JP2002053556A - ピリジンカルボン酸の製造方法 - Google Patents

ピリジンカルボン酸の製造方法

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JP2002053556A
JP2002053556A JP2000245552A JP2000245552A JP2002053556A JP 2002053556 A JP2002053556 A JP 2002053556A JP 2000245552 A JP2000245552 A JP 2000245552A JP 2000245552 A JP2000245552 A JP 2000245552A JP 2002053556 A JP2002053556 A JP 2002053556A
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JP2000245552A
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Hitoshi Watanabe
仁志 渡邊
Narihisa Hirai
成尚 平井
Masahiko Terada
正彦 寺田
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高純度のピリジンカルボン酸を収率よく製造
する方法を提供する。 【解決手段】 特定のイミド化合物の存在下、アルキル
ピリジンと酸素とを接触させる工程(反応工程1)、
(B)反応混合物から、ピリジンカルボン酸を含む晶析
成分と、触媒を含む非晶析成分を分離する工程(晶析工
程2、濾過工程3)、晶析成分からピリジンカルボン酸
を分離精製する工程(洗浄工程4、乾燥工程5)を経る
ことによりピリジンカルボン酸を効率よく製造する。必
要により、反応装置1からの反応混合物を濃縮工程に供
してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のイミド化合
物の存在下、アルキルピリジンと酸素とを反応させ、一
連のプロセスを経て効率よくピリジンカルボン酸を製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ピリジンカルボン酸の中でも、ニコチン
酸は、飼料添加剤や食品添加剤として極めて有用な化合
物である。このようなニコチン酸を製造する方法として
は、アルキルピリジンを直接酸化する方法、例えば、触
媒を用いてアルキルピリジンを接触気相酸化する方法、
液相で硝酸などの酸化剤を用いて酸化する方法などが挙
げられる。しかし、接触気相酸化では、ピリジンカルボ
ン酸の選択率及び収率が低下する。また、硝酸酸化では
多量の酸化剤を必要とするばかりか、酸化反応によって
生成したN2O及びNOxを処理するために、高価な排ガ
ス処理施設が必要となる。
【0003】特開平11−106377号公報には、N
−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)などのイミド化
合物で構成された酸化触媒の存在下、複素環化合物と酸
素とを接触させて酸化する方法が開示されている。この
文献の実施例では、複素環化合物として2,6−ジメチ
ルピリジンを使用し、NHPI及び助触媒(コバルトア
セチルアセトナート)の存在下、酸素と接触させて、6
−メチル−2−ピリジンカルボン酸及び2,6−ピリジ
ンジカルボン酸を生成させている。しかし、この文献に
は、前記方法で生成した反応生成物からピリジンカルボ
ン酸を得る方法は記載されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高純度のピリジンカルボン酸を効率よく製造できる
方法を提供することにある。
【0005】本発明の他の目的は、一連のプロセスによ
り、高純度のピリジンカルボン酸を、簡単な操作で、工
業的に有利に製造できる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討の結果、特定の触媒の存在下、
アルキルピリジンと酸素とを反応させ、一連のプロセス
により、高純度のピリジンカルボン酸を効率よく生成で
きること、ニコチン酸などの昇華性を有する目的化合物
であっても特定の分離法を利用すると効率よく分離でき
ることを見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明の製造方法は、下記式
(I)で表されるイミド単位を有する酸化触媒を用い
て、アルキルピリジンからピリジンカルボン酸を製造す
る方法であり、
【0008】
【化3】
【0009】(式中、Xは酸素原子又はヒドロキシル基
を示す。) (A)前記触媒の存在下、アルキルピリジンと酸素とを
接触させる反応工程、(B)反応混合物から、ピリジン
カルボン酸と前記酸化触媒と副生物とを分離する分離工
程とを含む。(B)分離工程において、反応混合物を晶
析(冷却晶析又は晶析溶媒を用いる晶析など)により、
反応混合物から、ピリジンカルボン酸を含む成分と、酸
化触媒を含む成分とを分離してもよい。溶媒の存在下で
反応させ、反応混合物を濃縮して溶媒を分離し、濃縮物
を前記分離工程(B)に供してもよい。分離した溶媒を
反応系にリサイクルしてもよい。濃縮工程を経て、反応
混合物を(B)分離工程に供してもよい。分離した酸化
触媒を、反応系にリサイクルしてもよい。反応混合物を
濃縮工程及び晶析工程に供した後、晶析成分から、ピリ
ジンカルボン酸を分離し、非晶析成分から酸化触媒を分
離してもよい。また、本発明の製造方法は、前記酸化触
媒の存在下、溶媒中、C1-3アルキル基を有するピリジ
ンと酸素とを接触させる反応工程、反応混合物を濃縮す
る濃縮工程、及び濃縮物から、ピリジンカルボン酸と、
前記酸化触媒と、副生物とを分離する分離工程で構成さ
れ、分離した溶媒及び酸化触媒を反応系にリサイクルし
てもよい。アルキルピリジンはβ−ピコリンであっても
よい。 前記酸化触媒は、必要により助触媒と併用して
もよい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、必要に応じて添付図面を
参照しつつ本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明の方法は、(A)反応工程と、
(B)反応混合物から、ピリジンカルボン酸と酸化触媒
と副生物とを分離する分離工程とを備えている。
【0012】[(A)反応工程]反応工程において、前
記式(I)で表される酸化触媒(必要により助触媒を含
む触媒系)の存在下、アルキルピリジンを酸素と接触さ
せることにより、ピリジンカルボン酸を生成させる。
【0013】(酸化触媒)酸化触媒としては、式(I)
で表されるイミド単位を有する化合物(以下、単にイミ
ド化合物という場合がある)が使用できる。
【0014】
【化4】
【0015】(式中、Xは酸素原子又はヒドロキシル基
を示す。) 好ましい触媒は、下記式(II)で表される。
【0016】
【化5】
【0017】(式中、R1及びR2は、同一又は異なっ
て、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール
基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ
基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル
基を示し、R1及びR2は、互いに結合して二重結合、あ
るいは芳香族性又は非芳香族性環を形成してもよく、R
1及びR2により形成される芳香族性又は非芳香族性環
は、前記式(I)で示されるイミド単位を少なくとも1
つ有していてもよい。Xは前記に同じ) 前記式(II)の化合物において、置換基R1及びR2のうち
ハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素及びフッ素が含
まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−
ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、
オクチル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直鎖状
又は分岐鎖状アルキル基(好ましくは、C1-6アルキル
基、特にC1-4アルキル基 )が含まれる。
【0018】アリール基には、フェニル基、ナフチル基
などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などのC3-10
シクロアルキル基が含まれる。アルコキシ基には、例え
ば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキ
シ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチル
オキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程度の
アルコキシ基、好ましくはC1-6アルコキシ基、特にC
1-4アルコキシ基が含まれる。
【0019】アルコキシカルボニル基には、例えば、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカ
ルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボ
ニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニ
ル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボ
ニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度の
アルコキシカルボニル基(好ましくは、C1-6アルコキ
シ−カルボニル基、C1 -4アルコキシ−カルボニル基)
が含まれる。
【0020】アシル基としては、例えば、ホルミル、ア
セチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレ
リル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6
程度のアシル基が例示できる。
【0021】前記置換基R1及びR2は、同一又は異なっ
ていてもよい。また、前記式(II)において、R1及びR2
は互いに結合して、二重結合、あるいは芳香族性又は非
芳香族性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は
非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度で
あり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水
素環である場合が多い。芳香族性又は非芳香族性環は、
前記式(I)で表されるイミド単位を少なくとも1つ
(通常、1又は2)有していてもよい。このような環に
は、例えば、非芳香族性脂環族環(シクロヘキサン環な
どの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シク
ロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロア
ルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネ
ン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素
環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有
していてもよい芳香族環が含まれる。前記環は、芳香族
環で構成される場合が多い。
【0022】好ましいイミド化合物には、下記式で表さ
れる化合物が含まれる。
【0023】
【化6】
【0024】(式中、R3〜R6は、同一又は異なって、
水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ
基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル
基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示
す。R1、R2及びXは前記に同じ) 置換基R3〜R6において、アルキル基、アルコキシ基、
アルコキシカルボニル基、アシル基、ハロゲン原子とし
ては、前記と同様の基又は原子が例示できる。置換基R
3〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級ア
ルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子で
ある場合が多い。
【0025】式(I)で表されるイミド化合物は、一種
で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0026】前記式(I)で表されるイミド化合物に対
応する酸無水物には、例えば、無水コハク酸、無水マレ
イン酸などの飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸無水
物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタ
ル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物)、
1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸、
1,2−無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性環状多
価カルボン酸無水物(脂環族多価カルボン酸無水物)、
無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環式多価
カルボン酸無水物(脂環族多価カルボン酸無水物)、無
水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ
無水フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水トリメリット
酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水
ピロメリット酸、無水メリト酸、1,8;4,5−ナフ
タレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カル
ボン酸無水物が含まれる。
【0027】好ましいイミド化合物としては、例えば、
N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイ
ン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミ
ド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカル
ボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒ
ドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシ
テトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸
イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒド
ロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシ
ピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシナフタ
レンテトラカルボン酸イミドなどが挙げられる。特に好
ましい化合物には、脂環族多価カルボン酸無水物、なか
でも芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−ヒ
ドロキシイミド化合物、例えば、N−ヒドロキシフタル
酸イミドなどが含まれる。
【0028】前記イミド化合物は、慣用のイミド化反
応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンN
2OHとを反応させて酸無水物基を開環した後、閉環
してイミド化することにより調製できる。
【0029】なお、このような酸化触媒を使用すると、
アルキルピリジンと酸素を接触させるだけで、ピリジン
カルボン酸を高い選択率及び収率で得ることができる。
【0030】前記式(I)のイミド化合物の使用量は、
広い範囲で選択でき、例えば、アルキルピリジン1モル
に対して0.00001モル(0.001モル%)〜1
モル(100モル%)、好ましくは0.0001モル
(0.01モル%)〜0.5モル(50モル%)、さら
に好ましくは0.001モル(0.1モル%)〜0.4
モル(40モル%)程度であり、0.01モル(1モル
%)〜0.35モル(35モル%)程度である場合が多
い。
【0031】(助触媒)前記式(I)のイミド化合物と
助触媒とを併用してもよい。
【0032】助触媒としては、金属化合物、例えば、遷
移金属化合物や、ホウ素化合物などのように周期表13
族元素(ホウ素B、アルミニウムAlなど)を含む化合
物が含まれる。助触媒は、一種で又は二種以上組合わせ
て使用できる。
【0033】前記遷移金属の元素としては、例えば、周
期表3族元素(例えば、スカンジウムSc、イットリウ
ムYの外、ランタンLa、セリウムCe、サマリウムS
mなどのランタノイド元素、アクチニウムAcなどのア
クチノイド元素)、周期表4族元素(チタンTi、ジル
コニウムZr、ハフニウムHfなど)、5族元素(バナ
ジウムV、ニオブNb、タンタルTaなど)、6族元素
(クロムCr、モリブデンMo、タングステンWな
ど)、7族元素(マンガンMnなど)、8族元素(鉄F
e、ルテニウムRu、オスミウムOsなど)、9族元素
(コバルトCo、ロジウムRh、イリジウムIrな
ど)、10族元素(ニッケルNi、パラジウムPd、白
金Ptなど)、11族元素(銅Cu、銀Ag、金Auな
ど)などが挙げられる。
【0034】特に、前記式(I)で表されるイミド化合
物と組合せたとき、Ceなどのランタノイド元素、Ti
などの4族元素、Vなどの5族元素、Mo、Wなどの6
族元素、Mnなどの7族元素、Fe、Ruなどの8族元
素、Co、Rhなどの9族元素、Niなどの10族元
素、Cuなどの11族元素を含む化合物は、高い酸化活
性を示す。
【0035】助触媒は、前記元素を含み、かつ触媒能を
有する限り特に制限されず、水酸化物などであってもよ
いが、通常、前記元素を含む金属酸化物、有機酸塩、無
機酸塩、ハロゲン化物、前記金属元素を含む配位化合物
(錯体)やヘテロポリ酸又はその塩などである場合が多
い。また、ホウ素化合物としては、例えば、水素化ホウ
素(例えば、ボラン、ジボラン、テトラボラン、ペンタ
ボラン、デカボランなど)、ホウ酸(オルトホウ酸、メ
タホウ酸、四ホウ酸など)、ホウ酸塩(例えば、ホウ酸
ニッケル、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガンな
ど)、B23などのホウ素酸化物、ボラザン、ボラゼ
ン、ボラジン、ホウ素アミド、ホウ素イミドなどの窒素
化合物、BF3、BCl3、テトラフルオロホウ酸塩など
のハロゲン化物、ホウ酸エステル(例えば、ホウ酸メチ
ル、ホウ酸フェニルなど)などが挙げられる。
【0036】有機酸塩としては、例えば、酢酸塩、プロ
ピオン酸塩、ナフテン酸塩、オクチル酸塩、ステアリン
酸塩などのC1-30カルボン酸塩(C2-24カルボン酸塩な
ど)が例示され、無機酸塩としては、例えば、硝酸塩、
硫酸塩又はリン酸塩などが挙げられる。また、ハロゲン
化物としては、例えば、塩化物や臭化物などが例示でき
る。
【0037】錯体を形成する配位子としては、OH(ヒ
ドロキソ)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキ
シ基などのアルコキシ基、アセチル、プロピオニルなど
のアシル基、メトキシカルボニル(アセタト)、エトキ
シカルボニルなどのアルコキシカルボニル基、アセチル
アセトナト、シクロペンタジエニル基、塩素、臭素など
ハロゲン原子、CO、CN、酸素原子、H2O(ア
コ)、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンな
どのトリアリールホスフィン)などのリン化合物、NH
3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO3(ニト
ラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピ
リジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合物などが
挙げられる。錯体又は錯塩において、同種又は異種の配
位子は一種又は二種以上配位していてもよい。
【0038】好ましい錯体には、前記遷移金属元素を含
む錯体が含まれる。前記遷移金属元素と配位子とは適当
に組合せて錯体を構成することができ、例えば、セリウ
ムアセチルアセトナト、コバルトアセチルアセトナト、
ルテニウムアセチルアセトナト、銅アセチルアセトナト
などであってもよい。
【0039】ヘテロポリ酸を形成するポリ酸は、例え
ば、周期表5族又は6族元素、例えば、V(バナジン
酸),Mo(モリブデン酸)及びW(タングステン酸)
の少なくとも一種である場合が多く、中心原子は特に制
限されない。ヘテロポリ酸の具体例としては、例えば、
コバルトモリブデン酸塩、コバルトタングステン酸塩、
モリブデンタングステン酸塩、バナジウムモリブデン酸
塩、バナドモリブドリン酸塩などが挙げられる。
【0040】なお、触媒系において、ヘテロポリ酸は水
素引抜き反応に関与すると予測され、コバルト化合物や
ホウ素化合物などは過酸化物分解に関与すると予測され
る。
【0041】助触媒として、周期表7族元素及び/又は
9族元素で構成された助触媒[例えば、7族元素を含む
化合物と9族元素を含む化合物との組み合わせ(特に、
マンガン化合物とコバルト化合物との組み合わせ)]を
使用すれば、ピリジンカルボン酸を効率よく生成でき
る。
【0042】前記式(I)で表されるイミド化合物、又
はこのイミド化合物(I)と前記助触媒とで構成される
触媒系は、均一系であってもよく、不均一系であっても
よい。また、触媒系は、担体に触媒成分が担持された固
体触媒であってもよい。担体としては、活性炭、ゼオラ
イト、シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイトなどの
多孔質担体を用いる場合が多い。固体触媒における触媒
成分の担持量は、担体100重量部に対して、前記式
(I)のイミド化合物0.1〜50重量部程度である。
また、助触媒の担持量は、担体100重量部に対して、
0.1〜30重量部程度である。
【0043】助触媒の使用量は、例えば、アルキルピリ
ジン1モルに対して0.0001モル(0.01モル
%)〜0.7モル(70モル%)、好ましくは0.00
1モル(0.1モル%)〜0.5モル(50モル%)、
さらに好ましくは0.002モル(0.2モル%)〜
0.7モル(70モル%)程度であり、0.005
(0.5モル%)〜0.05モル(5モル%)程度であ
る場合が多い。
【0044】ヘテロポリ酸又はその塩を助触媒として使
用する場合、アルキルピリジン100重量部に対して
0.1〜25重量部、好ましくは0.5〜10重量部、
さらに好ましくは1〜5重量部程度である。
【0045】(アルキルピリジン)アルキルピリジンと
しては、2−メチルピリジン(α−ピコリン)、3−メ
チルピリジン(β−ピコリン)、4−メチルピリジン
(γ−ピコリン)などのピコリン類、2,3−ジメチル
ピリジン(2,3−ルチジン)、2,4−ジメチルピリ
ジン(2,4−ルチジン)、2,5−ジメチルピリジン
(2,5−ルチジン)、3,5−ジメチルピリジン
(3,5−ルチジン)、2,6−ジメチルピリジン
(2,6−ルチジン)などのルチジン類、2,3,4−
トリメチルピリジン、2,3,5−トリメチルピリジ
ン、2,3,6−トリメチルピリジン、2,4,6−ト
リメチルピリジンなどのコリジン類、2−エチルピリジ
ン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン、3−イ
ソプロピルピリジン、2−エチル−4−メチルピリジン
などが挙げられる。これらのアルキルピリジンは、単独
で又は二種以上組合わせて使用してもよい。好ましいア
ルキルピリジンは、1〜4(特に1又は2)個のC1-6
アルキル基(好ましくはC1-4アルキル基、さらに好ま
しくはC 1-3アルキル基)を有するピリジンなどが挙げ
られ、通常、ピコリン類(特にβ−ピコリン)が使用さ
れる。
【0046】なお、前記酸化反応において、アルデヒド
類(特に、目的化合物であるピリジンカルボン酸に対応
するピリジンアルデヒド類)の共存下で反応させると、
前記酸化反応を促進し、高効率でピリジンカルボン酸を
製造できる。また、ラジカル発生剤やラジカル促進剤な
どを併用すれば、反応が促進される場合もある。
【0047】(酸素)反応は、酸素雰囲気下で行われ
る。酸素源としては、特に制限されず、純粋な酸素を用
いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素な
どの不活性ガスで希釈した酸素を使用してもよい。操作
性及び安全性のみならず経済性などの点から、空気を使
用するのが好ましい。酸素の使用量は、アルキルピリジ
ンの種類に応じて選択でき、通常、アルキルピリジン1
モルに対して、0.5モル以上(例えば、1モル以
上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは2
〜50モル程度である。
【0048】(反応溶媒)本発明の反応は、反応に不活
性な有機溶媒の存在下又は非存在下で行なうことができ
る。有機溶媒としては、例えば、酢酸、プロピオン酸な
どの有機酸;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベン
ゾニトリルなどのニトリル類;ホルムアミド、アセトア
ミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセ
トアミドなどのアミド類;ヘキサン、オクタンなどの脂
肪族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジク
ロロエタン、四塩化炭素、ジクロロベンゼン、トリフル
オロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロ
ベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化
合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;これ
らの混合溶媒などが挙げられる。溶媒としては、有機
酸、ハロゲン化炭化水素、ニトリル類、エステル類を用
いる場合が多い。なお、アルキルピリジンを溶媒として
用いてもよい。
【0049】反応温度は、例えば、0〜300℃、好ま
しくは15〜200℃、さらに好ましくは30〜150
℃程度であり、通常、60〜125℃程度で反応する場
合が多い。特に、高温(例えば、90℃以上、好ましく
は95〜200℃、特に100〜200℃程度)で反応
を行うと、ピリジンカルボン酸を効率よく得ることがで
きる。
【0050】また、反応は、常圧または加圧下で行なう
ことができ、加圧下で反応させる場合には、通常、1〜
100atm(例えば、1.5〜80atm)、好ましくは2
〜70atm、さらに好ましくは3〜50atm程度である場
合が多い。反応時間(流通式反応においては滞留時間)
は、反応温度及び圧力に応じて、例えば、1分〜48時
間、好ましくは1〜36時間、さらに好ましくは2〜2
4時間程度の範囲から適当に選択できる。
【0051】前記反応操作は、連続式、回分式、又は半
回分式で行ってもよい。また、反応は、水を除去しなが
ら行う反応蒸留で行ってもよく、デカンターなどの水分
離装置と組み合わせて水を除去する反応蒸留で行っても
よい。反応装置としては、慣用の装置が使用でき、1又
は複数の装置を使用してもよい。複数の装置を使用する
場合、装置は直列及び/又は並列に接続してもよい。装
置の形状は球形、円柱形などであってもよい。特に、反
応装置内部には、特別な装置を必要としないが、多孔板
のような内部を多室に分割するような装置を備えていて
もよい。また、攪拌効率を高めるために、攪拌羽根のよ
うな機械的攪拌装置を有していてもよい。
【0052】このような反応により、基質アルキルピリ
ジンに対応するピリジンカルボン酸が生成する。なお、
前記基質に対応するアルデヒド類やアルコール類などが
副生物として生成したり、酸化触媒の活性が低下する場
合もある。そこで、本発明では、反応工程で生成した反
応混合物から、高純度のピリジンカルボン酸を効率よく
分離するため、反応混合物を分離工程に供する。
【0053】[(B)分離工程]分離工程(B)では、
ピリジンカルボン酸と、酸化触媒と、副生物とを分離し
ている。前記成分の分離は、通常、晶析を利用して、少
なくともピリジンカルボン酸を含む成分と他の成分とに
分離できる。晶析は、冷却による晶析や晶析溶媒を用い
る晶析(溶媒晶析)などにより行うことができる。この
ような晶析を利用すると、晶析成分と非晶析成分とを、
濾過などの簡単な操作で分離できる。
【0054】なお、晶析方法(晶析溶媒の種類など)に
よって、ピリジンカルボン酸は、晶析成分に含まれてい
たり、非晶析成分に含まれる場合がある。晶析成分にピ
リジンカルボン酸が含まれる場合には、必要により、晶
析成分を洗浄、濾過及び/又は乾燥することにより精製
してもよい。また、非晶析成分にピリジンカルボン酸が
含まれる場合、非晶析成分から抽出などの分配又は分液
操作を利用して、ピリジンカルボン酸を分離してもよ
い。このような場合、ピリジンカルボン酸を含む液相を
濃縮して抽出溶媒を分離し、濃縮物を、必要により晶
析、濾過、洗浄及び/又は乾燥してもよい。
【0055】なお、酸化反応を溶媒の存在下で行う場合
には、反応混合物を濃縮することなく晶析工程に供して
もよく、濃縮して低沸点成分(溶媒など)を分離した
後、晶析工程に供してもよい。濃縮工程を経て得られた
濃縮物を、晶析溶媒を用いて晶析することにより、ピリ
ジンカルボン酸を含む成分を分離してもよい。なお、濃
縮により分離された溶媒は、必要により精製し、反応系
にリサイクルしてもよい。溶媒のうち、反応溶媒は反応
系にリサイクルし、晶析溶媒は晶析工程にリサイクル
し、洗浄溶媒は洗浄工程にリサイクルしてもよい。
【0056】また、前記晶析工程において分離された触
媒(酸化触媒及び助触媒)は、分配(抽出など)、蒸
留、濾過又はこれらを組合せた操作により精製してもよ
い。分離された酸化触媒は、必要により、再生工程を経
て、反応系にリサイクルしてもよい。特に、沸点の高い
金属成分を含む助触媒は、蒸留塔などの塔底から高沸点
成分を留出させ、反応系にリサイクルしてもよい。ま
た、焼却処理などにより金属成分を回収してもよい。ま
た、蒸留塔の塔底液を水などを用いて抽出し、水相を脱
水塔に供し、脱水後、反応系にリサイクルしてもよい。
【0057】以下に具体的な製造方法を図面に基づいて
説明する。
【0058】図1は、本発明の製造方法を説明するため
のフロー図である。この例では、(A)反応工程と、冷
却晶析により、ピリジンカルボン酸を含む晶析成分と、
酸化触媒及び副生物を含む非晶析成分とを分別する冷却
晶析工程(B1)、及び晶析成分を洗浄及び乾燥してピ
リジンカルボン酸を精製する分離精製工程(B2)とを
備えている。
【0059】[冷却晶析工程(B1)]冷却晶析工程で
は、反応混合物を、晶析成分と非晶析成分とに分別して
いる。図1の冷却晶析工程2では、反応工程1からの反
応混合物を冷却して晶析成分を晶析させ、濾過工程3に
おいて、晶析成分と非晶析成分とを濾別している。晶析
成分には、通常、目的化合物であるピリジンカルボン酸
が含まれ、非晶析成分には、酸化触媒(助触媒を含
む)、副生物(アルキルピリジンに対応するアルデヒド
類やアルコール類など)、未反応原料、溶媒を使用した
場合には反応溶媒などが含まれている。
【0060】冷却晶析は、慣用の方法で行われ、例え
ば、晶析温度は、−20〜100℃、好ましくは0〜8
0℃、さらに好ましくは5〜30℃程度の範囲から選択
でき、冷却速度は、1〜50℃/hr、好ましくは5〜
40℃/hr、さらに好ましくは10〜30℃/hr程
度の範囲から選択でき、常圧下(例えば、1atm程
度)、加圧下又は減圧下で行うこができる。また、熟成
時間は、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜4時間、
さらに好ましくは0.5〜2時間程度の範囲から適当に
選択できる。
【0061】濾過工程3において、濾過温度は、前記冷
却晶析温度に応じて選択され、適当な温度、例えば、−
20℃〜100℃、好ましくは0〜80℃、さらに好ま
しくは5〜30℃程度の範囲から選択できる。濾過圧力
は、1mmHg(1.32×10-3atm)〜20atm、好ましくは1
0mmHg(1.32×10-2atm)〜10atm程度の範囲から選択
できる。
【0062】[分離精製工程(B2)]分離精製工程で
は、晶析成分から、ピリジンカルボン酸を分離精製して
いる。図1の例では、濾過工程3からの残渣を、洗浄溶
媒を用いる洗浄工程4に供し、濾過後、乾燥工程5によ
り洗浄溶媒などを取り除き、ピリジンカルボン酸を分離
精製している。前記乾燥工程5では、残存する不純物
[溶媒(洗浄溶媒など)や未反応アルキルピリジンなど
の低沸点不純物、酸化触媒、助触媒]を除去している。
【0063】洗浄工程4において、洗浄溶媒としては、
適当な溶媒、例えば、後述する溶媒晶析の項で例示の溶
媒(例えば、アルコール類、有機酸、ハロゲン化炭化水
素、ニトリル類、エステル類など)が使用できる。洗浄
温度としては、前記晶析温度に対応して、例えば、−2
0℃〜100℃、好ましくは0〜80℃(例えば、0〜
50℃)、さらに好ましくは5〜30℃程度の範囲から
選択できる。洗浄は常圧(1atm程度)、減圧又は加圧
下で行うことができる。洗浄時間としては、特に制限さ
れず、0.001〜5時間、好ましくは0.01〜3時
間、さらに好ましくは0.1〜3時間程度の範囲から適
当に選択できる。洗浄操作は、攪拌しながら行ってもよ
い。
【0064】乾燥工程5において、乾燥温度は、ピリジ
ンカルボン酸の種類に応じて選択され、例えば、10〜
220℃、好ましくは20〜150℃、さらに好ましく
は40〜100℃程度、圧力は1mmHg(1.32×10-3at
m)〜20atm、好ましくは10mmHg(1.32×10-2atm)
〜10atm程度の範囲から選択できる。
【0065】図2は、本発明の他の方法を示すフロー図
である。この例のプロセスは、晶析工程(B1)に先立
って濃縮工程を行うことを除いて、前記図1に示すプロ
セスと基本的に共通している。図2において、反応工程
1の反応混合物を、濃縮工程6に供し、濃縮物を、冷却
晶析工程(B1)において、ピリジンカルボン酸を含む
晶析成分と、酸化触媒を含む非晶析成分とに分別してい
る。晶析成分は、前記と同様に分離精製工程(B2)に
供される。
【0066】[濃縮工程]濃縮工程では、反応混合物か
ら、低沸点成分を留出させて濃縮している。図2の例で
は、反応工程1の反応混合物を濃縮工程6に供し、低沸
点成分と高沸点成分とを分離している。通常、低沸点成
分には、反応溶媒として低沸点溶媒を使用した場合には
溶媒が含まれている場合が多く、副生した水、低沸点副
生物が含まれている場合もある。また、高沸点成分には
ピリジンカルボン酸、酸化触媒、高沸点の副生物、溶
媒、未反応のアルキルピリジン(原料)などが含まれて
いる場合が多い。
【0067】濃縮操作は蒸留塔を用いて行うことがで
き、蒸留塔の段数は、例えば、2〜80段、好ましくは
10〜70段、さらに好ましくは20〜60段程度であ
ってもよい。蒸留操作は、低沸点成分(例えば、低沸点
溶媒、低沸点基質など)の種類に応じて、塔頂温度−2
0℃〜300℃(好ましくは0〜250℃、さらに好ま
しくは20〜200℃、特に40〜200℃)程度、塔
底温度20〜400℃、好ましくは30〜300℃、さ
らに好ましくは50〜250℃程度、圧力1mmHg(1.32
×10-3atm)〜20atm、好ましくは30mmHg(39.5×10
-3atm)〜10atm、さらに好ましくは50mmHg(66×10
-3atm)〜5atm、特に50mmHg(66×10-3atm)〜3atm
程度で行うことができる。また、適当な還流比(例え
ば、0.1〜50、好ましくは0.5〜30,さらに好
ましくは1〜20程度)で留出分を還流させながら行う
ことができる。
【0068】なお、濃縮工程は、蒸発器を用いて行って
もよく、蒸発操作は、例えば、圧力1mmHg(1.32×10-3
atm)〜20atm、好ましくは30mmHg(39.5×10-3at
m)〜10atm、さらに好ましくは50mmHg(66×10-3at
m)〜5atm、特に50mmHg(66×10-3atm)〜3atm程度
の圧力下、−20〜300℃、好ましくは0〜250
℃、さらに好ましくは20〜200℃、特に40〜20
0℃程度の温度範囲で行うことができる。
【0069】濃縮物は、前記と同様に冷却晶析工程(B
1)及び分離精製工程(B2)に供される。なお、分離
された溶媒は、そのまま又は精製後、反応系にリサイク
ルしてもよい。
【0070】図3は、本発明のさらに他の方法を示すフ
ロー図である。この例のプロセスは、晶析溶媒を用いて
晶析を行うこと、濃縮工程で分離された低沸点成分から
反応溶媒を分離すること、さらに分離工程で分離された
濾液から有効成分(特に、未反応原料、晶析溶媒、洗浄
溶媒、助触媒など)を分離することを除いて、前記図2
に示すプロセスと基本的に共通している。図3におい
て、反応工程の反応混合物を濃縮し、濃縮物を晶析工程
に供し、晶析溶媒を用いて晶析成分と非晶析成分とを分
別している(晶析工程(B3))。晶析成分は、前記と
同様に分離精製工程(B2)に供される。なお、濃縮工
程で分離された低沸点成分は、溶媒を分離するための溶
媒分離(脱水)工程(C1)に供される。また、分離工
程(B3及びB2)で分離された濾液は、残存する触
媒、未反応アルキルピリジン、洗浄溶媒、晶析溶媒を分
離するための分離工程(C2)に供される。
【0071】[晶析溶媒を用いる晶析工程(B3)]晶
析工程(B3)では、濃縮物を、晶析溶媒を用いて、晶
析成分と非晶析成分とに分別している。図3の晶析工程
では、濃縮工程6からの濃縮物を、晶析溶媒を用いる晶
析工程8に供し、濾過工程3において、晶析成分と非晶
析成分とに濾別している。図3の例では、晶析成分に
は、目的化合物であるピリジンカルボン酸が含まれ、非
晶析成分には、酸化触媒(助触媒を含む)、副生物(ア
ルキルピリジンに対応するアルデヒド類やアルコール類
など)、未反応原料、溶媒を使用した場合には反応溶
媒、晶析溶媒などが含まれている場合が多い。
【0072】晶析溶媒としては、晶析成分の種類に応じ
て選択され、例えば、適当な溶媒(例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、2−エチル−1−ヘキサノール、イソブタノ
ールなどのアルコール類、エチルベンゼン、トルエン、
p−キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテ
ル、ジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジ
オキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケ
トン、ジエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチルなど
のエステル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オク
タン、イソオクタン、n−デカンなどの飽和脂肪族炭化
水素類、水、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、α−ピ
コリン、β−ピコリン、γ−ピコリンなどのアルキルピ
リジン、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化
炭化水素類、アセトニトリルなどのニトリル類、ジメチ
ルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシ
ド、二硫化炭素、四硫化炭素、石油エーテル、およびこ
れらの混合溶媒など)などを使用できる。特に、アルコ
ール類、有機酸などが好ましい。図3の例では、晶析成
分としてピリジンカルボン酸を析出させている。晶析
は、慣用の方法、例えば、濃縮物と溶媒との混合物を、
常圧下(例えば、1atm程度)、減圧下又は加圧下
で、例えば、−20℃〜100℃、好ましくは0〜50
℃、さらに好ましくは5〜50℃、特に5〜30℃程度
の温度範囲で晶析される。なお、必要であれば、晶析溶
媒を添加した後、冷却してもよく、冷却速度は、1〜5
0℃/hr、好ましくは5〜40℃/hr、さらに好ま
しくは10〜30℃/hr程度の範囲から選択できる。
また、熟成時間は、0.1〜5時間、好ましくは0.5
〜4時間、さらに好ましくは0.5〜2時間程度の範囲
から適当に選択できる。
【0073】濾過工程3における濾過操作は、前記晶析
温度に応じて、前記例示の条件(濾過温度、濾過圧力な
ど)から適宜選択されて行われる。
【0074】濾過工程3の残渣は、前記と同様に分離精
製工程(B2)に供される。
【0075】[溶媒分離工程(C1)]反応工程(A)
において低沸点溶媒を使用した場合、濃縮工程で分離さ
れた低沸点成分には、反応溶媒、水が含まれている。図
3の例では、濃縮工程6の低沸点成分を蒸留工程7に供
し、溶媒及び水を分離している。
【0076】蒸留工程7において、蒸留装置として蒸留
塔を使用した場合、蒸留塔の適当な部位、例えば、塔頂
から低沸点成分(例えば、水)を留出させ、塔底又は塔
の下部から溶媒及び残存する助触媒を留出させてもよ
い。なお、蒸留は、共沸溶媒の使用などにより、デカン
ターなどの水分離装置と組み合わせて水を除去しながら
行ってもよい。
【0077】蒸留塔の段数は、例えば、2〜80段、好
ましくは10〜7段、さらに好ましくは20〜60段程
度であってもよい。蒸留操作は、分離する成分(例え
ば、溶媒、未反応原料など)の種類に応じて、塔頂温度
0〜300℃(好ましくは10〜250℃、さらに好ま
しくは30〜210℃)程度、塔底温度50〜500℃
(好ましくは100〜400℃、さらに好ましくは10
0〜300℃)程度、圧力1mmHg(1.32×10-3atm)〜
5atm(好ましくは5mmHg(6.6×10-3atm)〜1atm)程
度で行うことができ、適当な還流比(例えば、0.1〜
50、好ましくは0.5〜30、さらに好ましくは1〜
10程度)で留出分を還流させながら行うことができ
る。
【0078】蒸留工程7で分離された溶媒は、必要によ
り反応系にリサイクルしてもよい。また、分離された水
は、必要により、抽出工程14における金属成分の抽出
溶媒に使用してもよい。
【0079】[酸化触媒及び未反応原料分離工程(C
2)]分離工程(B)において、濾過工程で濾別された
非晶析成分や洗浄工程で洗い流された不純物には、例え
ば、処理溶媒(晶析溶媒、洗浄溶媒など)、未反応原
料、酸化触媒、残存する反応溶媒、助触媒などが含まれ
ている場合がある。分離工程(C2)では、前記成分を
蒸留により分離する。図3の例では、濾過工程3の非晶
析成分及び洗浄工程4の不純物を蒸留工程9に供し、各
成分を分離精製している。
【0080】蒸留工程9において蒸留塔を使用した場合
には、塔頂から低沸点成分(晶析溶媒、洗浄溶媒、反応
溶媒、未反応原料など)を留出させ、塔底から高沸点成
分(晶析溶媒、酸化触媒、助触媒など)を留出させてい
る。また、サイドカット(例えば、段数のうち、下から
10〜80%の高さの段から)により、中沸点成分(例
えば、未反応原料、反応溶媒など)分離している。
【0081】蒸留塔において、蒸留塔の段数は、例え
ば、2〜80段、好ましくは10〜7段、さらに好まし
くは20〜60段程度であってもよい。蒸留操作は、分
離する成分(例えば、溶媒、未反応原料など)の種類に
応じて、塔頂温度0〜300℃(好ましくは10〜25
0℃、さらに好ましくは30〜210℃)程度、塔底温
度50〜500℃(好ましくは100〜400℃、さら
に好ましくは100〜300℃)程度、圧力1mmHg(1.
32×10-3atm)〜5atm(好ましくは5mmHg(6.6×10-3a
tm)〜1atm)程度で行うことができ、適当な還流比
(例えば、0.1〜50、好ましくは0.5〜30、さ
らに好ましくは1〜10程度)で留出分を還流させなが
ら行うことができる。
【0082】分離された晶析溶媒、洗浄溶媒、未反応原
料、反応溶媒は必要によりリサイクルしてもよい。ま
た、分離された酸化触媒及び助触媒を含む成分は、抽出
工程14に供され、酸化触媒を含む成分と助触媒を含む
成分とを分離している。分離された助触媒を含む成分
は、蒸留工程7にリサイクルされる。また、酸化触媒
は、そのまま焼却処理に供してもよく、触媒再生工程を
経て反応系にリサイクルしてもよい。なお、各成分を同
時に分離してもよいが、各成分を高純度で回収するため
には、各成分の沸点に応じて、蒸留操作を繰り返し行
い、各成分をそれぞれ分離するのが好ましい。なお、抽
出操作は、後述する抽出工程11の項で例示の条件を適
宜選択して行われる。
【0083】(酸化触媒再生工程)反応により変質又は
活性が低下した酸化触媒の再生は、変質した酸化触媒
が、主に、イミド化合物に対応する多価カルボン酸又は
その酸無水物(例えば、フタル酸イミド、無水フタル酸
など)で構成されていることに着目して、ヒドロキシル
アミン又は酸で処理又は反応させることにより触媒を再
生できる。また、変質又は活性が低下した酸化触媒を、
酸又はアルカリを用いて、多価カルボン酸又はその塩に
し、必要に応じて、酸無水物に変換したのち、ヒドロキ
シルアミンで処理又は反応させることにより酸化触媒を
再生してもよい。
【0084】ヒドロキシルアミンとしては、遊離のヒド
ロキシルアミン又はヒドロキシルアミンの塩(硫酸塩、
塩酸塩、リン酸塩など)を使用してもよい。再生反応
は、生成するアンモニア及び/又は水などを除去しなが
ら行う反応蒸留により行ってもよい。酸としては、塩化
水素、臭化水素などのハロゲン化水素、フッ化水素酸、
塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;
ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのス
ルホン酸などが挙げられる。酸は無水物であるのが好ま
しい。
【0085】アルカリ又はその塩としては、特に制限さ
れないが、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウ
ム、カリウムなど)又はアルカリ土類金属(マグネシウ
ム、カルシウム)の水酸化物又は酸化物、あるいは前記
アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩などの無機塩基
が使用できる。例えば、アルカリ金属水酸化物(例え
ば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカ
リ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、
アルカリ金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化
物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、ア
ルカリ土類金属炭酸塩(炭酸マグネシウム、炭酸カルシ
ウムなど)などが挙げられる。また、アルカリとして、
アンモニア又は有機塩基[アミン類(例えば、ジメチル
アミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチ
ルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミンなどの
脂肪族アミン;ピリジン、モルホリンなどの複素環式ア
ミンなど)]を用いてもよい。好ましいアルカリは、ア
ルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムなど)である。これらのアルカリ又はその塩は、単独
で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0086】触媒の再生は、温度0〜200℃(好まし
くは5〜150℃、さらに好ましくは10〜100℃)
程度で、失活した触媒と前記ヒドロキシルアミン又は酸
とを混合することにより行われる。
【0087】(助触媒再生工程)助触媒は、蒸留塔9か
ら得られた高沸点成分から、適当な溶媒(例えば、水な
ど)により抽出して回収し、反応系にリサイクルしても
よい。また、炭酸塩として回収してもよい。さらに酢酸
塩に転化して、反応系にリサイクルしてもよい。さら
に、高沸点成分を焼却処理して、金属成分を回収しても
よい。また、イオン交換樹脂などを使用して、金属成分
を吸着させて回収してもよい。
【0088】なお、濃縮工程6の濃縮物から、予め酸化
触媒を分離し、酸化触媒が分離された濃縮物からピリジ
ンカルボン酸を分離してもよい。
【0089】図4は、本発明の別の方法を示すフロー図
である。この例のプロセスは、濃縮物を、晶析溶媒を用
いて晶析工程に供すること、ピリジンカルボン酸を抽出
操作により分離することを除いて、前記図2に示すプロ
セスと基本的に共通している。図4において、反応工程
1の反応混合物を濃縮し、濃縮物に晶析溶媒を添加して
晶析成分を析出させ、酸化触媒を含む晶析成分とピリジ
ンカルボン酸を含む非晶析成分とを分別している(晶析
工程(B3))。ピリジンカルボン酸を含む非晶析成分
を、次いで抽出溶媒を添加して抽出し、ピリジンカルボ
ン酸を含む成分と、残存する不純物(助触媒、未反応原
料など)を含む成分とを分離している(非晶析成分の分
離工程(B4))。不純物が分離されたピリジンカルボ
ン酸を含む成分は、濃縮、晶析され、続いて分離精製工
程(B2)に供される。
【0090】[晶析溶媒を用いる晶析工程(B3)]晶
析工程(B3)では、晶析溶媒を用い、前記濃縮工程か
らの濃縮物を、晶析成分と非晶析成分とに分別してい
る。図4の晶析工程(B3)では、晶析工程8におい
て、濃縮工程6からの濃縮物と晶析溶媒とを混合し、晶
析成分を晶析させ、濾過工程10において、晶析成分と
非晶析成分とを濾別している。必要により濾過後、晶析
成分を晶析溶媒で洗浄してもよい。図4の例では、晶析
成分には、酸化触媒、非晶析成分にはピリジンカルボン
酸が含まれている。非晶析成分には、未反応アルキルピ
リジン、助触媒などが含まれている場合もある。
【0091】晶析溶媒は、晶析成分の種類に応じて選択
され、例えば、前記例示の適当な溶媒(例えば、アルコ
ール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素
類、ハロゲン化炭化水素類、水、有機酸、アルキルピリ
ジン、ニトリル類、アミド類、ジメチルスルホキシド、
二硫化炭素、四硫化炭素、石油エーテル、およびこれら
の混合溶媒など)などが使用できる。図4の例では、適
当な晶析溶媒(水など)を用い、酸化触媒を晶析成分と
して分離している。晶析は、前記例示の条件(例えば、
圧力、温度、冷却速度、熟成時間など)から適宜選択し
て行われる。
【0092】濾過工程10における濾過操作は、前記例
示の条件(温度、圧力など)から適宜選択して行われ
る。
【0093】[非晶析成分の分離工程(B4)]非晶析
成分(濾液)の分離工程では、非晶析成分を、抽出操作
により分液している。図4の例では、濾過工程10で分
離した非晶析成分を抽出工程11に供給し、抽出溶媒を
添加して、有機相と水相とに分離し、ピリジンカルボン
酸を含む相を濃縮工程12に供給している。通常、有機
相には、ピリジンカルボン酸を含む成分が分配され、水
相には、不純物(助触媒や未反応原料など)を含む成分
が分配される。
【0094】抽出溶媒としては、抽出する成分の種類に
応じて選択でき、例えば、前記例示の溶媒(アルコール
類、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素類、
ハロゲン化炭化水素類、有機酸、ニトリル類、アミド
類、およびこれらの混合溶媒)が使用できる。
【0095】抽出は、慣用の方法、例えば、常圧下(例
えば、1atm程度)又は加圧下で、例えば、−20℃〜
100℃、好ましくは−10〜80℃、さらに好ましく
は0〜50℃、特に10〜40℃程度の温度範囲で行っ
てもよい。
【0096】ピリジンカルボン酸を含む有機相は、低沸
点成分を留出させて濃縮される。図4では、抽出工程1
1からの有機相を濃縮工程12に供し、低沸点成分を留
出させている。低沸点成分には、抽出溶媒などが含まれ
ている場合が多い。次いで、静置による晶析工程15及
び濃縮物を濾過工程13により、晶析成分と非晶析成分
とを濾別し、ピリジンカルボン酸を含む残渣(晶析成
分)と濾液(非晶析成分)に濾別している。残渣には、
ピリジンカルボン酸と、残存する不純物が含まれる場合
がある。そのため、残渣は、さらに分離精製工程(B
2)に供される。
【0097】濃縮工程12おける濃縮操作、晶析工程1
5及び濾過工程13における操作は、前記濃縮工程及び
分離工程と同様に行われ、分離する低沸点成分(抽出溶
媒など)の種類に応じて、濃縮条件(蒸留塔の段数、温
度、時間など)が選択され、濾別する成分に応じて晶析
及び濾過条件(温度など)が選択できる。
【0098】なお、本発明の方法は、反応工程(A)と
ピリジンカルボン酸の分離工程(B)とを備えていれば
よく、反応混合物中の各成分を分離するための各工程の
順序などは特に制限されない。副生物と触媒とピリジン
カルボン酸とを分離する工程(B)では、例えば、前記
3成分のうち、1つの成分と他の2成分とを分離し、分
離した2成分を各成分に分離してもよい。各成分の分離
には、分離成分の特性に応じて、分配(抽出、中和な
ど)、晶析(洗浄など)、蒸留(蒸発など)、濾過、乾
燥又はこれらを組み合わせて行うことができる。なお、
ピリジンカルボン酸を、中和によって水相に移行させて
もよい。
【0099】例えば、反応工程(A)の反応混合物か
ら、予め析出した固形分(酸化触媒など)を濾過などの
分離操作により分離した後、晶析などによりピリジンカ
ルボン酸を分離してもよい。また、反応混合物から、蒸
留により副生物を分離した後、ピリジンカルボン酸と酸
化触媒とを分離していもよい。
【0100】特に、本発明の方法では、晶析操作によ
り、ピリジンカルボン酸を含む成分と、触媒を含む成分
とを分離する分離工程を備えているのが好ましい。晶析
を利用すれば、ニコチン酸などの昇華性を有する目的化
合物であっても、他成分(酸化触媒など)と効率よく分
離できる。なお、晶析操作の代わりに、抽出操作などを
利用すると、ピリジンカルボン酸と反応を促進するアル
デヒド類などとを分離できない場合がある。
【0101】また、濃縮工程は、必ずしも行う必要はな
いが、溶媒(特に低沸点溶媒)や過剰の基質を使用した
場合には、分離工程(B)での分離を効率よく行い、ピ
リジンカルボン酸の収率を高めるためにも、濃縮工程を
行うのが好ましい。また、必要により、濃縮により分離
した溶媒及び未反応のアルキルピリジンを反応系にリサ
イクルしてもよい。
【0102】本発明において、アルキルピリジン、酸化
触媒(助触媒を含む)、溶媒、副生物中の有効成分(ア
ルデヒド類など)、処理溶媒(例えば、洗浄溶媒、晶析
溶媒、抽出溶媒)などは必ずしもリサイクルする必要は
ないが、工業的に有利に、効率よくピリジンカルボン酸
を得るためには、前記成分を反応装置又は分離装置にリ
サイクルし、再使用するのが有利である。なお、分離し
た触媒は、精製することなく反応系にリサイクルしても
よく、失活した触媒を触媒再生工程に供した後、反応系
にリサイクルしてもよい。
【0103】なお、処理溶媒や未反応原料の分離操作
は、各成分の溶解性や沸点などに応じて前記分離手段か
ら適当に選択できる。例えば、分配(抽出など)、晶
析、濾過、蒸留又はこれらを組み合わせた分離手段など
を利用してもよい。
【0104】また、分離操作は、連続式、回分式、又は
半回分式で行ってもよい。
【0105】分離装置としては、慣用の装置が使用で
き、1又は複数の装置を使用してもよい。複数の装置を
使用する場合、装置は直列及び/又は並列に接続しても
よい。装置の形状は球形、円柱形などであってもよい。
特に、分離装置内部には、特別な装置を必要としない
が、多孔板のような内部を多室に分割するような装置を
備えていてもよい。また、攪拌効率を高めるために、攪
拌羽根のような機械的攪拌装置を有していてもよい。
【0106】さらに、蒸留塔及び抽出蒸留塔としては、
タナ段塔、多孔板塔、充填塔(規則充填塔、不規則充填
塔)、泡鐘塔、バルブ塔などが使用できる。抽出装置と
しては、慣用の装置、例えば、ミキサーセトラー、多孔
板塔、スプレー塔、充填塔、回転円板抽出塔(RD
C)、カールカラム、遠心抽出器、リング&プレートな
どが例示できる。濾過装置としては、種々の装置、例え
ば、遠心濾過、フィルタープレス、ヌッチェなどが使用
できる。濃縮装置としては、種々の装置、例えば、自然
循環式、水平管型蒸発器、自然循環式垂直短管型蒸発
器、水平管下降膜型蒸発器、垂直長管下降膜型蒸発器、
強制循環式水平管型蒸発器、強制循環式垂直管型蒸発
器、攪拌膜型蒸発器、FFE(Falling Film Evaporato
r)、WFE(Wiped Film Evaporator)などが例示でき
る。乾燥機としては、コニカルドライヤー、ナウターミ
キサーなどが例示できる。これらの装置は、単独で又は
二種以上組合わせて使用してもよい。
【0107】
【発明の効果】本発明によれば、特定の触媒の存在下、
アルキルピリジンと酸素とを反応させると、ピリジンカ
ルボン酸を生成でき、さらに一連のプロセスにより簡便
に高純度でピリジンカルボン酸を得ることができる。
【0108】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0109】実施例1 図1のフロー図に従ってピリジンカルボン酸を製造し
た。 (1)反応工程 反応工程1において、β−ピコリン(β−ピコリン含有
量92重量%、α−ピコリン含有量4重量%、γ−ピコ
リン4重量%)40g、ニコチンアルデヒド2.01
g、N−ヒドロキシフタルイミド14g、酢酸コバルト
0.5g、酢酸マンガン0.5g、酢酸340gを仕込
み、空気80NL/Hrの流通下、圧力20KG(2M
Pa)、温度100℃で5時間反応させた。反応混合液
中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、
β−ピコリンの転化率は60%、ニコチン酸の選択率は
80%で収率48%であった。 (2)冷却晶析工程 次いで、反応混合物の温度を100℃から冷却速度20
℃/Hrで20℃まで冷却し、1時間放置し、ニコチン
酸を含む晶析成分を析出させ、温度20℃で濾過した
(晶析工程2及び濾過工程3)。 (3)分離精製工程 得られた残渣に酢酸40gを添加して、温度20℃で残
渣を洗浄し、次いで濾過装置を用いて、温度20℃で濾
過した。得られた残渣を温度60℃、圧力10mmHg(1.
32×10-2atm)で15時間乾燥した。得られたニコチン
酸の純度は、99.2%であった(洗浄工程4及び乾燥
工程5)。
【0110】実施例2 図2のフロー図に従ってピリジンカルボン酸を製造し
た。 (1)反応工程 反応工程1において、β−ピコリン50g、ニコチンア
ルデヒド3.01g、N−ヒドロキシフタルイミド9
g、酢酸コバルト0.5g、酢酸マンガン0.5g、酢
酸435gを仕込み、空気80NL/Hrの流通下、圧
力20KG(2MPa)、温度100℃で5時間反応さ
せた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィー
で分析した結果、β−ピコリンの転化率は50%、ニコ
チン酸の選択率は80%で収率40%であった。 (2)濃縮工程 反応混合物を、温度60〜80℃、圧力80torr(1.05
2×10-1atm)で濃縮した。 (3)冷却晶析工程 次いで、濃縮物の温度を80℃から冷却速度20℃/H
rで20℃まで冷却し、1時間放置して、ニコチン酸を
含む晶析成分を析出させ、温度20℃で濾過した。 (4)分離精製工程 得られた残渣に、酢酸35gを添加して、温度20℃で
残渣を洗浄し、次いで温度20℃で濾過した。得られた
残渣を温度60℃、圧力10mmHg(1.32×10-2atm)で
10時間乾燥した。得られたニコチン酸の純度は、9
9.4%であった。
【0111】実施例3 図3のフロー図に従ってピリジンカルボン酸を製造し
た。 (1)反応工程 反応工程1において、β−ピコリン37g、ニコチンア
ルデヒド1.86g、N−ヒドロキシフタルイミド6.
5g、酢酸コバルト0.5g、酢酸マンガン0.5g、
酢酸326gを仕込み、空気80NL/Hrの流通下、
圧力20KG(2MPa)、温度100℃で5時間反応
させた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィ
ーで分析した結果、β−ピコリンの転化率は50%、ニ
コチン酸の選択率は80%で収率40%であった。 (2)濃縮工程 反応混合物を、温度60〜80℃、圧力80torr(1.05
2×10-1atm)で濃縮した。 (3)晶析工程 濃縮物に、晶析溶媒2−エチル−1−ヘキサノール60
gを添加して、濃縮物の温度を80℃から冷却速度20
℃/Hrで20℃まで冷却し、1時間放置し、ニコチン
酸を含む晶析成分を析出させ、温度20℃で濾過した。 (4)分離精製工程 得られた残渣にメタノール30gを添加して、温度20
℃で残渣を洗浄し、次いで、温度20℃で濾過した。得
られた残渣を温度80℃、圧力10mmHg(1.32×10-2at
m)で10時間乾燥した。得られたニコチン酸の純度
は、99.5%であった。 (5)反応溶媒分離工程 濃縮工程からの留出物を蒸留塔(段数60段)に供給
し、常圧下、還流比10で反応溶媒を塔底から回収し
た。回収した溶媒は、反応系へリサイクルした。 (6)溶媒、未反応原料分離工程 濾過工程3及び5からの濾液を蒸留塔(段数30段)に
供給し、まずメタノールを常圧下、還流比10で塔頂か
ら留出させて回収した。回収したメタノールは、洗浄工
程にリサイクルした。次いで、酢酸とβ−ピコリンの共
沸成分を圧力100mmHg(1.32×10-1atm)、還流
比10で留出させた。回収した酢酸とβ−ピコリンの共
沸成分を反応系へリサイクルした。さらに、2−エチル
−1−ヘキサノールを圧力20mmHg(2.63×10-2at
m)、還流比10で留出させた。回収した2−エチル−
1−ヘキサノールは晶析工程8へリサイクルした。 (7)助触媒分離工程 蒸留工程9において、蒸留塔の缶出液に水20gを添加
し、コバルト、マンガンを抽出(抽出工程14)し、
水、マンガン及びコバルトを含む成分を、前記(5)の
蒸留工程7の蒸留塔に仕込み、脱水後、缶出液の酢酸と
ともに前記金属成分を反応系にリサイクルした。
【0112】実施例4 図4のフロー図に従ってピリジンカルボン酸を製造し
た。 (1)反応工程 反応工程1においてβ−ピコリン60g、ニコチンアル
デヒド2.86g、N−ヒドロキシフタルイミド10.
5g、酢酸コバルト0.5g、酢酸マンガン0.5g、
酢酸525gを仕込み、空気80NL/Hrの流通下、
圧力20KG(2MPa)、温度100℃で5時間反応
させた。反応混合液中の生成物をガスクロマトグラフィ
ーで分析した結果、β−ピコリンの転化率は50%、ニ
コチン酸の選択率は80%で収率40%であった。 (2)濃縮工程 反応混合物を、温度60〜80℃、圧力80torr(1.05
2×10-1atm)で濃縮した。 (3)晶析工程 濃縮物に、晶析溶媒(水)60gを添加して、濃縮物の
温度を80℃から冷却速度20℃/Hrで20℃まで冷
却し、1時間放置し、N−ヒドロキシフタルイミドを含
む晶析成分を析出させ、温度20℃で濾過した。 (4)抽出工程 濾液に、ブタノール/ヘプタン(前者/後者=2:1
(重量比))100gを添加して、温度20℃で、ピリ
ジンカルボン酸成分を含む有機相を抽出した。有機相を
温度60℃、圧力200torr(263×10-3atm)で濃縮し
た。冷却速度20℃/Hrで、0℃まで冷却し、1時間
放置し、濃縮物を温度0℃で濾過した。 (5)分離精製工程 残渣に、メタノール40gを添加して、温度0℃で残渣
を洗浄し、次いで温度0℃で濾過した。得られた残渣を
温度80℃、圧力10mmHg(1.32×10-2atm)で10時
間乾燥した。得られたニコチン酸の純度は、99.2%
であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法を説明するためのフロー
図である。
【図2】図2は、本発明の他の方法を説明するためのフ
ロー図である。
【図3】図3は、本発明のさらに他の方法を説明するた
めのフロー図である。
【図4】図4は、本発明の別の方法を説明するためのフ
ロー図である。
【符号の説明】
1…反応工程 2,8…晶析工程 3…濾過工程 6…濃縮工程 11…抽出工程
フロントページの続き Fターム(参考) 4C055 AA01 BA01 BA02 BA57 CA01 CA02 CA57 DA01 DA57 FA01 FA32 FA34 FA37 FA41 4G069 AA02 BA21A BA21B BE14A BE14B BE19A BE19B BE38A BE38B CB07 CB74 4H039 CA65 CC30

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) 【化1】 (式中、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示す)で表
    されるイミド単位を有する酸化触媒を用いて、アルキル
    ピリジンからピリジンカルボン酸を製造する方法であっ
    て、(A)前記酸化触媒の存在下、アルキルピリジンと
    酸素とを接触させる反応工程と、(B)反応混合物か
    ら、ピリジンカルボン酸と前記酸化触媒と副生物とを分
    離する分離工程とを含むピリジンカルボン酸の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 (B)分離工程において、晶析により、
    反応混合物から、ピリジンカルボン酸を含む成分と、酸
    化触媒を含む成分とを分離する請求項1記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 冷却晶析又は晶析溶媒を用いて晶析する
    請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 溶媒の存在下で反応させ、反応混合物を
    濃縮して溶媒を分離し、濃縮物を分離工程(B)に供す
    る請求項1又は2記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 分離した溶媒を反応系にリサイクルする
    請求項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 分離した酸化触媒を、反応系にリサイク
    ルする請求項1又は2記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 反応混合物を濃縮工程及び晶析工程に供
    した後、晶析成分からピリジンカルボン酸を分離し、非
    晶析成分から酸化触媒を分離する請求項1記載の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の酸化触媒の存在下、溶媒
    中、C1-3アルキル基を有するピリジンと酸素とを接触
    させる反応工程、反応混合物を濃縮する濃縮工程、及び
    濃縮物から、晶析により、ピリジンカルボン酸を含む成
    分と、前記酸化触媒を含む成分と、副生物を含む成分と
    を分離する分離工程で構成され、分離した溶媒及び酸化
    触媒を反応系にリサイクルする請求項1記載の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 アルキルピリジンがβ−ピコリンである
    請求項1記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 酸化触媒が、式(II)で表されるイミド
    化合物を含む請求項1記載の製造方法。 【化2】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
    ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
    ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
    基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
    びR2は互いに結合して二重結合、あるいは芳香族性又
    は非芳香族性環を形成してもよく、R1 及びR 2により
    形成される芳香族性又は非芳香族性環は、前記式(I)
    で示されるイミド単位を少なくとも1つ有していてもよ
    い。Xは前記に同じ)
  11. 【請求項11】 さらに助触媒を用いる請求項1記載の
    製造方法。
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