JP5345266B2 - カルボン酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特定のイミド化合物の存在下、シクロアルカン類(特にシクロヘキサン)又はメチル基含有芳香族炭化水素類(特にキシレン)と酸素とを反応させ、一連のプロセスを経て効率よく脂肪族ジカルボン酸(特にアジピン酸)又は芳香族カルボン酸(特にテレフタル酸)を製造する方法に関する。
脂肪族ジカルボン酸のうち、アジピン酸はナイロン66の原料として特に有用である。このようなアジピン酸を得る方法として、例えば、(1)シクロヘキサンを酸化して得られる、シクロヘキサノール単独又はシクロヘキサノール及びシクロヘキサノンの混合物(KAオイル)を硝酸で酸化する方法、(2)フェノールの触媒的水素添加方法によりシクロヘキサノールを生成させ、得られたシクロヘキサノールを硝酸で酸化する方法、(3)シクロヘキセンを加水分解し、シクロヘキサノールを生成させ、硝酸で酸化する方法などが挙げられる。しかし、前記方法はいずれも硝酸酸化により生成するN2O及びNOxを処理するために、高価な排ガス処理施設が必要となる。また、製造工程が煩雑であるとともに、コスト的にも不利である。
また、芳香族カルボン酸の中でも、テレフタル酸はポリエステル原料として有用である。テレフタル酸を製造する方法として、例えば、p−キシレンを、コバルト−マンガン−臭素系触媒の存在下で空気酸化する方法などが知られている。しかし、臭素を使用するため、耐腐食性の高級材質を用いた設備が必要である。
特開平8−38909号公報及び特開平9−327626号公報には、酸化触媒として、N−ヒドロキシフタルイミドなどのイミド化合物を用いて、炭化水素(シクロヘキサンなどのシクロアルカン、キシレンなどのメチル基含有芳香族炭化水素を含む)、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミン又は複素環化合物などの基質を、分子状酸素と接触させて酸化する方法が開示されている。この触媒を用いる酸化方法では、排ガス処理を特に必要とせず、高い転化率及び選択率で有効にアルコール類、アルデヒド類、ケトン類、有機酸類などを生成可能である。また、特開平10−114702号公報には、前記酸化触媒(イミド化合物)の存在下で基質(シクロヘキサンなど)を酸化させて、反応混合物から、水性溶媒及び非水溶性溶媒を用いて、目的生成物(アジピン酸など)と前記酸化触媒とを分離する方法が開示されている。
しかし、前記文献の方法では、アジピン酸の分離に多量の溶媒を必要とする。また、シクロヘキサンを基質として使用した場合、目的生成物のアジピン酸以外に、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、又はアジピン酸よりも低級の有機カルボン酸(グルタル酸、コハク酸など)などを生じる場合があるが、前記文献には、このような副生物を含む反応混合物からアジピン酸を高純度で得る方法は記載されていない。また、キシレンなどから芳香族カルボン酸を分離する具体的な例は記載されていない。
発明が解決しようとする課題
従って、本発明の目的は、高純度のカルボン酸(特に、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸などの芳香族カルボン酸)を効率よく製造できる方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、一連のプロセスにより、高純度のカルボン酸を、簡単な操作で、工業的に有利に製造できる方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討の結果、特定の触媒の存在下、シクロアルカン類又はメチル基含有芳香族化合物と酸素とを反応させ、一連のプロセスにより、高純度のカルボン酸を効率よく生成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の製造方法は、下記式(I)で表されるイミド単位を有する酸化触媒を用いて、シクロアルカン類又はメチル基含有芳香族炭化水素類から脂肪族ジカルボン酸又は芳香族カルボン酸を製造する方法であり、
Figure 0005345266
(式中、Xは酸素原子、ヒドロキシル基又はアシルオキシ基を示す。)
(A)前記酸化触媒の存在下、前記基質と酸素とを接触させる反応工程と、
(B)反応混合物から、前記反応工程で生成したカルボン酸と前記酸化触媒と副生物とを分離する分離工程とを含んでいる。(B)分離工程において、晶析により、反応混合物から、少なくともカルボン酸を含む成分と、酸化触媒及び副生物から選択された少なくとも1種を含む成分とを分離してもよい。反応混合物を第1の晶析工程に供し、少なくともカルボン酸を含む成分を晶析成分として分離し、この晶析成分を第2の晶析工程に供し、カルボン酸を含む晶析成分と、残存する副生物を含む非晶析成分とを分離してもよい。第2の晶析工程に先立って、第1の晶析工程で得られた晶析成分を、カルボン酸及び酸化触媒に対する溶解度が異なる溶媒に溶解させ、カルボン酸を含む成分と酸化触媒を含む成分とを分離してもよい。第1の晶析工程で分離された晶析成分又は非晶析成分から、分配、晶析、吸着、ろ過、乾燥又はこれらを組合せた操作により、酸化触媒を分離して、反応系にリサイクルしてもよい。反応混合物を第1の晶析工程に供し、副生物を含む成分を非晶析成分として分離し、この非晶析成分から、分配、晶析、吸着、加水分解、ケン化、中和、ろ過、蒸留、乾燥又はこれらを組合せた操作により、カルボン酸前駆体を分離して、反応系にリサイクルしてもよい。溶媒の存在下で反応させ、分離工程(B)に先だって反応混合物を濃縮工程に供し、溶媒を分離してもよい。分離した溶媒を反応系にリサイクルしてもよい。シクロアルカン類は、シクロヘキサンであってもよく、メチル基含有芳香族炭化水素類は、キシレンであってもよい。さらに助触媒を用いてもよい。また、反応系の水分量は、反応系全体に対して、30重量%以下であるのが好ましい。
以下に、必要に応じて添付図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
本発明の方法は、(A)反応工程と、(B)反応混合物から、カルボン酸と酸化触媒と副生物とを分離する分離工程とを備えている。
[(A)反応工程]
反応工程において、前記式(I)で表される酸化触媒(必要により助触媒を含む触媒系)の存在下、基質(シクロアルカン類又はメチル基含有芳香族炭化水素類)を酸素と接触させることにより、カルボン酸(脂肪族ジカルボン酸又は芳香族カルボン酸)を生成させる。
(酸化触媒)
酸化触媒としては、式(I)で表されるイミド単位を有する化合物(以下、単にイミド化合物という場合がある)が使用できる。
Figure 0005345266
(式中、Xは酸素原子、ヒドロキシル基又はアシルオキシ基を示す)
アシルオキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ(アセトキシ)、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシなどの炭素数1〜6程度のアシルオキシ基(好ましくはC1-4アシルオキシ基、特にアセチルオキシ基)が含まれる。
好ましい酸化触媒は、下記式(II)で表される。
Figure 0005345266
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1及びR2は、互いに結合して二重結合、あるいは芳香族性又は非芳香族性環を形成してもよく、R1及びR2により形成される芳香族性又は非芳香族性環は、前記式(I)で示されるイミド単位を少なくとも1つ有していてもよい。Xは前記に同じ)
前記式(II)の化合物において、置換基R1及びR2のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素及びフッ素が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基、特にC1-4アルキル基)が含まれる。
アリール基には、フェニル基、ナフチル基などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などのC3-10のシクロアルキル基が含まれる。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程度のアルコキシ基、好ましくはC1-6アルコキシ基、特にC1-4アルコキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度のアルコキシカルボニル基(好ましくはC1-6アルコキシ−カルボニル基、さらに好ましくはC1-4アルコキシ−カルボニル基)が含まれる。
アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6程度のアシル基が例示できる。
前記置換基R1及びR2は、同一又は異なっていてもよい。また、前記式(II)において、R1及びR2は互いに結合して、二重結合、あるいは芳香族性又は非芳香族性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水素環である場合が多い。芳香族性又は非芳香族性環は、前記式(I)で表されるイミド単位を少なくとも1つ(通常、1又は2)有していてもよい。このような環には、例えば、非芳香族性脂環族環(シクロヘキサン環などの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していてもよい芳香族環が含まれる。前記環は、芳香族環で構成される場合が多い。
好ましいイミド化合物には、下記式で表される化合物が含まれる。
Figure 0005345266
(式中、R3〜R6は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。R1、R2及びXは前記に同じ)
置換基R3〜R6において、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ハロゲン原子としては、前記と同様の基又は原子が例示できる。置換基R3〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。
式(I)で表されるイミド化合物は、一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記式(I)で表されるイミド化合物に対応する酸無水物には、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸などの飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物)、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸1,2−無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性環状多価カルボン酸無水物(脂環族多価カルボン酸無水物)、無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環式多価カルボン酸無水物(脂環族多価カルボン酸無水物)、無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水メリット酸、1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物が含まれる。
好ましいイミド化合物としては、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−アセトキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドなどが挙げられる。特に好ましい化合物には、環状イミド化合物[脂環族多価カルボン酸無水物、なかでも芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物、例えば、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−アセトキシフタル酸イミドなど]が含まれる。
前記イミド化合物は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンNH2OHとを反応させて酸無水物基を開環した後、閉環してイミド化することにより調製できる。
なお、このような酸化触媒を使用すると、基質と酸素を接触させるだけで、脂肪族ジカルボン酸又は芳香族カルボン酸を高い選択率及び収率で得ることができる。
前記式(I)のイミド化合物の使用量は、広い範囲で選択でき、例えば、基質1モルに対して0.000001モル(0.0001モル%)〜1モル(100モル%)、好ましくは0.00001モル(0.001モル%)〜0.5モル(50モル%)、さらに好ましくは0.0001モル(0.01モル%)〜0.4モル(40モル%)程度であり、0.0001モル(0.01モル%)〜0.35モル(35モル%)程度である場合が多い。
このようなイミド化合物は、例えば、以下に示す酸化触媒製造工程、必要によりヒドロキシルアミン製造工程を経て調製される。
(酸化触媒の製造工程)
前記イミド化合物は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンNH2OHとを反応させて酸無水物基を開環した後、閉環してイミド化することにより調製できる。より具体的には、酸化触媒がN−ヒドロキシフタルイミドの場合、触媒原料として無水フタル酸とヒドロキシルアミンを使用し、反応で生成する水を除去しながら、反応蒸留により酸化触媒を製造してもよい。酸化触媒の製造は、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。
得られた酸化触媒は、そのまま触媒として後述の触媒溶液調製工程に供してもよい。なお、酸化触媒は、反応混合物から分離し、必要に応じて、後述する再生工程を経て、反応系へリサイクルしてもよい。
(ヒドロキシルアミンの製造工程)
なお、酸化触媒原料のヒドロキシルアミンは、例えば、次のようにして製造できる。
アンモニア(後述の触媒再生工程で副生されるアンモニアであってもよい)を分子状酸素により酸化し、窒素酸化物を生成させる。この酸化反応での触媒としては、白金系触媒が一般に使用される。この窒素酸化物を抽出溶媒(例えば、水など)により抽出してもよい。抽出された窒素酸化物を、水素による水素添加反応に供し、ヒドロキシルアミンを製造できる。アンモニアを酸化する反応装置としては、特に制限されないが、チューブ反応器を使用する場合が多い。窒素酸化物の抽出装置としては、慣用の装置が使用できる。水素添加反応装置は、慣用の装置、例えば、攪拌槽型装置などが使用できる。前記反応は、連続式、回分式または半回分式などの慣用の方法により行うことができる。得られたヒドロキシルアミンは、そのまま酸化触媒製造工程、触媒再生工程に使用してもよい。
(助触媒)
前記式(I)のイミド化合物と助触媒とを併用してもよい。
助触媒としては、金属化合物、例えば、遷移金属化合物や、ホウ素化合物などのように周期表13族元素(ホウ素B、アルミニウムAlなど)を含む化合物が含まれる。助触媒は、一種で又は二種以上組合わせて使用できる。
前記遷移金属の元素としては、例えば、周期表3族元素(例えば、スカンジウムSc、イットリウムYの他、ランタンLa、セリウムCe、サマリウムSmなどのランタノイド元素、アクチニウムAcなどのアクチノイド元素)、周期表4族元素(チタンTi、ジルコニウムZr、ハフニウムHfなど)、5族元素(バナジウムV、ニオブNb、タンタルTaなど)、6族元素(クロムCr、モリブデンMo、タングステンWなど)、7族元素(マンガンMnなど)、8族元素(鉄Fe、ルテニウムRu、オスミウムOsなど)、9族元素(コバルトCo、ロジウムRh、イリジウムIrなど)、10族元素(ニッケルNi、パラジウムPd、白金Ptなど)、11族元素(銅Cu、銀Ag、金Auなど)などが挙げられる。
特に、前記式(I)で表されるイミド化合物と組合せたとき、Ceなどのランタノイド元素、Tiなどの4族元素、Vなどの5族元素、Mo、Wなどの6族元素、Mnなどの7族元素、Fe、Ruなどの8族元素、Co、Rhなどの9族元素、Niなどの10族元素、Cuなどの11族元素を含む化合物は、高い酸化活性を示す。
助触媒は、前記元素を含み、かつ触媒能を有する限り特に制限されず、水酸化物などであってもよいが、通常、前記元素を含む金属酸化物、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、前記金属元素を含む配位化合物(錯体)やヘテロポリ酸又はその塩などである場合が多い。また、ホウ素化合物としては、例えば、水素化ホウ素(例えば、ボラン、ジボラン、テトラボラン、ペンタボラン、デカボランなど)、ホウ酸(オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸など)、ホウ酸塩(例えば、ホウ酸ニッケル、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガンなど)、B23などのホウ素酸化物、ボラザン、ボラゼン、ボラジン、ホウ素アミド、ホウ素イミドなどの窒素化合物、BF3、BCl3、テトラフルオロホウ酸塩などのハロゲン化物、ホウ酸エステル(例えば、ホウ酸メチル、ホウ酸フェニルなど)などが挙げられる。
有機酸塩としては、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、ナフテン酸塩、オクチル酸塩、ステアリン酸塩などのC1-30カルボン酸塩(C2-24カルボン酸塩など)が例示され、無機酸塩としては、例えば、硝酸塩、硫酸塩又はリン酸塩などが挙げられる。また、ハロゲン化物としては、例えば、塩化物や臭化物などが例示できる。
錯体を形成する配位子としては、OH(ヒドロキソ)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基などのアルコキシ基、アセチル、プロピオニルなどのアシル基、メトキシカルボニル(アセタト)、エトキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル基、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニル基、塩素、臭素などハロゲン原子、CO、CN、酸素原子、H2O(アコ)、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィン)などのリン化合物、NH3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO3(ニトラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合物などが挙げられる。錯体又は錯塩において、同種又は異種の配位子は一種又は二種以上配位していてもよい。
好ましい錯体には、前記遷移金属元素を含む錯体が含まれる。前記遷移金属元素と配位子とは適当に組合せて錯体を構成することができ、例えば、セリウムアセチルアセトナト、コバルトアセチルアセトナト、ルテニウムアセチルアセトナト、銅アセチルアセトナトなどであってもよい。
ヘテロポリ酸を形成するポリ酸は、例えば、周期表5族又は6族元素、例えば、V(バナジン酸),Mo(モリブデン酸)及びW(タングステン酸)の少なくとも一種である場合が多く、中心原子は特に制限されない。ヘテロポリ酸の具体例としては、例えば、コバルトモリブデン酸塩、コバルトタングステン酸塩、モリブデンタングステン酸塩、バナジウムモリブデン酸塩、バナドモリブドリン酸塩などが挙げられる。
なお、触媒系において、ヘテロポリ酸は水素引抜き反応に関与すると予測され、コバルト化合物やホウ素化合物などは過酸化物分解に関与すると予測される。
助触媒として、周期表7族元素及び/又は9族元素で構成された助触媒[例えば、7族元素を含む化合物と9族元素を含む化合物との組み合わせ(特に、マンガン化合物とコバルト化合物との組み合わせ)]を使用すれば、脂肪族ジカルボン酸(特にアジピン酸)又は芳香族カルボン酸(テレフタル酸など)を効率よく生成できる。
前記式(I)で表されるイミド化合物、又はこのイミド化合物(I)と前記助触媒とで構成される触媒系は、均一系であってもよく、不均一系であってもよい。また、触媒系は、担体に触媒成分が担持された固体触媒であってもよい。担体としては、活性炭、ゼオライト、シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイトなどの多孔質担体を用いる場合が多い。固体触媒における触媒成分の担持量は、担体100重量部に対して、前記式(I)のイミド化合物0.1〜50重量部程度である。また、助触媒の担持量は、担体100重量部に対して、0.1〜30重量部程度である。
助触媒の使用量は、例えば、基質1モルに対して1×10-6モル〜0.7モル、好ましくは1×10-5モル〜0.3モル、さらに好ましくは1×10-5モル〜0.1モル(10モル%)程度であり、1×10-6モル〜1×10-2モル、特に1×10-6モル〜1×10-3モル程度であってもよい。
助触媒は、液相反応系において、重量基準で、通常、1〜10000ppm、好ましくは5〜5000ppm、さらに好ましくは10〜3000ppm程度の濃度で使用できる。
ヘテロポリ酸又はその塩を助触媒として使用する場合、基質100重量部に対して0.1〜25重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部程度である。
前述のイミド化合物と、必要により助触媒を含む触媒系(触媒溶液)は、例えば、以下に示す触媒溶液調製工程を経て調製してもよい。
[触媒溶液調製工程]
触媒溶液調製工程では、所定の触媒濃度に調整するため、前記酸化触媒を、他の成分(例えば、シクロアルカンなどの基質、助触媒、溶媒など)と混合することにより、触媒溶液を調製できる。なお、触媒溶液は、各成分が完全に溶解していてもよく、分散系であってもよい。
なお、式(I)のイミド化合物と助触媒との割合は、例えば、イミド化合物/助触媒=95/5〜5/95(モル比)、好ましくは90/10〜20/80(モル比)、さらに好ましくは85/15〜50/50(モル比)程度である。また、触媒濃度は、触媒溶液の供給量に応じて、前述の触媒濃度となるように調整される。
このように調製された触媒溶液は、酸化反応工程へ供される。
(シクロアルカン類)
シクロアルカン類としては、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、クロロシクロヘキサン、メトキシシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロドデカン、シクロペンタデカン、シクロオクタデカンなどのC4-20シクロアルカン(好ましくはC4-16シクロアルカン、さらに好ましくはC4-10シクロアルカン)などが挙げられる。これらのシクロアルカン類は、−種で又は二種以上組合わせて使用してもよい。
好ましいシクロアルカン類には、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタンなどのC4-10シクロアルカン(好ましくはC5-8シクロアルカン)が挙げられる。通常、シクロヘキサンが使用される。また、シクロヘキサンノンなどのケトン類、シクロヘキサノールなどのアルコール類、及びこれらの混合物(KAオイル)や、シクロヘキシルアセテートなどのエステル類も使用できる。
(メチル基含有芳香族炭化水素類)
メチル基含有芳香族炭化水素類は、少なくとも一つ(例えば、1〜10、好ましくは1〜8個程度)のメチル基が芳香族性環に置換した化合物であればよく、芳香族性環は、芳香族性炭化水素環、芳香族性複素環のいずれであってもよい。メチル基含有芳香族炭化水素類には、例えば、トルエン、(o−,m−,p−)キシレン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、4−t−ブチル−1−メチルベンゼン、2−メトキシ−1−メチルベンゼン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、1,5−ジメチルナフタレン、2,5−ジメチルナフタレンなどの1〜6個程度のメチル基が置換した芳香族炭化水素類又はジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジベンジル、スチルベンなどのジ又はトリアリール−C1-3アルカンなどが挙げられる。好ましいメチル基含有芳香族性炭化水素類には、メチル基の置換数が、分子中1〜4個(特に1〜2個)程度のC6-10芳香族炭化水素類(特に、キシレン)などが含まれる。特に好ましいメチル基含有芳香族炭化水素類は、パラキシレンである。
なお、前記酸化反応において、アルデヒド類(特に、アセトアルデヒドなどのC1-6アルデヒド類)、シクロヘキサノンなどのケトン類や、KAオイルなどの共存下で反応させると、前記酸化反応を促進し、高効率で脂肪族ジカルボン酸又は芳香族カルボン酸を製造できる。また、ラジカル発生剤やラジカル促進剤などを併用すれば、反応が促進される場合もある。
(酸素)
反応は、酸素雰囲気下で行われる。酸素源としては、特に制限されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素を使用してもよい。操作性及び安全性のみならず経済性などの点から、空気を使用するのが好ましい。酸素の使用量は、基質の種類に応じて選択でき、通常、基質1モルに対して、0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50モル程度である。
分子状酸素を反応装置内に供給する場合、予め十分な分子状酸素を供給した後、密閉系で反応を行ってもよく、連続的に分子状酸素を流通させて行ってもよい。連続的に流通させる場合、酸素の流通速度は、前記使用量に対応した速度で供給できる。
(反応溶媒)
本発明の反応は、反応に不活性な有機溶媒の存在下又は非存在下で行なうことができる。有機溶媒としては、例えば、酢酸、プロピオン酸などの有機酸;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、ジクロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;水;これらの混合溶媒などが挙げられる。溶媒としては、有機酸、ハロゲン化炭化水素、ニトリル類、エステル類を用いる場合が多い。なお、基質(シクロアルカンなど)を溶媒として用いてもよい。
反応温度は、例えば、0〜300℃、好ましくは15〜200℃、さらに好ましくは30〜170℃程度であり、通常、80〜160℃程度で反応する場合が多い。
また、反応は、常圧または加圧下で行なうことができ、加圧下で反応させる場合には、通常、1〜100atm(例えば、1.5〜80atm)、好ましくは2〜70atm、さらに好ましくは3〜50atm程度である場合が多い。反応時間(流通式反応においては滞留時間)は、反応温度及び圧力に応じて、例えば、1分〜48時間、好ましくは2分〜24時間、さらに好ましくは5分〜8時間程度の範囲から適当に選択できる。
なお、反応系の水分量を、反応系全体に対して、30重量%以下(例えば、0〜30重量%)、好ましくは3〜20重量%(例えば、3〜18重量%)、さらに好ましくは5〜15重量%(例えば、5〜10重量%)程度の範囲に調整すると、前記酸化反応を促進でき、副生物の生成を抑制でき、カルボン酸を高収率で得ることができる。
前記反応操作は、連続式、回分式、又は半回分式で行ってもよい。また、反応は、水を除去しながら行う反応蒸留で行ってもよく、デカンターなどの水分離装置と組み合わせて水を除去する反応蒸留で行ってもよい。反応を二段階以上に分けて行ってもよい。反応装置としては、慣用の装置が使用でき、1又は複数の装置を使用してもよい。複数の装置を使用する場合、装置は直列及び/又は並列に接続してもよい。装置の形状は球形、円柱形などであってもよい。特に、反応装置内部には、特別な装置を必要としないが、多孔板のような内部を多室に分割するような装置を備えていてもよい。また、攪拌効率を高めるために、攪拌羽根のような機械的攪拌装置を有していてもよい。また、気泡塔を用いてもよい。
このような反応により、基質に対応するカルボン酸(例えば、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸などの芳香族カルボン酸など)が生成する。なお、前記酸化反応では、副生物[前記基質に対応するアルコール類又はその誘導体(エステルなど)、アルデヒド類、ケトン類などの低沸点副生物、目的化合物よりも低級の有機カルボン酸又はその誘導体(エステルなど)などの高沸点副生物]が生成したり、酸化触媒の活性が低下する場合もある。そこで、本発明では、反応工程で生成した反応混合物から、高純度のカルボン酸を効率よく分離するため、反応混合物を分離工程に供する。
[(B)分離工程]
分離工程(B)では、目的生成物のカルボン酸と、酸化触媒と、副生物とを分離している。前記成分の分離は、通常、晶析を利用して、少なくともカルボン酸を含む成分と他の成分とを分離する(第1の晶析工程)。晶析は、冷却による晶析や晶析溶媒を用いる晶析(溶媒晶析)などにより行うことができる。また、減圧することによって、晶析操作を行ってもよい。このような晶析を利用すると、晶析成分と非晶析成分とを、ろ過などの簡単な操作で分離できる。なお、晶析方法によって、カルボン酸は、晶析成分又は非晶析成分に含まれる場合があるが、通常、晶析成分に含まれている。
少なくともカルボン酸を含む晶析成分は、残存する副生物(高沸点副生物)を含んでいる場合が多く、通常、晶析を利用した分離精製工程(第2の晶析工程)に供され、カルボン酸を含む成分(晶析成分)と、残存する副生物を含む成分(非晶析成分)とに分離される。なお、必要により、少なくともカルボン酸を含む成分を、洗浄及び/又は乾燥してもよい。また、得られたカルボン酸(例えば、テレフタル酸など)を、慣用の精製処理(例えば、水素還元処理など)に供し、高純度のカルボン酸(テレフタル酸)を得てもよい。
また、第1の晶析工程で分離された晶析成分又は非晶析成分から、分配(抽出など)、晶析、吸着、ろ過(ろ過洗浄など)、乾燥又はこれらを組合せた操作により、酸化触媒を分離してもよい。特に、第2の晶析工程に先立って、第1の晶析工程で得られた晶析成分を、カルボン酸と酸化触媒とで溶解度(溶解性)の異なる溶媒に溶解させ、ろ過により、カルボン酸を含む成分と析出した酸化触媒とを分離し、酸化触媒を、必要により再生して、反応系にリサイクルしてもよい。
また、助触媒は、第1の晶析工程で分離された非晶析成分から、前記慣用の分離手段を利用して分離してもよい。特に、沸点の高い金属成分を含む助触媒は、蒸留塔などの塔底から高沸点成分を留出させ、反応系にリサイクルしてもよく、分配(抽出)などの分離操作により金属成分を回収し、必要により再生して反応系にリサイクルしてもよい。特に、金属成分をイオン交換樹脂を用いて、吸着、脱離、再生後、反応系にリサイクルしてもよい。なお、水可溶性の助触媒(酢酸塩など)を使用する場合、水により抽出し、そのままリサイクルするか、又は炭酸塩、さらには酢酸塩に再生して反応系にリサイクルしてもよい。また、焼却灰化後、回収、再生して反応系にリサイクルしてもよい。
副生物のうち、カルボン酸前駆体(基質に対応するアルコール類又はその誘導体、ケトン類、アルデヒド類など)は、第1の晶析工程で分離された非晶析成分から、分配(抽出など)、晶析、吸着、加水分解、ケン化、中和、蒸留(蒸発など)、ろ過(ろ過洗浄など)、乾燥又はこれらを組合せた操作により分離でき、必要により反応系にリサイクルできる。
また、酸化反応を溶媒の存在下で行う場合又は過剰の基質を使用した場合、反応混合物を濃縮して、低沸点成分(低沸点溶媒、未反応原料、生成水など)を分離した後、第1の晶析工程に供してもよく、反応混合物を濃縮することなく第1の晶析工程に供してもよい。
以下に具体的な製造方法を図面に基づいて説明する。
各分離操作は、連続式、回分式、半回分式のいずれで行ってもよい。また、部分離装置は、1基又はそれ以上の多段でも多基であってもよい。
図1は、本発明の製造方法を説明するためのフロー図である。この例では、酸化触媒としてN−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)、助触媒として水可溶性助触媒(酢酸塩など)、溶媒として水溶性溶媒(酢酸)を用いて、カルボン酸を製造している(以下、図4まで同様の系でカルボン酸を製造している)。この例のプロセスでは、(A)反応工程と、冷却晶析により、晶析成分(カルボン酸、基質より炭素数の少ない有機カルボン酸などの高沸点副生物など)と、非晶析成分(酸化触媒、助触媒、基質、溶媒、低沸点副生物など)とを分別する第1の晶析工程(B1)と、前記晶析成分から、晶析により、カルボン酸を含む晶析成分と高沸点副生物を含む非晶析成分とを分離する第2の晶析工程(B2)とを備えている。なお、第1の晶析工程で分離された非晶析成分は、静置により分液する分配(又は分液)操作により、触媒(酸化触媒及び助触媒、触媒変質物を含む)及び溶媒(酢酸)を含む水相と、未反応原料及び副生物(ケトン類、アルコール類又はその誘導体(エステルなど)など)を含む有機相に分離され、必要により精製されて、反応系にリサイクルされる(触媒及び副生物分離工程(C1))。なお、図1の系では、溶媒として酢酸を使用しているので、酸化触媒(NHPI)は、比較的高濃度の酢酸を含む水相に分配可能である。
[第1の晶析工程(B1)]
第1の晶析工程では、反応混合物を、晶析成分と非晶析成分とに分別している。図1の例では、反応工程1からの反応混合物を冷却して晶析成分を晶析させ(晶析工程2)、ろ過及び洗浄工程3において、晶析成分と非晶析成分とを濾別している。晶析成分には、通常、目的化合物であるカルボン酸や高沸点副生物が含まれ、非晶析成分には、触媒(酸化触媒及び助触媒、触媒変質物を含む)、低沸点副生物、未反応原料、溶媒を使用した場合には反応溶媒などが含まれている。
冷却晶析は、慣用の方法で行われ、例えば、晶析温度は、−20〜200℃、好ましくは0〜150℃(例えば、5〜120℃)、さらに好ましくは10〜100℃(例えば、10〜80℃)程度の範囲から選択でき、冷却速度は、1〜60℃/hr、好ましくは5〜40℃/hr、さらに好ましくは10〜30℃/hr程度の範囲から選択でき、常圧下(例えば、1atm程度)、減圧下又は加圧下で行われる。また、熟成時間は、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜4時間、さらに好ましくは0.5〜2時間程度の範囲から適当に選択できる。
晶析操作は、晶析溶媒を用いて行ってもよく、晶析溶媒としては、例えば、慣用の溶媒[メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、イソブタノールなどのアルコール類、エチルベンゼン、トルエン、p−キシレンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカンなどの飽和脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロペンタン、デカリンなどの環状脂肪族炭化水素類、水、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリンなどのアルキルピリジン、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、アセトニトリルなどのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシド、二硫化炭素、四硫化炭素、石油エーテル、およびこれらの混合溶媒など]などが使用できる。
ろ過工程3において、ろ過温度は、前記晶析温度に応じて選択され、適当な温度、例えば、−20℃〜200℃、好ましくは0〜150℃(例えば、5〜120℃)、さらに好ましくは20〜100℃(例えば、20〜80℃)程度の範囲から選択できる。ろ過圧力は、0.13kPa.A〜2MPa、好ましくは1.3kPa.A〜1MPa程度の範囲から選択できる。
洗浄溶媒としては、前記晶析成分の種類に応じて選択でき、前記例示の晶析溶媒(環状炭化水素類などの炭化水素類、水、有機酸類など)が使用できる。洗浄操作は、適当な温度[−20〜200℃、好ましくは0〜150℃(例えば、5〜120℃)、さらに好ましくは10〜100℃(例えば、10〜80℃)程度の範囲]で、洗浄後のろ過圧力は、圧力0.13kPa.A〜2MPa[好ましくは1.3kPa.A〜1MPa程度]で行える。
洗浄された晶析成分は、続いて第2の晶析工程に供される。
[第2の晶析工程(B2)]
第2の晶析工程では、晶析成分から、カルボン酸を分離精製している。図1の例では、ろ過工程3からの残渣に、再溶解溶媒を添加して再溶解させ(再溶解工程4)、晶析成分を析出させて(晶析工程5)、析出した晶析(析出)成分をろ過して洗浄し(ろ過及び洗浄工程6)、乾燥させて(乾燥工程7)、カルボン酸を分離精製している。なお、晶析工程5は、減圧下で、溶媒を除去しながら、晶析成分を析出させてもよい。図1の例では、晶析工程5の晶析成分には、目的生成物のカルボン酸が含まれ、非晶析成分には、副生した有機カルボン酸(炭素数が基質より少ないジカルボン酸などの高沸点副生物)などが含まれている。また、前記乾燥工程7では、残存する洗浄溶媒などを除去している。
再溶解工程4において、再溶解溶媒としては、カルボン酸及び高沸点副生物の種類に応じて選択でき、例えば、前記例示の晶析溶媒(例えば、水、有機酸、無機酸、アルコール類、ケトン類、エステル類、炭化水素類およびこれらの混合溶媒など)などが挙げられる。特に、目的生成物のカルボン酸と高沸点副生物とで溶解度の異なる溶媒を使用すれば、溶解速度の遅い(不溶性)成分が析出し、カルボン酸を含む成分と高沸点副生物を含む成分とをろ過などの簡単な操作で濾別できる。なお、図1の例では、水を用いて目的生成物のカルボン酸を析出させている。再溶解温度は、例えば、−20℃〜400℃、好ましくは0〜300℃(例えば、20〜300℃)、さらに好ましくは10〜200℃(例えば、15〜100℃)、特に20〜100℃程度の範囲から選択される。また、再溶解操作は、常圧下(例えば、1atm程度)、加圧又は減圧下で行ってもよい。
晶析、ろ過及び洗浄操作は、前記第1の晶析工程で例示した条件(温度、圧力など)で行われる。特に、洗浄溶媒としては、前記再溶解溶媒の種類に応じて選択でき、適当な溶媒、例えば、前述の再溶解溶媒(例えば、水、有機酸、無機酸、アルコール類、ケトン類、エステル類、炭化水素類およびこれらの混合溶媒など)が使用できる。
乾燥工程7において、乾燥は、洗浄溶媒やカルボン酸の種類に応じて、例えば、10〜300℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは40〜100℃程度、圧力は0.13kPa.A〜2MPa、好ましくは1.3kPa.A〜1MPa程度の範囲で行うことができる。
(高沸点副生物の分離)
第2の晶析工程で濾別された非晶析成分には、再溶解溶媒や高沸点副生物(基質と異なる炭素数を有する有機カルボン酸など)などが含まれている場合が多い。そのため、前記非晶析成分を、晶析工程5に戻し、晶析操作を繰り返してもよく、抽出操作を利用して、再溶解溶媒と高沸点副生物を含む成分とに分離する。図1の例では、ろ過及び洗浄工程6で濾別された非晶析成分に抽出溶媒を用いる抽出工程8に供し、高沸点副生物を分離している。
抽出操作は、慣用の方法により行われ、例えば、抽出温度−20℃〜200℃、好ましくは0〜150℃(例えば、0〜100℃)、さらに好ましくは5〜50℃程度の範囲で、圧力0.13kPa.A〜2MPa、好ましくは1.3kPa.A〜1MPa程度の範囲で行われる。なお、分液性又は抽出性を高めるため、慣用の抽出溶媒、例えば、水及び/又は疎水性溶媒(炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、ニトリル類など)を使用してもよい。
[触媒及び副生物の分離工程(C1)]
第1の晶析工程で分離された非晶析成分には、酸化触媒(NHPI)、変質した酸化触媒(フタル酸、フタルイミドなど)、助触媒、基質、低沸点副生物(カルボン酸前駆体)、溶媒(酢酸)、副生した水などが含まれている。そこで、触媒及び副生物の分離工程(C1)では、前記非晶析成分を、少なくとも副生物を含む成分と、少なくとも触媒(酸化触媒、変質した酸化触媒、助触媒)を含む成分とに分離し、反応に有効な成分(触媒、カルボン酸前駆体など)を、必要により再生して、反応系にリサイクルしている。
図1の例では、ろ過及び洗浄工程3からの非晶析成分を、静置により分液する分液工程9に供し、未反応基質及び副生物(カルボン酸前駆体)を含む有機相と、触媒(酸化触媒(変質した酸化触媒を含む)、助触媒)及び溶媒(酢酸)を含む水相とに分離している。有機相は、そのまま反応系にリサイクルするか、必要により蒸留工程23に供し、塔頂から未反応基質を留出させ、サイドカットによりカルボン酸前駆体を分離して、反応系にリサイクルする。なお、缶底からの留出液は焼却処理してもよい。一方、水相は、そのまま反応系にリサイクルしてもよいが、活性が低下した酸化触媒を分離するため、吸着操作などの分離操作により、助触媒を含む成分(吸着成分など)と、少なくとも酸化触媒を含む成分(非吸着成分など)とに分離するのが有利である(吸着工程10)。さらに、非吸着成分から、活性が低下した酸化触媒を分離するため、非吸着成分及び有機相を蒸留又は蒸発工程11に供する。蒸留工程11では、蒸留塔を用い、蒸留塔の塔頂から低沸点成分(副生した水など)を留出させ、塔底から高沸点成分(酸化触媒、変質した酸化触媒など)を留出させている。また、サイドカット(例えば、段数のうち、下から10〜80%の高さの段から)により、中沸点成分(例えば、溶媒(酢酸)、未反応基質、カルボン酸前駆体など)を分離し、そのまま反応系にリサイクルしてもよい。
(分液工程)
分液工程9での分液操作は、慣用の方法により行われ、例えば、温度−20℃〜200℃、好ましくは0〜150℃(例えば、5〜120℃)、さらに好ましくは10〜100℃(例えば、10〜80℃)程度の範囲、庄力0.13kPa.A〜2MPa、好ましくは1.3kPa.A〜1MPa程度の範囲で行われる。なお、分液性又は抽出性を高めるため、慣用の抽出溶媒、例えば、水及び/又は疎水性溶媒(炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、ニトリル類など)を使用してもよいが、図1の例では、非晶析成分を静置により分液している。
(吸着工程)
吸着工程10では、酸化触媒を含む非吸着成分と助触媒を含む吸着成分とを分離している。吸着は、慣用の方法、例えば、金属成分を選択的に吸着するイオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂など)などを用いて、温度−20℃〜200℃、好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは10〜100℃程度で、常圧、減圧又は加圧下で行われる。
(蒸留又は蒸発工程)
蒸留は、通常、蒸留塔を用いて行われ、蒸留塔の段数は、例えば、1〜100段、好ましくは5〜80段、さらに好ましくは10〜70段、特に10〜60段程度であってもよい。蒸留操作は、低沸点成分(例えば、低沸点溶媒など)の種類に応じて、塔頂温度−20℃〜300℃(好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜200℃、特に40〜200℃)程度、塔底温度20〜400℃、好ましくは30〜300℃、さらに好ましくは50〜250℃程度、圧力0.13kPa.A〜2MPa、好ましくは1.3kPa.A〜1MPa程度で行うことができる。また、適当な還流比(例えば、0.01〜50、好ましくは0.1〜40,さらに好ましくは1〜30程度)で留出分を還流させながら行うことができる。
また、蒸発器を用いて行ってもよく、蒸発操作は、例えば、圧力0.13kPa.A〜2MPa、好ましくは1.3kPa.A〜1MPa程度、−20℃〜300℃、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜250℃、特に40〜200℃程度の温度範囲で行うことができる。
図2は、本発明の他の方法を示すフロー図である。この例のプロセスは、第1の晶析工程(B1)に先立って濃縮工程を行うことを除いて、前記図1に示すプロセスと基本的に共通している。図2において、反応工程1の反応混合物を、濃縮工程に供し、濃縮物を、第1の晶析工程(B1)において、カルボン酸を含む晶析成分と、触媒や副生物を含む非晶析成分とに分別している。晶析成分は、前記と同様に第2の晶析工程(B2)に供される。なお、非晶析成分は、続いて触媒と副生物の分離工程(C1)に供される。
[濃縮工程]
濃縮工程では、反応混合物から、低沸点成分を留出させて濃縮している。図2の例では、反応工程1の反応混合物を蒸留(又は蒸発)工程12に供し、低沸点成分と高沸点成分とを分離している。通常、低沸点成分には、未反応基質や反応溶媒(酢酸)、副生した水などが含まれている場合が多く、低沸点副生物(例えば、シクロアルカノンなどのケトン類、シクロアルカノールなどのアルコール類又はそのエステル(酢酸シクロアルキル)など)が含まれている場合もある。また、高沸点成分にはカルボン酸、触媒(酸化触媒、変質した酸化触媒、助触媒)、高沸点の副生物(有機カルボン酸など)、残存する反応溶媒などが含まれている。
なお、蒸留又は蒸発工程12で分離された低沸点成分は、そのまま又は分液工程を経て未反応基質を含む上相と生成水を含む下相とを分離後、反応系にリサイクルしてもよいが、さらに精製して副生水などを分離した後、反応系にリサイクルしてもよい。図2の例では、蒸留又は蒸発工程12で分離された低沸点成分を、分液工程24に供し、未反応基質を含む有機相と生成水を含む水相を分離した後、水相を蒸留(又は蒸発)工程13に供し、さらに副生した水と、反応溶媒を含む成分とに分離している。分離された水は再溶解工程4で使用してもよい。また、分離された反応溶媒を含む成分は、そのまま反応系にリサイクルされる。
濃縮操作は、蒸留又は蒸発操作により行うことができる。蒸留又は蒸発、分液操作は、前記図1の蒸留又は蒸発、分液工程と同様の条件で行うことができる。
濃縮物は、前記と同様に第1の晶析工程(B1)及び第2の晶析工程(B2)に供される。なお、第1の晶析工程において、分離された非晶析成分は、低沸点成分が濃縮工程により予め分離されているので、そのまま反応系にリサイクルしてもよく、分液工程を経ることなく、触媒及び副生物の分離工程(C1)に供してもよい。図2の例では、ろ過及び洗浄工程3からの非晶析成分の一部をそのまま反応系に供し、他の一部を吸着工程10に供し、助触媒を含む吸着成分と、酸化触媒、溶媒などを含む非吸着成分とを分離している。吸着成分はそのまま反応系にリサイクルし、非吸着成分は蒸留工程11に供している。蒸留工程11では、溶媒と酸化触媒を含む成分とを分離し、低沸点成分は反応系にリサイクルされ、高沸点成分は焼却処理される。
図3は、本発明のさらに他の方法を示すフロー図である。この例のプロセスは、第1晶析工程で分離された非晶析成分から、触媒(酸化触媒及び助触媒)を分離する方法が異なることを除いて、前記図1に示すプロセスと基本的に共通している。図3の例では、反応工程の反応混合物を晶析して、少なくともカルボン酸を含む晶析成分と、触媒、基質、副生物などを含む非晶析成分を濾別し(第1の晶析工程)、晶析成分を、続いて第2晶析工程に供する。また、第1の晶析工程で濾別された非晶析成分は、静置に分液する分液工程に供され、触媒、溶媒及び副生した水を含む水相と、未反応基質や低沸点副生物を含む有機相とに分離され、有機相はそのまま反応系にリサイクルするか、又は蒸留又は蒸発工程23に供し、塔頂から未反応基質を留出させ、サイドカットによりカルボン酸前駆体を分離して、反応系にリサイクルする。なお、缶低からの留出液は焼却処理してもよい。一方、水相は、そのまま反応系にリサイクルしてもよく、酸化触媒と助触媒の分離工程(C2)に供してもよい。
[酸化触媒と助触媒の分離工程(C2)]
分離工程(C2)では、分液工程で分離された水相(酸化触媒、助触媒、さらには変質した酸化触媒などの触媒、溶媒(酢酸)、副生水など)から、有効成分(助触媒など)を分離精製する。なお、この例では、溶媒として酢酸を使用しているため、酸化触媒(NHPI)は、水相中の酢酸濃度が高いため、水相に移行している。図3の例では、分液工程9で分液された水相を、蒸留又は蒸発工程14に供し、低沸点成分と高沸点成分とを分離している。低沸点成分には、通常、溶媒や副生した水などが含まれており、高沸点成分には、酸化触媒(失活又は変質した酸化触媒も含む)及び助触媒が含まれている。高沸点成分から助触媒を回収するため、高沸点成分は助触媒再生工程に供される。なお、低沸点成分(溶媒や副生した水など)は、蒸留工程20に供され、さらに水と溶媒とを分離している。回収された水は、後述する抽出工程15の抽出溶媒として使用してもよい。また、回収された溶媒(酢酸)は、そのまま反応系にリサイクルしてもよく、後述する助触媒再生工程19の再生成分として使用してもよい。
蒸留工程14において、蒸発及び蒸留操作は、前記例示の方法で行われ、低沸点成分や高沸点成分の種類に応じて、条件(温度、圧力など)が適宜選択される。
(助触媒再生工程)
助触媒再生工程では、高沸点成分から、失活した酸化触媒を分離し、有効成分(助触媒の金属成分)を回収して、反応系にリサイクルしている。図3の例では、蒸留又は蒸発工程14で得られた高沸点成分を、抽出溶媒(水など)を用いる抽出工程15に供し、分液及びろ過工程16において、助触媒を含む水相と酸化触媒や変質した酸化触媒を含む有機相に分別している。なお、酸化触媒やその変質物は、一部析出する場合もある。水相中の助触媒は、さらに中間生成物生成工程17において、中間生成物(例えば、炭酸塩などの弱酸塩)に変換して析出させ、ろ過工程18において析出した中間生成物を濾別している。析出した中間生成物は、必要により再生され(助触媒再生工程19)、反応系にリサイクルされる。ろ過工程18で分離された濾液は、必要により、抽出工程16にリサイクルしてもよい。
抽出操作は、前記図1の工程で例示した抽出操作と同様に、操作条件(温度など)を適宜選択して行われる。特に、抽出溶媒は、助触媒の溶解性に応じて選択され、通常、慣用の抽出溶媒(水や親水性溶媒(アルコール類など)など)が利用できる。また、分液及びろ過操作も、前記図1の工程で例示した操作と同様に、操作条件(温度など)を適宜選択して行われる。
中間生成物生成工程17において、助触媒を含む水相から、金属成分を回収し、再生し易い中間生成物として分離させている。図3の例では、助触媒として水可溶性の有機酸塩(酢酸コバルトや酢酸マンガンなどの酢酸塩、プロピオン酸塩などのカルボン酸塩)を使用しており、この有機酸塩を効率よく再生するため、中間生成物生成工程では、助触媒の金属成分を弱酸の塩(炭酸塩や炭酸水素塩など)として分離している。中間生成物を生成させるための試薬としては、例えば、炭酸塩(炭酸ナトリウムなどアルカリ金属の炭酸塩など)、炭酸水素塩(炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩など)などが挙げられる。なお、ろ過工程18では、析出した中間生成物を含む成分を濾別している。濾液は必要により抽出工程15に戻してもよい。
濾別された析出物(中間生成物)は、再生工程19に供されて再生され、反応系にリサイクルされる。特に、図3の例では、再生成分として溶媒の有機酸(酢酸など)を中間生成物(炭酸塩など)に添加して、助触媒としての有機酸塩(酢酸塩など)を再生している。
なお、分液及びろ過工程16で分離された有機相(析出物)(酸化触媒及び失活した酸化触媒)は、必要により酸化触媒再生工程に供され、反応系にリサイクルされる。
(酸化触媒再生工程)
反応により変質又は活性が低下した酸化触媒の再生は、変質した酸化触媒が、主に、イミド化合物に対応する多価カルボン酸又はその酸無水物(例えば、フタル酸イミド、無水フタル酸など)で構成されていることに着目して、ヒドロキシルアミン又は酸で処理又は反応させることにより触媒を再生できる。また、変質又は活性が低下した酸化触媒を、酸又はアルカリを用いて、多価カルボン酸又はその塩にし、必要に応じて、酸無水物に変換したのち、ヒドロキシルアミンで処理又は反応させることにより酸化触媒を再生してもよい。
ヒドロキシルアミンとしては、遊離のヒドロキシルアミン又はヒドロキシルアミンの塩(硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩など)を使用してもよい。再生反応は、生成するアンモニア及び/又は水などを除去しながら行う反応蒸留により行ってもよい。酸としては、塩化水素、臭化水素などのハロゲン化水素、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられる。酸は無水物であるのが好ましい。
アルカリ又はその塩としては、特に制限されないが、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)又はアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム)の水酸化物又は酸化物、あるいは前記アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩などの無機塩基が使用できる。例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、アルカリ土類金属炭酸塩(炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど)などが挙げられる。また、アルカリとして、アンモニア又は有機塩基[アミン類(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミンなどの脂肪族アミン;ピリジン、モルホリンなどの複素環式アミンなど)]を用いてもよい。好ましいアルカリは、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)である。これらのアルカリ又はその塩は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
触媒の再生は、温度0〜200℃(好ましくは5〜150℃、さらに好ましくは10〜100℃)程度で、失活した触媒と前記ヒドロキシルアミン又は酸とを混合することにより行われる。
図4は、本発明のさらに別の方法を示すフロー図である。この例のプロセスは、第1の晶析工程に先立って、反応混合物を濃縮することを除いて、前記図3に示すプロセスと基本的に共通している。図4において、反応工程の反応混合物を、濃縮工程に供し、濃縮物を晶析により、少なくともカルボン酸を含む晶析成分と、触媒及び溶媒を含む非晶析成分とに濾別し(第1の晶析工程)、晶析成分を、続いて第2晶析工程に供している。また、第1の晶析工程で濾別された非晶析成分は、酸化触媒と助触媒の分離工程(C2)に供される。
濃縮工程は、図2の濃縮工程の項で例示した方法と同様に行われる。
なお、図4において、反応混合物を第1の晶析工程に先だって、濃縮し、溶媒、低沸点副生物、副生水などの低沸点成分を予め分離しているので、第1の晶析工程で分離された非晶析成分を、そのまま反応系にリサイクルしてもよく、有機相と水相とに分離するための分液工程に供することなく、酸化触媒と助触媒の分離工程(C2)に供してもよい。図4の例では、ろ過及び洗浄工程3からの非晶析成分を、蒸留又は蒸発工程14に供し、低沸点成分(残存する溶媒など)と、触媒を含む高沸点成分とを分離している。低沸点成分中の溶媒は、必要により、助触媒再生工程に再利用してもよい。一方、触媒を含む高沸点成分は、酸化触媒及び助触媒の分離工程(C2)に供される。
図5は、本発明の他の方法を示すフロー図である。この例では、酸化触媒としてNHPI、助触媒として水可溶性の酢酸塩を用い、基質を反応溶媒として使用している(なお、以下の図6においても同様の系を使用している)。この例のプロセスは、第1の晶析工程において、必要により晶析溶媒を使用し、カルボン酸及び酸化触媒を含む晶析成分と、基質、助触媒などを含む非晶析成分とに分離し、第2の晶析工程に先立って、前記晶析成分から析出した酸化触媒を分離することを除いて、前記図1に示すプロセスと基本的に共通している。
図5において、反応工程の反応混合物を、必要により晶析溶媒を用いて晶析し、晶析成分を析出させて濾別している(第1の晶析工程)。図5の例では、晶析成分には、目的化合物であるカルボン酸及び酸化触媒(変質した酸化触媒を含む)が含まれ、非晶析成分には、助触媒、副生物(アルデヒド類、ケトン類やアルコール類など)、末反応原料などが含まれている場合が多い。晶析成分は、カルボン酸と酸化触媒とで溶解度の異なる溶媒を用いて、再溶解させ(再溶解工程4)、酸化触媒を含む成分と、カルボン酸を含む成分とを濾別している(ろ過及び洗浄工程21)。カルボン酸を含む成分は、続いて第2の晶析工程に供される。なお、第1晶析工程の非晶析成分は、触媒及び副生物分離工程(C1)に供される。
第1の晶析工程において、晶析操作は、前記図1の項で例示した操作と同様に行われる。特に、晶析溶媒(又は洗浄溶媒)としては、晶析成分の種類に応じて選択され、例えば、適当な溶媒(例えば、水、炭化水素類およびこれらの混合溶媒など)などを使用できる。図5の例では、洗浄溶媒として水を用い、カルボン酸及び酸化触媒(変質した酸化触媒を含む)を含む成分を晶析成分として析出させている。
ろ過及び洗浄工程3におけるろ過操作は、前記晶析温度に応じて、前記例示の条件(温度、圧力など)から適宜選択されて行われる。
[カルボン酸と酸化触媒とを分離する工程(B3)]
図5の例では、再溶解溶媒として水を用いて、酸化触媒を含む晶析成分を析出させ、カルボン酸を含む非晶析性成分とを濾別している。なお、他の溶媒を用いて、カルボン酸を含む成分を析出させ、酸化触媒を含む成分と分離してもよい。再溶解溶媒としては、カルボン酸と酸化触媒とで溶解度が異なる溶媒(例えば、水、アルコール類、炭化水素類など)が挙げられる。このような溶媒を用いると、溶解速度の遅い(不溶性)成分を析出させることができ、ろ過操作などの簡単な操作で、晶析成分(析出成分)と非晶析成分とを濾別できる。特定の溶媒を用いる再溶解操作、ろ過及び洗浄操作は、前記例示の再溶解操作と同様に行われる。
ろ過及び洗浄工程21において、酸化触媒を含む残渣は、焼却処理に供してもよく、必要により再生工程を経て、反応系にリサイクルしてもよい。また、カルボン酸を含む濾液は、続いて第2の晶析工程に供される。
なお、第1の晶析工程で分離された非晶析成分は、分液工程9において、助触媒を含む水相と、基質及び低沸点副生物、カルボン酸前駆体を含む有機相とに分液され、有機相はそのまま反応系にリサイクルしてもよく、蒸留及び蒸発工程22に供し、低沸点成分(基質及び低沸点副生物などのカルボン酸前駆体)を分離し、反応系にリサイクルしてもよい。一方、助触媒を含む水相は、吸着工程10に供されて精製された後、吸着成分を反応系にリサイクルする。非吸着成分は、必要により蒸留又は蒸発工程25に供され、塔底から留出する晶析又は洗浄溶媒をリサイクルしてもい。また、缶低からの留出液は焼却してもよい。また、非吸着成分を蒸留又は蒸発工程22に供して、精製後、リサイクルしてもよい。
図6は、本発明のさらに他の例を示すフロー図である。この例のプロセスは、第1の晶析工程に先だって、反応混合物を濃縮することを除いて、前記図5に示すプロセスと基本的に共通している。図6では、反応混合物を、濃縮工程に供し、濃縮物を第1の晶析工程に供し、晶析成分と非晶析成分とに分離している。晶析成分には、カルボン酸及び酸化触媒が含まれ、非晶析成分には、助触媒、未反応基質、カルボン酸前駆体などが含まれている。次いで、晶析成分は、特定の溶媒を用いるカルボン酸と触媒分離工程(B3)、第2晶析工程に供される。一方、非晶析成分は、触媒及び副生物分離工程(C1)に供される。
図7は、本発明の別の例を示すフロー図である。この例では、酸化触媒としてNHPI、助触媒として水溶性の酢酸塩、溶媒として酢酸を使用している。この例のプロセスは、第2晶析工程を行わないことを除いて、図3に示すプロセスと基本的に共通している。図7では、反応混合物を第1晶析工程に供し、カルボン酸を含む晶析成分と、触媒、副生物及び溶媒を含む非晶析成分とを濾別している。前記晶析成分から、洗浄及び乾燥工程を経て、目的カルボン酸が生成する。また、非晶析成分は、図3と同様に、酸化触媒と助触媒の分離工程(C2)に供される。
なお、本発明では、反応に伴ってイミド系酸化触媒が失活することに着目し、酸化反応を多段階で行い、各段階毎に新たに酸化触媒を供給することにより、酸化反応を効率よく進行させてもよい。さらに、酸化能を有する助触媒(金属触媒)を使用し、基質を予め酸化させた後、得られた反応混合物にイミド系酸化触媒を供給して、酸化反応を促進させてもよい。このような方法により、イミド系触媒の使用量を低減できるので、コスト的にも有利である。さらに、酸化反応多段階で行うことにより、イミド化合物の平均滞留時間を均一化でき、転化率及び選択率を向上できるようである。また、前記反応混合物から、反応生成物のカルボン酸を分離し、分離したカルボン酸を、イミド系触媒及び助触媒の存在下で酸化することにより目的生成物を得てもよい。なお、前記カルボン酸の貧溶媒を反応溶媒として使用することにより、反応混合物から前記カルボン酸を固形分(カルボン酸)として分離してもよい。
図8は、本発明のさらに別の例を示すフロー図である。この例では、図7の系と同様の系を使用している。この例のプロセスは、反応工程を複数回行うことを除いて、図7に示すプロセスと基本的に共通している。図8では、第1の反応工程1aで、酸化触媒及び助触媒の存在下、基質と酸素とを反応させ、続く第2の反応工程1bにおいて、前記第1の反応工程で得られた反応混合物に、新たに酸化触媒を供給して反応させ、第3の反応工程1cでは、第2の反応工程で得られた反応混合物に、さらに酸化触媒を供給して反応させている。そして、三段階の反応工程を経た反応混合物は、図7のプロセスと同様に第1晶析工程に供される。
図9は、本発明の他の例を示すフロー図である。この例では、第1反応工程1aにおいて、イミド系酸化触媒を供給しない点を除いて、図8に示すプロセスと基本的に共通している。図9では、第1反応工程において、助触媒(金属触媒)の存在下、基質と酸素とを反応させ、続く第2反応工程1b及び第3反応工程1cでは、第1の反応工程1aから得られた反応混合物に、酸化触媒と酸素とを供給して、酸化反応をさらに進行させる。三段階の反応工程を経て得られた反応混合物は、第1晶析工程に供される。
図10は、本発明のさらに他の例を示すフロー図である。この例では、第1工程1aで得られた反応混合物から、析出した固形分を濾別し、この固形分を溶媒に溶解させ、さらに酸化触媒及び助触媒の存在下で、酸素と反応させること(第2及び第3反応工程(1b及び1c))、ならびに第1の反応工程で得られた反応混合物から生成した水を分液しながら、反応を行うことを除いて、図9のプロセスと基本的に共通している。図10のプロセスでは、予め金属触媒で基質を反応させた後、得られた反応生成物(トルイル酸など)をイミド系触媒の存在下で酸素と接触させて目的生成物(テレフタル酸など)を得るため、少量のイミド系触媒で効率よく基質を酸化できる。また、酸化反応を多段階で行うことにより、反応溶媒として腐食性のある溶媒(例えば、酢酸など)を使用した場合あっても、反応を一段階で行う場合に比べて、低耐食性の反応容器を使用できる。さらに、各段階の基質濃度が高いので、小さい容積の反応器を使用できる。
なお、本発明の方法は、反応工程(A)とカルボン酸の分離工程(B)とを備えていればよく、反応混合物中の各成分を分離するための各工程の順序などは特に制限されない。副生物と触媒とカルボン酸とを分離する工程(B)では、例えば、前記3成分のうち、1つの成分と他の2成分とを分離し、分離した2成分を各成分に分離してもよい。各成分の分離には、分離成分の特性に応じて、分配(抽出など)、晶析(洗浄など)、蒸留(蒸発など)、中和、ケン化、加水分解、ろ過、乾燥又はこれらを組み合わせで行うことができる。なお、カルボン酸を、中和によって水相に移行させてもよい。また、カルボン酸を、ケン化又は加水分解処理などにより、カルボン酸の塩を形成させてもよく、遊離のカルボン酸を生成させてもよい。このように前処理されたカルボン酸を、抽出、晶析などの操作を利用して分離してもよい。
例えば、反応工程(A)の反応混合物から、予め析出した固形分(酸化触媒など)をろ過などの分離操作により分離した後、晶析などによりカルボン酸含む成分を晶析成分として分離してもよい。さらに、反応混合物から、蒸留により副生物を分離した後、晶析、抽出などの操作により、カルボン酸を含む成分と酸化触媒を含む成分とを分離していもよい。
特に、本発明の方法では、晶析操作により、カルボン酸を含む成分と、触媒及び/又は副生物を含む成分とを分離する分離工程を備えているのが好ましい。晶析を利用すれば、沸点の高いカルボン酸であっても、他成分(酸化触媒など)と効率よく分離できる。
また、濃縮工程は、必ずしも行う必要はないが、溶媒(特に低沸点溶媒)や過剰の基質を使用した場合には、分離工程(B)での分離を効率よく行い、カルボン酸の収率を高めるためにも、濃縮工程を行うのが好ましい。また、必要により、濃縮により分離した溶媒及び低沸点基質を反応系にリサイクルしてもよい。
本発明において、基質、酸化触媒(助触媒を含む)、溶媒、副生物中の有効成分(基質に対応するアルコール類、アルデヒド類、ケトン類などのカルボン酸前駆体)、処理溶媒(例えば、洗浄溶媒、晶析溶媒、抽出溶媒)などは必ずしもリサイクルする必要はないが、工業的に有利に、効率よくカルボン酸を得るためには、前記成分を反応装置又は分離装置にリサイクルし、再使用するのが有利である。なお、分離した触媒は、精製することなく反応系にリサイクルしてもよく、失活した触媒を触媒再生工程に供した後、反応系にリサイクルしてもよい。
なお、処理溶媒や未反応原料の分離操作は、各成分の溶解性や沸点などに応じて前記分離手段から適当に選択できる。例えば、分配(抽出など)、晶析、ろ過、蒸留又はこれらを組み合わせた分離手段などを利用してもよい。
分離装置としては、慣用の装置が使用でき、1又は複数の装置を使用してもよい。複数の装置を使用する場合、装置は直列及び/又は並列に接続してもよい。装置の形状は球形、円柱形などであってもよい。特に、分離装置内部には、特別な装置を必要としないが、多孔板のような内部を多室に分割するような装置を備えていてもよい。また、攪拌効率を高めるために、攪拌羽根のような機械的攪拌装置を有していてもよい。なお、蒸留は、デカンターなどの水分離装置と組み合わせて水を除去しながら行ってもよい。
さらに、蒸留塔及び抽出蒸留塔としては、タナ段塔、多孔板塔、充填塔(規則充填塔、不規則充填塔)、泡鐘塔、バルブ塔などが使用できる。抽出装置としては、慣用の装置、例えば、ミキサーセトラー、多孔板塔、スプレー塔、充填塔、回転円板抽出塔(RDC)、カールカラム、遠心抽出器、リング&プレートなどが例示できる。ろ過装置としては、種々の装置、例えば、遠心ろ過、フィルタープレス、ヌッチェ、フィルタードライヤーなどが使用できる。濃縮装置としては、種々の装置、例えば、自然循環式、水平管型蒸発器、自然循環式垂直短管型蒸発器、水平管下降膜型蒸発器、垂直長管下降膜型蒸発器、強制循環式水平管型蒸発器、強制循環式垂直管型蒸発器、攪拌膜型蒸発器、FFE(Falling Film Evaporator)、WFE(Wiped Film Evaporator)などが例示できる。乾燥機としては、コニカルドライヤー、ナウターミキサー、フィルタードライヤーなどが例示できる。これらの装置は、単独で又は二種以上組合わせて使用してもよい。
発明の効果
本発明によれば、特定の触媒の存在下、シクロアルカン類又はメチル基含有芳香族炭化水素類と酸素とを反応させると、前記基質に対応するカルボン酸を生成でき、さらに一連のプロセスにより簡便に、高純度のカルボン酸(脂肪族ジカルボン酸又は芳香族カルボン酸)を得ることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
図1のフロー図に従ってアジピン酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にシクロヘキサン180g、アセトアルデヒド0.7g、N−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)0.7g、コバルトアセチルアセトナート0.6g、酢酸コバルト1g、酢酸220gを仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度110℃で20分反応させた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は65%、アジピン酸の選択率は72%で収率47%であった。
(2)第1の晶析工程
次いで、反応混合物を晶析槽に仕込み、常圧下、反応混合物の温度を110℃から冷却速度20℃/Hrで20℃まで冷却し、1時間放置し、アジピン酸を含む晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度20℃で晶析成分と非晶析成分とを濾別した。晶析成分には、アジピン酸やグルタル酸及びコハク酸などの高沸点副生物が含まれており、非晶析成分には、酸化触媒、助触媒、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシルなどの低沸点副生物、酢酸、水などが含まれている。得られた残渣を、シクロヘキサン180gを用いて、温度20℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。
(3)第2の晶析工程
得られた残渣に、水450gを添加して、温度85℃で再溶解させ(再溶解工程4)、次いで圧力4.7kPa.A、温度を85℃から冷却速度20℃/Hrで温度30℃まで冷却し、脱水しながら、アジピン酸を晶析成分として析出させた(晶析工程5)。次いで、温度30℃に維持したまま、ろ過装置を用いてアジピン酸を含む晶析成分と副生物を含む非晶析成分とを濾別し、晶析成分を水200gを用いて洗浄した(ろ過及び洗浄工程6)。晶析成分を温度100℃、圧力1.3kPa.Aで、5時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたアジピン酸の純度は、99.77%であった。
なお、第2晶析工程で濾別された非晶析成分(グルタル酸、コハク酸など)を、抽出溶媒メチルt−ブチルエーテル20gを用いて温度30℃、常圧下で抽出し、副生したコハク酸及びグルタル酸を含む有機相と、晶析溶媒、水などを含む水相とに分離し、水相は、前記再溶解工程に再利用した。
(4)触媒及び副生物の分離工程
第1晶析工程で濾別された非晶析成分を、温度20℃で、デカンターにて、水相と有機相とに分液した(分液工程9)。シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、酢酸シクロヘキシルを含む有機相の一部は、反応系にリサイクルし、他の一部は蒸留塔(段数:20段)に供給され、圧力13.3kPa.A、還流比10で還流させながら蒸留した。塔頂のシクロヘキサンと、サイドカットにより分離されたシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、酢酸シクロヘキシルは、そのまま反応系にリサイクルした。また、塔底の高沸点成分は焼却した。一方、触媒、酢酸、副生水を含む水相は、陰イオン交換樹脂を用いて、温度20℃で助触媒を含む吸着成分を回収し反応系にリサイクルした。酸化触媒、酢酸及び副生水を含む非吸着成分は、蒸留塔(段数:60段)に供給され、圧力26kPa.Aで、還流比10で還流させながら蒸留した。サイドカットにより得られた酢酸はそのまま反応系にリサイクルされ。缶底から留出した酸化触媒及び変質した酸化触媒(フタル酸、フタル酸イミドなど)は焼却処理され、塔頂から留出した水は、前記再溶解工程の溶媒として利用した。
実施例2
図2のフロー図に従ってアジピン酸を製造した。
(1)反応工程
反応装置にシクロヘキサン180g、アセトアルデヒド0.7g、N−ヒドロキシフタルイミド0.7g、コバルトアセチルアセトナート0.6g、酢酸コバルト1g、酢酸220gを仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度110℃で20分反応させた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は65%、アジピン酸の選択率は72%で収率47%であった。
(2)濃縮工程
反応混合物を、温度60℃で、圧力を常圧から13kPa.Aにして、低沸点成分(シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、酢酸、副生水)を蒸発させた(蒸留又は蒸発工程12)。なお、低沸点成分は、シクロヘキサンを含む有機相と酢酸を含む水相とに分液後、そのまま反応系にリサイクルするとともに、水相の一部を蒸留塔(段数60段)を用いる蒸留又は蒸発工程13に供され、蒸留塔の塔頂から留出した水は、後述する再溶解工程の溶媒として利用し、塔底からの酢酸を含む缶出液は、そのまま反応系にリサイクルした。なお、蒸留は、30の還流比で留出分を還流させながら行った。
(3)第1の晶析工程
濃縮物を晶析槽に仕込み、常圧下、反応混合物の温度を60℃から冷却速度20℃/Hrで20℃まで冷却し、1時間放置し、晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度20℃で晶析成分と非晶析成分とを濾別した。晶析成分には、アジピン酸やグルタル酸及びコハク酸などの高沸点副生物が含まれており、非晶析成分には、酸化触媒、助触媒、酢酸などが含まれている。得られた残渣を、酢酸60gを用いて、温度20℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。
(4)第2の晶析工程
得られた残渣に、水450gを添加して、温度85℃で再溶解させ(再溶解工程4)、次いで圧力4.7kPa.Aで、温度を85℃から冷却速度20℃/Hrで温度30℃まで冷却し、脱水しながら、アジピン酸を晶析成分としてを析出させた(晶析工程5)。次いで、温度30℃で維持したまま、ろ過装置を用いてアジピン酸と高沸点副生物(グルタル酸、コハク酸など)とを濾別し、晶析成分を水220gを用いて洗浄した(ろ過及び洗浄工程6)。晶析成分を温度100℃、圧力1.3kPa.Aで5時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたアジピン酸の純度は、99.82%であった。
なお、第2晶析工程で濾別された非晶析成分を、抽出溶媒メチルt−ブチルエーテル20gを用いて温度30℃、常圧下で抽出し、副生したコハク酸及びグルタル酸を含む有機相と晶析溶媒、水などを含む水相とに分離し、水相は、前記再溶解工程に再利用した。
(5)触媒及び副生物の分離工程
第1晶析工程で濾別された非晶析成分(酸化触媒、助触媒、溶媒酢酸など)を、陰イオン交換樹脂を用いて、温度20℃で助触媒を含む吸着成分を回収し反応系にリサイクルした。酸化触媒、酢酸、溶媒を含む非吸着成分は、蒸発器を用いて、低沸点成分(酢酸)と高沸点成分(酸化触媒、高沸点不純物など)とを分離し、低沸点成分は、反応系にリサイクルし、高沸点成分は焼却処理した。
実施例3
図3のフロー図に従ってアジピン酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にシクロヘキサン180g、アセトアルデヒド0.7g、N−ヒドロキシフタルイミド0.7g、コバルトアセチルアセトナート0.6g、酢酸コバルト1g、酢酸220gを仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度110℃で20分反応させた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は65%、アジピン酸の選択率は72%で収率47%であった。
(2)第1の晶析工程
次いで、反応混合物を晶析槽に仕込み、常圧下、反応混合物の温度を110℃から冷却速度20℃/Hrで20℃まで冷却し、1時間放置し、アジピン酸を含む晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度20℃で晶析成分と非晶析成分とを濾別した。晶析成分には、アジピン酸やグルタル酸及びコハク酸などの高沸点副生物が含まれており、非晶析成分には、酸化触媒、助触媒、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシルなどの低沸点副生物、酢酸、水などが含まれている。得られた残渣を、シクロヘキサン180gを用いて、温度20℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。
(3)第2の晶析工程
得られた残渣に、水450gを添加して、温度85℃で再溶解させ(再溶解工程4)、次いで圧力4.7kPa.A、温度を85℃から冷却速度20℃/Hrで温度30℃まで冷却し、脱水しながら、アジピン酸を晶析成分として析出させた(晶析工程5)。次いで、温度30℃に維持したまま、ろ過装置を用いてアジピン酸を含む晶析成分と非晶析成分(グルタル酸、コハク酸などの副生物)とを濾別し、晶析成分を水200gを用いて洗浄した(ろ過及び洗浄工程6)。晶析成分を温度100℃、圧力1.3kPa.Aで5時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたアジピン酸の純度は、99.78%であった。
なお、第2晶析工程で濾別された非晶析成分を、抽出溶媒メチルt−ブチルエーテル20gを用いて温度30℃、常圧下で抽出し、副生したコハク酸及びグルタル酸を含む有機相と晶析溶媒、水などを含む水相とに分離し、水相は、前記再溶解工程に再利用した。
(4)触媒及び副生物の分離工程
第1晶析工程で濾別された非晶析成分を、温度20℃で、デカンターにて、水相と有機相とに分液した(分液工程9)。シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、酢酸シクロヘキシルを含む有機相の一部は、反応系にリサイクルし、他の一部は蒸留塔(段数:20段)に供給され、圧力13.3kPa.A、還流比10で還流させながら蒸留した。塔頂のシクロヘキサンと、サイドカットにより分離されたシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、酢酸シクロヘキシルは、そのまま反応系にリサイクルした。また、塔底の高沸点成分は焼却した。一方、触媒、溶媒(酢酸)、副生水を含む水相を、蒸発器を用いて、圧力13.3kPa.Aで低沸点成分(溶媒、副生水)を留出させて、高沸点成分(触媒)を分離した(蒸発又は蒸留工程14)。低沸点成分は、蒸留塔(60段)に供給し、常圧下、還流比10で還流させながら、水と酢酸とを分離した(蒸留工程20)。得られた水は、後述の助触媒抽出工程に再利用し、酢酸は、助触媒再生工程に再利用した。
一方、蒸発工程14で分離された高沸点成分に、水5gを添加して、温度20℃に保ち、助触媒を含む水相と、酸化触媒(フタル酸、フタル酸イミドなどの失活した酸化触媒を含む)を含み、かつ析出物を含む有機相をろ過装置を用いて濾別し、濾液をデカンターにて、有機相と水相とに分離した。助触媒を含む水相に、温度20℃で、20重量%炭酸ナトリウム水溶液10gを添加し、金属成分を炭酸塩として析出させ、濾別した(中間生成物工程17及びろ過工程18)。得られた炭酸塩に、酢酸10gを温度40℃で添加し、助触媒(酢酸塩)を再生し、反応系にリサイクルした(助触媒再生工程19)。なお、ろ過工程18で得られた濾液は、抽出工程15にリサイクルした。
実施例4
図4のフロー図に従ってアジピン酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にシクロヘキサン180g、アセトアルデヒド0.7g、N−ヒドロキシフタルイミド0.7g、コバルトアセチルアセトナート0.6g、酢酸コバルト1g、酢酸220gを仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度110℃で20分反応させた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は65%、アジピン酸の選択率は72%で収率47%であった。
(2)濃縮工程
反応混合物を、温度60℃で、圧力を常圧から13kPa.Aにして、低沸点成分(シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、酢酸、水)を蒸発させた(蒸留又は蒸発工程12)。なお、低沸点成分は、シクロヘキサンを含む有機相と酢酸を含む水相に分液後、そのまま反応系にリサイクルするとともに、水相の一部を蒸留塔(段数60段)を用いる蒸留又は蒸発工程13に供され、蒸留塔の塔頂から留出した水は、後述する再溶解工程の溶媒として利用し、塔底から留出した酢酸を含む缶出液は、そのまま反応系にリサイクルした。なお、蒸留は、30の還流比で留出分を還流させながら行った。
(3)第1の晶析工程
濃縮物を晶析槽に仕込み、常圧下、反応混合物の温度を60℃から冷却速度20℃/Hrで20℃まで冷却し、1時間放置し、アジピン酸を含む晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度20℃で晶析成分と非晶析成分とを濾別した。晶析成分には、アジピン酸やグルタル酸及びコハク酸などの高沸点副生物が含まれており、非晶析成分には、酸化触媒、助触媒、酢酸などが含まれている。得られた残渣を、酢酸60gを用いて、温度20℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。
(4)第2の晶析工程
得られた残渣に、水450gを添加して、温度85℃で再溶解させ(再溶解工程4)、次いで圧力4.7kPa.A、温度を85℃から冷却速度20℃/Hrで温度30℃まで冷却し、脱水しながら、アジピン酸を晶析成分として析出させた(晶析工程5)。次いで、温度30℃に維持したまま、ろ過装置を用いて晶析成分と非晶析成分(グルタル酸、コハク酸)とを濾別し、晶析成分を水220gを用いて洗浄した(ろ過及び洗浄工程6)。晶析成分を温度100℃、圧力1.3kPa.Aで5時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたアジピン酸の純度は、99.81%であった。
なお、第2晶析工程で濾別された非晶析成分を、抽出溶媒メチルt−ブチルエーテル20gを用いて温度30℃、常圧下で抽出し、副生したコハク酸及びグルタル酸を含む有機相と晶析溶媒、水などを含む水相とに分離し、水相は、前記再溶解工程に再利用した。
(5)触媒及び副生物の分離工程
第1晶析工程で濾別された非晶析成分を、蒸発器を用いて、圧力2.0kPa.Aで酢酸を留出させて、高沸点成分(触媒など)を分離した(蒸発又は蒸留工程14)。酢酸は、後述する助触媒再生工程に再利用した。一方、高沸点成分(触媒を含む)に、5gを添加して、温度20℃に保ち、金属成分で構成された助触媒を含む水相と、酸化触媒(失活した酸化触媒を含む)を含み、かつ析出物を含む有機相をろ過装置にて、濾別し、濾液をデカンターにて、有機相と水相とに分離する。助触媒を含む水相に、温度20℃で、20重量%炭酸ナトリウム水溶液10gを添加し、金属成分を炭酸塩として析出させ、濾別した(中間生成物工程17及びろ過工程18)。得られた炭酸塩に、酢酸10gを温度40℃で添加し、助触媒(酢酸塩)を再生し、反応系にリサイクルした(助触媒再生工程19)。なお、ろ過工程18で得られた濾液は、抽出工程15にリサイクルした。
実施例5
図5のフロー図に従ってアジピン酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にシクロヘキサン520g、N−ヒドロキシフタルイミド2g、マンガンアセチルアセトナート3g、酢酸コバルト0.3gを仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度100℃で1時間反応させた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は15%、アジピン酸の選択率は53%で収率8%であった。
(2)第1の晶析工程
次いで、反応混合物を晶析槽に仕込み、常圧下、反応混合物の温度を100℃から冷却速度20℃/Hrで10℃まで冷却し、1時間放置し、アジピン酸及び酸化触媒を含む晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度10℃で晶析成分と非晶析成分とを濾別した。晶析成分には、アジピン酸やグルタル酸及びコハク酸などの高沸点副生物、酸化触媒が含まれており、非晶析成分には、助触媒、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシルなどの低沸点副生物、水などが含まれている。得られた残渣を、水100gを用いて、温度10℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。
(3)第2の晶析工程
得られた残渣に、水200gを添加して、温度85℃で再溶解させ(再溶解工程4)、析出物(酸化触媒、フタル酸及びフタル酸イミドなどの変質した酸化触媒)をろ過装置にて、温度85℃で濾別し、残渣を水5gで洗浄した。酸化触媒を含む残渣は、そのまま焼却処理に供した。また、濾別された濾液(アジピン酸を含む)は、続いて晶析槽に供給され、圧力4.7kPa.A、温度を85℃から冷却速度20℃/Hrで温度30℃まで冷却し、脱水しながら、アジピン酸を晶析成分として析出させた(晶析工程5)。次いで、温度30℃を維持したまま、ろ過装置を用いて晶析成分と非晶析成分(グルタル酸、コハク酸など)とを濾別し、晶析成分を水100gを用いて洗浄した(ろ過及び洗浄工程6)。晶析成分を温度100℃、圧力1.3kPa.Aで、5時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたアジピン酸の純度は、99.75%であった。
なお、第2晶析工程で濾別された非晶析成分を、抽出溶媒メチルt−ブチルエーテル20gを用いて温度30℃、常圧下で抽出し、副生したコハク酸及びグルタル酸を含む有機相と晶析溶媒、水などを含む水相とに分離し、水相は、前記再溶解工程に再利用した。
(4)触媒及び副生物の分離工程
第1晶析工程で濾別された非晶析成分を、温度10℃で、デカンターにて、水相と有機相とに分液した(分液工程9)。助触媒、洗浄溶媒を含む水相は、そのまま反応系にリサイクルする。また、水相の一部は、陰イオン交換樹脂を用いて、温度10℃で助触媒を含む吸着成分を回収し反応系にリサイクルした。また、副生水を含む非吸着成分は、蒸発器を用いて、圧力13kPa.Aで脱高沸後、ろ過及び洗浄工程3に再利用した。
一方、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、酢酸シクロヘキシルを含む有機相を反応系に再利用するとともに、蒸発器を用いて、圧力13kPa.Aで、低沸点成分(シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、酢酸シクロヘキシル)と、高沸点成分(残存する触媒など)とを分離し、低沸点成分は、反応系にリサイクルした。
実施例6
図6のフロー図に従ってアジピン酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にシクロヘキサン520g、N−ヒドロキシフタルイミド2g、マンガンアセチルアセトナート3g、酢酸コバルト0.3gを仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度100℃で1時間反応させた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は15%、アジピン酸の選択率は53%で収率8%であった。
(2)濃縮工程
反応混合物を、温度80℃、常圧下、低沸点成分(シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、水)を蒸発させた(蒸留又は蒸発工程12)。なお、低沸点成分は、シクロヘキサンを含む有機相と水相とに分液後、有機相をそのまま反応系にリサイクルする。
(3)第1の晶析工程
濃縮物を晶析槽に仕込み、常圧下、反応混合物の温度を80℃から冷却速度20℃/Hrで10℃まで冷却し、1時間放置し、アジピン酸及び酸化触媒を含む晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度10℃で晶析成分と非晶析成分とを濾別した。晶析成分には、アジピン酸やグルタル酸及びコハク酸などの高沸点副生物、酸化触媒が含まれており、非晶析成分には、助触媒、残存する低沸点副生物及び基質、水などが含まれている。得られた残渣を、水100gを用いて、温度10℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。
(4)第2の晶析工程
得られた残渣に、水200gを添加して、温度85℃で再溶解させ(再溶解工程4)、析出物(酸化触媒、変質した酸化触媒)をろ過装置にて、温度85℃で濾別し、残渣を水5gで洗浄した。酸化触媒を含む残渣は、そのまま焼却処理に供した。また、濾別された濾液(アジピン酸を含む)は、続いて晶析槽に供給され、
圧力4.7kPa.A、温度を85℃から冷却速度20℃/Hrで温度30℃まで冷却し、脱水しながら、アジピン酸を晶析成分として析出させた(晶析工程5)。次いで、温度30℃を維持したまま、ろ過装置を用いて晶析成分と非晶析成分(グルタル酸、コハク酸)とを濾別し、晶析成分を、水100gを用いて洗浄した(ろ過及び洗浄工程6)。晶析成分を温度100℃、圧力1.3kPa.Aで、5時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたアジピン酸の純度は、99.77%であった。
なお、第2晶析工程で濾別された非晶析成分を、抽出溶媒メチルt−ブチルエーテル20gを用いて温度30℃、常圧下で抽出し、副生したコハク酸及びグルタル酸を含む有機相と晶析溶媒、水などを含む水相とに分離し、水相は、前記再溶解工程に再利用した。
(5)触媒及び副生物の分離工程
第1晶析工程で濾別された非晶析成分を、温度10℃で、デカンターにて、水相と有機相とに分液した(分液工程9)。助触媒、洗浄溶媒、水を含む水相は、そのまま反応系にリサイクルする。また、水相の一部は、陰イオン交換樹脂を用いて、温度10℃で助触媒を含む吸着成分を回収し反応系にリサイクルした。また、非晶析成分は、蒸発器を用いて、圧力13kPa.Aで脱高沸後、ろ過及び洗浄工程に再利用した。
一方、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、酢酸シクロヘキシルを含む有機相を反応系に再利用するとともに、蒸発器を用いて、圧力13kPa.Aで、低沸点成分(シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、酢酸シクロヘキシル)と、高沸点成分(残存する触媒など)とを分離し、低沸点成分は、反応系にリサイクルした。
実施例7
図7のフロー図に従ってテレフタル酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にパラキシレン8g、N−ヒドロキシフタルイミド2.46g、酢酸コバルト0.0948、酢酸マンガン0.092g、酢酸189.36gを仕込み、空気80NL/Hrの流通下、圧力4MPa、温度100℃で反応させた。反応混合液中の生成物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、パラキシレンの転化率は98%、テレフタル酸の選択率は85%で収率83%であった。
(2)第1晶析工程
次いで、反応混合物を晶析槽に仕込み、温度100℃で、テレフタル酸を含む晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度100℃で晶析成分と非晶析成分とを濾別した。晶析成分には、テレフタル酸、副生物が含まれており、非晶析成分には、酸化触媒及び失活した酸化触媒(変質物)、副生物、助触媒、キシレン、酢酸、水などが含まれている。得られた晶析成分を酢酸12gを用いて、温度100℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。湿結晶を温度100℃、圧力1.3kPa.Aで9時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたテレフタル酸の純度は、99.70%で、酸化触媒及び失活した酸化触媒は検出されなかった。
(3)触媒及び副生物の分離工程
第1晶析工程でろ別された非晶析成分を、蒸発器を用いて、圧力13.3kPa.Aで低沸点成分(溶媒、副生水)を留去させて、高沸点成分(酸化触媒及びその変質物、副生物、助触媒など)を分離した(蒸発又は蒸留工程14)。低沸点成分は、蒸留塔(60段)に供給し、常圧下、還流比10で還流させながら、水と酢酸とを分離した(蒸留工程20)。水は、後述の助触媒抽出工程に再利用し、酢酸は、反応及び助触媒再生工程に再利用した。
一方、蒸発工程14で分離された高沸点成分に、水5gを添加して、温度30℃に保ち、金属成分で構成された助触媒(一部酸化触媒及びその変質物を含む)を含む水相と、酸化触媒(その変質物を含む)を含み、かつ析出物を含む有機相をろ過装置にて、濾別し、濾液をデカンターにて有機相と水相とに分離する。水相に、温度30℃で、20重量%炭酸ナトリウム水溶液10gを添加し、金属成分を炭酸塩として析出させ、濾別した(中間生成物工程17及びろ過工程18)。濾液(水、酸化触媒及びその変質物など)は廃棄した。得られた炭酸塩に、酢酸10gを温度30℃で添加し、助触媒(酢酸塩)を再生し、反応系にリサイクルした(助触媒再生工程19)。
実施例8
図7のフロー図に従ってテレフタル酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にパラキシレン12g、N−アセトキシフタルイミド1.16g、酢酸コバルト0.113g、酢酸マンガン0.278g、酢酸106.5gを仕込み、60%酸素(窒素バランス)で圧力5MPaに昇圧し、温度150℃で反応させた。反応混合液中の生成物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、パラキシレンの転化率は100%、テレフタル酸の選択率は90%で収率90%であった。
(2)第1晶析工程
次いで、反応混合物を晶析槽に仕込み、温度80℃で、テレフタル酸を含む晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度80℃で晶析成分と非晶析成分とをろ別した。晶析成分には、テレフタル酸、副生物が含まれており、非晶析成分には、酸化触媒及びその変質物、副生物、助触媒、キシレン、酢酸、水などが含まれている。得られた晶析成分を酢酸25gを用いて、温度80℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。湿結晶を温度80℃、圧力1.3kPa.Aで9時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたテレフタル酸の純度は99.75%で、酸化触媒及びその変質物は検出されなかった。
(3)触媒及び副生物の分離工程
第1晶析工程でろ別された非晶析成分を、蒸発器を用いて、圧力13.3kPa.Aで低沸点成分(溶媒、副生水)を留去させて、高沸点成分(酸化触媒及びその変質物、副生物、助触媒など)を分離した(蒸発または蒸留工程14)。低沸点成分は、蒸留塔(60段)に供給し、常圧下、還流比10で還流させながら、水と酢酸とを分離した(蒸留工程20)。水は、後述の助触媒抽出工程に再利用し、酢酸は、反応及び助触媒再生工程に再利角した。
一方、蒸発工程14で分離された高沸点成分に、水2gを添加して、温度30℃に保ち、金属成分で構成された助触媒(一部酸化触媒及びその変質物含む)を含む水相と、酸化触媒(その変質物を含む)を含み、かつ析出物を含む有機相をろ過装置にてろ別し、ろ液をデカンターにて有機相と水相とに分離する。水相に、温度30℃で、20重量%炭酸ナトリウム水溶液10gを添加し、金属成分を炭酸塩として析出させ、ろ別した(中間生成工程17及びろ過工程18)。ろ液(水、酸化触媒及びその変質物など)は廃棄した。得られた炭酸塩に、酢酸10gを温度30℃で添加し、助触媒(酢酸塩)を再生し、反応系にリサイクルした(助触媒再生工程19)。
実施例9
図8のフロー図に従ってテレフタル酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にパラキシレン12g、N−アセトキシフタルイミド0.38g、酢酸コバルト0.113g、酢酸マンガン0.278g、酢酸106.5gを仕込み、50%酸素(窒素バランス)で圧力4MPaに昇圧し、温度150℃で反応させた。
反応工程2において、反応工程1の粗液にN−アセトキシフタルイミド0.39gを添加し、50%酸素(窒素バランス)で圧力4MPaに昇圧し、温度150℃で反応させた。
反応工程3において、反応工程2の粗液にN−アセトキシフタルイミド0.39gを添加し、50%酸素(窒素バランス)で圧力4MPaに昇圧し、温度150℃で反応させた。反応混合液中の生成物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、パラキシレンの転化率は91%、テレフタル酸の選択率は97%で収率88%であった。
これ以降の精製条件は実施例8と同様の条件で行ったところ、得られたテレフタル酸の純度は99.81%で、酸化触媒及びその変質物は検出されなかった。
実施例10
図9のフロー図に従ってテレフタル酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にパラキシレン12g、酢酸コバルト0.113g、酢酸マンガン0.278g、酢酸106.5gを仕込み、50%酸素(窒素バランス)で圧力4MPaに昇圧し、温度150℃で反応させた。
反応工程2において、反応工程1の粗液にN−アセトキシフタルイミド0.39gを添加し、50%酸素(窒素バランス)で圧力4MPaに昇圧し、温度150℃で反応させた。
反応工程3において、反応工程2の粗液にN−アセトキシフタルイミド0.39gを添加し、50%酸素(窒素バランス)で圧力4MPaに昇圧し、温度150℃で反応させた。反応混合液中の生成物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、パラキシレンの転化率は88%、テレフタル酸の選択率は96%で収率84%であった。
これ以降の精製条件は実施例8と同様の条件で行ったところ、得られたテレフタル酸の純度は99.79%で、酸化触媒及びその変質物は検出されなかった。
実施例11
図10のフロー図に従ってテレフタル酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にパラキシレン118.5g、酢酸コバルト0.113g、酢酸マンガン0.278gを仕込み、50%酸素(窒素バランス)で圧力4MPaに昇圧し、温度150℃で反応させた。
反応工程2において、反応工程1の粗液をろ過により得られた結晶成分を酢酸106.5gに溶解させ、N−アセトキシフタルイミド0.39gを添加し、50%酸素(窒素バランス)で圧力4MPaに昇圧し、温度150℃で反応させた。
反応工程3において、反応工程2の粗液にN−アセトキシフタルイミド0.39gを添加し、50%酸素(窒素バランス)で圧力4MPaに昇圧し、温度150℃で反応させた。反応混合液中の生成物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、パラキシレンの転化率は87%、テレフタル酸の選択率は96%で収率83%であった。
これ以降の精製条件は実施例8と同様の条件で行ったところ、得られたテレフタル酸の純度は99.77%で、酸化触媒及びその変質物は検出されなかった。
実施例12
反応工程1において、反応装置にシクロヘキサン50g、アセトアルデヒド0.85g、N−ヒドロキシフタルイミド0.01g、コバルトアセチルアセトナート0.02g、酢酸コバルト0.01g、酢酸550g(含水量55g)を仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度100℃で20分反応させた。なお、反応系の水分濃度は、反応系全体に対して、9.1重量%であった。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は62%、アジピン酸の選択率は65%で収率40%であった。
得られた反応混合物を、実施例1と同様に分離精製したところ、得られたアジピン酸の純度は99.81%であった。
実施例13
反応工程1において、反応装置にシクロヘキサン50g、アセトアルデヒド0.85g、N−ヒドロキシフタルイミド0.01g、コバルトアセチルアセトナート0.02g、酢酸コバルト0.01g、酢酸550g(含水量192g)を仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度100℃で20分反応させた。なお、反応系の水分濃度は、反応系全体に対して、31.9重量%であった。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は49%、アジピン酸の選択率は35%で収率17%であった。
得られた反応混合物を、実施例1と同様に分離精製したところ、得られたアジピン酸の純度は90.72%であった。
図1は、本発明の方法を説明するためのフロー図である。 図2は、本発明の他の方法を説明するためのフロー図である。 図3は、本発明のさらに他の方法を説明するためのフロー図である。 図4は、本発明の別の方法を説明するためのフロー図である。 図5は、本発明の他の方法を説明するためのフロー図である。 図6は、本発明のさらに他の方法を説明するためのフロー図である。 図7は、本発明の別の方法を説明するためのフロー図である。 図8は、本発明のさらに別の方法を説明するためのフロー図である。 図9は、本発明の他の方法を説明するためのフロー図である。 図10は、本発明のさらに他の方法を説明するためのフロー図である。
1…反応工程
2,5…晶析工程
3,6…ろ過及び洗浄工程
8……抽出工程
12…蒸留又は蒸発工程

Claims (7)

  1. 下記式(I)
    【化1】
    Figure 0005345266
    (式中、Xは酸素原子、ヒドロキシル基又はアシルオキシ基を示す)
    で表されるイミド単位を有する酸化触媒を用いて、基質としてのシクロアルカン類又はキシレンから、前記基質に対応する脂肪族ジカルボン酸又は芳香族カルボン酸を製造する方法であって、
    (A)前記酸化触媒、および助触媒としての金属化合物の存在下、溶媒としての有機酸の存在下で、前記基質と酸素とを接触させる反応工程と、
    (B)反応混合物から、前記反応工程で生成したカルボン酸と前記酸化触媒と副生物とを分離する分離工程とを含み、
    前記分離工程(B)において、冷却晶析により、反応混合物から、少なくともカルボン酸を含む成分と、酸化触媒、助触媒及び副生物を含む非晶析成分とを分離し、
    この非晶析成分から、副生物に含まれるカルボン酸前駆体と、助触媒とをそれぞれ別々に分離し、分離したカルボン酸前駆体と、助触媒とをそれぞれ反応系にリサイクルするものであり、
    カルボン酸前駆体については、分配、晶析、吸着、加水分解、ケン化、中和、ろ過、蒸留、乾燥又はこれらを組合せた操作により、助触媒については、分配、晶析、吸着、ろ過、乾燥又はこれらを組み合わせた操作により、それぞれ分離するカルボン酸の製造方法。
  2. 反応混合物を第1の晶析工程に供し、少なくともカルボン酸を含む成分を晶析成分として分離し、この晶析成分を第2の晶析工程に供し、カルボン酸を含む晶析成分と、残存する副生物を含む非晶析成分とを分離する請求項1記載の製造方法。
  3. 第1の晶析工程で分離された非晶析成分から、分配、晶析、吸着、ろ過、乾燥又はこれらを組合せた操作により、酸化触媒を分離して、反応系にリサイクルする請求項記載の製造方法。
  4. 分離工程(B)に先だって反応混合物を濃縮工程に供し、溶媒を分離する請求項1記載の製造方法。
  5. 分離した溶媒を反応系にリサイクルする請求項記載の製造方法。
  6. シクロアルカン類がシクロヘキサンである請求項1記載の製造方法。
  7. 酸化触媒が、式(II)で表されるイミド化合物を含む請求項1記載の製造方法。
    【化2】
    Figure 0005345266
    (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1及びR2は互いに結合して二重結合、あるいは芳香族性又は非芳香族性環を形成してもよく、R1 及びR2により形成される芳香族性又は非芳香族性環は、前記式(I)で示されるイミド単位を少なくとも1つ有していてもよい。Xは酸素原子、ヒドロキシル基又はアシルオキシ基を示す。
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