JP2001335549A - シクロアルカノンオキシムの製造方法 - Google Patents

シクロアルカノンオキシムの製造方法

Info

Publication number
JP2001335549A
JP2001335549A JP2000160367A JP2000160367A JP2001335549A JP 2001335549 A JP2001335549 A JP 2001335549A JP 2000160367 A JP2000160367 A JP 2000160367A JP 2000160367 A JP2000160367 A JP 2000160367A JP 2001335549 A JP2001335549 A JP 2001335549A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
separated
crystallization
reaction
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000160367A
Other languages
English (en)
Inventor
Masami Shimamura
真美 嶋村
Hitoshi Watanabe
仁志 渡邊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP2000160367A priority Critical patent/JP2001335549A/ja
Publication of JP2001335549A publication Critical patent/JP2001335549A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/584Recycling of catalysts

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シクロアルカノンオキシムを高収率及び高効
率で製造する方法を提供する。 【解決手段】 特定のイミド化合物の存在下、シクロア
ルカンと窒素酸化物とを接触させる工程(反応装置
1)、(B)反応混合物から、ニトロシクロアルカンを
含む非晶析成分と、触媒及びシクロアルカノンオキシム
を含む晶析成分を分離する工程(晶析槽3、濾過装置
4)、晶析成分から触媒を濾別する工程(リパルプ槽
5、濾過装置6)、濾液からシクロアルカノンオキシム
を分離する工程(蒸留塔7,8)を経ることによりシク
ロアルカノンオキシムを効率よく製造する。必要によ
り、反応装置1からの反応混合物を(C)濃縮工程(濃
縮装置2)に供してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の触媒の存在
下、シクロアルカンと窒素酸化物とを接触させることに
より効率よくシクロアルカノンオキシムを製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】シクロアルカノンオキシムのうち、シク
ロヘキサノンオキシムは、ナイロンの製造に用いられる
カプロラクタムの原料として極めて有用な化合物であ
る。
【0003】従来、シクロヘキサノンオキシムを製造す
る方法としては、(1)シクロヘキサンやシクロヘキサ
ノールを酸化して得られるシクロヘキサノンと、一酸化
窒素を還元して得られるヒドロキシルアミンとを反応さ
せて製造する方法、(2)シクロヘキサンと塩化ニトロ
シルとを、特定の波長を有する光の照射下で反応させる
方法などが知られている。しかし、前記製造方法(1)
は、反応工程が長く煩雑な上に、硫酸アンモニウムが多
量に発生する。また、反応混合物からオキシムを分離精
製するのが困難である。製造方法(2)では、特定の波
長を照射可能な光源ランプが必要であり、かつ腐食性の
強い塩化水素を副生するので特殊な耐蝕材料で製造され
た反応器を使う必要がある。さらに、高沸点化合物が副
生して光透過率が低下する場合があり、このような光透
過率の低下を防止するためには、さらに特別な操作を必
要とする。
【0004】特公平2−13659号公報には、シクロ
アルカンと亜硝酸エステルとを気相接触させてシクロア
ルカノンオキシムを製造する方法が提案されている。し
かし、この方法は、150〜400℃程度の高温で行な
う必要があるとともに、シクロヘキサノンオキシムの収
率が低い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、硫酸アンモニウムなどの副生物を生成することな
く、シクロアルカノンオキシムを効率よく製造できる方
法を提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、一連のプロセスによ
り、高純度、高収率でシクロアルカノンオキシムを製造
でき、工業的に有利な製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討の結果、特定の触媒の存在下、
シクロアルカンと窒素酸化物とを反応させると効率よく
シクロアルカノンオキシムを生成でき、一連のプロセス
で簡便に高収率及び高純度のシクロアルカノンオシムを
製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明の製造方法は、下記式
(I)で表されるイミド単位を有する触媒を用いて、シ
クロアルカンからシクロアルカノンオキシムを製造する
方法であり、
【0009】
【化3】
【0010】(式中、Xは酸素原子又はヒドロキシル基
を示す。) (A)前記触媒の存在下、シクロアルカンと窒素酸化物
とを接触させる反応工程、(B)反応混合物から、副生
物と前記触媒とシクロアルカノンオキシムとを分離する
分離工程を含む。また、(C)濃縮工程を経て、反応混
合物を分離工程(B)に供してもよい。また、晶析によ
り、反応混合物から、ニトロシクロアルカンを含む非晶
析成分と、少なくともシクロアルカノンオキシムを含む
晶析成分とを分離してもよい。また、晶析に先立って反
応混合物から触媒を分離してもよく、晶析成分から触媒
を分離してもよい。さらに、非晶析成分のうち、ニトロ
シクロアルカンを反応系にリサイクルし、晶析成分のう
ち、低沸点成分とシクロアルカノンオキシムを含む高沸
点成分とを分離してもよい。副生物のニトロシクロアル
カン及び分離した触媒を、反応系にリサイクルしてもよ
い。溶媒の存在下で反応させ、反応混合物から溶媒を分
離してもよく、分離した溶媒を反応系にリサイクルして
もよい。さらに、本発明の方法は、前記触媒の存在下、
シクロアルカンと窒素酸化物とを接触させる反応工程、
反応混合物を濃縮する濃縮工程、及びニトロシクロアル
カンを含む副生物と、前記触媒と、シクロアルカノンオ
キシムとを分離する分離工程で構成されていてもよく、
分離した触媒及び副生物中のニトロシクロアルカンを反
応系にリサイクルしてもよい。シクロアルカンはシクロ
ヘキサンであってもよい。前記触媒は、必要により助触
媒と併用してもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、必要に応じて添付図面を
参照しつつ本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明の方法は、(A)反応工程と、
(B)反応混合物から、副生物と触媒とシクロアルカノ
ンオキシムとを分離する分離工程とを備えている。
【0013】[反応工程(A)]反応工程において、前
記式(I)で表される触媒(又は前記触媒及び助触媒を
含む触媒系)の存在下、シクロアルカンを窒素酸化物と
接触させることにより、シクロアルカノンオキシムを生
成させる。
【0014】(触媒)シクロアルカンと窒素酸化物との
触媒としては、式(I)で表されるイミド単位を有する
化合物(以下、単にイミド化合物という場合がある)が
使用できる。
【0015】
【化4】
【0016】(式中、Xは酸素原子又はヒドロキシル基
を示す。) 好ましい触媒は、下記式(II)で表される。
【0017】
【化5】
【0018】(式中、R1及びR2は、同一又は異なっ
て、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール
基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ
基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル
基を示し、R1及びR2は、互いに結合して二重結合、あ
るいは芳香族性又は非芳香族性環を形成してもよく、R
1及びR2により形成される芳香族性又は非芳香族性環
は、前記式(I)で示されるイミド単位を少なくとも1
つ有していてもよい。Xは前記に同じ) 前記式(II)の化合物において、置換基R1及びR2のうち
ハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素及びフッ素が含
まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−
ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、
オクチル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直鎖状
又は分岐鎖状アルキル基(好ましくは、C1-6アルキル
基、特にC1-4アルキル基 )が含まれる。
【0019】アリール基には、フェニル基、ナフチル基
などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などのC3-10
シクロアルキル基が含まれる。アルコキシ基には、例え
ば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキ
シ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチル
オキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程度の
アルコキシ基、好ましくはC1-6アルコキシ基、特にC
1-4アルコキシ基が含まれる。
【0020】アルコキシカルボニル基には、例えば、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカ
ルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボ
ニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニ
ル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボ
ニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度の
アルコキシカルボニル基(好ましくは、C1-6アルコキ
シ−カルボニル基、C1 -4アルコキシ−カルボニル基)
が含まれる。
【0021】アシル基としては、例えば、ホルミル、ア
セチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレ
リル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6
程度のアシル基が例示できる。
【0022】前記置換基R1及びR2は、同一又は異なっ
ていてもよい。また、前記式(II)において、R1及びR2
は互いに結合して、二重結合、あるいは芳香族性又は非
芳香族性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は
非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度で
あり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水
素環である場合が多い。芳香族性又は非芳香族性環は、
前記式(I)で表されるイミド単位を少なくとも1つ
(通常、1又は2)有していてもよい。このような環に
は、例えば、非芳香族性脂環族環(シクロヘキサン環な
どの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シク
ロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロア
ルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネ
ン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素
環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有
していてもよい芳香族環が含まれる。前記環は、芳香族
環で構成される場合が多い。
【0023】好ましいイミド化合物には、下記式で表さ
れる化合物が含まれる。
【0024】
【化6】
【0025】(式中、R3〜R6は、同一又は異なって、
水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ
基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル
基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示
す。R1、R2及びXは前記に同じ) 置換基R3〜R6において、アルキル基、アルコキシ基、
アルコキシカルボニル基、アシル基、ハロゲン原子とし
ては、前記と同様の基又は原子が例示できる。置換基R
3〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級ア
ルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子で
ある場合が多い。
【0026】式(I)で表されるイミド化合物は、一種
で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0027】前記式(I)で表されるイミド化合物に対
応する酸無水物には、例えば、無水コハク酸、無水マレ
イン酸などの飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸無水
物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタ
ル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物)、
1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸、
1,2−無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性環状多
価カルボン酸無水物(脂環族多価カルボン酸無水物)、
無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環式多価
カルボン酸無水物(脂環族多価カルボン酸無水物)、無
水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ
無水フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水トリメリット
酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水
ピロメリット酸、無水メリト酸、1,8;4,5−ナフ
タレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カル
ボン酸無水物が含まれる。
【0028】好ましいイミド化合物としては、例えば、
N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイ
ン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミ
ド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカル
ボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒ
ドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシ
テトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸
イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒド
ロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシ
ピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシナフタ
レンテトラカルボン酸イミドなどが挙げられる。特に好
ましい化合物には、脂環族多価カルボン酸無水物、なか
でも芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−ヒ
ドロキシイミド化合物、例えば、N−ヒドロキシフタル
酸イミドなどが含まれる。
【0029】前記イミド化合物は、慣用のイミド化反
応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンN
2OHとを反応させて酸無水物基を開環した後、閉環
してイミド化することにより調製できる。
【0030】なお、このような触媒を使用すると、シク
ロヘキサンと窒素酸化物とを接触させるだけで、硫酸ア
ンモニウムなどの副生物を生成することなく、シクロヘ
キサノンオキシムを高い選択率及び収率で得ることがで
きる。
【0031】前記式(I)のイミド化合物の使用量は、
広い範囲で選択でき、例えば、シクロアルカン1モルに
対して0.00001モル(0.001モル%)〜1モ
ル(100モル%)、好ましくは0.0001モル
(0.01モル%)〜0.5モル(50モル%)、さら
に好ましくは0.001モル(0.1モル%)〜0.4
モル(40モル%)程度であり、0.01モル(1モル
%)〜0.35モル(35モル%)程度である場合が多
い。
【0032】(助触媒)前記式(I)のイミド化合物と
助触媒とを併用してもよい。
【0033】助触媒としては、金属化合物、例えば、遷
移金属化合物や、ホウ素化合物などのように周期表13
族元素(ホウ素B、アルミニウムAlなど)を含む化合
物が含まれる。助触媒は、一種で又は二種以上組合わせ
て使用できる。
【0034】前記遷移金属の元素としては、例えば、周
期表3族元素(例えば、スカンジウムSc、イットリウ
ムYの外、ランタンLa、セリウムCe、サマリウムS
mなどのランタノイド元素、アクチニウムAcなどのア
クチノイド元素)、周期表4族元素(チタンTi、ジル
コニウムZr、ハフニウムHfなど)、5族元素(バナ
ジウムV、ニオブNb、タンタルTaなど)、6族元素
(クロムCr、モリブデンMo、タングステンWな
ど)、7族元素(マンガンMnなど)、8族元素(鉄F
e、ルテニウムRu、オスミウムOsなど)、9族元素
(コバルトCo、ロジウムRh、イリジウムIrな
ど)、10族元素(ニッケルNi、パラジウムPd、白
金Ptなど)、11族元素(銅Cu、銀Ag、金Auな
ど)などが挙げられる。
【0035】特に、前記式(I)で表されるイミド化合
物と組合せたとき、Ceなどのランタノイド元素、Ti
などの4族元素、Vなどの5族元素、Mo、Wなどの6
族元素、Mnなどの7族元素、Fe、Ruなどの8族元
素、Co、Rhなどの9族元素、Niなどの10族元
素、Cuなどの11族元素を含む化合物は、高い酸化活
性を示す。
【0036】助触媒は、前記元素を含み、かつ触媒能を
有する限り特に制限されず、水酸化物などであってもよ
いが、通常、前記元素を含む金属酸化物、有機酸塩、無
機酸塩、ハロゲン化物、前記金属元素を含む配位化合物
(錯体)やヘテロポリ酸又はその塩などである場合が多
い。また、ホウ素化合物としては、例えば、水素化ホウ
素(例えば、ボラン、ジボラン、テトラボラン、ペンタ
ボラン、デカボランなど)、ホウ酸(オルトホウ酸、メ
タホウ酸、四ホウ酸など)、ホウ酸塩(例えば、ホウ酸
ニッケル、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガンな
ど)、B23などのホウ素酸化物、ボラザン、ボラゼ
ン、ボラジン、ホウ素アミド、ホウ素イミドなどの窒素
化合物、BF3、BCl3、テトラフルオロホウ酸塩など
のハロゲン化物、ホウ酸エステル(例えば、ホウ酸メチ
ル、ホウ酸フェニルなど)などが挙げられる。
【0037】有機酸塩としては、例えば、酢酸塩、プロ
ピオン酸塩、ナフテン酸塩、オクチル酸塩、ステアリン
酸塩などのC1-30カルボン酸塩(C2-24カルボン酸塩な
ど)が例示され、無機酸塩としては、例えば、硝酸塩、
硫酸塩又はリン酸塩などが挙げられる。また、ハロゲン
化物としては、例えば、塩化物や臭化物などが例示でき
る。
【0038】錯体を形成する配位子としては、OH(ヒ
ドロキソ)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキ
シ基などのアルコキシ基、アセチル、プロピオニルなど
のアシル基、メトキシカルボニル(アセタト)、エトキ
シカルボニルなどのアルコキシカルボニル基、アセチル
アセトナト、シクロペンタジエニル基、塩素、臭素など
ハロゲン原子、CO、CN、酸素原子、H2O(ア
コ)、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンな
どのトリアリールホスフィン)などのリン化合物、NH
3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO3(ニト
ラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピ
リジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合物などが
挙げられる。錯体又は錯塩において、同種又は異種の配
位子は一種又は二種以上配位していてもよい。
【0039】好ましい錯体には、前記遷移金属元素を含
む錯体が含まれる。前記遷移金属元素と配位子とは適当
に組合せて錯体を構成することができ、例えば、セリウ
ムアセチルアセトナト、コバルトアセチルアセトナト、
ルテニウムアセチルアセトナト、銅アセチルアセトナト
などであってもよい。
【0040】ヘテロポリ酸を形成するポリ酸は、例え
ば、周期表5族又は6族元素、例えば、V(バナジン
酸),Mo(モリブデン酸)及びW(タングステン酸)
の少なくとも一種である場合が多く、中心原子は特に制
限されない。ヘテロポリ酸の具体例としては、例えば、
コバルトモリブデン酸塩、コバルトタングステン酸塩、
モリブデンタングステン酸塩、バナジウムモリブデン酸
塩、バナドモリブドリン酸塩などが挙げられる。
【0041】なお、触媒系において、ヘテロポリ酸は水
素引抜き反応に関与すると予測され、コバルト化合物や
ホウ素化合物などは過酸化物分解に関与すると予測され
る。
【0042】前記式(I)で表されるイミド化合物、又
はこのイミド化合物(I)と前記助触媒とで構成される
触媒系は、均一系であってもよく、不均一系であっても
よい。また、触媒系は、担体に触媒成分が担持された固
体触媒であってもよい。担体としては、活性炭、ゼオラ
イト、シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイトなどの
多孔質担体を用いる場合が多い。固体触媒における触媒
成分の担持量は、担体100重量部に対して、前記式
(I)のイミド化合物0.1〜50重量部程度である。
また、助触媒の担持量は、担体100重量部に対して、
0.1〜30重量部程度である。
【0043】助触媒の使用量は、例えば、シクロアルカ
ン1モルに対して0.0001モル(0.01モル%)
〜0.7モル(70モル%)、好ましくは0.001モ
ル(0.1モル%)〜0.5モル(50モル%)、さら
に好ましくは0.002モル(0.2モル%)〜0.7
モル(70モル%)程度であり、0.005(0.5モ
ル%)〜0.05モル(5モル%)程度である場合が多
い。
【0044】ヘテロポリ酸又はその塩を助触媒として使
用する場合、シクロアルカン100重量部に対して0.
1〜25重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さら
に好ましくは1〜5重量部程度である。
【0045】(シクロアルカン)シクロアルカンとして
は、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘ
キサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシク
ロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘ
キサン、クロロシクロヘキサン、メトキシシクロヘキサ
ン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロドデカン、
シクロペンタデカン、シクロオクタデカンなどのC4-20
シクロアルカン(好ましくはC4-16シクロアルカン、さ
らに好ましくはC4-10シクロアルカン)などが挙げられ
る。これらのシクロアルカンは、単独で又は二種以上組
合わせて使用してもよい。
【0046】好ましいシクロアルカンには、シクロヘキ
サン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタンなどのC
4-10シクロアルカン(好ましくはC5-8シクロアルカ
ン)が挙げられる。通常、シクロヘキサンが使用され
る。
【0047】(窒素酸化物)窒素酸化物としては、例え
ば、一酸化二窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、三
酸化二窒素(N23)、二酸化窒素(NO2)、四酸化
二窒素(N24)、五酸化二窒素(N25)、三酸化窒
素(NO3)、六酸化二窒素(N26)などが挙げられ
る。これらの窒素酸化物は、単独で又は二種以上組み合
わせて使用してもよい。特に好ましい窒素酸化物として
は、二酸化窒素、一酸化窒素、又はそれらの窒素酸化物
を主成分として含む窒素酸化物などが挙げられる。ま
た、窒素酸化物として、前記窒素酸化物を放出可能な化
合物(例えば、硝酸、亜硝酸、硝酸メチル、硝酸エチル
などの硝酸エステルなど)を使用してもよい。なお、こ
れらの窒素酸化物の形態は特に制限されず、気体であっ
ても、液体であってもよい。
【0048】前記窒素酸化物のうち、高次の窒素酸化物
(例えば、N23など)は、酸化二窒素(N2O)及び
一酸化窒素(NO)から選択された少なくとも一種の窒
素化合物と酸素との反応により得ることができる。より
具体的には、反応器内に一酸化窒素と酸素とを導入し
て、青色の液体N23を生成させることにより調製でき
る。なお、酸素は純粋な酸素であってもよく、不活性ガ
ス(二酸化炭素,窒素,ヘリウム,アルゴンなど)で希
釈して使用してもよい。また、酸素源は空気であっても
よい。
【0049】窒素酸化物の使用量は、前記シクロアルカ
ン1モルに対して、等モル量又は過剰モル量(例えば、
1〜50モル、好ましくは1.5〜10モル、さらに好
ましくは1.5〜2.5モル程度)であってもよい。ま
た、未反応のシクロアルカンを反応系にリサイクルする
場合(連続式)には、前記シクロアルカン1モルに対し
て、1モル未満(例えば、0.0001〜1モル未
満)、好ましくは0.001〜0.9モル(例えば、
0.005〜0.8モル)、さらに好ましくは0.01
〜0.7モル(例えば、0.05〜0.6モル)、特に
0.05〜0.5モル(例えば、0.1〜0.4モル)
程度の割合で窒素酸化物を供給してもよい。基質に対す
る窒素酸化物の供給量を少なくすることで、窒素酸化物
の転化率及び選択率を高めることができる。
【0050】(反応溶媒)本発明の反応は、反応に不活
性な有機溶媒の存在下又は非存在下で行なうことができ
る。有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロ
ロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、ジクロロベン
ゼンなどのハロゲン化炭化水素;t−ブタノール、t−
アミルアルコールなどのアルコール類;アセトニトリ
ル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル
類;酢酸、プロピオン酸などの有機酸;酢酸エチル、酢
酸ブチルなどのエステル類;ジメチルエーテル、ジオキ
サン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ホルムア
ミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DM
F)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ベンゼン
などの芳香族炭化水素;ニトロベンゼン、ニトロメタン
などのニトロ化合物;これらの混合溶媒などが挙げられ
る。溶媒としては、有機酸、ハロゲン化炭化水素、ニト
リル類を用いる場合が多い。なお、過剰量のシクロアル
カンを用いることにより、シクロアルカンを反応溶媒と
して利用してもよい。
【0051】特に、シクロヘキサンを基質及び溶媒とし
て使用した場合には、溶媒を使用することなく反応を行
うことができ、溶媒分離回収工程を省略できる。
【0052】反応は、酸素雰囲気下で行ってもよい。酸
素源としては、特に制限されず、純粋な酸素を用いても
よく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不
活性ガスで希釈した酸素を使用してもよい。操作性及び
安全性のみならず経済性などの点から、空気を使用する
のが好ましい。
【0053】反応温度は、例えば、0〜300℃、好ま
しくは15〜200℃、さらに好ましくは30〜150
℃程度であり、通常、60〜125℃程度で反応する場
合が多い。また、反応は、常圧または加圧下で行なうこ
とができ、加圧下で反応させる場合には、通常、1〜1
00atm(例えば、1.5〜80atm)、好ましく
は2〜70atm、さらに好ましくは3〜50atm程
度である場合が多い。反応時間(流通式反応においては
滞留時間)は、反応温度及び圧力に応じて、例えば、1
分〜48時間、好ましくは1〜36時間、さらに好まし
くは2〜24時間程度の範囲から適当に選択できる。
【0054】前記反応操作は、連続式、回分式、又は半
回分式で行ってもよい。また、反応は、水を除去しなが
ら行う反応蒸留で行ってもよく、デカンターなどの水分
離装置と組み合わせて水を除去する反応蒸留で行っても
よい。反応装置としては、慣用の装置が使用でき、1又
は複数の装置を使用してもよい。複数の装置を使用する
場合、装置は直列及び/又は並列に接続してもよい。装
置の形状は球形、円柱形などであってもよい。特に、反
応装置内部には、特別な装置を必要としないが、多孔板
のような内部を多室に分割するような装置を備えていて
もよい。また、攪拌効率を高めるために、攪拌羽根のよ
うな機械的攪拌装置を有していてもよい。
【0055】このような反応により、目的化合物(シク
ロアルカノンオキシム)、副生物(例えば、ニトロシク
ロアルカンなどの主副生物の他、シクロアルカノン、シ
クロアルカノール、シクロアルカンカルボン酸、シクロ
アルキルニトレート、ニトロシクロアルカノン、シクロ
アルカノンラクタムなど)などが生成する。
【0056】[分離工程(B)]分離工程(B)では、
副生物と、触媒と、シクロアルカノンオキシムとを分離
している。図1は、本発明の製造方法を説明するための
フロー図である。この例では、(A)反応工程と、
(C)濃縮工程と、晶析により、少なくともシクロアル
カノンオキシムを含む晶析成分と、ニトロシクロアルカ
ンを含む非晶析成分とを分別する晶析工程と、(B2)
晶析成分から触媒とシクロアルカノンオキシムとを分離
する分離工程と、(B3)触媒が分離された晶析成分か
らシクロアルカノンオキシムを分離する分離工程とを備
えている。さらに、前記晶析工程(B1)の非晶析成分
から、ニトロシクロアルカンを含む低沸点成分と高沸点
成分とを分離する分離工程とを備えている。
【0057】[濃縮工程(C)]濃縮工程では、反応混
合物から、低沸点成分を留出させて濃縮している。すな
わち、図1の例では、反応装置1の反応混合物を、濃縮
装置2として蒸留塔を用いて濃縮し、低沸点成分と高沸
点成分とを分離している。通常、低沸点成分には、未反
応のシクロアルカンや低沸点副生物が含まれている場合
が多く、反応溶媒として低沸点溶媒を使用した場合には
溶媒が含まれている場合もある。また、高沸点成分には
触媒、シクロアルカノンオキシム、高沸点の副生物(ニ
トロシクロアルカン、シクロアルキルニトレート、シク
ロアルカノール、シクロアルカノン、カルボン酸、シク
ロアルカノンラクタムなど)などが含まれている場合が
多い。
【0058】蒸留塔の段数は、例えば、2〜80段、好
ましくは10〜70段、さらに好ましくは20〜60段
程度であってもよい。蒸留操作は、低沸点成分(例え
ば、シクロアルカンや低沸点溶媒、低沸点副生物など)
の種類に応じて、塔頂温度0〜250℃(好ましくは1
0〜150℃、さらに好ましくは20〜120℃)程
度、塔底温度25〜500℃、好ましくは50〜300
℃(例えば、100〜300℃)、さらに好ましくは1
00〜280℃程度、圧力1mmHg〜20atm、好
ましくは50mmHg〜5atm、さらに好ましくは1
00mmHg〜3atm程度で行うことができる。ま
た、適当な還流比(例えば、0.1〜50、好ましくは
0.5〜30,さらに好ましくは1〜10程度)で留出
分を還流させながら行うことができる。
【0059】[晶析工程(B1)]晶析工程(副生物分
離工程)では、必要に応じて、晶析溶媒を用い、前記濃
縮工程からの濃縮物を、晶析成分と非晶析成分とに分別
している。図1の晶析工程では、晶析槽3において、濃
縮工程からの濃縮物と、必要により晶析溶媒とを混合
し、必要により冷却して晶析成分を晶析させ、濾過装置
4において、晶析成分と非晶析成分とを濾別している。
必要により濾過後、晶析成分を晶析溶媒で洗浄してもよ
い。晶析成分には、通常、触媒やシクロアルカノンオキ
シム、高沸点副生物、非晶析成分にはニトロシクロアル
カンなどの高沸点副生物が含まれている。
【0060】晶析溶媒としては、晶析成分の種類に応じ
て選択され、例えば、図1の例では、適当な溶媒(例え
ば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリ
ルなどのニトリル類、ニトロ化合物、水、アミド類、ア
ルコール類、エステル類、エーテル類、又はこれらの混
合物など)などを使用し、触媒やシクロアルカノンオキ
シムを晶析成分として分離している。晶析は、慣用の方
法、例えば、濃縮物と溶媒との混合物を、常圧下(例え
ば、1atm程度)又は加圧下で、例えば、−20℃〜
100℃、好ましくは0〜50℃、さらに好ましくは1
0〜30℃程度の温度範囲で晶析される。なお、必要で
あれば、晶析溶媒を添加した後、冷却してもよく、冷却
速度は、1〜50℃/hr、好ましくは10〜50℃/
hr、さらに好ましくは30〜40℃/hr程度の範囲
から選択できる。また、熟成時間は、0.1〜5時間、
好ましくは0.5〜4時間、さらに好ましくは0.5〜
2時間程度の範囲から適当に選択できる。晶析操作は攪
拌しながら行ってもよい。
【0061】濾過装置4において、濾過温度は、前記晶
析温度に応じて選択され、適当な温度、例えば、−20
℃〜100℃、好ましくは0〜50℃、さらに好ましく
は10〜30℃程度の範囲から選択できる。
【0062】(非晶析成分の分離工程)非晶析成分(濾
液)の分離工程では、非晶析成分を、ニトロシクロアル
カンを含む低沸点成分と高沸点成分とに分離している。
なお、低沸点成分には、他の副生物(シクロアルキルニ
トレート、シクロアルカノール、シクロアルカノンな
ど)などの低沸点不純物が含まれている場合がある。ま
た、前記晶析工程で低沸点の晶析溶媒を使用した場合、
低沸点成分には、晶析溶媒が含まれている場合がある。
図1の例では、濾過装置4から分離した非晶析成分を蒸
留塔9に供給し、蒸留塔の適当な部位、例えば、塔頂か
ら低沸点成分を留出させ、塔底又は塔の下部から高沸点
成分(高沸点不純物)を留出させている。
【0063】蒸留塔9において、蒸留塔の段数は、例え
ば、2〜80段、好ましくは10〜7段、さらに好まし
くは20〜60段程度であってもよい。蒸留操作は、分
離する成分(例えば、ニトロシクロアルカンなど)の種
類に応じて、塔頂温度0〜300℃(好ましくは10〜
250℃、さらに好ましくは30〜210℃)程度、塔
底温度50〜500℃(好ましくは100〜400℃、
さらに好ましくは100〜300℃)程度、圧力1mm
Hg〜5atm(好ましくは5mmHg〜1atm)程
度で行うことができ、適当な還流比(例えば、0.1〜
50、好ましくは0.5〜30、さらに好ましくは1〜
10程度)で留出分を還流させながら行うことができ
る。
【0064】(副生物のリサイクル工程)非晶析成分か
ら分離した低沸点成分(ニトロシクロアルカン及び低沸
点不純物を含む成分)を、慣用の分離手段(蒸留など)
により、ニトロシクロアルカンを分離してもよく、ニト
ロシクロアルカンを慣用の方法により還元して、得られ
た有効成分を反応系にリサイクルしてもよく、ニトロシ
クロアルカンを精製することなく、反応系にリサイクル
してもよい。
【0065】なお、前記晶析成分は、触媒とシクロアル
カノンオキシムとを分離する分離工程に供される。
【0066】[触媒分離工程(B2)]前記晶析成分か
ら触媒を分離する触媒分離工程では、晶析成分をリパル
プ槽5に供給し、リパルプ溶媒を添加して触媒を析出さ
せ、濾過装置6により残渣(触媒)と濾液とを分離して
いる。濾液は、通常、シクロアルカノンオキシムを含ん
でおり、残存する副生物(シクロアルカノン、シクロア
ルカノール、カルボン酸などの酸化物など)を含んでい
る場合もある。
【0067】リパルプ槽5において、リパルプ溶媒とし
ては、適当な溶媒、例えば、シクロヘキサンなどの炭化
水素類、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素、フェノ
ール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどの鎖
状エーテル類、水などが使用できる。リパルプ温度とし
ては、例えば、−20℃〜100℃、好ましくは10〜
80℃、さらに好ましくは20〜50℃程度の範囲から
選択できる。リパルプ時間としては、特に制限されず、
0.001〜5時間、好ましくは0.01〜3時間、さ
らに好ましくは0.1〜3時間程度の範囲から適当に選
択できる。リパルプ操作は、攪拌しながら行ってもよ
い。
【0068】濾過装置6において、濾過温度は、前記リ
パルプ温度に応じて選択され、−20℃〜100℃、好
ましくは10〜80℃、さらに好ましくは20〜50℃
程度である。
【0069】(触媒再生工程)分離された触媒のうち、
反応により変質又は活性が低下した触媒の再生は、変質
した触媒が、主に、イミド化合物に対応する多価カルボ
ン酸又はその酸無水物(例えば、フタル酸イミド、無水
フタル酸など)で構成されていることに着目して、ヒド
ロキシルアミン又は酸(塩酸、硫酸、又はその無水物な
ど)で処理又は反応させることにより触媒を再生でき
る。また、変質又は活性が低下した触媒を、前記例示の
酸(塩酸など)又はアルカリ(アルカリ金属又はアルカ
リ土類金属の水酸化物又は酸化物、あるいは前記金属の
塩など)を用いて、多価カルボン酸又はその塩にし、必
要に応じて、酸無水物に変換したのち、ヒドロキシルア
ミンで処理又は反応させることにより触媒を再生しても
よい。再生した触媒は、反応系にリサイクルしてもよ
い。
【0070】ヒドロキシルアミンとしては、遊離のヒド
ロキシルアミン又はヒドロキシルアミンの塩(硫酸塩な
ど)を使用してもよい。再生反応は、生成するアンモニ
ア及び/又は水などを除去しながら行う反応蒸留により
行ってもよい。酸としては、塩化水素、臭化水素などの
ハロゲン化水素、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硫
酸、硝酸、リン酸などの無機酸;ベンゼンスルホン酸、
p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げら
れる。酸は無水物であるのが好ましい。
【0071】触媒の再生は、温度0〜200℃(好まし
くは5〜150℃、さらに好ましくは10〜100℃)
程度で、失活した触媒と前記ヒドロキシルアミン又は酸
とを混合することにより行われる。
【0072】[シクロアルカノンオキシムの分離工程
(B3)]触媒を分離した晶析成分からシクロアルカノ
ンオキシムを分離するシクロアルカノンオキシムの分離
工程では、濾過装置6からの濾液を蒸留塔7に供給し、
低沸点成分を塔頂から留出させ、シクロアルカノンオキ
シムを含む高沸点成分を塔底又は塔の下部から留出させ
ている。低沸点成分には、通常、副生物(シクロアルカ
ノール、シクロアルカノンなどの酸化物)や、前記触媒
分離工程で低沸点のリパルプ溶媒を使用した場合には、
リパルプ溶媒などの低沸点不純物が含まれている場合が
多い。
【0073】蒸留塔7において、蒸留塔の段数は、例え
ば、2〜80段、好ましくは10〜70段、さらに好ま
しくは20〜60段程度であってもよい。蒸留操作は、
低沸点成分の種類に応じて、塔頂温度0〜250℃(好
ましくは10〜200℃、さらに好ましくは15〜15
0℃)程度、塔底温度25〜500℃(好ましくは50
〜400℃、さらに好ましくは100〜300℃)程度
で行うことができ、通常、減圧下又は加圧下、例えば、
圧力1mmHg〜20atm(好ましくは50mmHg
〜5atm)程度で行うことができる。また、慣用の方
法、例えば、適当な還流比(例えば、0.1〜50、好
ましくは0.5〜30、さらに好ましくは1〜10程
度)で留出分を還流させながら行うことができる。
【0074】なお、蒸留塔7からの塔底液がスラリー状
である場合には、加熱して溶融させるか、又はシクロア
ルカノンオキシムが溶解する溶媒(例えば、シクロヘキ
サンなどの炭化水素類、ジメチルエーテル、ジエチルエ
ーテルなどの鎖状エーテル類、水など)を添加した後、
蒸留塔8に供給してもよい。
【0075】さらに、シクロアルカノンオキシムを含む
高沸点成分を蒸留塔8に供給し、シクロアルカノンオキ
シムを塔頂から留出させ、高沸点成分を塔底から留出さ
せている。高沸点成分には、残存する副生物(カルボン
酸など)などが高沸点不純物として含まれている場合が
ある。また、シクロアルカノンオキシムの留出効率を上
げるために、高沸点溶媒を加えた後に蒸留してもよい。
【0076】蒸留塔8において、蒸留塔の段数は、例え
ば、2〜80段、好ましくは10〜70段、さらに好ま
しくは20〜60段程度であってもよい。蒸留操作は、
シクロアルカノンオキシムの種類に応じて、塔頂温度0
〜300℃(好ましくは10〜250℃、さらに好まし
くは30〜210℃)程度、塔底温度50〜500℃
(好ましくは100〜400℃、さらに好ましくは10
0〜300℃)程度で行うことができ、減圧下又は加圧
下、例えば、圧力1mmHg〜5atm(好ましくは5
mmHg〜1atm、さらに好ましくは20mmHg〜
1atm)程度であってもよく、慣用の方法、例えば、
適当な還流比(例えば、0.1〜50、好ましくは0.
5〜30、さらに好ましくは1〜10程度)で留出分を
還流させながら行うことができる。
【0077】なお、触媒の分離は、前記晶析成分から分
離してもよく、晶析工程に先立って触媒を分離してもよ
い。
【0078】図2は、本発明の他の方法を示すフロー図
である。この例のプロセスは、濃縮工程(C)に先立っ
て触媒分離工程を行うこと、晶析工程後の触媒分離工程
において、さらに触媒を分離していることを除いて、前
記図1に示すプロセスと基本的に共通している。図2に
おいて、反応装置1の反応混合物を、必要により冷却
し、濾過装置10を用いて、析出している触媒(N−ヒ
ドロキシフタルイミドなど)を濾別し、濾液を、濃縮工
程(C)において濃縮し、濃縮物を晶析工程(B1)
で、シクロアルカノンオキシムを含む晶析成分とニトロ
シクロアルカンを含む非晶析成分とに分別している。晶
析成分は、残存する触媒を分離するための触媒分離工程
(B2)を経て、シクロアルカノンオキシム分離工程
(B3)に供される。
【0079】濾過装置10における濾過操作としては、
前記(B2)触媒分離工程の項で記載した条件(濾過温
度など)が適用できる。特に、反応溶媒を使用しない場
合又は反応溶媒が疎水性である場合には、反応終了後、
触媒(N−ヒドロキシフタルイミドなど)が析出してい
る場合が多く、図2のように、反応装置1の反応混合物
から、予め濾過装置10により触媒を分離しておくのが
有利である。
【0080】また、大部分の触媒が濾過装置10によっ
て濾別されるので、さらに触媒工程を備える必要はない
が、シクロアルカノンオキシムを高純度で得るためには
図1と同様に、晶析工程(B1)の後、晶析成分から触
媒を分離するための触媒分離工程(B2)を行うのが好
ましい。図2の触媒分離工程(B2)では、洗浄槽又は
攪拌槽11と濾過装置6とを用いて晶析成分から触媒を
分離している。洗浄槽11において、洗浄溶媒として
は、晶析成分から触媒を溶解可能な溶媒又は触媒に対す
る良溶媒(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランな
どの環状エーテル類、メチルエチルケトンなどのケトン
類、酢酸などの有機酸など)が使用できる。洗浄は、例
えば、−20℃〜100℃、好ましくは0〜50℃、さ
らに好ましくは10〜30℃程度の温度範囲で行うこと
ができる。洗浄は常圧(1atm程度)又は加圧下で行
うことができる。さらに、洗浄時間としては、特に制限
されず、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜4時間程
度の範囲から適当に選択できる。
【0081】また、触媒が分離された濾物は、そのまま
蒸留塔7,8に供給してもよく、シクロアルカノンオキ
シムに対する良溶媒(例えば、シクロヘキサンなどの炭
化水素類、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素、フェ
ノール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどの
鎖状エーテル類、水など)を添加した後、蒸留塔7,8
に供給してもよい。
【0082】図3は、本発明のさらに他の方法を示すフ
ロー図である。この例では、晶析工程に先立って触媒分
離工程が行われること以外、前記図1に示すプロセスと
基本的に共通している。より具体的には、図3では、反
応装置1からの反応混合物を濃縮工程(C)に供し、濃
縮物を中和槽12に供給している。中和槽12では、ア
ルカリ又はその塩を用いて濃縮物を中和し、触媒を水相
に、シクロアルカノンオキシムなどの成分を有機相に分
配することにより、触媒を分離している。有機相は、続
いて晶析工程及びシクロアルカノンオキシム分離工程に
供される。
【0083】中和操作における中和温度は、0〜80
℃、好ましくは10〜70℃、さらに好ましくは15〜
60℃程度である。
【0084】アルカリ又はその塩としては、特に制限さ
れないが、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウ
ム、カリウムなど)又はアルカリ土類金属(マグネシウ
ム、カルシウム)の水酸化物又は酸化物、あるいは前記
アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩などの無機塩基
が使用できる。例えば、アルカリ金属水酸化物(例え
ば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカ
リ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、
アルカリ金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化
物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、ア
ルカリ土類金属炭酸塩(炭酸マグネシウム、炭酸カルシ
ウムなど)などが挙げられる。また、アルカリとして、
アンモニア又は有機塩基[アミン類(例えば、ジメチル
アミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチ
ルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミンなどの
脂肪族アミン;ピリジン、モルホリンなどの複素環式ア
ミンなど)]を用いてもよい。好ましいアルカリは、ア
ルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムなど)である。これらのアルカリ又はその塩は、単独
で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0085】アルカリ又はその塩の使用量は、触媒1当
量に対して、1〜10当量、好ましくは1〜5当量程度
である。
【0086】アルカリ水溶液(又はスラリー)の濃度
は、前記アルカリ又はその塩の使用量に対応して、例え
ば、1〜90重量%、好ましくは5〜60重量%、さら
に好ましくは10〜30重量%程度であり、アルカリ水
溶液の使用量は、アルカリ換算で、反応混合物100重
量部に対して、5〜100重量部、好ましくは8〜50
重量部程度である。
【0087】特に、中和槽12を設けると、酸性反応溶
媒(酢酸など)又は副生物の酸(カルボン酸など)と、
シクロアルカノンオキシムとが塩(オキシム酢酸塩な
ど)を形成している場合であっても、シクロアルカノン
オキシムを遊離させることができるとともに、触媒も中
和されて水相に分配されるので、効率よく触媒とオキシ
ムとを分離できる。
【0088】また、反応溶媒としてカルボン酸などを使
用する場合には、触媒を分離するのに多量のアルカリ又
はその塩を必要とするので、前記中和工程は濃縮工程
(C)の後に行うのが好ましく、反応溶媒として疎水性
溶媒を用いる場合や反応溶媒を使用しない場合には、濃
縮工程(C)に先立って中和工程を設けるのが好まし
い。
【0089】図4は、本発明の別の方法を示すフロー図
である。この例では、濃縮工程に先立って触媒分離工程
を行うことを除いて、前記図3に示すプロセスと基本的
に共通している。すなわち、図4の例では、反応装置1
からの反応混合物を中和槽12に供し、中和処理によっ
て触媒を水相に分配させることにより、触媒を分離して
いる。触媒を分離した反応混合物(有機相)は、続いて
濃縮工程(C)、晶析工程(B1)、シクロアルカノン
オキシム分離工程(B3)に供される。中和操作は図3
の前記中和工程と同様の条件(中和温度、アルカリ又は
その塩など)が適用できる。
【0090】なお、本発明の方法は、反応工程(A)と
シクロアルカノンオキシム分離工程(B)とを備えてい
ればよく、反応混合物中の各成分を分離するための各工
程の順序などは特に制限されない。副生物と触媒とシク
ロアルカノンオキシムとを分離する工程(B)では、例
えば、前記3成分のうち、1つの成分と他の2成分とを
分離し、分離した2成分を各成分に分離してもよい。各
成分の分離には、分離成分の特性に応じて、分配(抽
出、中和など)、晶析(リパルプ、洗浄など)、蒸留
(蒸発など)、濾過、乾燥又はこれらを組み合わせで行
うことができる。
【0091】例えば、反応工程(A)の反応混合物か
ら、晶析操作によりニトロシクロアルカンを含む非晶析
成分と、シクロアルカノンオキシム及び触媒を含む晶析
成分とに分離し、晶析成分を蒸留により、シクロアルカ
ノンオキシムを含む低沸点成分と、触媒を含む高沸点成
分とに分離してもよく、晶析成分を濾過により触媒を含
む残渣と、シクロアルカノンオキシムを含む濾液に分離
し、濾液から蒸留などによりシクロアルカノンオキシム
を分離してもよい。また、反応混合物から、触媒を含む
残渣と、シクロアルカノンオキシム及びニトロシクロア
ルカンを含む濾液に濾別した後、濾液を、シクロアルカ
ノンオキシムを含む晶析成分と、ニトロシクロアルカン
を含む非晶析成分とに分離してもよい。
【0092】特に、本発明の方法では、晶析操作によ
り、副生物(ニトロシクロアルカンなど)を含む非晶析
成分と、少なくともシクロアルカノンオキシムを含む晶
析成分とを分離する分離工程を備えているのが好まし
い。触媒は、前記晶析工程に先立って分離してもよく、
非晶析成分から分離してもよい。さらに、前記非晶析成
分から、ニトロシクロアルカンを、蒸留などにより低沸
点成分として分離してもよい。また、前記晶析成分のう
ち、シクロアルカノンオキシムを、蒸留などにより高沸
点成分として分離してもよい。
【0093】また、濃縮工程は、必ずしも行う必要はな
いが、溶媒(特に低沸点溶媒)や過剰の基質を使用した
場合には、分離工程(副生物、触媒、シクロアルカノン
オキシムなどの分離)での分離を効率よく行い、シクロ
アルカノンオキシムの収率を高めるためにも、濃縮工程
を行うのが好ましい。また、必要により、濃縮により分
離した溶媒及び基質を反応系にリサイクルしてもよい。
【0094】本発明において、基質、触媒、溶媒、副生
物中の有効成分、処理溶媒(例えば、リパルプ溶媒、洗
浄溶媒、中和工程で使用される水)などは必ずしもリサ
イクルする必要はないが、工業的に有利に、効率よくシ
クロアルカノンオキシムを得るためには、前記成分を反
応装置又は分離装置にリサイクルし、再使用するのが有
利である。なお、分離した触媒は、精製することなく反
応系にリサイクルしてもよく、失活した触媒を触媒再生
工程に供した後、反応系にリサイクルしてもよい。
【0095】なお、各工程の分離操作は、副生物、触
媒、シクロアルカノンオキシムなどの成分を分離可能で
あれば特に制限されない。各成分の分離操作は、各成分
の溶解性や沸点などに応じて前記分離手段から適当に選
択できる。例えば、ニトロシクロアルカンを含む副生物
は、分配(抽出など)、晶析、蒸留又はこれらを組み合
わせた分離手段などを利用して分離でき、副生物中のシ
クロアルカノンやシクロアルカノールなどの他の副生物
は、蒸留などにより分離できる。また、触媒は、濾過、
晶析(リパルプ、洗浄など)、分配(中和など)又はこ
れらの組み合わせにより分離するのが好ましい。さら
に、シクロアルカノンオキシムは、抽出、蒸留などによ
り分離できる。
【0096】分離装置としては、慣用の装置が使用で
き、1又は複数の装置を使用してもよい。複数の装置を
使用する場合、装置は直列及び/又は並列に接続しても
よい。装置の形状は球形、円柱形などであってもよい。
特に、分離装置内部には、特別な装置を必要としない
が、多孔板のような内部を多室に分割するような装置を
備えていてもよい。また、攪拌効率を高めるために、攪
拌羽根のような機械的攪拌装置を有していてもよい。
【0097】さらに、蒸留塔及び抽出蒸留塔としては、
タナ段塔、多孔板塔、充填塔(規則充填塔、不規則充填
塔)、泡鐘塔、バルブ塔などが使用できる。抽出装置と
しては、慣用の装置、例えば、ミキサーセトラー、多孔
板塔、スプレー塔、充填塔、回転円板抽出塔、カールカ
ラムなどが例示できる。濾過装置としては、種々の装
置、例えば、遠心濾過、フィルタープレスなどが使用で
きる。濃縮装置としては、種々の装置、例えば、自然循
環式、水平管型蒸発器、自然循環式垂直短管型蒸発器、
水平管下降膜型蒸発器、垂直長管下降膜型蒸発器、強制
循環式水平管型蒸発器、強制循環式垂直管型蒸発器、攪
拌膜型蒸発器などが例示できる。これらの装置は、単独
で又は二種以上組合わせて使用してもよい。
【0098】
【発明の効果】本発明によれば、特定の触媒の存在下、
シクロアルカンと窒素酸化物とを反応させると、硫酸ア
ンモニウムなどを生成することなく、シクロアルカノン
オキシムを生成でき、さらに一連のプロセスにより簡便
に高収率及び高純度でシクロアルカノンオキシムを得る
ことができる。
【0099】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0100】実施例1 図1のフロー図に従ってシクロヘキサノンオキシムを製
造した。なお、洗浄槽11及び濾過装置6を用いる触媒
分離工程、及び蒸留塔7を用いる低沸点成分の分離工程
は行わなかった。 (1)反応工程 反応装置1にシクロヘキサン9.041kg(107m
ol)、N−ヒドロキシフタルイミド1.75kg(1
0.7mol)、酢酸81.081kg、および一酸化
窒素及び二酸化窒素の混合物(NO/NO2(モル比)
=20/80)0.47kg(11mol)の混合物を
仕込み、常圧、80℃で10時間反応させた。反応混合
液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結
果、シクロヘキサンの転化率は10.2%、シクロヘキ
サノンオキシム、およびニトロシクロヘキサンの選択率
はそれぞれ19.5%、32.4%であった。 (2)濃縮工程 次いで、反応混合物を濃縮装置2に仕込み、フラッシュ
蒸留によりシクロヘキサン及び酢酸を留去した。 (3)副生物分離工程 濃縮装置2の塔底からの留出液を晶析糟3に供給し、水
1kgを加えたのち、15℃まで冷却しながら1時間攪
拌した後、濾過装置4を用いて、副生物とシクロヘキサ
ノンオキシムとを分離した。濾過装置4より得られた濾
液は、段数20段の蒸留塔9に供し、5mmHg、還流
比5の条件で蒸留し、ニトロシクロヘキサンを回収し
た。 (4)シクロアルカノンオキシム分離工程 濾過装置4から分離された析出物を段数20段の蒸留塔
8に供し、圧力50mmHg、還流比10の条件で蒸留
し、塔頂より0.19kgのシクロヘキサノンオキシム
を得た(精製収率80.8%)。得られたシクロヘキサ
ノンオキシムの純度は99.2%であった。
【0101】実施例2 図3の製造工程に従ってシクロヘキサノンオキシムを製
造した。 (1)反応工程 反応器1にシクロヘキサン9.002kg(107mo
l)、N−ヒドロキシフタルイミド1.746kg(1
0.7mol)、酢酸81.072kg、および液体状
の二酸化窒素1.38kg(30mol)の混合液を仕
込み、常圧、80℃で8時間反応させた。反応混合液中
の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シ
クロヘキサンの転化率は8.3%、シクロヘキサノンオ
キシム、およびニトロシクロヘキサンの選択率はそれぞ
れ12.3%、20.7%であった。 (2)濃縮工程 反応混合物を濃縮装置2に供し、常圧下、フラッシュ蒸
留によりシクロヘキサン及び酢酸を留去した。 (3)触媒分離工程 濃縮装置2の塔底からの留出液を中和糟12に供給し、
この中和槽に水酸化ナトリウム水溶液(1N)5kgを
加えた。混合物を1時間攪拌した後、1時間静止し、分
液させた。 (4)副生物分離工程 中和槽12からの有機層を晶析糟3に供給し、15℃ま
で冷却しながら1時間攪拌させた後、濾過装置4を用い
て、副生物とシクロヘキサノンオキシムとを分離した。 (5)シクロアルカノンオキシム分離工程 析出物をシクロヘキサンに溶解し、その液を段数10段
の蒸留塔7(8)に供し、まずは常圧、還流比5の条件
でシクロヘキサンを回収した後、圧力を50mmHg、
還流比を10にして、塔頂より0.09kgのシクロヘ
キサノンオキシムを得た(精製収率76.7%)。得ら
れたシクロヘキサノンオキシムの純度は99.0%であ
った。
【0102】実施例3 図4の製造工程図に従ってシクロヘキサノンオキシムを
製造した。なお、蒸留によるシクロアルカノンオキシム
の分離は行なっていない。 (1)反応工程 反応器1にシクロヘキサン3.03kg(36mo
l)、N−ヒドロキシフタルイミド0.58kg(3.
57mol)、ベンゾニトリル26.99kg、および
液体状の二酸化窒素0.31kg(6.74mol)の
混合液を仕込み、常圧、80℃で8時間反応させた。反
応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析し
た結果、シクロヘキサンの転化率は17.9%、シクロ
ヘキサノンオキシム、およびニトロシクロヘキサンの選
択率はそれぞれ15.4%、22.6%であった。 (2)触媒分離工程 反応混合液を中和糟12に移し、そこに1Nの水酸化ナ
トリウム水溶液5kgを加えた。その混合液を1時間攪
拌した後、1時間静止し、分液させ、水相を除去するこ
とにより触媒を分離した。
【0103】なお、得られた水相に、pHが4になるま
で塩酸を加えた。次に水を濃縮し、10℃まで冷却晶析
して、濾過により触媒を回収した。 (3)濃縮工程 シクロヘキサノンオキシムを含む有機層を、濃縮装置2
に供給し、常圧下、フラッシュ蒸留によりシクロヘキサ
ンを留去した。 (4)副生物分離工程 濃縮装置2の塔底からの留出液を晶析糟3に移し、15
℃まで冷却しながら1時間攪拌した後、濾過装置4を用
いて、触媒とシクロヘキサノンオキシムとを分離し、乾
燥した。得られたシクロヘキサノンオキシム0.04k
g(精製収率88%)の純度は98.0%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法を説明するためのフロー
図である。
【図2】図2は、本発明の他の方法を説明するためのフ
ロー図である。
【図3】図3は、本発明のさらに他の方法を説明するた
めのフロー図である。
【図4】図4は、本発明の別の方法を説明するためのフ
ロー図である。
【符号の説明】
1…反応装置 2…濃縮装置 3…晶析槽 4,6…濾過装置 5…リパルプ槽 7,8,9…蒸留塔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC59 AD11 AD15 BA05 BA08 BA10 BA12 BA13 BA14 BA18 BA20 BA30 BA37 BA50 BA75 BA82 BB11 BB12 BB14 BB15 BB17 BB18 BB20 BB21 BD34 BD35 BD36 BD52 BD53 BD70 BD84 BE44 4H039 CA72 CD10

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) 【化1】 (式中、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示す)で表
    されるイミド単位を有する触媒を用いて、シクロアルカ
    ンからシクロアルカノンオキシムを製造する方法であっ
    て、(A)前記触媒の存在下、シクロアルカンと窒素酸
    化物とを接触させる反応工程と、(B)反応混合物か
    ら、副生物と前記触媒とシクロアルカノンオキシムとを
    分離する分離工程とを含むシクロアルカノンオキシムの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 (C)濃縮工程を経て、反応混合物を
    (B)分離工程に供する請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 晶析により、反応混合物から、ニトロシ
    クロアルカンを含む非晶析成分と、少なくともシクロア
    ルカノンオキシムを含む晶析成分とを分離する請求項1
    記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 晶析に先立って反応混合物から触媒を分
    離するか、又は晶析成分から触媒を分離する請求項3記
    載の製造方法。
  5. 【請求項5】 非晶析成分のうち、ニトロシクロアルカ
    ンを反応系にリサイクルし、晶析成分のうち、低沸点成
    分とシクロアルカノンオキシムを含む高沸点成分とを分
    離する請求項3記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 副生物のニトロシクロアルカン及び分離
    した触媒を、反応系にリサイクルする請求項1記載の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 副生物のニトロシクロアルカンを、分
    配、晶析、蒸留、又はこれらの組み合わせにより分離す
    る請求項1記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 触媒を、濾過、分配、晶析、又はこれら
    の組み合わせにより分離する請求項1記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 溶媒の存在下で反応させ、反応混合物か
    ら溶媒を分離する工程を含む請求項1記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 分離した溶媒を反応系にリサイクルす
    る請求項9記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の触媒の存在下、シクロ
    アルカンと窒素酸化物とを接触させる反応工程、反応混
    合物を濃縮する濃縮工程、及びニトロシクロアルカンを
    含む副生物と、前記触媒と、シクロアルカノンオキシム
    とを分離する分離工程で構成され、分離した触媒及び副
    生物中のニトロシクロアルカンを反応系にリサイクルす
    る請求項1記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 溶媒の存在下で反応させ、反応混合物
    を濃縮して溶媒を分離し、分離した溶媒を反応系にリサ
    イクルする請求項11記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 シクロアルカンがシクロヘキサンであ
    る請求項1記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 触媒が、式(II)で表されるイミド化合
    物である請求項1記載の製造方法。 【化2】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
    ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
    ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
    基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
    びR2は互いに結合して二重結合、あるいは芳香族性又
    は非芳香族性環を形成してもよく、R1 及びR 2により
    形成される芳香族性又は非芳香族性環は、前記式(I)
    で示されるイミド単位を少なくとも1つ有していてもよ
    い。Xは前記に同じ)
  15. 【請求項15】 さらに助触媒を用いる請求項1記載の
    製造方法。
JP2000160367A 2000-05-30 2000-05-30 シクロアルカノンオキシムの製造方法 Withdrawn JP2001335549A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000160367A JP2001335549A (ja) 2000-05-30 2000-05-30 シクロアルカノンオキシムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000160367A JP2001335549A (ja) 2000-05-30 2000-05-30 シクロアルカノンオキシムの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001335549A true JP2001335549A (ja) 2001-12-04

Family

ID=18664568

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000160367A Withdrawn JP2001335549A (ja) 2000-05-30 2000-05-30 シクロアルカノンオキシムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001335549A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103193672A (zh) * 2013-03-11 2013-07-10 浙江圣安化工有限公司 一种肟的蒸馏方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103193672A (zh) * 2013-03-11 2013-07-10 浙江圣安化工有限公司 一种肟的蒸馏方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1074537B1 (en) Process for preparing cycloalkanone
EP1074536B1 (en) Oxidation method
JP3434034B2 (ja) 酸化触媒およびそれを用いた酸化方法
US7285684B2 (en) Process for separating imide compounds
JPWO2006095568A1 (ja) 有機化合物の酸化方法
JP5345266B2 (ja) カルボン酸の製造方法
JP2000219650A (ja) ヒドロキシアダマンタノン誘導体の製造法
JP4436905B2 (ja) ジカルボン酸の製造方法
JP2001335549A (ja) シクロアルカノンオキシムの製造方法
JP4216941B2 (ja) シクロアルカノンの製造方法
JP4039846B2 (ja) 過酸化水素の製造法
JP5069829B2 (ja) 反応生成物とイミド化合物との分離方法
JP2002301376A (ja) 金属触媒の分離方法
JP2001192354A (ja) β−アシルオキシカルボン酸又はβ−アシルオキシケトンの製造法
JP4469238B2 (ja) 金属触媒の回収方法およびこの回収方法を含むカルボン酸の製造方法
JP2002301382A (ja) 金属触媒の分離方法
JP4618867B2 (ja) 有機過酸化物の製造方法
JP2000212116A (ja) ヒドロキシケトンの製造法
JP2002320861A (ja) 金属触媒の分離方法
JP2003221359A (ja) ジカルボン酸の製造方法
JP2002053556A (ja) ピリジンカルボン酸の製造方法
JP2001122808A (ja) 芳香族化合物の製造方法
JP2001026562A (ja) 酸化触媒およびそれを用いた酸化方法
JP2006504780A (ja) カルボン酸の製造方法
JP2002155049A (ja) ラクタムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070329

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20091116