い時間継続して弱い流量の振動が得られる。このため、流量の減少を示した後に、流量値の今回の極大値bと極小値sとの差が前回の極大値bn−1と極小値sn−1との差の所定倍αよりも小さくならない状態が所定回数X連続するという弱い振動を示す特徴が表れた場合には、フーリエ変換等の周波数解析を行うことなく、1台以上のガス器具10の使用が終了したと判断することができる。
また、流量の減少量dに対して所定値c以上の振幅vを示す場合に、1台以上のガス器具10の使用が終了したと判断する。ここで、ガス器具10の使用終了時には、流量の減少量dに比例した振幅vが得られる。このため、流量の減少量dという流量値と所定値cという予め定められた値とを乗じた値以上の振幅vを示す場合、フーリエ変換等の周波数解析を行うことなく、1台以上のガス器具10の使用が終了したことを判断することができる。
さらに、本件出願人は、圧力センサからの電気信号に基づいて、ガバナ付きガス器具10の使用を判断する特願2008−86022の技術を発明している。この技術によっても短時間でガバナ付きガス器具10の使用を判断することができる。しかし、本実施形態では、流量センサ41から電気信号に基づいてガバナ付きガス器具10の使用を判断するため、新たに圧力センサを設置する必要性がなくなっている。加えて、日中や夜間の温度変化によってガス管内のガス圧力が上昇してしまった場合には、圧力に基づいてガバナ付きガス器具10の使用を判断すると、判断に誤りが生じてしまう可能性があるが、本実施形態では、流量センサ41から電気信号に基づいてガバナ付きガス器具10の使用を判断するため、ガス管内の圧力上昇に影響を受けることなく、ガバナ付きガス器具10の使用を判断することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、本実施形態において流量値は1ミリ秒に1回の計測間隔となっていたが、これに限らず、常時流量センサ41が駆動されて常時流量が検出される状態、すなわち計測間隔が0.1ミリ秒となっていてもよい。
また、本実施形態において判断装置はガスメータ40の内部構成として存在しているが、これに限らず、判断装置をガスメータ40から取り出して構成してもよい。
本発明の実施形態に係る判断装置を含むガス供給システムの構成図である。 図1に示したガバナの一例を示す側方断面図である。 ガバナ付きガス器具の使用を開始したときの流量変化の様子を示すグラフである。 ガバナ無しガス器具での燃料ガスの供給の様子を示す概略図である。 ガス漏れ時の流量変化の様子を示すグラフである。 ガス器具の使用終了時における流量変化の様子を示すグラフである。 本実施形態に係るガスメータの判断方法を示すフローチャートである。
符号の説明
1…ガス供給システム
10…ガス器具
12…遮断弁
13…ガバナ
13a…ガバナ内弁
13b…ノズル
13c…外壁
13d…ガバナキャップ
13e…ダイヤフラム
13f…調整スプリング
13g…調整ネジ
13h…空気孔
14…バーナー
20…調整器
31…第1配管
32…第2配管
40…ガスメータ(判断装置)
41…流量センサ
42…マイコン
42a…記憶部
42b…判断部(判断手段)

Claims (4)

  1. 流路内のガス流量に応じた電気信号を出力する流量センサと、
    流量変化発生時以降における前記流量センサからの電気信号に基づく流量値そのものからガバナ付きガス器具の使用を判断すると共に、前記流量値と予め定められた値との演算結果からガス器具の使用終了を判断する判断手段と、を備え、
    前記判断手段は、流量が増加を示した後に、逆流を示すか又は流量増加前の流量よりも少なくなる場合に、ガバナ付きガス器具の使用であると判断する
    を備えることを特徴とする判断装置。
  2. 前記判断手段は、流量の減少を示した後に、流量値の今回の極大値と極小値との差が前回の極大値と極小値との差の所定倍よりも小さくならない状態が、所定回数連続する場合、1台以上のガス器具の使用が終了したと判断する
    ことを特徴とする請求項1に記載の判断装置。
  3. 前記判断手段は、流量の減少量に対して所定値を乗じた値以上の振幅を示す場合に、1台以上のガス器具の使用が終了したと判断する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の判断装置。
  4. 流量変化発生時以降における流量センサからの電気信号に基づく流量値そのものからガバナ付きガス器具の使用を判断すると共に、前記流量値と予め定められた値との演算結果からガス器具の使用終了を判断する判断工程を有し、
    前記判断工程では、流量が増加を示した後に、逆流を示すか又は流量増加前の流量よりも少なくなる場合に、ガバナ付きガス器具の使用であると判断する
    ことを特徴とする判断方法。
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