JP5345266B2 - カルボン酸の製造方法 - Google Patents
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Description
(A)前記酸化触媒の存在下、前記基質と酸素とを接触させる反応工程と、
(B)反応混合物から、前記反応工程で生成したカルボン酸と前記酸化触媒と副生物とを分離する分離工程とを含んでいる。(B)分離工程において、晶析により、反応混合物から、少なくともカルボン酸を含む成分と、酸化触媒及び副生物から選択された少なくとも1種を含む成分とを分離してもよい。反応混合物を第1の晶析工程に供し、少なくともカルボン酸を含む成分を晶析成分として分離し、この晶析成分を第2の晶析工程に供し、カルボン酸を含む晶析成分と、残存する副生物を含む非晶析成分とを分離してもよい。第2の晶析工程に先立って、第1の晶析工程で得られた晶析成分を、カルボン酸及び酸化触媒に対する溶解度が異なる溶媒に溶解させ、カルボン酸を含む成分と酸化触媒を含む成分とを分離してもよい。第1の晶析工程で分離された晶析成分又は非晶析成分から、分配、晶析、吸着、ろ過、乾燥又はこれらを組合せた操作により、酸化触媒を分離して、反応系にリサイクルしてもよい。反応混合物を第1の晶析工程に供し、副生物を含む成分を非晶析成分として分離し、この非晶析成分から、分配、晶析、吸着、加水分解、ケン化、中和、ろ過、蒸留、乾燥又はこれらを組合せた操作により、カルボン酸前駆体を分離して、反応系にリサイクルしてもよい。溶媒の存在下で反応させ、分離工程(B)に先だって反応混合物を濃縮工程に供し、溶媒を分離してもよい。分離した溶媒を反応系にリサイクルしてもよい。シクロアルカン類は、シクロヘキサンであってもよく、メチル基含有芳香族炭化水素類は、キシレンであってもよい。さらに助触媒を用いてもよい。また、反応系の水分量は、反応系全体に対して、30重量%以下であるのが好ましい。
反応工程において、前記式(I)で表される酸化触媒(必要により助触媒を含む触媒系)の存在下、基質(シクロアルカン類又はメチル基含有芳香族炭化水素類)を酸素と接触させることにより、カルボン酸(脂肪族ジカルボン酸又は芳香族カルボン酸)を生成させる。
酸化触媒としては、式(I)で表されるイミド単位を有する化合物(以下、単にイミド化合物という場合がある)が使用できる。
アシルオキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ(アセトキシ)、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシなどの炭素数1〜6程度のアシルオキシ基(好ましくはC1-4アシルオキシ基、特にアセチルオキシ基)が含まれる。
前記式(II)の化合物において、置換基R1及びR2のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素及びフッ素が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基、特にC1-4アルキル基)が含まれる。
置換基R3〜R6において、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ハロゲン原子としては、前記と同様の基又は原子が例示できる。置換基R3〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。
前記イミド化合物は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンNH2OHとを反応させて酸無水物基を開環した後、閉環してイミド化することにより調製できる。より具体的には、酸化触媒がN−ヒドロキシフタルイミドの場合、触媒原料として無水フタル酸とヒドロキシルアミンを使用し、反応で生成する水を除去しながら、反応蒸留により酸化触媒を製造してもよい。酸化触媒の製造は、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。
なお、酸化触媒原料のヒドロキシルアミンは、例えば、次のようにして製造できる。
前記式(I)のイミド化合物と助触媒とを併用してもよい。
触媒溶液調製工程では、所定の触媒濃度に調整するため、前記酸化触媒を、他の成分(例えば、シクロアルカンなどの基質、助触媒、溶媒など)と混合することにより、触媒溶液を調製できる。なお、触媒溶液は、各成分が完全に溶解していてもよく、分散系であってもよい。
シクロアルカン類としては、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、クロロシクロヘキサン、メトキシシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロドデカン、シクロペンタデカン、シクロオクタデカンなどのC4-20シクロアルカン(好ましくはC4-16シクロアルカン、さらに好ましくはC4-10シクロアルカン)などが挙げられる。これらのシクロアルカン類は、−種で又は二種以上組合わせて使用してもよい。
メチル基含有芳香族炭化水素類は、少なくとも一つ(例えば、1〜10、好ましくは1〜8個程度)のメチル基が芳香族性環に置換した化合物であればよく、芳香族性環は、芳香族性炭化水素環、芳香族性複素環のいずれであってもよい。メチル基含有芳香族炭化水素類には、例えば、トルエン、(o−,m−,p−)キシレン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、4−t−ブチル−1−メチルベンゼン、2−メトキシ−1−メチルベンゼン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、1,5−ジメチルナフタレン、2,5−ジメチルナフタレンなどの1〜6個程度のメチル基が置換した芳香族炭化水素類又はジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジベンジル、スチルベンなどのジ又はトリアリール−C1-3アルカンなどが挙げられる。好ましいメチル基含有芳香族性炭化水素類には、メチル基の置換数が、分子中1〜4個(特に1〜2個)程度のC6-10芳香族炭化水素類(特に、キシレン)などが含まれる。特に好ましいメチル基含有芳香族炭化水素類は、パラキシレンである。
反応は、酸素雰囲気下で行われる。酸素源としては、特に制限されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素を使用してもよい。操作性及び安全性のみならず経済性などの点から、空気を使用するのが好ましい。酸素の使用量は、基質の種類に応じて選択でき、通常、基質1モルに対して、0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50モル程度である。
本発明の反応は、反応に不活性な有機溶媒の存在下又は非存在下で行なうことができる。有機溶媒としては、例えば、酢酸、プロピオン酸などの有機酸;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、ジクロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;水;これらの混合溶媒などが挙げられる。溶媒としては、有機酸、ハロゲン化炭化水素、ニトリル類、エステル類を用いる場合が多い。なお、基質(シクロアルカンなど)を溶媒として用いてもよい。
分離工程(B)では、目的生成物のカルボン酸と、酸化触媒と、副生物とを分離している。前記成分の分離は、通常、晶析を利用して、少なくともカルボン酸を含む成分と他の成分とを分離する(第1の晶析工程)。晶析は、冷却による晶析や晶析溶媒を用いる晶析(溶媒晶析)などにより行うことができる。また、減圧することによって、晶析操作を行ってもよい。このような晶析を利用すると、晶析成分と非晶析成分とを、ろ過などの簡単な操作で分離できる。なお、晶析方法によって、カルボン酸は、晶析成分又は非晶析成分に含まれる場合があるが、通常、晶析成分に含まれている。
第1の晶析工程では、反応混合物を、晶析成分と非晶析成分とに分別している。図1の例では、反応工程1からの反応混合物を冷却して晶析成分を晶析させ(晶析工程2)、ろ過及び洗浄工程3において、晶析成分と非晶析成分とを濾別している。晶析成分には、通常、目的化合物であるカルボン酸や高沸点副生物が含まれ、非晶析成分には、触媒(酸化触媒及び助触媒、触媒変質物を含む)、低沸点副生物、未反応原料、溶媒を使用した場合には反応溶媒などが含まれている。
第2の晶析工程では、晶析成分から、カルボン酸を分離精製している。図1の例では、ろ過工程3からの残渣に、再溶解溶媒を添加して再溶解させ(再溶解工程4)、晶析成分を析出させて(晶析工程5)、析出した晶析(析出)成分をろ過して洗浄し(ろ過及び洗浄工程6)、乾燥させて(乾燥工程7)、カルボン酸を分離精製している。なお、晶析工程5は、減圧下で、溶媒を除去しながら、晶析成分を析出させてもよい。図1の例では、晶析工程5の晶析成分には、目的生成物のカルボン酸が含まれ、非晶析成分には、副生した有機カルボン酸(炭素数が基質より少ないジカルボン酸などの高沸点副生物)などが含まれている。また、前記乾燥工程7では、残存する洗浄溶媒などを除去している。
(高沸点副生物の分離)
第2の晶析工程で濾別された非晶析成分には、再溶解溶媒や高沸点副生物(基質と異なる炭素数を有する有機カルボン酸など)などが含まれている場合が多い。そのため、前記非晶析成分を、晶析工程5に戻し、晶析操作を繰り返してもよく、抽出操作を利用して、再溶解溶媒と高沸点副生物を含む成分とに分離する。図1の例では、ろ過及び洗浄工程6で濾別された非晶析成分に抽出溶媒を用いる抽出工程8に供し、高沸点副生物を分離している。
第1の晶析工程で分離された非晶析成分には、酸化触媒(NHPI)、変質した酸化触媒(フタル酸、フタルイミドなど)、助触媒、基質、低沸点副生物(カルボン酸前駆体)、溶媒(酢酸)、副生した水などが含まれている。そこで、触媒及び副生物の分離工程(C1)では、前記非晶析成分を、少なくとも副生物を含む成分と、少なくとも触媒(酸化触媒、変質した酸化触媒、助触媒)を含む成分とに分離し、反応に有効な成分(触媒、カルボン酸前駆体など)を、必要により再生して、反応系にリサイクルしている。
(分液工程)
分液工程9での分液操作は、慣用の方法により行われ、例えば、温度−20℃〜200℃、好ましくは0〜150℃(例えば、5〜120℃)、さらに好ましくは10〜100℃(例えば、10〜80℃)程度の範囲、庄力0.13kPa.A〜2MPa、好ましくは1.3kPa.A〜1MPa程度の範囲で行われる。なお、分液性又は抽出性を高めるため、慣用の抽出溶媒、例えば、水及び/又は疎水性溶媒(炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、ニトリル類など)を使用してもよいが、図1の例では、非晶析成分を静置により分液している。
(吸着工程)
吸着工程10では、酸化触媒を含む非吸着成分と助触媒を含む吸着成分とを分離している。吸着は、慣用の方法、例えば、金属成分を選択的に吸着するイオン交換樹脂(陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂など)などを用いて、温度−20℃〜200℃、好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは10〜100℃程度で、常圧、減圧又は加圧下で行われる。
(蒸留又は蒸発工程)
蒸留は、通常、蒸留塔を用いて行われ、蒸留塔の段数は、例えば、1〜100段、好ましくは5〜80段、さらに好ましくは10〜70段、特に10〜60段程度であってもよい。蒸留操作は、低沸点成分(例えば、低沸点溶媒など)の種類に応じて、塔頂温度−20℃〜300℃(好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜200℃、特に40〜200℃)程度、塔底温度20〜400℃、好ましくは30〜300℃、さらに好ましくは50〜250℃程度、圧力0.13kPa.A〜2MPa、好ましくは1.3kPa.A〜1MPa程度で行うことができる。また、適当な還流比(例えば、0.01〜50、好ましくは0.1〜40,さらに好ましくは1〜30程度)で留出分を還流させながら行うことができる。
濃縮工程では、反応混合物から、低沸点成分を留出させて濃縮している。図2の例では、反応工程1の反応混合物を蒸留(又は蒸発)工程12に供し、低沸点成分と高沸点成分とを分離している。通常、低沸点成分には、未反応基質や反応溶媒(酢酸)、副生した水などが含まれている場合が多く、低沸点副生物(例えば、シクロアルカノンなどのケトン類、シクロアルカノールなどのアルコール類又はそのエステル(酢酸シクロアルキル)など)が含まれている場合もある。また、高沸点成分にはカルボン酸、触媒(酸化触媒、変質した酸化触媒、助触媒)、高沸点の副生物(有機カルボン酸など)、残存する反応溶媒などが含まれている。
分離工程(C2)では、分液工程で分離された水相(酸化触媒、助触媒、さらには変質した酸化触媒などの触媒、溶媒(酢酸)、副生水など)から、有効成分(助触媒など)を分離精製する。なお、この例では、溶媒として酢酸を使用しているため、酸化触媒(NHPI)は、水相中の酢酸濃度が高いため、水相に移行している。図3の例では、分液工程9で分液された水相を、蒸留又は蒸発工程14に供し、低沸点成分と高沸点成分とを分離している。低沸点成分には、通常、溶媒や副生した水などが含まれており、高沸点成分には、酸化触媒(失活又は変質した酸化触媒も含む)及び助触媒が含まれている。高沸点成分から助触媒を回収するため、高沸点成分は助触媒再生工程に供される。なお、低沸点成分(溶媒や副生した水など)は、蒸留工程20に供され、さらに水と溶媒とを分離している。回収された水は、後述する抽出工程15の抽出溶媒として使用してもよい。また、回収された溶媒(酢酸)は、そのまま反応系にリサイクルしてもよく、後述する助触媒再生工程19の再生成分として使用してもよい。
(助触媒再生工程)
助触媒再生工程では、高沸点成分から、失活した酸化触媒を分離し、有効成分(助触媒の金属成分)を回収して、反応系にリサイクルしている。図3の例では、蒸留又は蒸発工程14で得られた高沸点成分を、抽出溶媒(水など)を用いる抽出工程15に供し、分液及びろ過工程16において、助触媒を含む水相と酸化触媒や変質した酸化触媒を含む有機相に分別している。なお、酸化触媒やその変質物は、一部析出する場合もある。水相中の助触媒は、さらに中間生成物生成工程17において、中間生成物(例えば、炭酸塩などの弱酸塩)に変換して析出させ、ろ過工程18において析出した中間生成物を濾別している。析出した中間生成物は、必要により再生され(助触媒再生工程19)、反応系にリサイクルされる。ろ過工程18で分離された濾液は、必要により、抽出工程16にリサイクルしてもよい。
(酸化触媒再生工程)
反応により変質又は活性が低下した酸化触媒の再生は、変質した酸化触媒が、主に、イミド化合物に対応する多価カルボン酸又はその酸無水物(例えば、フタル酸イミド、無水フタル酸など)で構成されていることに着目して、ヒドロキシルアミン又は酸で処理又は反応させることにより触媒を再生できる。また、変質又は活性が低下した酸化触媒を、酸又はアルカリを用いて、多価カルボン酸又はその塩にし、必要に応じて、酸無水物に変換したのち、ヒドロキシルアミンで処理又は反応させることにより酸化触媒を再生してもよい。
[カルボン酸と酸化触媒とを分離する工程(B3)]
図5の例では、再溶解溶媒として水を用いて、酸化触媒を含む晶析成分を析出させ、カルボン酸を含む非晶析性成分とを濾別している。なお、他の溶媒を用いて、カルボン酸を含む成分を析出させ、酸化触媒を含む成分と分離してもよい。再溶解溶媒としては、カルボン酸と酸化触媒とで溶解度が異なる溶媒(例えば、水、アルコール類、炭化水素類など)が挙げられる。このような溶媒を用いると、溶解速度の遅い(不溶性)成分を析出させることができ、ろ過操作などの簡単な操作で、晶析成分(析出成分)と非晶析成分とを濾別できる。特定の溶媒を用いる再溶解操作、ろ過及び洗浄操作は、前記例示の再溶解操作と同様に行われる。
図1のフロー図に従ってアジピン酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にシクロヘキサン180g、アセトアルデヒド0.7g、N−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)0.7g、コバルトアセチルアセトナート0.6g、酢酸コバルト1g、酢酸220gを仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度110℃で20分反応させた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は65%、アジピン酸の選択率は72%で収率47%であった。
次いで、反応混合物を晶析槽に仕込み、常圧下、反応混合物の温度を110℃から冷却速度20℃/Hrで20℃まで冷却し、1時間放置し、アジピン酸を含む晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度20℃で晶析成分と非晶析成分とを濾別した。晶析成分には、アジピン酸やグルタル酸及びコハク酸などの高沸点副生物が含まれており、非晶析成分には、酸化触媒、助触媒、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシルなどの低沸点副生物、酢酸、水などが含まれている。得られた残渣を、シクロヘキサン180gを用いて、温度20℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。
得られた残渣に、水450gを添加して、温度85℃で再溶解させ(再溶解工程4)、次いで圧力4.7kPa.A、温度を85℃から冷却速度20℃/Hrで温度30℃まで冷却し、脱水しながら、アジピン酸を晶析成分として析出させた(晶析工程5)。次いで、温度30℃に維持したまま、ろ過装置を用いてアジピン酸を含む晶析成分と副生物を含む非晶析成分とを濾別し、晶析成分を水200gを用いて洗浄した(ろ過及び洗浄工程6)。晶析成分を温度100℃、圧力1.3kPa.Aで、5時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたアジピン酸の純度は、99.77%であった。
第1晶析工程で濾別された非晶析成分を、温度20℃で、デカンターにて、水相と有機相とに分液した(分液工程9)。シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、酢酸シクロヘキシルを含む有機相の一部は、反応系にリサイクルし、他の一部は蒸留塔(段数:20段)に供給され、圧力13.3kPa.A、還流比10で還流させながら蒸留した。塔頂のシクロヘキサンと、サイドカットにより分離されたシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、酢酸シクロヘキシルは、そのまま反応系にリサイクルした。また、塔底の高沸点成分は焼却した。一方、触媒、酢酸、副生水を含む水相は、陰イオン交換樹脂を用いて、温度20℃で助触媒を含む吸着成分を回収し反応系にリサイクルした。酸化触媒、酢酸及び副生水を含む非吸着成分は、蒸留塔(段数:60段)に供給され、圧力26kPa.Aで、還流比10で還流させながら蒸留した。サイドカットにより得られた酢酸はそのまま反応系にリサイクルされ。缶底から留出した酸化触媒及び変質した酸化触媒(フタル酸、フタル酸イミドなど)は焼却処理され、塔頂から留出した水は、前記再溶解工程の溶媒として利用した。
図2のフロー図に従ってアジピン酸を製造した。
(1)反応工程
反応装置にシクロヘキサン180g、アセトアルデヒド0.7g、N−ヒドロキシフタルイミド0.7g、コバルトアセチルアセトナート0.6g、酢酸コバルト1g、酢酸220gを仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度110℃で20分反応させた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は65%、アジピン酸の選択率は72%で収率47%であった。
反応混合物を、温度60℃で、圧力を常圧から13kPa.Aにして、低沸点成分(シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、酢酸、副生水)を蒸発させた(蒸留又は蒸発工程12)。なお、低沸点成分は、シクロヘキサンを含む有機相と酢酸を含む水相とに分液後、そのまま反応系にリサイクルするとともに、水相の一部を蒸留塔(段数60段)を用いる蒸留又は蒸発工程13に供され、蒸留塔の塔頂から留出した水は、後述する再溶解工程の溶媒として利用し、塔底からの酢酸を含む缶出液は、そのまま反応系にリサイクルした。なお、蒸留は、30の還流比で留出分を還流させながら行った。
濃縮物を晶析槽に仕込み、常圧下、反応混合物の温度を60℃から冷却速度20℃/Hrで20℃まで冷却し、1時間放置し、晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度20℃で晶析成分と非晶析成分とを濾別した。晶析成分には、アジピン酸やグルタル酸及びコハク酸などの高沸点副生物が含まれており、非晶析成分には、酸化触媒、助触媒、酢酸などが含まれている。得られた残渣を、酢酸60gを用いて、温度20℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。
得られた残渣に、水450gを添加して、温度85℃で再溶解させ(再溶解工程4)、次いで圧力4.7kPa.Aで、温度を85℃から冷却速度20℃/Hrで温度30℃まで冷却し、脱水しながら、アジピン酸を晶析成分としてを析出させた(晶析工程5)。次いで、温度30℃で維持したまま、ろ過装置を用いてアジピン酸と高沸点副生物(グルタル酸、コハク酸など)とを濾別し、晶析成分を水220gを用いて洗浄した(ろ過及び洗浄工程6)。晶析成分を温度100℃、圧力1.3kPa.Aで5時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたアジピン酸の純度は、99.82%であった。
第1晶析工程で濾別された非晶析成分(酸化触媒、助触媒、溶媒酢酸など)を、陰イオン交換樹脂を用いて、温度20℃で助触媒を含む吸着成分を回収し反応系にリサイクルした。酸化触媒、酢酸、溶媒を含む非吸着成分は、蒸発器を用いて、低沸点成分(酢酸)と高沸点成分(酸化触媒、高沸点不純物など)とを分離し、低沸点成分は、反応系にリサイクルし、高沸点成分は焼却処理した。
図3のフロー図に従ってアジピン酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にシクロヘキサン180g、アセトアルデヒド0.7g、N−ヒドロキシフタルイミド0.7g、コバルトアセチルアセトナート0.6g、酢酸コバルト1g、酢酸220gを仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度110℃で20分反応させた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は65%、アジピン酸の選択率は72%で収率47%であった。
次いで、反応混合物を晶析槽に仕込み、常圧下、反応混合物の温度を110℃から冷却速度20℃/Hrで20℃まで冷却し、1時間放置し、アジピン酸を含む晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度20℃で晶析成分と非晶析成分とを濾別した。晶析成分には、アジピン酸やグルタル酸及びコハク酸などの高沸点副生物が含まれており、非晶析成分には、酸化触媒、助触媒、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシルなどの低沸点副生物、酢酸、水などが含まれている。得られた残渣を、シクロヘキサン180gを用いて、温度20℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。
得られた残渣に、水450gを添加して、温度85℃で再溶解させ(再溶解工程4)、次いで圧力4.7kPa.A、温度を85℃から冷却速度20℃/Hrで温度30℃まで冷却し、脱水しながら、アジピン酸を晶析成分として析出させた(晶析工程5)。次いで、温度30℃に維持したまま、ろ過装置を用いてアジピン酸を含む晶析成分と非晶析成分(グルタル酸、コハク酸などの副生物)とを濾別し、晶析成分を水200gを用いて洗浄した(ろ過及び洗浄工程6)。晶析成分を温度100℃、圧力1.3kPa.Aで5時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたアジピン酸の純度は、99.78%であった。
第1晶析工程で濾別された非晶析成分を、温度20℃で、デカンターにて、水相と有機相とに分液した(分液工程9)。シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、酢酸シクロヘキシルを含む有機相の一部は、反応系にリサイクルし、他の一部は蒸留塔(段数:20段)に供給され、圧力13.3kPa.A、還流比10で還流させながら蒸留した。塔頂のシクロヘキサンと、サイドカットにより分離されたシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、酢酸シクロヘキシルは、そのまま反応系にリサイクルした。また、塔底の高沸点成分は焼却した。一方、触媒、溶媒(酢酸)、副生水を含む水相を、蒸発器を用いて、圧力13.3kPa.Aで低沸点成分(溶媒、副生水)を留出させて、高沸点成分(触媒)を分離した(蒸発又は蒸留工程14)。低沸点成分は、蒸留塔(60段)に供給し、常圧下、還流比10で還流させながら、水と酢酸とを分離した(蒸留工程20)。得られた水は、後述の助触媒抽出工程に再利用し、酢酸は、助触媒再生工程に再利用した。
図4のフロー図に従ってアジピン酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にシクロヘキサン180g、アセトアルデヒド0.7g、N−ヒドロキシフタルイミド0.7g、コバルトアセチルアセトナート0.6g、酢酸コバルト1g、酢酸220gを仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度110℃で20分反応させた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は65%、アジピン酸の選択率は72%で収率47%であった。
反応混合物を、温度60℃で、圧力を常圧から13kPa.Aにして、低沸点成分(シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、酢酸、水)を蒸発させた(蒸留又は蒸発工程12)。なお、低沸点成分は、シクロヘキサンを含む有機相と酢酸を含む水相に分液後、そのまま反応系にリサイクルするとともに、水相の一部を蒸留塔(段数60段)を用いる蒸留又は蒸発工程13に供され、蒸留塔の塔頂から留出した水は、後述する再溶解工程の溶媒として利用し、塔底から留出した酢酸を含む缶出液は、そのまま反応系にリサイクルした。なお、蒸留は、30の還流比で留出分を還流させながら行った。
濃縮物を晶析槽に仕込み、常圧下、反応混合物の温度を60℃から冷却速度20℃/Hrで20℃まで冷却し、1時間放置し、アジピン酸を含む晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度20℃で晶析成分と非晶析成分とを濾別した。晶析成分には、アジピン酸やグルタル酸及びコハク酸などの高沸点副生物が含まれており、非晶析成分には、酸化触媒、助触媒、酢酸などが含まれている。得られた残渣を、酢酸60gを用いて、温度20℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。
得られた残渣に、水450gを添加して、温度85℃で再溶解させ(再溶解工程4)、次いで圧力4.7kPa.A、温度を85℃から冷却速度20℃/Hrで温度30℃まで冷却し、脱水しながら、アジピン酸を晶析成分として析出させた(晶析工程5)。次いで、温度30℃に維持したまま、ろ過装置を用いて晶析成分と非晶析成分(グルタル酸、コハク酸)とを濾別し、晶析成分を水220gを用いて洗浄した(ろ過及び洗浄工程6)。晶析成分を温度100℃、圧力1.3kPa.Aで5時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたアジピン酸の純度は、99.81%であった。
第1晶析工程で濾別された非晶析成分を、蒸発器を用いて、圧力2.0kPa.Aで酢酸を留出させて、高沸点成分(触媒など)を分離した(蒸発又は蒸留工程14)。酢酸は、後述する助触媒再生工程に再利用した。一方、高沸点成分(触媒を含む)に、5gを添加して、温度20℃に保ち、金属成分で構成された助触媒を含む水相と、酸化触媒(失活した酸化触媒を含む)を含み、かつ析出物を含む有機相をろ過装置にて、濾別し、濾液をデカンターにて、有機相と水相とに分離する。助触媒を含む水相に、温度20℃で、20重量%炭酸ナトリウム水溶液10gを添加し、金属成分を炭酸塩として析出させ、濾別した(中間生成物工程17及びろ過工程18)。得られた炭酸塩に、酢酸10gを温度40℃で添加し、助触媒(酢酸塩)を再生し、反応系にリサイクルした(助触媒再生工程19)。なお、ろ過工程18で得られた濾液は、抽出工程15にリサイクルした。
図5のフロー図に従ってアジピン酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にシクロヘキサン520g、N−ヒドロキシフタルイミド2g、マンガンアセチルアセトナート3g、酢酸コバルト0.3gを仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度100℃で1時間反応させた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は15%、アジピン酸の選択率は53%で収率8%であった。
次いで、反応混合物を晶析槽に仕込み、常圧下、反応混合物の温度を100℃から冷却速度20℃/Hrで10℃まで冷却し、1時間放置し、アジピン酸及び酸化触媒を含む晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度10℃で晶析成分と非晶析成分とを濾別した。晶析成分には、アジピン酸やグルタル酸及びコハク酸などの高沸点副生物、酸化触媒が含まれており、非晶析成分には、助触媒、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシルなどの低沸点副生物、水などが含まれている。得られた残渣を、水100gを用いて、温度10℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。
(3)第2の晶析工程
得られた残渣に、水200gを添加して、温度85℃で再溶解させ(再溶解工程4)、析出物(酸化触媒、フタル酸及びフタル酸イミドなどの変質した酸化触媒)をろ過装置にて、温度85℃で濾別し、残渣を水5gで洗浄した。酸化触媒を含む残渣は、そのまま焼却処理に供した。また、濾別された濾液(アジピン酸を含む)は、続いて晶析槽に供給され、圧力4.7kPa.A、温度を85℃から冷却速度20℃/Hrで温度30℃まで冷却し、脱水しながら、アジピン酸を晶析成分として析出させた(晶析工程5)。次いで、温度30℃を維持したまま、ろ過装置を用いて晶析成分と非晶析成分(グルタル酸、コハク酸など)とを濾別し、晶析成分を水100gを用いて洗浄した(ろ過及び洗浄工程6)。晶析成分を温度100℃、圧力1.3kPa.Aで、5時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたアジピン酸の純度は、99.75%であった。
第1晶析工程で濾別された非晶析成分を、温度10℃で、デカンターにて、水相と有機相とに分液した(分液工程9)。助触媒、洗浄溶媒を含む水相は、そのまま反応系にリサイクルする。また、水相の一部は、陰イオン交換樹脂を用いて、温度10℃で助触媒を含む吸着成分を回収し反応系にリサイクルした。また、副生水を含む非吸着成分は、蒸発器を用いて、圧力13kPa.Aで脱高沸後、ろ過及び洗浄工程3に再利用した。
図6のフロー図に従ってアジピン酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にシクロヘキサン520g、N−ヒドロキシフタルイミド2g、マンガンアセチルアセトナート3g、酢酸コバルト0.3gを仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度100℃で1時間反応させた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は15%、アジピン酸の選択率は53%で収率8%であった。
反応混合物を、温度80℃、常圧下、低沸点成分(シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、水)を蒸発させた(蒸留又は蒸発工程12)。なお、低沸点成分は、シクロヘキサンを含む有機相と水相とに分液後、有機相をそのまま反応系にリサイクルする。
濃縮物を晶析槽に仕込み、常圧下、反応混合物の温度を80℃から冷却速度20℃/Hrで10℃まで冷却し、1時間放置し、アジピン酸及び酸化触媒を含む晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度10℃で晶析成分と非晶析成分とを濾別した。晶析成分には、アジピン酸やグルタル酸及びコハク酸などの高沸点副生物、酸化触媒が含まれており、非晶析成分には、助触媒、残存する低沸点副生物及び基質、水などが含まれている。得られた残渣を、水100gを用いて、温度10℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。
得られた残渣に、水200gを添加して、温度85℃で再溶解させ(再溶解工程4)、析出物(酸化触媒、変質した酸化触媒)をろ過装置にて、温度85℃で濾別し、残渣を水5gで洗浄した。酸化触媒を含む残渣は、そのまま焼却処理に供した。また、濾別された濾液(アジピン酸を含む)は、続いて晶析槽に供給され、
圧力4.7kPa.A、温度を85℃から冷却速度20℃/Hrで温度30℃まで冷却し、脱水しながら、アジピン酸を晶析成分として析出させた(晶析工程5)。次いで、温度30℃を維持したまま、ろ過装置を用いて晶析成分と非晶析成分(グルタル酸、コハク酸)とを濾別し、晶析成分を、水100gを用いて洗浄した(ろ過及び洗浄工程6)。晶析成分を温度100℃、圧力1.3kPa.Aで、5時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたアジピン酸の純度は、99.77%であった。
第1晶析工程で濾別された非晶析成分を、温度10℃で、デカンターにて、水相と有機相とに分液した(分液工程9)。助触媒、洗浄溶媒、水を含む水相は、そのまま反応系にリサイクルする。また、水相の一部は、陰イオン交換樹脂を用いて、温度10℃で助触媒を含む吸着成分を回収し反応系にリサイクルした。また、非晶析成分は、蒸発器を用いて、圧力13kPa.Aで脱高沸後、ろ過及び洗浄工程に再利用した。
図7のフロー図に従ってテレフタル酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にパラキシレン8g、N−ヒドロキシフタルイミド2.46g、酢酸コバルト0.0948、酢酸マンガン0.092g、酢酸189.36gを仕込み、空気80NL/Hrの流通下、圧力4MPa、温度100℃で反応させた。反応混合液中の生成物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、パラキシレンの転化率は98%、テレフタル酸の選択率は85%で収率83%であった。
次いで、反応混合物を晶析槽に仕込み、温度100℃で、テレフタル酸を含む晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度100℃で晶析成分と非晶析成分とを濾別した。晶析成分には、テレフタル酸、副生物が含まれており、非晶析成分には、酸化触媒及び失活した酸化触媒(変質物)、副生物、助触媒、キシレン、酢酸、水などが含まれている。得られた晶析成分を酢酸12gを用いて、温度100℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。湿結晶を温度100℃、圧力1.3kPa.Aで9時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたテレフタル酸の純度は、99.70%で、酸化触媒及び失活した酸化触媒は検出されなかった。
第1晶析工程でろ別された非晶析成分を、蒸発器を用いて、圧力13.3kPa.Aで低沸点成分(溶媒、副生水)を留去させて、高沸点成分(酸化触媒及びその変質物、副生物、助触媒など)を分離した(蒸発又は蒸留工程14)。低沸点成分は、蒸留塔(60段)に供給し、常圧下、還流比10で還流させながら、水と酢酸とを分離した(蒸留工程20)。水は、後述の助触媒抽出工程に再利用し、酢酸は、反応及び助触媒再生工程に再利用した。
図7のフロー図に従ってテレフタル酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にパラキシレン12g、N−アセトキシフタルイミド1.16g、酢酸コバルト0.113g、酢酸マンガン0.278g、酢酸106.5gを仕込み、60%酸素(窒素バランス)で圧力5MPaに昇圧し、温度150℃で反応させた。反応混合液中の生成物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、パラキシレンの転化率は100%、テレフタル酸の選択率は90%で収率90%であった。
次いで、反応混合物を晶析槽に仕込み、温度80℃で、テレフタル酸を含む晶析成分を析出させ(晶析工程2)、ろ過装置を用いて、温度80℃で晶析成分と非晶析成分とをろ別した。晶析成分には、テレフタル酸、副生物が含まれており、非晶析成分には、酸化触媒及びその変質物、副生物、助触媒、キシレン、酢酸、水などが含まれている。得られた晶析成分を酢酸25gを用いて、温度80℃で洗浄した(ろ過及び洗浄工程3)。湿結晶を温度80℃、圧力1.3kPa.Aで9時間乾燥した(乾燥工程7)。得られたテレフタル酸の純度は99.75%で、酸化触媒及びその変質物は検出されなかった。
第1晶析工程でろ別された非晶析成分を、蒸発器を用いて、圧力13.3kPa.Aで低沸点成分(溶媒、副生水)を留去させて、高沸点成分(酸化触媒及びその変質物、副生物、助触媒など)を分離した(蒸発または蒸留工程14)。低沸点成分は、蒸留塔(60段)に供給し、常圧下、還流比10で還流させながら、水と酢酸とを分離した(蒸留工程20)。水は、後述の助触媒抽出工程に再利用し、酢酸は、反応及び助触媒再生工程に再利角した。
図8のフロー図に従ってテレフタル酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にパラキシレン12g、N−アセトキシフタルイミド0.38g、酢酸コバルト0.113g、酢酸マンガン0.278g、酢酸106.5gを仕込み、50%酸素(窒素バランス)で圧力4MPaに昇圧し、温度150℃で反応させた。
図9のフロー図に従ってテレフタル酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にパラキシレン12g、酢酸コバルト0.113g、酢酸マンガン0.278g、酢酸106.5gを仕込み、50%酸素(窒素バランス)で圧力4MPaに昇圧し、温度150℃で反応させた。
図10のフロー図に従ってテレフタル酸を製造した。
(1)反応工程
反応工程1において、反応装置にパラキシレン118.5g、酢酸コバルト0.113g、酢酸マンガン0.278gを仕込み、50%酸素(窒素バランス)で圧力4MPaに昇圧し、温度150℃で反応させた。
反応工程1において、反応装置にシクロヘキサン50g、アセトアルデヒド0.85g、N−ヒドロキシフタルイミド0.01g、コバルトアセチルアセトナート0.02g、酢酸コバルト0.01g、酢酸550g(含水量55g)を仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度100℃で20分反応させた。なお、反応系の水分濃度は、反応系全体に対して、9.1重量%であった。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は62%、アジピン酸の選択率は65%で収率40%であった。
反応工程1において、反応装置にシクロヘキサン50g、アセトアルデヒド0.85g、N−ヒドロキシフタルイミド0.01g、コバルトアセチルアセトナート0.02g、酢酸コバルト0.01g、酢酸550g(含水量192g)を仕込み、空気雰囲気下、圧力5MPa、温度100℃で20分反応させた。なお、反応系の水分濃度は、反応系全体に対して、31.9重量%であった。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンの転化率は49%、アジピン酸の選択率は35%で収率17%であった。
2,5…晶析工程
3,6…ろ過及び洗浄工程
8……抽出工程
12…蒸留又は蒸発工程
Claims (7)
- 下記式(I)
【化1】
(式中、Xは酸素原子、ヒドロキシル基又はアシルオキシ基を示す)
で表されるイミド単位を有する酸化触媒を用いて、基質としてのシクロアルカン類又はキシレンから、前記基質に対応する脂肪族ジカルボン酸又は芳香族カルボン酸を製造する方法であって、
(A)前記酸化触媒、および助触媒としての金属化合物の存在下、溶媒としての有機酸の存在下で、前記基質と酸素とを接触させる反応工程と、
(B)反応混合物から、前記反応工程で生成したカルボン酸と前記酸化触媒と副生物とを分離する分離工程とを含み、
前記分離工程(B)において、冷却晶析により、反応混合物から、少なくともカルボン酸を含む成分と、酸化触媒、助触媒及び副生物を含む非晶析成分とを分離し、
この非晶析成分から、副生物に含まれるカルボン酸前駆体と、助触媒とをそれぞれ別々に分離し、分離したカルボン酸前駆体と、助触媒とをそれぞれ反応系にリサイクルするものであり、
カルボン酸前駆体については、分配、晶析、吸着、加水分解、ケン化、中和、ろ過、蒸留、乾燥又はこれらを組合せた操作により、助触媒については、分配、晶析、吸着、ろ過、乾燥又はこれらを組み合わせた操作により、それぞれ分離するカルボン酸の製造方法。
- 反応混合物を第1の晶析工程に供し、少なくともカルボン酸を含む成分を晶析成分として分離し、この晶析成分を第2の晶析工程に供し、カルボン酸を含む晶析成分と、残存する副生物を含む非晶析成分とを分離する請求項1記載の製造方法。
- 第1の晶析工程で分離された非晶析成分から、分配、晶析、吸着、ろ過、乾燥又はこれらを組合せた操作により、酸化触媒を分離して、反応系にリサイクルする請求項2記載の製造方法。
- 分離工程(B)に先だって反応混合物を濃縮工程に供し、溶媒を分離する請求項1記載の製造方法。
- 分離した溶媒を反応系にリサイクルする請求項4記載の製造方法。
- シクロアルカン類がシクロヘキサンである請求項1記載の製造方法。
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