JP5344476B2 - 炭素繊維含有セラミックススラリーと多孔質体、及び炭素繊維強化セラミックス複合材料 - Google Patents

炭素繊維含有セラミックススラリーと多孔質体、及び炭素繊維強化セラミックス複合材料 Download PDF

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本発明は、炭素繊維とセラミックス粒子とが液状の分散媒中に分散混合されてなるセラミックススラリー、このスラリーを成型、焼成した多孔質体、並びにこの多孔質体に無機物質を含浸させた炭素繊維強化セラミックス複合材料に関する。
この種炭素繊維、セラミックス系材料は、これらの混合が均一に分散できない点であった(表3の実験No.5,6参照)。
その均一分散を達成する為に、従来は、超音波とボールミルとの併用で、スラリー中に繊維を分散させる方法が試みられていた。この方法では、繊維の凝集による毛玉のような繊維クラスターがよく見られ、分散がうまくゆかない場合もあり、結果的には歩留まりの悪いものであった。特に、セラミックス構造体中に炭素繊維を分散させ、高強度維持と大きな損傷許容性の両立を図る場合においては、このような会合した炭素繊維のクラスターが残るとそこが破壊の発生源となって強度の低下をきたすこととなるため、このようなクラスターの除去が基本的な命題である。この問題を解決する為に、特許文献1に示されているように分散剤などの界面活性剤を使用する試みがなされていた。しかし、界面活性剤の使用は、溶媒との関係で限られたものしか使用することができないばかりか、混合分散後にスラリー中に残存した界面活性剤は、成型、焼成等の工程において、以下のような問題を生じさせていた。
この界面活性剤として使われているのは金属アルコキシド類の有機金属化合物であるから、環境的には有害物質に属するので環境保全の見地からすればその使用を極力避けるべきものである。工業的な使用は、慎重を要するのみならず、自然と使用工程は複雑にならざるを得ない。また、このような界面活性剤を量産すること自体も環境保全上の問題で困難を要し、高価なものと成らざるを得ないので、実用的に使用するのは難しい。また、含まれている金属元素は、例えば、アルミニウムアルコキシドを界面活性剤とした場合、アルミニウムは炭素と反応し、Alという化合物を生じ、炭素繊維に損傷を与えしまうこととなる。その結果、炭素繊維の強化相としての機能は損なわれてしまう。また、このような反応が生じないようにしても、含有された金属元素の融点が、セラミックスの耐熱温度より低いので、金属の軟化または融解で、セラミックス材料の耐熱特性を損なう結果を招くこととなる。さらに、この金属元素の存在は、焼成又は溶融等の加熱処理を行うとセラミックス粒子と炭素繊維表面との界面における化学反応を生じたため炭素繊維とマトリックスの界面接合を強くし、炭素繊維の添加によるモノリシックセラミックスの弱点である脆性の克服はできなくなる。
以上のように界面活性剤の使用は、分散性の向上による利点以上に炭素繊維−セラミックス複合材料の本来有すべき機能を低下する要因となっていた。
また、ボールミルを用いた場合は、繊維にダメージを与え、その損傷した繊維がスラリー中や、それを用いた複合材料に残存し、この損傷繊維により以下のような問題が生じていた。
ボールミルを用いた場合には、長時間の混合中で攪拌すると媒体となるボールによって炭素繊維の表面が傷つけられることを免れない。最初、その傷は小さくて、繊維の力学特性に影響しないが混合の進行に伴い、繊維表面の傷の累積によって、繊維表面に無視できない傷が生じることとなる。つまり、スラリーと炭素繊維とを十分に混合させるには、炭素繊維を損傷する結果と成り、その繊維は、応力集中による低荷重で破壊した。すなわち、繊維表面の傷の存在は繊維の破壊強度を低下し、繊維の強化効果は低くなった。得られた複合材料の強度は低い。
本発明は、このような実情に鑑み、炭素繊維−セラミックス混合による、理想的な機能を発現させることができるようにすることを目的とする。

発明1のセラミックススラリーは、炭素繊維とセラミックス粒子とが液状の分散媒中に分散混合されてなるセラミックススラリーであって、前記炭素繊維表面の損傷がないと共に、前記炭素繊維の長さが3mm以上で20mm以下であり、かつ界面活性剤が含有されていないと共に、前記セラミックススラリーは、容器本体(2)内部の底面と左右の側面にかまぼこ形凸条(1)が形成された半円分割円筒形状の容器(TY)を用いて、前記炭素繊維と前記セラミック粒子と前記液状分散媒を投入し、当該容器を汎用の高速ミキサーを用いて、高速で公転させ、同時に自転させることにより得られるものであることを特徴とする。

発明2の炭素繊維含有多孔質体は、セラミックススラリーが所定の形状に成型され、焼成されてなる炭素繊維含有多孔質体であって、前記セラミックススラリーが、炭素繊維とセラミックス粒子とが液状の分散媒中に分散混合されてなり、前記炭素繊維表面の損傷がないと共に、前記炭素繊維の長さが3mm以上で20mm以下であり、かつ界面活性剤が含有されていないものであって、前記セラミックススラリーは、容器本体(2)内部の底面と左右の側面にかまぼこ形凸条(1)が形成された半円分割円筒形状の容器(TY)を用いて、前記炭素繊維と前記セラミック粒子と前記液状分散媒を投入し、当該容器を汎用の高速ミキサーを用いて、高速で公転させ、同時に自転させることにより得られるものである、ことを特徴とする。

発明3の複合材料は、炭素繊維含有多孔質体に無機物質を溶融含浸させてなる複合材料であって、前記炭素繊維含有多孔質体が、セラミックススラリーが所定の形状に成型され、焼成されてなるものであり、前記セラミックススラリーが、炭素繊維とセラミックス粒子とが液状の分散媒中に分散混合されてなり、前記炭素繊維表面の損傷がないと共に、前記炭素繊維の長さが3mm以上で20mm以下であり、かつ界面活性剤が含有されていないものであって、前記セラミックススラリーは、容器本体(2)内部の底面と左右の側面にかまぼこ形凸条(1)が形成された半円分割円筒形状の容器(TY)を用いて、前記炭素繊維と前記セラミック粒子と前記液状分散媒を投入し、当該容器を汎用の高速ミキサーを用いて、高速で公転させ、同時に自転させることにより得られるものである、炭素繊維含有多孔質体であることを特徴とする。 発明4は、発明3の複合材料において、炭素繊維とは別に、前記溶融含浸される無機物質と接触してこれと炭化物を構成する炭素が前記炭素繊維含有多孔質体に含有されていることを特徴とする。
発明5は、発明4の複合体において、前記無機物質がSiであることを特徴とする。

本発明は、既存の装置を工夫して、炭素繊維とセラミックスとの混合分散において、ボールミルや界面活性剤を使用することなく、(成型加工が可能な程度に)均一に分散し得るようになったとの知見に基づくものである。
発明は、このような知見に基づき得られたもので、前記炭素繊維表面の損傷がなく、かつ界面活性剤が含有されていないから、成型焼成によって得られる多孔質体も、炭素繊維とセラミックスの混合分散による効果を最大限に発揮し得るものである。
発明は、上記発明のスラリーを用いて得られた多孔質体であるから、残存する界面活性剤による問題や炭素繊維表面の損傷による問題のない、理想的な機能を発現し得るものである。
さらに、発明は、このような多孔質体に無機物質を含浸させて得られたものであるから、残存界面活性剤からの金属元素等が不純物として混入する虞のない、所望の無機化合物により得られる複合材料である。
高速ミキサー用の容器を示す図面で、(A)(A2)(A3)は、半円分割円筒形状の容器を示し、(A)はその平面図、(A2)は(A)のc−c断面図、(A3)は、透視斜視図。(B)は、汎用円筒容器の平面図、(B2)は、(B)のc−c断面図。 攪拌・脱気後の炭素繊維含有セラミックススラリーの様子を示した。 成形工程に用いた鋳込み、加圧成形方法を示す図面で、(A)鋳込み方法、(B)加圧成形方法、(A)+(B)は鋳込み+加圧成形方法、(c)は得られた成形体。 溶融Si含浸による得られた複合材料とその微細構造を示した写真で、(A)は成形体に溶融Siを含浸させて得た複合材料、(B)は走査型電子顕微鏡で観察した複合材料の微細構造。
本発明を実現する方法としては、下記実施例に示すように、汎用の高速ミキサーを用い、図1に示す構造を持つ半円分割円筒形状の容器(図1(A))に、炭素繊維とセラミック粒子と液状分散媒を投入し、この容器を汎用の高速ミキサーを用いて、高速で「公転」させ、同時に「自転」させることにより得ることができた。
前記半円分割円筒形状の容器(TY)は、容器本体(2)内部の底面と左右の側面にかまぼこ形凸条(1)が形成されたもので、この存在により、内部を流動するスラリーが攪拌され、セラミックスと炭素繊維との相互混合をランダム行い、全体として均一な分散状態にすることができた。
なお、汎用円筒容器(HY)は前記かまぼこ形凸条(1)を持たない点を除けば、前記半円分割円筒形状の容器(TY)と同様なものである。
その混合攪拌時間は、3から5分の短時間であった。
また、得られたスラリーは、図2に示すような均一な分散のセラミックススラリーが得られた。
当該方法では、炭素繊維の長さは20mm以下、好ましくは12mm以下、より好ましくは10mm以下とするのが望ましい。繊維の長さは20mmを超えると、スラリー中に、分散されにくく、繊維クラスターを発生する傾向が予想されている。
なお、炭素繊維の長さの下限は、制限しないが、一般に繊維と認識されるアスペクト比の下限値を下限とするのが適切である。
また、炭素繊維とセラミック粒子との比率は、スラリー全量を100wt%としたとき、炭素繊維は、5wt%〜40wt%、好ましくは5wt%〜35wt%、より好ましくは10wt%〜30wt%とするのが望ましい。繊維の添加量が少なくなればなるほど分散が容易になるが、このスラリーを用い、作製した複合材料における繊維を強化相としての強化効果は低くなる。一方、繊維の量は40wt%以上を超えると、得られたスラリーは流動性不良という問題があった。
さらに、混合するセラミック粒子としては、粒径が、0.1〜100μm、好ましくは0.3〜75μm、より好ましくは0.5〜10μmとするのが望ましい。粒径0.1μm未満のセラミック粒子は、スラリー中で凝集し、実質はこれ以上の粒径の粒子と同様なセラミック粒子と同様な効果を生じた。一方、粒径は100μmを超えると、炭素繊維表面に付着しにくく、スラリー中に自重で沈殿する恐れがあることが予想されている。
また、その材質としては、下記実施例で示したSiC粒子の他、炭素繊維とともにスラリー中に分散混合することができるセラミック粒子であれば利用可能であり、この点で、SiC粒子と同様な性質を有する炭化物ZrC、HfC、TiC、WC、TaC、VC、NbC、BC、窒化物Si、ZrN、HfN、TiN、VN、NbN、TaN、ほう化物ZrB、HfB、TiB、TaB、NbB、なども使用可能である。
下記実施例では、炭素繊維とセラミック粒子の他に、C粒子を添加したが、これは溶融含浸したSiと反応を生じてSiCマトリックスを生成させる為である。
なお、前記分散媒にフェノール系樹脂を用いた場合は、多孔質化に当たって行う焼成にて、炭素が多孔質体内に残存するが、この炭素は、前記C粒子と同様に、溶融含浸される無機物質と接触してこれを炭化物化することができる。
その他に、表1のような組合せが可能である。
スラリー状にする為の分散媒としては、スラリー全量を100wt%としたと時、40wt%〜70wt%、好ましくは45wt%〜65wt%、より好ましくは50wt%〜60wt%とするのが望ましい。分散媒は40wt%未満になると、攪拌したスラリーの流動性は不良であるが、70wt%を超えると、スラリーの粘度が低すぎて、成形しにくいという欠点があった。
下記実施例では、分散媒としてフェノール樹脂、エタノールの混合液を例示したが、この他にも、大気中にて、200°C以下で1時間以内硬化でき、常温で低粘度(粘度200mPa・s以下)または高粘度でも溶剤(水、エタノール、メタノール、アセトンなど)で薄めるは可能、常温で不揮発性、200°C以下の温度で加熱により蒸発し、高温(600°C〜1200°C)で焼成時、炭素繊維とは反応せず、残存物が残らないか、残ったとしても炭素以外には残らず、前記セラミック粒子、炭素繊維及びその他のスラリー添加粒子のいずれに対しても接触角は90度以下の良好な濡れ性を有する常温で液体のものであれば良い。例えば、エポキシ、フラン樹脂、水、メタノール、アセトンが実施例と同様に使用可能である。
前記ミキサーによる容器の自転、公転の速さは、自転を1としたとき、公転は0.25〜0.50、好ましくは0.3〜0.40、より好ましくは0.25〜0.40とするのが望ましい。自転/公転は0.25より低い場合または0.5より高い場合、容器内で横断面の流動/渦巻流または縦断面の流動/上下対流が弱いまたは起こりにくく、分散し難い欠点がある。
また、自転速さは400rpm以上、好ましくは600rpm以上、より好ましくは800rpm以上とし、公転速さは1000rpm以上、好ましくは1500rpm以上、より好ましくは2000rpm以上とするのが望ましい。また、自転速さは400rpm未満または公転速さは1000rpm未満になると、容器内で上下対流や渦巻流が弱いまたは起こりにくく、分散が困難となる。
得られる複合材料混合スラリーは、既存のセラミックススラリーの成形方法、例えば、鋳込み成形法、加圧成型法、押出成形法、射出成型法など成形法によって、任意形状に成型可能である。
また、不活性ガス中で焼成することで、炭素繊維強化セラミックス混合体の多孔質体として予備成形体を作製することができる。
当該焼成温度(10℃単位での表示)としては、600°C〜1200°C 、好ましくは600°C〜1000°C、より好ましくは800°C〜1000°Cとするのが望ましい。
さらに、前記予備成形体を、これに含浸させるべき物質の溶融温度以上に加熱することで、当該物質を前記多孔質体内に浸透させ、全体として均一な炭素繊維強化マトリックス複合材料を得ることができる。
含浸させる物質としては、炭素繊維とSiC粒子との良好な濡れ性、且つ炭素との反応し、無機材料を生成する性質を持つものであれば良い。また、含浸の為の加熱温度は、含浸させる物質の融点以上から気化温度未満とするのが望ましい。例えば、含浸物質してSiを用いた場合は、1400°C〜1600°Cで加熱すると下記実施例の予備成形体に含浸し、均一的に分散する炭素繊維強化SiCマトリックス複合材料が得られる。
原料のSiC、炭素、フェノール樹脂、エタノール、炭素繊維と各、SiC:平均粒径:0.55μm、炭素:平均粒径:40nm、銅:平均粒径:75μm、純度:99.9%、フェノール樹脂:不揮発分60%、エタノール:純度:99.5%、炭素繊維:長さは3mmまたは6mm、直径は7μm、東レ―のグレートT300を用いた。
攪拌装置としては、大気中または真空用高速ミキサー(株式会社シンキーの自転・公転ミキサーARE−310または自転・公転真空ミキサーARV−310)、攪拌時、公転速度:2000rpm、自転速度:800rpm、脱気時、公転速度:2200rpm、自転速度:60rpmを用いた。容器としては、図1に示した半円分割円筒状容器(TY)を使用した。
原料粉末の混合割合は表2に示すとおりであり、炭素繊維を除く各粉末混合物を、ポリエチレン製容器を用い、1から3分間第一回目の攪拌混合を行い、2分間脱気した後、このスラリーに炭素繊維を添加し、さらに、3から5分間の第二回目の攪拌混合を行い、その後、2分間の脱気を行った。分散した結果を表2、3に示した。混合後、得られたスラリーには、繊維の凝集による毛玉のような繊維クラスターまたは未分散の繊維束や部分分散した繊維束がなかったら、分散は良好で、逆に、攪拌したスラリー中に、繊維の毛玉や繊維束または部分繊維束などの会合した繊維クラスターは存在すると、分散は不良である。
混合・脱気した炭素繊維を含有した複合材料はセラミックススラリーを成形する一般的な方法である鋳込みまたは加圧成形法で成形した。図3(A)に示すように、鋳込み方法では、炭素繊維含有セラミックススラリー(20)をテフロン(弗素樹脂のポリ四弗化エチレンの商標名)製の底部フィルター(30)から液体排出できる型(10)に流し込み、スラリー(20)中のエタノールなどの液状成分を排出・蒸発し、前記フィルター(30)上に着肉層を形成させ、この着肉層を繊維成形体(50)とする方法である。そして、この着肉層を加圧することで、体積率を高くした繊維成形体を製作することを鋳込み+加圧成形方法とした。図3(B)に示すように、加圧成形方法では、繊維とセラミックス粒子からなるスラリー(20)混合物を型(10)に入れ込み、加圧ピストン(40)により圧力をかけて、前記フィルター(30)による濾過を加圧下で行う方法である。成形工程に用いたこれらの成形方法の概略図は図3に示された。成形した繊維成形体を型から押し出す際、形の崩れはなくて、成形したままならば、成形性は良好(○)とした。逆に、形は崩れまたは変形するならば、成形性は不良(×)とし、表3に示した。
成形した繊維成形体は80°Cで、大気中にて、12時間、乾燥した。その後、この成形体を50°C/hの昇温速さで、アルゴン雰囲気にて、1000°Cまで、昇温した後、2時間を保持した。その後、炉温は、3時間で室温まで、冷却した。このようにして得られた焼成体は多孔質で、表3に示す重量と35vol.%〜60vol.%の空隙率を有していた多孔質体を得ることができた。
この焼成体の上部に、粒径75μmのSi粉末を置き、真空電気炉内に設置し、前記Si粉末を溶融してSiを前記焼成体に含浸させた。Siの含浸では、1460°Cで、誘導加熱式の真空炉(2.6×10−2Pa)にて、30分間の含浸を行った。含浸した際、溶融Siは繊維成形体中に滲みて、Cとの反応を生じ、SiCを生成すると、含浸は良好(○)とした。Siを含浸した結果は表2の実施例の1〜25に示した。また、Siの含浸量は、含浸前後の成形体重量の差で定義する。含浸で得られた複合材料およびその複合材料の微細構造の例を図4に示す。
なお表2、3において、比1から比3は比較例を示し、実施例と同様な組成でありながら、容器を変更するのみで混合均一状態が得られないことを明らかにした。


比較例
表2、表3の比1から3及び表4の試験番号5及び文献値について。
表2、表3の比1から3は、表4の実施例番号10、11、14と同様な組成で、図1Bに示したような容器の真ん中に形成された半円形状の梁がない、内面も円筒である汎用円筒形状の容器を用いた以外は、前記実施例番号10、11、14と、同様な攪拌および脱気方法で得られたスラリーである。ただし、比1−3は成形ができなかったので、焼成及びSiの含浸は行わなかった。
比較値としては、表4に示したように、試験番号5と文献値であった。試験番号5はSGL Carbon Groupから購入した同種類複合材料、すなわち、炭素繊維強化SiC複合材料である。この複合材料の作製プロセスは、コーティングした炭素繊維とフェノール樹脂粉末を乾式混合した。得られた複合粉末を用い、加熱成形によって繊維成形体を作製した。繊維成形体は900°Cで、炭化させた。その後、溶融Siの含浸を行った。含浸は、1420°C以上温度で、真空にて行った。本発明での複合材料と異なり、この複合材料では、繊維は均一に分散されてはおらず、部分的に分散されていた。
この比較例は前記比1から3の焼成とSi含浸が行えなかった代用としたものであり、この複合材料を用い、同様な試験条件で、曲げ強度、弾性率、熱伝導率を測定した。文献値は、雑誌「Advanced Engineering Materials」から、入手した。その材料は、同じ会社であったSGL Carbon Groupのものであり、試験番号5と同じプロセスで得られたものであるが、使用繊維の長さ(40mm)は試験番号5繊維(6mm)より長かった。
比較例は、いずれも不均一な炭素繊維の分散が機械的強度、特に弾性率の低下をもたらすことを明らかにした。
炭素繊維強化炭素マトリックス複合材料(一般的にC/Cと記述する)は耐摩耗性、高熱衝撃特性、高損傷許容性と軽量化などの優れた特性を持つため、構造用のエンジニアリング材料として開発されて、バイクや自動車ブレーキ、飛行機ブレーキなどに利用されている。
C/C複合材料は性能が優れるものの、大気中で使用する際、発生した高温によって酸化しやすいことが問題であった。炭素繊維強化SiCマトリックス複合材料は、炭素マトリックスの代わりに、SiCをマトリックスにし、既存の耐摩耗材料である鋳鉄やC/C複合材料に比較すると、より耐高温摩耗特性が示された。したがって、炭素繊維強化SiCマトリックス複合材料は、鋳鉄やC/C複合材料を代わり、新規高パフォマンスを持つ耐摩耗材料として、開発されていた。しかし、炭素繊維強化SiCマトリックス複合材料のプロセスおいては、繊維の分散は難しくて、均一的に分散していなかった。従って、本発明で作製した炭素繊維強化SiCマトリックス複合材料は耐高温摩耗材料として工業的な応用が見込まれている。
(1)かまぼこ形凸条
(2)容器本体
(10) 成形型
(20) 繊維含有セラミックススラリー
(30) フィルター
(40) 加圧ピストン
(50) 成形体
特開2004−76227 特開2003−201185
Advanced Engineering Materials, vol.2, No.7, 427−436 (2002)

Claims (5)


  1. 炭素繊維とセラミックス粒子とが液状の分散媒中に分散混合されてなるセラミックススラリーであって、
    前記炭素繊維表面の損傷がないと共に、前記炭素繊維の長さが3mm以上で20mm以下であり、かつ界面活性剤が含有されていないと共に、
    前記セラミックススラリーは、容器本体内部の底面と左右の側面にかまぼこ形凸条が形成された半円分割円筒形状の容器を用いて、前記炭素繊維と前記セラミック粒子と前記液状分散媒を投入し、当該容器を汎用の高速ミキサーを用いて、高速で公転させ、同時に自転させることにより得られるものであることを特徴とするセラミックススラリー。
  2. セラミックススラリーが所定の形状に成型され、焼成されてなる炭素繊維含有多孔質体であって、
    前記セラミックススラリーが、炭素繊維とセラミックス粒子とが液状の分散媒中に分散混合されてなり、前記炭素繊維表面の損傷がないと共に、前記炭素繊維表面の長さが3mm以上で20mm以下であり、かつ界面活性剤が含有されていないものであって、
    前記セラミックススラリーは、容器本体内部の底面と左右の側面にかまぼこ形凸条が形成された半円分割円筒形状の容器を用いて、前記炭素繊維と前記セラミック粒子と前記液状分散媒を投入し、当該容器を汎用の高速ミキサーを用いて、高速で公転させ、同時に自転させることにより得られるものである、ことを特徴とする炭素繊維含有多孔質体。
  3. 炭素繊維含有多孔質体に無機物質を溶融含浸させてなる複合材料であって、
    前記炭素繊維含有多孔質体が、
    セラミックススラリーが所定の形状に成型され、焼成されてなるものであり、
    前記セラミックススラリーが、炭素繊維とセラミックス粒子とが液状の分散媒中に分散混合されてなり、前記炭素繊維表面の損傷がないと共に、前記炭素繊維の長さが3mm以上で20mm以下であり、かつ界面活性剤が含有されていないものであって、
    前記セラミックススラリーは、容器本体内部の底面と左右の側面にかまぼこ形凸条が形成された半円分割円筒形状の容器を用いて、前記炭素繊維と前記セラミック粒子と前記液状分散媒を投入し、当該容器を汎用の高速ミキサーを用いて、高速で公転させ、同時に自転させることにより得られるものである、
    炭素繊維含有多孔質体であることを特徴とする複合材料。
  4. 請求項3に記載の複合材料において、炭素繊維とは別に、前記溶融含浸される無機物質と接触してこれと炭化物を構成する炭素が前記炭素繊維含有多孔質体に含有されていることを特徴とする複合材料。
  5. 請求項4に記載の複合材料において、前記無機物質がSiであることを特徴とする複合材料。
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