JP5350901B2 - テトラフルオロエチレン骨格を有する化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
このような液晶素子には液晶相を示す材料が使用されているが、従来、上記のような特性の全てを単独で満たす化合物は存在せず、優れた特性を備える液晶化合物や非液晶性化合物を複数混合することで、要求性能を満たす液晶組成物を得ていた。
特許文献2に記載された方法は、フッ素化試薬(フッ素化ヨウ素)の入手、取り扱いが容易ではなく、反応副生物が多く、収率は満足できるものではない。
特許文献3に記載された合成方法では、両端がシクロヘキサン環のフッ素化前駆体の合成は困難であり、CF2CF2連結基に結合する環構造はベンゼン環に限られ、さらに、合成できる化合物は左右対称構造のものに限られる。
非特許文献1における両端がシクロヘキシル基のジケトンのフッ素化は、通常のフッ素化試薬では進行せず、反応性は高いが毒性が強いSF4を用いる必要があり、危険性が高く、スケ−ルアップが容易でなく、かつ収率が低いといった問題がある。
非特許文献2の方法は、合成される化合物がCF2CF2連結基の両側にフェニル基を有する化合物に限られている。
R1:水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10の置換アルキル基または下記式(C12)で表される基。
a、b、c、d:相互に独立して0または1である。ただし、0≦a+b+c+d≦2を満たす。ただし、式(1)および式(3)において、a=b=0の場合に下記式(C1)で表される基:
このように、本発明の反応は、連結基となる部分やそれに隣接する環基が類似の構造である場合は進行せず、式(1)や式(2)で特定する構造である場合にのみ進行するという特徴を有する反応である。
第1工程:下記式(1)で表される化合物を金属存在下、下記式(2)で表される化合物とカップリング反応により反応させて下記式(3)で表される化合物を製造する工程。
第2工程:下記式(3)で表される化合物を水素還元し、下記式(4)で表される化合物へと変換する工程。
また、本発明の製造方法によって得られる式(3)で表される化合物は液晶として用いることができるとともに、式(4)で表される化合物の原料としても有用である。また、式(4)で表される化合物は、他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れ、化学的にも安定であり、かつ液晶電気光学素子に用いた場合に広い温度範囲で高速応答性に優れ、低電圧駆動できる。
また、本発明の製造方法によって得られる化合物は、当該化合物を構成する環基、置換基および連結基を適宜選択することにより、液晶素子に要求される様々な性能、具体的には、例えば広い動作温度範囲、低動作電圧、高速応答性、化学的安定性等を満たした液晶組成物を調製できる。
置換アルキル基としては、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基等が挙げられる。
R1としては、反応性や副反応が生じにくいことから、水素原子、−SF5、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18の置換アルキル基、または前記式(C12)で表される基が好ましい。
R2としては、反応性や副反応が生じにくいことから、水素原子、−SF5、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18の置換アルキル基、または前記式(C42)で表される基が好ましい。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基が挙げられる。
アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基が挙げられる。
アルキルチオアルキル基としては、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基が挙げられる。
フルオロアルキル基として、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が挙げられる。
フルオロアルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基が挙げられる。
R2としては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10の置換アルキル基または前記式(C42)で表される基が特に好ましい。
1,4−フェニレン基の基中に存在する1個または2個の=CH−基が窒素原子に置換された基としては、2,5−ピリミジニレン基または2,5−ピリジニレン基が挙げられる。
トランス−1,4−シクロへキシレン基の基中に存在する1個または2個の−CH2−基はエーテル性酸素原子またはエーテル性硫黄原子に置換された基としては、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、1,3−ジチアン−2,5−ジイル基が挙げられる。
中でも、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、および1個または2個のフッ素原子で置換された1,4−フェニレン基が好ましい。
基中の1個以上の−CH2−がエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子に置換されたアルキレン基としては、−CH2O−、−OCH2−、−CH2S−、−SCH2−が挙げられる。
また、これらのフッ素原子の置換とエーテル性酸素原子の置換が同時に行われた基としては、−CF2O−、−OCF2−が挙げられる。
a、b、cおよびdは化合物に要求特性に応じて適宜選択することができる。
例えば後述の化合物(4)が低粘性であること、あるいは該化合物が他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れている点を重視する場合、0≦a+b+c+d≦1であることが好ましい。一方、化合物の高い液晶温度範囲を重視する場合、1≦a+b+c+d≦2であることが好ましい。なお、化合物(3)を液晶として用いる場合も同様である。
基中の炭素原子がアルキル基で置換された基としては、−CH2C(CH3)2−などが挙げられる。
Qとしては、原料の入手の容易さから、−CH2−または−CH2CH2−が好ましい。
また、式(2)および式(3)において、c=d=0の場合、前記R2の好適構造に加えて、前記(C2)で表される基が前記式(C22)で表される基であるのが好ましい。
第1工程:金属存在下、化合物(1)と化合物(2)をカップリング反応により反応させ化合物(3)を得る工程。
第2工程:化合物(3)を水素還元し、化合物(4)へと変換する工程。
ただし、c=d=0の場合に下記式(C4)で表される基:
また、シクロヘキセニルハライド誘導体化合物(2)は、市販品あるいは新実験科学講座(丸善株式会社出版)等、有機合成の成書に記載されている方法にて容易に得られる。
化合物(2)の使用量は化合物(1)1モルに対し、1〜3モルが好ましく、1〜2モルがより好ましい。
金属の使用量としては、化合物(1)に対して2〜10当量が好ましく、2〜4当量がより好ましい。
R12:炭素数1〜10のアルキル基、または前記式(C12)で表される基。当該アルキル基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素で置換されていてもよい。
a、b、c、d、X1およびX2は前記と同じ意味である。
また、a=b=0の場合、前記式(C1−1)で表される基は、前記式(C12)で表される基であってもよい。
また、化合物(3−1)において、c=d=0の場合、前記式(C2−1)で表される基は、前記式(C22)で表される基であってもよい。
また、化合物(4−1)において、c=d=0の場合、下記式(C4−1)で表される基は、前記式(C42)で表される基であってもよい。
また、a=b=0の場合、前記式(C1−1)で表される基は、前記式(C12)で表される基であってもよい。
また、化合物(3−2)において、c=d=0の場合、前記式(C2−1)で表される基は、前記式(C22)で表される基であってもよい。
また、化合物(4−2)において、c=d=0の場合、下記式(C4−2)で表される基は、前記式(C42)で表される基であってもよい。
Cy:トランス−1,4−シクロヘキシレン基
Ph:1,4−フェニレン基
Ph2-F:2−フルオロ−1,4−フェニレン基
Ph3-F:3−フルオロ−1,4−フェニレン基
Ph2,3-FF:2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基
Ph2,6-FF:2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン基
Ph3,5-FF:3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基
C3H7−Cy−CF2CF2−Cy−C3H7
C3H7−Cy−CF2CF2−Cy−C5H11
C3H7−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−C3H7
C3H7−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−C5H11
C3H7−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Cy−C3H7
C3H7−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Cy−C5H11
C3H7−Cy−CF2CF2−Cy−Ph−C3H7
C3H7−Cy−CF2CF2−Cy−Ph−C5H11
C3H7−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2-F−C3H7
C3H7−Cy−CF2CF2−Cy−Ph3-F−C5H11
C3H7−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2,6-FF−C3H7
C3H7−Cy−CF2CF2−Cy−Ph3,5-FF−C5H11
C3H7−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2,3-FF−C3H7
C3H7−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Ph−C3H7
C3H7−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Ph−C5H11
C3H7−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2-F−C3H7
C3H7−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Ph3-F−C5H11
C3H7−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2,6-FF−C3H7
C3H7−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Ph3,5-FF−C5H11
C3H7−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2,3-FF−C3H7
CH3−Cy−CF2CF2−Cy−Cyk
C3H7−Cy−CF2CF2−Cy−Cyk
C3H7−Cy−Cy−CF2CF2−Cyk
C3H7−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Cyk
Cyk−CF2CF2−Cy−Ph−C3H7
Cyk−CF2CF2−Cy−Ph−C5H11
Cyk−CF2CF2−Cy−Ph2-F−C3H7
Cyk−CF2CF2−Cy−Ph3-F−C5H11
Cyk−CF2CF2−Cy−Ph2,6-FF−C3H7
Cyk−CF2CF2−Cy−Ph3,5-FF−C5H11
Cyk−CF2CF2−Cy−Ph2,3-FF−C3H7
Cyk−Cy−CF2CF2−Cy−Ph−C3H7
Cyk−Cy−CF2CF2−Cy−Ph−C5H11
Cyk−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2-F−C3H7
Cyk−Cy−CF2CF2−Cy−Ph3-F−C5H11
Cyk−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2,6-FF−C3H7
Cyk−Cy−CF2CF2−Cy−Ph3,5-FF−C5H11
Cyk−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2,3-FF−C3H7
式中の記号Cykは以下の意味を示す。
窒素雰囲気下、化合物(1A)(10g)と4−プロピルシクロヘキセニルアイオダイド(7.1g)と銅粉末(4.2g)とジメチルスルホキシド(120mL)とを混合し、攪拌しながら、反応液を130℃に加熱した。4時間後、反応液を冷却し1M塩酸(125mL)を加えた後、ろ過を行い、固形分をろ別した。得られたろ液にヘキサン(120mL)を加え、有機相を分離した。得られた有機相を水で洗浄したのち、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(3A)を、収率54%にて得た。
Claims (2)
- 下記式(1)で表される化合物と、下記式(2)で表される化合物とを金属存在下、カップリング反応により反応させることによる、下記式(3)で表される化合物の製造方法。
R1:水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10の置換アルキル基または下記式(C12)で表される基。
R2:水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10の置換アルキル基または下記式(C42)で表される基。
A1、A2、A3およびA4:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、および1個または2個のフッ素原子で置換された1,4−フェニレン基。
Z1、Z2、Z3およびZ4:相互に独立して、単結合および炭素数1〜4のアルキレン基。
X1、X2:ヨウ素原子。
a、b、c、d:相互に独立して0または1である。ただし、0≦a+b+c+d≦2を満たす。ただし、式(1)および式(3)においてa=b=0の場合に、下記式(C1)で表される基:
また、式(2)および式(3)においてc=d=0の場合に、下記式(C2)で表される基:
- 下記第1工程および第2工程からなる、下式(4)で表される化合物の製造方法。
第1工程:下記式(1)で表される化合物と下記式(2)で表される化合物とを反応させて下記式(3)で表される化合物を製造する工程。
第2工程:下記式(3)で表される化合物を水素還元し、下記式(4)で表される化合物へと変換する工程。
R 1 :水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10の置換アルキル基または下記式(C12)で表される基。
R 2 :水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10の置換アルキル基または下記式(C42)で表される基。
A 1 、A 2 、A 3 およびA 4 :相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、および1個または2個のフッ素原子で置換された1,4−フェニレン基。
Z 1 、Z 2 、Z 3 およびZ 4 :相互に独立して、単結合および炭素数1〜4のアルキレン基。
X 1 、X 2 :ヨウ素原子。
a、b、c、d:相互に独立して0または1である。ただし、0≦a+b+c+d≦2を満たす。ただし、式(1)および式(3)においてa=b=0の場合に、下記式(C1)で表される基:
また、式(2)および式(3)においてc=d=0の場合に、下記式(C2)で表される基:
ただし、式(4)において、c=d=0の場合に下記式(C4)で表される基
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