JP5343848B2 - 統合失調症の治療または予防剤 - Google Patents

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Description

本発明は、モルヒナン誘導体またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含んでなる統合失調症の治療または予防剤に関する。
統合失調症(Schizophrenia)は、思春期から青年期にその大半が発症し、その生涯罹患率が人口の約1%に相当する精神疾患の一種である。その症状は、精神運動興奮、幻覚および妄想などの陽性症状、自発性減退、感情鈍麻および疎通性障害などの陰性症状、ならびに認知障害に分類される(非特許文献1)。
統合失調症の発症機序として、脳内ドパミン過剰説が提唱されていることから、現在、ドパミン受容体を直接的に遮断することを主経路とした定型・非定型抗精神病薬が上記3症状を包括した統合失調症治療薬として使用されている。しかしながら、ドパミン受容体を直接的に遮断することは、錐体外路症状(EPS)などの副作用につながるため、異なる作用機序を有し、安全域の広い治療薬が望まれている。
ところで、脳内のドパミン遊離を抑制する化合物として、本発明の有効成分であるモルヒナン化合物(特許文献1)、ナルメフェン(非特許文献2)、U−50,488H(非特許文献3)などのオピオイドκ受容体作動薬が知られており、中でも、本発明化合物と共通のモルヒナン骨格をもつ、ナルメフェンは、実際に統合失調症に対する治療効果が報告されている(非特許文献4)。しかしながら、ナルメフェンと本願になる特定のモルヒナン化合物とはその構造が大きく異なっている上、本願化合物が統合失調症治療効果を有することはなんら示唆されていない。
また、一方で、ドパミン遊離抑制作用が知られているU−50,488Hについては、統合失調症の一症状である認知障害等につながる情報処理障害を引き起こす可能性が示唆されている(非特許文献5)。しかしながら、本発明の有効成分である特定のモルヒナン化合物のドパミン遊離抑制作用が開示されているとはいえ、認知障害といった副作用を引き起こすことなく統合失調症治療効果を示すことはこれら文献によってなんら示唆されていない。
このほか、本発明で有効成分とするモルヒナン化合物が、その鎮痛活性、利尿活性、鎮咳活性およびオピオイドκ受容体作動性と共に、特許文献2に記載されている。
また、脳細胞保護薬(特許文献3)、止痒薬(特許文献4)、低ナトリウム血症治療薬(特許文献5)、ORL−1受容体拮抗薬(特許文献6)、神経因性疼痛治療薬(特許文献7)、精神神経疾患治療薬(特許文献8)、薬物依存治療薬(特許文献1)、敗血症治療薬(特許文献9)、および多発性硬化症に由来する痒みの治療薬(特許文献10)等としての用途もすでに開示されている。このうち、特許文献8では、「精神神経疾患」治療用途を開示しているが、具体的には神経疾患に属するRestless Legs Syndrome(RLS)に対する効果を開示しているのみであり、本願になる統合失調症の治療効果についてはなんら開示されていない。
日薬理誌,127,4,2006 Gavin B et al.,Neuropsychopharamacology,30,2554,2005 Werling LL et al.,J. Pharmacol. Exp. Ther.,246,282,1988 Rapaport MH et al.,Neuropsychopharamacology,9,111,1993 Marco B et al.,Biol.Psychiatry,57,1550,2005 国際公開 第99/011289号パンフレット 国際公開 第93/015081号パンフレット 国際公開 第95/003307号パンフレット 国際公開 第98/023290号パンフレット 国際公開 第99/005146号パンフレット 特開2000−53572号公報 国際公開 第01/014383号パンフレット 国際公開 第02/078744号パンフレット 国際公開 第02/089845号パンフレット 国際公開 第06/095836号パンフレット
本発明は、著しく高い効果を有し、統合失調症の一症状である認知障害等に関わる情報処理障害を引き起こす懸念がなく、副作用の少ない統合失調症の治療または予防剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、上述課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、モルヒナン骨格を有する特定の化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩が、著しく高い統合失調症治療または予防効果を有し、統合失調症の一症状である認知障害等に関わる情報処理障害を引き起こす懸念がなく、副作用の少ない、特に、統合失調症の陽性症状治療または予防剤として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の[1]ないし[5]に関する。
[1]下記一般式(I)
Figure 0005343848
[式中、点線と実線の二重線は二重結合又は単結合を表し、Rは炭素数4から7のシクロアルキルアルキルを表し、Rは炭素数1から5の直鎖または分岐アルキルを表し、Bは−CH=CH−を表す]で表される化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分とする統合失調症の治療または予防剤。
[2]一般式(I)において、Rがシクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチルまたはシクロヘキシルメチルであり、Rがメチル、エチルまたはプロピルである[1]に記載の統合失調症の治療または予防剤。
[3]一般式(I)で表される化合物が(−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナンである[1]に記載の統合失調症の治療または予防剤。
本発明は、統合失調症の顕著な治療、予防効果をもたらし、かつ、統合失調症の一症状である認知障害等に関わる情報処理障害を引き起こさない。
実施例1における、マウスPCP誘発運動過多に対する化合物1、Nalmefene、U−50,488Hの影響を示した図である。 実施例2におけるラットPPIに対する化合物1の影響を示した図である。
符号の説明
図1中、横軸は被験物質用量を示し、縦軸は、30分間(PCP投与30分後から30分間)におけるマウス運動量カウント)を示している。図2中、横軸は、被験物質用量を示し、縦軸は、驚愕反応抑制率(%Prepulse inhibition)を示している。
本発明による統合失調症の治療または予防剤は、一般式(1)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有する。
Figure 0005343848
1は炭素数1から5のアルキル、炭素数4から7のシクロアルキルアルキル、炭素数5から7のシクロアルケニルアルキル、炭素数6から12のアリール、炭素数7から13のアラルキル、炭素数4から7のアルケニル、アリル、フラン−2−イルアルキル(アルキル部の炭素数は1から5)、またはチオフェン−2−イルアルキル(アルキル部の炭素数は1から5)を表す。
R14は水素、ヒドロキシ、ニトロ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルキル、またはNR9R10を表す。ここでR9は水素または炭素数1から5のアルキルを表し、R10は水素、炭素数1から5のアルキル、または−C=O)R11を表し、R11は、水素、フェニル、または炭素数1から5のアルキルを表す。
3は水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、または炭素数1から5のアルコキシを表す。
Aは−XC(=Y)−、−XC(=Y)Z−、−X−、または−XSO2−(ここでX、YおよびZは各々独立してNR4、SまたはOを表す。ここでR4は水素、炭素数1から5の直鎖もしくは分岐アルキル、または炭素数6から12のアリールを表し、式中R4が2以上の場合は互いに同一または異なっていてもよい)を表す。
Bは原子価結合、炭素数1から14の直鎖もしくは分岐アルキレン(ただし、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、ヒドロキシ、弗素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、およびフェノキシからなる群から選ばれた少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよく、1から3個のメチレン基がカルボニル基でおきかわっていてもよい)、2重結合および/または3重結合を1から3個含む炭素数2から14の直鎖もしくは分岐の非環状不飽和炭化水素(ただし炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、ヒドロキシ、弗素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチルおよびフェノキシからなる群から選ばれた少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよく、1から3個のメチレン基がカルボニル基でおきかわっていてもよい)、またはチオエーテル結合、エーテル結合および/もしくはアミノ結合を1から5個含む炭素数1から14の直鎖または分岐の飽和または不飽和炭化水素(ただし、ヘテロ原子は直接Aに結合することはなく、1から3個のメチレン基がカルボニル基でおきかわっていてもよい)を表す。
5は水素または下記の基本骨格:
Figure 0005343848
の何れかを持つ有機基(ただし、これらの式中、QはN、OまたはSを表し、TはCH2、NH、SまたはOを表し、lは0ないし5の整数を表し、mおよびnはそれぞれ独立に0ないし5の整数を表し、mとnの合計は5以下であり、各有機基は、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、ヒドロキシ、弗素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ、ニトロ、シアノ、イソチオシアナト、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびメチレンジオキシからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の置換基より置換されていてもよい)を表す。
6は水素を、R7は水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシをそれぞれ表すか、または、R6とR7は一緒になって−O−、−CH2−、もしくは−S−を表す。
8は水素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルカノイルを表す。
12およびR13は共に水素を表すか、もしくは何れか一方が水素で他方がヒドロキシを表すか、または一緒になってオキソを表す。
また、一般式(1)は(+)体、(−)体、(±)体を包含する]
一般式(1)中の点線と実線の二重線は二重結合又は単結合を表し、単結合であることが好ましい。
本発明による統合失調症の治療または予防剤は、一般式(1)で表される化合物の中でも、既に示した一般式(I)で示される化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩を主成分として含有することが好ましい。一般式(I)中の点線と実線の二重線は二重結合又は単結合を表し、単結合であることが好ましい。
一般式(I)において、Rは炭素数4から7のシクロアルキルアルキルを表す。中でもRとしてはシクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチルまたはシクロヘキシルメチルが好ましく、特にシクロプロピルメチルが好ましい。
は炭素数1から5の直鎖または分岐アルキルを表す。Rとしては、メチル,エチルまたはプロピルが好ましい。中でもメチルが好ましい。
Bは、−CH=CH−を表す。Bとしてはトランス型の−CH=CH−が好ましい。
一般式(I)で表される化合物としては、Rがシクロプロピルメチルであり、Rがメチルであり、Bがトランス型の−CH=CH−である化合物、すなわち、(−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナンが特に好ましいが、本発明はこれに限定されない。
これら一般式(I)で表される化合物は、特許第2525552号公報に記載の方法に従って製造することができる。一般式(1)に表す化合物のうち、R12およびR13が共に水素のものは特許第2525552号公報に記載の方法に従って製造することができる。一般式(1)に表す化合物のうち、R12およびR13が一緒になってオキソを表す化合物は、たとえば文献(Heerocycle,63,865(2004),Bioorg.Med.Chem.Lett.,5,1505(1995))に従って得られる10−オキソを有する化合物を原料として、これよりChem.Pharm.Bull.,52,664(2004)および特許第2525552に記載の方法に従って製造することができる。さらに、一般式(1)に表す化合物のうちR12が水酸基でR13が水素である化合物は、Chem.Pharm.Bull.,52,664(2004)に記載の方法に従って製造することができる。
本発明における薬理学的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩およびリン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩もしくはフタル酸塩等の有機カルボン酸塩、またはメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩もしくはカンファ−スルホン酸塩等の有機スルホン酸塩等があげられる。中でも塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、またはメタンスルホン酸塩等が好ましく用いられるが、もちろんこれらに限られるものではない。
一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩は、医薬品用途にまで純化され、必要な安全性試験に合格した後、そのまま、または公知の薬理学的に許容される酸、担体、賦形剤などと混合した医薬組成物として、経口的に投与することができる。経口投与における剤型は、錠剤、カプセル剤、散剤または顆粒剤などを選択できるが、もちろんこれに限られるものではない。
医薬組成物中の一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩の含量は特に限定されないが、1服用あたり通常0.1μg〜100mgとなるように調製され得る。また、投与量は、患者の症状、年齢、体重、投与方法等に応じて適宜選択することができるが、通常、成人1日当り、一般式(I)で表される化合物の量として、0.1μg〜20mg、好ましくは1μg〜10mg程度であり、それぞれ1回または数回に分けて投与することができる。
本発明の統合失調症の治療または予防剤は、本発明で含有される化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩を単独で、または、疾患の治療若しくは予防、症状の減少若しくは抑制に対して用いられる1種類またはそれ以上の薬剤と組み合わせて投与することができる。組み合わせの方法はそれぞれの薬剤を併用しても良いし、合剤とすることも可能である。このような薬剤の例には、定型抗精神病薬であるクロルプロマジン、フルフェナジン、ハロペリドール、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、チオリダジン、チオチキセンあるいは、トリフロペラジン、または非定型抗精神病薬であるアリピプラゾール、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンあるいはジプラシドンなどが挙げられるが、これらは例として与えるものであり、制限するものと解釈されるべきではない。
本発明で言う「統合失調症」は、(1)陽性症状、(2)陰性症状、ならびに(3)認知障害など全てを包含する。本発明の統合失調症の治療または予防剤は、これらのうち特に好ましくは陽性症状の治療または予防に用いうる。
本発明の治療または予防剤の有効成分である上記化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩が、統合失調症の治療や予防に有効であることは、Jpn.J.Pharmacol.,66,181,1994に記載の方法で確認することができる。この方法で用いられているPhencyclidine(PCP)により誘発される動物の運動過多は、ヒト統合失調症陽性症状の表現系として知られている。また、PCPは、ヒト、動物において、統合失調症の陽性症状のみならず、陰性症状や認知障害を発現させうることが知られており(Javitt DC et al.,Am.J.Psychiatry., 148,1301,1991, Volkow ND et al.,Semin.Nucl.Med.,22,254,1992)、PCPにより誘発され本モデルで有効性を示すことは、本薬剤が、統合失調症に対して効果を有することを示している。
また、上記化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩が、統合失調症の一症状である認知障害等に関わる情報処理障害を引き起こす懸念がないことはBio.Psychiatry.,57,1550,2005に記載の方法で、動物に驚愕刺激(パルス)を与える前に弱い刺激(プレパルス)を与えることで驚愕刺激(パルス)に対する驚愕反応が抑制される現象(Prepulse Inhibition、PPI)に対する影響を調べることで確認することができる。この方法において、PPIを抑制することは、情報処理に異常をきたしていることを表しており、統合失調症の一症状である認知障害等を反映するものとして知られている。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
実施例1
マウスPCP誘発運動過多に対する(−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン塩酸塩(化合物1)の効果
実験には、7−8週齢のddy系雄性マウスを1群12−14例で用いた。マウスを赤外線カウンター下部に設置してある測定用ケージ(22cm×38cm×20cm:W×L×H)に入れ、測定開始まで2時間馴化させた。次にマウスにPhencyclidine(PCP,10mg/kg)を皮下投与後、直ちに測定用ケージに戻し、以後、マウスの5分毎の自発運動をSupermex(室町機械)にて測定した。測定時間は90分とした。尚、被験物質の処置は、溶媒に溶解したものをPCP投与1分前に皮下投与することで行った。
尚、化合物1の構造は下記式(II)で示される。
Figure 0005343848
結果を図1に示す。統合失調症陽性症状モデルとして知られるPCP誘発運動過多を、化合物1は、0.01mg/kgから統計学上有意に抑制した(溶媒投与群に対してそれぞれp<0.05およびp<0.001であった。)。このことは、化合物1が顕著な統合失調症治療効果を有することを表している。
なお、図1において、*、***はそれぞれ危険率が5%以下、0.1%以下であり、統計学的に有意であることを示す。図2においても同様である。
参考例1
実施例1と同様にして、NalmefeneおよびU−50,488Hを評価した。結果を図1に示す。Nalmefeneは、10mg/kg処置時においても何ら運動量に影響を及ぼさなかった。U−50,488Hは、有意な抑制効果を示したが、1mg/kgという高用量処置が必要であった(溶媒投与群に対してそれぞれp<0.05およびp<0.001であった。)。以上により、Nalmefene、U−50,488Hと比較して、化合物1の効果がより顕著であることが確認された。
実施例2
ラットPrepulse Inhibition(PPI)モデルにおける、化合物1の驚愕反応に対する影響
実験には、9−10週齢のSD系雄性ラットを1群8例で用いた。また測定には小動物用驚愕反応測定置(San Diego Instruments)を用いた。ラットを専用フォルダー(直径約8cm,Plexiglas製)に入れ、10分間測定環境に馴化させた後、プレパルス80dB,パルス120dB,プレパルス−パルス間隔100msecの条件で驚愕反応を求め、%Prepulse inhibition[((プレパルス無しのパルス反応−プレパルス有りのパルス反応)/プレパルス無しのパルス反応)×100]を求めた。尚、被験物質の処置は、溶媒に溶解したものを、刺激セッション開始30分前に皮下投与することで行った。
結果を図2に示す。PPIモデルにおいて化合物1は、0.03mg/kg(s.c.)処置時においても、PPIを障害することはなかった。なお、評価系の陽性対照としては、PPIを阻害することが報告されているPhencyclidine(PCP:4mg/kg)を用い、統計学上有意なPPIの抑制作用が確認されている(溶媒投与群に対してp<0.05であった。)。
以上の結果から、化合物1が、U−50,488Hで報告されているような統合失調症の一症状である認知障害等に関わる情報処理障害を引き起こさないことが明らかになった。
本発明は、優れた統合失調症治療効果を有し、統合失調症の一症状である認知障害等に関わる情報処理障害を引き起こさない安全性の高い統合失調症治療または予防剤を提供するものである。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0005343848
    [式中、点線と実線の二重線は二重結合又は単結合を表し、R1は炭素数4から7のシクロアルキルアルキルを表し、R2は炭素数1から5の直鎖または分岐アルキルを表し、Bは−CH=CH−を表す]
    で表される化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分とする統合失調症の治療または予防剤。
  2. 一般式(I)において、R1がシクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチルまたはシクロヘキシルメチルであり、R2がメチル、エチルまたはプロピルである請求項1に記載の統合失調症の治療または予防剤。
  3. 一般式(I)で表される化合物が(−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナンである請求項1に記載の統合失調症の治療または予防剤。
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