JPH11335320A - α−オキソカルボン酸の製造方法 - Google Patents

α−オキソカルボン酸の製造方法

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JPH11335320A
JPH11335320A JP10136848A JP13684898A JPH11335320A JP H11335320 A JPH11335320 A JP H11335320A JP 10136848 A JP10136848 A JP 10136848A JP 13684898 A JP13684898 A JP 13684898A JP H11335320 A JPH11335320 A JP H11335320A
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acid
oxocarboxylic
oxocarboxylic acid
water
ester
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JP10136848A
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Noboru Saito
昇 斉藤
Hideyuki Baba
英幸 馬場
Masanori Nonoguchi
真則 野々口
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高純度のα−オキソカルボン酸を簡単にかつ
安価に製造することができる方法を提供する。 【解決手段】 α−オキソカルボン酸エステルを水の共
存下で反応蒸留する。つまり、α−オキソカルボン酸エ
ステルを気液接触により加水分解することによってα−
オキソカルボン酸を得ると共に、副生アルコールを系外
に留去する。α−オキソカルボン酸エステルとしては、
グリオキシル酸エステルがより好ましく、グリオキシル
酸メチルが特に好ましい。水とα−オキソカルボン酸エ
ステルとのモル比(水/α−オキソカルボン酸エステ
ル)は、1/1〜20/1の範囲内、より好ましくは3
/1〜10/1の範囲内とすればよい。上記反応蒸留
は、必要に応じて、酸、および/または、水と共沸組成
物を形成する有機溶媒の存在下で実施することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α−オキソカルボ
ン酸エステルを加水分解することによってα−オキソカ
ルボン酸を製造する方法に関するものである。代表的な
α−オキソカルボン酸であるグリオキシル酸は、例え
ば、医薬修飾剤、化粧品、香料、農薬等の各種製品の中
間原料として、工業的に有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】従来より、代表的なα−オキソカルボン
酸であるグリオキシル酸の製造方法としては、例えば、
グリオキサールを硝酸および過酸化水素等と液相反応
させる方法、グリオキサールを例えば白金またはパラ
ジウムを含む触媒および酸素の存在下で液相酸化する方
法(特開平9−104652号公報)、等が知られてい
る。
【0003】また、グリオキサール以外の化合物を出発
物質とするグリオキシル酸の製造方法としては、例え
ば、マレイン酸をオゾンを用いて酸化する方法、シ
ュウ酸を陰極還元する方法、等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、グリオ
キサールを出発物質とする上記従来の方法では、窒素
酸化物が多量に副生(排出)されると共に、高価な過酸
化水素を用いなければならない。一方、上記従来の方法
では、副生成物としてシュウ酸等が副生されると共
に、グリオキサールを比較的低濃度の条件下で液相酸化
しなければならないので生産性が低く、かつ高純度のグ
リオキシル酸を得ることができない。
【0005】また、グリオキサール以外の化合物を出発
物質とする上記従来の方法では、高価でかつ有毒なオ
ゾンを用いなければならず、しかも反応工程が長いので
生産性が低い。一方、上記従来の方法では、高価な電
解助剤や電気を用いなければならないので、経済的に不
利である。
【0006】つまり、上記従来の方法では、何れも、グ
リオキシル酸を安価に製造することができないという問
題点を有している。従って、高純度のグリオキシル酸を
簡単にかつ安価に製造することができる方法が嘱望され
ている。
【0007】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、高純度のα−オキソカルボ
ン酸を簡単にかつ安価に製造することができる方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記の
目的を達成すべく、α−オキソカルボン酸の製造方法に
ついて鋭意検討した。その結果、α−オキソカルボン酸
エステルを水の共存下で反応蒸留することにより、高純
度のα−オキソカルボン酸を従来よりも簡単にかつ安価
に製造することができることを見い出して、本発明を完
成させるに至った。尚、出発物質である上記α−オキソ
カルボン酸エステルは、例えば、α−オキソアルデヒド
とアルコール等とを、酸素および触媒の存在下で気相酸
化することによって、簡単にかつ安価に得ることができ
る。
【0009】即ち、請求項1記載の発明のα−オキソカ
ルボン酸の製造方法は、上記の課題を解決するために、
α−オキソカルボン酸エステルを水の共存下で反応蒸留
することを特徴としている。
【0010】請求項2記載の発明のα−オキソカルボン
酸の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項
1記載の製造方法において、酸の存在下で反応蒸留する
ことを特徴としている。
【0011】請求項3記載の発明のα−オキソカルボン
酸の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項
2記載の製造方法において、上記酸がα−オキソカルボ
ン酸であることを特徴としている。
【0012】請求項4記載の発明のα−オキソカルボン
酸の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項
1、2または3記載の製造方法において、水と共沸組成
物を形成する有機溶媒の存在下で反応蒸留することを特
徴としている。
【0013】請求項5記載の発明のα−オキソカルボン
酸の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項
1、2、3または4記載の製造方法において、α−オキ
ソカルボン酸エステルがグリオキシル酸エステルである
ことを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明にかかるα−オキソカルボ
ン酸の製造方法は、α−オキソカルボン酸エステルを水
の共存下で反応蒸留する方法である。つまり、本発明に
かかるα−オキソカルボン酸の製造方法は、α−オキソ
カルボン酸エステルを加水分解することによってα−オ
キソカルボン酸を得ると共に、副生成物であるアルコー
ル(以下、副生アルコールと記す)を系外に留去する方
法である。
【0015】出発原料として用いるα−オキソカルボン
酸エステルは、特に限定されるものではないが、下記一
般式R1 CO−COOR2(式中、R1 は有機残基を表
し、R2 は炭素数1〜3のアルキル基を表す)で示され
る化合物が好適である。上記R1 で表される有機残基と
しては、具体的には、例えば、水素原子;メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のアルキル
基;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
上記R2で表される炭素数1〜3のアルキル基として
は、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基が挙げられ、このうち、生成するα
−オキソカルボン酸および水と、副生アルコールとの沸
点差が大きくなり易く、それゆえ該副生アルコールを容
易に留去することができる等の観点から、メチル基がよ
り好ましい。
【0016】上記α−オキソカルボン酸エステルとして
は、工業的な有用性、並びに、得られるα−オキソカル
ボン酸の分離の容易さ等から、グリオキシル酸エステル
がより好ましい。α−オキソカルボン酸エステルがグリ
オキシル酸エステルである場合には、工業的に特に有用
な化合物である、高純度のグリオキシル酸を簡単にかつ
安価に製造することができる。該グリオキシル酸エステ
ルとしては、具体的には、グリオキシル酸メチル、グリ
オキシル酸エチル、グリオキシル酸n−プロピル、グリ
オキシル酸イソプロピルが挙げられ、このうち、グリオ
キシル酸メチルが特に好ましい。
【0017】上記α−オキソカルボン酸エステルは、市
販品を用いるのが簡便ではあるが、工業的には従来公知
の製造方法、例えば、アルキレングリコールである1,
2−ジオールを酸素(分子状酸素)、および金属銀等の
触媒の存在下で気相酸化(酸化的脱水素)することによ
りα−オキソアルデヒドを得た後、該α−オキソアルデ
ヒドと、アルコールまたはオレフィンとを、酸素(分子
状酸素)、およびリン含有無機酸化物を含む触媒の存在
下で気相酸化(酸化的エステル化)する方法等によって
製造することが好ましい。該方法によれば、α−オキソ
アルデヒドからα−オキソカルボン酸エステルを一旦生
成した後、α−オキソカルボン酸を得るので、α−オキ
ソアルデヒドから直接的にα−オキソカルボン酸を得る
従来の方法と比較して、例えばシュウ酸等の副生成物の
生成を抑制することができる。これにより、より一層高
純度のα−オキソカルボン酸を簡単にかつ安価に製造す
ることができる。尚、α−オキソカルボン酸エステルの
製造方法は、特に限定されるものではない。
【0018】また、例えば上記方法によって得られるα
−オキソカルボン酸エステルは、そのまま本発明にかか
る製造方法に供することができるが、より高純度のα−
オキソカルボン酸を製造するには、水以外の不純物が可
能な限り少なくなるように、粗α−オキソカルボン酸エ
ステルを種々の手法によって精製することがより好まし
い。具体的には、例えば、α−オキソカルボン酸エステ
ルがグリオキシル酸メチルである場合には、粗グリオキ
シル酸メチルを粗蒸留した後、共沸脱水蒸留によって水
を留去し、さらに精留することによって精製グリオキシ
ル酸メチルを得る手法を採用することができる。
【0019】水とα−オキソカルボン酸エステルとのモ
ル比(水/α−オキソカルボン酸エステル)は、反応蒸
留の反応条件等に応じて決定すればよく、特に限定され
るものではないが、具体的には、1/1〜20/1の範
囲内、より好ましくは3/1〜10/1の範囲内とすれ
ばよい。
【0020】α−オキソカルボン酸エステルの加水分解
は、下記反応式 R1 CO−COOR2 + H2 O←→ R1 CO−C
OOH + R2 OH (式中、R1 は有機残基を表し、R2 は炭素数1〜3の
アルキル基を表す)で示される平衡反応である。従っ
て、副生アルコールを系外に除去することにより、平衡
が生成系側に偏って加水分解が進行し、α−オキソカル
ボン酸が生成する。
【0021】本発明にかかる製造方法においては、上記
加水分解をより一層促進させるために、必要に応じて、
酸の存在下で反応蒸留することができる。該酸として
は、従来公知の均一系酸触媒や不均一系酸触媒、具体的
には、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;酢酸等
の有機酸;活性アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライ
ト等の固体酸;等が挙げられるが、特に限定されるもの
ではない。これら酸は、一種類のみを用いてもよく、ま
た、二種類以上を併用してもよい。α−オキソカルボン
酸エステルに酸を添加する方法は、特に限定されるもの
ではない。また、上記酸として、α−オキソカルボン
酸、特に目的物としているα−オキソカルボン酸(例え
ば、グリオキシル酸メチルの場合にはグリオキシル酸)
を用いることもできる。つまり、α−オキソカルボン酸
は酸性を有しているので、本発明にかかる酸として作用
し、上記平衡が生成系側に偏るので、加水分解がより一
層促進する。従って、高純度のα−オキソカルボン酸を
より一層簡単にかつ安価に製造することができる。
【0022】本発明にかかる製造方法においては、反応
蒸留を行った後、水を留去するために、必要に応じて、
水と共沸組成物を形成する有機溶媒(共沸剤)の存在下
で反応蒸留することができる。該有機溶媒としては、具
体的には、例えば、シクロヘキサン、酢酸n−プロピル
等が挙げられるが、特に限定されるものではない。有機
溶媒の存在下で反応蒸留を行った後、共沸組成物を形成
して水を留去することにより、即ち、共沸脱水操作を行
うことにより、より一層高純度かつ高濃度のα−オキソ
カルボン酸を製造することができる。
【0023】本発明にかかる製造方法を実施するための
反応蒸留装置は、該装置内に気相部が存在し、生成した
副生アルコール(低沸点成分)が該気相部へ連続的に分
離・除去され得る構造を備えていればよい。該反応蒸留
装置としては、例えば、一般的に用いられている各種蒸
留装置、より具体的には、多段式蒸留塔等の、回分式
(バッチ式)蒸留装置または連続式蒸留装置が好適であ
るが、特に限定されるものではない。つまり、α−オキ
ソカルボン酸エステルの反応蒸留は、必要に応じて、連
続的に実施することができる。
【0024】反応蒸留装置が多段式蒸留塔である場合に
おける該蒸留塔の段数、並びに、反応温度や反応圧、液
の滞留時間、還流比、および液のホールドアップ量等の
反応条件(操作条件)は、実験的または理論的に、例え
ば、副生アルコールと共に留去される水の量が過度にな
らない程度(過度に水が留去されない程度)の段数並び
に反応条件とすればよく、特に限定されるものではな
い。但し、段数や還流比を極端に小さくすると、反応効
率が低下し、α−オキソカルボン酸を効率的に製造する
ことが困難となるおそれがある。また、段数や還流比を
極端に大きくすると、本発明にかかる製造方法を例えば
工業的に実施する上で、装置(設備)が過大となるの
で、経済的に不利である。
【0025】上記多段式蒸留塔としては、塔頂(最上
段)と塔底(最下段)とを除いた段数が3段以上の蒸留
塔が好ましい。このような蒸留塔としては、例えば、ラ
シヒリング、ポールリング、インタロックスサドル、デ
ィクソンパッキング、マクマホンパッキング、スルーザ
ーパッキング等の充填物が充填された充填塔;泡鐘トレ
イ、シーブトレイ、バルブトレイ等のトレイ(棚段)を
使用した棚段塔等、一般に用いられている蒸留塔が好適
である。また、棚段と充填物層とを併せ持つ複合式の蒸
留塔も採用することができる。上記の段数とは、棚段塔
においては棚段の数を示し、充填塔においては理論段数
を示す。
【0026】反応蒸留装置として回分式蒸留装置を用い
て、本発明にかかる製造方法を実施する際には、α−オ
キソカルボン酸エステル、水、および、必要に応じて酸
および/または有機溶媒を該装置の蒸発缶に仕込んだ
後、該混合液を反応温度(蒸留温度)に加温し、副生ア
ルコールを該装置の塔頂から留去しながら加水分解を進
行させる。これにより、α−オキソカルボン酸を含む水
溶液が蒸発缶に残る。
【0027】また、反応蒸留装置として連続式蒸留装置
を用いて、本発明にかかる製造方法を実施する際には、
例えば、α−オキソカルボン酸エステル、水、および、
必要に応じて酸および/または有機溶媒を含む混合液を
該装置の中段部(塔底と塔頂とを除いた中間部分の段)
に連続的に供給しながら該混合液を反応蒸留し、副生ア
ルコールを該装置の塔頂から連続的に留去する一方、α
−オキソカルボン酸を含む水溶液を該装置の塔底から連
続的に抜き出す。連続式蒸留装置に対するα−オキソカ
ルボン酸エステル、水、酸および有機溶媒の供給方法
は、特に限定されるものではなく、これら成分をそれぞ
れ別個に該装置に供給してもよい。つまり、これら成分
の該装置における供給段は、互いに異なる段であっても
よい。
【0028】但し、反応蒸留が効率的に行われるよう
に、これら成分における沸点のより低い成分の供給段の
方が、沸点のより高い成分の供給段よりも下段側となる
ように設定することが望ましい。また、酸を用いる場合
においては、酸の存在する領域(段)が多い程、α−オ
キソカルボン酸エステルと酸との接触頻度が増し、反応
効率が良好となる。このため、酸は、連続式蒸留装置に
おけるできるだけ上部の段に供給することが好ましい。
さらに、上記各成分は、液状で供給してもよく、ガス状
で供給してもよく、或いは、気液混合状態で供給しても
よい。尚、酸が固体酸(不均一系酸触媒)である場合に
は、該酸を例えば充填物の一部または全部に代えて連続
式蒸留装置に予め保持(充填)しておけばよい。また、
副生アルコールを系外に容易に除去するために、連続式
蒸留装置の下部からα−オキソカルボン酸エステルやα
−オキソカルボン酸等に対して不活性な気体(窒素ガス
等)を導入することもできる。
【0029】反応蒸留における反応条件は、α−オキソ
カルボン酸エステルの種類等に応じて設定すればよく、
特に限定されるものではないが、反応温度は、副生アル
コールの沸点以上、かつ、水の沸点以下であることが望
ましい。反応温度が副生アルコールの沸点未満である場
合には、該副生アルコールを効率的に留去することがで
きない。一方、反応温度が水の沸点を越える場合には、
過度に水が留去されてしまうので、反応蒸留を効率的に
実施することができない。また、α−オキソカルボン酸
エステルやα−オキソカルボン酸の分解反応等の副反応
を引き起こすおそれがある。尚、酸が無機酸や有機酸
(均一系酸触媒)である場合には、該酸は、蒸留等の公
知の方法を用いることにより、α−オキソカルボン酸か
ら分離・回収すればよい。
【0030】以上のように、本発明にかかるα−オキソ
カルボン酸の製造方法は、α−オキソカルボン酸エステ
ルを水の共存下で反応蒸留する方法である。つまり、α
−オキソカルボン酸エステルを加水分解することによっ
てα−オキソカルボン酸を得るので、副生成物が実質的
に副生アルコールだけである。そして、該副生アルコー
ルを留去するので、α−オキソカルボン酸の分離・精製
を容易に行うことができる。上記の方法により、高純度
のα−オキソカルボン酸が水溶液の状態で得られる。即
ち、高純度のα−オキソカルボン酸を簡単にかつ安価に
製造することができる。
【0031】また、有機溶媒を用いて共沸脱水操作を行
うことによって水を留去した場合には、より一層高純度
かつ高濃度のα−オキソカルボン酸が得られる。α−オ
キソカルボン酸は反応性に富んでおり、代表的なα−オ
キソカルボン酸であるグリオキシル酸は、例えば、医薬
修飾剤、化粧品、香料、農薬等の各種製品の中間原料と
して、工業的に有用な化合物である。
【0032】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。
【0033】〔実施例1〕先ず、出発原料として用いる
α−オキソカルボン酸エステルとしてのグリオキシル酸
メチルを、エチレングリコール(アルキレングリコー
ル)からグリオキサール(α−オキソアルデヒド)を一
旦合成した後、該グリオキサールから合成した。
【0034】即ち、金属銀(触媒)を充填した断熱型反
応器に、予め気化させたエチレングリコールと、空気お
よび窒素ガスとを混合してなる原料ガスを連続的に供給
して気相酸化(酸化的脱水素)することにより、グリオ
キサールを含む反応ガスを得た。次に、リン酸鉄および
酸化チタンからなる触媒を充填した熱交換型反応器に、
上記反応ガスと、予め気化させたメチルアルコールと、
空気とを混合してなる混合ガスを連続的に供給して気相
酸化(酸化的エステル化)することにより、グリオキシ
ル酸メチルを含む反応ガスを得た。上記両気相酸化は、
連続的に実施した。そして、該反応ガスを凝縮・捕集す
ることにより、グリオキシル酸メチル、メチルアルコー
ル、水、グリコール酸メチル、およびホルムアルデヒド
からなる粗グリオキシル酸メチル溶液を得た。エチレン
グリコールを基準としたグリオキシル酸メチルの収率
は、70%であった。
【0035】次いで、粗グリオキシル酸メチル溶液を粗
蒸留して軽沸点成分(メチルアルコール、水、ホルムア
ルデヒド)の大部分を留去した。粗蒸留した後のグリオ
キシル酸メチル溶液の組成は、グリオキシル酸メチル5
3.8重量%、メチルアルコール24.7重量%、水1
6.9重量%、グリコール酸メチル2.9重量%、およ
びホルムアルデヒド1.7重量%であった。続いて、こ
の溶液(缶出液)に酢酸n−プロピル(共沸剤)を添加
し、共沸脱水蒸留によって残りの水を留去し、さらに精
留することによって精製グリオキシル酸メチルを得た。
単離したグリオキシル酸メチルの純度は、99.7重量
%であった。尚、精製グリオキシル酸メチルには、不純
物として、メチルアルコールが0.1重量%、水が0.
1重量%の割合で含まれていた。
【0036】上記方法によって合成・単離したグリオキ
シル酸メチルを用いて、α−オキソカルボン酸としての
グリオキシル酸を製造した。即ち、反応蒸留装置とし
て、フラスコに段数3段の充填塔を接続し、さらに該充
填塔の塔頂に還流装置を設けた装置を用いた。そして、
上記のフラスコ(塔底)に、グリオキシル酸メチル3
2.6gに蒸留水60.6gを混合してなる混合液を仕
込んだ。次いで、反応蒸留装置の塔底温度(液温)を1
00℃に保持し、常圧で5時間かけて反応蒸留を行っ
た。この際、塔頂温度90℃で、メチルアルコール(副
生アルコール)を43.0重量%の割合で含む留出液2
7.6gを留去した。
【0037】反応蒸留を終了した後、上記フラスコか
ら、グリオキシル酸を41.7重量%の割合で含む水溶
液を取り出した。グリオキシル酸メチルを基準としたグ
リオキシル酸の収率は、100%であった。また、上記
水溶液には、副生成物は含まれていなかった。
【0038】〔実施例2〕実施例1において合成・粗蒸
留して得たグリオキシル酸メチル溶液100gに蒸留水
40gを混合してなる混合液を、上記のフラスコ(塔
底)に仕込んだ以外は、同実施例と同様にして反応蒸留
を行った。この際、メチルアルコールを82.7重量%
の割合で含む留出液54.8gを留去した。
【0039】反応蒸留を終了した後、該フラスコからグ
リオキシル酸を含む水溶液90.6gを取り出した。該
水溶液の組成は、グリオキシル酸51.3重量%、水4
4.2重量%、グリコール酸2.6重量%、およびホル
ムアルデヒド1.9重量%であった。グリオキシル酸メ
チルを基準としたグリオキシル酸の収率は、100%で
あった。
【0040】〔実施例3〕反応蒸留装置として、フラス
コにディーン・スターク(Dean-Stark)蒸留器を接続した
装置を用いた。そして、上記のフラスコ(塔底)に、実
施例1において合成・単離して得たグリオキシル酸メチ
ル32.6gと、蒸留水60.6gと、有機溶媒として
のシクロヘキサン73gとを混合してなる混合液を仕込
んだ。
【0041】次いで、反応蒸留装置の塔底温度(液温)
を76℃〜80℃に保持し、常圧で反応蒸留を行った。
この際、メチルアルコールを含む留出液を留去した。す
ると、約10時間後に、水(水とシクロヘキサンとの共
沸組成物等)が留出しなくなった。
【0042】反応蒸留を終了した後、上記フラスコか
ら、流動性を有する透明な液体を取り出した。該液体に
含まれる水分をカールフィッシャー滴定法で測定したと
ころ、10.7重量%であった。また、該液体を液体ク
ロマトグラフィーで分析したところ、グリオキシル酸以
外の化合物は検出されなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のα−オキソカル
ボン酸の製造方法によれば、α−オキソカルボン酸エス
テルを加水分解することによってα−オキソカルボン酸
を得るので、副生成物が実質的にアルコールだけであ
り、しかも、該アルコールを留去するので、α−オキソ
カルボン酸の分離・精製を容易に行うことができる。そ
れゆえ、高純度のα−オキソカルボン酸を簡単にかつ安
価に製造することができるという効果を奏する。
【0044】本発明の請求項2または3記載のα−オキ
ソカルボン酸の製造方法によれば、α−オキソカルボン
酸エステルの加水分解をより一層促進させることができ
るので、高純度のα−オキソカルボン酸をより一層簡単
にかつ安価に製造することができるという効果を奏す
る。
【0045】本発明の請求項4記載のα−オキソカルボ
ン酸の製造方法によれば、反応蒸留を行った後、共沸組
成物を形成して水を留去することができるので、より一
層高純度かつ高濃度のα−オキソカルボン酸を製造する
ことができるという効果を奏する。
【0046】本発明の請求項5記載のα−オキソカルボ
ン酸の製造方法によれば、高純度のグリオキシル酸を簡
単にかつ安価に製造することができるという効果を奏す
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】α−オキソカルボン酸エステルを水の共存
    下で反応蒸留することを特徴とするα−オキソカルボン
    酸の製造方法。
  2. 【請求項2】酸の存在下で反応蒸留することを特徴とす
    る請求項1記載のα−オキソカルボン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】上記酸がα−オキソカルボン酸であること
    を特徴とする請求項2記載のα−オキソカルボン酸の製
    造方法。
  4. 【請求項4】水と共沸組成物を形成する有機溶媒の存在
    下で反応蒸留することを特徴とする請求項1、2または
    3記載のα−オキソカルボン酸の製造方法。
  5. 【請求項5】α−オキソカルボン酸エステルがグリオキ
    シル酸エステルであることを特徴とする請求項1、2、
    3または4記載のα−オキソカルボン酸の製造方法。
JP10136848A 1998-05-19 1998-05-19 α−オキソカルボン酸の製造方法 Withdrawn JPH11335320A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102060690A (zh) * 2011-01-10 2011-05-18 黄骅桑田化工有限公司 乙醛酸精制提纯方法及其装置

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