JP5343015B2 - 電気コネクタ - Google Patents

Description

本発明は、電気コネクタに関し、特に高温環境下において、相手コネクタとの間で電気的接続を確立するため電気コネクタに関する。

米国特許第７３８７５４８号明細書（特許文献１）には、概略円筒形の電気コンタクトを備えたメス接触子が開示されている。この電気コンタクトの中央部には、オス接触子と接続するためのくびれが設けられている。この電気コンタクトは、銅または銅合金のような導電性の高い材料からなる導電部材と、例えばステンレス鋼でできたバネ部材との複合材として形成されている。

一つの実施形態において、前記バネ部材が電気コンタクトの外部に配置され、前記導電部材が電気コンタクトの内部に配置されている。導電部材の終端部は、バネ部材の端部に重なるように、外側へ折り返されている。外部へ折り返された導電部材は、バネ部材によって電気コネクタの収容室の内壁に押しつけられることにより、収容室と電気的に接続される。

この従来技術の電気コネクタにおいて、高温下においては、バネ部材の弾性が弱くなり、導電部材を、収容室の内壁に対して、確実な電気的接続を得るために十分な応力で押しつけることができなくなる、という問題がある。

また、ドイツ特許出願第１０３３９９５８Ａ１公報（特許文献２）には、植え込み型心臓ペースメーカーや除細動器等に電極ワイヤを接続するためのラップ（wrap）コネクタが開示されている。このラップコネクタは、長い管状の接続バネ部材を有している。この接続バネ部材の長手方向には、複数のスリットが設けられたことにより、長手方向にわたって、内側へ向けて弓なりに曲がった舌状部材が形成されている。電極ワイヤプラグがラップコネクタへ挿入されたとき、舌状部材は、弾力的に外側へ反り返り、プラグの接触面へ弾力的に押しつけられる。さらに、シリコーンゴムの支持バネ部材が、接続バネ部材の周りを締め付けることにより、ラップコネクタの接触バネ部材とプラグの接触面との間の接触圧力を増加させる。

この従来技術にかかる装置は、高温下において、バネ部材とシリコーンゴムの弾力が低下するおそれがある。つまり、高温下では、電気的接続を確保できる程度に十分な接触圧力が得られない可能性がある。

国際公開第２００３／０４４９０１号（特許文献３）に開示された電気コネクタは、このコネクタのハウジングの穴に複数の細長い接続片が形成された管状コンタクトを備えている。このコンタクトの一端には、この端部をハウジングの一端にしっかり接続するための固定手段が設けられている。固定手段は、例えば、ハウジングと、このハウジング上に滑り込まされたぴったりした環状部品との間に挟み込まれていても良い。また、このコンタクトのもう一方の端部に、この端部をハウジングにしっかり接続するための別の固定手段（例えばリベット）が設けられている。

ドイツ特許第１９８３６１９６Ｃ２公報（特許文献４）は、内部空間に接触バネを備えると共に、相手コネクタを挿入するための開口部を内部空間の一端に備えた高圧電気コネクタを開示している。ハウジングの開口部には、接触バネのカラーを挟み込むリングをねじ込むためのスレッドが形成されている。これにより、コンタクトはハウジングの内側において片側に固定される。

米国特許第７３８７５４８号明細書 ドイツ特許出願第１０３３９９５８Ａ１公報 国際公開第２００３／０４４９０１号 ドイツ特許第１９８３６１９６Ｃ２公報

本発明は、特に高温環境下においても、相手コネクタとの電気的接続を確実なものとする電気コネクタを提供することを目的とする。

本発明にかかる電気コネクタは、相手コネクタとの電気的接続を確立するための電気コネクタであって、上記の目的を達成するために、少なくとも一端に開口を有する略円筒状の内部空間を備えたハウジングと、前記内部空間に配置され、前記相手コネクタが前記内部空間に挿入された場合に当該相手コネクタと接続する接続部材と、前記内部空間の内壁と前記接続部材との間に配置され、前記接続部材を弾力的に支持する支持部材とを備え、前記接続部材が、前記ハウジングの第１のパーツと第２のパーツとの間に挟まれた固定部材を備えた構成である。

本発明によれば、特に高温環境下においても、相手コネクタとの電気的接続を確実なものとする電気コネクタを提供することができる。

図１は、本発明の一実施形態にかかる電気コネクタの概略構成を示す断面図である。 図２は、図１に示した電気コネクタが備える接続部材の構成を示す平面図である。 図３は、図１に示した電気コネクタが備える支持部材の構成を示す平面図である。 図４は、図２に示した接続部材の断面図である。 図５は、図３に示した支持部材の断面図である。

本発明の一実施形態にかかる電気コネクタは、相手コネクタとの電気的接続を確立するための電気コネクタであって、上記の目的を達成するために、少なくとも一端に開口を有する略円筒状の内部空間を備えたハウジングと、前記内部空間に配置され、前記相手コネクタが前記内部空間に挿入された場合に当該相手コネクタと接続する接続部材と、前記内部空間の内壁と前記接続部材との間に配置され、前記接続部材を弾力的に支持する支持部材とを備え、前記接続部材が、前記ハウジングの第１のパーツと第２のパーツとの間に挟まれた固定部材を備えた構成である。

前記内部空間は、少なくとも一端に開口部を有する。この開口部を介して、相手コネクタの接続部材を、内部空間へ挿入することができる。内部空間の両端に開口部を設けた構成としても良い。電気コネクタは、これに限定されないが、例えば電気ソケットであり、相手コネクタは例えば電気プラグである。

本発明は、例えば摂氏２００度を超える高温環境における使用に適している。このような高温環境においては、支持部材の弾性が低下して、接続部材と内部空間の内壁との十分な接触を保つことができなくなるおそれがある。例えば、自動車の内燃機関の近くでは、温度が摂氏２００度近くなることがある。ケーブルやコネクタの電力消耗によって、温度がさらに４５度程度上昇することもある。このような環境において、コネクタは、摂氏２５０度に近い温度においても、電気的接続を信頼性高く確立する必要がある。また、この他にも、例えばオーブンにおいて、温度が摂氏４００度にもなることがある。

ハウジングの二つのパーツの間へ固定部材を固定する手段は、締め付け圧力によって生じる、固定部材の少なくとも一部と前記ハウジングのパーツの少なくとも一方との冷間溶接であることが好ましい。このような冷間溶接は、固定部材とハウジングとの間に特に信頼性の高い電気的接続を実現することができる。また、冷間溶接は、固定部材とハウジングとの間の接続抵抗を低下させるという利点もある。

本発明の好ましい実施形態として、前記接続部材と前記支持部材とが別体として形成された構成も考えられる。特に、接続部材と支持部材とが、被覆材、積層体、または複合材料を形成しないことが好ましい。接続部材は、支持部材に対して相対的にスライド可能に構成されていることが好ましい。さらに、接続部材が、接続部材および支持部材の長手方向および／または周方向にスライド可能であることがより好ましい。

本発明の実施形態によれば、接続部材と支持部材の熱膨張係数の差による悪影響を回避できる。例えば、二種金属切片（bi-metal strips）で見られるような、温度によって誘発された折れ曲がりが防止される。このような折れ曲がりは、最悪の場合、接続部材とその接続相手との間の断線を引き起こす。さらに、特にコネクタが高温下で接続（または接続解除）されるときの部材の劣化が抑制され、コネクタの寿命が伸びる、という効果がある。

また、接続および接続解除を行う際のコネクタの特性（特に弾力特性）の温度依存性が小さくなるという効果もある。このように、低温下でも高温下でも容易かつ確実に接続されるコネクタが実現される。支持部材は、接続部材の周囲をしっかりと支持することが好ましい。また、支持部材が、接続部材において、ハウジングの第１のパーツと第２のパーツとの間に挟み込まれていない部分を支持することが、さらに好ましい。

接続部材は、ハウジングの第１のパーツと第２のパーツとの間に挟み込まれていないことが好ましい。

本発明の好ましい実施形態において、前記ハウジングの前記第１のパーツは、前記電気コネクタへ導電体を取り付けるための電気コンタクト（好ましくは接続ピン）を含む。好ましくは、ハウジングの第１のパーツは、電気を固定部材から電気コンタクトへ導通させるために、導電性材料を含む。導電性材料としては、例えば、銅や、例えば真ちゅう等の銅合金を用いることができる。

ハウジングの第１のパーツは、ほぼ全体が導電性材料で形成されていることが好ましい。ハウジングの第１のパーツは、銀や金などの導電性材料でめっき加工されていても良い。この実施形態において、ハウジングの第１のパーツは、接続部材から電気コンタクトへ電気を導通させる機能を持つので、第２のパーツは、必ずしも導電性材料で形成されていたり、導電性材料でめっき加工されていたりしなくても良い。

しかし、第１のパーツおよび第２のパーツは、導電性材料（より好ましくは同じ材料）で形成されていることが好ましい。これによれば、接続部材との電気的接続をより確実にすることができる。

接続部材とは異なり、支持部材は、ハウジングの第１のパーツと第２のパーツとの間に挟み込まれてはいない。接続部材の固定部材の両面は、電気的接続の信頼性を確実なものとするために、ハウジングの第１のパーツおよび第２のパーツにおいて相応する面に接触することが好ましい。

本発明の好ましい形態において、ハウジングの第１のパーツと第２のパーツとの一方（好ましくは第２のパーツ）が、接続部材と支持部材とが配置される筒状の内部空間またはその一部を包含していることが好ましい。

本発明の一実施形態において、内部空間はハウジングの他方のパーツ（好ましくは第１のパーツ）へ延伸されていても良い。内部空間を延伸することにより、相手コネクタが電気コネクタへ挿入されたときに、相手コネクタの長さを吸収することができるという利点がある。

接続部材は、筒状の内部空間の中に配置されているので、接続部材の一端は筒状の内部空間の開口部に向いて、他端が開口部とは反対側へ向くよう配置されている。前記固定部材は、前記接続部材において前記内部空間の開口とは反対側に配置されていることが好ましい。これにより、固定部材を、好ましくは電気コネクタにおいて開口部とは反対側の端部に配置された、ハウジングの第１のパーツへ、容易に接続することができる。

ハウジングの第１のパーツと第２のパーツとは、ポジティブロック（positive lock）によって、好ましくは、これらのパーツをはめ合わせることで固定部材をこれらのパーツ間に固定するための相補的なスレッド（thread）を、これらのパーツに設けることによって、結合されていることが好ましい。

ハウジングにおいて接続部材が配置されている箇所で、スレッドの長軸が接続部材の長軸に一致していることが好ましい。これにより、軸対象な配置が実現され、固定部材をハウジングのパーツ間に固定することが容易となる。あるいは、ハウジングの第１のパーツと第２のパーツが、ポジティブではない、すなわち力による接続で結合されていても良い。この場合、固定部材は、ハウジングの第１・第２パーツ間に、外力を加えることによって固定される。この外力を除去しても、固定力は、力による接続の結果として、かなりの程度で維持され得る。

固定部材の表面を挟み込む、ハウジングの第１・第２パーツの表面は、スレッドの長軸に対して角度をなしていることが好ましい。また、固定部材の表面を挟み込む、ハウジングの第１・第２パーツの表面は、筒状の内部空間４、５の長軸に対して角度をなしていることが好ましい。スクリュー結合を締め付けることにより、固定部材は、ハウジングの第１のパーツと第２のパーツとの間に確実に固定されるという利点がある。また、スクリュー結合を十分に締め付けることにより、ハウジングの少なくとも一つ（好ましくは両方）のパーツを、固定部材に冷間溶接することも可能である。第１・第２パーツの前記表面と前記長軸とのなす角度は、円周を３６０度とする単位において、９０度以下であり、好ましくは７０度よりも小さく、より好ましくは５０度よりも小さい。また、４０度以下であればさらに好ましい。第１・第２パーツの前記表面と前記長軸とのなす角度は、５度よりも大きいことが好ましく、より好ましくは１０度よりも大きく、さらに好ましくは１５度よりも大きい。例えば、約２５度であることが好ましい。この角度がより小さければ、所定のトルクが与えられた場合に、固定部材へのより高い圧力が得られる。一方、角度が小さすぎると、少なくとも一つのスレッドを、不便なほど長くしなければならないこととなる。

本発明の好ましい実施形態において、接続部材は、内部空間の長手方向に沿って伸びる複数の接続薄板を有する。この薄板（lamellae）は、内部空間の中央に向かって、少なくとも部分的に折れ曲がっていることが好ましい。

相手コネクタの接続面が内部空間へ導入されたとき、薄板は、内部空間の内壁に向かって曲がる（好ましくは弾力的に曲がる）ことが可能であり、接続面を弾力的に押し付けるか、接続面に対して弾力的に押し付けられる。

接続部材は、ほぼ管状の形状をなし、断面が円形であることが好ましい。また、接続部材は、好ましくはその長手方向の中央または中央付近に、相手コネクタが内部空間へ挿入された際に、この相手コネクタと接触するくびれを有していることが好ましい。このくびれは、接続薄板が接続部材の軸に向けてアーチ状に湾曲することによって形成されていることが好ましい。

好ましい実施形態において、接続部材は、二つのリングと、これらのリングの間で互いにほぼ平行に延びる薄板とを備えていることが好ましい。接続部材は、例えば、二つの横断的に延びるウエブ（web）を有するほぼ四角形のシートから形成することができる。ウエブの内側のエッジ間に、例えばスタンピングによって、平行に長手方向に延びる複数の薄板を規定する複数のスロットが形成される。この薄板は、ウエブの内側とは反対側の端部で結合される。このシートは、次に、薄板がその長軸に対してほぼ平行に延びる筒に形成される。薄板は、筒の長軸に向かって弓なりにカーブしている。

接続部材の固定部材は、複数の固定タブを備えていることが好ましい。これらのタブは、二つのリングの一つに、そのリングにおいて前記薄板が取り付けられている側とは反対側に、取り付けられていることが好ましい。

薄板と同様に、固定タブは、ウエブの一つの外側エッジから延びる複数の平行なスロットを形成することによって、構成することができる。固定タブは、接続部材の長軸に対して、好ましくは外側へ、傾いている。この長軸に対する固定タブの傾き角は、９０度以下であることが好ましく、７０度より小さいことがより好ましく、５０度より小さいことがさらに好ましく、４０度より小さいことがよりさらに好ましい。また、この傾き角は、５度よりも大きいことが好ましく、１０度よりも大きいことがさらに好ましく、１５度よりも大きい（例えば約２５度）ことがよりさらに好ましい。前記傾き角の大きさは、固定部材をハウジングの第１のパーツと第２のパーツとの間に固定することを容易にするために、ハウジングの第１のパーツの表面と第２のパーツの表面とがなす角と同じであることが好ましい。

接続部材を支持する支持部材は、内部空間の長軸方向に沿って延びる複数の弾力薄板を備えていることが好ましい。この弾力薄板は、内部空間の中央へ向かって折れ曲がっている接続薄板を支持するために、内部空間の中央へ向かって少なくとも部分的に折れ曲がっていることが好ましい。この結果、接続薄板は、電気コネクタへ挿入された相手コネクタの接続面によって曲げられたときに、接続薄板自身の弾力に加えて、弾力薄板によって、相手コネクタの接続面へ弾力的に押し付けられることとなる。これにより、信頼性の高い電気的接続を実現することができる。

支持部材は、ほぼ管状に形成されており、好ましくは円形の断面を有する。支持部材のくびれは、好ましくは、接続部材の相応するくびれを支持する。このくびれは、弾力薄板を、支持部材の中心軸に向かって弓なりに曲げることによって、形成される。

支持部材は、その間に弾力薄板が配置される二つのリングを備えていることが好ましい。支持部材は、接続部材を形成される方法とほぼ同じ方法によって形成することができる。すなわち、支持部材は、例えば、二つの横断的に延びるウエブ（web）を有するシートから形成することができる。ウエブの内側のエッジ間に、平行に長手方向に延びる複数の薄板を規定する複数のスロットが形成される。この薄板は、ウエブの内側とは反対側の端部で結合される。このシートは、次に、弾力薄板がその長軸に対してほぼ平行に延びる筒に形成される。弾力薄板は、筒の長軸に向かって弓なりにカーブしている。しかし、支持部材には、接続部材に設けられている接続タブは設けられない。

本発明の好ましい形態において、支持部材は、その内側のほぼ全体が、接続部材の外側に重なるように形成されていることが好ましい。これを実現するために、接続部材と支持部材とは、ほぼ同じ形状を有する。また、他の好ましい実施形態として、支持部材の内側の一部分のみが、接続部材の外側の一部に重なるように構成しても良い。この重なり部分は、例えば所定の支持位置であり、好ましくは、接続部材の制限（restriction）位置が考えられる。接続部材を支持し、相手コネクタが電気コネクタへ挿入されたときに、接続部材を相手コネクタへ押し付けるために、支持部材の外側の一部が、内部空間の内壁に重なった構成としても良い。

接続部材と支持部材とは、異なる材料で形成されていることが好ましい。一般に、高い導電性を持つ材料は緩和温度が低く、高温下で弾力が劣化しやすい。接続部材と支持部材とを異なる材料で形成することにより、高い導電性と高温下での十分な弾力性とを得ることができるという利点がある。接続部材の材料と支持部材の材料の両方が金属であることが好ましい。接続部材は、支持部材よりも高い導電性を有することが好ましい。支持部材は、接続部材よりも緩和温度が高いことが好ましい。本発明の実施形態において、支持部材の緩和温度は、摂氏２５０よりも高く、好ましくは摂氏３００度よりも高く、より好ましくは摂氏４００度よりも高く、さらに好ましくは摂氏５００度よりも高い。接続部材の緩和温度は、好ましくは摂氏２００度よりも低く、より好ましくは摂氏１６０度より低い。

本発明の好ましい実施形態において、接続部材は、銅、あるいは、例えば銅／錫合金または銅／ベリリウム合金等の銅を含む材料であることが好ましい。

銅の緩和温度は摂氏約１００度、銅／錫合金の緩和温度は一般的に摂氏１２０度から１３０度の間、銅／ベリリウム合金の緩和温度は一般的に摂氏１４０度から１５０度である。接続部材は、例えば金、銀、または銅等のめっき処理がなされていても良い。支持部材は、スチールで構成されていることが好ましく、ステンレス鋼で構成されていることがより好ましい。ステンレス鋼の緩和温度は、一般的に、摂氏約５００度である。これにより、摂氏２５０度やさらに４００度ほどの高温下においても、高い導電性と十分な弾力性とを実現することができる。

以下、図面を参照しながら、本発明のより具体的な実施形態を説明する。

図１は、本発明の一実施形態にかかる電気コネクタ１の概略構成を示す断面図である。

電気コネクタ１には、円形の断面を有する略管状の内部空間（inner volume）４，５と、内部空間４，５の一端に設けられた開口部６とを有するハウジングが設けられている。

細長い接続部材７が、内部空間５に配置されている。この接続部材７については、後に図２および図４を参照しながらより詳細に説明する。接続部材７は、相手コネクタ（図示せず）が、開口部６から電気コネクタ１へ挿入されたときに、この相手コネクタの接続面に接触することにより、相手コネクタとの間に電気的接続を確立する。

また、内部空間５の内壁９と接続部材７との間に、接続部材７を弾力的に支持して相手コネクタの接続面へ押しつけるために、細長い弾力部材８が設けられている。なお、弾力部材８の詳細については、図３および図５を参照しながら後に説明する。

ハウジングは、接続部材７の固定部材１０を挟んで固定するために、第１のパーツ２と第２のパーツ３とを備えている。ハウジングの第１のパーツ２と第２のパーツ３には、第１のパーツ２を第２のパーツ３にはめ合わせるための相補的なスレッド（thread）が設けられている。

第１のパーツ２は、内側へ向かって傾斜が付けられた締め付け面１１を有する。第２のパーツ３は、締め付け面１１に対応するように、外側へ向かって傾斜が付けられた締め付け面１２を有する。

固定部材１０は、ハウジングの第１のパーツ２の締め付け面１１と、第２のパーツ３の締め付け面１２との間に挟み込まれる。締め付け面１１，１２は、電気コネクタ１の長軸に対して、約２５度の傾きを有する。締め付け力により、固定部材１０は、ハウジングの第１のパーツ２および第２のパーツ３に対して冷間溶接される。

ハウジングの第１のパーツ２には、ワイヤ等の導電体（図示せず）を電気コネクタ１へ例えば溶接などによって接続するための接続ピン１３（電気コンタクト）が設けられている。これにより、電流は、接続部材７の固定部材１０から、ハウジングの第１のパーツ２を通って、接続ピン１３まで流れることとなる。

ハウジングの第１のパーツ２と第２のパーツ３とは、例えば銅によって形成されている。内部空間は、ハウジングの第１のパーツ２を内包する第１の領域４と、ハウジングの第２のパーツ３を内包し開口部６に隣接する第２の領域５とを有する。接続部材７と支持部材１０とは、内部空間の第２の領域５内に配置されている。固定部材１０は、接続部材７において開口部６とは反対側の端部に配置されている。接続部材７のもう一方の端部は、ハウジングには固定されていない。

ここで、接続部材７について、図２および図４を参照しながら詳しく説明する。接続部材７は略管状であり、銅／ベリリウム合金で形成されている。接続部材７の軸は、シリンダ状の内部空間４，５の軸とほぼ一致する。接続部材７は、二つのリング１４，１５を備えている。リング１４，１５の間には、複数の平行な薄板１６が延設されている。薄板１６は、接続部材７の軸に向かってわずかに反ったアーチ形状をなしている。これにより、リング１４，１５のおおよそ中間付近にくびれが形成されている。接続部材７は、電気コネクタ１へ相手方コネクタが挿入されたときに、このくびれ部分において相手コネクタと接続するようになっている。また、リング１４の外側のエッジに、固定部材１０を形成する複数の固定タブ１７が取り付けられている。

固定タブ１７は、接続部材７の長軸に対して約２５度の傾きを持つように設けられている。図３および図５に示された支持部材８は、図２および図４に示された接続部材７とほぼ同じ構造を有しているが、接続部材７の材料よりもはるかに弾力性の高いステンレス鋼で形成されている。支持部材８の軸は、内部空間４，５の軸とほぼ一致する。支持部材８も、二つのリング１８，１９と、これらのリング間に設けられた弾力薄板２０とを備えている。

ただし、支持部材８には、固定部材１０を備えていない点において、接続部材７と異なっている。支持部材８が接続部材７の上に被せられたとき、支持部材８の内壁のほぼ全体が、接続部材７の外壁に重なり、接続部材７を支持する。電気コネクタ１へ挿入されたとき、支持部材８のリング１８，１９は、内部空間５の内壁に押し付けられる。

なお、上述の実施形態は、あくまでも本発明を実施するための具体例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。当業者であれば、上記に開示した実施形態に対して、発明の範囲内で種々の変更が可能である。

Claims (13)

1. 相手コネクタとの間で電気的接続を確立するための電気コネクタであって、
   当該電気コネクタへ導電体を取り付けるための電気コンタクトを有する第１のパーツと、少なくとも一端に相手コネクタを受け入れるための開口を有する略円筒状の内部空間を有する第２のパーツとを備えたハウジングと、
   前記内部空間に配置され、前記相手コネクタが前記内部空間に挿入された場合に当該相手コネクタと接続する導電性の接続部材と、
   前記内部空間の内壁と前記接続部材との間に配置され、前記接続部材を弾力的に支持する支持部材とを備え、
   前記接続部材が、前記ハウジングの第１のパーツと第２のパーツとの間に挟まれた固定部材を備え、
   前記ハウジングの前記第１のパーツおよび前記第２のパーツに、当該第１のパーツと第２のパーツとをはめ合わせることにより、これらのパーツ間に前記固定部材を挟んで固定する相補的なスレッドが設けられ、
   前記固定部材を挟む、前記ハウジングの前記第１のパーツの表面と前記第２のパーツの表面とが、前記スレッドの長手方向に対して角度をなす、電気コネクタ。
2. 前記スレッドの長軸が、前記接続部材の長軸に一致する、請求項１に記載の電気コネクタ。
3. 前記接続部材と前記支持部材とが別体として形成されている、請求項１または２に記載の電気コネクタ。
4. 前記固定部材が、前記ハウジングの前記第１のパーツと第２のパーツとの少なくとも一方に冷間溶接されている、請求項１〜３のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
5. 前記固定部材が、前記接続部材において前記内部空間の開口とは反対側に配置されている、請求項１〜４のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
6. 前記接続部材が、前記内部空間の長手方向に沿う複数の接続薄板を備えた、請求項１〜５のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
7. 前記接続薄板は、前記内部空間の中央に向かって、少なくとも部分的に折れ曲がっている、請求項６に記載の電気コネクタ。
8. 前記接続部材は、略管状に形成されている、請求項１〜７のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
9. 前記接続部材の前記固定部材が、複数の固定タブを備えた、請求項１〜８のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
10. 前記支持部材が、前記内部空間の長手方向に沿う複数の弾力薄板を備えた、請求項１〜８のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
11. 前記弾力薄板が、前記内部空間の中央に向かって、少なくとも部分的に折れ曲がっている、請求項１０に記載の電気コネクタ。
12. 前記支持部材が、略管状に形成されている、請求項１〜１１のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
13. 前記支持部材の外壁の一部が、前記内部空間の内壁に接触している、請求項１〜８のいずれか一項に記載の電気コネクタ。

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