JP5342584B2 - ラテラルフロー用テストストリップ - Google Patents
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Description
(a)判定までに要する時間が通常20分以下であり迅速な検査が可能である。
(b)通常のイムノアッセイで行われるB/F分離等の操作を要しないため、検体液を滴下するだけで測定できる。したがって検体数が多くても測定が容易である。
(c)特別な検出装置を必要とせず判定が容易なため、被検者が自身で検査することもできる。
また、食品検査においても、例えば食物アレルゲンの検査試薬等として広く利用されている。
本発明者らは、標識生体分子あるいは標的物質と標識生体分子とを含む複合体を、コンジュゲートパッド側からメンブレン側へと滞りなくスムーズに移動させることができれば、標的物質と標識生体分子とを含む複合体を、メンブレンに固定化された前記複合体を捕捉するための生体分子へより多く捕捉させることができ、結果としてより高感度な標的物質の検出が可能になると考えた。ここで、メンブレンに固定化された生体分子とは、例えば後述するテストラインやコントロールラインに固定化された生体分子を言う。
また、蛍光色素を含むシリカナノ粒子等の蛍光性ナノ粒子を用いた場合には、これがコンジュゲートパッドとメンブレンとの界面に集積して強い蛍光を発し、これによりバックグラウンドレベルが上昇して検出感度が低下しうるが、標識生体分子あるいは標的物質と標識生体分子とを含む複合体をコンジュゲートパッド側からメンブレン側へとスムーズに移動させることができれば、この問題も解消できると考えた。
また、本発明は、標識生体分子が溶出しやすく、しかもコンジュゲートパッドからメンブレンへの標識生体分子の移動をスムーズになしうるラテラルフロー用コンジュゲートパッドの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、この材質特性の相違が、コンジュゲートパッドとメンブレンの界面において液の流れ方を大きく変化させ、結果として、当該界面付近に標識生体分子や、標的物質と標識生体分子とを含む複合体の集積が生じやすくなると考えた。この考えの下に鋭意検討を行った結果、ガラス繊維と高分子繊維とからなる複合繊維材料をコンジュゲートパッドの材料として用いることで、テストストリップを構成するコンジュゲートパッドとメンブレンとの界面付近に標識生体分子の集積が生じにくくなることを見い出した。
また、本発明者らは、上記複合繊維材料にさらに親水処理を施したものを用いてコンジュゲートパッドを作製することで、コンジュゲートパッドに塗布した標識生体分子を、より効率良く溶出させることができることを見い出した。本発明はこれらの知見に基づき完成するに至ったものである。
<1>サンプルパッドと、
ガラス繊維と有機高分子繊維よりなる複合繊維材料に、標的物質と結合する標識された第1の生体分子が保持されたコンジュゲートパッドと、
前記コンジュゲートパッドに連結されており、前記の標識された第1の生体分子と前記標的物質とを含む複合体を捕捉するための第2の生体分子が固定化された判定部を有する、前記コンジュゲートパッドとは異なる材料から構成されるメンブレンと、
吸収パッドと
をこの順に連結してなるラテラルフロー用テストストリップであって、
前記複合繊維材料は、水面から垂直方向4cm高までの毛管力による水の吸い上げ時間が20〜60秒であり、
前記コンジュゲートパッドの、水面から垂直方向4cm高までの毛管力による水の吸い上げ時間が、前記メンブレンの、水面から垂直方向4cm高までの毛管力による水の吸い上げ時間よりも短く、その差が45〜150秒である、
ラテラルフロー用テストストリップ。
<2>前記複合繊維材料が下記(A)〜(E)を満たす、上記<1>に記載のラテラルフロー用テストストリップ:
(A)前記ガラス繊維の太さが0.5〜20μm、前記有機高分子繊維の太さが0.05〜2μmであり、
(B)前記複合繊維材料の空隙率が80〜91%であり、
(C)前記複合繊維材料中、前記ガラス繊維の存在密度が100〜210mg/cm 3 、前記有機高分子繊維の存在密度が1〜100mg/cm 3 であり、且つ、前記ガラス繊維と前記有機高分子繊維との存在比率(ガラス繊維/有機高分子繊維)が体積比で1〜200であり、
(D)前記有機高分子繊維が、酢酸セルロース繊維、ニトロセルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維及びナイロンからなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
(E)前記メンブレンの材料がニトロセルロースである。
<3>コンジュゲートパットの空間容積に対して5倍量の水をサンプルパッドに添加すると、20分経過後に、メンブレンの前記コンジュゲートパッド側の端から判定部の手前までに存在する標識された第1の生体分子の量が、前記コンジュゲートパッドに保持されていた標識された第1の生体分子の量の1質量%以下となる、上記<1>又は<2>に記載のラテラルフロー用テストストリップ。
<4>前記複合繊維材料が親水処理されたものであり、
コンジュゲートパットの空間容積に対して5倍量の水をサンプルパッドに添加すると、20分経過後に、前記コンジュゲートパッドに残存する標識された第1の生体分子の量が、前記コンジュゲートパッドに保持されていた標識された第1の生体分子の量の20質量%以下となる、上記<1>〜<3>のいずれかに記載のラテラルフロー用テストストリップ。
<5>親水処理が、BSA、スキムミルク、カゼイン又は合成高分子を用いたブロッキング処理である、上記<4>に記載のラテラルフロー用テストストリップ。
<6>前記第1の生体分子の標識が、蛍光物質を含有してなるシリカナノ粒子である、上記<1>〜<5>のいずれかに記載のラテラルフロー用テストストリップ。
<7>上記<1>〜<6>のいずれかに記載のラテラルフロー用テストストリップを含むイムノクロマトグラフィー装置。
<8>上記<1>〜<6>のいずれかに記載のラテラルフロー用テストストリップを用いたイムノクロマト方法。
また、本発明のラテラルフロー用テストストリップは、上記のようにコンジュゲートパッドとメンブレンとの界面付近に標識生体分子の集積が生じにくい結果、標識に由来する信号のバックグラウンドレベルが抑えられる。したがって、検体中の標的物質を高感度に検出することができる。この効果は、標識物質が蛍光色素を含むナノ粒子である場合に特に顕著となる。
さらに本発明の製造方法によれば、上記ラテラルフロー用テストストリップに用いられうるコンジュゲートパッドであって、標識生体分子が溶出しやすい特性を有するコンジュゲートパッドが製造できる。
検体は液体であればそのまま用いることもできるし、半固形又は固形物等の場合には、希釈や抽出等の処理を施した後に用いることもできる。
本発明において「ナノ粒子」とはナノスケールの粒子を意味する。ナノスケールの粒子とは、好ましくは粒径10〜500nmの粒子である。この粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)等の画像から無作為に選択した50個の標識粒子の合計の投影面積から複合粒子の占有面積を画像処理装置によって求め、この合計の占有面積を、選択した複合粒子の個数(50個)で割った値に相当する円の直径の平均値(平均円相当直径)として算出することができる。
さらに、前記複合繊維材料は、空隙率が80〜91%であることが好ましい。この空隙率は、複合繊維材料中に占める、ガラス繊維と有機高分子繊維の双方が存在しない空間の容積率(体積%)を意味し、平板上の複合繊維材料を水平に載置したときに、その上面(又は底面)において短辺が5mm、長辺が8mmになるように切断した複合繊維材料における値である。
ラテラルフロー法においては、コンジュゲートパッドに存在する標識生体分子は、標的物質を含む検体液により容易に溶出され、該検体液と共に移動しながら標的物質と衝突して結合する必要がある。したがって、複合繊維材料に標識生体分子があまり強固に結合しないように、標識生体分子を塗布する前に複合繊維材料を予め親水処理しておくことが好ましい。このような親水処理として、BSA(ウシ血清アルブミン)、スキムミルク、カゼイン又はホスホリルコリン基等を有する合成高分子によるブロッキング処理や、酸素プラズマ処理等が挙げられる。複合繊維材料をブロッキング処理する方法に特に制限はなく、通常のブロッキング方法を採用することができる。例えば、BSA(ウシ血清アルブミン)、スキムミルク又はカゼインを用いる場合には、これらを5〜20質量%濃度に調製した水溶液を調製し、これをシート状の複合繊維材料1cm2当たり30〜100μL塗布し、その後、室温下で減圧乾燥させ、又は40〜80℃の温度下で20〜60分間熱乾燥させることで複合繊維材料のブロッキングを行うことができる。上記のBSA、スキムミルク、カゼイン、合成高分子は、市販品を用いることができる。
第2の生体分子は、他の分子を介してメンブレンに固定化されていてもよい。
本発明に用いるメンブレンの、水面から垂直方向4cm高までの毛管力による水の吸い上げ時間は290秒以下であることが好ましく、50〜280秒であることがより好ましく、70〜270秒であることがさらに好ましく、80〜265秒であることが特に好ましい。
この構成のテストストリップにおいて、コンジュゲートパットの空間容積に対して5倍量の水をサンプルパッドに添加すると、10〜30℃で20分経過後に、メンブレンの前記コンジュゲートパッド側の端から判定部の手前までに存在する標識生体分子の量が、前記コンジュゲートパッドに保持されていた標識生体分子の量の1質量%以下となることが好ましく、0.01〜0.5質量%となることがより好ましく、0.01〜0.3質量%となることがさらに好ましい。上記「空間容積」とは、コンジュゲートパッド内の繊維や標識生体分子等の物質が存在しない空隙部分の容積を意味する。
5−(及び−6)−カルボキシローダミン6G・スクシンイミジルエステル(商品名、HiLyte Biosciences社製)3.0mgを1mLのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。ここに1.3μLのAPSを加え、室温(23℃)で1時間反応を行った。
得られた反応液600μLと、エタノール140mL、TEOS6.5mL、蒸留水20mL及び28質量%アンモニア水15mLを混合し、室温で24時間反応を行った。
反応液を18000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行い、上清を除去した。沈殿したシリカ粒子に蒸留水を4mL加え、粒子を分散させ、再度18000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行った。本洗浄操作をさらに2回繰り返し、シリカナノ粒子分散液に含まれる未反応のTEOSやアンモニア等を除去し、平均粒径260nmのシリカナノ粒子1.60gを得た。収率約92%。
参考例1で作製したローダミン6G含有シリカナノ粒子(平均粒径260nm)の分散液(濃度5mg/ml、分散媒:蒸留水)100μLに、蒸留水775μL、濃度10mg/mLのアルギン酸ナトリウム水溶液(重量平均分子量70000)100μL及び28質量%のアンモニア水溶液を25μL加え、室温(23℃)で1時間緩やかに混合した。得られたコロイドを12,000×gの重力加速度で30分遠心分離し、上清を除去した。ここに蒸留水を875μL加え、粒子を再分散させた。続いて、10mg/mLのアルギン酸ナトリウム水溶液を100μL加え撹拌子でよく撹拌した後、28質量%のアンモニア水溶液を25μL加え、1時間緩やかに混合した。このコロイドを12,000×gの重力加速度で30分遠心分離し、上清を除去後、蒸留水を1mL加え粒子を分散させた。同様にして更に2回遠心分離と蒸留水への分散を繰り返して粒子を洗浄し、蒸留水200μLに分散させ、ローダミン6G含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子(平均粒径260nm)のコロイドを得た(収量2.5mg/mL×200μL)。
前記ローダミン6G含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子のコロイドに、0.5Mの2−Morpholinoethanesulfonic acid、monohydrateバッファー(pH6.0)を100μL、蒸留水395μL、50mg/mLのNHS(N−Hydroxysuccinimide)水溶液230μL、及び19.2mg/mLのEDC(1−ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimide)水溶液75μLを順に加えて10分間混合した。
得られたコロイドを12,000×Gの重力加速度で10分遠心分離し、上清を除去した。ここに50mMKH2PO4(pH7.0)を370μLと抗hCG抗体(Anti−hCG clone codes/5008, Medix Biochemica社製)20μL(5.8mg/mL)を加え、室温で10分間緩やかに混合し、抗hCG抗体を前記シリカナノ粒子に共有結合させた。
これに界面活性剤を10μL加え軽く撹拌した。
混合液を12000×gで15分間遠心分離し、上清を取り除いた。ここに保存用バッファー(20mM Tris−HCl(pH 8.2)、0.05% PEG20,000、150mM NaCl、1%BSA、0.1%NaN3)を1mL加え、再度遠心分離し、上清を取り除いた。ここに蒸留水500μLと塗布バッファー(20mM Tris−HCl(pH8.2)、0.05%PEG(分子量20,000)、5%スクロース)を500μL加え、粒子を分散させ、蛍光性シリカナノ粒子標識抗hCG抗体コロイドを得た(0.5mg/mL×1mL)。
クロロホルム100mLに、酢酸セルロース500mg、ニトロセルロース200mg、ポリエステル(商品名:ユニチカポリエステル樹脂、SA−1206、ユニチカ社製)200mgを加え溶解した。この溶液をガラス基板上に置いた短辺8mm×長辺150mmの大きさのGlass Fiber Conjugate Pad(GFCP、MILLIPORE社製、繊維太さ10μm)に650μL均一に塗布し、室温で45分静置した。さらに50℃の恒温槽に入れ、30分静置し、コンジュゲートパッド用パッドを作製した。
このコンジュゲートパッド用パッドを短辺5mm×長辺60mmの短冊状に切り、5mmの辺の一端を下にし、下から4mmの部分が水に浸るように水に浸し、毛管力により垂直方向に水を吸い上げ、水面から4cmまで水を吸い上げるのにかかる時間を室温下(23℃)で測定した結果、36秒であった。
このコンジュゲートパッド用パッドに含まれる酢酸セルロース、ニトロセルロース及びポリエステルからなる有機高分子繊維の太さは0.6μmであり、空隙率は89.7%であった。また、このコンジュゲートパッド用パッドにおけるガラス繊維と有機高分子との存在比率(ガラス繊維/有機高分子繊維)は体積比で15.4であった。さらに、このコンジュゲートパッド用パッド中、ガラス繊維の存在密度は183mg/cm3であり、有機高分子繊維の存在密度は11.9mg/cm3であった。
参考例3で作製したコンジュゲートパッド用パッド(8×150mm)に、10%スキムミルク溶液800μLをピペットで塗布し、デシケーター内で室温下、一夜減圧乾燥を行った。続いて、参考例2で作製した蛍光性シリカナノ粒子標識抗hCG抗体コロイド240μLと塗布バッファー(20mM Tris−HCl(pH8.2)、0.05%PEG(分子量20,000)、5%スクロース)560μLの混合液(1mL)をピペットで均一に塗布し、デシケーター内で室温下、一夜減圧乾燥を行った。この乾燥後のコンジュゲートパッドを短辺5mm×長辺60mmの短冊状に切り、5mmの辺の一端を下にし、下から4mmの部分が水に浸るように水に浸し、毛管力により垂直方向に水を吸い上げ、水面から4cmまで水を吸い上げるのにかかる時間を室温下(23℃)で測定した結果、36秒であった。
抗体固定化メンブレン材料としてHi−Flow Plus120(MILLIPORE社製)を用いた。
まず始めに、本メンブレンを短辺5mm×長辺60mmの短冊状に切り、5mmの辺の一端を下にし、下から4mmの部分が水に浸るように水に浸し、垂直方向に水を吸い上げ、水面から4cmまで水を吸い上げるのにかかる時間を室温下(23℃)で測定した結果、124秒であった。
続いてコンジュゲートパッドを設置する側の端から約12mmの部分に、幅約1mmのコントロールラインとして、抗マウスIgG抗体(Anti Mouse IgG、Dako社製)を1mg/mL含有する溶液((50mMKH2PO4、pH7.0)シュガー・フリー)を0.75μL/cmの塗布量でライン状に塗布し、メンブレンを50℃で30分乾燥させた。
前記メンブレンをメンブレン洗浄/安定バッファー(組成:10mMKH2PO4(pH7.5)、1質量%スクロース、0.1%コール酸ナトリウム)に移し室温で30分以上静置した。メンブレンを引き上げ、ペーパータオル上に置いて室温で一夜乾燥させて、抗体固定化メンブレンを作製した。この乾燥後の抗体固定化メンブレンを短辺5mm×長辺60mmの短冊状に切り、5mmの辺の一端を下にし、下から4mmの部分が水に浸るように水に浸し、毛管力により垂直方向に水を吸い上げ、水面から4cmまで水を吸い上げるのにかかる時間を室温下(23℃)で測定した結果、126秒であった。
なお、各構成部材は、図1(a)及び図1(b)に示すように、各々その両端を隣接する部材と2mm程度重ね合わせて貼付した。
クロロホルム100mLに、酢酸セルロース50mg、ニトロセルロース20mg、ポリエステル(商品名:ユニチカポリエステル樹脂、SA−1206、ユニチカ社製)20mgを加え溶解した。この溶液をガラス基板上に置いた短辺8mm×長辺150mmの大きさのGlass Fiber Conjugate Pad(GFCP、MILLIPORE社製)に650μL均一に塗布し、室温で45分静置した。さらに50℃の恒温槽に入れ、30分静置し、コンジュゲートパッド用パッドを作製した。
本コンジュゲートパッド用パッドを短辺5mm×長辺60mmの短冊状に切り、5mmの辺の一端を下にし、下から4mmの部分が水に浸るように水に浸し、垂直方向に水を吸い上げ、水面から4cmまで水を吸い上げる時間を室温下(23℃)で測定した結果、11秒であった。
このコンジュゲートパッド用パッドを用いて、調製例1と同様の方法でコンジュゲートパッドを作製した。この乾燥後のコンジュゲートパッドを短辺5mm×長辺60mmの短冊状に切り、5mmの辺の一端を下にし、下から4mmの部分が水に浸るように水に浸し、毛管力により垂直方向に水を吸い上げ、水面から4cmまで水を吸い上げるのにかかる時間を室温下(23℃)で測定した結果、18秒であった。
このコンジュゲートパッド用パッドに含まれる酢酸セルロース、ニトロセルロース及びポリエステルからなる有機高分子繊維の太さは0.4μmであり、空隙率は90.7%であった。また、このコンジュゲートパッド用パッドにおけるガラス繊維と有機高分子との存在比率(ガラス繊維/有機高分子繊維)は体積比で154であった。さらに、このコンジュゲートパッド用パッド中、ガラス繊維の存在密度は183mg/cm3であり、有機高分子繊維の存在密度は1.2mg/cm3であった。
このコンジュゲートパッドを用いてテストストリップを作製した。本作製において抗体固定化メンブレン材料としてHi−Flow Plus240(MILLIPORE社製)を用いる以外は、調製例2と同様の方法で行った。尚、本メンブレンを短辺5mm×長辺60mmの短冊状に切り、5mmの辺の一端を下にし、下から4mmの部分が水に浸るように水に浸し、垂直方向に水を吸い上げ、水面から4cmまで水を吸い上げるのにかかる時間を室温下(23℃)で測定した結果、244秒であった。
クロロホルム100mLに、酢酸セルロース5g、ニトロセルロース2g、ポリエステル(商品名:ユニチカポリエステル樹脂、SA−1206、ユニチカ社製)2gを加え溶解した。この溶液をガラス基板上に置いた8×150mmの大きさのGlass Fiber Conjugate Pad(GFCP、MILLIPORE社製)に650μL均一に塗布し、室温で45分静置した。さらに50℃の恒温槽に入れ、30分静置し、コンジュゲートパッド用パッドを作製した。
このコンジュゲートパッド用パッドを短辺5mm×長辺60mmの短冊状に切り、5mmの辺の一端を下にし、下から4mmの部分が水に浸るように水に浸し、垂直方向に水を吸い上げ、水面から4cmまで水を吸い上げる時間を室温下(23℃)で測定した結果、81秒であった。
このコンジュゲートパッド用パッドを用いて、調製例1と同様の方法でコンジュゲートパッドを作製した。この乾燥後のコンジュゲートパッドを短辺5mm×長辺60mmの短冊状に切り、5mmの辺の一端を下にし、下から4mmの部分が水に浸るように水に浸し、毛管力により垂直方向に水を吸い上げ、水面から4cmまで水を吸い上げるのにかかる時間を室温下(23℃)で測定した結果、83秒であった。
このコンジュゲートパッド用パッドに含まれる酢酸セルロース、ニトロセルロース及びポリエステルからなる有機高分子繊維の太さは1.1μmであり、空隙率は79.0%であった。また、このコンジュゲートパッド用パッドにおけるガラス繊維と有機高分子との存在比率(ガラス繊維/有機高分子繊維)は体積比で1.54であった。さらに、このコンジュゲートパッド用パッド中、ガラス繊維の存在密度は183mg/cm3であり、有機高分子繊維の存在密度は120mg/cm3であった。
このコンジュゲートパッドを用いて調製例2と同様の方法でテストストリップを作製した。
Glass Fiber Conjugate Pad(GFCP、MILLIPORE社製)を8×150mmの大きさに切断し、従来と同様のコンジュゲートパッド用パッドを作製した。
このコンジュゲートパッド用パッドを短辺5mm×長辺60mmの短冊状に切り、5mmの辺の一端を下にし、下から4mmの部分が水に浸るように水に浸し、毛管力により垂直方向に水を吸い上げたところ、水面から4cmまで水を吸い上げることはできなかった。
このコンジュゲートパッド用パッドを用いて、調製例1と同様の方法でコンジュゲートパッドを作製した。この乾燥後のコンジュゲートパッドを短辺5mm×長辺60mmの短冊状に切り、5mmの辺の一端を下にし、下から4mmの部分が水に浸るように水に浸し、毛管力により垂直方向に水を吸い上げたところ、水面から4cmまで水を吸い上げることはできなかった。
このコンジュゲートパッドを用いて調製例2と同様の方法でテストストリップを作製した。
調製例2で作製したテストストリップと、上記比較例1及び2並びに上記従来例で作製したテストストリップを用いて、hCGの検出限界評価を実施した。下記表1には、これら4種類のテストストリップに使用したコンジュゲートパッド用パッド(複合繊維材料又はガラス繊維)の水面から垂直方向4cm高までの毛管力による水の吸い上げ時間、コンジュゲートパッドの水面から垂直方向4cm高までの毛管力による水の吸い上げ時間、抗体固定化メンブレンの水面から垂直方向4cm高までの毛管力による水の吸い上げ時間、並びに当該4種類のテストストリップに使用したコンジュゲートパッドと抗体固定化メンブレンとの間の水面から垂直方向4cm高までの毛管力による水の吸い上げ時間の差を示した。これらは(23℃)において測定した値である。
結果を下記表2に示す。表中「+」はテストラインの蛍光が確認できたもの、「−」はテストラインの蛍光が確認できなかったものである。表1に示すように、調製例2で作製したテストストリップ(本発明のテストストリップ)では、hCG0.01mIUまでテストラインの蛍光が確認できた。一方、比較例1のテストストリップでは、テストラインの蛍光が確認できたのは0.1mIU、比較例2のテストストリップでは、0.04mIU、従来例のテストストリップでは0.2mIUであった。すなわち、本発明のテストストリップを用いることで、従来のテストストリップを用いた場合に比べて格段に高感度化が可能であることがわかった。
調製例2、比較例1及び比較例2で作製したテストストリップを用い、水をサンプルとして用いて試験例1と同様に試験を行った。試験開始後20分経過したのち、テストストリップからサンプルパッドとコンジュゲートパッドを剥がし、メンブレンを露出させた。続いてテストストリップのメンブレン部分を、レーザダイオードを励起光源として照射しフォトダイオードで蛍光を受光するスキャナを使用して、コンジュゲートパッドが設置されていた側から吸収パッド側に前記スキャナを移動させながら測定を行い、メンブレンの蛍光強度分布を測定した。得られた蛍光強度分布からメンブレンの蛍光性シリカナノ粒子の集積量を評価した。
得られた蛍光強度分布を図3に示す。
一方、調製例2で作製したテストストリップでは、コンジュゲートパッドとメンブレンの界面部分に上記のような蛍光性シリカナノ粒子標識抗hCG抗体の集積は認められなかった(図3中a)。
また、元々コンジュゲートパッドに保持されていた蛍光性シリカナノ粒子標識抗hCG抗体の量をコンジュゲートパッドに滴下した蛍光性シリカナノ粒子標識抗hCG抗体のコロイドの蛍光強度を蛍光分光光度計(製品名:FP−6500、日本分光社製)で測定することで求め、元々コンジュゲートパッドに保持されていた蛍光性シリカナノ粒子標識抗hCG抗体の量に対するメンブレンのコンジュゲートパッド側の端(0mm)からテストライン部分(8mm)の手前までに集積する蛍光性シリカナノ粒子標識抗hCG抗体の集積量の割合を求めた。
2 サンプルパッド
3 コンジュゲートパッド
4 抗体固定化メンブレン
41 判定部(テストライン)
42 コントロールライン
5 吸収パッド
6 バッキングシート
Claims (8)
- サンプルパッドと、
ガラス繊維と有機高分子繊維よりなる複合繊維材料に、標的物質と結合する標識された第1の生体分子が保持されたコンジュゲートパッドと、
前記コンジュゲートパッドに連結されており、前記の標識された第1の生体分子と前記標的物質とを含む複合体を捕捉するための第2の生体分子が固定化された判定部を有する、前記コンジュゲートパッドとは異なる材料から構成されるメンブレンと、
吸収パッドと
をこの順に連結してなるラテラルフロー用テストストリップであって、
前記複合繊維材料は、水面から垂直方向4cm高までの毛管力による水の吸い上げ時間が20〜60秒であり、
前記コンジュゲートパッドの、水面から垂直方向4cm高までの毛管力による水の吸い上げ時間が、前記メンブレンの、水面から垂直方向4cm高までの毛管力による水の吸い上げ時間よりも短く、その差が45〜150秒である、
ラテラルフロー用テストストリップ。 - 前記複合繊維材料が下記(A)〜(E)を満たす、請求項1に記載のラテラルフロー用テストストリップ:
(A)前記ガラス繊維の太さが0.5〜20μm、前記有機高分子繊維の太さが0.05〜2μmであり、
(B)前記複合繊維材料の空隙率が80〜91%であり、
(C)前記複合繊維材料中、前記ガラス繊維の存在密度が100〜210mg/cm 3 、前記有機高分子繊維の存在密度が1〜100mg/cm 3 であり、且つ、前記ガラス繊維と前記有機高分子繊維との存在比率(ガラス繊維/有機高分子繊維)が体積比で1〜200であり、
(D)前記有機高分子繊維が、酢酸セルロース繊維、ニトロセルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維及びナイロンからなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
(E)前記メンブレンの材料がニトロセルロースである。 - コンジュゲートパットの空間容積に対して5倍量の水をサンプルパッドに添加すると、20分経過後に、メンブレンの前記コンジュゲートパッド側の端から判定部の手前までに存在する標識された第1の生体分子の量が、前記コンジュゲートパッドに保持されていた標識された第1の生体分子の量の1質量%以下となる、請求項1又は2に記載のラテラルフロー用テストストリップ。
- 前記複合繊維材料が親水処理されたものであり、
コンジュゲートパットの空間容積に対して5倍量の水をサンプルパッドに添加すると、20分経過後に、前記コンジュゲートパッドに残存する標識された第1の生体分子の量が、前記コンジュゲートパッドに保持されていた標識された第1の生体分子の量の20質量%以下となる、請求項1〜3のいずれかに記載のラテラルフロー用テストストリップ。 - 親水処理が、BSA、スキムミルク、カゼイン又は合成高分子を用いたブロッキング処理である、請求項4に記載のラテラルフロー用テストストリップ。
- 前記第1の生体分子の標識が、蛍光物質を含有してなるシリカナノ粒子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のラテラルフロー用テストストリップ。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のラテラルフロー用テストストリップを含むイムノクロマトグラフィー装置。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のラテラルフロー用テストストリップを用いたイムノクロマト方法。
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