JP2011074018A - 線維筋痛症の治療剤又は予防剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】
線維筋痛症の治療又は予防剤を提供すること。
【解決手段】
化合物1に代表される特定のモルヒナン骨格を有する化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分とする線維筋痛症の治療剤又は予防剤を提供する。
【化1】
Figure 2011074018

【選択図】 なし

Description

本願発明は、モルヒナン誘導体又はその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含んでなる線維筋痛症の治療剤又は予防剤に関する。
線維筋痛症は、全身のびまん性疼痛、疲労感を主訴とし、他覚症状として特徴的な圧痛点を有する疾患である。その他、睡眠障害、不安感、うつ、焦燥感などの心身症的症状や、頻尿、過敏性腸症候群、月経困難症、乾燥症候群などの関連障害を呈する場合も多い。
線維筋痛症の国内の患者は、推計約200万人であり、そのうち8割以上は女性で、50歳代が最も多い。症状が進行すると常時激しい全身の疼痛に苦しみ、僅かな刺激(爪や髪への刺激、服のこすれ、音、温度や湿度の変化など)で激痛がはしり日常生活が困難になるため、患者のQOL(生活の質)は著しく低下する。
線維筋痛症は往々にして微熱や倦怠感などを伴っているために、診断時に関節リウマチや膠原病を疑われることも多いが、生化学検査、免疫グロブリン定量などを行っても、通常これらの検査結果に異常はみられない。
線維筋痛症は、特異的な検査所見が知られていないこと、身体に器質的な変化も認められないことから、明確な診断基準が得られていない。現在の国内における線維筋痛症の診断は、1990年に発表された米国リウマチ学会の分類基準を参考に行われている(非特許文献1)。この基準では、臍部を基点として上半身と下半身、右半身と左半身、さらに脊椎部及び胸骨部の5ヶ所のいずれの部位にも痛みを認め、それらが少なくとも3ヶ月以上持続する場合、又は、規定された全身18ヶ所の圧痛点に4kgの緩やかな荷重を加え、11ヶ所以上で痛覚を感じた場合を線維筋痛症としている。
線維筋痛症の発症の原因については、肉体的、精神的ストレスや事故、手術などが引き金になると考えられているが、その詳細なメカニズムについては解明されていない。線維筋痛症の治療方法としては、薬物療法の他、運動療法、心理療法などが挙げられるが、充分な治療効果が得られていないのが現状である。そのため、線維筋痛症に対して、より有効な治療方法を見出し、治療の選択の幅を広げることが切望されている。
一方、本願発明の有効成分である化合物(以下、「本願化合物」と表記することがある)については、これまでに鎮痛薬及び利尿薬としての用途並びにオピオイドκ受容体作動性が開示されている(特許文献1)。また、鎮咳薬(特許文献2)、脳細胞保護薬(特許文献3)、止痒薬(特許文献4)、低ナトリウム血症治療薬(特許文献5)、ORL−1受容体拮抗薬(特許文献6)、神経因性疼痛治療薬(特許文献7)、結膜用止痒薬(特許文献8)、精神神経疾患治療薬(特許文献9)、薬物依存治療薬(特許文献10)、敗血症治療薬(特許文献11)、多発性硬化症に由来する痒みの治療薬(特許文献12)、統合失調症治療薬(特許文献13)及びジスキネジア治療薬(特許文献14)などとしての用途も既に開示されている。このうち、特許文献1及び特許文献7では、それぞれ鎮痛薬、神経因性疼痛治療薬として、術後疼痛や癌性疼痛ばかりでなく、広く一般的な痛み並びに末梢神経障害(糖尿病、アルコール他の薬物中毒、アミロイドーシス)、四肢切断、脊髄後根切断術、腕神経叢引き抜き損傷、脊髄損傷、多発性硬化症及びパーキンソン症候群などに伴う疼痛、帯状疱疹痛、帯状疱疹後神経痛、幻肢痛及び中枢性脳卒中後痛(いわゆる視床痛)などの神経因性疼痛の治療剤又は予防剤としての用途を開示している。しかしながら、炎症や神経損傷などを伴わないことから一般的な痛みや神経因性疼痛とは発症原因及び機序が異なると考えられる本願になる線維筋痛症に対する治療効果又は予防効果については、なんら開示されていない。
線維筋痛症の痛みに対する薬物療法として、非ステロイド性抗炎症薬は有効ではないことが多く、近年、鎮痛作用を有する既存の医薬品の一部が線維筋痛症に有効であるという報告もなされているが(特許文献15)、一般に鎮痛薬の効果はそれぞれの患者の背景により異なることが多い。また、米国において線維筋痛症治療薬として承認されているカルシウムチャネル遮断薬であるプレガバリンやSNRI作用を有する抗うつ薬であるデュロキセチンのように、神経因性疼痛にも有効な薬物が用いられる場合もある。さらに、線維筋痛症治療薬として承認されていないが、アミトリプチリンなどの抗うつ薬、アルプラゾラムなどの抗不安薬、カルバマゼピンなどの抗痙攣薬、リドカインなどの局所麻酔薬、アドレナリンなどの交感神経作動薬、ケタミンなどのNMDA受容体拮抗薬、バルプロ酸ナトリウム、リスペリドンなどのセロトニン受容体拮抗薬、ジアゼパムなどのGABA受容体機能促進薬、ジクロフェナクなどの抗炎症薬などの薬剤も有効であると報告されているが、いずれも本願化合物とは構造類似性がなく、作用機序も異なる薬物である。
本願化合物と同じオピオイドκ受容体作動性を有する化合物であるU−50,488Hについては、本願化合物の評価に用いた線維筋痛症モデル動物の疼痛に対して鎮痛作用を示さないことが明らかになっている(非特許文献2)。また、その他のオピオイドκ受容体作動薬が線維筋痛症に有効であるかどうかは明らかになっていない。
オピオイドμ受容体選択性及び作動性において明らかに本願化合物とは異なり、モルヒナン骨格を有する点で本願化合物と共通するモルヒネは、線維筋痛症モデル動物において脊髄内又は腹腔内投与すると鎮痛作用を示すことが知られている(非特許文献2及び非特許文献3)。線維筋痛症患者においては、モルヒネは、嘔気、嘔吐などの副作用が認められる用量で静脈内投与しても、明確な鎮痛効果を示さないこと、さらに、副作用のため鎮痛作用が認められるまで、十分に用量を上げることができなかったことが報告されている(非特許文献4)。一方、副作用発現を避けるため、静脈内持続投与により高用量を投与した場合には、モルヒネは線維筋痛症に対して鎮痛作用を示すことが報告されている(非特許文献5)。
モルヒナン骨格を有する点で本願化合物と共通する他のオピオイド化合物として、ナルトレキソン、コデイン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、オキシコドンなどが知られている。これらの化合物のうち、オピオイドμ受容体作動性を有するコデインのリン酸塩は、線維筋痛症の除痛目的に使用されることが知られている(非特許文献6)。オピオイドμ受容体作動性を有するブプレノルフィンは、具体的なデータはないものの、線維筋痛症の治療に使用できることが開示されている(特許文献16)。オピオイドμ受容体作動性を有するオキシコドン、そしてオピオイドκ及びμ受容体作動性を有するブトルファノールの線維筋痛症に対する作用は明らかになっていない。さらに、オピオイド受容体拮抗作用を有するナルトレキソンは、低用量投与で線維筋痛症に有効であることが知られている(非特許文献7)。低用量のナルトレキソンを投与した場合、内因性のオピオイドμ受容体作動性ペプチドであるβ-エンドルフィンや内因性のオピオイドδ受容体作動性ペプチドであるメチオニンエンケファリンが血液中で増加することや、オピオイドμ受容体及びオピオイドδ受容体が増加することが知られている。そのため、低用量で投与したナルトレキソンは内因性のオピオイドμ受容体あるいはδ受容体システムの活性化を介して薬理作用を発現していると考えられている(非特許文献8)。以上のように、モルヒナン骨格を有するオピオイド化合物の内、線維筋痛症に対して鎮痛作用を有している化合物は、オピオイドμ受容体を介してその作用を発現していると考えられる。
一部の疼痛に関連していることが知られているORL−1受容体に対して、本願化合物が拮抗作用を有していることが知られている(特許文献6)。しかしながら、線維筋痛症患者の脳脊髄液において、ORL−1受容体の内因性リガンドであるノシセプチン量が健常人と比較して変化しないことが明らかとなっており(非特許文献9)、さらに、一部の線維筋痛症患者では、血漿中のノシセプチン量が減少していることも示されている(非特許文献10)ことから、ORL−1受容体の活性化が線維筋痛症の疼痛に関与していないことが示されている。
さらに、本願化合物であるTRK−820については、望ましくない精神状態及び神経学的状態を、その状態に関連する神経伝達物質系に対する対抗適応的反応を誘発させることにより調節し治療する方法におけるリガンドの一例として開示されている(特許文献17)。対抗適応的反応は、例えば、望ましくない精神状態及び神経学的状態に肯定的に関連する受容体に対するリガンドを、患者に対抗適応効果を誘発するに十分に高い初期投与量と対抗適応効果を持続・向上させるために徐々に増加させる反復投与量を投与することにより、肯定的に関与する神経伝達物質系をダウンレギュレーションさせる方法であり、薬剤の直接効果が、一般に症状の悪化に関係する神経伝達物質受容体の調節である点において従来の方法と異なるという特徴が開示されている(特許文献17)。したがって本特許文献は、本願化合物であるTRK−820が線維筋痛症の通常の治療方法、例えば適量を単回で投与する方法において有効であることを示したものではなく、また、後に示す実施例の結果から明らかな通り、κ受容体作動薬と線維筋痛症治療との関係を具体的な薬理試験に基づき示したものでもない。
国際公開 第93/015081号パンフレット 国際公開 第95/001178号パンフレット 国際公開 第95/003307号パンフレット 国際公開 第98/023290号パンフレット 国際公開 第99/005146号パンフレット 特開2000−53572号公報 国際公開 第01/014383号パンフレット 特開2001−163784号公報 国際公開 第02/078744号パンフレット 国際公開 第99/011289号パンフレット 国際公開 第02/089845号パンフレット 国際公開 第06/095836号パンフレット 国際公開 第09/001764号パンフレット 国際公開 第08/133297号パンフレット 国際公開 第04/039383号パンフレット 国際公開 第98/057637号パンフレット 国際公開 第07/100775号パンフレット
Wolfe F et al.,Arthritis Rheum.,33,160,1990 Sluka KA et al.,J. Pharmacol. Exp. Ther.,302,1146,2002 Nielsen AN et al.,Eur. J. Pharamcol.,487,93,2004 Soensen J et al.,Scand. J. Rheumatol.,24,360,1995 Soensen J et al.,J. Rheumatol.,24,1615,1997 岡崎敦ら,日本ペインクリニック学会誌,13,454,2006 Younger J et al.,Pain Med.,10,663,2009 Brown J et al.,Med Hypothese.,72,333,2009 Baraniuk JN et al.,BMCMusculoskelet. Disord.,5,48,2004 Anderberg UM et al.,Z. Rheumatol.,57 Suppl2,77,1998
本発明は、優れた効果を有する線維筋痛症の治療剤又は予防剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、モルヒナン骨格を有する特定の化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩が優れた線維筋痛症治療効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の[1]から[3]に関する。
[1]下記一般式(I)
Figure 2011074018
[式中、点線と実線の二重線は二重結合又は単結合を表し、Rは炭素数4から7のシクロアルキルアルキルを表し、Rは炭素数1から5の直鎖又は分岐アルキルを表し、Bは−CH=CH−を表す]で表される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分とする線維筋痛症の治療剤又は予防剤。
[2]一般式(I)において、Rがシクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル又はシクロヘキシルメチルであり、Rがメチル、エチル又はプロピルである、[1]に記載の線維筋痛症の治療剤又は予防剤。
[3]一般式(I)で表される化合物が(−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナンである、[1]に記載の線維筋痛症の治療剤又は予防剤。
本発明は、線維筋痛症の顕著な治療効果又は予防効果をもたらす。
実施例1における、線維筋痛症モデルラットに対する化合物1の影響を示した図である。横軸は被験物質用量を示し、縦軸は、被験物質皮下投与30分後の%MPEを示している。 実施例2における、線維筋痛症モデルラットに対するnor−BNIの影響を示した図である。横軸は被験物質用量を示し、縦軸は、被験物質皮下投与24時間後の%MPEを示している。
本発明の線維筋痛症の治療剤又は予防剤は、一般式(III)で表される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有する。
Figure 2011074018
[式中、点線と実線の二重線は二重結合又は単結合を表す。
1は炭素数1から5のアルキル、炭素数4から7のシクロアルキルアルキル、炭素数5から7のシクロアルケニルアルキル、炭素数6から12のアリール、炭素数7から13のアラルキル、炭素数4から7のアルケニル、アリル、フラン−2−イルアルキル(アルキル部の炭素数は1から5)又はチオフェン−2−イルアルキル(アルキル部の炭素数は1から5)を表す。
14は水素、ヒドロキシ、ニトロ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルキル又はNR910を表す。ここでR9は水素又は炭素数1から5のアルキルを表し、R10は水素、炭素数1から5のアルキル又は−C=O)R11を表し、R11は、水素、フェニル又は炭素数1から5のアルキルを表す。
3は水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ又は炭素数1から5のアルコキシを表す。
Aは−XC(=Y)−、−XC(=Y)Z−、−X−又は−XSO2−(ここでX、Y及びZは各々独立してNR4、S又はOを表す。ここでR4は水素、炭素数1から5の直鎖若しくは分岐アルキル又は炭素数6から12のアリールを表し、式中R4が二つ以上存在する場合は互いに同一又は異なっていてもよい)を表す。
Bは原子価結合、炭素数1から14の直鎖若しくは分岐アルキレン(ただし、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、ヒドロキシ、弗素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル及びフェノキシからなる群から選ばれた少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよく、1から3個のメチレン基がカルボニル基で置き換わっていてもよい)、2重結合及び/若しくは3重結合を1から3個含む炭素数2から14の直鎖若しくは分岐の非環状不飽和炭化水素(ただし炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、ヒドロキシ、弗素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル及びフェノキシからなる群から選ばれた少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよく、1から3個のメチレン基がカルボニル基で置き換わっていてもよい)又はチオエーテル結合、エーテル結合及び/若しくはアミノ結合を1から5個含む炭素数1から14の直鎖若しくは分岐の飽和若しくは不飽和炭化水素(ただし、ヘテロ原子は直接Aに結合することはなく、1から3個のメチレン基がカルボニル基で置き換わっていてもよい)を表す。
5は水素又は下記の基本骨格の何れかを持つ有機基(ただし、これらの式中、QはN、O又はSを表し、TはCH2、NH、S又はOを表し、lは0から5の整数を表し、m及びnはそれぞれ独立に0から5の整数を表し、mとnの合計は5以下であり、各有機基は、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、ヒドロキシ、弗素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ、ニトロ、シアノ、イソチオシアナト、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びメチレンジオキシからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよい)を表す。
Figure 2011074018
の何れかを持つ有機基(ただし、これらの式中、QはN、O又はSを表し、TはCH2、NH、S又はOを表し、lは0から5の整数を表し、m及びnはそれぞれ独立に0から5の整数を表し、mとnの合計は5以下であり、各有機基は、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、ヒドロキシ、弗素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ、ニトロ、シアノ、イソチオシアナト、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びメチレンジオキシからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよい)を表す。
6は水素を、R7は水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ又は炭素数1から5のアルカノイルオキシをそれぞれ表すか、R6とR7は一緒になって−O−、−CH2−又は−S−を表す。
8は水素、炭素数1から5のアルキル又は炭素数1から5のアルカノイルを表す。
12及びR13は共に水素を表すか、何れか一方が水素で他方がヒドロキシを表すか、一緒になってオキソを表す。
また、一般式(III)は(+)体、(−)体、(±)体を包含する]
一般式(III)中の点線と実線の二重線は二重結合又は単結合を表し、単結合であることが好ましい。
本発明の線維筋痛症の治療剤又は予防剤は、一般式(III)で表される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩の中でも、既に示した一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有することが好ましい。
一般式(I)中の点線と実線の二重線は二重結合又は単結合を表し、単結合であることが好ましい。
一般式(I)において、Rは炭素数4から7のシクロアルキルアルキルを表す。中でもRとしてはシクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル又はシクロヘキシルメチルが好ましく、特にシクロプロピルメチルが好ましい。
は炭素数1から5の直鎖又は分岐アルキルを表す。Rとしては、メチル,エチル又はプロピルが好ましい。中でもメチルが好ましい。
Bは、−CH=CH−を表す。Bとしてはトランス型の−CH=CH−が好ましい。
一般式(I)で表される化合物としては、Rがシクロプロピルメチルであり、Rがメチルであり、Bがトランス型の−CH=CH−である化合物、すなわち、(−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナンが特に好ましいが、本発明はこれに限定されない。
これら一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩は、特許第2525552号公報に記載の方法に従って製造することができる。一般式(III)で表される化合物のうち、R12及びR13が共に水素のものは特許第2525552号公報に記載の方法に従って製造することができる。一般式(III)で表される化合物のうち、R12及びR13が一緒になってオキソを表す化合物は、たとえば文献(Hererocycle,63,865(2004),Bioorg.Med.Chem.Lett.,5,1505(1995))に従って得られる10−オキソを有する化合物を原料として、これよりChem.Pharm.Bull.,52,664(2004)及び特許第2525552に記載の方法に従って製造することができる。さらに、一般式(1)で表される化合物のうちR12が水酸基でR13が水素である化合物は、Chem.Pharm.Bull.,52,664(2004)に記載の方法に従って製造することができる。
本発明における薬理学的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩若しくはリン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩若しくはフタル酸塩などの有機カルボン酸塩又はメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩若しくはカンファ−スルホン酸塩などの有機スルホン酸塩などが挙げられる。中でも塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酒石酸塩又はメタンスルホン酸塩などが好ましく用いられるが、もちろんこれらに限られるものではない。
一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩は、医薬品用途にまで純化され、必要な安全性試験に合格した後、そのまま、又は公知の薬理学的に許容される酸、担体、賦形剤などと混合した医薬組成物として、経口的に投与することができる。経口投与における剤型は、錠剤、カプセル剤、散剤又は顆粒剤などを選択できるが、もちろんこれに限られるものではない。
医薬組成物中の一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩の含量は特に限定されないが、1服用あたり通常0.1μg〜100mgとなるように調製され得る。また、投与量は、患者の症状、年齢、体重、投与方法などに応じて適宜選択することができるが、通常、成人1日当り、一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩の量として、0.1μg〜20mg、好ましくは1μg〜10mg程度であり、それぞれ1回又は数回に分けて投与することができる。
本発明の線維筋痛症の治療剤又は予防剤は、一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を単独で、又は疾患の治療若しくは予防、症状の減少若しくは抑制に対して用いられる1種類又はそれ以上の薬剤と組み合わせて投与することができる。組み合わせの方法はそれぞれの薬剤を併用しても良いし、合剤とすることも可能である。このような薬剤の例には、アミトリプチリン、デュロキセチンなどの抗うつ薬、アルプラゾラムなどの抗不安薬、カルバマゼピンなどの抗痙攣薬、リドカインなどの局所麻酔薬、アドレナリンなどの交感神経作動薬、ケタミンなどのNMDA受容体拮抗薬、バルプロ酸ナトリウム、プレガバリンなどのカルシウムチャネル遮断薬、リスペリドンなどのセロトニン受容体拮抗薬、ジアゼパムなどのGABA受容体機能促進薬、ジクロフェナクなどの抗炎症薬などが挙げられるが、これらは例として与えるものであり、制限するものと解釈されるべきではない。
線維筋痛症は、上述のとおり、一般に米国リウマチ学会の基準をもとに診断されるが、臨床上では専門医の判断により、上述の基準を満たしていなくても線維筋痛症と診断されることがある。臨床上と同様に、本発明の医薬品は上記基準を満たす症例のみならず、専門医によって線維筋痛症と診断された症例にも適用できる。
本発明の線維筋痛症の治療剤又は予防剤は、線維筋痛症の各種症状の治療又は予防に用いうる。線維筋痛症の各種症状のうち、とりわけ疼痛緩和に有効である。
本願発明の治療剤又は予防剤の有効成分である一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩が、線維筋痛症の治療や予防に有効であることは、後で記載する実施例に記載の方法で確認することができる。この方法で用いられている酸性生理食塩液の筋肉内注射により作製した線維筋痛症モデルラットは、線維筋痛症の基礎研究において一般に広く用いられるモデルであり(Sluka KA et al.,J. Pharmacol. Exp. Ther.,302,1146,2002)、本モデルで有効性を示すことは、本薬剤が、線維筋痛症に対して効果を有することを示している。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
実施例1 線維筋痛症モデルラットにおける(−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン塩酸塩(化合物1)の効果
実験には、6から7週齢のSD系雄性ラットを1群6から7例で用いた。Sluka KA et al.,J. Pharmacol. Exp. Ther.,302,1146,2002に記載の方法に従い、pH4.0に調製した酸性生理食塩液をラットの右側後肢腓腹筋に2回(酸性生理食塩水投与開始日を実験開始日1日目として、実験開始1日目と6日目にそれぞれ1回ずつ投与)にわたり注射することにより、線維筋痛症モデルラットを作製した。線維筋痛症モデルラットで認められるアロディニアの測定は、Chaplan SR et al.,J. Neurosci. Methods,53,55,1994に記載の方法に従い、von Freyフィラメントを用いて行い、50%反応閾値を求めた。実験開始7日目に、酸性生理食塩液の筋肉内注射によりアロディニアを発症したラットを用いてvon Freyフィラメントにより測定を行い、被験物質の鎮痛作用を評価した。
化合物1を5%マンニトール溶液に0.01mg/mL及び0.03mg/mL濃度になるように溶解し、体重1kg当たり1mLの投与容量で皮下投与し、30分後にアロディニアの測定を行った結果を図1に示す。線維筋痛症モデルラットにおいて認められたアロディニアは、化合物1の0.03mg/kgの皮下投与により、ほぼ完全に抑制された。(溶媒投与群に対して***p<0.001,Williams’ test)。このことは、化合物1が顕著な線維筋痛症治療効果を有することを表している。図中の%MPEは、percent of maximum possible effectのことである。
尚、化合物1の構造は下記式(II)で表される。
Figure 2011074018
実施例2 線維筋痛症モデルラットにおけるオピオイドκ受容体拮抗薬nor−BNIの効果
実験には、6から7週齢のSD系雄性ラットを1群4から5例で用いた。実施例1に記載の方法に従い線維筋痛症モデルラットを作製し、アロディニアを発症したラットにnor−BNI・2HCl・1.1HOを生理食塩液に20mg/mL濃度になるように溶解し、体重1kg当たり1mLの投与容量で皮下投与し、24時間後にアロディニアの測定を行った。なお、nor−BNIはマウスにおいて被験物質投与の24時間前に20mg/kgを皮下投与することにより、オピオイドκ受容体に対して選択的で十分な拮抗作用を示すことが知られている(Endoh T et al.,Arch.Internat.Pharmacodyn.316,30,1992.)。
結果を図2に示す。線維筋痛症モデルラットにおいて認められたアロディニアに対し、nor−BNIは何ら効果を示さず、オピオイドκ受容体拮抗薬は線維筋痛症におけるアロディニアに対し鎮痛作用を示さないことが明らかとなった。
したがって、線維筋痛症のアロディニアがオピオイドκ受容体の過剰な活性化により発症している可能性は示唆されなかった。このことは、内因性のオピオイドκ受容体システムであるダイノルフィン系の活性化が線維筋痛症に関連していないことを示している。
特許文献15において、オピオイドκ受容体作動薬による誘発する対抗適応効果によりオピオイドκ受容体システムであるダイノルフィン系のダウンレギュレーションを引き起こし、ダイノルフィン系の作用を低下させることにより、神経伝達物質の調節異常によるオピオイドκ受容体系の過剰な活性化が関与している望ましくない精神状態及び神経学的状態を治療するという記載があり、さらに、該特許中にオピオイドκ受容体作動薬の一例として本願発明の化合物(I)であるTRK−820が、望ましくない精神状態及び神経学的状態の具体例の一例として線維筋痛症が挙げられている。
しかしながら、本実験によりダイノルフィン系が線維筋痛症に関連していないことが示唆されたため、ダイノルフィン系をダウンレギュレーションしても、線維筋痛症に対して鎮痛作用を発現することはないと考えられることから、特許文献15に記載さているような、本願化合物を反復投与することによる対抗適応効果によって、線維筋痛症に対する鎮痛効果は発現しないことが示唆された。
本発明は、優れた線維筋痛症治療効果を有し、線維筋痛症の治療又は予防に有用である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 2011074018
    [式中、点線と実線の二重線は二重結合又は単結合を表し、Rは炭素数4から7のシクロアルキルアルキルを表し、Rは炭素数1から5の直鎖又は分岐アルキルを表し、Bは−CH=CH−を表す]
    で表される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分とする線維筋痛症の治療剤又は予防剤。
  2. 一般式(I)において、Rがシクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル又はシクロヘキシルメチルであり、Rがメチル、エチル又はプロピルである、請求項1に記載の線維筋痛症の治療剤又は予防剤。
  3. 一般式(I)で表される化合物が(−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナンである、請求項1に記載の線維筋痛症の治療剤又は予防剤。
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