請求項1に記載の発明は、断熱壁と断熱扉によって区画され収納物を収納する収納室と、前記収納室の内部に設置された光源と、前記光源から照射された照射光を検知する光センサと、前記光センサの検知結果に基づいて演算処理する演算制御部と、前記断熱扉の開閉を検知する扉開閉検知部とを有し、前記演算制御部は、前記扉開閉検知部により前記断熱扉の閉状態が検知され、かつ、所定時間が経過した後に、前記演算制御部の制御を開始するもので、前記所定時間は、光センサに対して扉開閉による外気の熱あるいは光の影響を排除し、前記収納室内の照度が安定する時間とし、前記光センサは庫内収納棚の前方側の端部を含む鉛直面よりも前方に配置したので、光センサでの受光安定性が高まり、演算制御部での収納量の推定精度を高めることができ、冷蔵庫内部の収納物の収納状態に応じた冷却、あるいは出力制御が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1を図1から図20までの図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫100の正面図である。図2は、同冷蔵庫100の制御ブロック図である。図3Aは、同冷蔵庫100の図1における3A−3A断面図である。図3Bは、同冷蔵庫100の冷蔵室12の冷蔵室扉12aを開けたときの正面図である。
図1、図3Aおよび図3Bに示したように、冷蔵庫100は、冷蔵庫本体11を備えている。冷蔵庫本体11は断熱箱体であり、主に鋼板を用いた外箱と、ABS等の樹脂で成形された内箱と、外箱と内箱との間に注入した断熱材とで構成されている。
図1に示したように、冷蔵庫本体11は、断熱壁および断熱扉によって複数の収納室に区画されている。具体的には、冷蔵庫本体11の最上部には、冷蔵室12が配置されている。また、冷蔵室12の下部には、製氷室13および切換室14が横並びに設けられている。製氷室13および切換室14の下部には、冷凍室15が設けられている。冷蔵庫本体11の最下部であって、冷凍室15の下部には、野菜室16が配置されている。
各収納室の前面には、外気と区画するための断熱扉が、冷蔵庫本体11の前面開口部にそれぞれ構成されている。冷蔵室扉12aは、冷蔵室12の断熱扉である。冷蔵室扉12aの中央部付近には、各収納室の庫内温度設定、製氷および急速冷却等の設定を行うことができ、かつ、収納状態の検知結果や冷蔵庫100の運転状況等を表示するための表示部17が配置されている。
図2に示したように、冷蔵庫100は、冷蔵室12の内部に設置された光源である庫内照明20と、光源から照射された照射光を検知する光センサ21と、光センサ21の検知結果に基づいて演算処理する演算制御部1とを備えている。冷蔵庫100は、さらに、青色LED22a,22bを備えている。
演算制御部1は、冷蔵室12内に収納物がない状態における基準収納室照度と光センサ21の検知照度とに基づいて、収納物を収納した状態における基準収納室照度からの減衰率を演算する減衰率演算部81と、減衰率演算部81の演算結果に基づいて収納物の収納量を推定する収納状態推定部82と、を有している。
冷蔵庫100は、さらに、冷蔵室扉12aの開閉を検知する扉開閉検知部である扉開閉検知センサ3を備えている。
庫内照明20は、天面LED20a,20b、照明用LED20c〜20fおよび側面下方LED20g,20hを有している。
演算制御部1は、さらに、メモリ2およびタイマ4を有している。
光センサ21は、メイン光センサ21a,21cおよびサブ光センサ21bを有している。
冷蔵庫100は、冷却システム35を備えている。冷却システム35は、コンプレッサ30、冷却ファン31および風量調節ダンパー32を有している。
図3Aおよび図3Bに示したように、冷蔵室12内には、収納物である食品を整理して収納できるように複数の庫内収納棚18が設けられている。また、冷蔵室扉12aの庫内側の面には、扉収納棚19が設けられている。庫内収納棚18および扉収納棚19は、ガラスまたは透明な樹脂等の、光の透過率が高い材質で構成されている。
庫内収納棚18および扉収納棚19の表面は、一定の透過率を保ちながら、光が拡散するように加工が行われている。これにより、冷蔵室12内の明るさの分布を調節することが可能である。このときの透過率は50%以上であることが望ましく、50%よりも透過率が低いときは、庫内に光が届き難い場所ができるため、収納状態の検知精度が低下する可能性がある。なお、庫内収納棚18および扉収納棚19の透過率を70%以上としておくことが実用上望ましい。この理由については後述する。
図2、図3Aおよび図3Bに示したように、冷蔵室12の内部には、収納室内である庫内を明るく照らすために、庫内照明20が設けられている。これにより、収納された収納物である食品等の視認性を向上させている。
図3Aに示すように、庫内照明20は、冷蔵庫100内の扉開放側の前面(正面)から見て、庫内奥行の1/2(中心)よりも扉側(手前側)に配置されている。
庫内照明20は、図3Bに示したように、天面、左側壁面、および右側壁面にそれぞれ配置されている。具体的には、庫内照明20としては、天面に天面LED20a,20b、右側壁面および左側壁面にそれぞれ照明用LED20c〜20f、ならびに、側面下方LED20g,20h等、複数のLEDが使用されている。これによって、高光度の光が光センサ21に入光するので、光センサ21による収納状態の検知感度を高めることができる。また、異なる位置にある複数のLEDを順次点灯させることで、収納状態と点灯させるLEDとによって光センサ21の検知値が変化するため、より詳細に収納状態を推定することができる。また、庫内照明20のLEDは、冷蔵室12の内部において、光センサ21よりも上方に配置されている。
側壁面においては、照明用LED20c〜20fおよび側面下方LED20gを、図3Aおよび図3Bに示したように縦方向に配列している。これにより、幅方向よりも高さ方向に長い冷蔵室12全体を満遍なく照射することができる。
庫内の下方、かつ、庫内の奥行方向の1/2(中心)よりも冷蔵室扉12a側の位置には、光センサ21であるメイン光センサ21a,21c、および、サブ光センサ21bが設置されている。これによって、扉開閉による外気流入の影響を受け易い入り口付近の食品等の収納物の収納状態を正確に検知し、庫内を適温に保つように制御することができる。
光センサ21としては、本実施の形態では照度センサ、具体的には、最も高感度となるピーク波長を500〜600nmとしたセンサを用いている。なお、これらの光センサの最も高感度となるピーク波長は、他の波長帯であってもよく、天面LED20a,20b、側面下方LED20g,20hおよび青色LED22a,22bの光源の発光波長等を検出できるように決定される。
図3Bにおいて、冷蔵室12を左右方向において二区画に区分したと想定すると、天面LED20aおよびメイン光センサ21cは向かって右区画に配置されている。また、天面LED20b、メイン光センサ21aおよびサブ光センサ21bは向かって左区画に配置されている。また、冷蔵室12を上下方向において二区画に区分したと想定すると、天面LED20a,20bは上区画に配置されている。また、側面下方LED20g,20h、メイン光センサ21a,21cおよびサブ光センサ21bは下区画に配置されている。このように、複数の区画に収納状態検知部を構成するLEDおよび光センサ21が配置されている。光センサ21での検知照度は、冷蔵室12内における壁面および収納物での反射光を含めた、間接的な照射光を検知した照度である。
メイン光センサ21a,21cは、天面LED20a,20b、または、側面下方LED20g,20hの照射光が、冷蔵室12壁面での反射ならびに収納物による反射および減衰を繰り返し、冷蔵室12内の明るさの分布が飽和した状態の照度を測定する。演算制御部1は、メイン光センサ21a,21cの測定値を用いて、演算処理を行って収納物の収納状態を推定する。本実施の形態においては、上述のように、複数の区画にLEDおよび光センサ21を配置したことにより、収納物の配置によらず精度良く収納状態を検知することができる。
なお、冷蔵室12の壁面の反射率を0.5以上としておくことが実用上望ましい。また、前述したように、庫内収納棚18および扉収納棚19の透過率は、それぞれ70%以上としておくことが実用上望ましい。これらの理由について、以下説明する。
図4は、本発明の第1の実施の形態における冷蔵庫100の収納状態検知部を構成する光センサ21の、照度と出力電流との特性を示す図である。図5は、同冷蔵庫100の収納率と、光センサ21での照度との関係を庫内壁面の反射率毎に示した特性図である。図6は、同冷蔵庫100の収納率と光センサ21での照度との関係を庫内収納棚18の透過率毎に示した特性図である。なお、光センサ21の照度からの出力値は、電流値あるいは電圧値で出力できる。(以下、電流値で説明するが、電圧値に置換えできる。)
冷蔵庫100の冷蔵室12の内壁を構成する内箱は、白色のABS樹脂を真空成形して形成され、庫内壁面の反射率Rを0.5以上としている。
なお、反射率Rは、ある面に入射する光束に対して、この面で反射する光束の比率で定義され、数値が大きいほど反射しやすいといえる。測定は、市販の分光光度計によって可能である。反射率Rと同時に、透過率Tの測定も可能な機器もある。また、日本工業規格では、JIS−K3106等で反射率Rの測定、試験方法が規定されている。また、反射率Rは、輝度計を用いて測定した、反射率が既知のサンプル(グレースケール)の輝度から推定することも可能である。
透過率Tは、特定の波長の入射光が試料を通過する割合であり、数値が大きいほど光が透過しやすいといえる。透過率Tに関しては、JIS−K7361−1等で測定、試験方法が規定されている。冷蔵庫100の冷蔵室12の内部に配置される庫内収納棚18は、ポリスチレンまたはガラスで形成され、扉収納棚19はポリスチレンで形成されている。そして、庫内収納棚18および扉収納棚19の透過率Tを、それぞれ70%以上としている。なお、透過率が上述の関係を満たせば、材料はこれらの例に限定されない。
図4に示したように、メイン光センサ21a,21cでの照度と、その時の出力電流値とは直線的な関係を有し、照度が高いほど出力電流値も大きくなる。一方、照度が低くなると出力電流値も小さくなる。照度が所定の値以下、本実施の形態の収納状態検知部では0.5ルクス以下になると、出力電流との直線的な関係が失われる。この時の出力電流値は、本実施の形態の収納状態検知部では0.1μAであるが、収納状態検知部の仕様により、照度と出力電流値との関係は異なる。一般的に、照度を検知するセンサは、1ルクス近辺以下で精度が低下するが、本実施の形態では比較的性能の良い光センサ21を想定して、0.5ルクス以上を最低限必要な照度としている。
これによって、演算制御部1は、光センサ21での照度と出力電流値との直線的な関係を有する所定値(0.5ルクス)以上で収納物の収納率を推定することで、収納率の推定精度を高めることができる。
すなわち、光センサ21での照度が直線的な関係を有さない範囲を収納物の収納率推定に用いないことで、収納率の推定精度を高めることができるとともに、光センサ21が所定出力値(0.5ルクス)以下の場合、故障診断に利用することもできる。
前述のように、最低照度を出力電流値に換算すれば0.1μAである。すなわち、本実施の形態では、メイン光センサ21a,21cの最低出力電流を0.1μA以上としている。これにより、最低出力電流という観点からメイン光センサ21a,21cでの照度減衰量に基づく収納物の収納状態の推定精度を高めることができる。
また、図5に示したように、光源の光量を一定として庫内における収納物の収納率を高めていくと、メイン光センサ21a,21cでの照度は下がる。そして、庫内壁面の反射率Rが低いほど、同一収納率におけるメイン光センサ21a,21cの照度は下がる傾向がある。これは、光源からの光の一部が庫内壁面を反射してメイン光センサ21a,21cに到達するためであり、庫内壁面の反射率Rが低いほどメイン光センサ21a,21cに到達する光量が下がるためである。
なお、庫内壁面に反射率の低いデザイン部材等を部分的に設置することがあるが、メイン光センサ21a,21cに到達する光量は、面積の広い庫内壁面の反射率Rに依存する。
また、上述したように、光センサ21の検知精度不安定領域を避けて収納状態を検知する必要性がある。メイン光センサ21a,21cの最低照度は0.5ルクス以上必要なので、図5に示した関係より、庫内壁面の反射率Rを0.5以上とすることが必要だということがわかる。
ここで、光センサ21での受光量を増やすため、光源の光量を高めることが考えられる。しかしながら、消費電力の上昇や光源の発熱による庫内温度の上昇が発生する可能性や、照明機能と収納状態検知用の光源を併用したときに使用者が眩しく感じ、食品の視認性が劣化する可能性がある。このため、闇雲に光源の光量を高めることは得策ではない。このため、本実施の形態において、光源は、庫内が空の状態、かつ冷蔵室扉12aを開いた状態で暗室で照度を測定したときに、庫内収納棚18上で最も低照度となる場所において100ルクス以下となるようにLEDを調整している。このときの照度100ルクス以下とは、使用者側から見た明るさであって、具体的には一般的な照度計の感知部で最も感度の高い軸を、庫内収納棚18と水平に、かつ冷蔵室扉12a側に向けて設置して測定したものである。
また、本実施の形態において、庫内照明20の光源としては、庫内への熱影響を考慮して1個あたりの光度を20カンデラ以下としたLEDを用いている。
ここで、収納状態検知部としてのLEDを、庫内照明20の照明機能と併用せずに、専用の光源を用いて構成する場合等、収納状態検知部のLEDの光度が比較的低い場合を想定する。このような場合、庫内の反射率Rを0.5よりもさらに高める必要がある。
また、図6に示したように、庫内収納棚18および扉収納棚19の透過率が低くなるほど、同一収納率における光センサ21の照度は下がる傾向となる。本実施の形態では、庫内収納棚18および扉収納棚19の透過率をそれぞれ70%以上とすることで、光センサ21での照度減衰量に基づく収納物の収納状態の推定精度を確保することができる。
光センサ21を用いて物体を検知する方式としては、例えばフォトインタラプタのように、遮蔽によって光の強さが極端に減衰する現象を利用する方法が一般的である。この方式によれば、一つの光センサ21を用いて一つの物体の存在をデジタル式に検知することができ、多数の光センサを用いることにより複数の物体の存在を検知することができる。ただし、このような構成を用いた場合には、収納室内の限られた場所の収納物の有無を検知することしかできず、収納室全体の収納状態を把握することは難しい。しかしながら、本実施の形態の冷蔵庫100によれば、少数のLEDおよび光センサ21を用いて、冷蔵室12という空間内の全体の収納状態をアナログ的に、つまり、収納物の有無だけでなく、その量についても定量的に把握することが可能である。つまり、本実施の形態の冷蔵庫100の構成は、閉空間内にある収納物の全体量の検知に適している。
光センサ21を用いて物体を検知する方式においては、光センサ21の近傍、つまり直ぐ手前が収納物によって塞がれると、検知できる光のレベルが極度に低下することに伴い、光の強さの変化率が低下する。このため、収納状態の検知には複雑な処理が必要になると考えられる。
しかしながら、本実施の形態において、図3Aに示したように、天面LED20a,20b、照明用LED20c〜20f、側面下方LED20g,20h、および、メイン光センサ21a,21cは、庫内収納棚18と扉収納棚19との間の空間αに取り付けられている。このため、冷蔵室12内がたとえ収納物で満杯になったとしても、光センサ21の近傍が食品で塞がる可能性は低い。これによって、断熱扉と庫内収納棚18の前端との間の上下の空間は、収納物によって遮られる可能性が低く、光源からの安定した光路を確保しつつ、扉収納棚19や庫内収納棚18での収納物の存在による、光センサ21での照度減衰量に基づいた収納物の収納状態を精度よく推定することができる。
また、メイン光センサ21a,21bは、庫内収納棚18の前方側の端部を含む鉛直面よりも前方側で、かつ、断熱扉である冷蔵室扉12aの後方側の端部を含む鉛直面との間に設置されている。さらに望ましくは、メイン光センサ21a,21bは、庫内収納棚18の前方側の端部を含む鉛直面よりも前方側で、かつ、断熱扉である冷蔵室扉12aの後方側の端部を含む鉛直面との間であって、扉収納棚19にかからない部分αに設置されている。これによって、庫内収納棚18と扉収納棚19との間にはスペースがあるため、収納状態検知部を構成するメイン光センサ21a,21cが収納物で塞がることを防止できる。
図3Aに戻って、冷蔵室12内の最上部の後方領域に形成された機械室内には、コンプレッサ30を含む、水分除去を行うドライヤ等の冷凍サイクルの構成部品が収納されている。
冷凍室15の背面には、冷気を生成する冷却室が設けられている。冷却室内には、冷却器、ならびに、冷却器で冷却した冷却手段である冷気を冷蔵室12、切換室14、製氷室13、野菜室16および冷凍室15に送風する冷却ファン31(図2参照)が配置されている。さらに、冷却ファン31からの風量を調節する風量調節ダンパー32(図2参照)が風路内に設置されている。また、冷却器やその周辺に付着する霜や氷を除霜するためにラジアントヒータ、ドレンパンおよびドレンチューブ蒸発皿等が配置されている。
演算制御部1は、冷蔵室12について、冷蔵保存のため、凍らない温度を下限とした温度制御(通常1℃〜5℃)を行っている。演算制御部1は、野菜室16について、冷蔵室12と同等、または、若干高い温度設定(例えば2℃〜7℃)に温度制御している。演算制御部1は、冷凍室15について、冷凍温度帯(通常−22℃〜−15℃)に設定しているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温に設定する場合もある。
製氷室13は、冷蔵室12内の貯水タンクから送られた水によって、室内上部に設けられた自動製氷機において氷をつくり、室内下部に配置した貯氷容器に貯蔵する。
切換室14は、1℃〜5℃の設定(冷蔵)、2℃〜7℃の設定(野菜)、および、−22℃〜−15℃の設定(冷凍)の温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯までの間の、予め設定された温度帯に切り換えることができる。切換室14は、製氷室13に並設された、独立扉を備えた収納室であり、例えば引き出し式の扉を備えている。
なお、本実施の形態では、切換室14を、冷蔵温度帯から冷凍温度帯までを含む温度帯において調整可能な収納室としている。しかしながら、切換室14はこの構成に限定されず、冷蔵を冷蔵室12または野菜室16、冷凍を冷凍室15にそれぞれ委ねて、冷蔵温度帯と冷凍温度帯との間の温度帯における切り換えに特化した収納室とすることもできる。また、切換室14を、特定の温度帯、例えば近年冷凍食品の需要が多くなってきたことに伴い、冷凍設定に固定された収納室としてもよい。
以上のように構成された冷蔵庫100について、以下、その動作および作用を説明する。
本実施の形態では、庫内照明20のうち、天面LED20a,20b、および側面下方LED20g,20hを使用して収納物の収納状態を検知する。また、本実施の形態では、光センサ21のうち、メイン光センサ21a、およびサブ光センサ21bを使用して収納状態を検知する。
なお、さらに収納物の収納状態の検知精度を高める必要があるときは、照明用LED20c〜20fを収納状態検知部として用いる等、使用するLED光源の数を増加させればよい。また、収納状態検知部としてメイン光センサ21cを用いる等、使用する光センサ21の数を増加させることによっても、検知精度を高めることが可能である。
以下、図7A〜図12を用いて、天面LED20a,20b、側面下方LED20g,20h、メイン光センサ21a、サブ光センサ21bを用いて収納物の収納状態を検知する動作について詳細に説明する。
図7Aおよび図7Bは、本発明の第1の実施の形態における冷蔵庫100の収納状態を検知する動作の制御フローを示すフローチャートである。図8は、同冷蔵庫100の天面LED20a,20bを用いた収納状態を検知する動作について説明するための図である。図9は、同冷蔵庫100の天面LED20a,20bを用いて収納状態を検知する際の特性を示す図である。図10は、同冷蔵庫100の側面下方LED20gを用いて収納状態を検知する動作を説明するための図である。図11は、同冷蔵庫100の側面下方LED20gを用いて収納状態を検知する際の特性を示す図である。図12は、同冷蔵庫100における、図9および図11に示した特性の値を平均した特性を示す図である。
冷蔵室12は、その幅方向よりも、高さ方向に長いこと(縦長形状)が一般的である。このため、主として冷蔵室12を上下二区画に区分して、収納状態を検知する例について説明する。
図7Aに示したように、まず、扉開閉検知センサ3により冷蔵室扉12aの開閉が検知される(S101)。扉が閉状態となったこと(閉められたこと)を検知した場合には、演算制御部1は、収納物の出し入れの可能性があったと判定して、演算処理を開始する。
また、演算制御部1は、冷蔵室扉12aが閉じられてから所定時間をタイマ4で計時した後に(S102)、収納状態の検知動作(基本データ取得動作)を開始することもできる。この場合、演算制御部1は、扉開閉検知センサ3により断熱扉の閉状態が検知され、かつ、所定時間が経過した後に、制御を開始する。
ここで、ステップS102において、タイマ4が所定時間を計時する理由(所定時間待機する理由)について説明する。
ひとつは、低温となっている庫内収納棚18および扉収納棚19等の表面が微小に結露し、透過率が変化することにより、収納状態の検知に影響が出ることを防ぐためである。つまり、所定時間後に結露が解消されてから収納状態を検知するためである。
もうひとつは、冷蔵室扉12aが開いているときに、照明として庫内照明20を点灯させるが、その発熱によるLEDの光度低下により、収納状態の検知に影響が出ることを防ぐためである。つまり、扉が閉じられたときにLEDを消灯し、所定時間後にLEDの温度上昇が解消されてから、改めてLEDを点灯させて収納状態を検知するためである。
また、所定時間を設定することで、扉開閉検知センサ3と実際の閉扉状態との時間差を吸収できるので、冷蔵庫外部からの光を確実に排除でき、収納量の推定精度を高めることができる。
以上述べたように、収納室内の照度を安定させるために、所定時間待機するのである。
なお、収納室内の照度を安定させる他の方法としては、LEDを冷蔵室扉12aが閉じられた後も暫く点灯して、あえて発熱させ、所定時間後にLEDの温度上昇が飽和して一定になった後、検知を開始する方法もある。この方法によっても、LEDの光度を安定させることができる。
演算制御部1は、収納状態検知動作を開始すると、最初に冷蔵庫100の上区画である天面に配置された天面LED20a,20bの光源を点灯させる(S103)。
例えば、図8に示したように、庫内収納棚18上に収納物23aである食品が収納され、扉収納棚19にも収納物23bが収納されている場合を想定する。この場合、天面LED20aから出力された光24a(光の成分を図8に矢印で示す。点線は光度が減衰していることを示す。)は、収納物23aに反射して減衰し、光24b,24cのように別方向へ拡散する。そして、光24b,24cは、さらに冷蔵室12の壁面や他の食品等での反射を繰り返す。また、扉収納棚19の収納物23bで反射した光24dも減衰し、光24eのように別方向に拡散し、さらに冷蔵室12の壁面や他の食品等の収納物での反射を繰り返す。このように反射を繰り返した後に、冷蔵室12内の明るさの分布は飽和し、安定する。
なお、一般的に、LEDの照射光は所定の照射角度をもって発光する。このため、図8内に矢印で示した光24a,24dは、LEDが放つ光の成分の一部である。以下、光の描写については同様である。
天面LED20a,20bの光軸は鉛直下方向を向き、メイン光センサ21a,21cの検出方向は水平方向を向き、それぞれが対向しない配置である。このため、天面LED20a,20bから発生したほとんどの光の成分は、メイン光センサ21a,21cに直接入射せず、壁面や収納物で反射した光が、メイン光センサ21a,21cに入射するように構成されている。
具体的には、メイン光センサ21a,21cを、光源となる天面LED20a,20bの光軸からずらした位置に配置すればよい。すなわち、LEDは指向性が高いので、メイン光センサ21a,21cを、天面LED20a,20bからの光が直接入らない位置に配置するか、または、入らないように配置することが望ましい。
このときのメイン光センサ21aによって検知された、収納状態検知特性の一例を図9に示す。図9に示したように、収納量の増加とともに照度が低下していくことが分かる。ただし、天面LED20a,20bだけを点灯させた場合(側面下方LED20gを点灯させない場合)には、同じ収納量であっても最大値(収納物が下方に偏ったとき)と最小値(収納物が上方に偏ったとき)との間に誤差が生じる。このため、この誤差を補正する必要がある。補正の方法については後述する。演算制御部1は、測定した照度情報を、検知データAとしてメモリ2に記録する(S104)。
なお、図9において、グラフの縦軸を「照度」としているが、収納物がないときの基準収納室照度を基準とした「相対照度」または「照度減衰率」等の相対値を用いることもできる。つまり、演算制御部1の減衰率演算部81は、収納室内に収納物がない状態における基準収納室照度と光センサ21の検知照度とに基づいて、収納物を収納した状態における基準収納室照度からの減衰率を演算する。この場合、LEDが初期特性として持つ光度ばらつき等に対応しやすい。また、縦軸を、収納物がないときの基準収納室照度を基準とした「照度減衰量」としてもよい。以下、「照度」に関する考え方は同様である。
なお、天面LED20a,20bの光度は、収納室内に収納物がない状態における光センサ21の検知照度に基づく出力値が所定値となるように、演算制御部1で調整することができる。前記天面LED20a,20bの光度調整は、冷蔵庫100が利用者によって使われる前に実行される。これにより、天面LED20a,20bの個々の光度ばらつきを吸収することができる。
また、光センサ21の検知照度に基づく出力値は、電流値、あるいは電圧値であり、前記出力値の比較により減衰率(%)を演算するものである。この減衰率(%)をメモリ2で記憶すればよく、演算制御部1での制御が容易となる。
また、照度減衰率と収納量の相関データは、冷蔵庫100の容量、幅、高さ等の異なる形態毎に予め実験的に求められ、演算制御部1に内蔵されている。これにより、収納室内の収納棚や壁面を含めた実際の冷蔵庫の収納物がない空の状態を基準に推定することができ、収納量の推定精度を高めることができる。また、冷蔵庫内部の収納物の収納量の定量(絶対量)推定が可能となる。
そして、収納室内に収納物がない状態における光センサ21の照度減衰率と収納量の相関データは、複数の光源のそれぞれに対応して複数の相関データを保有している。
また、光センサ21の検知照度は、天面LED20a,20bが点灯して所定時間後(たとえば2秒後)の値を読み取るものである。なお、天面LED20a,20bが点灯している間の時間の平均値としてもよい。
次に、演算制御部1は、天面LED20a,20bを消灯した後に、冷蔵庫100の下区画である側面下方の壁面に配置された側面下方LED20gを点灯する(S105)。例えば、図10のように庫内収納棚18上に収納物23c,23d(例えば食品)が収納されている場合を想定する。このとき、LED20gから出力された光24f(光の成分を図10に矢印で示す。点線は光度が減衰していることを示す。)は、収納物23cに反射して減衰し、光24gのように別方向へ拡散する。光24gはさらに冷蔵室12の壁面や他の収納物での反射を繰り返す。また、収納物23dで反射した光24hも減衰し、光24i,24jのように別方向に拡散し、さらに冷蔵室12の壁面や他の収納物での反射を繰り返す。このように反射を繰り返した後に、冷蔵室12内の明るさの分布は飽和し、安定する。
なお、必要な検知精度にあわせて、側面下方LED20g、20hの少なくとも一方を点灯させればよい。
側面下方LED20gを点灯するときには、メイン光センサ21aで検知を行う。側面下方LED20gおよびメイン光センサ21aは、同じ壁面に取り付けられている(図3Aおよび図3B)ので、対向しない。このような組合せで検知するので、側面下方LED20gからのほとんどの光の成分は、メイン光センサ21aに直接入射せず、壁面や収納物での反射を介して入射する。これにより、収納室内における収納物での反射光を含めた間接的な照射光を検知することができる。
このときのメイン光センサ21aによる収納状態検知特性の一例を図11に示す。図11に示したように、収納量の増加とともに照度は低下していくことが分かる。しかしながら、側面下方LED20gだけを点灯した場合(天面LED20a,20bを点灯しない場合)には、同じ収納量であっても、最大値(収納物が上方に偏ったとき)と最小値(収納物が下方に偏ったとき)との間に誤差がある。よって、この誤差を補正する必要がある。補正の方法については後述する。これによって、収納室内における収納物の偏りによるばらつき要因を低減することができ、収納物の収納状態に起因する収納量の推定精度を高めることができる。
演算制御部1は、測定した照度情報を検知データBとしてメモリ2に記録する(S106)。
以上述べたように、収納物が上区画に偏った場合、天面LED20a,20bを点灯したときには収納量増加による照度減衰が大きく(図9)、側面下方LED20gを点灯したときは収納量増加による照度減衰が小さい(図11)。一方で、収納物が下区画に偏った場合、天面LED20a,20bを点灯したときには収納量増加による照度減衰が小さく(図9)、側面下方LED20gを点灯したときには収納量増加による照度減衰が大きい(図11)。
すなわち、上区画にある天面LED20a,20bを点灯したときは、上区画の収納物に対し感度が高く、下区画にある側面下方LED20gを点灯したときは、下区画の収納物に対して感度が高いといえる。
本実施の形態においては、上区画の天面LED20a,20b、および下区画の側面下方LED20gを順次点灯させることによる測定結果を組み合わせて、収納物の収納状態の検知を行う。具体的には、演算制御部1は、例えば検知データA(図9に示した特性)と検知データB(図11に示した特性)とを平均した値を検知データCとして算出する(S107)。検知データCの収納状態検知特性を図12に示す。図12と、図9および図11とを比較すると、平均した値を用いることで、誤差がほとんど解消され、収納物の上下への配置の偏りに関わらず、精度良く収納状態を検知することができるように補正されたことが分かる。このとき、演算制御部1は、収納室内における収納物の上下方向の収納状態に基づき減衰率演算部81の基準データを補正する減衰率演算補正部として機能する。これによって、収納物の上下方向の偏りに起因する収納量の推定精度を確実に高めることができる。
なお、上述の例においては、収納物の上下方向の配置の偏りを補正する例を示した。他にも、収納物の左右方向、または奥・手前方向への配置の偏りについては、上述と同様の考え方で冷蔵室12を各方向に二区画に区分し、それぞれにLEDまたは光センサ21を設ければよい。LEDや光センサ21の数は増加するが、より精度の高い収納状態検知が可能である。
次に、演算制御部1は、メイン光センサ21aへの光の入射経路に障害物があった場合に発生する誤差を補正する工程(障害物補正工程)を実行する。演算制御部1は、光センサ21の検知照度と基準データとに基づいて検知照度の減衰率を演算する減衰率演算部81を含む。演算制御部1は、障害物補正工程および後述する反射物補正工程において、減衰率演算補正部として機能する。この場合、収納状態推定部82は、減衰率演算部81の演算結果と減衰率演算補正部の演算結果とに基づいて収納物の収納量を推定する。
図13は、本発明の第1の実施の形態における冷蔵庫100のメイン光センサ21a近傍の収納例を説明するための図である。図14は、同冷蔵庫100のメイン光センサ21a近傍の収納物による誤差発生の例を説明するための図である。図15は、同冷蔵庫100におけるメイン光センサ21a近傍の収納状態検知特性を示す図である。
図13に示したように、下部の扉収納棚19に収納物23e(以下、障害物とも表記)が置かれた場合を想定する。このような場合、収納物23eは、メイン光センサ21a付近に存在するので、収納物23eが、メイン光センサ21aの光の入射経路を狭める障害物となる可能性がある。
このような障害物が存在したときのメイン光センサ21aによる収納状態検知特性の一例を図14(検知データC)に示す。図14に示したように、障害物なしのときの判別特性Fの最大値(a)は、障害物ありのときの判別特性Gの最大値(b)まで減衰する。すなわち、障害物の有無によって誤差が発生する。これと同様に、障害物なしのときの判別特性Fの最小値(c)は、障害物ありのときの判別特性Fの最小値(d)まで減衰して、誤差が発生する。
本実施の形態においては、これらの誤差を補正するために、側面下方LED20gとは反対側の壁面に設けられた側面下方LED20h、およびメイン光センサ21aと同じ壁面の扉側の位置にずらして配置されたサブ光センサ21bを用いて、収納物23eの収納状態を検知する。
図7Bに示すように、演算制御部1は、側面下方LED20gを消灯して、側面下方LED20hを点灯し(S108)、サブ光センサ21bの検知データDを取得する(S109)。検知データDの特性を図15に示す。収納物23eがメイン光センサ21aへの光の入射経路を狭めるレベルの大きさであれば、側面下方LED20hとサブ光センサ21bとを結ぶ光の経路が遮蔽される。このため、サブ光センサ21bの検知データDが極端に低下する(図15参照)。
この現象を利用して、演算制御部1は、検知データDと所定の閾値Eとを比較(S110)して、障害物の有無を判定する。検知データDが所定の閾値Eよりも大きいときには、障害物がないと判定し、検知データDが所定の閾値Eよりも小さいときには、障害物があると判定する。演算制御部1は、障害物ありと判別したときは、図14に示した障害物なし時の判別特性Fを用いて収納状態を判別し(S111)、障害物なしと判別したときは、図14に示した障害物あり時の判別特性Gを用いて収納状態を判別する(S112)。
すなわち、演算制御部1は、障害物がある場合とない場合の2種類の基準データ(判別特性Fと判別特性G)を予め保有し、障害物補正工程でどちらかを選択し収納状態を判別する。
このように、本実施の形態によれば、メイン光センサ21aへの光の入射経路に障害物があった場合に発生する誤差を補正することが可能である。
なお、上述の説明では、メイン光センサ21a近傍の収納物による誤差発生を補正する工程について説明したが、この工程を、断熱扉での収納物23eの収納状態を検知する工程とすることもできる。このときは、扉収納棚19に収納物23eを配置したときに影になる位置に、メイン光センサ21aを配置すればよい。このとき、演算制御部1は、収納室内における断熱扉での収納物の収納状態に基づき減衰率演算部81の基準データを補正する減衰率演算補正部として機能する。また、演算制御部1は、光センサ21近傍の収納物の収納状態に基づき減衰率演算部81の基準データを補正する減衰率演算補正部として機能する。これによって、収納物の断熱扉での偏りに起因する収納量の推定精度を確実に高めることができる。
さらに、本実施の形態の冷蔵庫100は、メイン光センサ21aの周辺に反射率の高い収納物23f(以下、反射物とも表記)があった場合に発生する誤差についても補正を行うことができる。この補正方法(反射物補正工程)について説明する。
図16は、本発明の第1の実施の形態における冷蔵庫100のメイン光センサ21a近傍の反射物の収納例を説明するための図である。図17は、同冷蔵庫100のメイン光センサ近傍21aの反射物による誤差発生例を説明するための図である。図18A〜図18Cは、同冷蔵庫100における光の波長と反射率との関係を示す図である。図19は、同冷蔵庫100のメイン光センサ21a近傍の反射物検知特性を示す図である。
一般に、反射率の高い収納物(反射物)は、白色あるいは白色に近い色の物体である。また、金属の容器のように表面における光の拡散性が低く、集光性を有する物体も反射物と定義する。
図16において、メイン光センサ21aの近傍に配置された収納物23fが反射物であるとする。収納物23fの反射率が高いときには、反射による光の減衰が少なく、また光が拡散せずに集光される場合もある。このため、収納物23fの周辺の照度は高くなる傾向がある。これに伴い、近傍のメイン光センサ21a周辺の照度も高くなる。
図17の、メイン光センサ21aによって検知された収納状態検知特性の一例(検知データC)に示すように、収納物23fの反射率の違いによって誤差が発生する。例えば、反射物なし時の特性(a)に対し、やや高い反射率の収納物あり時の特性(b)では誤差Jが発生し、また、高反射率の収納物あり時の特性(c)では誤差Hが発生する。
この誤差を補正するために、本実施の形態においては、青色LED22aとメイン光センサ21aとを用いて、収納物23fの反射影響を検知する。一般的に反射率が高いのは白色の物体であるので、ここでは、白色の物体を識別する例を説明する。
まず、青色LED22aを用いる理由について説明する。例えば、図18Aに示すように、400〜500nmにピークを持つ青色の波長帯の光(青色LED22aのピーク波長帯の光)は、赤色の物体での反射率が低い。また、図18Bに示すように、青色LED22aのピーク波長帯の光は、青色の物体での反射率も50%以下と低めである。一方で、図18Cに示すように、白色の物体は全波長帯の光を強く反射する特性があるので、青色LED22aのピーク波長帯の光に対しても、その反射率が高くなる。すなわち、青色の波長は、白色以外の物体には反射しにくいため、白色の物体を見分けることに適している。そこで、本実施の形態では、青色LED22aを用いて白色の物体を識別する。
例えば、青色ではなく、赤色の波長の光を使用すると仮定する。このとき、図18Aに示すように、650nm前後にピークを持つ赤色の波長帯の光は赤色の物体での反射率が高く、図18Cに示す白色の物体での反射率と同等となる。すなわち、赤色の光は反射率の低い同色の物体でも一定レベルで反射するので、白色と赤色の物体の区別が困難であり、反射物の判別を行うためには、青色LED22aを用いる方がよい。
なお、反射率は物体の色に影響されるため、例えばRGBの波長を利用した色度センサ等を用いて反射物を検知すれば、さらに高い精度で判別できる。
また、金属の容器のように光の拡散性が低い物体については、特に光の波長に関係なく光を集光するので、その特性を利用して検知することができる。
例えば、図19に示すように、反射物による誤差と、青色LED22a点灯時のメイン光センサ21aの出力との間には相関があるため、この関係を利用してこの誤差分を補正する。
具体的には、まず、演算制御部1は、庫内照明20を消灯し、青色LED22aを点灯して(S113)、メイン光センサ21aによる検知データKをメモリ2に記録する(S114)。
次に、図19のように定められた閾値Lと検知データKとを比較し(S115)、検知データKの方が小さければ反射物による影響は微小であると判定して補正は行わない(S116)。一方、検知データKの方が大きければ、反射影響があると判定し、反射物による誤差判別特性Mに基づいて、誤差Jまたは誤差Hの値を推定して、図17に示した検知データCの補正を行う(S117)。
具体的には、誤差Jまたは誤差Hの値を減算して検知データCを補正する。
上述した各ステップ(基本データ取得工程、障害物補正工程および反射物補正工程)を実行することにより、演算制御部1は、補正後の収納量検知特性を算出する。このとき、演算制御部1は、収納室内における収納物の反射率に基づき減衰率演算部81の基準データを補正する減衰率演算補正部として機能する。これによって、収納物の反射率に起因する収納量の推定精度を確実に高めることができる。
図20は、本発明の第1の実施の形態における補正計算後の収納状態検知特性図である。
図20には、図7Aおよび図7Bに示した各ステップにより、基本データ取得、障害物補正、および反射物補正を演算制御部1で行った後の収納量検知特性(補正後)を示している。補正後の最大値(a)と補正後の最小値(b)との誤差は極めて小さくなり、収納状態を精度良くアナログ的に推定できることが分かる。この補正後の特性を用いて、演算制御部1は収納量検知を行う。具体的には、収納状態推定部82が、減衰率演算部81の演算結果に基づいて収納物の収納量を推定する(ステップ118)。収納状態推定部82は、光センサ21での照射光に基づく出力値により収納物の収納状態を推定する。
本実施の形態では、収納状態の推定において、図20に示したように、複数の閾値P,Q,R,Sを設けて、収納量のレベルをレベル1〜5の5段階で判別する仕様とした。具体的には、演算制御部1の収納状態推定部82は、閾値P以上のときはレベル1の収納量、閾値P〜Qのときはレベル2の収納量、閾値Q〜Rのときはレベル3の収納量、閾値R〜Sのときはレベル4の収納量、閾値S以下のときはレベル5の収納量であるとそれぞれ判別する。つまり、減衰率演算部81により演算された減衰率が大きい場合には、収納状態推定部82は収納量が多いと推定する。
上述の例においては、減衰率演算部81が演算した減衰率の値に基づいて、収納状態推定部82が収納物の収納量を推定する、つまり、照度の絶対値による収納量の推定について説明した。
しかしながら、本発明はこの例に限定されない。例えば、収納状態推定部82が、減衰率演算部81の演算結果を基に収納量を推定する構成、具体的には、減衰率演算部は、前回までの演算結果(前回の演算結果でもよいし、さらに前の演算結果であってもよい)を基準収納室照度として、基準収納室照度からの減衰率を演算する構成であってもよい。
これにより、メモリ2は、前回までのデータのみ記憶すればよく、演算制御部1での制御が容易となる。
例えば、図20の関係において、収納量の増加を判定するとき、変化前の収納量がレベル3であるとすると、照度変化が「閾値Q−閾値R」の差分以上であったときのみレベル4に移行するように判別し、これ以外の場合はレベル3で保留する。これにより、外部ノイズなどにより数パーセントの検知誤差が発生しても、収納状態の変化の誤検知を防止することができる。収納量の減少を判定するときについても同様の考え方で行う。このように、つまり、照度変化の相対値に基づいて、収納量の相対変化を推定することも可能である。
さらに、演算制御部1は、通常は、照度変化の相対値に基づいて収納量の相対変化を推定しており、定期的に、照度の絶対値に基づいて収納量の絶対値を推定する構成としてもよい。このような構成とすることにより、収納量の経時変化が非常に少ない場合であって、収納量の判定レベルが変化しないような場合であっても、定期的に絶対値を推定することにより、正しい収納量の判定が可能である。
また、前回までの演算結果を基準収納室照度(=データ=減衰率)として、基準収納室照度からの減衰率を演算する場合、前回までのデータ(=減衰率)に対して、所定の閾値を越えた場合、収納量の変化が生じたと判定し、冷蔵庫内部の収納物の収納量の相対変化(増減量)に応じた冷却、あるいは出力制御が可能となる。そして、所定の閾値を越えた時点で前回までのデータを書き換えて新たなデータとすることで、適切な収納量変化を判定することができる。なお、一定時間、収納量の変化が生じたと判定しない場合、一定時間後に前回までのデータを書き換えて新たなデータとしてもよい。
また、演算制御部1の収納状態推定部82は、扉開閉検知センサ3の検知結果を用いて、開扉前の光センサ21の出力値と閉扉後の光センサ21での出力値とに基づいて収納室内の収納物の収納状態(増減)を推定することも可能である。
例えば、収納状態推定部82は、開扉前の光センサ21からの出力値と閉扉後の光センサ21での出力値の変化量が所定値よりも小さい場合に、収納室内の収納物の収納量は変化していないと推定することも可能である。
これにより、冷蔵庫100が省エネ運転している場合、扉開閉前後の収納量の変化が少なく、省エネ運転を解除する必要がないと判断し、冷蔵庫100が省エネ運転を継続することで、節電することができる。
また、光センサ21の検知照度に基づく出力値は、電流値、あるいは電圧値であり、前記出力値の比較により減衰率(%)を演算するものであり、メモリ2は減衰率(%)を記憶すればよく、演算制御部1での制御が容易となる。
また、前回までの演算結果を基準収納室照度として、基準収納室照度からの減衰率を演算する構成とした場合、すなわち、照度変化の相対値に基づいて、収納量の相対変化を推定する(収納量の増減を推定する)場合も、図7Aおよび図7Bの基本的なフローは同様であるが、障害物補正工程では、障害物有無により変化量の異なる閾値を2種類持っておき、いずれかを選択し障害物補正としてもよい。
また、反射物補正工程では、反射物ありのときは、収納量多めに判定するように一定値を減算し反射物補正としてもよい。
また、図20に示したように、閾値P〜Sの間隔は、収納量が少ないときは広く、また多いときは狭く設定している。これは、収納量検知特性(補正後)が、収納量が少ないときほど傾きが大きく、収納量が多いときほど傾きが小さくなることを考慮したものであり、収納レベル1〜5の間隔が均等になるように設定している。
なお、収納量の推定に当たっては、上述のような複数の閾値を用いた段階分けを行わずに、完全にアナログ的な判別(つまり、図20の特性図に基づいて、照度の絶対値から対応する収納量の絶対値を算出する)をしてもよい。
収納状態を推定した後、演算制御部1は、収納量または収納量の変化または収納位置などに応じて、コンプレッサ30、冷却ファン31および風量調節ダンパー32等の冷却システム35を制御して、最適な冷却運転を行うために条件を変更する。
なお、上述したLEDと光センサ21との配置関係を逆にしても、上述した収納状態検知方式は成立する。
なお、演算制御部1は、LEDを順次点灯して、収納物の収納状態を検知している間に、表示部17のランプを明滅させる等して、使用者に報知することも可能である。さらに、演算制御部1は、収納状態を検知した後に、検知結果を表示部17に表示して使用者に報知することも可能である。
また、扉開閉検知センサ3によって断熱扉の閉状態が検知されてから、演算制御部1での一連の制御動作が終了するまでに、扉開閉検知センサ3により断熱扉の開状態が検知された場合を想定する。このような場合、演算制御部1での一連の制御動作を強制的に終了し、再度、断熱扉の閉状態が検知されてから演算制御部1での一連の制御動作を開始する。これにより、途中で断熱扉が開かれた場合であっても、改めて一連の制御動作を行うことにより、より精度の高い収納状態検知が可能である。
なお、本実施の形態においては、図7Aおよび図7Bに示したように、基本データ取得工程、障害物補正工程および反射物補正工程をすべて行う例を用いて説明を行った。しかしながら、本発明はこの例に限定されない。例えば、障害物補正工程および反射物補正工程の少なくともいずれかを省略することも可能である。
簡易的には、基本データ取得工程(S103〜S107)を行って、その結果に基づいて収納量の判定(S118)を行うことによって、収納物の収納量を推定することが可能である。
なお、基本データ取得工程(S103〜S107)における、天面LED20a,20bと側面下方LED20gを点灯させる順序はどちらが先でもよい。
このような場合には、本実施の形態の冷蔵庫100は、冷蔵室12の内部に設置された天面LED20a,20bおよび側面下方LED20g,20hと、照射光を検知する光センサ21であるメイン光センサ21a,21cとを有する構成であればよい。冷蔵庫100は、メイン光センサ21a,21cでの照度減衰量に基づいて収納物の収納状態を推定することができる。これにより、光源であるLEDの初期特性等のばらつきに対応でき、冷蔵室12内の全体の収納状態を、精度を高めて推定することが可能となる。
また、基本データ取得工程(S103〜S107)における、S105〜S107(データAとデータBの平均値をCとする工程)は、必須ではなく、データAを基本データ取得工程としてもよい。
また、障害物補正工程および反射物補正工程は必須ではなく、基本データ取得工程のみで収納物の収納状態を推定することもできる。
また、基本データ取得工程と、障害物補正工程を組み合わせて収納物の収納状態を推定することもできる。
また、基本データ取得工程と、反射物補正工程を組み合わせて収納物の収納状態を推定することもできる。
また、本実施の形態では、図7Aにおいて、冷蔵室扉12aが閉じられてから所定時間をタイマ4で計時した後に(S102)、収納状態の検知動作(基本データ取得動作)を開始するもので説明したが、S101で扉開閉を検知した後、演算制御部1が光センサ21での出力値が所定値以下(照射光がない状態)を検知したことを確認してから基本データ取得工程に移行することもできる。これにより、庫外からの光の影響を確実に排除できる。また、光センサ21の故障等の異常を検知でき、冷蔵庫100の信頼性を高めることができる。
本実施の形態においては、光源の照射光は、収納室内で反射を繰り返して庫内全体に行渡って、光センサ21に入光する。これにより、部品数が少なく、簡易な構成で収納状態を検知することができる。なお、メイン光センサ21a,21cは一方のみを配置することとしてもよい。これにより、さらに低コスト化を図ることができる。このとき、演算制御部1は、収納室に複数設けられた光源と単一の光センサ21の受光した結果に基づいて、各光源に対する収納状況から収納物の収納状態を推定することとなる。収納室を複数の区画(高さ方向、奥行き方向および横幅方向等において、二区画に区分)に区分した場合、複数の光源の少なくとも一つは光センサ21の配置される区画に配置して、各区画における光源の照射光を光センサ21で検知した結果に基づき収納物の収納状態を推定する。
また、メイン光センサ21a,21cによって検出された照度の減衰量を、収納室内に収納物がない状態での基準収納室照度に対する、実際の収納状態での照度の減衰量とすることができ、これを用いて収納物の収納状態を推定する。これにより、光源であるLEDのばらつきだけでなく冷蔵庫100の収納室内の個体ばらつきにも対応でき、収納物の収納状態の推定精度をさらに高めることができる。
また、メイン光センサ21a,21cによって検出された照度の減衰量は、収納室内における収納物での反射光を含めた間接的な照射光を検知して算出されるものである。これにより、収納物の収納状態を容易に精度よく推定することができる。
また、メイン光センサ21a,21cは、光源の光軸からずらして配置している。これにより、メイン光センサ21a,21cは、光源からの直接光を受光しないので、庫内全体の収納物の収納状態を容易に精度よく推定することができる。
また、メイン光センサ21a,21cと光源とは収納室内において、対向しない面に配置するか、あるいは対向しないように配置する構成としている。これにより、メイン光センサ21a,21cは光源からの直接光の受光を確実に防止でき、庫内全体の収納物の収納状態を容易に精度よく推定することができる。
また、メイン光センサ21a,21cでの照度減衰量を収納状態により補正する減衰率演算補正部を備えることにより、収納室内における収納物の偏りによるばらつき要因を吸収することができ、収納物の収納状態に起因する収納量の推定精度を高めることができる。
また、メイン光センサ21a,21cでの照度減衰量を収納状態により補正する減衰率演算補正部として、収納室内における収納物の上下方向の収納状態を補正する手段を備えたことにより、収納物の上下方向の偏りに起因する収納量の推定精度を確実に高めることができる。
また、メイン光センサ21a,21cでの照度減衰量を収納状態により補正する減衰率演算補正部として、収納室内における断熱扉での収納物の収納状態を補正する手段を供えたことにより、収納物の断熱扉での偏りに起因する収納量の推定精度を確実に高めることができる。
また、メイン光センサ21a,21cでの照度減衰量を収納状態により補正する減衰率演算補正部として、収納室内における光センサ21近傍での収納物の収納状態を補正する手段を備えたことにより、光センサ21に対する収納物による影の生成に起因する収納量の推定精度を確実に高めることができる。
また、メイン光センサ21a,21cでの照度減衰量を収納状態により補正する減衰率演算補正部として、収納室内における収納物の反射率を補正する手段を備えたことにより、収納物の反射率に起因する収納量の推定精度を確実に高めることができる。
また、光センサ21を、光源よりも下方に配置したことにより、光センサ21は扉開閉での外気の流入による結露の影響を低減でき、光センサ21での照度減衰量に基づいて収納物の収納状態を精度よく推定することができる。
また、庫内照明20および光センサ21は、冷蔵室12の奥行き方向における中心よりも冷蔵室扉12a側に設けられている。これにより、扉開閉による外気流入の影響を受け易い入り口付近の収納物の収納状態を確実に検知することができる。
また、庫内照明20および光センサ21は、冷蔵室12に備えられた庫内収納棚18の前端部と冷蔵室扉12aとの間に設けられている。冷蔵室扉12aと庫内収納棚18の前端との上下の空間は、収納物によって遮られる可能性が低い。これにより、光源からの安定した光路を確保しつつ、断熱扉や庫内収納棚18での収納物の存在による光センサ21での照度減衰量に基づいて収納物の収納状態を精度よく推定することができる。
また、冷蔵室12を複数の区画に区分したので、収納物の偏りに関わらず精度良く収納状態の検知を行うことができる。
また、収納状態検知に使用する光源の少なくとも一部を庫内照明20と兼用しているので、新たな光源を設けることなく、簡易な構成で収納状態を検知することができる。庫内照明20と、収納状態検知に使用する光源の少なくとも一部とを兼用した場合には、扉を開けた場合の照明のための明るさと、収納状態検知に必要な照明の明るさを変化させることにより、より収納状態検知の精度を向上させることができる。
また、LEDと光センサ21とが対向しない配置となる組合せで検知を行うので、LEDから光センサ21に直接入射する光の成分を抑制することができ、収納物による光の減衰率を高め、検知精度を向上することができる。
また、LEDまたは光センサ21の近傍の収納状態を識別して補正する構成として、例えば、光センサ21近傍の光の入射経路に対する障害物、および光センサ21の近傍に収納された反射物による誤差を抑制することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の第2の実施の形態における冷蔵庫200〜205の構成について、図21から図25までの図面に基づいて説明する。
なお、実施の形態1で説明した構成と同一または類似する構成については、同一の符号を用いてその説明を省略する。
図21は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫200の側方から見た断面図である。図22は、同冷蔵庫200の冷蔵室の奥に収納物23hを収納した状態を説明するための図である。図23Aは、同実施の形態における冷蔵庫201の光センサ21配置例を示す上方から見た断面図である。図23Bは、同実施の形態における冷蔵庫202の光センサ21配置例を示す上方から見た断面図である。図24Aは、同実施の形態における冷蔵庫203の光センサ21の配置例を示す側方から見た断面図である。図24Bは、同実施の形態における冷蔵庫204の光センサ21の配置例を示す側方から見た断面図である。図25は、同実施の形態に係る冷蔵庫205における風路内への光センサ21の配置例を示す上方から見た断面図である。
本実施の形態では、主に側面に設けられた庫内照明20を用いて検知を行う場合における、様々な光センサ21の配置方法の例について説明する。
LEDおよび光センサ21の位置関係について説明する。
図21および図22に示した例においては、天面にメイン光センサ21d,21eを配置している。冷蔵室扉12a側から奥方向に照射された照明用LED20c〜20f、および側面下方LED20gからの光を、庫内内壁や食品で反射させ、庫内全体に行渡らせてからメイン光センサ21d,21eに入射させる。このため、照明用LED20c〜20f、および側面下方LED20gの光が直接メイン光センサ21dに入射しないように、メイン光センサ21dを、照明用LED20c〜20f、および側面下方LED20gの発光光度が50%以上となる照射角βの外側に配置している。
また、光を庫内全体に行渡らせるためには、光が庫内奥で反射して庫内扉側に戻ってきたところを検知することが望ましい。このため、天面光センサ21dを庫内奥行の1/2(中心)よりも冷蔵室扉12a側の位置に設けている。ただし、メイン光センサ21eは、庫内奥側の収納状態の検知をより正確にするために、メイン光センサ21dを補完する役割で設置している。このため、メイン光センサ21eは、庫内奥側、かつ照明用LED20cの入射角β内に配置されている。
冷蔵室扉12aが開閉されたときには、外気が庫内に流入して庫内温度がやや上昇する。このとき、扉付近の収納物の方が、奥の収納物よりもこの温度変化の影響を受けやすい。よって、扉側の収納物の収納状態をより正確に検知する必要があるため、冷蔵室扉12a側にメイン光センサ21aを設ける効果はより高い。
なお、構造設計の都合上、冷蔵室扉12a側にメイン光センサ21aを設けることが難しい場合や、LEDの照射角内にメイン光センサ21aが入る等、これらの条件を満たせない場合がある。この場合には、LEDの照射光が直接メイン光センサ21aに入射しないように、できるだけLED光源と対向してメイン光センサ21aを設置しないように配慮する。
本実施の形態においては、図22に示したように、メイン光センサ21d,21eのうち、一方のセンサ(この場合にはメイン光センサ21e)が収納物23hによって塞がれることがあっても、他方のメイン光センサ21dによって収納状態を検知することができる。
以上の説明においては、メイン光センサ21dを収納室の奥行き方向の1/2(中心)よりも冷蔵室扉12a側の天面に配置している。また、メイン光センサ21eを奥行き方向の1/2(中心)よりも奥側の天面に設けている。しかしながら、本発明はこの例に限定されない。
例えば、図23Aの冷蔵庫201に示すように、メイン光センサ21fを収納室の横幅方向の1/2(中心)よりも左の扉側に配置し、メイン光センサ21gを庫内横幅の1/2(中心)よりも右の扉側に設置してもよい。
また、図23Bの冷蔵庫202に示すように、メイン光センサ21hを冷蔵室扉12aに配置し、また、メイン光センサ21iを庫内横幅の1/2(中心)よりも右の奥側に設置してもよい。この構成により、左右の食品収納状態だけでなく、奥・手前の食品収納状態も詳細に検知することができる。さらに、メイン光センサ21hを冷蔵室扉12aに設けることにより、メイン光センサ21hが奥方向に向けて庫内全体を見渡すような配置となり、庫内全体の収納量検知がしやすい。同様の効果を得るためには、奥方向に向けてメイン光センサを設置することにより、庫内壁面にもメイン光センサを設けることができる。
また、図24Aの冷蔵庫203に示すように、メイン光センサ21jを収納室内の上部でかつ冷蔵室扉12a側に、また、メイン光センサ21kを収納室内の下部でかつ冷蔵室扉12a側に設置してもよい。これにより、メイン光センサ21jによって庫内高さの1/2(中心)よりも上側の収納空間の光量を検知し、メイン光センサ21kによって庫内高さの1/2(中心)よりも下側の収納空間の光量を検知することが可能である。
一般に、他の収納室と比較して高さ寸法が最も高い冷蔵室12の上下にメイン光センサ21j,21kを設けているので、食品収納状態を詳細に検知することができる。
また、図24Bの冷蔵庫204に示すように、収納室内の上部でかつ冷蔵室扉12a側にメイン光センサ21mを設け、また、メイン光センサ21nを収納室内の下部でかつ奥側に設置してもよい。この構成により、収納空間の前方かつ上側の収納空間をメイン光センサ21mで検知し、収納空間の後方かつ下側の収納空間をメイン光センサ21nで検知することができる。これにより、上下方向の収納物の収納状態だけでなく、奥・手前方向の収納物の収納状態も詳細に検知することができる。
また、図25の冷蔵庫205に示すように、庫内の扉側に備えた光センサ21(図示せず)に加えて、メイン光センサ21p,21qを、冷蔵室12内に冷気を送風するために設けられた冷却風路25内に設けてもよい。このとき、光は吐出口26を通ってサブ光センサ21bに入射するが、冷却風路25の収納室への吐出口26は確実に開口されているので、メイン光センサ21p,21qは、収納物に塞がれることなく、入光経路を確保することができる。万が一、食品等の収納物によって吐出口26が塞がれたときには光の光度が低下するため、冷蔵室12内への冷気送風効率が落ちることを検知することができる。
なお、風路の吐出口26だけでなく、吸い込み口付近に光センサ21を設けてもよい。
なお、ここまでの説明においては、メイン光センサ21a〜21qを2個使用する形態を記載したが、光センサ21の使用数はこれに限らず、材料の使用量を抑制するために1個としてもよいし、容易に検知精度を向上させるために多数設けてもよい。また、複数の光センサ21の配置も上述したパターンに限らず、冷蔵庫200を二区画に区分したとき、両区画に光源または光センサ21が配置されていればよい。
また、さらに検知を詳細に行うために、モータアクチュエータ等で光センサ21またはLEDを駆動し、角度を自由に変更できるようにしてもよい。
また、上述したLEDと光センサ21との配置関係を逆にしても、この収納状態検知方式は成立する。
以上述べたように、本実施の形態においては、断熱壁と断熱扉によって区画された冷蔵室12に、収納状態を判別する収納状態検知部として照明用LED20c〜20fおよび側面下方LED20g,20hとメイン光センサ21a〜21qとを設けている。また、光センサ21の少なくとも一つを冷蔵室12の奥行きの中心よりも扉側に設けている。これによって、収納状態の影響を受ける食品温度を適温となるように冷却制御できるので、保鮮性の向上と共に、「冷えすぎ」防止により消費電力を抑制することができる。
また、収納状態検知部を構成する光センサ21を収納室の奥行きの中心よりも冷蔵室扉12a側に設けたことで、扉開閉による外気流入の影響を受け易い入り口付近の食品の収納状態を正確に検知し、適温に保つことができる。さらに、例えば冷蔵室12の場合、庫内収納棚18と扉収納棚19との間にスペースがあるため、ここに光センサ21を配置することにより、収納状態検知部が収納食品で塞がることを防止できる。
また、光センサ21を冷蔵室扉12aに設けると、扉側から庫内奥方向に向けて、庫内全体を見渡すように光センサ21を設けることができる。
また、冷蔵室12を奥行きの中心で前後二区画に区分したとき、それぞれの区画に光センサ21を設けると、庫内奥側の収納物の収納状態も正確に検知することができる。
また、冷蔵室12を横幅の中心で左右二区画に区分したとき、それぞれの区画に光センサ21を設けると、収納食品の左右の偏り等の判別が可能となる。
また、冷蔵室12を高さの中心で上下二区画に区分したとき、それぞれの区画に光センサ21を設けることができる。これにより、一般的に高さ寸法が最も長い冷蔵室12において、上側と下側に光センサ21を配置することで、庫内全体の収納状態を正確に検知することができる。
また、LEDの発光光度が50%以上となる照射範囲の外側に、光センサ21を設けることにより、LEDの照射光が直接に光センサ21に入射せず、収納物で反射または遮蔽された後に光センサ21に入射するので、収納状態の検知が容易になる。
また、光センサ21を、収納室に冷気を送り込むための冷却風路25内に設けることもできる。これにより、冷却風路25の収納室への吐出口26は確実に開口されているので、光センサ21が食品に塞がれることなく、入光経路を確保することができる。万一、食品等の収納物によって吐出口が塞がれたときは光の光度が低下するため、冷蔵室12内への冷気送風効率が落ちることを検知することができる。
また、LEDや光センサ21の向きを可変できる角度変更手段を設けると、広い収納室においても、庫内の隅々まで収納状態を確認することができる。
上述した、冷蔵庫100,200〜205の構成を用いて家庭用または業務用冷蔵庫に適用することができる。これにより、冷蔵庫100,200〜205の収納量検知機能を用いて、節電運転などに運転モードを切換える制御に実施、応用することができる。
以上述べたように、各実施の形態において説明した冷蔵庫100,200〜205は、収納室内の収納物の位置を判別するだけでなく、全体の収納量を推定することが可能となるため、収納状態に応じた温度制御を行うことにより、保鮮性を向上させることや、過剰冷却を防止することで消費電力を抑制するといった有用な効果を発揮することができる。
なお、上述の各実施の形態においては、収納室として、冷蔵室12内の収納物の収納状態を検知する例を用いて説明を行った。しかしながら、本発明はこの例に限定されず、他の収納室、例えば、製氷室13、切換室14、冷凍室15、および野菜室16に対しても適用可能である。