第1の発明は、冷蔵庫本体と、断熱区画された貯蔵室と、前記貯蔵室を照明するため設置された庫内照明装置と、前記庫内照明装置近傍の温度を検知するための温度検知手段を有し、前記庫内照明装置と温度検知手段は冷蔵庫の内箱に設置されているとともに同一基板上で構成されていることにより、部品点数が削減できるとともに、ユニット化しやすく、また、LED近傍や基板雰囲気の温度を精度よく検出でき、製品を安価に提供できるとともに作業負荷を軽減し、基板回りの安全性を向上できる。
第2の発明は、特に、第1の発明の同一基板上で構成された庫内照明装置と温度検知手段は、貯蔵室の前面に設置することにより手前側から収納物が保存されている奥面に向かって光を照射することができるので、使用者からみたときの収納物の視認性が向上するとともに開口面に近いので製作時の作業負荷が減少し、工数が削減できる。
第3の発明は、特に、第1の発明の同一基板上で構成された庫内照明装置と温度検知手段は、貯蔵室の天面に設置することにより、上から下向きに光が照射されるので特定低温室の容器を引き出したときの収納物の視認性が向上するとともに開口面に近いので製作時の作業負荷が減少し、工数が削減、安価に製品を提供できる。
第4の発明は、特に、第1の発明の同一基板上で構成された庫内照明装置と温度検知手段は、貯蔵室の側面に設置することにより、比較的手の届きやすい中央部を照射することができるので収納物の視認性が向上するとともに基板の取り付け作業負荷が軽減できる。
第5の発明は、特に、第1から第4のいずれか1つの発明の同一基板上で構成された庫内照明装置と温度検知手段は、貯蔵室の扉側収納容器と本体側の棚との間に設置することより、収納物による遮蔽等を受けにくくなり、全体に光が届きやすくなり収納物の視認性が向上する。
第6の発明は、特に、第1から第5のいずれか1つの発明を、前記庫内照明装置は、半導体素子であるLED照明で構成され、温度検知手段は面実装サーミスタで構成されていることにより、基板への部品の実装が自動化しやすく、また薄型化、小型化しやすいので断熱性が向上でき、また安価に基板を提供できる。
第7の発明は、特に、第1から第6のいずれか1つの発明を、前記貯蔵室の内部に収納
物の収納状態を推定する収納状態検知手段と、前記収納状態検知手段は、前記と貯蔵室の内部に設置された光源と前記光源から照射された照射光を検知する検知部である光センサとを有し、前記光センサは、前記照射光が前記収納室の壁面または前記収納物に反射を繰り返し、前記収納室内の明るさの分布が飽和した状態を検知することより、収納量の変化による光センサの出力値により貯蔵室の収納量を推測し、それに合わせた冷却運転をすることにより省エネ性が向上できる。
第8の発明は、特に、第7の発明の前記収納状態検知手段の光源を、庫内照明装置と兼用することにより部品点数を増加させることなく機能を向上させることができるので利便性が向上する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を図1から図7に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態における冷蔵庫の正面図、図2(a)は同実施の形態における図1のA−A線断面図、図2(b)は同実施の形態における図1の冷蔵室の扉を開けたときの正面図、図3は同実施の形態における天面照明装置部分の詳細正面図、図4は同実施の形態における基板部分の拡大図、図5は同実施の形態における冷蔵庫の制御ブロック図、図6は同実施の形態における収納状態検知の制御フローチャート図、図7は同実施の形態における別形態の収納状態検知の制御フローチャート図、図8は同実施の形態における収納情報の基本データ取得フローチャート図、図9は天面光源による収納状態検知動作の説明図、図10は天面光源による収納状態検知特性図、図11は下方の光源による収納状態検知動作の説明図、図12は下方の光源による収納状態検知特性図、図13は補正計算後の収納状態検知特性図である。
図1において、冷蔵庫本体11である断熱箱体は、主に鋼板を用いた外箱と、ABSなどの樹脂で成形された内箱と、外箱と内箱の間に注入した断熱材で構成されている。
冷蔵庫本体11である断熱箱体は、複数の収納室に断熱区画されており、最上部に冷蔵室12、その冷蔵室12の下部に製氷室13もしくは切換室14が横並びに設けられ、その製氷室13と切換室14の下部に冷凍室15、そして最下部に野菜室16が配置され、各収納室の前面には外気と区画するための断熱扉が冷蔵庫本体の前面開口部にそれぞれ構成されている。冷蔵室12の断熱扉である冷蔵室扉12aの中央部付近には、各室の庫内温度設定や製氷および急速冷却などの設定を行うことができ、また収納状態の検知結果や冷蔵庫の運転状況などを表示できる表示部17が配置されている。
図2において、冷蔵室12内には収納物である食品を整理して収納できるように複数の庫内収納棚18、また冷蔵室扉12aの庫内側の面には扉収納棚19が設けられ、これらはガラスや透明な樹脂など光の透過率が高い材質で構成されている。庫内収納棚18および扉収納棚19の表面は、一定の透過率を保ちながら光が拡散するように加工を行うことで、冷蔵室12内の明るさの分布を調節することが可能である。
冷蔵室12内には、庫内を明るく照らすために照明用LED20があり、収納された収納物である食品の視認性を向上させている。照明用LED20は、冷蔵庫内の扉開放側前面から見て、庫内奥行の1/2より扉側に、天面と左側壁面と右側壁面に配置されている。この照明用LED20の光源には天面LED20a、20b、および側面LED20c、20d、20e、および側面下方LED20g、20hなど複数のLEDを使用し、側
壁面においては側面LED20c〜20gのように縦方向に配列することで、高さ方向に長い冷蔵室12全体を満遍なく照射することができる。
また、照明用LED20の天面LED20a、20b、側面下方LEDを含んだ側面LED20c〜20hにおいて、照明用LEDユニット対し、温度サーミスタ61aをLEDが挟む形、例えば、天面LED20aとLED20bの間に温度サーミスタ61aが設置され、側面側も同様に温度サーミスタ61b、61cが構成されている。この温度サーミスタ61aは、実装性、薄型化を考えると面実装型のサーミスタがよく、この場合、天面および側面LED20a〜20f、側面下方LED20g、20hに関しても面実装型のチップLEDで構成されることが望ましい。
図3および図4に示すとおり、照明用LED20は、主に鋼板で構成された外箱66と樹脂で構成された内箱67と、その間にウレタンや真空断熱材などの断熱材68が充填された天面の断熱壁に関してその一部が凹部で、照明カバー64とベース65の間に基板62で構成され、基板62に天面LED20a、20bとその間に温度サーミスタ61aが実装され、基板の一部にコネクタ63が構成している。温度サーミスタ61aは、両サイドのLEDの間に実装されその位置は両LEDの略中央に実装され、コネクタ63は冷蔵庫の基板は配線が簡素化、基板面積の小型化、基板の取り数を考えると端部に構成されるように工夫している。
さらに、庫内の下方、且つ庫内の奥行方向の1/2より扉側の位置に光センサであるメイン光センサ21a、21c、およびサブ光センサ21bが設置されている。これらの光センサは、本実施の形態では照度センサを用い、最も高感度となるピーク波長を500〜600nmとしたセンサが一般的である。なお、光センサのピーク感度波長は、他の波長帯でも良く、光源の発光波長などと合わせて決定するものである。
冷蔵室12を左右方向において2区画に区分したときは、天面LED20aとメイン光センサ21cが右区画に配置され、天面LED20bとメイン光センサ21a、サブ光センサ21bが左区画に配置される。また、前記収納室を上下方向において2区画に区分したときは、天面LED20a、20bが上区画に配置され、側面下方LED20g、20hとメイン光センサ21a、21c、サブ光センサ21bが下区画に配置される。このように、前記複数の区画にLEDと光センサが配置されている。
このメイン光センサ21a、21cは、天面LED20a、20b、側面LED20g、20hの照射光が、収納室壁面での反射および収納物による反射・減衰を繰り返し、収納室内の明るさの分布が飽和した状態を測定・計算して収納状態を推定するものである。この原理に加え、複数の区画にLEDと光センサを配置したことで、収納物の配置によらず精度良く収納状態を検知することができる。
光センサによる物体の検知は、例えばフォトインタラプタのように、遮蔽で光の強さが極端に減衰する現象を利用して一つの物体の存在をデジタル式に検知する方式、または多数のセンサ構成で複数の物体の存在を検知する方式が一般的である。このような構成は、収納室内の限られた場所の収納物の有無を検知することしかできず、収納室全体の収納状態を把握することはできない。しかし、本発明の構成は、少数のLEDとセンサで冷蔵室12という空間内の全体の収納状態をアナログ的に把握することを可能としている。
このシステムにおいては、光センサの直ぐ手前が収納食品によって塞がれると、検知できる光のレベルが極度に低下することに伴い、光の強さの変化率が低下するため、収納状態の検知に複雑な処理が必要になる。しかし、図2(a)に示したように、冷蔵室12内が収納物で満杯になっても、天面LED20a、20b、側面LED20c〜20f、側
面下方LED20g、20h、およびメイン光センサ21a、21cの取り付け位置には、庫内収納棚18と扉収納棚19の間に空間αがあるため、光センサが食品で塞がる可能性は低い。
また、この空間αには庫内収納棚18の前方側の端部を含む鉛直面18aよりも前方側で断熱扉である冷蔵室扉12aとの間にメイン光センサ21a、21bが設置されていることによって形成されている。
なお、冷蔵室12は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃とし、最下部の野菜室16は冷蔵室12と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃としている。また、冷凍室15は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。
製氷室13は冷蔵室12内の貯水タンクから送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機で氷をつくり、室内下部に配置した貯氷容器に貯蔵する。
切換室14は、1℃〜5℃で設定される冷蔵、2℃〜7℃で設定される野菜、通常−22℃〜−15℃で設定される冷凍の温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り換えることができる。切換室14は製氷室13に並設された独立扉を備えた収納室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
なお、本実施の形態では、切換室14を、冷蔵と冷凍の温度帯までを含めた収納室としているが、冷蔵は冷蔵室12と野菜室16、冷凍は冷凍室15に委ねて、冷蔵と冷凍の中間の上記温度帯のみの切り換えに特化した収納室としても構わない。また、特定の温度帯、例えば近年冷凍食品の需要が多くなってきたことに伴い、冷凍に固定された収納室でも構わない。
次に図5の制御ブロック構成を説明する。
冷蔵庫本体およびその周辺環境の変化を検知するため、扉開閉動作を検知するための扉開閉検知センサ3、各庫内温度やLED部温度、外気温度、冷凍サイクル温度を検知するための温度センサ61、収納変化を検知するための光センサ21a、21b、21cの検出信号を演算制御部1に入力し、メモリ2にデータを蓄積、演算を行い、天面LED20a、20b、側面下方LED20g、20hを含んだ照明用LED20や反射率補正用の青色LED22a、22b、圧縮機30、冷却ファン31、風量調節ダンパ32および庫内温度補償や除霜のためのヒータ33の動作を決定し、その動作信号を出力し各機能部品を動作させる。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下、その動作・作用を図6から図13の制御フローチャート図と断面図、説明図を用いて天面LED20a、20b、側面下方LED20g、およびメイン光センサ21aによる収納状態検知動作を詳細に説明する。
本実施の形態では、照明用LED20のうち、天面LED20a、20b、および側面下方LED20g,20hを順次点灯し、その時、光センサ21のうち、メイン光センサ21a、およびサブ光センサ21bを使用して収納状態を検知する。
さらに収納状態の検知精度を高める必要があるときは、側面LED20c〜20fのように使用するLED光源を増加させればよい。また、メイン光センサ21cのように使用する光センサを増加させてもよい。
冷蔵室12は高さ方向に長いことが一般的であるため、主に冷蔵室12を上下2区画に区分した考え方で収納状態の検知例を記載する。
図6において、収納状検知フロー(ステップ201)に入ると収納検知に使用する、例えば天面照明部の温度センサ61によりその周辺温度を検知(ステップ202)、扉開閉時のLED点灯時の印加電圧もしくはDutyの値を演算により決定する。次に、扉開閉検知センサ3により冷蔵室扉12aの開が検知されたとき(ステップ204)、ステップ203で決定したLEDの印加電圧値もしくはDuty率で庫内照明としてLEDを点灯させる。(ステップ205)これにより、庫内温度変化でLEDの光度がばらつくことを抑制でき扉開毎の庫内照度を均一化できる。
次に扉が閉されたこと(ステップ206)ことを検知するとLEDを消灯(ステップ207)し、ステップ208に移行する。所定時間後、ステップ209に移行し、次に再度ステップ209でLED周辺温度を計測し、ステップ210でLEDに印加する電圧もしくはDutyを決定する。その決定した印加電圧もしくはDuty値で収納状況の検知動作を開始し、基本データを取得する(ステップ211)。
ここで、ステップ208にて所定時間を計時する理由を記載する。
ひとつには、低温となっている庫内収納棚18、扉収納棚19および照明カバー64などが扉開閉により流入した高湿度の外気が庫内に流入すると事前に冷却させていた部材自体が熱容量を持つため温度上昇が少なく、その表面が微小ながらも結露する可能性があり、透過率、反射率、吸収率、屈折角が変化することで収納状態の検知に影響が出ることを配慮したもので、所定時間後に結露が解消されてから検知することを目的としている。
また、ひとつには、冷蔵室扉12aが開いているときに照明としてLEDが点灯し、その発熱によりLED素子が温度影響により光度が変化し、収納状態の検知に影響が出ることを配慮したもので、所定時間後にLEDの温度上昇が解消されてから検知することを目的としている。なお、LEDの光度を安定させる手段として、本実施例では、LED周辺部の温度を温度センサ61で検知することでLEDに印加する電圧を変化させる、もしくはDutyを変化させることにより一定の光度のLEDを発光させることにより検知精度を向上させる。
また、別手段としては、LEDを冷蔵室扉12aが閉じられた後も暫く点灯し、あえて発熱させ、所定時間後にLEDの温度上昇が飽和して一定になった後、検知を開始してもLEDの光度は安定する。
なお、図7に示すとおり、本実施の形態の別形態としてLED周辺温度を計測した値(ステップ209)をベースに収納状態の基本データを計測し(ステップ211)、その値に対し、LED周辺温度影響を演算し、その演算結果から温度補正(ステップ221)を行い、収納量判別をしてもよい。
次に図8から図12を用いて基本データ取得について説明する。
収納状態検知動作を開始すると、最初に冷蔵庫の上区画である天面壁面に配置された天面LED20a、20bの光源を点灯する(ステップ231)。例えば図9のように庫内収納棚18上に収納物23aである食品が収納されたとき、天面LED20aから出力された光24a(以下、光の成分を図9に矢印で示す。点線は光が減衰していることを示す。)は、収納物23aである食品に反射・吸収して減衰し、光24b、24cのように別
方向へ拡散する。光24b、24cはさらに冷蔵室12の壁面や他の食品(図示せず)での反射を繰り返す。また、扉収納棚19の収納物23bで反射した光24dも減衰し、光24eのように別方向に拡散し、さらに冷蔵室12の壁面や他の食品(図示せず)での反射を繰り返す。このように反射を繰り返した後に、冷蔵室12内の明るさの分布は飽和・安定する。
なお、一般にLEDの照射光は所定の照射角度をもって発光するため、図9内に矢印で示した光は、LEDが放つ光の成分の一部である。以下、光の描写については同様である。
天面LED20a、20bは下方向を向き、メイン光センサ21a、21cは水平方向を向き、それぞれが対向しない配置のため、ほとんどの光の成分はセンサに直接入射せず、壁面や収納物での反射を介するように構成されている。なお、メイン光センサ21a、21cは光源となる天面LED20a、20bの光軸からずらして配置してもよい。すなわちLEDは指向性が高いので、天面LED20a、20bの光が直接入らない位置、あるいは入らないように配置することが望ましい。
このときのメイン光センサ21aによる収納状態検知特性の一例が図10であり、収納量の増加とともに照度が低下していくことが分かる。ただし、天面LED20a、20bだけの点灯では、最大値と最小値の間に誤差があり、この誤差の補正方法は後述する。測定した照度情報は検知データAとしてメモリ2に記録する(ステップ232)。なお、図10のグラフの縦軸を「照度」としているが、収納物なし時を基準とした「相対照度」または「照度減衰率」など相対値とすれば、LEDが初期特性として持つ光度バラツキなどに対応しやすい。また、収納物なし時を基準とした「照度減衰量」としてもよい。以下、「照度」に関する考え方は同様である。
次に、冷蔵庫の下区画である側面下方の壁面に配置された側面下方LED20gの光源を点灯する(ステップ233)。例えば図11のように庫内収納棚18上に収納物23cである食品が収納されたとき、LED20gから出力された光24f(以下、光の成分を図11に矢印で示す。点線は光が減衰していることを示す。)は、収納物23cである食品に反射して減衰し、光24gのように別方向へ拡散する。光24gはさらに冷蔵室12の壁面や他の食品(図示せず)での反射を繰り返す。また、収納物23dで反射した光24hも減衰し、光24i、24jのように別方向に拡散し、さらに冷蔵室12の壁面や他の食品(図示せず)での反射を繰り返す。このように反射を繰り返した後に、冷蔵室12内の明るさの分布は飽和・安定する。
側面下方LED20gを点灯するときはメイン光センサ21aで検知し、それぞれが対向しない組合せで検知するので、ほとんどの光の成分はセンサに直接入射せず、壁面や収納物での反射を介するように構成されている。すなわち、収納室内における収納物での反射光を含めた間接的な照射光を検知するものである。
このときのメイン光センサ21aによる収納状態検知特性の一例が図12であり、収納量の増加とともに照度が低下していくことが分かる。ただし、側面下方LED20gだけの点灯では、最大値と最小値の間に誤差があり、この誤差の補正方法は後述する。測定した照度情報はメモリ2に記録する(ステップ234)。
以上より、図6に従い、基本データ取得(ステップ211)、障害物補正(ステップ212)、反射物補正(ステップ213)を演算制御部1で行った後の収納量検知特性(補正後)を図13に示す。補正後の最大値(a)と補正後の最小値(b)との誤差は極めて小さくなり、収納状態を精度良くアナログ的に推定できることが分かる(ステップ214
)。
収納状態の推定においては、図13のように閾値P、Q、R、Sを設け、収納量レベルを1〜5の5段階で判別する仕様とした。具体的には、閾値P以上のときはレベル1、閾値P〜Qのときはレベル2、閾値Q〜Rのときはレベル3、閾値R〜Sのときはレベル4、閾値S以下のときはレベル5と判別する。
また、例えば、収納量が増加を判定するときについて、変化前の収納量がレベル3であるとすると、照度変化が「閾値Q−閾値R」の差分以上であったときのみレベル4に移行するように判別し、これ以外の場合はレベル3で保留する。これにより、外部ノイズなどにより数パーセントの検知誤差が発生しても、収納状態の変化の誤検知を防止することができる。収納量の減少を判定するときについても同様の考え方で行う。
また、図13の閾値P〜Tの間隔は、収納量が少ないときは広く、また多いときは狭くしている。これは、収納量検知特性(補正後)が、収納量が少ないときほど傾きが大きく、収納量が多いときほど傾きが小さくなることに配慮したもので、収納レベル1〜5の間隔が均等になるようにしている。
当然ながら、上述のような段階分けをせず、完全にアナログ的な判別をしてもよい。
収納状態を推定した後は、収納量または収納量の変化または収納位置などに応じて、圧縮機30、冷却ファン31、風量調節ダンパ32、ヒータ33などの冷却システムを制御し、最適な冷却運転に変更する。
なお、上述したLEDと光センサとの配置関係を逆にしても、この収納状態検知方式は成立する。
また、LEDを順次点灯し、収納状態を検知している間に、表示部17のランプを明滅させるなど、検知状況を使用者に報知する。さらに、収納状態を検知した後は、検知結果を表示部17に表示し、使用者に報知する。
以上のように、本実施の形態1においては、冷蔵室12を照明するため設置された天面LED20a、20bと、天面LED20a、20b近傍の温度を検知するための温度サーミスタを有し、これらは構成部品については、冷蔵庫の内箱に設置されているとともに同一基板上で構成されていることにより、天面から下方向に光を照射することにより下部に構成されている収納棚の食品が見やすくなり、また、特定低温室を引き出した場合、上方から確実に収納部が照射されるので食品が非常に見やすくなり、また、部品点数が削減できるとともに、ユニット化しやすく、また、LED近傍や基板雰囲気の温度を精度よく検出し、これにより印加電圧を調整することで照度変化を抑制し、また、製品を安価に提供できるとともに作業負荷を軽減し、基板回りの安全性を向上できる。
なお、本実施の形態において、冷蔵室12を照明するための照明装置を天面LED20a、20bとしたが側面に設置されている側面LED20c〜20fおよび側面下方LE20g、20hでも構わない。この場合、側面LED20eと側面下方LED20gの間に側面LED用温度サーミスタ60bおしくは60Cを構成しても側面から収納棚のある食品の視認性を向上させる効果が得られる。
また、冷蔵室12の内部に設置された天面LED20a、20bおよび側面下方LED20g、20hと照射光を検知する光センサであるメイン光センサ21a、21cを有し、メイン光センサ21a、21cでの照度減衰量に基づいて収納物の収納状態を推定する
ことにより、光源であるLEDの初期特性等のバラツキに対応でき、冷蔵室12内の全体の収納状態を、精度を高めて推定することが可能となる。また、光源の照射光は収納室内で反射を繰り返して庫内全体に行渡り、光センサに入光するので、部品数が少なく簡易な構成で収納状態を検知することができる。なお、メイン光センサ21a、21cは一方のみの配置としてもよい。これにより、さらに低コスト化を図ることができる。
また、メイン光センサでの照度減衰量は、収納室内に収納物がない状態での照度に対する収納状態での照度に基づいて収納物の収納状態を推定するものであり、光源であるLEDのバラツキだけでなく冷蔵庫の収納室内の個体バラツキにも対応でき、収納物の収納状態の推定精度をさらに高めることができる。
また、メイン光センサでの照度減衰量は、収納室内における収納物での反射光を含めた間接的な照射光を検知するものであり、収納物の収納状態を照度減衰量として容易に精度よく推定することができる。
また、メイン光センサは光源の光軸からずらして配置したことにより、光センサは光源からの直接光を受光しないので、収納物の収納状態を照度減衰量として容易に精度よく推定することができる。
また、照明用LED20に温度センサ61を設置したことによって、LED近傍部の温度を適宜測定することにより、温度による光源のばらつきを抑制できるので収納物の収納状態を照度減衰量として容易に精度よく推定することができる。
また、メイン光センサと光源とは収納室内において、対向しない面、あるいは対向しない配置構成とすることで、光センサは光源からの直接光の受光を確実に防止でき、収納物の収納状態を照度減衰量として容易に精度よく推定することができる。
また、メイン光センサでの照度減衰量を収納状態により補正する補正手段を備えたことにより、収納室内における収納物の偏りによるバラツキ要因を吸収することができ、収納物の収納状態に起因する収納量の推定精度を高めることができる。
また、光センサは光源より下方に配置したことにより、光センサは扉開閉での外気の流入による結露の影響を低減でき、光センサでの照度減衰量に基づいて収納物の収納状態を精度よく推定することができる。
また、照明用LED20および光センサ21は冷蔵室12の奥行き方向における中心より冷蔵室扉12a側に設けたので、扉開閉による外気流入の影響を受け易い入り口付近の食品の収納状態を確実に検知することができる。
また、照明用LED20および光センサ21は、冷蔵室12に備えられた庫内収納棚18の前端部と冷蔵室扉12aとの間に設けたので、冷蔵室扉12aと庫内収納棚18の前端との上下の空間は、収納物によって遮られる可能性が低く、光源からの安定した光路を確保しつつ、断熱扉や庫内収納棚での収納物の存在による光センサでの照度減衰量に基づいて収納物の収納状態を精度よく推定することができる。
また、冷蔵室12を複数の区画に区分したので、収納物の偏りに関わらず精度良く収納状態の検知を行うことができる。
また、収納状態検知に使用する光源の一部を照明用LED20と兼用したので、新たな光源を設けることなく、簡易な構成で収納状態を検知することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2を図14から図18に基づいて説明する。なお実施の形態1と同構成の場合は、同一記号を用いて説明を省略する。
図14は本発明の実施の形態2における冷蔵庫の側面断面図、図15は同実施の形態における冷蔵室の奥に収納した場合の説明図、図16は同実施の形態における冷蔵庫のセンサ配置例を示す上面断面図、図17は同実施の形態における冷蔵庫のセンサ配置例を示す側面断面図、図18は同実施の形態における風路内へのセンサ配置例を示す上面断面図である。
本実施の形態では、主に側面の照明用LED20を用いた検知における様々な光センサの配置方法について説明する。
LED及び光センサの位置関係について、庫内扉側から奥方向に照射したLED20c、20d、20e、20f、20gの光は、庫内内壁や食品で反射し、庫内全体に行渡ってから天面光センサ21d、21eに入射させるため、LED20c、20d、20e、20f、20gの光が直接光センサに入射しないように、天面光センサ21dはLED20c、20d、20e、20f、20gの発光光度が50%以上となる照射角βの外側に配置した。
また、温度センサ61は、側面LED20c〜20gが構成させている同一基板上に構成されており、温度変化による照度変化を防止している。
また、光を庫内全体に行渡らせるためには、光が庫内奥で反射して庫内扉側に戻ってきたところを検知することが望ましいので、天面光センサ21dは庫内奥行の1/2より扉側の位置に設けた。但し、天面光センサ21eは、庫内奥側の収納状態の検知をより正確にするために天面光センサ21dを補完する役割で設置しているため、庫内奥側、且つLED20cの入射角内に配置した。
更に、冷蔵室扉12aが開閉されたときは、外気が庫内に流入し庫内温度がやや上昇するが、扉付近の食品の方がこの影響を受けやすい。よって、扉側の食品の収納状態をより正確に検知する必要があるため、扉側に光センサを設ける効果は高い。
尚、構造設計の都合上、冷蔵室扉12a側に光センサを設けることができない場合や、LED光源の照射角内に光センサが入るなど、これらの条件を満たせない場合は、LEDの照射光が直接光センサに入射しないように、できるだけLED光源と対向して光センサを設置しないよう配慮すべきである。
また、図15に示したように、天面光センサ21d、21eのうち片方のセンサが収納物23hである食品で塞がれることがあっても、もう一方のセンサによって収納状態を検知することができる。
以上は、天面光センサ21dを収納室の奥行き方向の1/2より扉側の天面に、また天面光センサ21eを奥側の天面に設けた構成を説明したが、例えば図16(A)に示すように、光センサ21fを収納室の横幅方向の1/2よりも左の扉側に、また光センサ21gを庫内横幅の1/2よりも右の扉側に設置してもよい。
また図16(B)に示すように、光センサ21hを扉に、また光センサ21iを庫内横幅の1/2よりも右の奥側に設置してもよい。これにより、左右の食品収納状態だけでな
く、奥・手前の食品収納状態も詳細に検知することができる。更に光センサ21hを扉に設けることで、奥方向に向けて庫内全体を見渡すような配置となる。同様の効果を得るために、奥方向に向けて光センサを設置すれば、庫内壁面にも光センサを設けることができる。
また図17(A)に示すように、光センサ21jを収納室内の上部でかつ扉側に、また光センサ21kを収納室内の下部でかつ扉側に設置してもよい。これにより、光センサ21jによって庫内高さの1/2よりも上の収納空間の光量を検知し、光センサ21kによって庫内高さの1/2よりも下の収納空間の光量を検知することが可能である。
一般に、他の収納室と比較して高さ寸法が最も長い冷蔵室の上下に光センサがあるので、食品収納状態を詳細に検知することができる。
また図17(B)に示すように、収納室内の上部でかつ扉側に、また光センサ21nを収納室内の下部でかつ奥側に設置してもよい。これにより、収納空間の前方かつ上側の収納空間を光センサ21mで検知し、収納空間の後方かつ下側の収納空間を光センサ21nで検知することで、上下の食品収納状態だけでなく、奥・手前の食品収納状態も詳細に検知することができる。
また図18に示すように、庫内の扉側に備えた光センサに加え、光センサ21p、21qを、冷蔵室12内に冷気を送風するための冷却風路25内に設けてもよい。このとき、光は吐出口26を通ってサブ光センサ21bに入射するが、冷却風路25の収納室への吐出口26は確実に開口されているので、光センサが食品に塞がれることなく、入光経路を確保することができる。万一、食品によって吐出口26が塞がれたときは光の光度が低下するため、冷蔵室12内への冷気送風効率が落ちることを検知することができる。
また、図示をしないが光センサ21p、21qの近傍に温度センサを併設してもよい。これにより温度変化によっても収納変化を予測することができ、精度が向上する。
なお、風路の吐出口26だけでなく、吸い込み口付近に光センサを設けても吐出口と同様に基本は障害物がなく光を検知でき、また、仮に食品により塞がれた場合、その光度は低下し、冷気送風効率が落ちることを検知することができる。これらの場合、特に極端に塞がれた場合には、表示部17にある報知手段により使用者に伝えてもよい。
尚、ここまで光センサを2個使用する形態を記載したが、光センサの使用数はこれに限らず、材料の使用量を抑制するために1箇所としても良いし、検知を容易にするために多数設けても良い。これは、温度サーミスタ61aも同様であり、1箇所の設置でも、複数の箇所でもよい。これによりきめ細かく検知できるので収納変化、負荷変化の検知精度が向上する。また、複数のセンサの配置も上述したパターンに限らず、冷蔵庫を2区画に区分したとき必ず両区画に光源または光センサが配置されていれば良い。
また、更に検知を詳細に行うために、モータアクチュエータなどで光センサまたはLEDを駆動し、角度を自由に変更できるようにしても良い。
また、上述したLEDと光センサとの配置関係を逆にしても、この収納状態検知方式は成立する。
以上のように、本実施の形態においては、断熱壁と断熱扉によって区画された冷蔵室12に、収納状態を判別する収納状態検知手段としてLED20c〜20gと光センサ21a〜21qを設け、特に光センサを冷蔵室12の奥行きの中心より扉側に設けることで、
これによって、収納状態の影響を受ける食品温度を、適温となるように冷却制御できるので、保鮮性の向上と共に、「冷えすぎ」防止により消費電力を抑制することができる。また、収納状態検知手段を収納室の奥行きの中心より扉側に設けたことで、扉開閉による外気流入の影響を受け易い入り口付近の食品の収納状態を正確に検知し、適温に保つことができる。更に、例えば冷蔵室の場合、庫内側収納棚と扉側収納棚の間にスペースがあるため、収納状態検知手段が収納食品で塞がることを防止できる。
また、光センサを冷蔵室12の扉に設けると、扉側から庫内奥方向に向けて、庫内全体を見渡すように光センサを設けることができる。
また、冷蔵室12を奥行きの中心で前後2区画に区分したとき、それぞれの区画に光センサを設けると、庫内奥側の食品の収納状態も正確に検知することができる。
また、冷蔵室12を横幅の中心で左右2区画に区分したとき、それぞれの区画に光センサを設けると、収納食品の左右の偏りなどの判別に強くなる。
また、冷蔵室12を高さの中心で上下2区画に区分したとき、それぞれの区画に光センサを設けると、一般的に高さ寸法が最も長い冷蔵室において、上側と下側に光センサを配置することで、庫内全体の収納状態を正確に検知することができる。
また、LEDの発光光度が50%以上となる照射範囲の外側に、光センサを設けると、LED光源の照射光が直ぐに光センサに入射せず、収納食品で反射または遮蔽された後に光センサに入光するので、収納状態の検知が容易になる。
また、前記光センサを、収納室に冷気を送り込むための冷却風路25内に設けると、冷却風路25の収納室への吐出口26は確実に開口されているので、光センサが食品に塞がれることなく、入光経路を確保することができる。万一、食品によって吐出口が塞がれたときは光の光度が低下するため、冷蔵室12内への冷気送風効率が落ちることを検知することができる。
なお、温度サーミスタを収納室に冷気を送り込むための冷却風路25内に設ける光センサと同一基板に構成することによりさらに収納変化の精度が向上する。
また、LEDや光センサの向きを可変できる角度変更手段を設けると、広い収納室においても、庫内の隅々まで収納状態を確認することができる。
(実施の形態3)
図19は、本発明の実施の形態3における冷蔵庫の収納状態検知手段の照度と出力電流の特性図、図20は、本発明の実施の形態3における冷蔵庫の収納率と収納状態検知手段での照度の関係を庫内壁面の反射率ごとに示した特性図である。なお実施の形態1、2と同一構成部分は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施の形態における冷蔵庫の冷蔵室12の内壁を構成する内箱は、白色のABS樹脂を真空成形して形成され、庫内壁面の反射率Rは、0.5以上を確保している。なお、反射率Rは、ある面に入射する光束に対して、この面で反射する光束の比率で定義され、数値が大きいほど反射しやすい。測定は市販の分光光度計で可能であり、同時に透過率Tの測定も可能な機器もある。また、日本工業規格では、JIS−K3106等で反射率Rの測定、試験方法が規定されている。また、反射率Rの測定に関しては、輝度計を用いて反射率が既知のサンプル(グレースケール)の輝度から推定することも可能である。
なお、透過率Tは、特定の波長の入射光が試料を通過する割合であり、数値が大きいほど光が透過しやすい。透過率Tに関してはJIS−K7361−1等で測定、試験方法が規定されている。本実施の形態における冷蔵庫の冷蔵室12の内部に配置される庫内収納棚18は、ポリスチレンあるいはガラスで形成し、扉収納棚19はポリスチレンで形成している。そして、庫内収納棚18および扉収納棚19の透過率Tは、それぞれ70%以上を確保している。
また、冷蔵室12の最下面には引き出し可能な収納ケースを備えており、メイン光センサ21a、21c、およびサブ光センサ21bは、収納ケースの上面より上方に配置している。
上記構成において、収納状態検知手段の動作、制御は実施の形態1あるいは2で説明した通りであるが、冷蔵室12の内壁を構成する内箱は、白色のABS樹脂を真空成形して形成され、庫内壁面の反射率Rは0.5以上を確保している点を技術的特徴としている。
図19は、本発明の実施の形態3における冷蔵庫の収納状態検知手段の照度と出力電流の特性図を示したものであるが、メイン光センサ21a、あるいはメイン光センサ21cの照度とその時の出力電流値は直線的な関係を有し、照度が高いほど出力電流値も大きくなる。一方、照度が低くなると出力電流値も小さくなるが、所定の照度以下、本実施の形態の収納状態検知手段では0.5ルクス以下になると出力電流との直線的な関係が失われる。その時の出力電流値は、本実施の形態の収納状態検知手段では0.1μAであるが、収納状態検知手段の仕様により出力電流値との関係は異なる。一般的に、照度を検知するセンサは1ルクス近辺以下で精度が低下するが、本実施の形態では比較的性能の良いものを想定し0.5ルクス以上を最低限必要な照度としている。
すなわち、庫内の収納率が高い状態での光センサの照度が0.5ルクス以下になるような収納状態検知手段は、検知精度が低くなってしまうという課題を有しているため、本実施の形態では、メイン光センサ21a、あるいはメイン光センサ21cでの照度減衰量に基づいて収納物の収納状態を推定する光センサの最低照度を0.5ルクス以上としたものである。これによって、最低照度という観点から光センサでの照度減衰量に基づく収納物の収納状態の推定精度を高めることができる。
上記の最低照度を出力電流値に換算すれば0.1μAとなり、本実施の形態での照度減衰量に基づいて収納物の収納状態を推定する光センサの最低出力電流は0.1μA以上としたものである。これによって、最低出力電流という観点から光センサでの照度減衰量に基づく収納物の収納状態の推定精度を高めることができる。
なお、温度変化により光源であるLEDの光度を変化することに対し、近傍の温度センサによりその出力値を補正し、安定したLEDの光度で照射することによりセンサでの照度減衰量に基づく収納物の収納状態の推定精度を高めることができる。
また、図20は本発明の実施の形態3における冷蔵庫の収納率と収納状態検知手段での照度の関係を庫内壁面の反射率ごとに示した特性図である。光源の光量を一定として庫内の収納率を高めていくと光センサでの照度は下がる。そして、庫内壁面の反射率Rが低いほど同一収納率での光センサの照度は下がる傾向となる。これは、光源からの光の一部が庫内壁面を反射して光センサに到達するためであり、庫内壁面の反射率Rが低いほど光センサに到達する光量が下がるためである。
なお、庫内壁面に反射率の低いデザイン部材などを部分的に設置することがあるが、光センサに到達する光量は、面積の広い庫内壁面の反射率Rに依存する。
そして、上述したように、メイン光センサ21a、あるいはメイン光センサ21cでの照度減衰量に基づいて収納物の収納状態を推定する光センサの最低照度は0.5ルクス以上必要という点から、庫内壁面の反射率Rは0.5以上必要ということがわかる。
確かに、光センサでの受光量を増やそうとすれば、光源の光量を高めれば可能となるが、消費電力の上昇や光源の発熱による庫内温度の上昇があるため、或いは照明機能と併用時に使用者が眩しく感じ、食品の視認性が劣化するため、闇雲に高めることは得策ではない。このため、本実施の形態の光源は、庫内が空の状態、かつ冷蔵室扉12aを開いた状態で、暗室で照度を測定したとき、庫内収納棚18上で最も低照度となる場所において100ルクス以下となるようにLEDを用いている。このときの照度100ルクス以下とは使用者側から見た明るさで、具体的には一般的な照度計の感知部で最も感度の高い軸を、庫内収納棚18と水平に、かつ冷蔵室扉12a側に向けて設置して測定したものである。
また、本実施の形態の光源は、庫内への熱影響を考慮してLED1個あたりの光度を20カンデラ以下のものを用いている。
なお、照明用LED20の収納状態検知手段としてのLEDを照明機能と併用しない専用の光源とした場合など、収納状態検知手段の光源の光度が比較的低い場合は、庫内の反射率Rを0.5よりもさらに高める必要がある。
また、冷蔵室12の最下面には引き出し可能な収納ケースを備えており、メイン光センサ21a、21c、およびサブ光センサ21bは、収納ケースの上面より上方に配置しているので、収納ケース開閉時のメイン光センサ21a、21c、およびサブ光センサ21bとの干渉を避けることができ、収納室内の使い勝手を確保しながら光センサの信頼性を高めることができる。
なお、天面LED20a、20bを一体化して庫内照明用と収納状態検知手段用の光源として兼用してもよい。
また、実施の形態1ではメイン光センサ21a、21cは庫内左右両側面に配置したもので説明したが、本実施の形態では庫内側面のいずれか一方に配置し、同一側面にサブ光センサ21bを配置する構成としてもよい。これにより光センサの数を減らすことができ、低コスト化を図ることができる。
また、実施の形態1において、天面LED20a、20b、照明用LED20c〜20f、側面下方LED20g、20h、およびメイン光センサ21a、21cの取り付け位置は、庫内収納棚18と扉収納棚19の間の空間αに配置するもので説明したが、本実施の形態では、複数の庫内収納棚18が上下方向に配置され、各庫内収納棚18の前端が鉛直方向で同一位置になく、具体的には、最上段の庫内収納棚18の前端が最も前に位置し、最下段の庫内収納棚18の前端よりも前方に位置している。
そして、天面LED20a、20bの前後方向の中心を通る鉛直線が各庫内収納棚18の最前端(最上段の庫内収納棚18の前端)より前方に位置する構成としている。
また、メイン光センサ21a、21cは、冷蔵室12の最下面に位置する収納ケースの上面より上方で、最下段の庫内収納棚18と下から2段目の庫内収納棚18との間に位置している。そしてメイン光センサ21a、21cの前後位置は、最下段の庫内収納棚18および下から2段目の庫内収納棚18の前端より前方の空間αに配置している。
また、メイン光センサ21aの近傍に配置する収納状態検知補正用の青色LED22aもメイン光センサ21aの配置と同様に最下段の庫内収納棚18および下から2段目の庫内収納棚18の前端より前方の空間αに配置している。
したがって、各庫内収納棚18の前端が鉛直方向で同一位置にない場合においても、天面LED20a、20b、照明用LED20c〜20f、側面下方LED20g、20h、およびメイン光センサ21a、21cの取り付け位置を上記のように特定することで、確実に空間αを確保することができ、光源からの照射光の照度減衰量を光センサで検知する本実施の形態の収納状態検知手段の検知精度を高めることができる。