JP5340726B2 - 環状オレフィン化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、環状オレフィン化合物の製造方法、より詳しくはヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2以上有する脂環式アルコールから分子中にシクロヘキセン環を2以上有する環状オレフィン化合物を製造する方法と、該製造方法により得られる高純度の環状オレフィン化合物に関する。
シクロヘキセン骨格を有する環状オレフィン化合物の製造法として、アルコールの脱水反応により製造する方法が広く知られている。例えば、濃硫酸やリン酸等の無機酸を触媒として用いたアルコールの脱水反応により環状オレフィン化合物を製造する技術(非特許文献1参照)や、酸性塩である硫酸水素カリウム(KHSO4)などを用いたアルコールの脱水反応により環状オレフィン化合物を製造する技術(特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照)が文献に開示されている。
しかし、これら公知の環状オレフィン化合物の製造法は、収率や得られる環状オレフィン化合物の純度の点で必ずしも満足しうる方法とは言えなかった。すなわち、酸性度の高い濃硫酸を用いた従来の方法では、副反応が生じやすく、所望する環状オレフィン化合物以外の化合物が副生して収率を低下させるという問題があった。また、酸性度の低いリン酸や硫酸水素カリウム等の硫酸の無機塩を用いた従来の方法では、反応時間を長くしたり反応温度を高くする必要があり、やはり副反応が生じて収率を低下させ、所望する環状オレフィン化合物と分離することが極めて困難な着色成分や異性体成分が副生するという問題があった。また、硫酸水素カリウム等の硫酸の無機塩は、反応原料や有機溶媒に対する溶解性が極めて低いため、より高い温度で長時間反応させる必要があり、副反応が著しくなる。さらに、上記従来の方法では、基質濃度が一般に低く製造効率が著しく悪いという問題もあった。
特にヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2以上有する脂環式アルコールを分子内脱水して分子中にシクロヘキセン環を2以上有する環状オレフィン化合物を製造する場合には、反応中に異性化が起こり、二重結合の位置の異なる種々の異性体が副生するとともに、ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環の例えば1つのみが脱水した環状オレフィン化合物(ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環が分子中に残っている環状オレフィン化合物)が副生する。上記異性体は目的化合物と沸点や溶媒溶解性等の物性が近似しているので、一旦生成すると目的化合物との分離が極めて困難となり、製品中に混入するため、高純度の目的化合物を得ることが難しい。また、ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環が分子中に残っている環状オレフィン化合物には昇華性を有するものがあり、反応装置や付属装置の壁に固着して系を閉塞させるおそれがある。
これをさらに詳細に説明すると、4位に置換基を有するシクロヘキシルアルコール誘導体を脱水触媒の存在下で加熱した場合、水が共存する系では、下記反応式に示されるように、脱水反応だけでなくその逆反応(水の付加反応)も進行し、目的の環状オレフィンのほか、二重結合の位置の異なる2種の異性体が副生する。式中、Rは置換基である。
Figure 0005340726
そして、前記Rがヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を含有している場合には、さらに異性体の数が増えることになる。例えば、下記式(1a)
Figure 0005340726
で表される水添ビフェノールを原料とした場合を例にとると、下記式(3a)〜(3f)で表される6種の異性体(環状オレフィン化合物)が生成しうる。すなわち、式(3a)で表される化合物(ビシクロヘキシル−3,3′−ジエン;沸点260℃/760Torr、140℃/10Torrの無色透明の液体)を目的化合物とする場合には5種の副生物が生成しうる。
Figure 0005340726
また、ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子内に複数個有するシクロヘキシルアルコール誘導体を脱水反応に付すと、シクロヘキセン環とヒドロキシル基が結合したシクロヘキサン環とを分子内に有する反応中間体が生成しうる。例えば、前記水添ビフェノールを原料とした場合には、下記式(4)で表される化合物(沸点380℃/760Torr、230℃/10Torrの白色固体(常温))が副生する。この化合物は昇華性を有しており、反応装置に蒸留塔などが付随している場合には該蒸留塔内部に固着し、蒸留塔を閉塞させるおそれがある。
Figure 0005340726
一方、特開2005−97274号公報(特許文献2)には、水添ビフェノールを硫酸水素カリウム等の硫酸水素アルカリ金属の存在下に無溶媒で分子内脱水させてビシクロヘキシル−3,3′−ジエンを製造するに際し、生成する水とビシクロヘキシル−3,3′−ジエンを反応器から速やかに留去し副反応を防止することで純度の高いビシクロヘキシル−3,3′−ジエンを得る方法が開示されている。しかし、この方法では、原料の水添ビフェノールが融解する180℃付近まで撹拌ができないため、反応が開始する温度領域になっても反応系を均一にできないという問題がある。また、硫酸水素カリウムは金属系の化学装置材料として一般に使用されるSUS304やSUS316を腐食するため、グラスライニング等の耐食性の装置を使用する必要があるが、グラスライニングの反応装置で180〜200℃まで加熱できる装置は少ない。また、生成する水によるヒートショックでグラスライニングの割れ、剥離などが起こることも予想されるため、この方法を工業的に実施するには解決すべき問題が多い。さらに、脱水触媒を多量に使用する必要もある。
特開2000−169399号公報 特開2005−97274号公報 Org. Synth. Coll. Vol.2, 151(1943) J. Chem. Soc., 1950, 2725 新実験化学講座 14 有機化合物の合成と反応 I, 119(1978) 日本化学会編
本発明の目的は、異性化反応等の副反応を抑制でき、不純物含量の少ない高純度の環状オレフィン化合物を簡易に且つ高い収率で効率よく得ることのできる環状オレフィン化合物の製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、触媒量が少量でよく、比較的低温・短時間で反応が進行し、操作性に優れ、特殊な材質の装置を特に必要としない工業生産に適した環状オレフィン化合物の製造方法を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、さらに高沸点不純物の副生を顕著に抑制できる環状オレフィン化合物の製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、異性体含有量の極めて少ない環状オレフィン化合物を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2以上有する脂環式アルコールから脱水反応により、分子中にシクロヘキセン環を2以上有する環状オレフィン化合物を得る方法において、該脂環式アルコールを有機溶媒中、特定の脱水触媒の存在下、特定の条件で反応させるとともに、生成した環状オレフィン化合物を特定の条件で留出させると、異性化等の副反応が抑制され、不純物含量の少ない高純度の環状オレフィン化合物を簡易に且つ高い収率で効率よく製造できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2以上有する脂環式アルコールを分子内脱水して、分子中にシクロヘキセン環を2以上有する環状オレフィン化合物を製造する方法であって、(i)前記脂環式アルコールを、有機溶媒中、反応条件下において液状又は反応液に溶解する脱水触媒の存在下、20Torr(2.67kPa)を超える圧力下で130〜230℃の温度に加熱し、副生する水を留去しながら脱水反応を行う工程と、(ii)前記工程(i)に続いて、反応混合液を200Torr(26.7kPa)以下の圧力下で50〜220℃の温度に加熱して、前記環状オレフィン化合物を留出させる工程とを含み、
工程(i)において、反応条件下において液状又は反応液に溶解する脱水触媒が存在する130〜230℃の温度に加熱した有機溶媒中へ、20Torr(2.67kPa)を超える圧力下、脂環式アルコールを間欠的又は連続的に投入しつつ、副生する水を留去しながら脱水反応を行い、
反応条件下において液状又は反応液に溶解する脱水触媒が、スルホン酸類と有機塩基の完全中和塩、リン酸と有機塩基の完全中和塩、硫酸と有機塩基の完全中和塩、スルホン酸類の有機塩基による部分中和塩、リン酸の有機塩基による部分中和塩、及び硫酸の有機塩基による部分中和塩からなる群より選択された少なくとも1種である環状オレフィン化合物の製造方法を提供する。
また、この環状オレフィン化合物の製造方法において、下記式(1)
Figure 0005340726
[式中、Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO2−、及びハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状骨格を有する2価の炭化水素基から選択された2価の基、又はこれらの基が複数個結合した2価の基を示す]
で表される脂環式アルコールを分子内脱水して、下記式(2)
Figure 0005340726
[式中、Yは前記に同じ]
で表される環状オレフィン化合物を製造してもよい。
前記有機溶媒として、芳香族炭化水素及び脂肪族炭化水素からなる群より選択された少なくとも1種の溶媒を使用できる。
前記反応条件下において液状又は反応液に溶解する脱水触媒の使用量は、脂環式アルコール1モルに対して、例えば0.001〜0.5モル程度である。
前記工程(i)において、脂環式アルコールの全量を反応系に投入し終えるまでの時間は、例えば10分〜25時間である。
前記部分中和塩又は完全中和塩が、酸と有機塩基とを反応させて得られる反応混合物であり、酸と有機塩基との混合割合が、酸1当量に対して、有機塩基が0.01〜1当量であってもよい。
前記ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2以上有する脂環式アルコールとして、下記式(1a)
Figure 0005340726
で表される化合物、下記式(1b)
Figure 0005340726
で表される化合物、下記式(1c)
Figure 0005340726
で表される化合物が挙げられる。
本発明によれば、異性化反応等の副反応を抑制でき、不純物含量の少ない高純度の環状オレフィン化合物を簡易に且つ高い収率で得ることができる。また、本発明の製造方法は、触媒量が少量でよく、比較的低温・短時間で反応が進行し、操作性に優れ、特殊な材質の装置を特に必要とせず、工業生産に適している。さらに、脱水触媒を含む有機溶媒中へ脂環式アルコールを間欠的又は連続的に投入しつつ脱水反応を行う場合には、特に高沸点不純物の副生を顕著に抑制でき、目的化合物の収率を大幅に向上できる。また、本発明によれば、異性体含量の極めて少ない環状オレフィン化合物が提供される。
実施例2で得られたビシクロヘキシル−3,3′−ジエン(異性体を含む)のガスクロマトグラフ分析のチャートである。 比較例3で得られた液体(留出液)のGC/MS分析におけるトータルイオンクロマトグラムである。 比較例3で得られた液体(留出液)のGC/MS分析におけるトータルイオンクロマトグラム(上図)と目的化合物のMSチャート(下図)である。 比較例3で得られた液体(留出液)のGC/MS分析におけるトータルイオンクロマトグラム(上図)と異性体のMSチャート(下図)である。 実施例10で得られた脱水反応終了後の溶液のガスクロマトグラフ分析のチャートである。 実施例10で得られた脱水反応終了後の溶液のGC/MS分析におけるトータルイオンクロマトグラム(上図)と、反応中間体である4−(3’−シクロヘキセニル)シクロヘキサノールのMSチャート(下図)である。 実施例10で得られた液体(留出液)のGC/MS分析におけるトータルイオンクロマトグラムである。 実施例10で得られた液体(留出液)のGC/MS分析におけるトータルイオンクロマトグラムの拡大図(上図)と、目的化合物のMSチャート(下図)である。 実施例10で得られた液体(留出液)のGC/MS分析におけるトータルイオンクロマトグラムの拡大図(上図)と、異性体のMSチャート(下図)である。 実施例10で得られたビシクロヘキシル−3,3’−ジエン(異性体を含む)のガスクロマトグラフ分析のチャートである。 実施例2で得られた脱水反応終了後の溶液のGC/MS分析におけるトータルイオンクロマトグラム(上図)と、反応中間体である4−(3’−シクロヘキセニル)シクロヘキサノールのMSチャート(下図)である。
本発明では、ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2以上有する脂環式アルコール(以下、「基質」と称する場合がある)を分子内脱水して、分子中にシクロヘキセン環を2以上有する環状オレフィン化合物を製造する。
ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2以上有する脂環式アルコールとしては、ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子内に2つ又はそれ以上有している化合物であれば特に限定されず、例えば、2つのヒドロキシシクロヘキシル基(2−ヒドロキシシクロヘキシル基、3−ヒドロキシシクロヘキシル基又は4−ヒドロキシシクロヘキシル基)が単結合又は2価の基(例えば、後述のY)を介して結合した化合物、3つのヒドロキシシクロヘキシル基が3価の基を介して結合した化合物、4つのヒドロキシシクロヘキシル基が4価の基を介して結合した化合物、ヒドロキシル基が結合したシクロヘキサン環を少なくとも2つ含有する多環式化合物などが挙げられる。
ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2以上有する脂環式アルコールの代表的な例として、前記式(1)で表される脂環式アルコールが挙げられる。式(1)中、Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO2−、及びハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状骨格を有する2価の炭化水素基から選択された2価の基、又はこれらの基が複数個結合した2価の基を示す。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。炭素数1〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状骨格を有する2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、メチルメチレン、トリメチレン、プロピレン、ジメチルメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、デカメチレン基などの炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン基などの炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基;1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン基などの炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基;フェニルメチレン、シクロヘキシルメチレン基などの芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基等の環状骨格を有するアルキレン基などが挙げられる。ハロゲン原子で置換された炭素数1〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状骨格を有する2価の炭化水素基の例としては、例えば、−C(Br)2−、−C(CBr32−、−C(CF32−などが挙げられる。
Yとしては、特に、単結合、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO2−、−CH2−、−C(CH32−、−C(Br)2−、−C(CBr32−、−C(CF32−、炭素数4〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状骨格を有する2価の炭化水素基などが好ましい。
ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2以上有する脂環式アルコールの具体例として、例えば、水添ビフェノール、ビス(シクロヘキサノール)メタン、ビス(ジメチルシクロヘキサノール)メタン、1,2−ビス(シクロヘキサノール)エタン、1,3−ビス(シクロヘキサノール)プロパン、1,4−ビス(シクロヘキサノール)ブタン、1,5−ビス(シクロヘキサノール)ペンタン、1,6−ビス(シクロヘキサノール)ヘキサン、2,2−ビス(シクロヘキサノール)プロパン、ビス(シクロヘキサノール)フェニルメタン、3,3−ビス(シクロヘキサノール)ペンタン、5,5−ビス(シクロヘキサノール)ヘプタン、2,2−ビス[4,4′−ビス(シクロヘキサノール)シクロヘキシル]プロパン、ドデカヒドロフルオレンジオールなどの、ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2つ有する脂環式アルコール;α,α−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−4−(4−ヒドロキシ−α,α−ジメチルシクロヘキシル)−エチルベンゼン、トリス(シクロヘキサノール)メタン、トリス(シクロヘキサノール)エタン、1,3,3−トリス(シクロヘキサノール)ブタンなどの、ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に3つ有する脂環式アルコール;テトラキス(シクロヘキサノール)エタンなどの、ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に4つ有する脂環式アルコールなどが挙げられる。これらの中でも、特に、4−ヒドロキシシクロヘキシル基を2以上(例えば2〜4個)有する化合物、例えば前記式(1a)、(1b)、(1c)で表される化合物などが本発明の製造方法における原料として好適である。ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2以上有する脂環式アルコールは単独で又は2以上を組み合わせて使用できる。
本発明の製造方法の重要な特徴は、(i)前記脂環式アルコールを、有機溶媒中、反応条件下において液状又は反応液に溶解する脱水触媒の存在下、20Torr(2.67kPa)を超える圧力下で130〜230℃の温度に加熱し、副生する水を留去しながら脱水反応を行う工程と、(ii)前記工程(i)に続いて、反応混合液を200Torr(26.7kPa)以下の圧力下で50〜220℃の温度に加熱して、前記環状オレフィン化合物を留出させる工程とを含むことである。
工程(i)で使用する有機溶媒としては、反応条件下で不活性な溶媒であれば特に限定されないが、25℃において液体であって、沸点が120〜200℃程度のものが好ましい。好ましい有機溶媒の代表的な例として、例えば、キシレン、クメン、プソイドクメンなどの芳香族炭化水素;ドデカン、ウンデカンなどの脂肪族炭化水素などが挙げられる。有機溶媒として、副生水を簡易に分離除去するため、水と共沸し且つ水と分液可能な有機溶媒を用いてもよい。ケトンやエステル等の酸の存在下で反応する溶媒は沸点が上記範囲であっても好ましくない。また、アルコールは脱水反応を起こす可能性があるため好ましくない。
有機溶媒の使用量は、操作性や反応速度等を考慮して適宜選択できるが、通常、基質である脂環式アルコール100重量部に対して、50〜1000重量部程度であり、好ましくは90〜900重量部であるが、80〜800重量部程度、さらには100〜500重量部の範囲で選択することもできる。
工程(i)で用いる脱水触媒としては、脱水活性を有し、反応条件下において液状のもの又は反応液に溶解するもの(後述する使用量で完全に溶解するもの)であれば特に限定されないが、反応溶媒に対して活性が無いか又はできるだけ低いものが好ましい。反応条件下において液状である脱水触媒は反応液中に微分散するものが好ましい。脱水触媒としては、通常、リン酸や硫酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類などの酸、又はそれらの塩、特に前記酸の有機塩基による完全中和塩又は部分中和塩が使用される。脱水触媒は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
酸の有機塩基による中和塩を使用する場合、酸と有機塩基とを反応させて得られる反応混合物から中和塩(完全中和塩又は部分中和塩)を単離精製して用いることもできるが、酸と有機塩基とを反応させて得られる反応混合物(完全中和塩及び/又は部分中和塩を含んでいる)をそのまま使用することもできる。後者の場合、この反応混合物中には遊離の酸が含まれていてもよい。また、後者の場合、酸と有機塩基との混合割合は、例えば、酸1当量に対して、有機塩基が0.01〜1当量程度、好ましくは0.05〜0.5当量程度、さらに好ましくは0.1〜0.47当量程度である。特に、硫酸と有機塩基との反応混合物を使用する場合、硫酸と有機塩基との混合割合は、硫酸1モルに対して、有機塩基が好ましくは0.02〜2モル、さらに好ましくは0.1〜1.0モル、特に好ましくは0.2〜0.95モル程度である。また、酸の有機塩基による中和塩を使用する場合、酸と有機塩基とを別々に添加して、系内で中和塩を形成してもよい。
前記有機塩基としては塩基性を示す有機化合物であればよく、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリンなどのアミン類(特に、第3級アミン類);ピリジン、コリジン、キノリン、イミダゾールなどの含窒素芳香族複素環化合物;グアニジン類;ヒドラジン類などが挙げられる。これらの中でも、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の第3級アミン類(特に、環状アミン類)、グアニジン類、ヒドラジン類が好ましく、特に、DBU、DBN、トリエチレンジアミン、トリエチルアミンが好ましい。また、有機塩基としては、pKa11以上のものが好ましく、また沸点が150℃以上のものが好ましい。
脱水触媒として硫酸をそのまま使用することも可能であるが、その場合には反応時間が短くなりすぎるため濃度を厳密に調整しないと工業的に使用することはやや難しい。そのため、硫酸は有機塩基の塩として使用するのが望ましい。リン酸やp−トルエンスルホン酸は酸性度が比較的低いため、塩にすることなくそのまま使用してもよい。
硫酸水素カリウム等の硫酸の無機塩は反応溶媒と基質の混合液に対する溶解度が極めて低く、多量に用いる必要が生じるが、その場合には反応終了液から目的物を回収した後の残渣は硫酸根を含むタール状となり、製造量が増加するとこの処理は環境面及び経済面からも大きな不利益となる。そのため、硫酸の無機塩は脱水触媒として好ましくない。また、硫酸のアンモニウム塩も溶媒と基質の混合液に対する溶解度が低く、多量に使用する必要が生じるので、これも脱水触媒として好ましくない。
したがって、脱水触媒としては、スルホン酸類(p−トルエンスルホン酸等)、リン酸、硫酸、スルホン酸類(p−トルエンスルホン酸等)の有機塩基による完全中和塩又は部分中和塩、リン酸の有機塩基による完全中和塩又は部分中和塩、硫酸の有機塩基による完全中和塩又は部分中和塩が好ましい。なかでも、スルホン酸類(特に、p−トルエンスルホン酸)、該スルホン酸類の有機塩基による完全中和塩又は部分中和塩、硫酸の有機塩基による完全中和塩又は部分中和塩又はこれらと硫酸との混合物が好ましく、特に、硫酸の有機塩基による完全中和塩又は部分中和塩(とりわけ部分中和塩)又はこれらと硫酸との混合物が好ましい。
脱水触媒の使用量は、基質である脂環式アルコール1モルに対して、例えば0.001〜0.5モル、好ましくは0.001〜0.47モル(例えば0.001〜0.3モル)、さらに好ましくは0.005〜0.45モル(例えば0.005〜0.2モル)である。
本発明では、前記脱水触媒とともに、反応性調節剤としてカルボン酸のアルカリ金属塩を用いてもよい。カルボン酸のアルカリ金属塩としては、例えば、ギ酸カリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、オクタン酸カリウム、オクタン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウムなどの炭素数1〜20程度のカルボン酸のアルカリ金属塩(特に、炭素数1〜20程度の飽和脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩)が挙げられる。カルボン酸のアルカリ金属塩の使用量は、基質である脂環式アルコール1モルに対して、例えば0.00001〜0.05モル、好ましくは0.00005〜0.01モル、さらに好ましくは0.0001〜0.001モルである。
工程(i)(脱水反応工程)において、原料である脂環式アルコール、有機溶媒、脱水触媒の添加順序や添加方法等は特に限定されず、脂環式アルコール、脱水触媒等は、それぞれ予め全量を反応系に仕込んで反応を開始してもよく、間欠的又は連続的に反応系に仕込みつつ反応を行ってもよい。より具体的には、例えば、脂環式アルコールと反応条件下において液状又は反応液に溶解する脱水触媒と有機溶媒とを予め混合して調製した混合液を、20Torr(2.67kPa)を超える圧力下で130〜230℃の温度に加熱し、副生する水を留去しながら脱水反応を行ってもよく、また、反応条件下において液状又は反応液に溶解する脱水触媒が存在する130〜230℃の温度に加熱した有機溶媒中へ、20Torr(2.67kPa)を超える圧力下、脂環式アルコールを間欠的又は連続的に投入しつつ、副生する水を留去しながら脱水反応を行ってもよい。
後者の方法、すなわち、脂環式アルコールを脱水触媒が存在する有機溶媒中へ間欠的又は連続的に投入しつつ、副生する水を留去しながら脱水反応を行う方法(以下、「脂環式アルコール逐次添加法」と略称する)を採用する場合には、高沸点不純物の副生を顕著に抑制できるという大きな利益が得られる。すなわち、反応系では、一般に、脂環式アルコールの脱水反応及び後述する異性化反応のほか、エーテル化反応、脱水生成物(目的物である環状オレフィン化合物、二重結合及びヒドロキシル基を有する反応中間体)の二重結合への原料脂環式アルコール等のヒドロキシル基の付加反応による2量化や多量化反応、前記二重結合部位での重合反応等の副反応が起こり、目的化合物や反応中間体以外の高沸点化合物が副生する。この高沸点化合物は目的とする環状オレフィン化合物との分離は可能であるが、副生成物間の分離、精製が困難で、有効利用できず、結果として原料ロスとなり、経済的な面や省資源化という環境的な面から大きな不利益となる。ところが、上記の脂環式アルコール逐次添加法を採用すると、反応系での脂環式アルコールの蓄積を回避できるためか、上記副反応による高沸点化合物の生成を顕著に低減することができる。なお、これらの高沸点化合物の存在は、GC分析(ガスクロマトグラフィー)、GC/MS分析(ガスクロマトグラフィー/質量分析)において、目的の環状オレフィン化合物や反応中間体(二重結合及びヒドロキシル基を有する反応中間体)よりも長い保持時間を有するピークの有無で確認することができる。
前記脂環式アルコール逐次添加法において、脂環式アルコールの全量を反応系に投入し終えるまでの時間は、操作性や反応速度を考慮して適宜設定できるが、通常10分〜25時間であり、好ましくは15分〜12時間、より好ましくは20分〜6時間である。脂環式アルコールを10分未満で投入すると、投入した脂環式アルコールが未反応のまま反応系に蓄積して、高沸点化合物の副生など、副反応を引き起こす要因となるため好ましくない。一方、脂環式アルコールを、25時間を超える時間をかけて反応系に投入すると、反応に要する時間が長くなり、エネルギー的に不利である。
本発明においては、工程(i)と工程(ii)とでは圧力が異なる。工程(i)の反応液中には、未反応の原料脂環式アルコール、該原料脂環式アルコールにおけるヒドロキシル基が結合した複数のシクロヘキサン環のうち1つのみが分子内脱水してシクロヘキセン環に変化した反応中間体(例えば、前記式(4)で表される化合物)、目的の環状オレフィン化合物、副生水、脱水触媒、及び反応溶媒が共存している。この工程(i)においては副生水を留出させるが、このとき前記反応中間体を留出させることは以下の点から望ましくない。すなわち、(1)前記反応中間体は、さらに分子内脱水することにより目的化合物に変換できるため、これを留出させると目的化合物の収率の低下を招く、(2)前記反応中間体は一般に昇華性の固体であるため、蒸留塔を使用する場合には、副生水の留出経路に固体が析出することによって該留出経路が閉塞して反応器内部の圧力上昇を招き、反応容器の破裂、破損、反応液の飛散等のトラブルの原因となる。したがって、工程(i)では、前記反応中間体が留出しないように、20Torr(2.67kPa)を超える圧力下で、副生水を留去しながら脱水反応を行う。圧力は、好ましくは20Torrより高く常圧以下(2.67kPaより高く0.1MPa以下)、より好ましくは100Torrより高く常圧以下(13.3kPaより高く0.1MPa以下)、さらに好ましくは200Torrより高く常圧以下(26.7kPaより高く0.1MPa以下)であり、操作性の点からは、特に常圧が好ましい。工程(i)における温度(反応温度)は130〜230℃(例えば130〜200℃)であり、好ましくは140〜200℃(例えば140〜195℃)、さらに好ましくは140〜185℃である。温度が高すぎると異性化などの副反応が起こり、また温度が低すぎると反応速度が遅くなる。反応時間は、一般に1〜10時間、好ましくは2〜6時間程度であるが、前記脂環式アルコール逐次添加法においては、原料投入終了時点から、例えば0.5〜10時間、好ましくは1〜6時間程度である。
一方、工程(ii)では、副生水を留出させた後の反応混合液から目的の環状オレフィン化合物を留出させる。なお、工程(i)で得られた反応混合液は、そのまま工程(ii)に供してもよいが、必要に応じて、前記反応混合液に対して抽出、水洗、液性調整等の適宜な処理を施した後に工程(ii)に供してもよい。また、反応に用いた有機溶媒の沸点が目的の環状オレフィン化合物の沸点より低い場合には、通常、該有機溶媒を留去した後に環状オレフィン化合物を留出させる。
この工程(ii)では、前記反応中間体はほとんど存在しないので圧力を低くしても留出経路の閉塞等の問題は起こらず、また圧力が高いと目的化合物の留出に時間を要するため、200Torr(26.7kPa)以下の圧力で操作する。工程(ii)の圧力は、工程(i)の圧力より低くするのが好ましい。例えば、工程(i)の圧力と工程(ii)の圧力の差(前者−後者)は、例えば100Torr以上(13.3kPa以上)、好ましくは200Torr以上(26.7kPa以上)、さらに好ましくは500Torr以上(66.7kPa以上)である。工程(ii)の圧力は、好ましくは3〜200Torr(0.40〜26.7kPa)、より好ましくは3〜100Torr(0.40〜13.3kPa)、さらに好ましくは3〜20Torr(0.40〜2.67kPa)程度である。工程(ii)の温度は50〜220℃(例えば100〜220℃)であり、好ましくは140〜220℃(例えば150〜200℃)である。工程(ii)の温度は、120〜180℃、特に130〜150℃未満程度の範囲で選択してもよい。温度が高すぎると異性化などの副反応が起こりやすくなり、また温度が低すぎると留出速度が遅くなる。
目的化合物などを留出させるため、例えば反応器等に蒸留装置を付随させる場合には、該蒸留装置として、充填塔、オールダーショウ型蒸留装置など一般に使用されている蒸留装置で還流比の取れるものであれば特に限定されることなく使用できる。
工程(ii)で留出した目的の環状オレフィン化合物は、必要に応じてさらに精製することができる。精製法としては、微量の水を含む場合は比重差を利用して分離することも可能であるが、一般には蒸留による精製が好ましい。
原料脂環式アルコールとして前記式(1)で表される化合物を用いた場合には、分子内脱水反応により、前記式(2)で表される環状オレフィン化合物を得ることができる。
本発明によれば、原料の脂環式アルコールを有機溶媒中、反応条件下において液状又は反応液に溶解する脱水触媒の存在下、特定の反応条件で副生水を留去しつつ反応させた後、生成した環状オレフィン化合物を特定の条件で留出させるので、比較的低い温度で且つ比較的短時間で反応を行うことができ、異性化等の副反応を抑制できるとともに、反応中間体の留出によるロス・昇華による閉塞等を防止できるため、不純物含量の少ない高純度の環状オレフィン化合物を簡易に且つ高い収率で効率よく得ることができる。これに対し、従来の方法、例えば、特開2000−169399号公報に記載の方法では、長い反応時間を必要とするので、異性化等の副反応により望ましくない副生物が多量に生成する。副生した異性体は沸点や溶媒溶解性等の物性が目的化合物と近似しているので、一旦生成すると分離が極めて困難となる。このような副生物を多量に含む環状オレフィン化合物を、例えばエポキシ化して硬化性樹脂として使用する場合には、硬化の際に反応性が低下したり、硬化物の物性が著しく低下する原因となる。なお、上記異性体は、一般的なガスクロマトグラフィーの装置では目的化合物と分離できないことが多く、収率及び純度が高めに表示されることがある。従って、これらの異性体の分析は、より分離能が高いキャピラリーカラムを用いたガスクロマトグラフィーにより行うのが望ましい。
このように、本発明の製造方法によれば異性体等の不純物含量の極めて少ない高純度の環状オレフィン化合物(例えば、純度81.5%以上、好ましくは82%以上、より好ましくは84%以上、特に好ましくは85%以上の環状オレフィン化合物)を得ることができる。例えば、分子中にシクロヘキセン環を2以上有する環状オレフィン化合物の異性体混合物であって、主化合物とその異性体(二重結合の位置の異なる異性体の総和)との比率が、ガスクロマトグラフ分析における面積比で、前者/後者=81.5/18.5〜99/1である環状オレフィン化合物(条件によっては、前者/後者=82/18〜99/1、より好ましくは84/16〜99/1、特に85/15〜99/1である環状オレフィン化合物)を得ることができる。代表的な例で説明すると、前記式(1)で表される脂環式アルコールからは、式(2)で表される環状オレフィン化合物と不純物としての二重結合の位置の異なる異性体との混合物であって、前者と後者[式(2)で表される環状オレフィン化合物に対して二重結合の位置の異なる異性体の総和]の比率が、ガスクロマトグラフ分析における面積比で、前者/後者=81.5/18.5〜99/1である環状オレフィン化合物(条件によっては、前者/後者=82/18〜99/1、より好ましくは84/16〜99/1、特に85/15〜99/1前者/後者=85/15〜99/1である環状オレフィン化合物)を得ることができる。
こうして得られる環状オレフィン化合物は、エポキシ化することにより硬化性樹脂として有用なエポキシ化合物に誘導できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、GC分析(ガスクロマトグラフィー)、GC/MS分析(ガスクロマトグラフィー/質量分析)の測定条件は下記の通りである。なお、実施例1〜9は参考例として記載するものである。
(1)脱水反応[工程(i)]終了後の溶液のGC分析
測定装置:GC−9A(島津製作所社製)
カラム:5%SHINCARBON A/Thermon−3000
カラムサイズ:長さ2.1m、内径2.6mm
検出器:FID
カラム温度:60℃で2分保持後、270℃まで10℃/分で昇温し、その後270℃で保持
分析時間:38分
注入口温度:250℃
検出器温度:260℃
試料注入量:0.5μL
キャリアガス:窒素
キャリアガス流量:40mL/分
空気圧力:0.6kg/cm2
水素圧力:0.6kg/cm2
濃度算出法:内標法による検量線から算出
内部標準物質:1,4−ジオキサン
分析試料調製法:内部標準物質を分析対象試料に対して50重量%添加
(2)脱水反応[工程(i)]終了後の溶液のGC/MS分析
測定装置:GC部;HP6890(ヒューレットパッカード社製)、MS部;5973(ヒューレッドパッカード社製)
カラム:HP−5MS(5%−ジフェニル−95%−ジメチルポリシロキサン)
カラムサイズ:長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
キャリアガス:ヘリウム
キャリアガス流量:0.7mL/分(コンスタントフロー)
スプリット比:10:1
カラム温度:60℃で2分保持後、10℃/分で300℃まで昇温し、その後300℃で9分保持
分析時間:35分
注入口温度:250℃
MSDトランスファーライン温度:310℃
測定モード:EI/スキャン
イオン源温度:230℃
四重極温度:106℃
MS範囲:m/z=25〜400
試料注入量:1.0μL
分析試料調製法:アセトンを分析対象試料に対して20重量倍添加
(3)蒸留[工程(ii)]により留出した環状オレフィン化合物(製品)のGC分析−1(実施例1〜7、比較例1、比較例3)
測定装置:HP6890(ヒューレットパッカード社製)
カラム:HP−5、5%フェニルメチルシロキサン、内径320μm、長さ60m
検出器:FID
注入口温度:250℃
カラム温度:60℃/5分保持後、10℃/分で300℃まで昇温
検出器温度:250℃
試料注入量:1μl、スプリット比100:1
キャリアーガス:窒素
キャリアーガス流量:2.6ml/分
目的化合物と異性体との比は次のようにして求めた。すなわち、上記条件でガスクロマトグラフ分析を行い、20.97分付近に出る最大ピーク(目的化合物)の面積と、その直前に現れる20.91分付近のピーク(異性体)の面積との比をもって、目的化合物と異性体の含有比とした。
(4)蒸留[工程(ii)]により留出した環状オレフィン化合物(製品)のGC分析−2(実施例8〜12)
測定装置:HP6890(ヒューレットパッカード社製)
カラム:HP−5(5%−ジフェニル−95%−ジメチルポリシロキサン)
カラムサイズ:長さ 60m、内径 0.32mm、膜厚 1.0μm
キャリアガス:窒素
キャリアガス流量:2.6mL/分(コンスタントフロー)
スプリット比:100:1
カラム温度:60℃で5分保持後、10℃/分で300℃まで昇温し、その後300℃で1分保持
分析時間:30分
検出器:FID
注入口温度:250℃
検出器温度:250℃
水素流量:40.0mL/分
空気流量:450.0mL/分
メークアップガス:窒素
メークアップ流量:5.0mL/分
試料注入量:1.0μL
分析試料調製法:2−プロパノールを分析対象試料に対して30重量倍添加
目的化合物と異性体との比は次のようにして求めた。すなわち、上記条件でガスクロマトグラフ分析を行い、21.13分付近に出る最大ピーク(目的化合物)の面積と、その直前に現れる21.06分付近のピーク(異性体)の面積との比をもって、目的化合物と異性体の含有比とした。
(5)蒸留[工程(ii)]により留出した環状オレフィン化合物(製品)のGC/MS分析−1(異性体の確認;比較例3)
カラム:DB−WAX 30m
オーブン温度:200℃
注入口温度:230℃
検出器温度:230℃
キャリアーガス:ヘリウム
キャリアーガス流量:1ml/分
試料調製:サンプルをアセトンにて1重量%溶液に希釈して分析
(6)蒸留[工程(ii)]により留出した環状オレフィン化合物(製品)のGC/MS分析−2(異性体の確認;実施例10)
測定装置:GC部;HP6890(ヒューレットパッカード社製)、MS部;5973(ヒューレッドパッカード社製)
カラム:HP−5MS(5%−ジフェニル−95%−ジメチルポリシロキサン)
カラムサイズ:長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
キャリアガス:ヘリウム
キャリアガス流量:0.7mL/分(コンスタントフロー)
スプリット比:100:1
カラム温度:100℃で2分保持後、5℃/分で300℃まで昇温し、その後300℃で18分保持
分析時間:60分
注入口温度:250℃
MSDトランスファーライン温度:280℃
測定モード:EI/スキャン
イオン源温度:230℃
四重極温度:106℃
MS範囲:m/z=25〜400
試料注入量:1.0μL
分析試料調製法:アセトンを分析対象試料に対して40重量倍添加
実施例1
撹拌機、温度計、および脱水管を備え且つ保温された留出配管を具備した3リットルのフラスコに、下記式(1a)
Figure 0005340726
で表される水添ビフェノール840g(4.24モル)、p−トルエンスルホン酸140g(0.81モル)、クメン1800gを入れ、フラスコを加熱した。内温が110℃を超えたあたりから水の生成が確認された。さらに昇温を続けてクメンの沸点まで温度を上げ(内温162〜172℃)、常圧で脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。なお、p−トルエンスルホン酸は反応条件下において反応液に完全に溶解していた。
4時間経過後、ほぼ理論量の水(150g)が留出したため反応終了とした。反応終了
液を10段のオールダーショウ型の蒸留塔を用い、クメンを留去した後、内部圧力10Torr(1.33kPa)、内温138〜142℃にて蒸留し、474.2gの下記式(3a)
Figure 0005340726
で表されるビシクロヘキシル−3,3′−ジエンを得た。ガスクロマトグラフ分析の結果、目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3′−ジエン)と異性体の含有比は88:12であった。
実施例2
95重量%硫酸70g(0.68モル)と1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)55g(0.36モル)を撹拌混合して脱水触媒を調製した。
撹拌機、温度計、および脱水管を備え且つ保温された留出配管を具備した3リットルのフラスコに、水添ビフェノール1000g(5.05モル)、上記で調製した脱水触媒125g(硫酸として0.68モル)、プソイドクメン1500gを入れ、フラスコを加熱した。内温が115℃を超えたあたりから水の生成が確認された。さらに昇温を続けてプソイドクメンの沸点まで(沸騰状態になるまで)温度を上げ(内温162〜170℃)、常圧で脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。なお、脱水触媒は反応条件下において液体であり反応液中に微分散していた。3時間経過後、ほぼ理論量の水(180g)が留出したため反応終了とした。
反応終了後の液を室温まで冷却したところ、タール状の沈殿物と、溶液部分に分離した。溶液部分の重量は2320gであり、ガスクロマトグラフ分析による目的物のビシクロヘキシル−3,3’−ジエンの濃度が32%であったことから、反応液中に含まれる目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3’−ジエン)とその異性体を合わせた重量は738g(4.55モル、収率90%)となった。また、GC/MS分析では、保持時間14.3分に下記式(4)
Figure 0005340726
で表される反応中間体である4−(3’−シクロヘキセニル)シクロヘキサノールが検出された以降にも、種々のピークが検出された(図11参照)。なお、図11において、上図はトータルイオンクロマトグラムであり、下図は保持時間14.3分に検出された反応中間体のMSチャートである。
反応終了液を10段のオールダーショウ型の蒸留塔を用い、プソイドクメンを留去した後、内部圧力10Torr(1.33kPa)、内温137〜140℃にて蒸留し、異性体を含むビシクロヘキシル−3,3′−ジエン731g(4.50モル)を得た。脱水反応に使用した水添ビフェノール基準の収率は89%であった。ガスクロマトグラフ分析の結果、目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3′−ジエン)と異性体の含有比は91:9であった(図1参照)。
実施例3
95重量%硫酸94.5g(0.916モル)と1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)126.3g(0.831モル)を撹拌混合して脱水触媒を調製した。
撹拌機、20段のオールダーショウ型蒸留塔、温度計を備えている5リットルのフラスコに、水添ビフェノール2000g(10.1モル)、上記で調製した脱水触媒220.8g(硫酸として0.916モル)、プソイドクメン2400gを入れ、フラスコを加熱した。内温が115℃を超えたあたりから水の生成が確認された。さらに昇温を続け、蒸留塔の塔頂より副生水を留出させながら反応を続けてプソイドクメンの沸点まで(沸騰状態になるまで)温度を上げ(内温165〜171℃)、常圧で脱水反応を行った。なお、脱水触媒は反応条件下において液体であり反応液中に微分散していた。4時間半経過後、理論量の96%の水(384g)が留出したため反応終了とした。
反応終了後の液を室温まで冷却したところ、タール状の沈殿物と、溶液部分に分離した。溶液部分の重量は4016gであり、ガスクロマトグラフ分析による目的物のビシクロヘキシル−3,3’−ジエンの濃度が37.5%であったことから、反応液中に含まれる目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3’−ジエン)とその異性体を合わせた重量は1506g(9.28モル、収率92%)となった。また、GC/MS分析では、保持時間14.3分に反応中間体である4−(3’−シクロヘキセニル)シクロヘキサノールが検出された以降にも種々のピークが検出された。
反応終了後、系内を減圧にしてプソイドクメンを留去した後、10Torr(1.33kPa)まで減圧し、内温138〜141℃にて蒸留し、異性体を含むビシクロヘキシル−3,3’−ジエン1491.2g(9.19モル)を得た。脱水反応に使用した水添ビフェノール基準の収率は91%であった。ガスクロマトグラフ分析の結果、目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3′−ジエン)と異性体の含有比は90:10であった。
実施例4
撹拌機、温度計、および脱水管を備え且つ保温された留出配管を具備した3リットルのフラスコに、水添ビフェノール840g(4.24モル)、p−トルエンスルホン酸170g(0.99モル)、ウンデカン2350gを入れ、フラスコを加熱した。内温が110℃を超えたあたりから水の生成が確認された。さらに昇温を続けてウンデカンの沸点まで温度を上げ(内温185〜191℃)、常圧で脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。なお、p−トルエンスルホン酸は反応条件下において反応液に完全に溶解していた。
4時間経過後、ほぼ理論量の水(150g)が留出したため反応終了とした。反応終了液を10段のオールダーショウ型の蒸留塔を用い、ウンデカンを留去した後、内部圧力10Torr(1.33kPa)、内温137〜141℃にて蒸留し、474.2gのビシクロヘキシル−3,3′−ジエンを得た。ガスクロマトグラフ分析の結果、目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3′−ジエン)と異性体の含有比は88:12であった。
実施例5
撹拌機、温度計、および脱水管を備え且つ保温された留出配管を具備した3リットルのフラスコに、水添ビフェノール840g(4.24モル)、リン酸170g(1.73モル)、ウンデカン2350gを入れ、フラスコを加熱した。内温が110℃を超えたあたりから水の生成が確認された。さらに昇温を続けてウンデカンの沸点まで温度を上げ(内温189〜194℃)、常圧で脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。なお、p−トルエンスルホン酸は反応条件下において反応液に完全に溶解していた。
5時間半経過後、ほぼ理論量の水(150g)が留出したため反応終了とした。反応終了液を10段のオールダーショウ型の蒸留塔を用い、ウンデカンを留去した後、内部圧力10Torr(1.33kPa)、内温138〜141℃にて蒸留し、474.2gのビシクロヘキシル−3,3′−ジエンを得た。ガスクロマトグラフ分析の結果、目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3′−ジエン)と異性体の含有比は87:13であった。
実施例6
トリエチルアミン101g(1.00モル)、硫酸103g(1.05モル)を撹拌混合して脱水触媒を調製した。
撹拌機、温度計、および脱水管を備え且つ保温された留出配管を具備した3リットルのフラスコに、水添ビフェノール840g(4.24モル)、ウンデカン2350g、上記で調製した脱水触媒159gを入れ、フラスコを加熱した。内温が110℃を超えたあたりから水の生成が確認された。さらに昇温を続けてウンデカンの沸点まで温度を上げ(内温185〜191℃)、常圧で脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。
5時間半経過後、ほぼ理論量の水(151g)が留出したため反応終了とした。反応終了液を10段のオールダーショウ型の蒸留塔を用い、ウンデカンを留去した後、内部圧力10Torr(1.33kPa)、内温136〜141℃にて蒸留し、473.9gのビシクロヘキシル−3,3′−ジエンを得た。ガスクロマトグラフ分析の結果、目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3′−ジエン)と異性体の含有比は92:8であった。
実施例7
トリエチルアミン145.4g(1.44モル)、硫酸118g(1.20モル)を撹拌混合して脱水触媒を調製した。
撹拌機、温度計、および脱水管を備え且つ保温された留出配管を具備した3リットルのフラスコに、水添ビフェノール840g(4.24モル)、酢酸ナトリウム0.16g(0.0019モル)、プソイドクメン2350g、上記で調製した脱水触媒157gを入れ、フラスコを加熱した。内温が110℃を超えたあたりから水の生成が確認された。さらに昇温を続けてプソイドクメンの沸点まで温度を上げ(内温168〜171℃)、常圧で脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。
5時間経過後、ほぼ理論量の水(150g)が留出したため反応終了とした。反応終了液を10段のオールダーショウ型の蒸留塔を用い、プソイドクメンを留去した後、内部圧力10Torr(1.33kPa)、内温138〜143℃にて蒸留し、479.3gのビシクロヘキシル−3,3′−ジエンを得た。ガスクロマトグラフ分析の結果、目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3′−ジエン)と異性体の含有比は90:10であった。
実施例8
95重量%硫酸62g(0.61モル)と1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)78g(0.51モル)を撹拌混合して脱水触媒を調製した。
撹拌器、温度計、および脱水管を備え、且つ保温された留出配管を具備した3Lのフラスコに上記で調製した脱水触媒140g(硫酸として0.61モル)、水添ビフェノール300g(1.5モル)、プソイドクメン2400gを入れ、フラスコを加熱した。沸騰状態になるまで温度を上げ(内温165〜172℃)、常圧で3時間脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。なお、脱水触媒は反応条件下において液体であり、反応液中に微分散していた。
反応終了後の液を室温まで冷却したところ、タール状の沈殿物と、溶液部分に分離した。溶液部分の重量は2658gであり、ガスクロマトグラフ分析による目的物のビシクロヘキシル−3,3’−ジエンの濃度が7.8%であったことから、反応液中に含まれる目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3’−ジエン)とその異性体を合わせた重量は206g(1.27モル、収率84%)となった。また、GC/MS分析では、保持時間14.3分に反応中間体である4−(3’−シクロヘキセニル)シクロヘキサノールが検出された以降にも種々のピークが検出された。
次に反応終了液を10段のオールダーショウ型の蒸留塔を用い、プソイドクメンを留去した後、内部圧力10Torr(1.33kPa)、内温137〜141℃にて蒸留し、異性体を含むビシクロヘキシル−3,3’−ジエン204g(1.26モル)を得た。脱水反応に使用した水添ビフェノール基準の収率は83%であった。ガスクロマトグラフ分析により、目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3’−ジエン)と異性体の含有比は91:9であった。
実施例9
95重量%硫酸103g(1.0モル)とトリエチルアミン101g(1.0モル)を撹拌混合して脱水触媒を調製した。
撹拌器、温度計、および脱水管を備え、且つ保温された留出配管を具備した3Lのフラスコに上記で調製した脱水触媒159g(硫酸として1.0モル)、水添ビフェノール840g(4.2モル)、プソイドクメン2400gを入れ、フラスコを加熱した。沸騰状態になるまで温度を上げ(内温165〜172℃)、常圧で3時間脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。なお、脱水触媒は反応条件下において液体であり、反応液中に微分散していた。
反応終了後の液を室温まで冷却したところ、タール状の沈殿物と、溶液部分に分離した。溶液部分の重量は2658gであり、ガスクロマトグラフ分析による目的物のビシクロヘキシル−3,3’−ジエンの濃度が7.8%であったことから、反応液中に含まれる目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3’−ジエン)とその異性体を合わせた重量は479g(2.95モル、収率84%)となった。また、GC/MS分析では、保持時間14.4分に反応中間体である4−(3’−シクロヘキセニル)シクロヘキサノールが検出された以降にも種々のピークが検出された。
次に反応終了液を10段のオールダーショウ型の蒸留塔を用い、プソイドクメンを留去した後、内部圧力10Torr(1.33kPa)、内温137〜141℃にて蒸留し、異性体を含むビシクロヘキシル−3,3’−ジエン474g(2.92モル)を得た。脱水反応に使用した水添ビフェノール基準の収率は83%であった。ガスクロマトグラフ分析により、目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3’−ジエン)と異性体の含有比は91:9であった。
比較例1
撹拌機、20段のオールダーショウ型蒸留塔、温度計を備えている5リットルのフラスコに、水添ビフェノール1000g(5.05モル)、硫酸水素アンモニウム40g(0.265モル)、クメン2800gを入れ、フラスコを加熱した。内温が115℃を超えたあたりから水の生成が確認された。さらに昇温を続け、蒸留塔の塔頂より副生水を留出させながら反応を続けてクメンの沸点まで温度を上げ(内温165〜170℃)、常圧で脱水反応を行った。なお、硫酸水素アンモニウムは反応条件下において固体であり、大部分が反応液に溶解していなかった。
6時間半経過後、理論量の94%の水(170.9g)が留出したため反応終了とした。反応終了後、系内を減圧にしてクメンを留去した後、10Torr(1.33kPa)まで減圧し、内温137〜141℃にて蒸留し、590gのビシクロヘキシル−3,3′−ジエンを得た。ガスクロマトグラフ分析の結果、目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3′−ジエン)と異性体の含有比は81:19であった。
比較例2
撹拌機、温度計、および脱水管を備え且つ保温された留出配管(保温)を具備した3リットルのフラスコに、水添ビフェノール640g(3.23モル)、硫酸水素カリウム375g(2.75モル)、クメン1485gを入れ、フラスコを加熱した。内温が125℃を超えたあたりから水の生成が確認された。さらに昇温を続けてクメンの沸点まで温度を上げ(内温166〜170℃)、常圧で脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。なお、硫酸水素カリウムは反応条件下において固体であり、大部分が反応液に溶解していなかった。
6時間半経過後、理論量の約1/3の水(35.9g)が留出するに止まっているため、反応を中止した。
比較例3
撹拌機、20段の蒸留塔、温度計を備えている10リットルの四つ口フラスコに、水添ビフェノール6kgと硫酸水素カリウム620gを加えた。続いて、フラスコを180℃に加熱し、水添ビフェノールを融解後、撹拌を開始した。蒸留塔の塔頂より副生水を留出させながら反応を続け、3時間経過後、反応系内を10Torr(1.33kPa)に減圧し、水とビシクロヘキシル−3,3′−ジエンを蒸留塔の最上段より連続的に系外に留出させた。系外に留去させた水とビシクロヘキシル-3,3′−ジエンはデカンターで二層に分離させ、上層液のみを取り出した。その後、4時間かけて反応温度を220℃まで上げ、水とビシクロヘキシル−3,3′−ジエンの留去が無くなった時点で反応終了とした。ビシクロヘキシル−3,3′−ジエンの留出粗液の収量は4507gであった。
上記ビシクロヘキシル−3,3′−ジエンの留出粗液4500gを撹拌機、20段の蒸留塔、温度計を備えている5リットルの四つ口フラスコに入れ、オイルバスで180℃に昇温した。その後、反応系内を10Torr(1.33kPa)に減圧し、水を留去してから蒸留塔の最上段の温度を145℃に維持し、還流比1で5時間かけてビシクロヘキシル−3,3′−ジエンを蒸留精製し、無色透明の液体を得た。収量は4353gであった。前記液体についてガスクロマトグラフ分析を行った結果、ビシクロヘキシル−3,3′−ジエンと異性体との含有比は80:20であった。
また、上記の無色透明の液体についてGC/MS分析を行った。条件は前記の通りである。
GC/MS分析のチャートを図2、図3及び図4に示す。図2はトータルイオンクロマトグラム、図3はトータルイオンクロマトグラム(上図)と目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3′−ジエン)のMSチャート(下図)、図4はトータルイオンクロマトグラム(上図)と異性体(ビシクロヘキシル−2,2′−ジエン+ビシクロヘキシル−2,3′−ジエン)のMSチャート(下図)である。図中のAは目的化合物のピーク、Bは異性体のピークである。目的化合物と異性体とは分子量が同じであるためマスパターンは同様であるが、目的化合物の各フラグメントピークと異性体の各フラグメントピークは強度が異なる。
実施例10
95重量%硫酸62g(0.61モル)と1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン78g(0.51モル)を撹拌混合して脱水触媒を調製した。
撹拌器、温度計、および脱水管を備え、且つ保温された留出配管を具備した3Lのフラスコに上記で調製した脱水触媒140g(硫酸として0.61モル)、プソイドクメン1200gを入れ、フラスコを加熱した。フラスコ内の液体が沸騰し、内温が175℃となった時点で、前記式(1a)で表される水添ビフェノール280g(1.41モル)を45分かけて間欠的に加え、その後、3時間、常圧で沸騰状態を保ち(内温175〜178℃)脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。なお、脱水触媒は反応条件下において液体であり、反応液中に微分散していた。
反応終了後の液を室温まで冷却したところ、タール状の沈殿物と、溶液部分に分離した。溶液部分の重量は2589gであり、ガスクロマトグラフ分析を実施した(図5参照)。その結果、前記式(3a)で表される目的物のビシクロヘキシル−3,3’−ジエンの濃度が8.6%であったため、反応液中に含まれる目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3’−ジエン)とその異性体を合わせた重量は224g(1.38モル、収率98%)となった。また、GC/MS分析では、保持時間14.4分に前記式(4)で表される反応中間体である4−(3’−シクロヘキセニル)シクロヘキサノールが検出された以降には何も検出されなかった(図6参照)。
次に反応終了液を10段のオールダーショウ型の蒸留塔を用い、プソイドクメンを留去した後、10Torr(1.33kPa)、塔頂温度107℃にて蒸留し、留出液として、異性体を含んだビシクロヘキシル−3,3’−ジエン221g(1.36モル)を得た[GC/MS分析により、異性体を含むことを確認(図7〜9参照)]。脱水反応に使用した水添ビフェノール基準の収率は97%であった。ガスクロマトグラフ分析により、目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3’−ジエン)と異性体の含有比は90:10であった(図10参照)。
なお、GC/MS分析のチャートにおいて、図7はトータルイオンクロマトグラム、図8はトータルイオンクロマトグラムの拡大図(上図)と目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3′−ジエン)のMSチャート(下図)、図9はトータルイオンクロマトグラムの拡大図(上図)と異性体のMSチャート(下図)である。トータルイオンクロマトグラムにおいて、保持時間の長い方の成分が目的化合物であり、保持時間の短い方の成分が異性体である。目的化合物と異性体とは分子量が同じであるためマスパターンは近似しているが、目的化合物の各フラグメントピークと異性体の各フラグメントピークは強度が異なる。
実施例11
95重量%硫酸70g(0.68モル)と1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン87g(0.57モル)を撹拌混合して脱水触媒を調製した。
撹拌器、温度計、および脱水管を備え、且つ保温された留出配管を具備した3Lのフラスコに上記で調製した脱水触媒157g(硫酸として0.68モル)、プソイドクメン1908gを入れ、フラスコを加熱した。フラスコ内の液体が沸騰し、内温が174℃となった時点で、水添ビフェノール504g(2.5モル)を3時間かけて間欠的に加え、その後、5時間、常圧で沸騰状態を保ち(内温174〜178℃)、脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。なお、脱水触媒は反応条件下において液体であり、反応液中に微分散していた。
反応終了後の液を室温まで冷却したところ、タール状の沈殿物と、溶液部分に分離した。溶液部分の重量は2321gであり、ガスクロマトグラフ分析による目的物のビシクロヘキシル−3,3’−ジエンの濃度が17.1%であったことから、反応液中に含まれる目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3’−ジエン)とその異性体を合わせた重量は397g(2.45モル、収率96%)となった。また、GC/MS分析では、保持時間14.4分に反応中間体である4−(3’−シクロヘキセニル)シクロヘキサノールが検出された以降には何も検出されなかった。
次に反応終了液を10段のオールダーショウ型の蒸留塔を用い、プソイドクメンを留去した後、10Torr(1.33kPa)、塔頂温度107℃にて蒸留し、異性体を含むビシクロヘキシル−3,3’−ジエン393g(2.42モル)を得た。脱水反応に使用した水添ビフェノール基準の収率は95%であった。ガスクロマトグラフ分析により、目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3’−ジエン)と異性体の含有比は90:10であった。
実施例12
95重量%硫酸77g(0.74モル)とトリエチルアミン63g(0.63モル)を撹拌混合して脱水触媒を調製した。
撹拌器、温度計、および脱水管を備え、且つ保温された留出配管を具備した3Lのフラスコに上記で調製した脱水触媒140g(硫酸として0.74モル)、プソイドクメン2418gを入れ、フラスコを加熱した。フラスコ内の液体が沸騰し、内温が175℃となった時点で、水添ビフェノール359g(1.8モル)を50分かけて間欠的に加え、その後、3時間、常圧で沸騰状態を保ち(内温175〜178℃)、脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。なお、脱水触媒は反応条件下において液体であり、反応液中に微分散していた。
反応終了後の液を室温まで冷却したところ、タール状の沈殿物と、溶液部分に分離した。溶液部分の重量は2719gであり、ガスクロマトグラフ分析による目的物のビシクロヘキシル−3,3’−ジエンの濃度が9.2%であったことから、反応液中に含まれる目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3’−ジエン)とその異性体を合わせた重量は250g(1.54モル、収率85%)となった。また、GC/MS分析では、保持時間14.4分に反応中間体である4−(3’−シクロヘキセニル)シクロヘキサノールが検出された以降には何も検出されなかった。
次に反応終了液を10段のオールダーショウ型の蒸留塔を用い、プソイドクメンを留去した後、10Torr(1.33kPa)、塔頂温度107℃にて蒸留し、異性体を含むビシクロヘキシル−3,3’−ジエン247g(1.52モル)を得た。脱水反応に使用した水添ビフェノール基準の収率は84%であった。ガスクロマトグラフ分析により、目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3’−ジエン)と異性体の含有比は86:14であった。
比較例4
撹拌器、温度計、および脱水管を備え、且つ保温された留出配管を具備した3Lのフラスコに硫酸水素ナトリウム126g(0.93モル)、プソイドクメン2160gを入れ、フラスコを加熱した。フラスコ内の液体が沸騰し、内温が176℃となった時点で、水添ビフェノール280g(1.41モル)を50分かけて間欠的に加え、その後、2時間、常圧で沸騰状態を保ち(内温176〜178℃)脱水反応を行ったが、水の留出を確認できなかったため、反応を終了した。
反応終了後の液を室温まで冷却したところ、未反応の水添ビフェノールが析出したため、濾過を行い、濾液1969gを回収した。ガスクロマトグラフ分析による目的物のビシクロヘキシル−3,3’−ジエンの濃度が0.3%であったため、反応液中に含まれる目的化合物(ビシクロヘキシル−3,3’−ジエン)とその異性体を合わせた重量は5.7g(0.03モル、収率2%)であった。そのため、その後のGC/MS分析、蒸留精製は実施しなかった。
本発明の製造方法によれば、異性体等の不純物含量の少ない高純度の環状オレフィン化合物を簡易に且つ高い収率で工業的に効率よく製造することができる。

Claims (9)

  1. ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2以上有する脂環式アルコールを分子内脱水して、分子中にシクロヘキセン環を2以上有する環状オレフィン化合物を製造する方法であって、(i)前記脂環式アルコールを、有機溶媒中、反応条件下において液状又は反応液に溶解する脱水触媒の存在下、20Torr(2.67kPa)を超える圧力下で130〜230℃の温度に加熱し、副生する水を留去しながら脱水反応を行う工程と、(ii)前記工程(i)に続いて、反応混合液を200Torr(26.7kPa)以下の圧力下で50〜220℃の温度に加熱して、前記環状オレフィン化合物を留出させる工程とを含み、
    工程(i)において、反応条件下において液状又は反応液に溶解する脱水触媒が存在する130〜230℃の温度に加熱した有機溶媒中へ、20Torr(2.67kPa)を超える圧力下、脂環式アルコールを間欠的又は連続的に投入しつつ、副生する水を留去しながら脱水反応を行い、
    反応条件下において液状又は反応液に溶解する脱水触媒が、スルホン酸類と有機塩基の完全中和塩、リン酸と有機塩基の完全中和塩、硫酸と有機塩基の完全中和塩、スルホン酸類の有機塩基による部分中和塩、リン酸の有機塩基による部分中和塩、及び硫酸の有機塩基による部分中和塩からなる群より選択された少なくとも1種である環状オレフィン化合物の製造方法。
  2. 下記式(1)
    Figure 0005340726
    [式中、Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO2−、及びハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状骨格を有する2価の炭化水素基から選択された2価の基、又はこれらの基が複数個結合した2価の基を示す]
    で表される脂環式アルコールを分子内脱水して、下記式(2)
    Figure 0005340726
    [式中、Yは前記に同じ]
    で表される環状オレフィン化合物を製造する請求項1記載の環状オレフィン化合物の製造方法。
  3. 有機溶媒が芳香族炭化水素及び脂肪族炭化水素からなる群より選択された少なくとも1種の溶媒である請求項1又は2記載の環状オレフィン化合物の製造方法。
  4. 反応条件下において液状又は反応液に溶解する脱水触媒を、脂環式アルコール1モルに対して0.001〜0.5モル使用する請求項1〜3の何れかの項に記載の環状オレフィン化合物の製造方法。
  5. 工程(i)において、脂環式アルコールの全量を反応系に投入し終えるまでの時間が10分〜25時間である請求項1〜4の何れかの項に記載の環状オレフィン化合物の製造方法。
  6. 前記部分中和塩又は完全中和塩が、酸と有機塩基とを反応させて得られる反応混合物であり、酸と有機塩基との混合割合が、酸1当量に対して、有機塩基が0.01〜1当量である請求項1〜5の何れかの項に記載の環状オレフィン化合物の製造方法。
  7. ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2以上有する脂環式アルコールが、下記式(1a)
    Figure 0005340726
    で表される化合物である請求項1〜6の何れかの項に記載の環状オレフィン化合物の製造方法。
  8. ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2以上有する脂環式アルコールが、下記式(1b)
    Figure 0005340726
    で表される化合物である請求項1〜6の何れかの項に記載の環状オレフィン化合物の製造方法。
  9. ヒドロキシル基の結合したシクロヘキサン環を分子中に2以上有する脂環式アルコールが、下記式(1c)
    Figure 0005340726
    で表される化合物である請求項1〜6の何れかの項に記載の環状オレフィン化合物の製造方法。
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