JP2013120120A - ラテラルフロー型クロマト法用テストストリップ、およびそれを用いたアナライトの検出または定量方法 - Google Patents

ラテラルフロー型クロマト法用テストストリップ、およびそれを用いたアナライトの検出または定量方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が生じる関係を有するような蛍光体の組み合わせを用い、検出部において、FRETによって生じた蛍光発光を測定してアナライトを検出・定量できるテストストリップ、およびそれを用いたアナライトの検出または定量方法を提供すること。
【解決手段】本発明のラテラルフロー型クロマト法用テストストリップは、メンブレンを備え、前記メンブレンに、試料に含まれるアナライトを検出するための検出部が形成されているラテラルフロー型クロマト法用テストストリップであって、前記検出部に、第1蛍光体を有しかつ前記アナライトと特異的に結合する第1リガンドにおける前記第1蛍光体との蛍光共鳴エネルギー転移によって蛍光を生じる第2蛍光体と、前記アナライトと特異的に結合する第2リガンドとが固定されていることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、迅速、簡便かつ高感度なアナライトの検出または定量が可能となるラテラルフロー型クロマト法用テストストリップ、およびそれを用いたアナライトの検出または定量方法に関する。
血液、尿、唾液などの生体試料や食品の抽出試料などのサンプル(試料)中に含まれる被検出物質(アナライト)を検出または定量する際に、イムノクロマト法用テストストリップ等のラテラルフロー型クロマト法用テストストリップ(以下、単に「テストストリップ」ともいう)を用いると、検出および定量が、迅速かつ、特に大型の設備を必要とすることなく簡便にできる。そのため、テストストリップは、各種臨床検査や検定試験において汎用されている。
テストストリップは、基本的な構成として、メンブレンと、当該メンブレン上に、アナライトを含む試料が流れる方向(展開方向)に向かって、試料添加部(サンプルパッド)、反応部(コンジュゲートパッド)、検出部(テストライン)を、さらに必要に応じて、コントロール部(コントロールライン)や吸収パッドを備えている。
まず、試料添加部に、アナライトを含む試料を添加すると、添加された試料が、メンブレンにおける毛細管現象により、メンブレン上を試料添加部から検出部に向かって移動(展開)する。反応部では、アナライトと特異的に結合する標識リガンド(標識物質を有するリガンド)が含まれているために、アナライトは、抗原抗体反応等の特異的な結合反応を介して、標識リガンドと結合し、アナライトおよび標識リガンドを含む複合体が形成される。なお、標識物質としては、酵素を含む蛋白質、金コロイドなどの金属コロイド、着色ラテックス粒子等が知られている。
次いで、形成された複合体は、検出部に移動する。検出部では、前記複合体中のアナライトと特異的に結合するリガンド(固定化リガンド)が、メンブレン上に固定されている。そのため、前記複合体が検出部に移動すると、複合体中のアナライトと固定化リガンドとの結合反応を介して、複合体は検出部にて捕捉される。
次いで、検出部において、捕捉された複合体中の標識物質による着色などのシグナルの有無や強弱を測定して、試料中のアナライトを検出することができる。
また、試料によっては、アナライトの含有量が極微量である場合もあるため、テストストリップには、感度(S/B比)の向上、すなわち、バックグラウンドノイズ(検出部を除く他の部からのシグナル)を低減するとともに、検出部におけるシグナルの向上が求められる。
バックグラウンドノイズを低減させる方法としては、検出部(固定化抗体部、抗原捕捉部)において、抗原と標識化抗体または標識化結合物質(金コロイド等で標識化されたリガンド)を含む複合体を捕捉した後、該複合体中の標識物質を検出するに先だって、ストリップ上の複合体を形成していない標識化抗体または標識化結合物質(未結合リガンド)を展開液で洗浄して、未結合リガンドを除去することが提案されている(特許文献1〜3)。
また、特許文献4にも、アナライトと、該アナライトに対する第一の抗体で修飾した金属を含む標識物質とこれらの複合体を形成させた状態で不溶性担体(メンブレン)上に展開して、不溶性担体上に固定された第二の抗体で、上記複合体を捕捉した後、アナライトの検出に先だって、界面活性剤を所定量含む溶液を用いて非特異的に吸着した標識物質(未結合リガンド)を洗浄することが開示されている。
しかしながら、特許文献1〜4に開示されたように、検出部にて上記複合体を捕捉した後に、未結合リガンドを除去するために洗浄工程を実施することは、テストストリップによるアナライト検出・定量の迅速性や簡便性の低下を招くことになる。また、特許文献4に開示された方法では、洗浄工程の際に、界面活性剤を含む溶液を用いているために、未結合リガンドを有効に除去できるものの、メンブレン上にて捕捉された複合体から標識化抗体が乖離してしまうことがある。すなわち、シグナルの低下に至り、結果として感度の低下も招来する場合もある。
このように、特許文献1〜4にて例示されるように、従来のテストストリップでは、感度を向上させるためには、洗浄工程を必須としているものであるために、アナライトの検出において、迅速性・簡便性と高感度性とを両立することができなかった。
特開2008−116235号公報 特開2009−216695号公報 特開2009−216696号公報 特開2009−139256号公報
本発明は、従来のテストストリップにおける上記事情を鑑みて為されたものであって、
アナライトの検出の前に、洗浄工程を行わなくても、高い感度(S/B比)を発揮でき、迅速性・簡便性と高感度性とを両立できるラテラルフロー型クロマト法用テストストリップおよびそれを用いた、迅速・簡便かつ高感度なアナライトの検出または定量方法を提供することを目的とする。
本発明は、具体的には、以下のとおりである。
本発明に係るラテラルフロー型クロマト法用テストストリップは、メンブレンを備え、前記メンブレンに、試料に含まれるアナライトを検出するための検出部が形成されているラテラルフロー型クロマト法用テストストリップであって、前記検出部に、第2蛍光体と、前記アナライトと特異的に結合する第2リガンドとが固定されていることを特徴とする。
本発明に係るラテラルフロー型クロマト法用テストストリップにおいて、前記メンブレンに、前記試料が流れる方向において、前記検出部よりも上流側に、第1蛍光体を有しかつ前記アナライトと特異的に結合する第1リガンドを含む反応部が形成されてなり、前記第2蛍光体が、第1蛍光体を有しかつ前記アナライトと特異的に結合する第1リガンドにおける前記第1蛍光体との蛍光共鳴エネルギー転移によって蛍光を生じる蛍光体であることが好ましい。
本発明に係るラテラルフロー型クロマト法用テストストリップにおいて、前記メンブレンに、前記試料が流れる方向において、前記検出部よりも上流側に、前記アナライトを含む試料を添加するための試料添加部が形成されてなることが好ましい。
本発明に係るラテラルフロー型クロマト法用テストストリップにおいて、前記メンブレン上に、第1リガンドと特異的に結合する第3リガンドおよび前記第2蛍光体と同一である第3蛍光体とが固定されてなるコントロール部が形成されていることが好ましい。
本発明に係るアナライトの検出または定量方法は、メンブレンを備え、前記メンブレンに、試料に含まれるアナライトを検出するための検出部が形成され、前記検出部に、第1蛍光体を有しかつ前記アナライトと特異的に結合する第1リガンドにおける前記第1蛍光体との蛍光共鳴エネルギー転移によって蛍光を生じる第2蛍光体と、前記アナライトと特異的に結合する第2リガンドとが固定されているラテラルフロー型クロマト法用テストストリップを用いるアナライトの検出または定量方法であって、
前記試料に含まれる前記アナライトを前記第1リガンドに接触させる工程(i)と、
前記検出部にて、前記工程(1)において形成された、前記アナライトと前記第1リガンドとを含む複合体(A)を、前記第2リガンドに接触させる工程(ii)と、
前記検出部に、前記第2蛍光体の励起光を照射し、励起された前記第2蛍光体から前記第1蛍光体へのエネルギー転移により生じた蛍光発光(1)の蛍光強度を測定する工程(iii)と、を含むことを特徴とする。
本発明に係るアナライトの検出または定量方法において、前記ラテラルフロー型クロマト法用テストストリップが、前記メンブレンに、前記試料が流れる方向において、前記検出部よりも上流側に、前記第1リガンドを含む反応部が形成されてなり、前記工程(i)が、前記反応部にて、前記試料に含まれる前記アナライトを前記第1リガンドに接触させる工程であることが好ましい。
本発明に係るアナライトの検出または定量方法において、前記ラテラルフロー型クロマト法用テストストリップが、前記メンブレンに、前記試料が流れる方向において、前記検出部よりも上流側に、前記アナライトを含む試料を添加するための試料添加部が形成されてなり、
前記工程(i)が、前記試料に含まれる前記アナライトを前記第1リガンドに接触させた後、試料添加部に添加する工程であることが好ましい。
本発明に係るアナライトの検出または定量方法もおいて、前記ラテラルフロー型クロマト法用テストストリップが、前記メンブレンに、前記試料が流れる方向において、前記反応部よりも上流側に、前記アナライトを含む試料を添加するための試料添加部が形成されてなり、
前記工程(i)が、前記試料を前記試料添加部に添加し、前記反応部にて、前記試料に含まれる前記アナライトを前記第1リガンドに接触させる工程であることが好ましい。
本発明に係るアナライトの検出または定量方法において、前記ラテラルフロー型クロマト法用テストストリップが、前記メンブレンに、前記試料が流れる方向において、前記検出部よりも下流側に、前記第1リガンドと特異的に結合する第3リガンドおよび前記第2蛍光体と同一である第3蛍光体とが固定されてなるコントロール部が形成されてなり、
前記工程(ii)と前記工程(iii)との間に、前記コントロール部にて前記検出部を通過した第1リガンドを、前記第3リガンドと接触させる工程、および、
前記コントロール部に、前記第2蛍光体の励起光を照射し、励起された前記第3蛍光体から前記第1蛍光体へのエネルギー転移により生じた蛍光発光(2)の蛍光強度を測定する工程を含むことが好ましい。
本発明のラテラルフロー型クロマト法用テストストリップによれば、検出部に固定された第2蛍光体を用いることにより、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用しそれによって生じた蛍光発光を測定するアナライトの検出・定量への適用が可能となり、アナライトの検出の前に、洗浄工程を行わなくても、高い感度(S/B比)を発揮でき、迅速性・簡便性と高感度性とを両立することができる。
また、本発明のラテラルフロー型クロマト法用テストストリップを用いたアナライトの検出または定量方法によれば、FRETによって生じた蛍光発光を測定する工程を少なくとも含むことにより、アナライトの検出の前に、洗浄工程を行わなくても、高い感度(S/B比)を発揮でき、迅速性・簡便性と高感度性とを両立したアナライトの検出または定量を行うことができる。
特に、本発明のアナライトの検出または定量方法によれば、検出部に固定された第2蛍光体に対してその励起光を照射し、第2蛍光体から第1蛍光体へのエネルギー移動により生じた蛍光発光の蛍光強度を測定するので、より高い感度(S/B比)を発揮できるアナライトの検出または定量を実現できる。
図1(A)、(B)、および(C)は、本発明のラテラルフロー型クロマト法用テストストリップの一態様を説明するための概略図である。図1(C´)は、本発明の工程(iii)の代わりに使用することができる工程(iii´)を説明するための概略図である。 図2は、実施例1および比較例1の各テストストリップにおける、アナライト(抗原)濃度と感度(S/B比)との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係るラテラルフロー型クロマト法用テストストリップ(テストストリップ)およびそれを用いたアナライトの検出または定量方法について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
[ラテラルフロー型クロマト法用テストストリップ]
本発明に係るテストストリップは、メンブレンを備え、前記メンブレンに、試料に含まれるアナライトを検出するための検出部が形成されているラテラルフロー型クロマト法用テストストリップであって、前記検出部に、第2蛍光体と、前記アナライトと特異的に結合する第2リガンドとが固定されている。
ここで、テストストリップは、前記のような検出部を備える限り特に限定されるものではないが、必要に応じて、後述するような任意の構成・部材を有していてもよい。
たとえば、図1(A)に示されるように、テストストリップ10は、メンブレン12と、当該メンブレン12に、アナライトを含む試料が流れる方向(展開方向:矢印A)において、試料添加部14、反応部20、検出部26、コントロール部32、さらに吸水パッド34等が形成されているものであってもよい。
長尺状のテストストリップにアナライトを含む試料を添加すると、かかる試料の添加位置、たとえば、試料添加部が形成されている場合は、試料添加部の位置から、試料が展開する。試料をメンブレンの端部に添加した場合、この添加位置から、もう一方の端部に向かって、主に一方方向に展開する。また、テストストリップが長尺状のみならず、L字型などの任意の形状を採り得るが、この場合、試料は、添加位置からテストストリップの形状に沿って展開する。
また、上記試料の添加位置が端部ではなく、端部と端部との間にある場合、添加位置から両方向に展開する。
以下、本発明のテストストリップについて、必須および任意の構成要件ごとに説明する。
(1)試料およびアナライト
テストストリップの試料添加部に提供される試料としては、アナライトとして、蛋白質、糖類、核酸、各種生理活性物質を含むものである限り特に限定されない。たとえば、目的のアナライトを含む生体試料(すなわち、全血、血清、血漿、尿、唾液、喀痰、鼻腔又は咽頭拭い液、髄液、羊水、乳頭分泌液、涙、汗、皮膚からの浸出液、組織や細胞および便からの抽出液等)や食品の抽出液等が挙げられる。
これらの試料あるいはこれら試料に含まれるアナライトは、必要に応じて、第1リガンドおよび第2リガンドとアナライトとの特異的な結合反応が生じやすくするために、後述するような工程(i)に先だって、前処理をしてもよい。このような前処理としては、酸、塩基、界面活性剤等の各種化学薬品等を用いた化学的処理や、加熱・撹拌・超音波等を用いた物理的処理が挙げられ、またその両方を用いても良い。特に、アナライトが、インフルエンザウイルスNP抗原等の、通常は表面に露出していない物質である場合、界面活性剤等による処理を行うのが好ましい。この目的に使用される界面活性剤として、特異的な結合反応、たとえば、抗原抗体反応等のリガンドとアナライトとの結合反応性を考慮して、非イオン性界面活性剤が用いられてもよい。
また、前記試料は、通常の免疫学的分析法で用いられる溶媒(水、生理食塩水、または緩衝液等)や水混和有機溶媒で希釈されていてもよい。
前記アナライトとしては、腫瘍マーカー、シグナル伝達物質、ホルモン等のタンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等を含む)、核酸(一本鎖または二本鎖の、DNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等を含む)または核酸を有する物質、糖(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等を含む)または糖鎖を有する物質、脂質などその他の分子が挙げられ、後述する第1リガンドおよび第2リガンドに特異的に結合するものである限り特に限定されないが、たとえば、癌胎児性抗原(CEA)、HER2タンパク、前立腺特異抗原(PSA)、CA19−9、α−フェトプロテイン(AFP)、免疫抑制酸性タンパク(IPA)、CA15−3、CA125、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、便潜血、トロポニンI、トロポニンT、CK−MB、CRP、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、梅毒抗体、インフルエンザウイルス、ヒトヘモグロビン、クラミジア抗原、A群β溶連菌抗原、HBs抗体、HBs抗原、ロタウイルス、アデノウイルス、アルブミン、糖化アルブミン等が挙げられる。これらの中でも非イオン性界面活性剤により可溶化される抗原が好ましく、ウイルス核タンパク質のように自己集合体を形成する抗原がより好ましい。
(2)メンブレン
テストストリップに使用されるメンブレンは、一般的なテストストリップに使用されるメンブレンと同様に、たとえば、毛管現象を示し、試料を添加すると同時に、試料が展開するような微細多孔性物質からなる不活性物質(アナライト、各種リガンド、各種蛍光体などと反応しない物質)で形成されているものである。具体的なメンブレンとしては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、ニトロセルロース又は酢酸セルロース等のセルロース誘導体等で構成される繊維状又は不織繊維状マトリクス、膜、濾紙、ガラス繊維濾紙、布、綿等が挙げられる。中でも、好ましくはセルロース誘導体やナイロンで構成される膜、濾紙、ガラス繊維濾紙等が用いられ、より好ましくはニトロセルロース膜、混合ニトロセルロースエステル(ニトロセルロースと酢酸セルロースの混合物)膜、ナイロン膜、濾紙が用いられる。
メンブレンの形状および大きさは特に制限されるものではなく、実際の操作の点および後述する蛍光強度の測定の際において適切であればよい。
操作をより簡便にするためには、メンブレンが、プラスチック製等の支持体で支持されていることが好ましい。この支持体の性状は、特に限定されるものではないが、後述するように、蛍光強度を測定する際に、測定する蛍光強度に影響を与え難いものであることが好ましい。このような好ましい支持体としては、蛍光体によってもたらされる蛍光波長に干渉しないもの(蛍光波長と同じ波長領域ではないもの)であることが好ましく、励起波長によって自家蛍光を生じないものであることがさらに好ましい。たとえば、該支持体は、各種蛍光体によりもたらされる蛍光と同一色でないことが好ましく、たとえば無色透明又は黒色であることが好ましい。
(3)試料添加部
テストストリップは、試料が流れる方向において、検出部よりも上流側に、アナライトを含む試料を添加するための試料添加部を有していてもよい。
試料添加部の下流側で、かつ検出部よりも上流側に、後述するような反応部が形成されていない場合、試料に含まれるアナライトを第1リガンドに接触させた後、試料添加部に添加することが好ましい。ここで、アナライトを第1リガンドに接触した際に、アナライトと第1リガンドとを含む複合体(A)が形成される。そのため、試料添加部には、試料に含まれるアナライトは、複合体(A)として添加される。
一方で、テストストリップは、試料が流れる方向において、検出部よりも上流側に、後述する反応部を有し、当該反応部よりも上流側に、アナライトを含む試料を添加するための試料添加部を有するものであってもよい。このように、試料添加部の下流側で、かつ検出部よりも上流側に、反応部が形成されている場合、試料を試料添加部に添加する前に試料に含まれるアナライトを第1リガンドに接触させることなく試料添加部に添加し、試料が順次反応部および検出部に至ると、それぞれ複合体(A)および複合体(B)を形成でき、簡便にアナライトを検出および定量することができる。
なお、試料添加部は、テストストリップの長尺方向における端部に形成される必要はなく、端部と端部との間に形成されていてもよい。たとえば、反応部がテストストリップに形成されていない場合、試料添加部は、テストストリップにおいて、検出部とコントロール部との間に形成されていてもよい。この態様では、アナライトを含む試料を試料添加部に添加すると、試料添加部を始点として、試料の液量のうち約半分は検出部へ向かって流れる一方、残りの約半分はコントロール部へ向かって流れる。
また、反応部がテストストリップに形成されている場合、試料添加部は、反応部とコントロール部との間に形成されていてもよい。この態様では、アナライトを含む試料を試料添加部に添加すると、試料添加部を始点として、試料の液量のうち約半分は反応部へ向かって流れ、反応部を過ぎた後、検出部に至る一方、残りの約半分はコントロール部へ向かって流れる。
なお、試料添加部とは、添加されたアナライトを含む試料を受け入れる部位であり、メンブレンに直接形成されているものでもよく、あるいは、セルロース濾紙、ガラス繊維、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、および綿布などの材料で構成された試料添加パッドをメンブレンの一部に接触配置させることにより試料添加部がメンブレンに形成されてなるものであってもよい。試料添加パッドを有する試料添加部は、試料中の不溶物粒子等を濾過する機能を発揮することができる点で好ましい。また、試料中のアナライトが試料添加部の材質に非特異的に吸着して、分析の精度を低下させることを防止するという観点からは、試料添加パッドを構成する材料は、予め非特異的吸着防止処理されていることが好ましい。
(4)検出部
テストストリップに形成された検出部は、第2蛍光体と、アナライトと特異的に結合する第2リガンドとが固定されている部位である。検出部において、FRETによって生じた蛍光発光を測定することで、アナライトを検出・定量することができるという観点からは、前記第2蛍光体は、第1蛍光体を有しかつアナライトと特異的に結合する第1リガンドにおける第1蛍光体との蛍光共鳴エネルギー転移によって蛍光を生じる蛍光体であることが好ましい。
検出部は、試料に含まれるアナライトと第1蛍光体を有する第1リガンドとを含む複合体(A)が、実質的に第2リガンドに確実に接触するような構成である限り特に限定されない。検出部としては、メンブレンの長さ方向(試料が流れる方向)における一領域に形成され、その一領域におけるメンブレンの幅方向及び厚み方向の全体にわたって、第2リガンドおよび第2蛍光体が固定されてなるものが好ましい。
なお、本明細書における、第2リガンドまたは第2蛍光体が「固定された」とは、テストストリップに試料を提供した場合においても、第2リガンドまたは第2蛍光体が、検出部から移動することないように、メンブレン上に、直接的にまたは間接的に、物理的または化学的な結合や吸着等によって、不動化している状態を指す。
また、上記第2蛍光体は、第2リガンドに直接結合していてもよいし、あるいは、第1リガンド、第2リガンドおよびアナライトを含む複合体(後述する複合体(B))が形成された場合に、該複合体(B)中の第1蛍光体と第2蛍光体とがFRETを生じる程度の距離で近接する限りにおいて、メンブレンまたは複合体(A)が通過しないような部材、例えばメンブレンを支持する支持体やその他の部材であってその部材上の検出部に対応する位置に固定されてもよい。 なお、第1蛍光体と第2蛍光体とがFRETを生じる程度の距離は、後述するような蛍光体の組み合わせにも依存するが、典型的には、50nm未満、好ましくは5nm未満である。たとえば、検出部を形成するための塗布または含浸に用いられる第2蛍光体を含む溶液および第2リガンドを含む溶液の濃度を適切に調製することにより、上記のような距離の関係を達成することができる。
(5)反応部
テストストリップには、メンブレンに、試料が流れる方向において、検出部よりも上流側に、第1蛍光体を有しかつ前記アナライトと特異的に結合する第1リガンドを含む反応部が形成されてなり、前記第2蛍光体が、第1蛍光体を有しかつ前記アナライトと特異的に結合する第1リガンドにおける前記第1蛍光体との蛍光共鳴エネルギー転移によって蛍光を生じる蛍光体であることが好ましい。更に、前記反応部よりも上流側に試料添加部が形成されていてもよい。
このように、反応部が形成されていると、アナライトを含む試料を、反応部にまたは試料添加部に提供すると、反応部にて、試料に含まれるアナライトを第1リガンドに接触させることができる。すなわち、試料に含まれるアナライトを第1リガンドと接触した後にテストストリップに提供するような操作が不要になり、試料を、単に反応部にまたは試料添加部に提供することで、アナライトと第1リガンドとを含む複合体(A)を簡便に形成させることができる。そして、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が生じる関係となる第1蛍光体と第2蛍光体の組み合わせを用い、検出部において、FRETによって生じた蛍光発光を測定することで、アナライトを検出・定量することができる。この場合、検出部以外に残留する第1蛍光体によってFRETが生じないため、その第1蛍光体を除去する洗浄工程を行わなくても、バックグラウンドノイズ(検出部を除く他の部からのシグナル)を低減して、高い感度(S/B比)を発揮できるとともに、迅速性・簡便性と高感度性とを両立できる。
反応部は、第1蛍光体を有しアナライトと特異的に結合する第1リガンドを含む限り特に限定されないが、メンブレン上に直接、第1リガンドが塗布されてなるものであってもよいし、あるいはセルロース濾紙、グラスファイバー、および不織布等からなるパッドに第1リガンドを含浸し、第1リガンドを含浸したパッドを、メンブレン上に固定してなるものであってもよい。何れも、反応部にはアナライトを含む溶液が通過し、アナライトが、第1蛍光体を有する第1リガンドに接触して複合体(A)が形成されるとともに、少なくともその複合体(A)が検出部の方向に向かって流されていくように構成される。尚、本発明における通常の実施形態としては、当該複合体(A)の他、複合体(A)を形成しなかった第1蛍光体を有する第1リガンドの一部も検出部の方向に向かって試料と共に流れていくように構成される。
(6−1)第1リガンドおよび第2リガンド
上記第1リガンドおよび第2リガンドは、それぞれ、アナライトと特異的に結合するものであり、
より具体的には、試料中に含有されるアナライトを特異的に認識し(または、認識され)結合し得る分子または分子断片をいう。このような「分子」または「分子断片」としては、例えば、核酸(一本鎖であっても二本鎖であってもよいDNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子)、タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等)、アミノ酸(修飾アミノ酸も含む。)、糖質(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等)、脂質、またはこれらの修飾分子、複合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「タンパク質」としては、例えば、抗体やレクチンなどが挙げられる。なお、本発明において、「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、遺伝子組換えにより得られる抗体、および抗体断片を包含する。
このような第1リガンドおよび第2リガンドは、アナライトの種類に応じて適宜選択され、好ましくはアナライトの別異の部位にて特異的に結合し、かつ、第1リガンドと第2リガンドとが結合しないものである。たとえば、アナライトが蛋白質であれば、その特定の構造単位(エピトープ)に結合する抗体(免疫グロブリン)をリガンドとすることができる。ここで、抗体としては、断片化抗体(Fab断片やF(ab´)等)、短鎖可変領域フラグメント(scFV)であってもよい。
また、第1リガンドは、アナライトに特異的に結合するリガンドに、公知の方法によって、第1蛍光体を結合して調製され得る。たとえば、上記リガンドとしてタンパク質(抗体、レクチン)を用いる場合、それを構成するアミノ酸の側鎖または末端に現れるアミノ基、カルボキシル基、チオール基等を利用することができる。それらの官能基に結合しうる反応性官能基を有する蛍光体またはそのような官能基を導入した第1蛍光体誘導体や第1蛍光体が導入されかつ該反応性官能基を有するラテックス粒子を用意し、その蛍光体または蛍光体誘導体もしくは前記ラテックス粒子とリガンドとを所定の方法で反応させることにより、両者を結合することができる。また、炭素数3〜20程度のアルキレン基やポリエチレングリコール鎖のような、いわゆるリンカーと呼ばれる分子を介して上記リガンドと第1蛍光体を結合させて、第1リガンドを調製してもよい。さらに、上記リガンドをビオチン化し、これにアビジン(ストレプトアビジン等を含む)を反応させた後、ビオチン化した第1蛍光体を反応させることにより、アビジン1分子あたり1〜4の第1蛍光体を結合させて、第1リガンドを調製することもできる。
また、第2リガンドおよび第2蛍光体をメンブレンに固定して、検出部を形成する方法としては、第2リガンドおよび第2蛍光体をメンブレンに物理的又は化学的手段により直接固定する方法と、第2リガンドおよび第2蛍光体をラテックス粒子などの微粒子に物理的又は化学的に結合し、この微粒子をメンブレンに捕捉して固定する間接固定方法がある。
直接的に固定する方法としては、物理吸着を利用しても良いし、共有結合によってもよい。一般的に、メンブレンがニトロセルロース膜又は混合ニトロセルロースエステル膜である場合、物理吸着を利用することができる。また、共有結合ではメンブレンの活性化には一般的に臭化シアン、グルタルアルデヒド、カルボジイミド等が用いられるが、いずれの方法も用いることができる。
一方、間接的に固定する方法としては、不溶性微粒子に第2リガンドおよび第2蛍光体を結合した後に、メンブレンに固定する方法がある。不溶性微粒子の粒径はメンブレンに捕捉されるが移動することのできないサイズのものを選択することができ、好ましくは平均粒径10μm程度以下の微粒子である。これらの粒子としては、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体などの乳化重合法によって得られる有機高分子ラテックス粒子などの有機高分子物質の微粒子、ゼラチン、ベントナイト、アガロース、架橋デキストランなどの微粒子、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナなどの無機酸化物や無機酸化物にシランカップリング処理などで官能基を導入した無機粒子等が挙げられる。本発明においては、感度調整の容易さ等から直接固定化の方が好ましい。
また、メンブレンへの第2リガンドおよび第2蛍光体を固定するに当たって、例えば、マイクロシリンジ、調節ポンプ付きペン、インキ噴射印刷等、種々の技術を用いて、メンブレン上の所望の箇所に塗布して、所望の箇所に検出部を形成することができる。
なお、第2リガンドとアナライトとの結合性を劣化させない限り、第2蛍光体は、第1リガンドの調製方法と同様にして、第2リガンドに直接結合させてもよい。
第2リガンドおよび第2蛍光体を固定した後、非特異的な吸着により分析の精度が低下することを防止するために、必要に応じて、メンブレンに、公知の方法でブロッキング処理を行うことが好ましい。一般にブロッキング処理には、ウシ血清アルブミン、スキムミルク、カゼイン、ゼラチン等の蛋白質が好適に用いられる。かかるブロッキング処理後に、必要に応じて、ツイーン20、トリトンX−100、SDS等の界面活性剤を1つ又は2つ以上組み合わせて洗浄してもよい。
(6−2)第1蛍光体および第2蛍光体
検出部にて固定されている第2蛍光体は、第1リガンドに保持されている第1蛍光体とFRETを生じ得る関係にある限り特に限定されない。すなわち、第1蛍光体および第2蛍光体は、何れかがドナーであり、もう一方がアクセプターである関係を有する。
第1蛍光体と第2蛍光体との組み合わせ(第1蛍光体/第2蛍光体)の一例を以下に示す。
Alexa Fluor647/Cy5,HiLyte Fluor647/Cy5,フルオレセインイソチオシアネート(FITC)/テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC),R−フィコエリトリン(R−PE)/アロフィコシアニン(APC),フルオレセイン/Cy5,Naphthalene14/Dansyl,Dansyl95/FITC,Dansyl14/ODR,ε−A14/NBD,IAF14/TMR,Pyrene14/Coumarin,FITC14/TMRI,AEDANS14/FITC,IAEDANS14/IAF,IAF14/EIA,CF/TR,Bodipy25/Bodipy,BPE14/Cy5,Terbium96/Rhodamine,Europium94/Cy5,Europium97/APC;蛍光タンパク質ではCFP/YFP、GFP/RFP。
また、第1蛍光体と第2蛍光体との組み合わせ(第1蛍光体/第2蛍光体)が、ユウロピウム(Eu)錯体/アロフィコシアニンである、LANCE TR−FRETで用いられている組み合わせも好適である。ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)等の希土類の錯体は、一般的に励起波長(310〜340nm程度)と発光波長(Eu錯体で615nm付近、Tb錯体で545nm付近)との波長差が大きく、蛍光寿命が数百マイクロ秒以上と長い。そのため、時間分解蛍光測定により、様々な短寿命のバックグラウンド蛍光をなくすことができ、高感度な測定が可能であるといった特徴がある。
上記のような蛍光体としては各種の商品が入手可能であり、励起・蛍光スペクトルや金属粒子の吸収スペクトルなどを考慮して、公知の蛍光体のなかから適切なものを選択すればよい。
(7)コントロール部
テストストリップは、メンブレン上に、第1リガンドと特異的に結合する第3リガンドおよび前記第2蛍光体と同一である第3蛍光体とが固定されてなるコントロール部が形成されていることが好ましい。たとえば、図1に示されるように、メンブレン10上に、アナライトを含む試料が流れる方向(矢印A)において、検出部26よりも下流側に、第1リガンド18と特異的に結合する第3リガンド28および前記第2蛍光体24と同一である第3蛍光体30とが固定されてなるコントロール部32が形成されていてもよい。コントロール部32で蛍光が測定されることにより、テストストリップに供した試料が展開して、反応部および検出部に到達し、検査が正常に行われたことを保証することができる。なお、コントロール部は、第2リガンドの代わりに第3リガンドを用いることを除いては、上述の検出部と同様にして作成され、同様の構成を採ることができる。
(8)吸水パッド
テストストリップは、図1に示されるように、メンブレン12に、アナライトを含む試料が流れる方向(矢印A)に向かって、前記試料添加部14と、前記反応部20と、前記検出部26と、必要に応じてコントロール部32のほかに、さらに吸水パッド34が形成されていてもよい。吸水パッドは、たとえば、セルロ−ス濾紙、不織布、布、セルロースアセテート等の吸水性材料から形成される。添加された試料の展開前線(フロントライン)が吸水パッドに届いてからの試料の移動速度は、吸水パッドの材質、大きさなどにより異なるので、その選定によりアナライトの検出・定量に合った速度を設定することができる。
[アナライトの検出・定量方法]
本発明のアナライトの検出または定量方法は、上述のようなラテラルフロー型クロマト法用テストストリップを用いるアナライトの検出または定量方法であって、少なくとも下記工程(i)〜(iii)を含む。
工程(i):試料に含まれるアナライトを第1リガンドに接触させる工程
工程(ii):検出部にて、工程(1)において形成された、アナライトと第1リガンドとを含む複合体(A)を、第2リガンドに接触させる工程
工程(iii):検出部に、第2蛍光体の励起光を照射し、励起された第2蛍光体から第1蛍光体へのエネルギー転移により生じた蛍光発光(1)の蛍光強度を測定する工程
本発明のアナライトの検出または定量方法は、洗浄工程を行わなくても、バックグラウンドノイズ(検出部を除く他の部からのシグナル)を低減して、高い感度(S/B比)を発揮できるとともに、迅速性・簡便性と高感度性とを両立できる。
以下、アナライトの検出・定量方法について、適宜図1(A)〜(C)を用いて工程ごと説明する。
図1(A)に示されるように、テストストリップが、前記メンブレンに、前記試料が流れる方向において、前記反応部よりも上流側に、前記アナライトを含む試料を添加するための試料添加部が形成されてなる場合、アナライト16を含む試料を、公知の滴下装置等を用いて、試料添加部14に添加すると、アナライト16を含む試料が、メンブレン12の毛細管現象によりメンブレン12上を移動し始め、図1(B)に示されるように、試料の展開前線(フロントライン)Fが反応部20に到達する。そして、反応部20には、第1蛍光体18aを有し該アナライト16と特異的に結合する第1リガンド18が含まれているために、工程(i)として、アナライト16と第1リガンド18とを接触させることができる。これにより、アナライト16と第1リガンド18とを含む複合体(A)36が形成される。
さらに、図1(C)に示されるように、試料の展開前線(フロントライン)Fは、検出部26、コントロール部32、および吸水パッド34に向かって移動する。ここで、検出部26は、アナライト16と特異的に結合する第2リガンド22が固定されているために、試料のフロントラインFが検出部26に到達すると、工程(ii)として、検出部26において、複合体(A)36を、アナライト16を介して第2リガンド22に接触させることができる。これにより、第2リガンド22は複合体(A)36捕捉して、第2リガンド22、第1リガンド18およびアナライト16を含む複合体(B)38を形成させることができる。
次いで、工程(iii)として、少なくとも検出部に、第2蛍光体の励起光を照射し、第2蛍光体を励起させ、第2蛍光体から第1蛍光体へエネルギー転移を起こさせて、蛍光発光(1)を生じさせ、該蛍光発光(1)の蛍光強度を測定する。得られた蛍光強度に基づき、シグナル検出用センサーの受光手段および蛍光発光を電気信号に変換する受光部等を用いて、アナライトの検出または定量することができる。図1(C)では、シグナル検出用センサー44によって、蛍光発光(1)46bの蛍光強度を測定する態様が例示されているが、検出する蛍光波長ではない蛍光波長をカットできる蛍光フィルター42を介した、シグナル検出用センサー44による、蛍光発光(1)46bの蛍光強度の測定が実施されている。
また、アナライトを定量するに当たっては、予め既知濃度でアナライトを含む標準試料を用いて、アナライト濃度と蛍光発光(蛍光発光(1))の蛍光強度の関係を示す検量線を予め作成しておくことで、検査用の試料に含まれるアナライトを正確に定量することができる。
なお、図1のテストストリップとは異なって、反応部が形成されていない場合、工程(i)は、試料に含まれるアナライトを第1リガンドに接触させた後、試料添加部または検出部に提供する工程であることが好ましい。ここで、アナライトを第1リガンドに接触した際に、アナライトと第1リガンドとを含む複合体(A)が形成され、試料添加部または検出部には、試料に含まれるアナライトは、複合体(A)として添加される。
また、図1のテストストリップとは異なって、テストストリップに反応部とは別に試料添加部が形成されることなく、反応部を試料添加部と兼用してアナライトを含む試料を反応部に直接添加するようにしてもよい。
また、特にメンブレンに提供されるアナライトの量が多量である場合には、上記工程(iii)の代わりに、図1(C´)で示されるように、テストストリップの検出部26に、第1蛍光体18の励起光46a´を照射し、第1蛍光体18を励起させて、第1蛍光体18から第2蛍光体24へ蛍光共鳴エネルギー転移(付番C1´の矢印で示す。)を起こさせて、第2蛍光体24から蛍光発光(1´)46b´´を生じさせ、該蛍光発光(1´)46b´´の蛍光強度を測定する工程(iii´)であってもよい。
なお、上記工程(iii)は、工程(iii´)に比べて、アナライトの量に依らず第2蛍光体による、励起された蛍光エネルギー量を一定に保った状態でFRETを利用できることの他、バックグラウンドを低減し、良好な感度で検出が可能であるために好ましい。
また、アナライトと結合しなかった第1リガンドは、検出部を通過し、検出部にて捕捉されないが、検出部よりも下流側に、第1リガンドと特異的に結合する第3リガンドおよび第2蛍光体と同一である第3蛍光体とが固定されてなるコントロール部が形成されている場合、工程(ii)と工程(iii)との間において、コントロール部にて検出部を通過した第1リガンドを、第3リガンドと接触させる工程、および、コントロール部に第2蛍光体(第3蛍光体と同一)の励起光を照射し、励起された第3蛍光体から第1蛍光体へのエネルギー転移により生じた蛍光発光(2)の蛍光強度を測定する工程を含むことが好ましい。
この前者の工程によって、コントロール部にて、第1リガンドと特異的に結合する第3リガンドによって捕捉され、第1リガンドおよび第3リガンドを含む複合体(C)が形成される。
そして、この工程を実施した後、工程(iii)の前に後者の工程によって、コントロール部においても蛍光強度を測定することで、測定された蛍光強度に基づいて、テストストリップに供した試料が展開して、反応部および検出部に到達したか否かを確認できる。すなわち、コントロール部で蛍光が検出されなければ、検査失敗であると判断できる。
なお、図1(C)では、コントロール部32に、第3蛍光体30に対する励起光46a(第2蛍光体24と同一の励起光)を照射し、第3蛍光体30を励起させて、第3蛍光体30から第1蛍光体18aへ蛍光共鳴エネルギー移動(矢印C2)を起こさせ、第1蛍光体18aから蛍光発光(2)46b´を生じさせて、該蛍光発光(2)46b´の蛍光強度を測定する工程が例示されている。

なお、図1(C´)では、コントロール部32に、第1蛍光体18aに対する励起光46a´を照射し、第1蛍光体18aを励起させて、第1蛍光体18aから第3蛍光体30へ蛍光共鳴エネルギー移動(矢印C2´)を起こさせ、第3蛍光体30から蛍光発光(2´)46b´´´を生じさせて、該蛍光発光(2´)46b´´´の蛍光強度を測定する測定工程2が例示されている。
このように、本発明では、複合体(A)を形成していない第1リガンドを除去するための洗浄工程を特に必要とせず、検出部において、FRETに基づく蛍光発光の蛍光強度をシグナルとして測定できる。たとえ、検出部ではないメンブレン上に、非特異的吸着などによって、第1リガンドが残っていたとしても、第1蛍光体と第2蛍光体とは近接した状況になくFRETが生じ得ない。そのため、FERTに基づく蛍光発光の蛍光強度を測定する際に、複合体(A)を形成していない第1リガンドによるバックグラウンドノイズの検出を著しく回避できる。すなわち、本発明によれば、迅速性・簡便性と高感度性とが両立された、アナライトの検出または定量が可能になる。
[アナライト検出または定量システム]
本発明のテストストリップは、前述のようなアナライトの検出または定量のために用いられるシステムにおいて用いられてもよい。アナライト検出または定量システムは、通常は、第2蛍光体を励起させるための発光部や、FRETによって生じる第1蛍光体の蛍光発光を受光して電気信号に変換する受光部を備え、更に、好ましくは、特開2009−19962号公報に記載されているように、発光部が、蛍光体で正反射した励起光が受光部に入射しない角度から励起光を照射するように構成されている。また、必要に応じてさらにその他の構成要素、たとえば、生体から採取した検体から試料を調製するための装置や、試料等の溶液をテストストリップの試料添加部に滴下するための滴下装置などを備えていてもよい。
次に本発明について実施例を示してさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[実施例1]
(i)第1リガンド液の調製
第1リガンド液は、TechNote 205, Rev.003, Active: 30/Mar/02 “Covalent Coupling”, Bangs Laboratories Inc.を参照して作製した。
すなわち、抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(Millipore社製、influenza A, clone A1 )を50mM MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid, monohydrate: 同仁化学社製)緩衝液(pH6.0)溶液で透析した後、表面にカルボキシル基を有する蛍光ポリスチレンラテックス粒子(粒径0.3 um;藤倉化成工業社製)と混合し、前記カルボキシル基を介して反応させ、前記モノクローナル抗体とラテックス粒子を結合させた。なお、上記蛍光ポリスチレンラテックス粒子に含まれる蛍光体(2-[5-[1,1-Dimethyl-3-(metyl)-1,3-dihydro-benzo[e]indol-2-ylidene]-penta-1,3-dienyl]-1,1-dimethyl-3-(3-methyl-butyl)-1H-benzo[e]indolium hexafluorophosphate, S0830, FEW CHEMICALS)は、最大励起波長は、681nmであり、最大蛍光波長は、700nmである。なお、上記蛍光体を第1蛍光体とも称する。
次いで、EDAC(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N´−エチルカルボジイミド塩酸塩:Sigma社製)を最終濃度0.1%になるように添加した後、2時間反応を進行させた。
反応終了後、洗浄して、最終浮遊液(5mM Tris、0.04(W/V)% BSA(ウシ血清アルブミン))中に浮遊させ、さらに超音波分散装置(オリンパス社製)を用いて、粒子を分散させて、蛍光標識抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(第1リガンド)を含む第1リガンド液(蛍光標識抗インフルエンザA型抗体の濃度:0.05v/w%)を調製した。
(ii)第2リガンド液
抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(Millipore社製、influenza A, clone A3)を10mM Tris-HCl(pH7.5)に透析し、透析後に0.22μmろ過を行い、アロフィコシアニン(APC)(最大励起波長:650nm、最大蛍光波長:660nm、DELIHI NUTRACEUTICALS社製、製品名「Allophycocyanin」、)を添加し、10mM Tris-HCl(pH7.5)で希釈して抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体を含む第2リガンド液を調製した。なお、アロフィコシアニンを第2蛍光体とも称する。
(iii)第3リガンド液
第1リガンドと特異的に結合する抗マウスIgG抗体(LifeSpan Biosciences社製、Anti-Mouse Immunoglobulin G(IgG) Fc, Goat-Poly)を10mM Tris-HCl(pH7.5)に透析し、透析後に0.22μmろ過を行い、アロフィコシアニン(APC)(最大励起波長:650nm、最大蛍光波長:660nm、DELIHI NUTRACEUTICALS社製、製品名「Allophycocyanin」、)を添加し、10mM Tris-HCl(pH7.5)で希釈して抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体を含む第3リガンド液を調製した。
(iii)テストストリップ(1)の作製
ニトロセルロースメンブレン(ミリポア株式会社製、白色、幅30mm×長さ100mm)上に、該メンブレンの端部から展開方向に(前記端部からもう一方の端部に向かって)、13mmの位置、16mmの位置および19mmの位置に、陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて、それぞれ第1リガンド液、第2リガンド液および第3リガンド液を線状に塗布し、45℃の温風を10分間吹き付けて乾燥して、それぞれ、反応部、検出部およびコントロール部を形成した。
次に、メンブレンを固定し、かつ強度を向上させるため、メンブレンの抗体塗布面の反対側にプラスチック製バッキングシート(BioDot社製)を接着した。
次に、セルロース不織布を幅15mm、長さ10cmに切断し、メンブレンの上面に、メンブレンの上流端が2mm重なる様に配置して貼り付け、試料添加部を形成した。
また、幅30mm、長さ10cmのセルロースろ紙(ワットマン社)をメンブレンの上面に、メンブレンの下流端と5mm重なる様に配置して貼り付け、サンプル吸収パッドを形成した。
さらに、サンプル滴下パッドの上流端の幅7mmを除いて、上面全面を透明なプラスチックラミネート(Adhesive Research社)で被覆した。
最後に長軸方向に沿って、5mmずつ切断し、テストストリップ(1)を作製した。
(iii)シグナル/バックグラウンドシグナル比(S/B)の測定
インフルエンザA型ウイルスを、250.0pfu/ml(pfu:プラーク形成単位)になるように、緩衝液(20mM MES緩衝液(pH6.0)、1(W/V)% TritonX−100、2(W/V)% アルギニン塩酸塩、1.0(W/V)%ウシ血清アルブミン)に添加して懸濁させて、試料250.0を調製した。得られた試料250.0を、テストストリップ(1)の試料添加部に添加し、該試料を試料添加部から吸水パッドまで展開させた。
新たに御教示頂いた内容(蛍光測定装置が、波長が660nmでる励起光を発する波長低出力2波長レーザーを備えること)と、特に励起光中の波長は単一でないことから、「以下のように」と記載して、追記部分を援用して、励起光について説明してもよろしいかと思われます。
その後、蛍光測定装置を用いて、第2蛍光体(最大励起波長650nm)の励起光をテストストリップ(1)に照射して、第1蛍光体の蛍光(最大蛍光波長700nm)の蛍光強度を測定した。
なお、上記蛍光測定装置は、第2蛍光体を励起させるための発光部と、FRETによって生じる第1蛍光体の蛍光発光を受光して電気信号に変換する受光部とを備え、発光部が、蛍光体で正反射した励起光が受光部に入射しない角度から励起光を照射するように構成されている。また、上記発光部には、励起光光源として、中心波長639nmの赤色レーザー(HL6358MG;Opnext製)と、該赤色レーザーから出力された励起光がテストストリップに達する前に通過するように配置されたバンドパスフィルター(透過波長帯域632nm±22nm、FF02−632/22−25;Semrock製)とが設けられている。また、上記受光部には、蛍光フィルターとして、バンドパスフィルター(透過波長帯域711nm±12.5nm、FF01−711/20−25;日本真空光学(株)製)と、該バンドパスフィルターを通過した光を受光する受光センサーとして、CCDリニアイメージセンサ(有効画素数2500、画素サイズ5.25×64(μm)、TCD1254BFG;(株)東芝製)とが設けられ、テストスリップからの第1蛍光体の蛍光を、上記バンドパスフィルター(蛍光フィルター)を介して上記受光センサーで受光して、第1蛍光体の蛍光(最大蛍光波長700nm)を検出するべく、波長700nm近傍の蛍光強度を測定した。
シグナル/バックグラウンドシグナル比(S/B)は、以下の計算式(1)により算出した。S/Bが高いほど、感度が良好であることが示される。
Figure 2013120120
また、上記試料を、インフルエンザA型ウイルスが、「83.3」、「27.8」、「9.3」、「3.1」、「0」(pfu/ml)の濃度になるように調製された試料に変更したこと以外は、上記の条件と同様にして、シグナル/バックグラウンドシグナル比(S/B)を求めた。
検出部、コントロール部ならびにこれらの部を除く箇所(バックグラウンド)における蛍光強度、およびバックグラウンドシグナル比(S/B)を表1に示す。また、図1(黒丸)において、本実施例で得られたバックグラウンドシグナル比と抗原濃度(pfu/ml)との関係を示す。
[比較例1]
アロフィコシアニン(APC)を用いないで、第2リガンド液を調製したことを除いては、実施例1と同様にして、テストストリップ(2)を作製した。また、作製されたテストストリップ(2)を用いたこと、各部における700nmの波長の蛍光強度を測定するに先だって、緩衝液(20mM MES緩衝液(pH6.0)、1(W/V)% TritonX−100、2(W/V)% アルギニン塩酸塩、1.0(W/V)%ウシ血清アルブミン)でテストストリップを洗浄して、乾燥させたこと、および励起光光源を中心波長639nmの光源から660nmの光源に変更し、それに伴って励起光用のバンドパスフィルターを変更したこと(透過波長帯域661nm±10nm、FF01−661/20−25;Semrock製)を除いては、実施例1と同様にして、シグナル/バックグラウンドシグナル比(S/B)の測定を実施した。検出部、コントロール部ならびにこれらの部を除く箇所(バックグラウンド)における蛍光強度、およびバックグラウンドシグナル比(S/B)を表2に示す。また、図1(白抜四角)において、本比較例で得られたバックグラウンドシグナル比と抗原濃度(pfu/ml)との関係を示す。
Figure 2013120120
Figure 2013120120
上記表1と表2に示されるように、実施例1では、洗浄工程を実施しなくても、バックグラウンドの蛍光強度を低くすることができ、S/B比も高い結果が得られた一方で、比較例1では、洗浄工程を実施しても依然としてバックグラウンドの蛍光強度が高く維持され、S/B比も低い結果が得られた。すなわち、実施例1では、比較例1に比べて、洗浄工程を必要とせずに、迅速かつ簡便にアナライトの検出が可能であるとともに、高い検出感度(特に抗原濃度が高い場合)を示すことが理解される。
10:ラテラルフロー型クロマト法用テストストリップ
12:メンブレン
14:試料添加部
16:アナライト
18: 第1リガンド
18a:第1蛍光体
18b:アナライトに特異的に結合するリガンド
20:反応部
22:第2リガンド
24:第2蛍光体
26:検出部
28:第3リガンド
30:第1蛍光体と同一の蛍光体(第3蛍光体)
32:コントロール部
34:吸水パッド
36:複合体(A)
38:複合体(B)
40:複合体(C)
42:蛍光フィルター
44:シグナル検出用センサー
46a:第2蛍光体または第3蛍光体の励起光
46b:第1蛍光体の蛍光(蛍光発光(1))
46b´:第1蛍光体の蛍光(蛍光発光(2))
46a´:第1蛍光体の励起光
46b´´:第2蛍光体の蛍光(蛍光発光(1´))
46b´´´:第3蛍光体の蛍光(蛍光発光(2´))

A:試料が流れる方向を示す矢印
B:シグナルの測定方向を示す矢印
C1:第2蛍光体から第1蛍光体へのエネルギー転移を示す矢印
C2:第3蛍光体から第1蛍光体へのエネルギー転移を示す矢印
C1´:第1蛍光体から第2蛍光体へのエネルギー転移を示す矢印
C2´:第1蛍光体から第3蛍光体へのエネルギー転移を示す矢印
F:試料の展開前線(フロントライン)の位置を示す矢印

Claims (10)

  1. メンブレンを備え、前記メンブレンに、試料に含まれるアナライトを検出するための検出部が形成されているラテラルフロー型クロマト法用テストストリップであって、
    前記検出部に、第2蛍光体と、前記アナライトと特異的に結合する第2リガンドとが固定されていることを特徴とするラテラルフロー型クロマト法用テストストリップ。
  2. 前記メンブレンに、前記試料が流れる方向において、前記検出部よりも上流側に、
    第1蛍光体を有しかつ前記アナライトと特異的に結合する第1リガンドを含む反応部が形成されてなり、
    前記第2蛍光体が、第1蛍光体を有しかつ前記アナライトと特異的に結合する第1リガンドにおける前記第1蛍光体との蛍光共鳴エネルギー転移によって蛍光を生じる蛍光体である、請求項1に記載のラテラルフロー型クロマト法用テストストリップ。
  3. 前記メンブレンに、前記試料が流れる方向において、前記検出部よりも上流側に、
    前記アナライトを含む試料を添加するための試料添加部
    が形成されてなる請求項1に記載のラテラルフロー型クロマト法用テストストリップ。
  4. 前記メンブレンに、前記試料が流れる方向において、前記反応部よりも上流側に、前記アナライトを含む試料を添加するための試料添加部が形成されてなる請求項2に記載のラテラルフロー型クロマト法用テストストリップ。
  5. 前記メンブレン上に、第1リガンドと特異的に結合する第3リガンドおよび前記第2蛍光体と同一である第3蛍光体とが固定されてなるコントロール部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のラテラルフロー型クロマト法用テストストリップ。
  6. メンブレンを備え、前記メンブレンに、試料に含まれるアナライトを検出するための検出部が形成され、前記検出部に、第1蛍光体を有しかつ前記アナライトと特異的に結合する第1リガンドにおける前記第1蛍光体との蛍光共鳴エネルギー転移によって蛍光を生じる第2蛍光体と、前記アナライトと特異的に結合する第2リガンドとが固定されているラテラルフロー型クロマト法用テストストリップを用いるアナライトの検出または定量方法であって、
    前記試料に含まれる前記アナライトを前記第1リガンドに接触させる工程(i)と、
    前記検出部にて、前記工程(1)において形成された、前記アナライトと前記第1リガンドとを含む複合体(A)を、前記第2リガンドに接触させる工程(ii)と、
    前記検出部に、前記第2蛍光体の励起光を照射し、励起された前記第2蛍光体から前記第1蛍光体へのエネルギー転移により生じた蛍光発光(1)の蛍光強度を測定する工程(iii)と、を含むことを特徴とするアナライトの検出または定量方法。
  7. 前記ラテラルフロー型クロマト法用テストストリップが、前記メンブレンに、前記試料が流れる方向において、前記検出部よりも上流側に、前記第1リガンドを含む反応部が形成されてなり、
    前記工程(i)が、前記反応部にて、前記試料に含まれる前記アナライトを前記第1リガンドに接触させる工程であることを特徴とする、請求項6に記載のアナライトの検出または定量方法。
  8. 前記ラテラルフロー型クロマト法用テストストリップが、前記メンブレンに、前記試料が流れる方向において、前記検出部よりも上流側に、前記アナライトを含む試料を添加するための試料添加部が形成されてなり、
    前記工程(i)が、前記試料に含まれる前記アナライトを前記第1リガンドに接触させた後、試料添加部に添加する工程であることを特徴とする、請求項6に記載のアナライトの検出または定量方法。
  9. 前記ラテラルフロー型クロマト法用テストストリップが、前記メンブレンに、前記試料が流れる方向において、前記反応部よりも上流側に、前記アナライトを含む試料を添加するための試料添加部が形成されてなり、
    前記工程(i)が、前記試料を前記試料添加部に添加し、前記反応部にて、前記試料に含まれる前記アナライトを前記第1リガンドに接触させる工程であることを特徴とする、請求項7に記載のアナライトの検出または定量方法。
  10. 前記ラテラルフロー型クロマト法用テストストリップが、前記メンブレンに、前記試料が流れる方向において、前記検出部よりも下流側に、前記第1リガンドと特異的に結合する第3リガンドおよび前記第2蛍光体と同一である第3蛍光体とが固定されてなるコントロール部が形成されてなり、
    前記工程(ii)と前記工程(iii)との間に、前記コントロール部にて前記検出部を通過した第1リガンドを、前記第3リガンドと接触させる工程、および、
    前記コントロール部に、前記第2蛍光体の励起光を照射し、励起された前記第3蛍光体から前記第1蛍光体へのエネルギー転移により生じた蛍光発光(2)の蛍光強度を測定する工程を含むことを特徴とする、請求項6〜9の何れか一項に記載のアナライトの検出または定量方法。
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