以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る計測装置を含むガス供給システムの構成図である。ガス供給システム1は、各ガス器具10に燃料ガスを供給するものであって、複数のガス器具10と、ガス供給元の調整器20と、配管31,32と、ガスメータ(計測装置)40とを備えている。なお、図1に示す例では、ガスメータ40を計測装置の一例として挙げるが、計測装置はガスメータ40に限らず、ガス流量を計測する他の装置であってもよい。
調整器20は上流からの燃料ガスを所定圧力に調整して第1配管31に流すものである。第1配管31は、調整器20とガスメータ40とを接続するものである。第2配管32はガスメータ40とガス器具10とを接続する配管である。ガスメータ40は、燃料ガスの流量を測定して積算流量を表示するものである。このようなガス供給システム1では、ガスメータ40内に第1配管31及び第2配管32とつながる流路が形成されており、調整器20を通じて流れてきた燃料ガスは第1配管31からガスメータ40、及び第2配管32を通じてガス器具10に到達し、ガス器具10において燃焼されることとなる。
また、ガス器具10は、概略的に、遮断弁12、ガバナ13、及びバーナー14を備えている。遮断弁12は、ガス器具10に設けられた弁である。ガバナ13は、ガバナ内弁13aを有し、ガス器具10のバーナー14に供給するガスの圧力をガバナ内弁13aの開度によって調整するものである。圧力調整された燃料ガスはガバナ13の先端のノズル13bを通じてバーナー14に至り、燃焼することとなる。なお、ガス器具10は、全てがガバナ13を有しているわけでなく、ガスコンロなどのようにガバナ13を有さないものもある。
図2は、図1に示したガバナ13の一例を示す側方断面図である。なお、図2では、ガバナ13の一例を示すに過ぎず、ガバナ13の構成は図2に示すものに限られない。また、図2に示すガバナ13については図1に示したノズル13bを省略して図示する。
図2に示すようにガバナ13は、外壁13cとガバナキャップ13dとによって形成される内部空間の一部をガス流路として用いるものである。このようなガバナ13は、ガバナ内弁13aに加えて、内部空間に、ダイヤフラム13e、調整スプリング13f、及び調整ネジ13gを備えている。
ダイヤフラム13eは、ガバナ13の内部空間を仕切る膜状の部材である。このダイヤフラム13eには、一方側(流路側)にガバナ内弁13aが取り付けられている。また、ダイヤフラム13eの他方側(流路として機能しない側)に調整スプリング13fが取り付けられている。調整スプリング13fは、一端にダイヤフラム13eが取り付けられ、他端に調整ネジ13gが取り付けられている。調整ネジ13gは、ねじ切り溝が形成されたガバナ13の内壁に固定される構造となっており、ねじ切り溝との固定位置を変化させることで調整スプリング13fの圧縮率を変更可能となっている。また、調整ネジ13gは外部にむき出しとなっておらず、ガバナキャップ13dによって覆われた構造となっている。
また、ガバナ13の外壁13cには、ダイヤフラム13eの他方側に通じる空気孔13hが形成されている。このため、ダイヤフラム13eの他方側は空気圧となっている。さらに、図2に示す例においてガバナ内弁13aは半球形状となっており、上下動によって通過口13iの開口割合を制御可能となっている。
このようなガバナ13では、ガス入側のガス圧が高くなると、ダイヤフラム13eが上へ押し上げられ、同時にダイヤフラム13eに取り付けられているガバナ内弁13aも上に引き上げられる。これにより、通過口13iの開口割合が小さくなって、ガス流量が減少する。一方、ガス入側のガス圧が低くなると、ダイヤフラム13eが下がり、同時にダイヤフラム13eに取り付けられているガバナ内弁13aも下がる。これにより、通過口13iの開口割合が大きくなって、ガス流量が増大する。このように、ガバナ13は上流側の圧力の変動に対して下流側の流量を一定に保つことで、下流側の圧力を調整することとなる。
図3は、本発明の第1実施形態に係るガスメータ40の構成図である。同図に示すガスメータ40は、流量センサ41と、圧力センサ42と、マイコン47と、トリガ信号発生回路48と、駆動回路49とを備えている。
流量センサ41は、ガスメータ40内の流路に設置され、流路内のガス流量に応じた電気信号を出力するものである。この流量センサ41は、流量に応じて単調増加又は単調減少するアナログ電圧を出力するものが好ましい。また、流量センサ41は、所定流量毎に1パルス出力するセンサ部と、パルスを入力して周波数/電圧変換する回路とから構成されていてもよい。なお、以下の説明において流量センサ41は、温度分布をつくり出すヒータと、その温度分布に応じた信号を発生させるサーモパイル等によって構成されるフローセンサなどの熱式のセンサを例に説明する。
圧力センサ42は、ガスメータ40内の流路内に存在するガスのガス圧を検出するためのものである。なお、圧力センサ42は、ガスメータ40内の流路に限らず、可能であればガスメータ40の外部に存在する第1配管31内や第2配管32内に設置されていてもよい。同様に、流量センサ41についても設置箇所については変更可能である。
なお、本実施形態では、図3において流量センサ41及び圧力センサ42からの信号が直接マイコン47に入力されているが、場合によっては増幅器等の他の要素が両者間に追加されていてもよい。
マイコン47は、ガスメータ40の全体を制御するものであり、流量の積算制御、表示制御、遮断弁の遮断制御等を行うものである。また、本実施形態においてマイコン47は、流量検出部47aと、トリガ信号発生部47bとを有している。流量検出部47aは、マイコン47に入力された流量センサ41からの電気信号に応じて流量を求めるものである。トリガ信号発生部47bは、ガスメータ40の計測モードを変更させるための指示信号や第2,第3トリガ信号を発生させるものである。なお、本実施形態においてガスメータ40の計測モードは、簡易計測モード(第2モード)と、正規計測モード(第1モード)と、高速計測モード(第1モード)との3つからなっている。
トリガ信号発生回路48は、マイコン47の周辺回路であって、第1トリガ信号(及び第4トリガ信号)を発生させるものである。具体的にトリガ信号発生回路48は、微分回路によって構成されており、流量センサ41からの電気信号が所定以上の流量変化を示す場合(所定の出力変化を超える場合)に、第1トリガ信号を発生させる。ここで、所定以上の流量変化とは、20Hz以上の周波数を示す流量変化であり、このような電気信号がトリガ信号発生回路48に入力された場合、トリガ信号発生回路48は約12.5ms以内に第1トリガ信号を出力することとなる。マイコン47は、この第1トリガ信号を入力ポートP1から入力して各種処理を実行する。
駆動回路49は、流量センサ41及び圧力センサ42の駆動を制御するものであり、簡易計測モード駆動回路49aと、高速計測モード駆動回路49bと、正規計測モード駆動回路49cとを備えている。これらの駆動回路49a〜49cは、上記した3つの各計測モードに対応している。従って、ガスメータ40を簡易計測モードで駆動させたい場合には、簡易計測モード駆動回路49aが機能し、高速計測モードで駆動させたい場合には、高速計測モード駆動回路49bが機能する。また、ガスメータ40を正規計測モードで駆動させたい場合には、正規計測モード駆動回路49cが機能する。
ここで、各計測モードについて説明する。まず、正規計測モードとは、流路内のガス流量を検出するモードであって、具体的には第1所定時間毎に1回の計測間隔で流量センサ41が駆動されて第1所定時間毎に1回のタイミングで流量検出部47aがガス流量を計測するモードである。高速計測モードとは、流路内のガス圧を検出するモードであって、具体的には第2所定時間毎に1回のタイミングでマイコン47が圧力センサ42からのガス圧出力を検出するモードである。簡易計測モードとは、簡易計測モードとは、低消費電力で連続的に(流量センサ41が熱式センサである場合には「連続的」であるが、流量センサ41が超音波センサである場合には「高速」)流量センサ41が駆動されて流量センサ41からの電気信号がトリガ信号発生回路48に入力されることで、マイコン47を介さず簡易的にガス流量を計測するモードである。
より詳細に各計測モードについて説明する。ガスメータ40は、主としてガス器具10が使用されていないときに簡易計測モードとなる。簡易計測モードは、消費電力が正規計測モード及び高速計測モードの消費電力以下であり、且つ、計測精度が正規計測モード及び高速計測モードの計測精度以下とされたモードである。具体的に簡易計測モードは、極めて高い計測精度を必要としておらず、流路内の流量が1.5L/hr以下である状態(ガス未使用と判断される状態)から、ある程度の流量が発生したことを検出できればよいモードとなっている。
正規計測モードは、積算流量を求めるために、約2秒に1回の計測間隔でガス流量を計測するモードである。ガスメータ40は、主としてガス器具10が使用されているときに正規計測モードとなり、ガス流量に応じてメータ本体に表示される積算流量の値を増加させていく。このように正規計測モードは、積算流量というガス使用量を求めるためのモードであるため、簡易計測モード以上の計測精度を求められることとなる。
高速計測モードは、最大で300Hzの周波数を示す圧力波形を計測できることが好ましく、例えば約1ミリ秒に1回の計測間隔でガス圧力を計測するモードである。ガスメータ40は、主としてある程度の流量のガスが流れ始めてから特定時間(約0.3秒から2.0秒程度)経過するまで高速計測モードとなる。この高速計測モードにおいてガスメータ40は、ガス圧の変化をとらえ、ガス流路下流側に設置されたガス器具10の使用を判断すると共に、ガス漏れが発生しているか否かを判断することとなる。なお、ガス圧の変化とガス流量の変化とは相関関係がある。このため、高速計測モードでは、約1ミリ秒に1回の計測間隔でガス流量を計測してもよいし、約1ミリ秒に1回の計測間隔でガス圧とガス流量との双方を計測してもよい。
ここで、簡易計測モードでは連続的な計測を行っている。これに対して正規計測モードの計測間隔は2秒となっている。このため、簡易計測モードの方が計測時間が長く、簡易計測モードと正規計測モードとで同じ計測を行うと、簡易計測モードの消費電力は正規計測モードよりも高くなってしまう。そこで、本実施形態に係るガスメータ40は、例えば以下の方法によって簡易計測モード時における消費電力を低減するようにしている。
まず、フローセンサなどの熱式ガスメータでは、ヒータにより発生する温度分布に基づいてガス流量が検出される。よって、正規計測モードにおけるヒータへの供給電圧を「1」とした場合、簡易計測モードでは、ヒータへの供給電圧を約「1/4」とする。これにより、消費電力は「1/16」となる。なお、消費電力は「1/16」に限らず、「1/10」程度にされてもよい。
なお、高速計測モードにおいてガス流量を計測する場合、正規計測モードのようにヒータへの供給電圧を「1」としてもよいし、簡易計測モードのようにヒータへの供給電圧を約「1/4」としてもよい。また、高速計測モードにおいてヒータへの供給電圧は、「1/2」など中間的な値であってもよい。
さらに、本実施形態において簡易計測モードでは、マイコン47の消費電力が低減されている。図4において後述するが、簡易計測モードにおいてマイコン47は、入力ポートP1に第1トリガ信号が入力されるまで、流量や圧力の計測処理を必要としておらず、マイコン47の消費電力自体が軽減されている。すなわち、簡易計測モードでは、流量センサ41からの電気信号をトリガ信号発生回路48が入力し、電気信号が所定の出力変化を超える場合に第1トリガ信号を出力するという簡易的な流量検出を行っており、正確な流量値を演算しておらず、マイコン47の消費電力自体が軽減されている。よって、上記したように、ヒータの供給電圧を変化させることに加えて、マイコン47の消費電力を抑えることにより、ガスメータ40での全体の消費電力を抑え、この結果、簡易計測モードにおける消費電力は、高速計測モードや正規計測モード以下の消費電力となる。なお、簡易計測モードでは正確な流量を計測しておらず、簡易計測モードの計測精度は、高速計測モードや正規計測モードの計測精度以下となってしまう。
以上のようなガス供給システム1において、ガスメータ40は以下のようにモード移行する。図4は、第1実施形態に係るガスメータ40のモード移行方法の概略を示す状態遷移図である。図4に示すように、まず、ガスが使用されていない場合、ガスメータ40は簡易計測モードとなる。このとき、ガスメータ40は流量センサ41を低消費電力で連続的に駆動させ、トリガ信号発生回路48は、連続的に出力される電気信号を入力している。
ここで、トリガ信号発生回路48は微分回路で構成されており、流量センサ41からの電気信号が所定の出力を超えない場合、すなわち所定時間以内に所定値を超える流量変化がない場合、微分回路からは、第1トリガ信号が出力されないようになっている。よって、マイコン47は、流量演算等の処理が不要となっており、マイコン47の消費電力が軽減されている。
一方、簡易計測モードにおいて流量センサ41からの電気信号が所定の出力変化を超える場合、すなわち、計測モードにおいて所定時間以内に所定値を超える流量変化があった場合(S1)、トリガ信号発生回路48は、第1トリガ信号を発生させる。これにより、マイコン47のトリガ信号発生部47bは、簡易計測モードから高速計測モードに移行するための指示信号を発生させる。そして、駆動回路49は指示信号を入力して高速計測モード駆動回路49bを機能させる。これにより、ガスメータ40は、高速計測モードに移行する。また、これと同時にマイコン47は、流量センサ41の出力先を制御する切替スイッチ41aを切り替える切替信号を出力する。これにより、流量センサ41からの電気信号は、マイコン47に入力されるようになる。
また、ガスメータ40は、高速計測モードに移行すると、約1ミリ秒に1回の計測間隔でガス圧の計測を行って、ガバナ付きガス器具10の使用、ガバナ無しガス器具10の使用、ガス漏れのいずれかの状態に該当するか否かを判断する。
また、ガスメータ40は、高速計測モードにおいて圧力の計測を特定時間(例えば0.3秒から1秒程度)だけ行う。そして、特定時間経過後、トリガ信号発生部47bは、高速計測モードから正規計測モードに移行させるための第2トリガ信号を発生させる。これにより、駆動回路49は第2トリガ信号を入力して正規計測モード駆動回路49cを機能させて、ガスメータ40を正規計測モードに移行させる(S2)。
なお、高速計測モードにおいてガス漏れが発生していると判断した場合、ガスメータ40は、遮断弁を動作させて流路を閉じ、ガス漏れの防止を図ることとなる。また、高速計測モードにおいて、特別な場合には特定時間経過後であっても高速計測モードを継続させる(S3)。ここで、特別な場合とは、例えば、ガス器具10が一度着火に失敗し、失敗直後に再度着火動作を開始すると予想された場合などである。
正規計測モードに移行した場合、正規計測モード駆動回路49cは流量センサ41を約2秒に1回駆動させ、流量検出部47aは約2秒に1回の計測間隔で、ガス流量を検出していく。
そして、正規計測モードにおいて所定値(例えば1.5L/hr)を超える流量が検出されなくなったとする。すなわち、正規計測モードにおいて検出される流量がガス未使用と判断される状態の1.5L/hr以下となったとする(S4)。この場合、トリガ信号発生部47bは、正規計測モードから簡易計測モードに移行させるための第3トリガ信号を発生させる。そして、駆動回路49は第3トリガ信号を入力して簡易計測モード駆動回路49aを機能させて、ガスメータ40を簡易計測モードに移行させる。また、これと同時にマイコン47は、流量センサ41の出力先を制御する切替スイッチ41aを切り替える切替信号を出力する。これにより、流量センサ41からの電気信号は、トリガ信号発生回路48に入力されるようになる。なお、正規計測モードから簡易計測モードに移行させる場合、ガス器具10の使用が終了した直後で、ガス漏れが確実にないことを判断した後に、モード移行させるようにしてもよい。
なお、高速計測モードにおいて圧力センサ42のみから信号を取得する場合、流量計測が行われなくなり、特定時間中流量計測が行われないこととなる。よって、高速計測モード中に正規計測モード相当の流量計測を行う並列処理を実行することが望ましい。これにより、特定時間中に発生した流量を取りこぼすことなく、積算流量を求めることができるからである。
ところで、正規計測モードにおいて所定値を超える流量変化があった場合、トリガ信号発生部47bは、正規計測モードから高速計測モードに移行するための第4トリガ信号を発生させる。そして、駆動回路49は、第4トリガ信号を入力して高速計測モード駆動回路49bを機能させて、ガスメータ40を高速計測モードに移行させる(S5)。この高速計測モードの移行により、ガスメータ40は、ガス使用中に新たなガス器具10が使用された場合、及び、ガス使用中に使用中のガス器具10とは別の箇所からガス漏れが発生した場合などにおいて、新たなガス器具10の使用であるか、ガス器具10のガス使用量が変化したのか、ガス漏れであるかを判断することができる。
なお、ステップS5の処理を行う場合、正規計測モードを以下のようにしておくことが望ましい。具体的に正規計測モードでは2秒に1回の計測間隔でガス流量を検出しているが、この計測間隔を埋めるように簡易計測モードにおける計測を実施することが望ましい。すなわち、正規計測モードでは2秒に1回の計測間隔を埋めるように、連続的に流量計測を実施することが好ましい。より具体的に説明すると、正規計測モードにおける計測には50ミリ秒程度の時間が必要となるため、残りの1950ミリ秒において、低消費電力の流量計測を実施することとなる。
後述するように、高速計測モードにおいてガス器具10の使用やガス漏れを判断する場合、圧力波形は最大で1秒程度で安定状態となってしまう。このため、正規計測モードのように2秒に1回の計測間隔では、圧力波形が安定状態になりつつあるときなどに高速計測モードに移行してしまう可能性がある。よって、正規計測モードの計測間隔を埋めるように、簡易計測モードを実施することにより、圧力波形が安定状態になってしまう前に、高速計測モードに移行することができ、ガス器具10の使用及びガス漏れ判断の正確性を向上させることができる。
なお、正規計測モードにおいて、低消費電力の流量計測を実施する場合、ヒータの熱安定に20ミリ秒の時間が必要となる点を考慮するとよい。
次に、高速計測モードにおけるガス器具10の使用、及びガス漏れについての判断方法について説明する。ガバナ付きガス器具10が使用された場合、ガバナ無しガス器具10が使用された場合、及びガス漏れが発生した場合、それぞれ異なる圧力変化を示す。具体的には圧力変化を縦軸とし、時間を横軸とした場合、圧力変化の振幅及び周波数は特徴的なものとなる。マイコン47は、高速計測モード時において、圧力変化の振幅及び周波数から、ガバナ付きガス器具10が使用されたか否か、ガバナ無しガス器具10が使用されたか否か、及びガス漏れが発生したか否かを判断する。
図5は、ガバナ付きガス器具10の使用を開始したときの圧力変化の様子を示すグラフである。なお、図5において縦軸は、圧力変化量(kPa)を示し、横軸はガバナ付きガス器具10の使用を開始してからの経過時間(秒)を示している。
ガバナ付きガス器具10の使用が開始された場合、圧力は、図5に示す所定の振幅を示した後に、安定状態となる。具体的には、ガバナ付きガス器具10の使用開始直後に、一度「−0.1」kPa弱への圧力低下を示した後(符号a1参照)、約「0.05」kPaへの圧力上昇を示す(符号a2参照)。その後、圧力は約「−0.05」kPa強への圧力低下を示した後に(符号a3参照)、約「0.05」kPa弱への圧力上昇を示す(符号a4参照)。以後、徐々に振幅が小さくなりつつも圧力は振動を繰り返し、最終的には圧力変化がない安定状態となる。
このような圧力の振動が発生する理由は、ガバナ13内に調整スプリング13fが設けられているからである。すなわち、ガバナ付きガス器具10の使用が開始されると、調整スプリング13fが振動すると共に、ガバナ内弁13aについても振動し、通過口13iの開口割合についても小刻みに大きくなったり小さくなったりと変化するからである。
特に、ガバナ付きガス器具10の使用開始時においては、圧力振動の周波数や振幅に特徴が見られる。具体的には調整スプリング13fが小刻みに振動することから、圧力について細かな振動を示すこととなる。この結果、圧力波形は比較的高い周波数成分を多く含むこととなる。また、ガバナ付きガス器具10の使用開始時に調整スプリング13fの振動によって通過口13iが大きくなったり小さくなったりすることから、圧力波形は、大きな振幅を示す。
なお、圧力Pは、
なる演算式で表すことができる。ここで、Cは振幅を示し、kは摩擦力(減衰定数)を示し、ωは復元力を示し、αは初期位置を示している。この式は多くの周波数f
i=ω
i/2πの振動の重ね合わせであることを示している。
図6は、ガバナ無しガス器具10の使用を開始したときの圧力変化の様子を示すグラフである。なお、図6において縦軸は、圧力変化量(kPa)を示し、横軸はガバナ無しガス器具10の使用を開始してからの経過時間(秒)を示している。
ガバナ無しガス器具10の使用が開始された場合、圧力は、図6に示す所定の振幅を示した後に、安定状態となる。具体的には、ガバナ付きガス器具10の使用開始直後に、一度「−0.1」kPa弱への圧力低下を示した後(符号b1参照)、約「0.01」kPaへの圧力上昇を示す(符号b2参照)。その後、圧力は約「−0.05」kPa強への圧力低下を示す(符号b3参照)。以後、圧力上昇が無い状態のまま、圧力は振動を繰り返す。そして、振幅が徐々に振幅が小さくなり、最終的には圧力変化がない安定状態となる。このような圧力の振動が発生する理由は、以下による。
図7は、ガバナ無しガス器具10での燃料ガスの供給の様子を示す概略図である。図7に示すように、ガバナ無しガス器具10が使用された場合、燃料ガスは第2配管32からノズルホルダ100を通じてバーナー14等に至る。ここで、ノズルホルダ100にある流速を持った気体が流入したときはその慣性力で急には流速が小さくならずに一端ガスが圧縮され圧力が上昇する。その後上昇した圧力により流入流速が小さく(場合によっては逆流)なって圧力が下がる。これを繰り返すことで圧縮膨張の振動が発生する。
以上のように、ガバナ付きガス器具10の使用時と、ガバナ無しガス器具10の使用時とでは、圧力は振動することとなる。しかしながら、図6に示す圧力波形を図5に示す圧力波形と比較すると、以下のような差異がある。
まず、ガバナ付きガス器具10の場合、調整スプリング13fのように細かく振動する物質を有しているのに対し、ガバナ無しガス器具10の場合、そのような物質を有していない。このため、図6に示す圧力波形は、図5に示す圧力波形と同様に振動を示しているものの、全体として振動周波数が図5に示す圧力波形よりも低くなる。
さらに、ガバナ付きガス器具10の場合、調整スプリング13fの振動によって振幅が大きくなっているが、ガバナ無しガス器具10の場合、調整スプリング13fが無く、ノズルホルダ100の圧縮性による振動が発生しているのみである。このため、図6に示す圧力波形は、図5に示す圧力波形よりも振幅が小さくなる。
このような特徴から、マイコン47は、ガバナ付きガス器具10の使用であるか、ガバナ無しガス器具10の使用であるか否かを判断できることとなる。
図8は、ガス漏れ時の圧力変化の様子を示すグラフである。なお、図8において縦軸は、圧力変化量(kPa)を示し、横軸はガス漏れが発生してからの経過時間(秒)を示している。
図8に示すように、ガス漏れが発生した場合、圧力は明確な振動を示すことなく緩やかに低下していくこととなる。このように、ガス漏れの場合、調整スプリング13fの振動、及び、ノズルホルダ100の圧縮性による振動の双方が発生しないため、圧力波形には明確な振動が見られない。
以上のように、ガバナ付きガス器具10の使用開始時と、ガバナ無しガス器具10の使用開始時と、ガス漏れ発生時とでは、圧力波形に特徴的な差異がある。マイコン47は、上記の特徴から、ガバナ付きガス器具10の使用であるか、ガバナ無しガス器具10の使用であるか、ガス漏れであるかを判断することができる。なお、ガバナ付きガス器具10の使用であるかなどを判断するにあたり、マイコン47は、周波数や振幅の値を用いても良いし、周波数や振幅を示す演算結果(例えばフーリエ変換により得られるスペクトルデータ)を用いるようにしてもよい。
次に、フローチャートを参照して、本実施形態に係るガスメータ40の動作を説明する。図9は、第1実施形態に係るガスメータ40の動作の詳細を示すフローチャートであり、簡易計測モードにおける動作を示している。
簡易計測モードでは、簡易計測モード駆動回路49aによって流量センサ41が連続的に駆動される。このため、トリガ信号発生回路48は、連続的に電気信号を入力している。このような状態において、マイコン47は、第1トリガ信号を入力したか否かを判断する(S10)。第1トリガ信号を入力していないと判断した場合(S10:NO)、入力したと判断するまで、この処理が繰り返される。
一方、第1トリガ信号を入力したと判断した場合(S10:YES)、所定の出力変化を超える電気信号がトリガ信号発生回路48に入力されたと判断できる。すなわち、ある程度の流量のガスが流路内を流れようとしている。このような場合、マイコン47は、切替信号を出力する(S11)。これにより、流量センサ41からの電気信号の出力先が、トリガ信号発生回路48からマイコン47に切り替えられる。そして、マイコン47のトリガ信号発生部47bは、指示信号を駆動回路49に出力する(S12)。これにより、駆動回路49の高速計測モード駆動回路49bが機能することとなり、計測モードは、簡易計測モードから高速計測モードに移行する(S13)。その後、そして、図9に示す処理は終了する。
図10は、第1実施形態に係るガスメータ40の動作の詳細を示すフローチャートであり、高速計測モードにおける動作を示している。図10に示すように、高速計測モードにおいて、マイコン47は、第2所定時間(具体的には1ミリ秒)経過したか否かを判断する(S20)。第2所定時間経過していないと判断した場合(S20:NO)、経過したと判断されるまで、この処理が繰り返される。第2所定時間経過したと判断した場合(S20:YES)、マイコン47は計時した時間をリセットする(S21)。そして、マイコン47は、圧力センサ42からの信号に基づいて、流路内のガス圧を検出すると共に、検出したガス圧を記憶する(S22)。
その後、マイコン47は、特定時間(具体的には0.3秒〜2.0秒)経過したか否かを判断する(S23)。この処理においてマイコン47は、圧力データが所定個数(例えば300〜1000個)溜まったか否かによって特定時間経過したか否かを判断することとなる。特定時間を経過していないと判断した場合(S23:NO)、処理はステップS20に移行する。
一方、特定時間経過したと判断した場合(S23:YES)、マイコン47は、特定時間中にステップS22において計測及び記憶したガス圧のデータに基づいて、ガス器具10の使用やガス漏れを判断する(S24)。その後、マイコン47は、ステップS24の処理においてガス漏れ無しと判断されたか否かを判断する(S25)。
ガス漏れ無しと判断されていた場合(S25:YES)、トリガ信号発生部47bは、第2トリガ信号を発生させる(S26)。これにより、駆動回路49の正規計測モード駆動回路49cが機能することとなり、計測モードは、高速計測モードから正規計測モードに移行する(S27)。その後、図10に示す処理は終了する。
一方、ガス漏れ無しと判断されていなかった場合(S25:NO)、すなわち、ガス漏れがあったと判断されていた場合、マイコン47は、遮断弁を遮断すると共に、警報等を行う(S28)。その後、図10に示す処理は終了する。
図11は、第1実施形態に係るガスメータ40の動作の詳細を示すフローチャートであり、正規計測モードにおける動作を示している。図11に示すように、正規計測モードにおいて、マイコン47は、まず切替信号を出力する(S40)。これにより、流量センサ41からの電気信号はトリガ信号発生回路48に入力されることとなる。ここで、正規計測モードにおいて流量を計測する場合、流量センサ41からの電気信号は、マイコン47に入力されるべきである。しかし、正規計測モードでは、計測間隔を埋めるように簡易計測モードと同じ計測が実施される。しかも、簡易計測モードにおける計測回数の方が正規計測モードにおける計測回数よりも多くなってしまう。このため、正規計測モードでは、流量センサ41からの電気信号の出力先をトリガ信号発生回路48としておくことを基本とし、約2秒に1回の計測時に流量センサ41からの電気信号の出力先がマイコン47となるようにする。
切替信号の出力後、マイコン47は、第1所定時間(具体的には2秒)経過したか否かを判断する(S41)。第1所定時間経過したと判断した場合(S41:YES)、マイコン47は計時した時間をリセットする(S42)。そして、マイコン47は、切替信号を出力する(S43)。これにより、マイコン47は、流量センサ41からの電気信号の出力先をマイコン47とする。
そして、流量検出部47aは、流量センサ41からの信号に基づいて、流路内のガス流量を検出する(S44)。次いで、マイコン47は、ステップS44において検出した流量が、所定値(例えば1.5L/hr)を超える流量であるか否かを判断する(S45)。所定値を超える流量であると判断した場合(S45:YES)、マイコン47は、ステップS44において計測された流量を積算する(S46)。そして、マイコン47は切替信号を出力し(S47)、流量センサ41からの電気信号の出力先をトリガ信号発生回路48とする。その後、処理はステップS41に移行する。
一方、所定値を超える流量でないと判断した場合(S45:NO)、トリガ信号発生部47bは、第3トリガ信号を発生させる(S48)。これにより、駆動回路49の簡易計測モード駆動回路49aが機能することとなり、計測モードは、正規計測モードから簡易計測モードに移行する(S49)。そして、マイコン47は切替信号を出力し(S50)、流量センサ41からの電気信号の出力先をトリガ信号発生回路48とする。その後、図11に示す処理は終了する。なお、ステップS45の処理では、1回だけ「NO」と判断された場合に、ステップS48の処理に進むが、これに限らず、ステップS45において複数回連続して「NO」と判断された場合に、ステップS48の処理に進むことが望ましい。これにより、脈動により瞬間的に流量が所定値を超えなかった場合に簡易計測モードに移行することを防止できるからである。
ところで、ステップS41において第1所定時間経過していないと判断した場合(S41:NO)、マイコン47は、第4トリガ信号を入力したか否かを判断する(S51)。第1トリガ信号を入力していないと判断した場合(S51:NO)、処理はステップS41に移行する。
一方、第4トリガ信号を入力したと判断した場合(S51:YES)、トリガ信号発生部47bは、指示信号を駆動回路49に出力する(S52)。これにより、駆動回路49の高速計測モード駆動回路49bが機能することとなり、計測モードは、正規計測モードから高速計測モードに移行する(S53)。その後、マイコン47は、切替信号を出力する(S54)。これにより、流量センサ41からの電気信号の出力先が、トリガ信号発生回路48からマイコン47に切り替えられる。その後、図11に示す処理は終了する。
なお、ガスメータ40に積算すべき流量の計測中(すなわちステップS41〜S50)において流量変化が発生した場合に、ステップS52〜S54の処理を実行させるようにしてもよい。これにより、切替スイッチ41aがトリガ信号発生回路48側に接続されていない状態においても、流量変化があった場合に高速計測モードに移行することができるからである。
図12は、図10に示したステップS24の詳細を示すフローチャートであり、ガス器具10の使用及びガス漏れ判断に関する処理を示している。図12に示すように、まず、マイコン47は、図10のステップS22において記憶したガス圧の波形の周波数を分析すると共に(S60)、振幅を分析する(S61)。
その後、マイコン47は、ステップS60の分析結果に基づいて、波形内に判別値以上の周波数成分が規定値以上含まれるか否かを判断する(S62)。判別値以上の周波数成分が規定値以上含まれると判断した場合(S62:YES)、すなわち図5に示した圧力波形のようにある程度高い周波数成分を多く含む場合、マイコン47は、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断する(S63)。そして、図12に示す処理は終了し、処理は図10のステップS25に移行する。
また、波形内に判別値以上の周波数成分が規定値以上含まれないと判断した場合(S62:NO)、マイコン47は、第1の山の振幅値(すなわち圧力が変化してから最初に振幅が正方向に大きくなったときの最大値、又は、全体を通して最も振幅が正方向に大きくなったときの値)が元圧(図5等の縦軸で「0」の圧力)に所定量を加えた値以上であるか否かを判断する(S64)。第1の山の振幅値が元圧に所定量を加えた値以上であると判断した場合(S64:YES)、マイコン47は、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断する(S63)。そして、図12に示す処理は終了し、処理は図10のステップS25に移行する。
一方、第1の山の振幅値が元圧に所定量を加えた値以上でないと判断した場合(S64:NO)、マイコン47は、第1の山の振幅値が元圧とほぼ同等の値(具体的には元圧±規定の値)であるか否かを判断する(S65)。第1の山の振幅値が元圧とほぼ同等の値であると判断した場合(S65:YES)、マイコン47は、ガバナ無しガス器具10の使用であると判断する(S66)。そして、図12に示す処理は終了し、処理は図10のステップS25に移行する。
また、第1の山の振幅値が元圧とほぼ同等の値でないと判断した場合(S65:NO)、マイコン47は、第1の山の振幅値が元圧に所定量を減算した値以下であるか否かを判断する(S67)。第1の山の振幅値が元圧に所定量を減算した値以下であると判断した場合(S67:YES)、マイコン47は、流量センサ41からの信号に基づいて規定量以上の流量が検出されるか否かを判断する(S68)。
規定量以上の流量が検出されると判断した場合(S68:YES)、すなわち、ガス器具10の使用による周波数及び振幅の特徴が得られず、流路内のガス圧が低下し、しかも規定量以上の流量が検出された場合、マイコン47は、ガス漏れであると判断する(S69)。そして、図12に示す処理は終了し、処理は図10のステップS25に移行する。
ところで、第1の山の振幅値が元圧に所定量を減算した値以下でないと判断した場合(S67:NO)、及び、規定量以上の流量が検出されないと判断した場合(S68:NO)、マイコン47は、ガス器具10の使用及びガス漏れのいずれにも該当しないと判断する(S70)。そして、図12に示す処理は終了し、処理は図10のステップS25に移行する。
なお、ガス器具10の使用及びガス漏れについては、図12に示すものに限らず、例えば、他の方法によって判断されてもよい。例えば、マイコン47は、ステップS62又はステップS64において「YES」と判断した場合、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断するが、これに限らず、ステップS62及びステップS64の双方において「YES」と判断した場合、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断してもよい。
また、マイコン47は、圧力波形の減衰係数が予め定められた値以下である場合に、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断してもよい。さらに、マイコン47は、第1の山の振幅値が、第1の谷の振幅値(すなわち圧力が変化してから最初に振幅が負方向に大きくなったときの最小値、又は、全体を通して最も振幅が負方向に大きくなったときの値)よりも小さい場合に、ガバナ付きガス器具10の使用であると判断してもよい。さらには、上記した内容を各種組み合わせて、ガバナ付きガス器具10の使用を判断してもよい。
このようにして、第1実施形態に係るガスメータ40によれば、トリガ信号発生回路48がマイコン47の周辺回路であるため、第1トリガ信号を発生させるにあたり、マイコン47による処理の必要が無く、マイコン47の処理演算に関する電力消費を抑制することができる。また、第2モード時に流量センサ41から入力した電気信号が所定の出力変化を超える場合、トリガ信号発生回路48が第2モードから第1モードに移行するための第1トリガ信号を発生させ、第1モードにモード移行させる。このため、例えば、流量が例えばゼロのまま変化せず、流量センサ41からの電気信号が所定の出力を超えない場合、すなわち精度の高い計測の必要性が無いような場合には、計測精度が第1モードでの計測精度以下となるものの消費電力を抑えた第2モードで装置を駆動させることとなる。一方、ガスが流れ出して流量が変化し、流量センサ41からの電気信号が所定の出力変化を超えるような場合、すなわち比較的正確な計測の必要性が増したような場合には、消費電力が第2モードでの消費電力以上となるものの計測精度が高い第1モードで装置を駆動させることとなる。従って、消費電力量を抑えつつ、必要時に計測精度の低下を防止することができる。
また、マイコン47は、トリガ信号発生回路48からの第1トリガ信号を入力して指示信号を送信し、駆動回路49は、マイコン47からの指示信号を入力して、第2モードから第1モードにモード移行させる。このため、直接第1トリガ信号を駆動回路49に入力させる場合と比較して、トリガ信号発生回路48から駆動回路49への回路接続等不要になり、構成を簡素化することができる。
また、第1モードは、第1所定時間毎の計測間隔でガス流量を測定する正規計測モードと、第2所定時間毎の計測間隔でガス流量及びガス圧の少なくとも一方を検出する高速計測モードとからなる。このため、第2モードにおいてガスが流れ出して流量が変化し、流量センサ41からの電気信号が所定の出力変化を超えるような場合に、積算流量を求めたり、ガス器具の使用判断やガス漏れ判断を行ったりすることができる。
また、第2モード時に流量センサ41から入力した電気信号が所定の出力変化を超える場合に、第2モードから高速計測モードに移行し、高速計測モードにおいて特定時間だけ、第2所定時間毎の計測間隔でガス流量及びガス圧の少なくとも一方が検出された後に、高速計測モードから正規計測モードに移行する。このため、第2モードにおいてガスが流れ出して流量が変化し、流量センサ41からの電気信号が所定の出力変化を超えるような場合に、まず高速計測モードに移行し、その後正規計測モードに移行することとなる。これにより、ガスの流れが検出されると、高速計測モードにおいてガス器具10の使用状態やガス漏れが瞬時に判断され、その後に積算流量を求める通常の計測に移行することとなる。これにより、ガス漏れ等の安全確認の後に通常の計測に移行することができる。
また、高速計測モードでは、計測したガス流量及びガス圧の少なくとも一方の波形から、波形の周波数及び振幅の少なくとも一方を求めて得られた値、又は波形の周波数及び振幅の少なくとも一方の状態を示す演算結果に基づいて、ガス器具10のうちガバナ13を有したガス器具10の使用であるか、ガバナ13を有さないガス器具10の使用であるかを判断する。ここで、ガバナ13を有するガス器具10の使用開始時と、ガバナ13を有しないガス器具10の使用開始時とでは、圧力や流量の波形の周波数や振幅に特徴的な差がある。よって、この特徴的な差によってガス器具のうちガバナ13を有したガス器具10の使用であるか、ガバナ13を有さないガス器具10の使用であるかを判断して、ガス漏れ判断の誤検出防止につなげることができる。
また、正規計測モードにおいて所定値を超える流量が検出されない場合、正規計測モードから第2モードに移行させる。このように、流量が所定値(例えば1.5L/hr)を超えず、ガスの流れが無いような場合、すなわち流量の積算、並びにガス器具10の使用やガス漏れの判断の必要性が無い場合には第2モードに移行することとなり、適切に消費電力量を低減することができる。
また、簡易計測モードでは流量変化を連続的に監視している。このため、第2モードは、計測精度が正規計測モードでの計測精度以下であるが、間欠駆動する正規計測モードよりも、ガスが流れていない状態から流れが発生したことを早期に検出することができる。
また、流量センサ41が熱式である場合において、第2モードのヒータ電圧は、正規計測モードのヒータ電圧よりも小さくされている。このため、ガス流量が熱式で検出される場合においてヒータに使用される消費電力量を低減させることができる。
また、高速計測モードの計測間隔は、正規計測モードの計測間隔よりも短くされている。このため、ガス器具10の使用状態やガス漏れを判断する場合に細かな計測を行って判断精度を高めることができる。
また、高速計測モードにおいて圧力センサ42のみから信号を取得する場合、高速計測モード中に正規計測モード相当の流量計測を行う並列処理を実行することが望ましい。これにより、特定時間中に発生した流量を取りこぼすことなく、積算流量を求めることができる。
また、正規計測モードでは、第1所定時間毎の計測間隔でガス流量を測定すると共に、この計測間隔を埋めるように第2モードと同じ計測を行い、この第2モードと同じ計測時において、流量センサ41からの電気信号が所定の出力変化を超える場合、正規計測モードから高速計測モードに移行させる。これにより、流量を計測している最中に新たなガス器具10が使用されて流量が変化した場合などに、高速計測モードに移行することとなり、新たなガス器具10の使用等を検出することができる。
また、トリガ信号発生回路48は、バンドパスフィルタ回路を含んで構成されているため、高周波ノイズについてもカットすることができ、第1トリガ信号の発生精度を向上させることができる。
なお、第1実施形態に係るガスメータ40では、トリガ信号発生回路48からの第1トリガ信号を1つの入力ポートP1から入力しているが、これに限らず、以下のようにしてもよい。すなわち、トリガ信号発生回路48からの第1トリガ信号を入力する入力ポートをマイコン47に2つ設け、正方向に所定の流量変化があった場合に出力する第1トリガ信号を1つのポートから入力し、負方向に所定の流量変化があった場合に出力する第1トリガ信号を残り1つのポートから入力する。これにより、マイコン47は、正方向変化したか、負方向に変化したかについて判断する必要が無くなり、処理負荷を減じて一層消費電力を低減できる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るガスメータ40は、第1実施形態のものとほぼ同様であるが、一部構成及び処理が異なっている。以下、第1実施形態との相違点のみを説明する。
図13は、本発明の第2実施形態に係るガスメータ40の構成図である。図13に示すように、第2実施形態に係るガスメータ40は、トリガ信号発生回路48からの第1トリガ信号の出力先が第1実施形態と異なると共に、新たにアナログスイッチ(スイッチ手段)50を備えている。
このようなガスメータ40では、簡易計測モードにおいてアナログスイッチ50がオフとなっており、トリガ信号発生回路48からの第1トリガ信号が入力されるまで、マイコン47には電源電圧が供給されない状態となっている。
一方、トリガ信号発生回路48から第1トリガ信号が出力されると、アナログスイッチ50はオン状態となる。また、マイコン47は、トリガ信号発生回路48から第1トリガ信号が出力されてアナログスイッチ50がオン状態となることにより、電源電圧が供給され、オン状態となる。
また、第1トリガ信号は、切替スイッチ41a及び駆動回路49に直接出力される。これにより、切替スイッチ41aはマイコン47からの切替信号によらず、電気信号の出力先をマイコン47側に切り替えることとなる。同様に、駆動回路49は、マイコン47からの指示信号を入力することなく、高速計測モード駆動回路49bを機能させ、簡易計測モードから高速計測モードに移行させることとなる。
なお、一度第1トリガ信号を入力した切替スイッチ41a、駆動回路49及びアナログスイッチ50は、モード移行状態やマイコンのオン状態から移行前の状態に戻らないように工夫されている必要がある。具体的には、アナログスイッチ50にロジック回路を設けて図示しないマイコンからのリセット信号がなければ移行前の状態に戻らないようにすればよい。あるいは、トリガ信号発生回路48のヒステリシスを大きくして、図示しないマイコンからのリセット信号がなければトリガ信号発生回路48からの出力がオフ状態に戻らないようにすればよい。
また、第2実施形態においてトリガ信号発生回路48は微分回路のみならず、波形整形回路を備え、波形整形された第1トリガ信号を出力して、アナログスイッチ50をオン状態としたり、高速計測モード駆動回路49bを機能させたりすることは言うまでもない。
以上のようにガスメータ40を構成することにより、簡易計測モードではマイコン自体を停止状態にでき、一層消費電力を抑えることができる。
ところで、第2実施形態に係るガスメータ40は、正規計測モードから簡易計測モードに移行する際に、アナログスイッチ50をオフする信号を、出力ポートP2から出力してアナログスイッチ50をオフ状態とする。また、正規計測モードから簡易計測モードに移行する際には、切替信号を出力して、出力先をトリガ信号発生回路48に戻しておく。
このようにして、第2実施形態に係るガスメータ40によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第2実施形態によれば、駆動回路49は、トリガ信号発生回路48からの第1トリガ信号を入力して、第2モードから第1モードにモード移行させる。すなわち、トリガ信号発生回路48からの第1トリガ信号は、マイコン47を介することなく直接駆動回路49に入力されることとなり、第2モードから第1モードへのモード移行に関してもマイコンが関与することなく、一層消費電力を低減することができる。
また、マイコン47は、トリガ信号発生回路48から第1トリガ信号が出力されてアナログスイッチ50がオン状態となることにより、電源電圧が供給される。このため、マイコン47は、第2モードから第1モードにモード移行する際に電源オンとなり、モード移行するまでは停止状態にある。従って、一層消費電力を低減することができる。
なお、近年のマイコンは低消費電力モード・スリープモードなどの機能を持っており、モード切替端子への信号入力でモードを切り替えることもできるため、そのような端子へ第1トリガ信号を入力して、低消費電力モードから通常モードへ切り替えるように構成してもよい。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、本実施形態において高速計測モードは、1ミリ秒に1回の計測間隔となっていたが、これに限らず、より短い計測間隔又は長い計測間隔であってもよいし、常時圧力センサ42が駆動されて常時圧力が検出される状態、すなわち計測間隔が0.1ミリ秒となっていてもよい。
また、本実施形態においてトリガ信号発生回路48はガスメータ40の一部として存在しているが、これに限らず、トリガ信号発生回路48をガスメータ40から取り出してトリガ信号発生装置として構成してもよい。また、トリガ信号発生回路48のみならず、トリガ信号発生部47bや駆動回路49等についてもガスメータ40から取り出して構成してもよい。
また、本実施形態に係る流量センサ41が熱式のセンサである場合、高速計測モードのヒータ電圧は、正規計測モードのヒータ電圧よりも小さくされていることが望ましい。これにより、簡易計測モード以上の計測精度を有する高速計測モード及び正規計測モードにおいても、異なる感度とすることができ、利便性を向上させることができるからである。
また、本実施形態においてトリガ信号発生回路48は、微分回路を含んで構成されているが、これに限らず、ハイパスフィルタを含んで構成されてもよい。ハイパスフィルタを用いる場合、カットオフ周波数は5Hz以下が好ましい。さらに、トリガ信号発生回路48は、バンドパスフィルタを含んで構成されていることが望ましい。バンドパスフィルタとすることにより、高周波ノイズについてもカットすることができ、第1トリガ信号の発生精度を向上させることができるからである。なお、バンドパスフィルタを用いた場合、低周波側のカットオフ周波数は5Hz以下であり、高周波側のカットオフ周波数は200Hz以上とするとよい。
また、本実施形態において流量センサ41は、熱式のセンサを例に説明したが、これに限らず、他のものであってもよい。また、流量センサ41は、アナログ電圧を出力するセンサに限らず、微分回路を一部変更することで、電流やパルス電圧を出力するものであってもよい。
また、本実施形態において高速計測モード及び正規計測モードが第2モードとして例示されているが、第2モードは、高速計測モード及び正規計測モードに限らず、いずれか一方のみであってもよいし、これらのモードを含む3つ以上のモードであってもよい。
さらに、本実施形態において高速計測モードからは、正規計測モードに移行するのみとなっているが、これに限らず、高速計測モードにおいて流量検出部47aにて検出された流量が所定値を超えない場合、高速計測モードから簡易計測モードに移行させるようにしてもよい。
また、本実施形態において第2トリガ信号はマイコン47から出力されるが、これに限らず、マイコン47の外部に、第2トリガ信号の発生用のアナログ回路を設けるようにしてもよい。