JP5825190B2 - アナライトを検出または定量するためのラテラルフロー型クロマト法用テストストリップ - Google Patents
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Description
[1] 試料に含まれるアナライトを検出または定量するためのラテラルフロー型クロマト用テストストリップであって、
メンブレンと、
前記メンブレンに、前記アナライトに特異的に結合するリガンドを、蛍光体を含む蛍光粒子で標識化してなる標識化リガンド(1)が含まれる反応部と、
前記反応部の下流側において、前記メンブレンに、前記アナライトに特異的に結合する捕捉リガンド(2)が固定されてなる検出部とを含み、
前記メンブレンの上面が、少なくとも前記反応部と前記検出部との間の領域が覆われるように、親水性フィルムで被覆され、
前記親水性フィルムの前記メンブレンに向き合う側の表面の空気中における水接触角度が30°以下であることを特徴とする、ラテラルフロー型クロマト用テストストリップ。
[2] 前記親水性フィルムのメンブレンに向かい合う面が、親水性を有することを特徴とする、[1]のラテラルフロー型クロマト用テストストリップ。
[3] 前記メンブレンの上面が、前記反応部から前記検出部までの領域が覆われるように、親水性フィルムで被覆されていることを特徴とする、[1]または[2]のラテラルフロー型クロマト用テストストリップ。
[4] 前記反応部の上流側において、前記メンブレンに、前記試料を添加するための試料添加部を含み、
前記メンブレンの上面が、前記試料添加部から前記検出部までの領域が覆われるように、親水性フィルムで被覆されていることを特徴とする、[1]〜[3]の何れかのラテラルフロー型クロマト用テストストリップ。
本発明のテストストリップは、試料に含まれるアナライトを検出または定量するために用いられる。また、本発明のテストストリップは、後述するように、メンブレンと反応部と検出部とを含み、前記メンブレンの上面の、少なくとも前記反応部と前記検出部との間の領域が、親水性フィルムで被覆されていることを必須要件としている。ここで、本発明のテストストリップは、前記のような検出部等を備える限り特に限定されるものではないが、必要に応じて、任意の構成や部材を有していてもよい。例えば、図1(2)〜(5)に示されるように、テストストリップ1は、メンブレン10と、当該メンブレン10に、試料添加部11、反応部12、検出部13、コントロール部14、さらに吸水パッド15等が順次形成されていてもよい。すなわち、図1で示されるように、この態様においては、アナライト17を含む試料が流れる方向(展開方向:矢印X)において、試料添加部11、反応部12、検出部13、コントロール部14、さらに吸水パッド15の順で、これらの部位がメンブレンに形成されている。
(1)試料およびアナライト
試料は、アナライトとして、蛋白質、糖類、核酸、各種生理活性物質などを含むものである限り特に限定されるものではない。例えば、目的のアナライトを含む生体試料や食品の抽出液等が挙げられる。なお、生体試料としては、全血、血清、血漿、尿、唾液、喀痰、鼻腔又は咽頭拭い液、髄液、羊水、乳頭分泌液、涙、汗、皮膚からの浸出液、組織や細胞および便からの抽出液等が挙げられる。
前記アナライトとしては、腫瘍マーカー、シグナル伝達物質、ホルモン等のタンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等を含む)、核酸(一本鎖または二本鎖の、DNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等を含む)または核酸を有する物質、糖(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等を含む)または糖鎖を有する物質、脂質などその他の分子が挙げられ、標識化リガンド(1)および捕捉リガンド(2)に特異的に結合するものである限り特に限定されないが、例えば、癌胎児性抗原(CEA)、HER2タンパク、前立腺特異抗原(PSA)、CA19−9、α−フェトプロテイン(AFP)、免疫抑制酸性タンパク(IPA)、CA15−3、CA125、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、便潜血、トロポニンI、トロポニンT、CK−MB、CRP、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、梅毒抗体、インフルエンザウイルス、ヒトヘモグロビン、クラミジア抗原、A群β溶連菌抗原、HBs抗体、HBs抗原、ロタウイルス、アデノウイルス、アルブミン、糖化アルブミン等が挙げられる。これらの中でも非イオン性界面活性剤により可溶化される抗原が好ましく、ウイルス核タンパク質のように自己集合体を形成する抗原がより好ましい。
テストストリップに使用されるメンブレンは、一般的なテストストリップに使用されるメンブレンと同様に、例えば、毛管現象を示し、試料を添加すると同時に、試料が展開するような微細多孔性物質からなる不活性物質(アナライト、各種リガンド、各種蛍光体などと反応しない物質)で形成されているものである。具体的なメンブレンとしては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、ニトロセルロース又は酢酸セルロース等のセルロース誘導体等で構成される繊維状又は不織繊維状マトリクス、膜、濾紙、ガラス繊維濾紙、布等が挙げられる。中でも、メンブレンは、好ましくはセルロース誘導体やナイロンで構成される膜、濾紙、ガラス繊維濾紙等が用いられ、より好ましくはニトロセルロース膜、混合ニトロセルロースエステル(ニトロセルロースと酢酸セルロースの混合物)膜、ナイロン膜、濾紙である。
本発明のテストストリップは、図1で示されるように、反応部12よりも上流側において、メンブレン10に、アナライト17を含む試料を添加するための試料添加部11を備えていてもよい。
本発明のテストストリップは、図1で示されるように、メンブレン10に、標識化リガンド(1)12cを含む反応部12を備える。ここで、反応部12は、検出部13よりも上流側のメンブレン10に形成されている。すなわち、図1で示されるように、試料が展開する方向Xにおいて、反応部12および検出部13の順で、これらの部位がメンブレンに形成されている。また、標識化リガンド(1)とは、アナライトに特異的に結合するリガンド12bを、蛍光体を含む蛍光粒子12aで標識化してなるものである。図1(3)で示されるように、アナライトを含む試料がメンブレン10上に展開して、反応部12に至る乃至反応部12を通過すると、アナライト17と標識化リガンド(1)12cとを含む複合体(A)18が形成される。
本発明のテストストリップは、図1で示されるように、前記反応部12の下流側において、メンブレン10に、アナライト17に特異的に結合する捕捉リガンド(2)13aが固定されてなる検出部13が含まれる。図1(4)に示されるように、アナライト17を含む試料がテストストリップ上に展開して、標識化リガンド(1)12cとアナライト17とを含む複合体(A)18が検出部13に至る乃至検出部13を通過すると、複合体(A)18が、アナライト17と特異的に結合する捕捉リガンド(2)13aに接触して、標識化リガンド(1)12cとアナライト17と捕捉リガンド(2)13aとを含む複合体(B)19が形成される。
本発明のテストストリップは、図1に示されるように、検出部13の下流側において、メンブレン10に、標識化リガンド(1)12cと特異的に結合する捕捉リガンド(3)14aが固定されてなるコントロール部14を備えていてもよい。複合体(A)18を形成しなかった標識化リガンド(1)(フリーの標識化リガンド(1))は、検出部13で捕捉されずに、検出部13を通過するが、図1(4)に示されるように、アナライト17を含む試料がテストストリップ上に展開して、試料の展開前線Fがコントロール部14に至る乃至コントロール部14を通過すると、コントロール部14において、この標識化リガンド(1)は、捕捉リガンド(3)14aによって捕捉され、標識化リガンド(1)と捕捉リガンド(3)とを含む複合体(C)20が形成される。
本発明のテストストリップは、メンブレンに、コントロール部が形成されていない場合は、検出部よりも下流側に、あるいは図1(A)の付番15に示されるように、コントロール部14が形成されている場合は、コントロール部14よりも下流側に、吸水パッドを備えていてもよい。
本発明のテストストリップでは、図1に示されるように、メンブレン10の上面(試料が供される側の面)の、少なくとも反応部12と検出部13との間の領域が、親水性フィルム16で被覆されている。このような構成を採ることで、試料を迅速に展開できるとともに、試料の展開時間が短くても、良好な感度でアナライトを検出または定量できるようになる。ここで、「反応部12と検出部13との間の領域」とは、反応部12の下流側末端と、検出部13の上流側末端とに挟まれた領域を指す(後述する「試料添加部と反応部まで間との間の領域」や「検出部と給水パッドとの間の領域」についても同様である)。このような構成を採ることで、試料(そこに含まれることとなる、反応部12においてアナライトと標識化リガンドが反応して形成される複合体(A)や、未反応の標識化リガンド)を迅速に展開することができるとともに、試料の展開時間が短くても、良好な感度でアナライトを検出または定量できるようになる。
キチン類、キトサン類などの多糖類;
ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、高級アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテルなどの防曇剤(界面活性剤);
シリカ、アルミナ、イットリア、ジルコニア、チタニアなどの無機酸化物;
が挙げられる。
本発明のテストストリップは、公知のテストストリップと同様の態様で、アナライトを検出または定量に用いることができる。
工程(i):アナライトを含む試料を、本発明のテストストリップに供し、試料を、試料の展開前線が、検出部に至るまで乃至検出部を通過するまで、テストストリップ上に展開させる工程。
上記工程(i)では、アナライトを含む試料を、本発明のテストストリップに供し、試料を、試料の展開前線が検出部に至るまで乃至検出部を通過するまで、テストストリップ上に展開させる。通常、図1(2)〜(4)に示されるように、通常、試料の展開前線Fが、反応部12、検出部13およびコントロール部14を通過して、更に吸水パッド15に至るまで、試料を展開させる。ここで、試料の展開前線Fが、反応部12に至る乃至反応部12を通過すると、試料に含まれるアナライト17は、標識化リガンド(1)12cに接触して、アナライト17と標識化リガンド(1)12cとを含む複合体(A)18が形成される。更に、図1(4)に示されるように、試料の展開前線Fが検出部13に至る乃至検出部13を通過すると、検出部13では、複合体(A)18に含まれるアナライト17が、捕捉リガンド(2)13aに接触して、複合体(A)18と捕捉リガンド(2)13aとを含む複合体(B)19が形成される。
1.蛍光ビーズ標識化抗体液および捕捉抗体液の調製
抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(Millipore社製、Anti-Influenza A, nucleoprotein, clone A3)を50mM MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid, monohydrate: 同仁化学社製)緩衝液(pH6.0)で透析した後、蛍光ビーズ(FC02F8612(平均粒径0.39μm、Bangs Laboratories社製))を、アミノ基を介して、前記モノクローナル抗体と結合させて、蛍光ビーズ標識化抗体液(1)を調製した。
下記(1)〜(7)の工程を順次実施して、テストストリップ1を作製した。
(1)トリニトロセルロースメンブレン(Millipore社製、白色、幅60mm×長さ350mm)上に、該メンブレンの端部から展開方向に(前記端部からもう一方の端部に向かって)7mmの位置および14mmの位置に、陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて、それぞれ、捕捉抗体液(2)および捕捉抗体液(3)を線状に塗布し、45℃の温風を10分間吹き付けた後、乾燥させて、それぞれ、検出部およびコントロール部を形成した。
(4)幅15mm、長さ10cmに切断したセルロース不織布を、メンブレンの上面に、メンブレンの上流端と2mm重なるように貼り付け、試料添加部を形成した。
(6)上記工程により作製した構造物を、長軸方向に沿って6mmずつ切断して、幅6mmのテストストリップ1´を作製した。
アナライトとしてインフルエンザA型ウイルスを、280.0pfu/ml(pfu:プラーク形成単位)になるように、緩衝液(20mM MES緩衝液(pH6.0)、1(W/V)% TritonX-100、2(W/V)% アルギニン塩酸塩、1.0(W/V)%ウシ血清アルブミン)に添加し懸濁して、試料を調製した。
実施例1において、被覆フィルムとして、セロハン製粘着テープの代わりに、「くもらないフィルム」(RP東プラ社製商品名)を用いたことを除いては、実施例1と同様にして、テストストリップ2を作製し、それを用いて行った蛍光強度の測定結果から、作製されたテストストリップ2のシグナル/バックグラウンド比(S/B)を算出した。結果を表1に示す。
実施例1で作製されたストリップ1´を用いたことを除いては、実施例1と同様にして蛍光強度の測定を行い、その結果からストリップ1´のシグナル/バックグラウンド比(S/B)を算出した。結果を表1に示す。
実施例1において、被覆フィルムとして、セロハン製粘着テープの代わりに、表面疎水性のポリオレフィン系フィルム(Rapid EPS, バイオクロマト社製商品名)を用いたことを除いては、実施例1と同様にして、テストストリップ2´を作製し、それを用いて行った蛍光強度の測定結果から、作製されたテストストリップ2´のシグナル/バックグラウンド比(S/B)を算出した。結果を表1に示す。
1:本発明のテストストリップ
10:メンブレン
11:試料添加部
12:反応部
12a:蛍光粒子
12b:リガンド
12c:標識化リガンド(1)
13:検出部
13a:捕捉リガンド(2)
14:コントロール部
14a:捕捉リガンド(3)
15:吸水パッド
16:親水性フィルム
17:アナライト
18:複合体(A)
19:複合体(B)
20:複合体(C)
X:試料の展開方向を示す矢印
F:試料の展開前線(フロントライン)
S1:複合体(B)の蛍光粒子12aから生じる蛍光発光
S2:複合体(C)の蛍光粒子12aから生じる蛍光発光
Claims (5)
- 試料に含まれるアナライトを検出または定量するためのラテラルフロー型クロマト用テストストリップであって、
メンブレンと、
前記メンブレンに、前記アナライトに特異的に結合するリガンドを、蛍光体を含む蛍光粒子で標識化してなる標識化リガンド(1)が含まれる反応部と、
前記反応部の下流側において、前記メンブレンに、前記アナライトに特異的に結合する捕捉リガンド(2)が固定されてなる検出部とを含み、
前記メンブレンの上面が、少なくとも前記反応部と前記検出部との間の領域が覆われるように、親水性フィルムで被覆され、
前記親水性フィルムの前記メンブレンに向き合う側の表面の空気中における水接触角度が30°以下であることを特徴とする、ラテラルフロー型クロマト用テストストリップ。 - 前記親水性フィルムのメンブレンに向かい合う面が、親水性を有することを特徴とする、請求項1のラテラルフロー型クロマト用テストストリップ。
- 前記メンブレンの上面が、前記反応部から前記検出部までの領域が覆われるように、親水性フィルムで被覆されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のラテラルフロー型クロマト用テストストリップ。
- 前記反応部の上流側において、前記メンブレンに、前記試料を添加するための試料添加部を含み、
前記メンブレンの上面が、前記試料添加部から前記検出部までの領域が覆われるように、親水性フィルムで被覆されていることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のラテラルフロー型クロマト用テストストリップ。 - 前記親水性フィルムが、親水性透明フィルムであることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のラテラルフロー型クロマト用テストストリップ。
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