JP3682805B2 - 飽和脂肪族カルボン酸アミドの製造方法 - Google Patents

飽和脂肪族カルボン酸アミドの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶剤、可溶化剤、可塑剤の安定剤、染料、医薬品、その他の有機合成用材料に広く用いられている飽和脂肪族カルボン酸アミド(以下単にカルボン酸アミドという。)の製造方法に関する。更に詳しく述べれば、対応する飽和脂肪族カルボン酸(以下カルボン酸という。)とアンモニアから得られるアンモニウム塩の脱水反応を水の存在下にて行いカルボン酸アミドを得、水をカルボン酸のアンモニウムと共に分離して副生物の生成量を抑え、効率よく高純度なカルボン酸アミドを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カルボン酸アミドは、カルボン酸とアンモニアからカルボン酸のアンモニウム塩を合成し、これを脱水反応させることによって製造しうることが知られている。
工業的製造方法においては、目的とするカルボン酸アミド、個々の出発原料や副生物の種類、物性等によって、目的物であるカルボン酸アミドの分離精製条件や副生物、未反応原料の除去やリサイクルの条件が大きく左右され、特に、原料のコストや入手の容易性、分離精製後の目的の最終収得率、分離精製系を含めた全生産工程のシンプルさ、製造設備の建設費、運転操作性、ユーティリティーコストなども極めて重要な要因であり、これら全てを総合的に見てプロセスを決定する必要がある。
カルボン酸アミドはカルボン酸とアンモニアから得られるカルボン酸アンモニウムの脱水反応によって製造されている。操作はバッチ式、反応温度150〜220℃、反応時間12〜30時間で行われ、副生する水を低沸点留分として反応装置上部から取り除きながら運転される。
【0003】
この方法でカルボン酸アミドを製造した場合、カルボン酸アンモニウムの転化率が90%以上と高転化率で反応を行うことが可能である。しかし、ニトリル化合物、カルボン酸アミド2量化物などの副生物が比較的多く生成するため、カルボン酸アミド選択率が90〜95%と低く、目的物の最終的な収得率も満足できるものではない。
更にバッチ反応であること、処理時間が長いこと、副生物生成量が多いことなどを考慮すると、生産性、経済性から判断して、上記製造方法は工業的に有利な製造方法とは言えないものである。
【0004】
英国特許第935391号公報、特開昭57−38754号公報などには、カルボン酸アミドの連続的製造法として、カルボン酸、またはカルボン酸アンモニウムを反応塔上部、または中央部分から、アンモニウムを反応塔下部から連続的に供給し、カルボン酸アミドを製造する方法が開発されている。
この製造方法では、反応原料としてアンモニウムをカルボン酸に対して過剰に使用している。その余乗分のアンモニアは水と共に反応塔上部から留出するが、その留分を凝縮するためには極めて低い温度の冷媒を用いなければならない。更に、留分として回収されるアンモニア水から水を留去するための分離装置、その分離操作によって得られるアンモニアガスを回収するための吸収塔が必要であり、経済性、操作性といった点で満足できる製造方法とは言えない。
また、カルボン酸アンモニウムの分解反応によって生じるアンモニアガスの多くは反応塔上部から系外に留出する。そのため、原料として加えたアンモニア量に対するカルボン酸アミドの収率は満足できるものとは言えず、更にニトリル化合物、カルボン酸アミド2量化物などの副生物も比較的多く生成する欠点がある。
【0005】
一方、カルボン酸アミドの脱水縮合触媒として、酸化モリブデン、アルキルスズ系触媒、シリカゲル−アルミナ混合物、四塩化チタン触媒を用いたカルボン酸アミドの製造方法が開発されている。
この方法は比較的低温下で反応が行えるため、ニトリル化合物、カルボン酸アミド2量化物等の副生物の生成を抑制でき、反応時間も短縮化される。しかし反応に触媒を用いた場合、得られた目的物中に触媒が溶解することが懸念されるため、反応終了後製品化合物から触媒を分離する工程が必要となってくる。触媒使用に伴う触媒製造、触媒除去コストも考慮すると、この方法もまた満足できる製造方法とは言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高純度なカルボン酸アミドを副生物が少なく、分離精製後の目的の最終収得率、分離精製系を含めた全生産工程のシンプルさ、製造設備の建設費、運転操作性、ユーティリティーコストなど簡単、高収得率、高選択率で工業的有利に製造することが可能な連続的な製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、本発明のカルボン酸アミドの製造方法を完成するに至った。即ち本発明は、
[1](1)第1工程として、反応容器に式RCOOH(式中、Rは炭素数1〜4の飽和アルキル基を示す。)で表される飽和脂肪族カルボン酸及びアンモニアを供給するかまたはそれらと共に第2工程及び/または第3工程において回収される該カルボン酸のアンモニウム塩を含む成分を供給し、該カルボン酸とアンモニアから得られる該カルボン酸のアンモニウム塩の脱水反応を、副生する水を分離することなく水の存在下で行い、該カルボン酸アミドを含む混合成分を得る工程、
(2)第2工程として、第1工程で得られたカルボン酸アミドを含む混合成分を蒸留して該混合成分から該カルボン酸アミドを分離する工程、および
(3)第3工程として、第2工程で低沸点留分として回収された留分に、飽和脂肪族カルボン酸アンモニウム塩とカルボン酸のモル比がアンモニウム塩/カルボン酸=10/1〜20となるようにカルボン酸またはアンモニアを加えて調整し、水を留去し、該カルボン酸のアンモニウム塩を回収する工程からなることを特徴とする飽和脂肪族カルボン酸アミドの製造方法。
【0008】
[2] 飽和脂肪族カルボン酸が酢酸であり、カルボン酸アミドがアセトアミドである[1]に記載の飽和脂肪族カルボン酸アミドの製造方法を開発することにより上記の目的を達成した。
以下、本発明ついて、更に詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
第1工程は、反応容器にカルボン酸とアンモニアを供給するかまたはそれらと第2工程及び/または第3工程において回収されるカルボン酸のアンモニウム塩を主成分とする成分を反応容器に供給し脱水反応を水の存在下で行い、目的物であるカルボン酸アミドを含む成分を得る工程である。
目的とするカルボン酸アミドとしてはアセトアミド、プロピオンアミド、iso−ブチルアミド、n−ブチルアミド、tert- ブチルアミド、2−メチル−n−ブチルアミドなどが挙げられるが、特にアセトアミドが好ましい。
【0010】
反応に用いるカルボン酸、あるいはそのアンモニウム塩のカルボン酸は、カルボン酸アミドに対応するカルボン酸であり、具体的には酢酸、プロピオン酸、iso−酪酸、n−酪酸、ピバリン酸、iso−吉草酸、n−吉草酸などが挙げられる。
【0011】
第1工程における脱水反応は、130〜250℃の範囲にて行い、特に160〜200℃で行うのが望ましい。反応温度が130℃より低くなると、アンモニウム塩の転化率が十分上がらず、処理時間も長期化する事になる。反応温度が250℃より高くなると、副生物の生成が大きくなり、反応系の圧力が高くなり、装置的により高価な反応容器が必要であり、コスト的に不利となる。反応時間は、反応温度などの反応条件にもよるが、通常は滞留時間1〜10時間が妥当である。
【00012】
反応に供する原料のモル比は、カルボン酸(第2工程及び第3工程よりサイクルされるアンモニウム塩のカルボン酸分も含む)/アンモニア(第2工程または第3工程よりリサイクルされるアンモニウム塩のアンモニア分も含む)=0.1〜10/1の範囲が好ましく、より好ましくはカルボン酸/アンモニア=0.5〜2/1、更にカルボン酸/アンモニア=0.8〜1.2/1であるのが特に好ましい。
上記した割合よりカルボン酸の配合比を少なくしたり、または多く加えても反応成績等に及ぼす影響は少ないが、リサイクルするアンモニア、またはカルホン酸の量が増加するだけであり、装置的にもエネルギー的にも無駄になる。
また、カルボン酸供給モル量/アンモニア供給モル量を1より小さい条件で脱水反応を行う場合には、第2工程の蒸留操作において、低沸点留分の過剰な遊離のアンモニア成分を回収しなければならない。その場合、アンモニアを回収するため、アンモニア吸収塔などの特別な措置を講じる必要が生じてくる。カルボン酸供給モル量/アンモニア供給モル量の値が1に近いと導入する装置は簡易なものとなるが、上に示した値より低いと特別な装置が必要となる。
【0013】
反応原料の供給方法には特に制限はない。反応容器内に別々に直接供給しても良いし、予め別の混合槽で混合しカルボン酸アンモニウムを主成分とする混合液を作成した後、その混合液を容器内に供給し、脱水反応を進行させても良い。反応容器内に直接供給した場合は、反応装置内でカルボン酸とアンモニアからそのカルボン酸のアンモニウム塩が直ちに生成し、そのアンモニウム塩から脱水してカルボン酸アミドが合成される。
【0014】
この脱水反応を行う際の圧力に特に制限はないが、脱水反応により副生する水をできるだけ除去することなくその存在下で脱水反応を効率的進めるためには、より高温下で操作を行うのが望ましい。そのため、一般的に反応は加圧下で行われる。その圧力は、原料として加えるカルボン酸、アンモニア、そのカルボン酸のアンモニウム塩等の供給モル比、操作温度等に依存するが、2〜20kgf/cm2 が一般的である。
第1工程において用いられる反応装置としては、上記の脱水反応を行うに必要とされる最高圧力に耐えうる容器であれば特に制限はなく、その構造様式に厳密な条件はない。
【0015】
第2工程は、第1工程で得られたカルボン酸アミドを含む混合成分を蒸留し、精留塔底部から高純度なカルボン酸アミドを、精留塔塔頂から低沸騰点物を回収する工程である。
第2工程の操作は一般的な蒸留分離法で行われる。蒸留装置内の圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれの場合も差し支えがないが、蒸留温度を低下させ、ニトリル化合物やカルボン酸アミド2量化物などの副生成物が多量に生成するのを防ぐため減圧下で行うのが望ましい。
本発明のカルボン酸アミドにおいては、操作圧力は減圧度1〜400Torr、特に10〜100Torrで行うのが好ましい。また、その操作圧力によって精留塔内の温度分布は決定され、精留塔底部の温度が操作圧力に於けるカルボン酸アミドの沸騰点となるように蒸留操作を行うのが望ましい。
【0016】
第2工程の精留塔に供給される、蒸留原料としての第1工程で得られたカルボン酸アミドを含む混合成分の組成は、主として第1工程にフィードされた原料の配合比及びその反応条件によって決定される。通常、第1工程からカルボン酸アミドとして、濃度40〜70重量%の反応混合物が第2工程に供給される。本発明の実施においてはカルボン酸アミドの濃度に特に制限はないが、一般にカルボン酸アミド濃度の高い原料を用いた方が製造されるカルボン酸アミドの純度が高く、かつ同一装置であっても処理能力が大きくなるので望ましい。反応混合物のその他成分としては、水、カルボン酸アンモニウム、カルボン酸アミドの2量化物、アミジン系化合物などが挙げられるが、第1工程の原料フィードの配合組成によっては、更にカルボン酸またはアンモニアのいずれかが含まれることになる。
【0017】
アンモニアが含まれる混合成分を第2工程の原料として用いる場合、未凝縮ガスとしてアンモニアガスが減圧ラインへ流れ込む可能性がある。この場合には、蒸留装置と真空ポンプを結ぶ減圧ラインの途中にアンモニアガスを吸収するアンモニア吸収設備を設けることが望ましい。
そのアンモニアガス吸収設備の構造、様式には特に制限はないが、本発明をより効率的に実施するためにアンモニアの吸収を行うのに、カルボン酸アミドの原料と同一なカルボン酸をトラップ剤として用いるのが望ましい。
例えば、簡易なタワーを用い、カルボン酸を塔上部から、アンモニアを主成分とする未凝縮ガスを塔下部から供給し、気液接触させ、アンモニア等を吸収させる。その設備で回収されたアンモニアは第1工程へ送られ、反応原料として再利用する。このような操作を行うことによって、真空ポンプへのアンモニガスの流入を防止すると共に、原単位の向上も可能となすることができる。
【0018】
第1工程の混合成分を、第2工程の精留塔のいかなる位置に供給するかは特に制限はないが、供給位置と精留塔塔頂部の間には、カルボン酸アミドが精留塔塔頂から留出しないように、カルボン酸アミドと留出物が充分分離できるだけの分離性能を持った精留部分を設け、供給位置と精留塔塔底部の間には精留塔塔底からカルボン酸やそのアンモニウム塩などの低沸点物が許容量以上に留出しないように、カルボン酸アミドと低沸点物が充分分離できるだけの分離性能を持った精留部分を設けることが必要である。
【0019】
本発明に於いて用いられる蒸留装置としては特に制限はなく、その構造様式に厳密な条件はない。通常は精留塔部分として1〜100段、好ましくは5〜50段の理論段数を有するものを用いる。
精留塔の構造は任意の物が用いられ、例えば棚段塔としては、泡鐘トレー、ユニフラックストレー、フレキシトレー、ナッターフロートレー、バラストトレー、多孔板トレー、カスケードトレー、ベンチュリートレー、キッテルトレー、リサイクリングトレー、チムニートレー、ジェットトレー、ターボグリッドトレー、リップルトレー、デュアルフロートレー、バッフルトレー等を用いた棚段塔が挙げられる。
また、充填塔としてはリング型充填物、サドル型充填塔、スプレーパック、パナパック、グッドロイパッキング、ステッドマンパッキング、マクマホンパッキング、スルザーパッキング、ヘリクス、垂直平板充填物等を用いた充填塔が挙げられる。
【0020】
第2工程における還流比は、精留塔塔頂からのカルボン酸アミドの留出を可能な限り抑え、塔頂からの留出物がアンモニウム塩と水を主成分とする混合物となるように設定すれば良く、制限するわけではないが0.2〜10が望ましい。
精留塔塔頂からの回収される混合物の主成分は第1工程の反応原料であるカルボン酸のアンモニウム塩と水であり、第3工程へ送られる。
精留塔塔底からの缶出物は、カルボン酸アミド濃度が95〜99.9重量%の高純度なカルボン酸アミドである。これはそのまま製品として使用しても良いが、この分離したカルボン酸アミドを再度蒸留精製法、抽出蒸留精製法、各種晶折装置を用いた晶折精製法、吸着分離法または膜分離法など、一般的な精製方法でより高純度のカルボン酸アミドに精製しても良い。
【0021】
第3工程は、第2工程で精留塔塔頂から回収される、主成分が水とカルボン酸アンモニウム塩である混合成分から水を留去し、分離した主としてカルボン酸のアンモニウム塩からなる回収成分を第1工程へリサイクルする工程である。
操作は、第2工程と同様に一般的な蒸留分離法で行われる。蒸留装置内の圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれの場合でも差し支えがないが、減圧下で行うのが望ましい。蒸留する際の温度が高くなると、カルボン酸アンモニウムの分解反応が促進され、装置上部から水とともにアンモニアが留出することになり、その留分からアンモニアを留去するアンモニア水分離工程が別に必要となる。
操作圧力は、減圧度1〜600Torr、特に50〜300Torrで行うのが好ましい。また、その操作圧力によって精留等塔内の温度分布は決定される。
【0022】
第3工程に供給される、第2工程の精留塔塔頂からの回収成分である蒸留原料の組成は、主に第1工程の原料の供給配合比及び反応条件によって決定される。通常、カルボン酸のアンモニウム塩、水、およびカルボン酸若しくはアンモニアの混合液であり、第2工程より供給される。その原料混合液にカルボン酸またはアンモニアを、該混合液中のアンモニウム塩に対するカルボン酸のモル比がアンモニウム塩/カルボン酸=10/1〜20、好ましくは10/5〜10となるように、フリーのアンモニアが存在せずに、カルボン酸が若干過剰の条件になるように調整の上使用する。
【0023】
カルボン酸がアンモアに対し過剰に加えた時はアンモニウム塩の分解反応が抑制され、更に分解反応によってアンモニアガスが発生してもトラップ剤としての作用をするため、蒸留装置上部からのアンモニアの留出を抑えられる。また、装置下部から回収される第1工程へリサイクルされるカルボン酸のアンモニウム塩成分に含まれる水量を減少させることができ、更に本工程で使用される蒸留塔の理論段数も低くすることが可能である。
しかしカルボン酸を上記した割合より多く加えるとカルボン酸が装置上部から留出することとなり、またカルボン酸と水を分離する工程が別に必要となりるためコスト的に不利である。
【0024】
本第3工程において用いられる蒸留装置には特に制限はなく、その構造様式に厳密な条件はない。通常は、精留塔部分として1〜100段、好ましくは5〜50段の理論段数を有するものを用い、精留塔の構造は任意の物が用いられ、例えば棚段塔、充填塔が挙げられる。
原料の供給位置には特に制限はないが、供給位置と精留塔塔頂部の間には、カルボン酸、またはアンモニアが精留塔塔頂から許容量以上留出しないような分離性能を持った精留部分を設け、供給位置と精留塔塔底部の間には、精留塔塔底から水が許容量以上に缶出しないような分離性能を持った精留部分を設けるのが望ましい。
【0025】
この精留においては、精留塔塔頂からのカルボン酸、アンモニアの留出を抑え、塔頂から可能な限り水のみが流出するように設定すれば良く、通常還流比としては0.2〜10となるものが望ましい。
精留塔塔底からの回収物は、カルボン酸のアンモニウム塩と水、場合によっては更にカルボン酸を含む混合物を主成分とする混合物である。この混合物は、第1工程へ送られ再利用される。
【0026】
以上の説明からわかるように、本発明方法では、カルボン酸とアンモニウムから得られるカルボン酸アンモニウムの脱水反応が、第2工程及び/または第3工程からのリサイクル成分及び反応の進行に伴い生成した大量の水の存在下で進行させるところに特徴を有し、カルボン酸アミドの2量体、ニトリル化合物、アミジン系化合物の副生を抑制した条件下での脱水縮合反応を進行させる点にある。この結果、高選択率でカルボン酸アミドを製造することが可能となった。
またカルボン酸アミドの製造の際、副生する水は従来法ではカルボン酸、またはアンモニアとともに回収されていたのに対して、本発明方法においては、水とカルボン酸アンモニウムを主成分とする混合液として分離し、この水とカルボン酸アンモニウムを主成分とする混合液からの水の分離は、カルボン酸のアンモニウム塩の分解速度が遅い比較的低温下で蒸留操作を行うことによって副生物の生成を抑えると共に、この分離操作をカルボン酸存在下で行うことによって、より効率的に、簡易な装置で水を能率よく除去することが可能となった。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明は下記の例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
[第1工程]
温度170℃、圧力5kgf/cm2 に保たれた1m3 撹拌機付反応容器に、酢酸を61.2kg/時間、アンモニアを24.5kg/時間、第3工程より供給された、酢酸アンモニム/酢酸/水=20/15/10(モル比)の混合液を73.3kg/時間の割合で連続的に供給し、同時にアセトアミド濃度54重量%の混合成分(液)を159kg/時間の割合で連続的に抜き出した。この混合成分の酢酸アンモニウム転化率は72%であり、アセトアミド選択率99%であった。
【0028】
[第2工程]
マクマホン充填物が充填された理論段数22段の充填式精留塔の中央部に、第1工程から抜き出されたアセトアミド濃度54重量%の混合成分(液)を159kg/時間の割合で連続的に供給した。蒸留操作は圧力50Torr、還流比2で行い、蒸留塔塔底温度は142℃であった。濃縮物は、塔底より85.0kg/時間の割合で回収され、濃縮物のアセトアミド濃度は99重量%であった。また、塔頂からは酢酸アンモニウムと水の混合物が74.1kg/時間の割合で回収された。
[第3工程]
第2工程の低沸点成分として精留塔塔頂物として得られた酢酸アンモニウムと水の混合物に酢酸をモル比が酢酸アンモニウム/酢酸/水=28/21/86となるように加える。それをマクマホン充填物が充填された理論段数10段の充填式精留塔の下段に99.3kg/時間の割合で連続的に供給した。蒸留操作は圧力200Torr、還留比2で行い、蒸留塔ボトム温度は100℃であった。その結果、塔底から酢酸アンモニウム濃度59重量%の酢酸アンモニウム/酢酸/水混合成分が73.4kg/時間の割合で回収され、塔頂からは水濃度99.5重量%の成分が25.9kg/時間で回収された。その缶出物は第1工程の反応原料として再利用した。
【0029】
(実施例2)
[原料合成工程]
温度80℃に保たれた、酢酸アンモニウムの供給管が取り付けられた1m3 撹拌機付反応容器に、酢酸を61.2kg/時間、アンモニアを24.5kg/時間、第3工程より供給された酢酸アンモニウム/酢酸/水=20/15/10(モル比)の混合液を73.3kg/時間の割合で連続的に供給し、同時にモル比酢酸アンモニウム/水=100/10の混合物(液)を159kg/時間の割合で連続的に抜き出した。
[第1工程]
原料合成工程で得られた混合物(液)を、温度170℃、圧力5kgf/cm2 に保たれた1m3 撹拌機付反応容器に、159kg/時間の割合で連続的に供給し、同時に反応容器部からはアセトアミド濃度54重量%の反応物(液)を159kg/時間の割合で連続的に抜き出した。酢酸アンモニウム転化率72%であり、アセトアミド選択率99%であった。
[第2工程]
実施例1と同じ装置を用い、同様の操作によって蒸留操作を行った結果、塔底よりアセトアミド濃度99重量%の濃縮物が85kg/時間の割合で回収され、また塔頂からは、酢酸アンモニムと水の混合物が得られた。
[第3工程]
実施例1と同じ装置を用い、同様の操作によって蒸留操作を行った結果、塔底より酢酸アンモニウム濃度59重量%の酢酸アンモニウム、酢酸と水の混合成分が得られた。塔底より回収された混合成分は第1工程の反応原料として再利用した。
【0030】
(比較例)
マクマホン充填物を充填した理論段数14段の充填式精留塔が付いた2m3 の撹拌機付反応容器に、酢酸アンモニウムを1000kg仕込み、徐々に加熱する。脱水反応の進行にともない生成した水を装置上部から回収しながら操作は行い、最終的に約180℃まで反応容器内の温度を上昇させた。回収した反応液のアセトアミド濃度は約60重量%であり、酢酸アンモニウム転化率95%。アセトアミド選択率94%であった。
【0031】
【発明の効果】
本発明方法では、カルボン酸とアンモニウムから得られるカルボン酸アンモニウムの脱水反応を、水の存在下で進行させることにより、副生するカルボン酸アミドの2量体、ニトリル化合物、アミジン系化合物などの副生生物の生成量を極めて低く抑えることにより、高選択率でカルボン酸アミドが製造できた。
更に水とカルボン酸のアンモニウム塩ととの分離を遊離のカルボン酸存在下でその操作を行うことによって、より効率的に、簡易な装置で水を除去することができた。
本発明はその結果副生成物を極度に低く抑え、選択率を高く、分離精製後の目的の最終収得率の高い方法であり、かつ、分離精製系を含めた全生産工程のシンプルさ、製造設備の建設費、運転操作性、ユーティリティーコストなども極めて有利な操作性の優れたカルボン酸アミドの製造方法を確立できた。

Claims (2)

  1. (1)第1工程として、反応容器に式RCOOH(式中、Rは炭素数1〜4の飽和アルキル基を示す。)で表される飽和脂肪族カルボン酸及びアンモニアを供給するかまたはそれらと共に第2工程及び/または第3工程において回収される該カルボン酸のアンモニウム塩を含む成分を供給し、該カルボン酸とアンモニアから得られる該カルボン酸のアンモニウム塩の脱水反応を、副生する水を分離することなく水の存在下で行い行い該カルボン酸アミドを含む混合成分を得る工程、
    (2)第2工程として、第1工程で
    得られたカルボン酸アミドを含む混合成分を蒸留して該混合成分から該カルボン酸アミドを分離する工程、および
    (3)第3工程として、第2工程で低沸点留分として回収された留分に、飽和脂肪族カルボン酸アンモニウム塩とカルボン酸のモル比がアンモニウム塩/カルボン酸=10/1〜20となるようにカルボン酸またはアンモニアを加えて調整し、水を留去し、該カルボン酸のアンモニウム塩を回収する工程からなることを特徴とする飽和脂肪族カルボン酸アミドの製造方法。
  2. 飽和脂肪族カルボン酸が酢酸であり、カルボン酸アミドがアセトアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の飽和脂肪族カルボン酸アミドの製造方法。
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